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2020年3月18日水曜日

PCR検査「リスクゼロ信仰」の危険性…簡易検査だと「5割は誤判断」 医療現場は崩壊?イタリアや韓国の轍を踏むな ―【私の論評】ウイルスの特性を知れば、PCR検査の誤判定の率が高さを理解できる(゚д゚)!

PCR検査「リスクゼロ信仰」の危険性…簡易検査だと「5割は誤判断」 医療現場は崩壊?イタリアや韓国の轍を踏むな 
高橋洋一 日本の解き方

PCR検査用機器

 ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長がツイッターで、新型コロナウイルスのPCR検査を100万人分無償提供したいと表明したところ、批判が殺到し、撤回したことが話題となった。

 筆者は「簡易検査だと誤判定50万人になってしまう。カネで100億円寄付した方がいいんじゃないの」とツイートした。

 孫氏に限らず、国民全員にPCR検査をすべきだとの意見が聞かれるが、そこには検査の誤判断リスクが「ゼロ」という前提がある。正式な数字はないため政府関係者もはっきり言わないし、テレビなどでも言及されないのだが、誤判断の確率はだいたい3~5割だ。簡易検査だとこれをさらに上回る。というわけで、筆者は「誤判定50万人」とツイートしたのだ。

 誤判定50万人が出ると再検査が必要になるが、再検査でも誤判定はある。1割としても、まだ5万人の誤判定になる。

 これまでのデータからすると、100万人を無作為に選んだ場合、実際に感染している人はおそらく10人程度であろう。その10人を探すために貴重な医療資源が使われて誤判定が繰り返され、結果として医療現場が崩壊する。来院者の中には本当の感染者もいるので、感染は加速する。それが現実に起きたのがイタリアや韓国だ。

ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長
 全国民にPCR検査をすべきだという人の多くは、誤判断リスクが大きいという事実を知らないのかもしれない。しかし、「リスクゼロであるべきだ」という前提の人もいるようだ。そうした意見を唱えることはありえるが、実際にはリスクゼロはないので、それを前提としてはいけない。

 しかし、事実を伝えると逆ギレし、極端な行動に出る人もいる。原発について、リスクがゼロではないと言うと、「リスクが大きいのなら即時廃止すべきだ」と主張する。豊洲市場でも、「地下水が飲料に適さない(リスクはゼロでない)」というと、「リスクが大きいので豊洲市場廃止、開場延期だ」と騒ぎ立てた。

 原発は短期的なリスクはゼロではないがほぼゼロだ。長期的なリスクは対処するための保険料負担が無視できないので、新設を禁止するのは分かるが、即時廃止は合理的ではない。

 豊洲市場の地下水も飲料には適さないとしても、適切な措置をすれば地上の生活の安全には問題ないという意味で管理できないリスクではないので、開場延期までする必要はなかった。

 いずれもリスクについて、「ゼロでないのなら大きいはずだ」という雰囲気に流されず、定量的に理解していれば判断を間違うこともなかっただろう。

 新型コロナウイルスの全数検査の件でも、誤判定率が3~5割などと具体的に示しておけば、無駄な議論は避けられたはずだ。

 冒頭の孫氏の申し出は、恐らく善意だったのだろう。検査提供にお金を投じるよりも、ワクチンや特効薬の開発に寄付するほうがより社会のためになると筆者は思っていたが、孫氏は検査を撤回した後、「マスク100万枚の寄付」に切り替えたようだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】ウイルスの特性を知れば、PCR検査の誤判定の率が高さを理解できる(゚д゚)!

PCR検査をできるだけ実行すべきと主張する方々は、正しく判定される率が100%かそれに近いと無意識に思われているのではないかと思います。しかし、これは間違いであり、誤判定率が3〜5割もあるのです。

なぜ、そのようなことになるかというと、ウィルスのやっかいな性質によるものです。ウイルスは細菌とは違います。

ウイルスは生物ではなく、遺伝情報が入ったカプセルに過ぎず、それ単体では増えることはありません。つまり人間が簡単に培養することはできません。



それでも、無理やりウイルスを「培養」しようというなら、何らかの細胞にそのウイルスを「感染」させて、その細胞の工場機能を使って増やしてやるしか手がないのです。

「ウイルス」には「遺伝情報」が入っているだけ、DNAやRNAと呼ばれる「核酸」に、自身のたんぱく質合成のレシピが書かれているだけの、生命のかけらに過ぎないのです。

もし何らかのウイルスに感染しているかどうか、調べようとしても、微量であれば私たち人間は、確認することができません。

しかし、これがウィルスでなくて、細菌、雑菌等の「ばい菌」の類であれば、生きているので培養地に植えつけてやれば、カビのように増えてくれるので、検査しやすくなります。

とはいいつつ小さなばい菌で、定かに目で見ることは難しいです。そこで「グラム染色」などの方法によって識別しやすいようにしたうえで、顕微鏡で観察し、同定していきます。

ところが「ウイルス」単体は、遺伝情報の書かれた物質ですから、そのままでは増えません。

精子や卵は生きていますが、それでも受精しなければ育つことはありません。ここから遺伝子だけを取り出してカプセルに入れたような形が、ウイルスの実態に近いのです。

単体では増殖することははなく、何かに寄生しないと増えることができません。

そこで「ウイルス」を増やすために「細菌に風邪をひかせる」ような「細菌を用いたウイルス培養」が行われます。

より正確には、適切に働いてくれる細菌細胞などを見つけてきて、可哀そうですが、その細菌たちにコロナウイルスなどを「接種」して感染させ、そこで増やして、私たち人間が確認できるところまで増殖させる、というような手順が必要になるのです。

ところが、そうした増殖系細菌細胞が見つかっていない、今回のような「新型コロナウイルス」のような場合には、遺伝子そのものを調べなければ、分かりません。

しかし遺伝子は物質の量としては本当に極微量なので、何らかの方法で、私たち人間が巨視的にチェックできるところまで、増やさなければ、調べることはできません。

そのために用いられているのが、最近 マスコミで報道されるようになった、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応法)というものです。

これは、遺伝子そのものを「ポリメライズ」つまりコピーして増やす酵素を使って、直接遺伝情報を読み出してやろうという革命的、画期的な方法です。

実際、発見者のキャリー・マリスは1993年度のノーベル化学賞を受賞しました。

私生活は破天荒とされるキャリー・マリス博士

ここで重要なことは、PCRは「遺伝子」を増やすということです。ウイルスそのものを増殖しているわけではありません。

ということは、適切に消毒され、周囲のボツボツカプセルが壊れた、残骸だけのコロナウイルスの「遺物」が残っているだけでも、それを「PCR」で遺伝子増殖させると、陽性反応が出てしまうことになります。

つまり、検査を受ける本人はウイルスに感染していなくても、そのDNAのかけらが採取され、増幅されてしまったら、検査結果は陽性となってしまうことがあるのです。

「偽陽性」発生の一つのメカニズムがここにあります。

コロナウイルスは「菌」ではなく「ウイルス」であること。ウイルスは単体では増殖ができず、新型コロナのような新参者は、細菌に接種・感染して増殖する方法が確立されていないこと。

そこで遺伝子を直接チェックして、確認同定するため、PCRという遺伝子チェックの方法に頼っているのが現状なのです。

しかし、この検査では、遺伝子だけを見ているので、ウイルスのカプセルが破壊されて、機能していなくても「PCR検査で陽性」と言われてしまうことがあるのです。

わかりやすい例えて言うなら、家の中のダストを分析したら、大昔に死んだおじいさん、おばあさんの毛髪が混ざっていて、そのDNAが検出されるようなものだと思ってください。

遺髪には、すでに生きていない人の遺伝情報だけはしっかり残っています。それを解読したからといって、死んだおじいさんやおばあさんが生き返ってくるわけではありません。

同じような原理的な困難が、PCR検査には伴っているのです。

コロナウイルスPCR検査の感度は、上記のように誤判断の確率はだいたい3~5割です。簡易検査だとこれをさらに上回ります。偽陰性、偽陽性もあり得ます。つまり、軽症や無症状の人に対しても広く検査を行うことは、偽陽性者の絶対数が増えることになり、感染率がいまだ低い状態下では、陽性的中率が低下します。罹患していないのに検査で陽性となる人が増えるのです。

そうすると、これらの人たちは必要ない隔離等を強いられることになります。現在では、陽性者は措置入院になることが多く、すぐに病院のベッドが埋まってしまって、重症者を受け入れられなくなります。そもそも、軽症の人は診断されても治療がありません。いずれは自宅待機になるでしょう。

限られた医療資源を活用するためには、検査前確率の高い濃厚接触のある有症状者や肺炎例に限って検査を行うほうが合理的です。このような考え方は、臨床に携わっている医師や専門医の共通した認識のようです。

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2019年5月14日火曜日

『女系・女性天皇』6割超賛成の危険性… 八木秀次教授、皇統は「男系の血筋を継承すべき」 産経・FNN世論調査―【私の論評】血筋は大河の流れのよう、これを活用すれば皇統は絶えない(゚д゚)!


八木秀次教授

産経新聞社とFNNが11、12両日に実施した合同世論調査で、極めて深刻な結果が出た。「女系天皇」に賛成が64・2%で、「女性天皇」に賛成は78・3%だったのだ。女系天皇の誕生は「皇統の終わり」を意味するものだが、その危険性が明確に理解されていないようなのだ。皇室制度に詳しい麗澤大学の八木秀次教授に聞いた。

 「万世一系とされる皇統は一貫して男系継承で、天皇の正統性の根拠といえる。126代の天皇はこの原理を外れたことはない。皇位継承を、感情論や女性活躍といった次元で論じてはならない」

 八木氏はこう語った。

 まず、「女性天皇」と「女系天皇」はまったく違う。女性天皇は過去に8人10代存在したが、すべて男性の天皇や皇太子の皇女だった女性が即位されたもので、「男系女子」の天皇である。

 一方、女系天皇は、女性天皇と民間出身の夫の間に生まれたお子さま(男女問わず)が即位する場合であり、その時点で男系の皇統は終わる。男系を簡単にいうと、父方だけをさかのぼれば皇室と血のつながりがあることである。

 八木氏は、皇位継承の基本を次のように示す。

 (1)皇統は一貫して男系継承(2)過去の女性天皇は「男系の女子」(3)女性天皇は、次期天皇(男系の男子)が幼少などの理由で中継ぎ役(4)女性天皇のお子さま(女系)が天皇になったケースはない(5)過去の皇統断絶の危機には、別の男系の血筋から天皇となっている(6)皇位は直系継承ではなく、あくまで男系継承である。

 こうした基本を踏まえて、八木氏は総括する。

 「GHQ(連合国軍総司令部)占領下だった1947年、皇籍離脱を余儀なくされた旧11宮家の系統の男子に皇籍に戻ってもらうべきだ。初代天皇以来の男系の血筋を引く家系だ。その男系の男子を、男性の継承者が存在せずに廃絶する可能性がある宮家に『養子』として迎え、宮家を存続できるように皇室典範を改正するのも一案だ。いずれにせよ、万策尽きるまで、男系継承の道を探るべきだ」

【私の論評】血筋は大河の流れのよう、これを活用すれば皇統は絶えない(゚д゚)!

多くの人々は、女系天皇、女性天皇、男系女性天皇などの区別がついていないのではないかと思います。ましてや、126代の天皇はこの男系継承の原理を一度も外れたことはないということも知らないのではないでしょうか。

実際、産経新聞社とFNNが11、12両日に実施した合同世論調査においても、女性天皇と女系天皇の違いに関しては「理解していない」との回答が過半数で、問題の所在はまだ国民に十分周知されていません。このときに行われた、自民党支持層の皇室に関する回答があります。その結果を以下にグラフで掲載します。


このグラフからみても、女性天皇と女系天皇の違いを理解している人は少ないです。私自身としては、「ある程度理解している」という35.3%にしても、本当は良くは理解していないのではないかと思います。

男系天皇に関しては、このブログでも以前解説したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【新元号】安定的な皇位継承の確保を検討 男系継承を慎重に模索―【私の論評】なぜ皇位は男系によって継承されなければならないのか?


詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に確信部分をあげておきます。
皇室が民間の男性を皇族にしたことは、かつて只の一度の例もありません。男系継承とは、女性を締め出す制度ではなく、むしろ男性を締め出す制度なのです。民間の女性は皇族との結婚で皇族となる可能性がありますが、民間の男性が皇族になる可能性はありません。 
皇室の歴史は、『古事記』『日本書紀』の神話にさかのぼります。初代天皇神武天皇の伝説にさかのぼれば、皇室は公称二千六百年の歴史を誇ります。なぜそれほど皇室は続いてきたのか。神話や伝説の時代から変わらぬ伝統を保持してきたからです。 
だから皇室では、先例が吉、新儀は不吉なのです。なぜ? と言われても、そういう世界だからとしか言いようがありません。 
そのもっとも重要な伝統は、歴代天皇はすべて父親をたどれば天皇に行きつきます。父親が天皇でなければ、その父親、さらに父親とたどりつけば必ず歴代天皇の誰かにたどりつく。これを男系と言いますが、歴代天皇はすべて男系です。天皇になる資格がある人を皇族と言いますが、二千六百年間、皇族全員が男系です。
このことを本当に理解すれば、女系天皇、女性宮家などに賛成する人はあまり存在しなくなると考えます。

もともと女性・女系天皇容認論は平成17年、当時の小泉純一郎首相が設置した皇室典範有識者会議が打ち出しました。若年の男性皇族がいなくなっていたためです。

小泉首相もそのため、典範改正を急ぐ姿勢を示していましたが、秋篠宮家に男系男子である悠仁さまが誕生されたことで、立ち消えとなりました。

小泉政権時を振り返ると、当初は国会議員もマスコミも女性・女系天皇の相違や男系継承の歴史などをよく知らずに賛意を示したこともありました。事実関係を知るにつれ、徐々に慎重論や反対論が強まっていきました。

今回の世論調査結果をみると、女性天皇と女系天皇の区別がよくついていない実態が浮き上がりました。こうした理解の浅さや、過去に女性・女系天皇容認論が後退した経緯が忘れられたことも、調査結果に表れているのでしょう。

また、設問によってこれらとは矛盾するような結果も表れています。男系男子の皇族を増やすため、戦後に皇籍離脱した旧宮家の復帰を認めてもよいかとの質問に対しては、「認めてもよい」(42・3%)が「認めない方がよい」(39・6%)を上回りました。

旧宮家をはじめとする男系男子の血統を持つ人々の皇籍復帰や養子縁組案については従来、「長年民間で暮らしていることから国民の理解は得られない」との指摘が有識者や政府、マスコミらから出ていました。ところが、国民意識は必ずしもそうだとはいえません。

もっとも、男系男子の皇籍復帰への賛否は支持政党のカラーが出ており、自民の賛成50・7%(反対35・2%)に対し、立憲は賛成31・3%(反対57・0%)だったのは特徴的でした。


いずれにせよ、男系継承が女性差別をするものでないことなどを多くの人々が理解すれば、男系天皇への理解、宮家復活の道もひらかれのではないかと期待しています。

一般の家庭でも、家系図をたどると、まるで大河の流れのように血筋が脈々と受け継がれていることがわかります。

以前、ある独身女性が家系図をたどり、自分の血筋が脈々と受け継がれていることを知り、自分が独身でいることをあまり気にしなくなったというネット上の記事をみたことがあります。

このこと自体の是非は別にして、確かに血筋は大河の流れのようなものです。その大河においては、中途で誰が早死しようが、独身であったとしても、大河の流れは誰にもとめることはできないのです。この流れをとめる何かがあるとすれば、地球の崩壊以外にありません。

まさに、男系継承も、この大河の流れを活用すべきなのです。そうすれば、男系継承であっても皇統が絶えるということもなくなります。

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