大逆転の可能性が現実味を帯びてきたトランプ氏 写真はブログ管理人挿入 以下同じ |
米メディアはこれまで、クリントン氏優勢との見方が大半だった。しかし、投票が近づいた10月下旬、クリントン氏の私用メール問題について米連邦捜査局(FBI)が捜査再開を明らかにしたことで、風向きが変わった。世論調査によっては、トランプ氏がリードする結果もあり、予断を許さない情勢になったのだ。
トランプ氏が大統領選で当選するとしたら、どんなケースが考えられるのか。米国政治に詳しい福井県立大の島田洋一教授が想定するのは、(1)連邦最高裁判事の人事問題をアピールして、トランプ氏から離れた保守派の支持を取り込む(2)私用メール問題でクリントン氏が窮地に陥る(3)あってはならないが、イスラム系移民によるテロが起きた場合-の3つだ。
■(1)最高裁人事
まず最高裁をめぐっては現在、リベラル派4人、保守派4人の判事で構成されている。本来は9人だが、保守派の判事が今年2月に急死。オバマ政権と共和党との軋轢(あつれき)で空席のままとなっているのだ。
最高裁判事は終身制のため、仮に50歳前後の新判事が選ばれた場合、数十年にわたって務める可能性がある。島田氏は「クリントン氏が大統領になると、進歩派主導の最高裁になる。トランプ氏は『私が選ぶ判事と、クリントン氏が選ぶ判事のどちらに数十年やらせますか』と、もっとアピールするべきだろう」と語る。
現に共和党候補の指名争いで最後までトランプ氏と争ったテッド・クルーズ上院議員は9月、トランプ氏支持を表明した。その背景には、クリントン氏を勝たせれば、リベラルな連邦最高裁判事を任命するなど、オバマ路線が継承されることになると判断したというのだ。
■(2)メール問題
メール問題では、クリントン氏のメールの内容が今後明らかになるなかで「露骨に賄賂を要求しているような内容のものだったら刑事事件になる可能性がある」と島田氏。
■(3)移民テロ
さらに、テロに関しては、「あってはならないことだが、仮にシリアから入ってきた難民などからテロを実行する人間が出てきたら、『クリントン氏はこういうリスクのある人を入れようとしている』ということで、数ポイントは(トランプ氏支持に)動くのではないか」とみる。
現実的な情勢としては、クリントン氏がやや有利といい、島田氏は「米国の選挙のプロは激戦区のペンシルベニア、オハイオ、フロリダの3つの州が大事だとみている。トランプ氏はこの3つを全部取らないといけないし、取れば勝てる」と話す。
クリントン氏の問題に加え、トランプ氏のセクハラ疑惑も取り沙汰され、「泥仕合」となった大統領選。最後まで情勢は流動的のようだ。
米大統領選と同じ8日に投開票される連邦議会選も注目されています。特に、上院選は注目の的です。
なぜなら、大統領選挙に勝利しても、議会選挙で民主党が勝てなければ、就任初日からヒラリー政権は「レームダック」政権になってしまう可能性があるからです。
まだ、まだわかりませんが、今のところ大統領選挙はクリントン氏勝利、上院は均衡、下院は共和党が多数派というねじれ状態になる可能性が高いと個人的には思います。この場合の経済的な予測それもミクロのみ簡単に掲載します。
さらに、テロに関しては、「あってはならないことだが、仮にシリアから入ってきた難民などからテロを実行する人間が出てきたら、『クリントン氏はこういうリスクのある人を入れようとしている』ということで、数ポイントは(トランプ氏支持に)動くのではないか」とみる。
現実的な情勢としては、クリントン氏がやや有利といい、島田氏は「米国の選挙のプロは激戦区のペンシルベニア、オハイオ、フロリダの3つの州が大事だとみている。トランプ氏はこの3つを全部取らないといけないし、取れば勝てる」と話す。
クリントン氏の問題に加え、トランプ氏のセクハラ疑惑も取り沙汰され、「泥仕合」となった大統領選。最後まで情勢は流動的のようだ。
【私の論評】大統領選ですべてが決まるわけではない、忘れてはならないもう一つの選挙(゚д゚)!
仮にヒラリー政権が実現したとしても、その行方を握るのは連邦議会選挙の勝敗だから
です。アメリカの大統領の立法権限は極めて限られています。大統領側の政党が議会で多数派を握ってなければ、野心的な法案は何も通ることはありません。
振り返れば、オバマ大統領の大型景気刺激策、医療保険改革法など目玉の立法成果は、すべて1期目の最初の2年間だけでした。なぜなら、その時期だけ民主党が上下両院で多数党だったからです。
2010年の中間選挙(大統領選挙がない年の連邦議会選のこと)で民主党は大敗し、下院で少数党に転落しました。この時には、ティーパーティの台頭もあって、「片肺飛行」のオバマ政権は立法面で立ち往生しました。さらに民主党は2014年中間選挙で、上院も喪失。オバマ政権2期目の目玉法案「銃規制」「移民改革」を実現することができませんでした。
振り返れば、オバマ大統領の大型景気刺激策、医療保険改革法など目玉の立法成果は、すべて1期目の最初の2年間だけでした。なぜなら、その時期だけ民主党が上下両院で多数党だったからです。
2010年の中間選挙(大統領選挙がない年の連邦議会選のこと)で民主党は大敗し、下院で少数党に転落しました。この時には、ティーパーティの台頭もあって、「片肺飛行」のオバマ政権は立法面で立ち往生しました。さらに民主党は2014年中間選挙で、上院も喪失。オバマ政権2期目の目玉法案「銃規制」「移民改革」を実現することができませんでした。
アメリカ大統領というと、日本では権限が集中して何でもできるように考える人も多いですが、それは間違いです。平時は、世界で最も権限の弱いリーダーです。ただし、大規模な戦争となり、それに参戦することを議会が認めた場合、戦争を遂行するために一挙に大統領に権限が集中するようになっています。
平時においては、司法が最も強力なのがアメリカです。そうなると、現状では拮抗しているものきが、クリントン氏が大統領になることによって、民主党系の人間が判事になった場合、司法はリベラル・左派が多数になるわけです。これは、保守派にとっては確かに耐え難いことです。
さらに、政治の継続性の原則から、アメリカではたとえ政権交代(議会最大党派の政党の人間が大統領になる)が起こった場合でも、政権交代が起こったからといって何もかも変わるというわけではなく、新製権も6割から7割り程度は、旧政権の政治を継続し、残りの3割から4割程度で新製権らしい政策を実行するという具合です。
しかし、その政権交代の実現も未だはっきりしません。直近の情勢は上院が接戦で、下院は共和党が優勢だ。現有勢力は上下院とも共和党が多数派を占めオバマ大統領の手足を縛っていました。両候補ともに議会選の勝利は悲願です。
議会選は上院(100議席、任期6年)の3分の1と、下院(435議席、任期2年)の全議員が改選されます。上院の現有議席は「共和54、民主46」で、下院は「共和246、民主186」です。
トランプ大統領が現実のものとなった場合、トランプ政権は共和党議会指導部としても制御不能かつ予測不可能です。それよりは、共和党議会多数派の維持のほうが、共和党の主流派の望む保守政治継続の確実な道でもあります。
実は、今回の連邦上院選挙は民主党に追い風です。2010年のティーパーティ旋風で「棚ぼた」当選した議員の再選年が、今年2016年に集中しているからです。
改選議席は民主の10に対し、共和は24。トランプ勝利でも、民主党は上院で5議席勝利すれば多数派の地位を奪還できます。ヒラリー勝利の場合は、副大統領が議長として1議席に含まれるので、さらに少ない4議席でよいことになります。
11月1日時点の「リアル・クリア・ポリティクス」世論調査平均の予想では、共和党は落選確実が1議席、当落線上が7議席もあるのに対して、民主党は落選確実が0で、当落線上も1議席だけです。
トランプに対する好悪が共和党内で割れていることは、議会選挙の結果予測を複雑にさせています。通常、中間選挙は地元議員を支持する党派的な有権者しか参加しないので投票率が低いのに対して、大統領選挙は議会選挙の票を活性化します。
しかし、今回はトランプを好まない共和党有権者が「棄権」を選択し、それが議会選挙に悪影響を与える可能性も皆無ではありません。
各州の有権者が候補者に秘密投票で特定の候補者投票を宣言している代議員に投票する予備選挙では、共和党参加者が民主党を上回っていました。その点だけを切り取れば、共和党の本選投票率は高くなるかに思えます。
11月8日(現地)の投票日は、大統領選挙の勝敗以外に、連邦議会選挙で民主党が上院で多数派を握れるか、下院の議席がどの程度縮まるかも注目点です。
議会選は上院(100議席、任期6年)の3分の1と、下院(435議席、任期2年)の全議員が改選されます。上院の現有議席は「共和54、民主46」で、下院は「共和246、民主186」です。
上院は接戦です。米紙ニューヨーク・タイムズによる上院獲得議席の予測は「共和46、民主46」で未定は8。議席は「50対50」と同数になる可能性が最も高いとみています。この場合は上院議長を兼任する副大統領が可否同数の採決で1票を投じるため、大統領選で勝った陣営が多数派となります。
ブロク冒頭の記事にもあるように、最高裁判事は定員9人で、2月に保守派の1人が死去。現状は保守とリベラルが4人ずつで拮抗しています。オバマ氏は後任を指名したのですが、共和党支配の上院が承認を拒んでいます。上院を民主党が奪還すれば、最高裁のバランスがリベラルに傾く可能性があります。
一方、下院は共和党が優勢です。米政治専門サイトのリアル・クリア・ポリティクスの獲得議席予測は共和224、民主190で未定は21人。共和党はすでに過半数(218人以上)を固めています。
一方、下院は共和党が優勢です。米政治専門サイトのリアル・クリア・ポリティクスの獲得議席予測は共和224、民主190で未定は21人。共和党はすでに過半数(218人以上)を固めています。
実は、今回の連邦上院選挙は民主党に追い風です。2010年のティーパーティ旋風で「棚ぼた」当選した議員の再選年が、今年2016年に集中しているからです。
改選議席は民主の10に対し、共和は24。トランプ勝利でも、民主党は上院で5議席勝利すれば多数派の地位を奪還できます。ヒラリー勝利の場合は、副大統領が議長として1議席に含まれるので、さらに少ない4議席でよいことになります。
11月1日時点の「リアル・クリア・ポリティクス」世論調査平均の予想では、共和党は落選確実が1議席、当落線上が7議席もあるのに対して、民主党は落選確実が0で、当落線上も1議席だけです。
トランプに対する好悪が共和党内で割れていることは、議会選挙の結果予測を複雑にさせています。通常、中間選挙は地元議員を支持する党派的な有権者しか参加しないので投票率が低いのに対して、大統領選挙は議会選挙の票を活性化します。
しかし、今回はトランプを好まない共和党有権者が「棄権」を選択し、それが議会選挙に悪影響を与える可能性も皆無ではありません。
各州の有権者が候補者に秘密投票で特定の候補者投票を宣言している代議員に投票する予備選挙では、共和党参加者が民主党を上回っていました。その点だけを切り取れば、共和党の本選投票率は高くなるかに思えます。
アイオワ州の党員集会前日、トランプ候補の選挙キャンペーンに参加する支持者たち(2016年1月31日) |
しかし、熱心なトランプ支持者の多くは、初めて予備選に参加した無党派層です。彼らは反移民、保護貿易主義などでトランプ個人を好いています。大統領選挙の投票率を底上げしてくれるのですが、共和党には関心がなく、議会選挙を左右する献金や動員など草の根活動にも興味を示さないという問題があります。
主流派の票の行方も見えません。女性問題でトランプに嫌悪感を感じている郊外女性や穏健派を失えば、議会選挙の共和党候補が巻き添えをくらうことになります。地盤の弱い共和党議員から順に、トランプ支持を取り下げているのはそのためです。
主流派の票の行方も見えません。女性問題でトランプに嫌悪感を感じている郊外女性や穏健派を失えば、議会選挙の共和党候補が巻き添えをくらうことになります。地盤の弱い共和党議員から順に、トランプ支持を取り下げているのはそのためです。
レストラン「フーターズ」でご満悦のトランプ氏 |
クリントン大統領で、上院が民主党が多数派になる、トランプ大統領で共和党が多数派になるということであれば、これからの米国の出方を予想するのは比較的簡単なのですが、クリントン大統領で、上院が共和党多数派になった場合と、トランプ大統領で、上院が民主党多数派となった場合は見極めが難しいです。
予算の先議権を持つ下院が共和党となることで各種政策の実行性に問題が生じる可能性があり、短期的に米ドルの下落が発生するかもしれません。
とはいえ、米国建設・土木関連セクターについては共和党もインフラ改善を重要視しているので上昇を期待できそうです。また、米国軍事関連セクターもオバマ外交への批判からタカ派が優勢となると思われ、上昇を期待できそうです。一方で、米国製薬セクターはクリントン氏だけでなく共和党も高額医薬品に批判的で弱含むかもしれません。
日本株全体としては円高と製薬株の下落懸念に加えて、12月のFOMCにおける利上げが強く意識されて若干の弱含みとなるかもしれません。米ドル対相場は一旦円高に向かうも米国の利上げにより値を戻すと予想します。
とはいえ、米国建設・土木関連セクターについては共和党もインフラ改善を重要視しているので上昇を期待できそうです。また、米国軍事関連セクターもオバマ外交への批判からタカ派が優勢となると思われ、上昇を期待できそうです。一方で、米国製薬セクターはクリントン氏だけでなく共和党も高額医薬品に批判的で弱含むかもしれません。
日本株全体としては円高と製薬株の下落懸念に加えて、12月のFOMCにおける利上げが強く意識されて若干の弱含みとなるかもしれません。米ドル対相場は一旦円高に向かうも米国の利上げにより値を戻すと予想します。
大統領選と蓮舫議会上院の選挙でアメリカは変わる(゚д゚)! |
大統領選がトランプ氏勝利で、上院均衡、下院共和党多数派となったとすると、軍事関連セクターは若干弱含みになるかもしれまんが、いずれにせよ経済的にはあまり変わりはないと思います。その他は、なんとなく想像はつくのですが、それにしても大統領が決まっていいない現在では、それを掲載する意味がありません。
その他、安全保障や、対日本政策については、いずれが大統領になるかによってかなり大きく変わってくると思います。これについては、選挙が終了してから掲載しようと思います。
いずれにせよ、現在日本のメディアは大統領選ばかり熱心に報道しますが、連邦議会の上院選の結果もこれからのアメリカを占う上で重要だということです。
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