八木秀次教授 |
「万世一系とされる皇統は一貫して男系継承で、天皇の正統性の根拠といえる。126代の天皇はこの原理を外れたことはない。皇位継承を、感情論や女性活躍といった次元で論じてはならない」
八木氏はこう語った。
まず、「女性天皇」と「女系天皇」はまったく違う。女性天皇は過去に8人10代存在したが、すべて男性の天皇や皇太子の皇女だった女性が即位されたもので、「男系女子」の天皇である。
一方、女系天皇は、女性天皇と民間出身の夫の間に生まれたお子さま(男女問わず)が即位する場合であり、その時点で男系の皇統は終わる。男系を簡単にいうと、父方だけをさかのぼれば皇室と血のつながりがあることである。
八木氏は、皇位継承の基本を次のように示す。
(1)皇統は一貫して男系継承(2)過去の女性天皇は「男系の女子」(3)女性天皇は、次期天皇(男系の男子)が幼少などの理由で中継ぎ役(4)女性天皇のお子さま(女系)が天皇になったケースはない(5)過去の皇統断絶の危機には、別の男系の血筋から天皇となっている(6)皇位は直系継承ではなく、あくまで男系継承である。
こうした基本を踏まえて、八木氏は総括する。
「GHQ(連合国軍総司令部)占領下だった1947年、皇籍離脱を余儀なくされた旧11宮家の系統の男子に皇籍に戻ってもらうべきだ。初代天皇以来の男系の血筋を引く家系だ。その男系の男子を、男性の継承者が存在せずに廃絶する可能性がある宮家に『養子』として迎え、宮家を存続できるように皇室典範を改正するのも一案だ。いずれにせよ、万策尽きるまで、男系継承の道を探るべきだ」
【私の論評】血筋は大河の流れのよう、これを活用すれば皇統は絶えない(゚д゚)!
多くの人々は、女系天皇、女性天皇、男系女性天皇などの区別がついていないのではないかと思います。ましてや、126代の天皇はこの男系継承の原理を一度も外れたことはないということも知らないのではないでしょうか。
このグラフからみても、女性天皇と女系天皇の違いを理解している人は少ないです。私自身としては、「ある程度理解している」という35.3%にしても、本当は良くは理解していないのではないかと思います。
男系天皇に関しては、このブログでも以前解説したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【新元号】安定的な皇位継承の確保を検討 男系継承を慎重に模索―【私の論評】なぜ皇位は男系によって継承されなければならないのか?
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に確信部分をあげておきます。
皇室が民間の男性を皇族にしたことは、かつて只の一度の例もありません。男系継承とは、女性を締め出す制度ではなく、むしろ男性を締め出す制度なのです。民間の女性は皇族との結婚で皇族となる可能性がありますが、民間の男性が皇族になる可能性はありません。
皇室の歴史は、『古事記』『日本書紀』の神話にさかのぼります。初代天皇神武天皇の伝説にさかのぼれば、皇室は公称二千六百年の歴史を誇ります。なぜそれほど皇室は続いてきたのか。神話や伝説の時代から変わらぬ伝統を保持してきたからです。
だから皇室では、先例が吉、新儀は不吉なのです。なぜ? と言われても、そういう世界だからとしか言いようがありません。
そのもっとも重要な伝統は、歴代天皇はすべて父親をたどれば天皇に行きつきます。父親が天皇でなければ、その父親、さらに父親とたどりつけば必ず歴代天皇の誰かにたどりつく。これを男系と言いますが、歴代天皇はすべて男系です。天皇になる資格がある人を皇族と言いますが、二千六百年間、皇族全員が男系です。このことを本当に理解すれば、女系天皇、女性宮家などに賛成する人はあまり存在しなくなると考えます。
もともと女性・女系天皇容認論は平成17年、当時の小泉純一郎首相が設置した皇室典範有識者会議が打ち出しました。若年の男性皇族がいなくなっていたためです。
小泉首相もそのため、典範改正を急ぐ姿勢を示していましたが、秋篠宮家に男系男子である悠仁さまが誕生されたことで、立ち消えとなりました。
小泉政権時を振り返ると、当初は国会議員もマスコミも女性・女系天皇の相違や男系継承の歴史などをよく知らずに賛意を示したこともありました。事実関係を知るにつれ、徐々に慎重論や反対論が強まっていきました。
今回の世論調査結果をみると、女性天皇と女系天皇の区別がよくついていない実態が浮き上がりました。こうした理解の浅さや、過去に女性・女系天皇容認論が後退した経緯が忘れられたことも、調査結果に表れているのでしょう。
また、設問によってこれらとは矛盾するような結果も表れています。男系男子の皇族を増やすため、戦後に皇籍離脱した旧宮家の復帰を認めてもよいかとの質問に対しては、「認めてもよい」(42・3%)が「認めない方がよい」(39・6%)を上回りました。
旧宮家をはじめとする男系男子の血統を持つ人々の皇籍復帰や養子縁組案については従来、「長年民間で暮らしていることから国民の理解は得られない」との指摘が有識者や政府、マスコミらから出ていました。ところが、国民意識は必ずしもそうだとはいえません。
もっとも、男系男子の皇籍復帰への賛否は支持政党のカラーが出ており、自民の賛成50・7%(反対35・2%)に対し、立憲は賛成31・3%(反対57・0%)だったのは特徴的でした。
いずれにせよ、男系継承が女性差別をするものでないことなどを多くの人々が理解すれば、男系天皇への理解、宮家復活の道もひらかれのではないかと期待しています。
一般の家庭でも、家系図をたどると、まるで大河の流れのように血筋が脈々と受け継がれていることがわかります。
以前、ある独身女性が家系図をたどり、自分の血筋が脈々と受け継がれていることを知り、自分が独身でいることをあまり気にしなくなったというネット上の記事をみたことがあります。
このこと自体の是非は別にして、確かに血筋は大河の流れのようなものです。その大河においては、中途で誰が早死しようが、独身であったとしても、大河の流れは誰にもとめることはできないのです。この流れをとめる何かがあるとすれば、地球の崩壊以外にありません。
まさに、男系継承も、この大河の流れを活用すべきなのです。そうすれば、男系継承であっても皇統が絶えるということもなくなります。
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