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2016年8月6日土曜日

通貨スワップ「不要」と打ち切った朴政権 日韓財務対話で復活要求の模様…―【私の論評】韓国は再び通貨危機に陥りIMFの管理下に入り、それを日本のせいにする(゚д゚)!

朴槿恵大統領就任時の衣装

日本との「通貨交換(スワップ)協定」再開に焦り始めた韓国の朴槿恵(パク・クネ)政権。8月下旬に開かれる日韓財務対話でも蒸し返されそうだ。韓国の金融危機時の資本流出リスクが「世界最悪レベル」と分析されるなど、韓国経済の脆弱(ぜいじゃく)さが背景にある。

日韓の財務相や、財政や税制を担当する財務省幹部らが出席し、経済や金融問題について定期的に意見を交わす日韓財務対話は、2012年8月に島根県の竹島に李明博(イ・ミョンバク)前大統領が不法上陸した後、中断していたが、昨年5月に2年半ぶりに再開された。今回の会合は8月27日にソウルで開かれ、金融市場の動向のほか、通貨スワップ協定の復活に関しても議論される可能性があるという。

通貨スワップは金融危機などの緊急時にドルなどの通貨を融通し合う仕組みで、日韓間の協定は01年に締結され、11年には700億ドル(約7兆1750億円)の規模まで拡大した。しかし、朴政権側から「協定延長は不要」との声が出て、昨年2月に打ち切られた。

日本にとっては協定が延長されても消滅しても影響はほぼなかったが、韓国は、頼みの中国経済の失速や英国の欧州連合(EU)離脱決定といった外部要因もあって、資本流出への危機感が募っているようだ。

韓国経済新聞など韓国メディアは、7月19日に韓国銀行(中央銀行)と米韓のシンクタンクが開いた会合に出席したニューヨーク連銀のリンダ・ゴールドバーグ副総裁の痛烈な指摘について相次いで報じた。

同氏が、金融危機などで投資家のリスク回避志向が強まった際の資本流入について分析した「グローバルリスク反応指数」によると、59カ国のうち韓国は58位と、最下位のロシアに続くブービー。投資家の不安心理が高まれば、真っ先に資本が流出する国だということになる。

26日にシンクタンクの韓国開発研究院が開いた会合では、英オックスフォード大のデイビッド・バインズ教授が「過度な資本の流動化が進めば、新興国の独立した金融政策は困難になる」として、処方箋の一つに「中央銀行間の通貨スワップ」を挙げている。

週刊東洋経済元編集長の勝又壽良氏は「輸出が落ち込むなか、通貨安になると非常に危険な状況になる。来年には大統領選も行われるだけに、スワップ再開で経済を安定させたいところではないか」とみる。

欧米のエコノミストも懸念を強めるなか、朴政権も日本に通貨スワップを頼むしかないのか。

【私の論評】韓国は再び通貨危機に陥りIMFの管理下に入り、それを日本のせいにする(゚д゚)!

韓国による通貨スワップの再開に関しては、以前にもこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
韓国で日本との通貨スワップ再開論 協定終了のいきさつを棚上げ?―【私の論評】リフレ派皆無の韓国を通貨スワップで助けても全く無意味(゚д゚)!
歴史を修正して反日姿勢を崩さない朴槿恵大統領
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事で私は、日本は韓国に対して通過スワップの支援をすべきではないことを主張しました。その理由は、韓国にはリフレ派が存在せず、金融緩和をしないので、通貨スワップなどで支援しても一時的なものに過ぎず、韓国経済は落ち込む一方であることから、支援しても恨まれるだけなのですべきではないとものです。

この記事から、その部分を引用します。
日本には、韓国が大胆な金融緩和を行えないのは、日韓スワップ協定などで潤沢なドル資金を韓国に融通する枠組みに欠けているからだ、と指摘する人もいます。確かに、その側面はあるかもしれません。しかし、これよりよりもはるかに深刻なのは、朴政権と韓国銀行に蔓延している間違った構造改革政策です。
このようなニュースがまた、報道されるかもしれない。日韓スワップ協定は、
事実上の韓国への支援、ただし支援しても何の効果も期待できない
日韓スワップ協定による、潤沢なドル資金がなかったにしても、ウォンは韓国の貨幣なのですから、韓国銀行はウォンを増刷することができます。であれば、韓国内で金融緩和はできるはずです。それを実行すれば、日韓スワップ協定を再開しなくても、韓国は自力でも何とか困難を回避できるはずです。

しかし、これを実行せずに、昔の日本のように「構造改革ありき」などとしていれば、韓国も「失われた20年」に見舞われるのは確実です。そうして、これは日韓スワップ協定を再開したとしても、そもそも政策が間違っているのですから、改善されることはあり得まず、無意味です。

それにしても、韓国はどうして日本が「失われた20年」を招いてしまったのか、理解できないのでしょうか。虚心坦懐に日本での出来事をみていれば、理解できるはずです。

しかし、彼らは「反日」で目が曇っています。だから、日本の状況を正しく判断する事ができないのだと思います。日本のリフレ派の識者がこれを、韓国に対して説明しても彼らは聞く耳を持たないでしょう。であれば、全く効果が期待できないので、支援しないのが一番です。支援しても、何も効果がでないので、さらに日本に対して面妖な要求をつきつけるようになるだけです。そんなことは、私達は過去の例で嫌というほど、見せつけられています。
この考えは、今でも変わってはいません。しかし、この記事には掲載しなかったのですが、韓国がなかなか金融緩和をしない理由があります。本日は、それについて掲載します。

韓国には、日本と同じようにインフレ目標があります。それは、2013年から15年まで2.5~3.5%です。ところが、2012年6月以降、この目標は現在に至るまでまったく達成されていません。


つまり、この間、金融緩和が不十分だったのです。利下げをしているのですが、そもそも為替が安くならないように、つまり経済効果があまりでない範囲での、言い訳程度の利下げしかしていなかったのです。

韓国メディアのアジア経済は昨年、「日本に似ていく韓国」というタイトルで記事を掲載し、現在の韓国経済は「少消費病」であると同時に「春來不似春」(春がきたが、春らしくないという意)だと紹介しました。

記事は、現在の韓国経済は「氷河期」であり回復の兆しが見えないと指摘。「低金利・低物価・低成長基調は“日本の失われた20年"を踏襲しているようだ」と報じました。

また、現在「日本の失われた20年」と類似していると言われている韓国経済は、韓国史上初となる国内基準金利1%時代が到来し、消費者の財布の紐も緩まないと指摘。さらには、消費者物価上昇率までも0%台にとどまっており、OECD(経済協力開発機構)の調査において、韓国の2014年の消費者物価上昇率は「1.3%」で、41年ぶりに日本の2.7%」よりも低く、OECD(経済協力開発機構)の2014年の平均値である1.7%にも及ばなかったと報じました。

また記事では、この現在の韓国経済の姿は、日本が不況に入り始めた時期と酷似していると指摘。実際、「韓国の実質金利(名目金利―物価上昇率)が2008年の金融危機以降、最高値となる現象が現れている」と論じました。

続けて記事は、現在の韓国の消費パターンも1990年代の日本と類似点が多いと分析しました。バブル崩壊直後の日本の20年間は、消費者が「低価格製品を好み、自社ブランド商品やアウトレット・食べ物のバイキングや超低価海外ツアー」など人気を集めた一方、日本のデパート業界では内需低迷により売上の伸び率がGDPの伸び率を大幅に下回ったと指摘。これは、現在の韓国流通産業も似ていると論じました。

それにも関わらず韓国が不十分な金融緩和しかしていない理由として、韓国側からの見方では、韓国の対外債務は短期ものが多く、ウォンが安くなると外資は韓国から引き揚げやすいからです。つまりウォン安がキャピタルフライトを招きかねない状況だということのようです。

ちなみに、日本は対外資産が対外債務よりかなり大きくGDP比でみて6割程度の純債権国なのですが、韓国は5%程度の純債権国にすぎません。

これについては、東京三菱UFJ銀行系のシンクタンクである国際通貨研究所でもレポートが出ています。このレポートは、韓国と中国や東南アジア諸国の対外純資産ポジションを比較しているのですが、韓国は「足の遅い」海外からの直接投資が少なく、「足の速い」(経営権取得目的でない)株式・債権の投資や銀行からの借り入れが多いことが分かります。

しかし、このような見方についてはやや疑問も感じます。なぜなら、かつてアジア通貨危機の時、韓国はウォンへの通貨アタックを招いたドルへの通貨ペッグ制(固定相場)を放棄し、それに替わる通貨安定策としてインフレ目標を採用した経緯があるからです。なのに、インフレ率が目標を大きく下回っているのに十分な金融緩和を行わず、キャピタルフライトを恐れて対ドルレートの維持を最優先とするのは、まるで通貨ペッグ制への回帰のように見えるからです。それが不可能であるというのが、アジア通貨危機で得られた教訓ではなかったのでしょうか。

この疑問を解く鍵は、アジア通貨危機への対策として作られた日韓通貨スワップ協定が、韓国の反日政策によって崩壊したことにあると思います。アジア通貨危機のあと、日中韓とASEAN諸国は、チェンマイ・イニシアティブという相互通貨スワップ協定を策定しました。それに加えて、日韓は独自に通貨スワップ協定を行い、最も多かった2011年には合計700億ドルに達しました。

しかし、2012年の李明博韓国大統領の竹島(独島)上陸、今上天皇への謝罪要求などをきっかけに、日韓の通貨スワップ協定は次々に廃止され、2015年2月には全て終了しました。これによって韓国の通貨スワップの主要な相手国は中国となり、通貨危機の際、西側諸国が韓国を支える仕組みは失われました。

この日韓通貨スワップ廃止について、日経新聞編集委員で韓国に詳しいジャーナリストの鈴置高史氏と、真田幸光・愛知淑徳大学教授の対談で面白い記事がありました。アジア通貨危機の際、日本は最後まで韓国を助けようとしましたが、IMF救済を主張するアメリカの圧力に屈し、救済を断念しました。それにもかかわらず韓国では日本が通貨危機の原因だという主張が出てきたため、「恩を仇で返された」という不信が日本に広がり、韓国を助けようという動きがなくなっていったというのです。

それに関する日経ビジネスの記事のリンクを以下に引用します。この記事は、2015年3月5日のものです。
「人民元圏で生きる決意」を固めた韓国
 詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部引用します。
−今後、韓国が金融面で困った時に日本は助けないのですか? 
真田:容易には助けないと思います。日本の金融界には「恩を仇で返された」との思いが強いからです。韓国人は、あるいは韓国メディアは「1997年の通貨危機は日本のために起きた」と主張します。 
 でも、それは全くの誤りです。あの時は、欧米の金融機関が韓国から撤収する中、最後まで邦銀がドルを貸し続けたのです。韓国の歴史認識は完全に誤っています。 
鈴置:当時、真田先生は東京三菱銀行で韓国を担当しておられました。私も日経新聞のデスクとしてアジアをカバーしていました。 
 あの頃は、韓国人の中でも分かった人は「日本は最後まで面倒を見てくれた」と語っていました。1998年と思いますが、危機の原因を追及した韓国国会でも、それを前提にした質問があったそうです。 
 でも今やそんなことを語る人はいない。韓国では日本が悪者でなければならないからです。当時をよく知るはずの記者も「日本の貸しはがしが危機の引き金となった」と書きます。 
真田:米欧が貸しはがす中、我々は最後まで引かなかった。「日本が引き金になった」とは言いがかりも甚だしい。これだけは記録に留めていただきたい。邦銀の担当者は本店を説得し、欧米が逃げた後も最後まで韓国にドルをつないだのです。 
 韓国が国際通貨基金(IMF)に救済を申請した後でも、KDB(韓国産業銀行)とIBK(中小企業銀行)へは日本輸出入銀行がドルを融資しました。我々、邦銀の韓国担当者が走り回った結果です。 
 それなのに「我が国の通貨危機は日本が起こした」と世界で吹聴する韓国。そんな国を助ける気になるでしょうか? 
 麻生太郎財務相が2014年10月に「韓国から申し出があれば、スワップの延長を検討する」と国会で答弁したのも、恩を仇で返す国への不信感が背景にあったと思います。
また、韓国は米国に対しても、中国カードを使ったチキンゲームを行っており、そのことが米国とのすれ違いを招いているとも指摘しています。
真田:韓国は米国に対しては「中国カード」を使えると考えているフシがあります。いざという時は「中国に人民元スワップを発動してもらう」と言えば、米国がドルを貸してくれる、と計算していると思います。 
鈴置:そこの、米韓の心理的なすれ違いに注目すべきですね。韓国は「中国側に行くぞ」と脅せば米国が言うことを聞くと考えている。なぜなら「米国は自分を手放せないはずだから」です。 
 一方、米国は「そんなに中国が好きなら、そっちへ行け」と放り出せば、韓国は戻ってくると信じている。「韓国は自力で国を守れないから」です。 
 先生が指摘されたMD、ことに終末高高度防衛ミサイル(THAAD=サード)の韓国配備の問題でもそうですが、米韓はチキンゲームを始めています。 
 中国の怒りを避けようと韓国は「配備計画など米国から聞かされていない」と言い張る。「THAADで追い詰められた韓国が中国側に行ったら大変」と米国が思うはず、と考えているからです。 
 これに対し米国は「もう、韓国と相談を始めている」などと“勇み足の発言”をしては「米中どちらの味方なのか」はっきりするよう、韓国に迫っています。 
真田:そこが分析のポイントです。ただ、米国のハラが読みづらい。韓国を脅せば戻ってくると計算しているのか、あるいは「戻ってくればよし、戻ってこなくてもよし」と達観しているのか――。 
 レームダック化したこともあり、オバマ政権は朝鮮半島に関し思考停止した感があります。問題は肝心の、米国を本当に動かしている金融と軍事の2つのパワーセクターが、この半島をどうしようとしているのか、迷っているように見えることです。 
鈴置:ことに米国の金融界がどう動くかが注目ですね。ウクライナ問題でもそうですが、最近の米国は軍事力での勝負を避け、金融力で相手を圧倒しようとします。 
 そして仮に米国が「朝鮮半島を捨てる」時も、単に捨てるのではなく中国と交渉するための「カード」にするのだろうと思います。
韓国は、最近韓国は、THAADの配備を決めています。韓国としては、米国寄りの姿勢を示さざるを得なくなったわけです。

しかし一度中国に寝返りを決めた韓国です。日本も米国も、韓国経済を本気で助けようという意志はもうありません。また、今更中国に頼るわけにもいきません。

ということは韓国が再び経済危機に陥ったとき、韓国が頼れる国はありません。日本も米国も冷淡にIMF支援を要請するでしょう。韓国はこの点で完全に孤立していると言っも過言ではありません。

韓国が自分でもそれを認識しているのであれば、何が何でも経済危機を避けようとして、少しでも経済危機に繋がる政策は避けようとするでしょう。日本の例を見ても、金融緩和は大幅な通貨安を伴いますから、韓国はそのようなウォン安が通貨危機を招くのではないかと恐れ、インフレ目標が有名無実になっても、国内がどれだけ不況になっても、金融緩和に踏み出せないのでしょう。

しかし一方で、ウォン高が進むと輸出依存度の高い韓国経済は大きなダメージを受けるので、何とか通貨介入でそれを防ごうとするのでしょう。その結果、皮肉なことに、韓国はアジア通貨危機以前に似た、事実上の通貨ペッグ制になりつつあります。

しかし、通貨ペッグ制は市場から足下を見られるため維持不可能というのが、多くの経済危機の歴史と経済理論(国際金融のトリレンマ)から得られた教訓です。

  • ある国はこの3つの「自由な資本移動」「固定相場制」「独立した金融政策」のうち2つだけを受容することができます。もしある国が a の位置を選択し、「自由な資本移動」と「固定相場制」を導入するのであれば、金融政策の独立性は失われます。
  • 実際の例としては欧州連合ユーロ圏が挙げられます。もしユーロを受容し自国通貨を放棄すれば、ユーロ圏内で為替を固定することになります。また、域内での自由な資本移動も認められています。しかし、金融政策はすべて欧州中央銀行に一任することになります。

もしウォン高要因が大きくなれば、韓国はデフレに陥り、かつての日本のような長期不況に陥るでしょう。

逆にウォン安要因が大きくなれば、韓国は通貨アタックを受けて、金融危機に陥るでしょう。しかし、中国を含めて、韓国を本気で助けようとする国はもうありません。

結局、韓国が自分勝手な外交によって中国はもとより、日本と米国の信頼を失ったことが、韓国がリフレ政策を採用できない理由だということになります。韓国はなんとも愚かなことをしたものだと思います。

これを解決するには、韓国がその尊大な態度を改め、日米との和解を本気で進めるしかないのでしょう。

しかし、これも今更かなり難しいです。日本としても、韓国側から、韓国の経済危機を絶対に日本のせいにしないことという確約をとりつけるのはもとより、その他でも譲歩してもらわないと、とてもできるものではありません。

米国としても、韓国が中国側に寝返ることを確約しないと無理です。しかし、過去の韓国はこのような約束はことごとく反故にのしてきたため、いまさら信用されません。結局、韓国はまた通貨危機に陥り、IMFの管理下に入るしかなくなることでしょう。

現状でも韓国経済はかなり危険なのですが、もし9月に日銀が大幅な追加金融緩和を決定した場合、韓国の破綻はさらに早まり、第二の通貨危機に陥ることになります。そうして、韓国は第二の通貨危機も、日本の金融緩和のせいにすることでしょう。本当にやっかいな国です。

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