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2020年2月18日火曜日

日本が犯した3度目の過ち、消費増税が経済に打撃―【私の論評】財務省の動きを封じなければ、安倍晋三氏は歴史に「消費税を2度あげた総理大臣」として名前を刻まれる(゚д゚)!

ウォール・ストリート・ジャーナル厳選記事



――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 日本経済は2019年10~12月期に急激な落ち込みを演じた。実質国内総生産(GDP)は前期比年率換算で6.3%減少し、四半期の成長率としては過去10年で2番目に悪い数字となった。政策当局者が犯した3度目の間違いがその原因でなかったとすれば、まだしも受け入れやすかったかもしれない。


 日本政府は昨年10月に消費税率を8%から10%に引き上げた。その結果、消費支出が大幅に落ち込み、家計支出は10~12月期に年率換算で11.5%減少した。

 1997年と2014年に消費税を引き上げた際も同じように経済が大きな打撃を被った。過去25年間に家計消費が最も大きく落ち込んだ3度の四半期は、いずれも消費税が引き上げられた時のことだ。

 幸いなことに、日本は今のところ、さらに消費税を引き上げる考えはなさそうだ。しかし、こうした破壊的な行動につながる考え方は異様なほど根強く残っている。増税が日本経済に与えたダメージが明確になっていた先週も、国際通貨基金(IMF)は今後10年間に税率をさらに15%に引き上げるべきだとの考えを表明している。

 それは比較的小さなものに聞こえるかもしれないが、日本の家計消費は過去10年間に実質ベースでわずか2.6%しか増加していない。こうした微々たる伸びは、消費者が家計の手取り収入やインフレ率が大きく上向くとは予想しておらず、支出も控えめに抑えるとの見通しを強めている。

 2012年末に安倍晋三氏が首相に返り咲いて以来、日本経済は見事な回復を遂げてきた。1990年代や2000年代のデフレは姿を消し、投資は著しい盛り上がりを見せた。失業率も数十年ぶりの水準に低下した。だが、家計消費は景気拡大に全く寄与していない。

 財政を再建する必要性に迫られているのであれば、増税に伴う経済的痛みも受け入れられやすい。だが、日本政府が抱える純債務の利払い負担は、主要7カ国(G7)の中で最も低い水準にある。

  日本政府が積み上げてきた政府債務の利払いは容易になっている。増税や支出抑制を主張してきた当局者は、その理由についてもっと明確な理由を示さなくてはならない。それらの政策は試されてきたが、日本の国民を裏切っている。

 しかも、日本はおそらく他のどの国よりも、財政政策との関係を見直す必要がある。米連邦準備制度理事会(FRB)は昨年金利を引き下げ、欧州中央銀行(ECB)は独自の景気刺激策を拡大したが、日銀は何の手も講じていない。

 日本では、少なくとも現在の経済的枠組みの下では金融政策に関する選択肢がほぼ尽きているため、今後景気が悪化する場面があれば、財政政策が一段と大きな役割を担わなくてはならない。政策当局者はそうした場面が訪れる前に、財政政策を積極的に活用する術を身につけておく必要がある。

【私の論評】財務省の動きを封じなければ、安倍晋三氏は歴史に「消費税を2度あげた総理大臣」として名前を刻まれる(゚д゚)!

上の記事、ざっくり言ってしまうと、国民経済等は無視して省益優先で増税した財務省にWSJからも批判されたということです。

特に以下の下りは強烈です。
日本政府が積み上げてきた政府債務の利払いは容易になっている。増税や支出抑制を主張してきた当局者は、その理由についてもっと明確な理由を示さなくてはならない。それらの政策は試されてきたが、日本の国民を裏切っている。
ここでは、「当局者」としていますが、これは当然主に財務省のことを言っているのです。政府に主に大きな責任があると考えているなら「当局者」「政策当局者」などという書き方ではなく、「政府」と書くはずです。

これは、当然のことながら、財政をよく知っているはずの、財務省が、増税キャンペーンを繰り返し、足繁く政治家や、マスコミ等にも「ご説明資料」を持参し、丁寧にわかりやすく、増税の正当性を主張してきたからにほかなりません。

IMF(国際通貨基金)は、今後の日本経済について、高齢化に伴う費用を賄うためには消費税率を2030年までに15%に引き上げるべきだと提言しました。

来日した、IMF・ゲオルギエワ専務理事は、「徐々に消費税率を引き上げるのが有効というのがIMFの見解です」と述べました。

IMFは昨年の報告書で高齢化が進む日本について、働き手世代が減る一方で高齢者が増えるため、年金や医療費などが増え続けて国の財政運営が厳しくなると指摘しました。そのうえで、こうした費用を賄うには消費税率を2030年までに15%、さらに2050年までには20%まで段階的に引き上げるべきだと提言しています。また、日銀が掲げる物価上昇率2%の目標については「賃金が上がれば達成できる」という見解を示しました。

このような報道を読むと、消費税増税も仕方ないのかなと思う人が多いでしょう。IMFといえば、有名な国際機関で、英語で書かれたものに弱い日本人は多いです。

IMFのこうした報告書の作成は、各国政府との協議を経て行われます。IMFの他にも国際機関が日本に関する報告書を作成するときに、国際機関の報告書という体裁をとっているものの、実質的には日本政府の主張なのです。よくいえば、日本政府と国際機関の共同作業です。いずれにしても、日本政府の意向に反するものが書かれることはまずありません。

IMFについていえば、日本は第2位の出資国です。いうなれば大株主である日本政府を無視できるはずがありません。さらに、日本は大株主の力を背景にして、IMFのナンバー2である4人いる副専務理事ポストの一つを確保しています。

このポストは歴代財務省財務官の天下りポストなのです。そのほかにも、日本はIMFの理事ポストも持っており、これも財務省からの出向者です。理事を支えるスタッフとして理事室があるのですが、その職員も財務省からの出向者が多くいます。

消費税率15%は財務省の意図でもあります。東日本大震災直後に、不謹慎にもホップ、ステップ、ジャンプ増税計画がいわれていました。震災増税がホップ、社会保障増税がステップ、そして財政再建増税がジャンプです。

今、とうとうステップの直前まで来ています。ちなみに、民主党野田政権の時に、消費税増税を織り込んだ中期財政試算では、10%まで消費税増税しても2023年度においてもプライマリーバランス対GDP比は、▲0.9~▲2.7%とされていました。

この赤字を解消するためには、消費税増税を2~6%しなければいけないというのが、財務省の意向です。つまり消費税率は12~16%まで引き上げるということです。

IMFの年次審査報告書は財務省の息がかかっているとしても、IMF本体の理事会では、数名の理事が消費税増税が成長に悪影響があるかもしれないとの懸念を表明しています。これは、IMFが各国に緊縮財政を求めすぎたことへの反省でもあります。ただし、こうした報道はあまりありません。

IMFは先に述べたように、財務省出向職員が仕切っている側面もあり、単なる財務省の代弁としか言いようのないレポートもあるのですが、財務省の出向職員があまり手を出せないスタッフペーパーのなかには、良いものもあります。

たとえば、昨年10月公表された「IMF Fiscal Monitor, October 2018 Managing Public Wealth」(https://www.imf.org/en/Publications/FM/Issues/2018/10/04/fiscal-monitor-october-2018)です。

これは、各国の財政状況について、負債だけではなく資産にも注目して分析したものです。このレポート、海外メディアの注目度は高いです。(たとえば https://jp.reuters.com/article/imf-g20-breakingviews-idJPKCN1ML0NF)が、日本のメディアではさっぱり取り上げられません。

これについては、このブログでも取り上げました。その記事のリンクを掲載します。
コラム:日本の純資産はプラマイゼロ、IMFの新国富論―【私の論評】財務省は解体し複数の他官庁の下部組織として組み入れ、そのDNAを絶つべき(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、上のグラフでも理解できるように、日本政府の資産と負債を比較してみると、その額は同程度であり、相殺するとセロです。日本政府の借金がとてつもなく大きいというのは、一側面をみているだけです。100万の資産がある人が、100万円の借金を抱えているときに、100万の資産には目をつぶり、100万の借金ばかりを論じているようなものです。

これは、財務省が意図して意識して、日本政府を借金地獄であるかのように喧伝するのに、外国の機関である、IMFまで自分たちに都合の良いように利用しているという実体を示すものです。財務省の意向では、消費税は10%増税ではすみません、先にも述べたように、12~16%にするのです。

私自身は、増税したり、減税したりするのは当然のことと思います。ただ、財務省のように一方的に増税を続けるというのは完璧なあやまりです。

マクロ経済の標準的な教科書でも教えているとおり、その時々で、景気が良すぎれば、増税し、景気が悪ければ、減税すれば良いだけでなのです。これを格好の良い言い方をすれば、機動的財政政策です。この機動的財政政策が日本以外の国なら普通に行われて舞います。

なぜか、日本では、消費税は一度上げると、下げられないものという認識が一般的ですが、消費税などを含む、他の増税も景気が加熱すれば、実施し、経済が悪ければ、減税すべきなのです。

しかし、財務省は、景気におかまいなしに、一方的に増税を繰り返してきましたし、これからもそうしようとしています。

今回、実質国内総生産(GDP)は前期比年率換算で6.3%減少し、四半期の成長率としては過去10年で2番目に悪い数字となったとしても、財務省はこの方針を変えないでしょう。

今後、新型肺炎の蔓延がしばらくは続くことを考えれば、これも経済に甚大な影響を与えることは確実で、これから経済の悪化が沈静化する可能性はありません。さらには、アウトバウンド需要も期待できません。

私自身は、オリンピックの頃には、日本の夏の湿度の高さは、コロナウィルスの大敵であるので、新型肺炎も終息まではいかなくても、かなり罹患率など下がると思います。そのためオリンピックそのものは開催されるでしょうが、観光客は相当減るかもしれません。そうして、秋にはポイント還元がなくなります。

これから、悪くなる一方です。さらに、中国経済をはじめ、ブレグジットもあり、世界経済は悪化する懸念があります。このようなときに実行すべきは、減税です。消費税が8%になってこのかた、経済が大幅に伸びたことはなく、韓国以下の成長率しかないわけですから、いまできる最善の方法は、減税です。減税なら、何も特別なことをしなくて良いですから、すぐにでも実行すべきです。

しかし、これには、財務省は大反対でしょう。また、財務省の総力を結集して、大増税キャンペーンを実施し続けるでしょう。

それにしても、なぜ財務省はこのような行動をするのでしょうか。これについては、最近のこのプログで官僚の習性をあげたことがあります。

隠匿という点では、昔の官僚も現在の官僚も変わりません。現在の財務省の官僚は、物資を隠匿はしていませんが、様々な形で資金を隠匿しています。それこそ、いっとき盛んにいわれていた財務省の埋蔵金というものです。

これは、いわゆる特別会計という複雑怪奇で一般の人にはなかなか理解できない、巨大な会計の中に隠蔽されていたりします。それは、戦時中の隠匿物資のように、一般人には見つからないように隠匿されています。



しかし、それは、終戦直後に大多数の国民が窮乏生活を送っていたときに、国富が70%もあったというのと同じく、現在でも統計資料を見ると理解できます。

先にもあげたように、日本政府には借金だけではなく、膨大な資産があるのです。この資産を財務省は、世間から隠しているのです。これは、終戦直前に軍部というか、陸軍省、海軍省の官僚らが、膨大な物資を隠匿していたのと似ています。

官僚というものは、どうやらきちんと監督していないと、とにかく金をためたがるようです。警察組織にも各地でプール金があったことが摘発されたこともありましす、財務省以外の省庁でもプール金が摘発されたことがあります。

なんのことはない、財務省は、特別会計などの手法等をもちいて、あちらこちらに合法的に資金をプールしているということで、従来の軍部の物資隠匿と同じことをしています。

そうして、財務省はこの隠匿を合法的に、しかもIFMを活用するなど、かなり洗練されたスタイルで行っています。

もう、安倍政権としても財務省のこの動きを封じるしか、道はないでしょう。財務省すら封じることができなければ、新型肺炎を封じることもできず、その結果支持率が落ち、念願の憲法改正は叶わぬ夢になることでしょう。

そうして、歴史には、「消費税を2度あげた総理大臣」として名前を刻まれることになるでしょう。

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