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2018年8月30日木曜日

「真珠湾攻撃忘れないぞ」トランプ米大統領、安倍首相に圧力―【私の論評】日本のメディアは米国保守派の歴史観の変貌に無知(゚д゚)!


会談で握手する安倍首相(左)とトランプ米大統領=6月、ワシントンのホワイトハウス

米紙ワシントン・ポスト電子版は28日、トランプ大統領が6月にホワイトハウスで安倍晋三首相と会談した際「(第2次大戦の)真珠湾攻撃を忘れないぞ」と前置きした上で、難航している通商問題の協議を始めたと伝えた。異例の発言の背景には、対日貿易赤字の削減を目指し圧力を強める狙いがありそうだ。

米国では真珠湾攻撃は「卑劣なだまし討ち」との見方が強い。日本側の弱みと見なしてトランプ氏が通商交渉で譲歩を引き出すために、あえて日米首脳会談で触れた可能性がある。

同紙によると、トランプ氏は真珠湾攻撃に言及した後、米国の対日貿易赤字について激しく非難し、安倍氏に対し牛肉や自動車の対日輸出で米国に有利になるような2国間貿易協定の交渉に応じるよう促した。

これに対し安倍氏は、トランプ氏の発言が終わるのを待った上で反論。日本政府当局者は「首相は大統領の主張を断定的に否定すれば、プライドを傷つけてしまうと分かっている」と説明した。(共同)

【私の論評】日本のメディアは、米国保守派の歴史観の変貌に無知(゚д゚)!

時事通信や共同通信、新聞各紙が、トランプ大統領が「真珠湾攻撃を忘れていないと発言し、通商交渉で厳しい姿勢を示した」とし、「揺らぐ日米蜜月」などと報じています。

この「パールハーバー発言」は、そもそもアメリカの新聞「ワシントン・ポスト」が、トランプ大統領が安倍首相に対して、「真珠湾攻撃はひきょうだった」と非難する、「アイ・リメンバー・パールハーバー」、つまり、「真珠湾攻撃を忘れないぞ」という言葉を使って、通商問題で譲歩を迫ったと報じたことが始まりでした。しかし、各紙はしっかりと総理周辺などに取材したのでしょうか。

日本軍による真珠湾攻撃

トランプ大統領は、真珠湾攻撃ではないものの先の大戦に関しこれまでも同様の発言を繰り返し、防衛費増について話を日本側に振っています。

すなわち防衛装備品の購入増につながるわけで、それをアメリカも狙っているわけですが、アメリカの新聞の引用ではなく、しっかりと取材をし記事を書いて欲しいものです。

一方多少まともに報道しているところもあります。これは、FNNの取材でわかったことですが、6月にアメリカで行われた日米首脳会談において、トランプ大統領は確かに「アメリカが日本の防衛費を負担して、対日貿易赤字も解消されなければ、ダブルパンチになる」と不満を表明しました。

そのうえで、「真珠湾攻撃を忘れていない。日本も昔はもっと戦っていただろう。日本も周辺国ともっと戦うべきだ」と述べたのです。

この発言は、「日本が自国の防衛を強化して、アメリカの防衛費の負担を減らすべきだ」と、暗に求めたとみられます。

関係筋などによると、この時トランプ大統領は、「日本はかつて真珠湾を攻撃したほどの軍事強国であったじゃないか」と言う意味で述べたもののようです。

日本は「防衛費をもっと増やすべきだ」という意味で発言したもので、通商問題で日本を非難する意味ではなかったとしています。

また、トランプ大統領は、「パールハーバー」と発言したものの、「あのひきょうな攻撃を忘れないぞ」という批判的な意味、言い方はしていないとのことです。

外交上、際どい言葉は、異なる解釈を生み出すケースがあるため、そうした言葉が波紋を生んだケースだといえそうです。

また、メディアとの関係もあります。トランプ大統領に対して批判的な米リベラル・メディアは、そういうふうに報道したというベースがあるとも忘れてはいけないです

このブログでも何度か述べたように、米国のメデイアはほとんどがリベラルです。その中で、特に大手新聞はすべてがリベラルです。米国のメディアのリベラル対保守を比率でいうと、代替9対1の割合です。

そのため、保守派が何かをいっても、ほとんどがリベラルメディアによってかき消されてしまうというのが現状です。そのため、私達日本人などは、リベラルメディアによる報道のみに接しているため、米国の半分のリベラルの見方や考え方にせっしているわけです。

ところが、トランプ大統領が誕生したことでもわかるように、実は米国にも当然のことながら、保守派も存在するわけです。少なくとも、米国の人口の半分くらいは存在するはずです。でなければ、トランプ大統領など誕生する余地もなかったはずです。

メディアを批判するトランプ大統領

結果として、私達日本人は米国のリベラルのことはみていても、後半分の保守層のことは全く見ていないということになります。

そうして、日本のメディアは米国のリベラルメデイアの報道する内容をそのまま報道することが多いので、いつまでたっても、日本ではアメリカの半分である保守の言っていることや考えていることがわからないままなのです。

だからこそ、ブログ冒頭の記事のような報道がなされてしまうことが良くあるのです。

そうして、このトランプ氏を含めた保守派の「真珠湾」という言葉の意味は、従来とは明らかに変わっています。それについては、以前このブログに掲載したことがあります。そのブログのリンクを以下に掲載します。
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米国のドナルド・トランプ大統領(左)と中国の習近平国家主席(2017年11月9日)

この記事は、2017年12月27日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事には動画が掲載してあり、その動画ではトランプ大統領のいう「真珠湾忘れるな」の意味について説明しています。

以下にその動画と、記事の一部を引用します。




この動画では、米国では多様な歴史の見方があることを語っています。たとえば、日本のパールハーバー攻撃を卑怯なだまし討とみるのではない見方もあることを語っています。 
1941年12月7日(現地時間)、日本軍が真珠湾攻撃をした当時、アメリカのルーズヴェルト民主党政権は「卑怯な騙し討ち」と非難しました。日米両国が懸命な戦争を避けるための外交交渉をしていたのに、日本がいきなり真珠湾を攻撃してきたという見方です。 
しかし、日米交渉の経緯について知られるようになるにつれ、日米交渉を潰したのは、ルーズヴェルト民主党政権側であったことが知られるようになっていきました。 
先の戦争は決して日本の侵略戦争などではなかったにもかかわらず、アメリカのトルーマン民主党政権は東京裁判を行い、日本の指導者を侵略者として処刑しました。このことは、公正と正義を重んじたアメリカ建国の祖、ワシントンやリンカーンの精神を裏切る行為です。 
これまで戦争責任といえば、必ず日本の戦争責任を追及することでした。過去の問題で批判されるのは常に日本であって、過去の日本の行動を非難することがあたかも正義であるかのような観念に大半の日本人が支配されてしまっています。しかし、どうして戦争責任を追及されるのは常に日本側なのでしょうか。 
敗戦後の日本人が、「戦争に負けたのだから」と連合国側による裁きを甘受したのは仕方のないことだったかもしれません。しかし、歴史の真実は勝者の言い分にのみ存するのではないはずです。 
上の動画をみてもわかるように、米国では真珠湾攻撃は日米両国がそれぞれの国益を追求した結果起こったものであるとして、日本を「侵略国」であると決めつけた「日本悪玉史観」は事実上、見直されているのです。

この「日本悪玉観」を見直しているのは、あくまで米国の保守派であって、リベラル派の多くは未だに「日本悪玉観」で歴史をみています。

米国のリベラル派は、おそらく米国の人口の半分はいるとみられる保守層の「歴史観」の変貌にきづいているでしょう。かなりの脅威を感じているに違いありません。

トランプ氏の歴史観も当然ながら、「日本悪玉観」ではないので、当然のことながら、安倍総理に「真珠湾を忘れない」と語ったのも、 無論「卑怯な騙し討ち」を意味するものではないのです。

このような事実を知っていれば、日本の新聞も誤った報道をしないですんだかもしれません。

その意味では、今回の出来事は、日本のマスコミが米国の主に保守派においては、歴史観が変わって単純な「日本安悪玉観」は通用しなくなっていることに関して無知であることを露呈したともいえると思います。

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