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2013年4月29日月曜日

【ロシアの声】ロシアの友 安倍晋三首相―【私の論評】大国ではなくなったロシアのサプライズはあるか?

【ロシアの声】ロシアの友 安倍晋三首相


  日本の首相がモスクワを訪れた。すでに繊細な政策で高い評価を得た安倍首相は、ロシア訪問の目的について、「プーチン大統領との個人的信頼関係の構築だ」と指摘した。

   安倍首相は、ロシア訪問を前にロシアのイタル・タス通信のインタビューに応じ、安倍首相とプーチン大統領は同じ価値観と理想を共有しており、安倍首相はプーチン大統領に好感を抱いていると伝えた。

   日本側は、平和条約および南クリル問題の進展を望んでいる。安倍首相とプーチン大統領の個人的関係は、それらの問題の解決を加速させることができるだろうか?元駐日ロシア大使で現在モスクワ国際関係大学の教授を務めているパノフ氏は、これらのデリケートな問題で両国が著しい進展を遂げるのは難しいのではないかとの懸念を表した。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・〈中略〉・・・・・・・・・・・・・・・・・

  ロシアは、パートナー国・日本のこのような「気分の変化」に慣れた。だが現在の状況は、安倍首相のモスクワ訪問の後、両国関係は、より現実的で安定したものになるとの期待を持たせている。ロシア側は投資を必要とし、日本側は、新たな輸出市場を必要としている。そのほか、アジア太平洋地域における地政学的状況も著しく悪化した。両国が、露日関係とその展望において、ロマンチックあるいは懐疑的な見解を持っているかは重要ではない。なぜなら現在の状況そのものが、たとえ友好的関係ではないにしても、ロシアと日本を安定した互恵的協力関係へと後押ししているからだ。

この記事の詳細はこちらから!!

【私の論評】大国ではなくなったロシアのサプライズはあるか?

ロシアは大国というイメージがあります。しかし、すでにロシアは大国ではありません。ただし、過去に蓄積した核兵器や軍事技術などがあり、軍事大国であることにはかわりありませんが、すでに経済大国ではありません。人口も、日本より若干多い、14000万人にすぎません。

このことについては、このブログにも以前掲載したことがあります。

「北方領土の日」に寄せて ロシアの「対中安保脅威」がカギ 名越健郎・拓殖大学海外事情研究所教授―【私の論評】北方領土は、北海道の島々!!北方領土のウクライナ人の多さや、対中脅威が返還の契機となるか?

 詳細は、この記事をご覧いただくものとて、この記事では、ロシアの現在のGDPも掲載しました。以下にその部分のみ掲載させていただきます。

 2010年各国のGDP
1、アメリカ
2、中国
3.日本   5兆4500億ドル
4、ドイツ
5、フランス
6、イギリス
7、ブラジル
8、イタリア
9、カナダ
10、インド

・ ロシア  1兆4650億ドル
 現在のロシアは、日本はおろか、インド以下のGDPしかなく、世界十位の座からも落ちています。国民一人あたりのGDPは、アメリカ11位、日本13位、中国 87位、ロシアは48位です。1人あたりの資産では、米国が世界一、日本は二位です。ロシア、中国などは、問題外の水準です。

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ロシアから比較すれば、日本は、金満国家といっても良いほどです。日本では、なぜか、日本は貧乏国などという想念が定着していますが、そんなことは全くありません。今でも、対外純金融純資産(平たく言うと海外に貸し付けているお金)の額は、過去20年以上世界第一位です。ただ、日銀の金融政策があまりにお粗末だったので、国内がはデフレ、対外的には円高で景気が落ち込み、雇用水準が落ち込んでいたということです。それから、ロシア領のシベリアの人口は、六百万人程度なのですが、そこに二百万人もの中国人が移住しています。これは、ウラジオストックに行ったことのある人から聴いた話しですが、ウラジオストックにも中国人がかなりいるそうです。アジア系でも、中国人はすぐそれとわかるそうで、どちらかというと地元でもかなり嫌われているそうです。

それにしても、ロシアは中国と陸続きです。いままでのところ、ロシアは、中国と国境紛争になっても、一歩も譲ることはなく、すべて勝利しています。しかし、この中国、いまのところは、まだまだロシアの敵ではありませんが、今後はどうなるかは、わかりません。

だからこそ、長期的にみてロシアは、日本と友好関係を築きたがっているのです。日本としても、ロシアは従来は、仇敵ではあったし、ロシアは経済的には駄目になったものの両国にとって、中国に対抗するという意味でも、両国は歩み寄ったほうが得策なのです。

ロシア側としては、縮小した経済を少しでも上向かせるためにも、日本から天然ガスなどのエネルギーを購入してもらいたいとの意向もあります。また、日本の経済・技術援助があれば、ロシアの発展に帰するところも大きいです。

それにプーチン大統領は、今後のロシア発展のための独特の哲学を持っているようです。以下の動画では、そのことを語っています。長い動画ですが、14分あたりと、34分あたりにそのことがふれられています。この動画そのものは、米中のことに関するディスカッションなのですが、その中でロシアの専門家による日露関係の内容も語られています。


詳細は、この動画を御覧いただものして、簡略にその内容を以下にまとめておきます。

従来のあの極道のようなロシアは、共産主義によるものであり、現在のロシアは、共産主義の負の遺産から抜けし近代化しようと努力しています。また、ロシアの宗教は、ギリシャ正教であり、この宗教は他のキリスト教のような原罪主義をとっておらず、人間を性善説で捉えています。また、中国のような利己主義ではなく、集団主義的な傾向があります。これらは、日本人にとって受け入れやすいところがあります。

ロシアと日本が関係改善をして、北方領土問題を解決すれば、北朝鮮、韓国、中国などの国々は、歴史問題を外交カードとして使えなくなります。日本にもこのようなメリットがあります。


ロシアの最大関心事は、安全保障です。日本との関係でも、自国の安全保障を強化できるかどうかが最大の関心事です。プーチン大統領はロシア型産業国家を目指しています。そうして、グローバリズムと、ロシアの伝統との間を結び、新たなロシアの理念をつくりだしたいとしています。

さて、このようなプーチン大統領ですが、今回の安倍総理の訪問に際して、何かサプライズを用意しているのでしょか?


そう して、安倍総理は、総理になってから何度か外遊をしていますが、その度に中国を牽制するための、楔を打ちこんできました。今までのところ、無駄な外遊はありません。ロシアとの外遊ではどのような楔を打ち込むのでしょうか?興味のつきないところです。

それにしても、北方領土に関しては全島一括返還でなければ意味がありません。最近の新聞社のアンケートによると、2島返還で良しとする人が大勢をしめているそうですが、それは間違いです。なぜなら、もし二島の返還ということにでもなれば、中国、韓国、北朝鮮による歴史問題による外交カードという問題は解消されないどころか、かえって、助長させてしまう恐れがあるからです。

そもそも北方領土は、すべてがもともと、日本の領土です。それをロシアが不当に占拠しているだけです。二島返還ということなれば、不当占拠を一部でも認めたことになります。そうなれば、歴史問題にも部分的に屈しなければならないことになります。部分的であろうと、全面的であろうと、屈することには変わりありません。一度屈してしまえば、最初は部分的屈服かもしれませんが、いずれ全面的に屈服しなければならないことになります。私はそう思います。皆さんは、どう思われますか?

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