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2016年4月28日木曜日

都知事「豪華海外出張」問題の本質 舛添氏の「反論」への疑問点とは―【私の論評】都知事には戦時米国大統領並の強力な権限があることを認識せよ(゚д゚)!


  舛添都知事が最近批判されている。週刊文春で、舛添都知事は、2015年度の1年間ほどで、神奈川県湯河原町にある別荘兼事務所に公用車で、ほぼ毎週、49回も都庁との間などを往復していたと報じられた。

  今(16)年3月には、都有地を韓国人学校のために貸し出すことも批判された。その当時、保育所問題がさかんに議論されている折、東京都は保育所より韓国を優先するのかという批判だった。その背景にあったのが、舛添知事は、海外出張が多く、そのための経費が石原前都知事に比べて多いというものだ。


スイートルームは必須か

  各種報道によると、石原前知事は11年間で28回の海外出張、総額経費は4億6000万円、1回平均1600万円だったが、舛添知事は2年間で8回の海外出張、総額経費は2億1000万円、1回平均2600万だという。

  その理由の一つが、滞在先ホテルでのスイートルーム、空港での貴賓室使用などという。筆者は、官僚時代に大臣の海外出張も経験したことがあるが、スイートルーム使用の目的が『要人の急な面会にも礼を失しないため』という舛添知事の説明には、首をかしげざるを得ない。基本的に相手先へ訪問するので、滞在ホテルのスイートルームは必須ではない。筆者の経験で大臣がスイートルームに宿泊することもあるが、それは警護上の理由か別ルームがとれない場合だった。

  また、空港での貴賓室は、ぎりぎりの時間日程を組むために、使う必要がないはずだ。はっきり言えば、海外出張といっても、訪問して直ぐ帰国するだけなので、空港でのんびりする余裕はないはずだ。

  滞在先ホテルでのスイートルーム、空港での貴賓室使用をせざるを得なかったのは、おそらく都知事の海外出張でうまくスケジュールが組めなかったからだろう。実際、海外要人のアポイントメントを事前にうまくやっておけば、『要人の急な面会』(これは実際にはなかったようだ!)のためにスイートルームなんて不要だし、空港での貴賓室使用もありえない。

「都市外交」がどこまで成り立ちうるか

  実は、うまく事前にスケジュールを組めないという点にこそ、本質的な問題が隠されていると筆者は考える。つまり、舛添知事のいう「都市外交」がどこまで成り立ちうるかということだ。舛添都知事は、地方自治体であっても「外交」すべきという持論をもっている。自らの語学力を生かしたいという気持ちもあるだろうし、これまで学者生活や国政で、舛添氏の売りは「外交」であった。猪瀬直樹・前都知事のあと急遽、舛添氏は都知事になったわけだが、筆者は一種の場違いなものを感じた。

  いうまでもなく、外交は国レベルで行うもので、地方自治体はそもそも「外交」を行う主体でない。いくらこちらが叫んだとしても、相手国でも地方自治体に「外交」を認めるわけもなく、せいぜい「友好都市」レベルの話である。

  であると、海外訪問するといっても、相手国の都市も最優先事項ではなく(相手の事情でアポイントメントはキャンセルされる)、スケジュールは組みにくい。このため、必要以上の経費がかかっているのだろう。

  舛添知事の「都市外交」は、やりたくても、実行するための基盤ができていないのだ。「都市外交」そのものについて意見はいろいろあるだろうが、筆者としては理念が素晴らしくても、それが実行できなければ意味は乏しいと思う。特に、相手の事情を考えると、訪問されるのは悪い気はしないが、「外交」しようといわれると気が引けるだろう。

  庶民感情から、海外出張費が高いという背景には、地方自治体で行うべき優先事項に外交が入るか、という根本論がある。

++ 高橋洋一

【私の論評】都知事には戦時米国大統領並の強力な権限があることを認識せよ(゚д゚)!

上の高橋洋一氏の記事にも掲載されていますが、地方自治体の外交なんてせいぜい「国際親善」の枠を出るものではなく、とても外交などといえるものではないです。

都市外交は国際親善に過ぎない?
いくら、こちら側が都市外交などと考えて、勇んで海外に赴いたところで、相手側はそうは思わないです。私自身、過去にある地方自治体の都市外交に関わりを持ったことがありますが、やはり所詮国際親善に過ぎないものであり、地方の役人には、そもそも本気でやる気などないというか、やり方もわからないようだし、成果を上げることもありませんでした。

やはり、都市外交など所詮、地方自治体が行うべきこととしては、優先順位はかなり低いと言わざるを得ません。はっきり言えば、物見遊山プラスアルファの域を出ないものに過ぎません。

舛添氏の別荘
ほぼ毎週別荘に、公用車で通うというのも、常識的には考えられないことです。

舛添知事は、災害が起きても副知事が代理を務めるから問題ない、どこにいようがそこから指揮すればよいと発言しました。しかし、知事が「問題ない」と思っていることこそが大問題です。知事が、別荘に行くのは結構ですが「毎週」は常識の範囲を超えています。なおかつ、公用車で行くというのも不適切です。

知事は、災害時は代理がいるといいますが、それなら知事などいなくて良いです。正気の沙汰とは思えません。道が寸断され都庁に入れなくなり、電話や無線が繋がらない状況で膨大な情報をどうやって受け取るというのでしょうか。情報なくして指揮などできる訳がありません。

知事はルールに従っているといいますが、それはルールを悪用しているだけです。確かに送り元か送り先のいずれかが公務であれば公用車は使える規則ですが、2時間近く離れた他県の別荘となれば話は別です。これは「権利の濫用」といわざるを得ません。ルールに反しなれけば何をしても良いというのはまるで、厨二病の論理です。

それにしても、どうして舛添知事がここまで増長してしまったのでしょうか。こうなる前に、マスコミも、自民公明党ももっと厳しいく舛添に接するべきだったでしょう。いままで、甘やかしてきたので、増長したという面は否めません。

しかし、甘やかされたことだけが、増長の原因ではないようです。敗戦後の米国統治下で、国からの任官であった知事職を公選制にした事が問題の根底にあります。そして、首長と議会の間で首長の権限が強すぎるのがもっと大きな問題です。 今の議会は首長のチェック機関に過ぎません。


実際、特に都知事は強力な権限を持っています。その権限はどこから出てくるのか以下にまとめます。

(1)1000万人の有権者から直接選ばれる。

(2)都の予算規模は韓国の国家予算なみ、職員数は17万人。さらに都知事の裁量権も大きい

(3)大統領制の都知事は身分が安定し4年間全力投球できる(首相のようにすぐに変わらない)

(4)合議制内閣の首相より、一人で意思決定できる独任制の都知事のほうが、強いリーダーシップを発揮できる

上記の(3)で大統領制と書きましたが、これは少し誤解を招くかもしれません。大統領制というと、アメリカの大統領制を思い浮かべる人がいるかもしれません。そうして、多くの人はアメリカ大統領というと、強力な権限を背景に強烈なリーダーシップを発揮できると考えている人も多いです。

しかし、これは大きな間違いです。アメリカの大統領は、平時においては世界のリーダーの中でも、最弱と言っても良いくらい、権限がありません。このことをトランプ氏もあまり理解していないかもしれません。極端なことを言うと、議会の承認がないと何もできないと言って良いくらい、大統領の権限は弱いです。

ただし、米国が戦争に突入すると、これが一変します。議会が戦争することを承認すると、途端に多くの権限が大統領に集中し、大統領が戦争に勝つために強大なリーダーシップを発揮できるようになります。

だから上記の(3)は正確には、"アメリカの戦時の大統領に近い強力な権限を持つ都知事"としたほうが良いかもしれません。無論、その権限の範囲は東京都内のみであり、自衛隊など国の機関や組織には及びませんが、それでも人口はニュージーランドや、スウェーデンなどよりもはるかに多い1000万人もいて、韓国並のGDPがあります。

しかし、都知事の権利は、これだけではありません。都知事というポストが持つ実権としての権力よりも、潜在的な権力が都知事をさらに大きく見せているのです。

例えば国際社会においても、東京はあまりにも強大な影響力を持っています。金融市場はニューヨーク、ロンドン、そして東京の動きが大きく影響を与えます。また、国内においても国内総生産(GDP)の約2割、国税収入の約4割を東京が占有しています。主要テレビのキー局が全て東京にあり、情報発信力の高さも見逃せません。

これだけ強力な権限があるわけですから、舛添氏にとっては、まさに東京都知事という役職は鬼に金棒です。だからこそ、最近はマスコミなどから批判されても、全く屁の河童なのです。

今後もあまりにも目に余るあることがあれば、リコールということも考えられますが、前回の都知事選、舛添氏は当然のトップで当選ですが、2位が共産系の宇都宮氏、3位が細川氏でした。しかも2位3位を合わせると舛添氏の得票を超えます。 

そうなると、リコールもなんというか、恐ろしいことになりそうです。以下に、2014年の都知事選の結果を掲載します。


以下に、2014年東京都知事選候補者の主な政策と選挙結果を掲載します。



選挙結果
候補者名得票数
<当選>ますぞえ要一2,112,979(市区町村別)
宇都宮けんじ982,594(市区町村別)
細川護熙956,063(市区町村別)
田母神としお610,865(市区町村別)

これ以下の、候補は得票数が桁違いに低く、泡沫候補に過ぎないので掲載しません。そうなのです。何と、第4位には、最近逮捕された田母神氏がいました。

もし、まかり間違って田母神氏が東京都知事になっていたとしたら、政治資金であのような問題を起こしているのですから、ひよっとすると舛添氏よりも酷いことになっていたかもしれません。

消去法でいけば、やはりあの時は、舛添氏に投票したのは仕方なかったのかもしれません。その意味では東京都民は、まともな選択をしたといえます。

やはり、都民としては、舛添氏に対してこれからも、非常識なことは徹底的に批判し、舛添氏に改めるようにもっていくべきです。マスコミ、自民・公明ももっと、厳しく対応すべきです。

そうして、最後の結論ですが、ひよっとすると、泡沫候補の中にも、上位5人よりもまともな候補者がいたかもしれません。今後の選挙においては、東京都知事とは、上記で述べたように、かなり強力な権限があることを念頭において、まともな人物を選ぶことが非常に重要であることを認識して投票すべきです。

都民にとっては、都知事選挙のほうが、自分たちに直接関わるということと、東京都知事は強力な権限を持っていることから、国政選挙よりもはるかに重要であると認識すべきです。

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