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2020年8月1日土曜日

大事なのは重症者の数、東京都は減少している=コロナ感染拡大で官房長官— 【私の論評】大量のPCR検査をせよという人は、無知か、嘘つきか、PCR検査によってお金を儲けたいだけの人!(◎_◎;)

大事なのは重症者の数、東京都は減少している=コロナ感染拡大で官房長官





菅義偉官房長官は31日午後の記者会見で、東京都で同日に確認された新型コロナウイルスの感染者数が463人と過去最多になったが、大事なのは重症者の数であり、東京都の重症者数は前日比6人減少の16人にとどまっているとの見解を示した。

菅官房長官は、東京都の重症数がかつては105人まで増加していたことも指摘。4月に緊急事態宣言を出した時とは状況が違うとの見解を重ねて示した。

一方、米国やドイツの2020年4─6月期の国内総生産(GDP)が大幅なマイナス成長となり、リーマン・ショック後の落ち込みを上回る規模の打撃を受けていることについて、菅官房長官は「(日本政府としても)リーマン・ショックよりも(落ち込みは)大きいとの認識は同じである」と指摘。大規模な2020年度1次、2次補正予算を編成したと説明した。

また、自民党が同日、ミサイル防衛に関して敵基地攻撃能力の保有を含む提言案をまとめ、8月上旬にも政府に申し入れることになったことに対して菅官房長官は、憲法の枠内や専守防衛の考え方の下で「与党の議論を受け止め、しっかりと議論していきたい」と述べた。

【私の論評】大量のPCR検査をせよという人は、無知か、嘘つきか、PCR検査によってお金を儲けたいだけの人!(◎_◎;)

こういう場合には、まずは客観的数字を見ることが重要だと思います。そこで、以下に東京都のサイトよりグラフを引用します。


死者数は昨日までの累計で332名でした。死者数は特に増えていることもないようです。なお、死者数は、グラフにはされていないようです。これは、グラフにしても意味がないほど、死者数が少ないことを意味していると思います。

死者数がグラフにできるほど増えてきたとすれば、これはかなり大変で、それこそ米国や欧州の状態に近づいたとも言えるかもしれません。

重傷者数がかなり増えた場合も、かなり危険と考えられますが、これも6月の頃とほとんど変わっていません。

まあ、これで心配ないから、気を緩めても良いとは言いませんが、恐怖に駆られる必要はないとはいえそうです。

少し前まで、最近まはPCR検査をどんどん実施すべきだという論者も出てきましたが、これは大いに疑問です。

マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏は、米国内で実施されている新型コロナウイルスのPCR検査について、結果判明までに時間がかかりすぎるとし、「全くの無駄」だと批判しました。複数の米メディアのインタビューで語りました。

CNNテレビが当局者の話として伝えたところによると、米国内のPCR検査の約半数を担う民間の試験所では、結果判明までに平均4・27日かかるといいます。

感染者はこの間に感染を広げる恐れがあるため、ゲイツ氏は「感染者が行動を変えるよう、もっと結果通知を急がなければならない」と語りました。結果判明まで48時間以上かかる検査にはコストをかけるべきではないとも主張しました。

ゲイツ氏は妻と設立した慈善基金団体を通じ、ワクチンの開発支援や途上国への支給など、世界の感染症対策に力を入れています。

私も現状では、そうだと思います。さらに、この検査が短時間でできるようになったとしても、まだ不安定な部分があります。これについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを掲載します。
PCR検査「リスクゼロ信仰」の危険性…簡易検査だと「5割は誤判断」 医療現場は崩壊?イタリアや韓国の轍を踏むな ―【私の論評】ウイルスの特性を知れば、PCR検査の誤判定の率が高さを理解できる(゚д゚)!


詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
コロナウイルスは「菌」ではなく「ウイルス」であること。ウイルスは単体では増殖ができず、新型コロナのような新参者は、細菌に接種・感染して増殖する方法が確立されていないこと。 
そこで遺伝子を直接チェックして、確認同定するため、PCRという遺伝子チェックの方法に頼っているのが現状なのです。 
しかし、この検査では、遺伝子だけを見ているので、ウイルスのカプセルが破壊されて、機能していなくても「PCR検査で陽性」と言われてしまうことがあるのです。 
わかりやすい例えて言うなら、家の中のダストを分析したら、大昔に死んだおじいさん、おばあさんの毛髪が混ざっていて、そのDNAが検出されるようなものだと思ってください。 
遺髪には、すでに生きていない人の遺伝情報だけはしっかり残っています。それを解読したからといって、死んだおじいさんやおばあさんが生き返ってくるわけではありません。 
同じような原理的な困難が、PCR検査には伴っているのです。

コロナウイルスPCR検査の感度は、上記のように誤判断の確率はだいたい3~5割です。簡易検査だとこれをさらに上回ります。偽陰性、偽陽性もあり得ます。つまり、軽症や無症状の人に対しても広く検査を行うことは、偽陽性者の絶対数が増えることになり、感染率がいまだ低い状態下では、陽性的中率が低下します。罹患していないのに検査で陽性となる人が増えるのです。
コロナウイルスPCR検査の誤判断の確率はだいたい3〜5割です。ということは、仮にどんなに正確無比に判定できる機器が登場したとしても、正しく判断できる確率は7割ということです。

私は、現在の感染者の中には、偽陽性の人も大勢いると思います。まずは、偽陽性が増えているのか否か調査する必要があると思います。仮に、偽陽性が増えているとしたら、PCR検査を増やしたということもありますが、ただ、無論それだけではないと考えられますので、いずれ調査すべきとは思います。ただし、直近ではそのようなことに力を入れるよりは、重傷者が増えることを予想して、医療体制を整えるのが先決だと思います。

現在、コロナウィルスの変異の情報が蓄積されつつあります。中国などとは異なり、日本のように検体をきちんと保存したり報告したりする国では、後にかなり正確にウイルスの伝播の状況や、それに対する様々な対策がかなり、正確に追跡できるようになっています。後に分析すれば、かなりのことがわかるはずです。

それに、PCR検査は、検査であって治療ではないのです。検査をしても、検査結果が分かるまでの間に、陽性だったとしたら、他の人にうつすかもしれないですし、陰性だったにしても、他の人からうつされるかもしれないです。検査をするために多くの人が集まるところに行くことは、こうしたリスクを増やすことにもなります。

であれば、PCR検査はよりその可能性が高いと思われる人に実施し、そうでない人にはむやみやたらと実施すべきではないということが言えると思います。

中国武漢でのPCR検査
むやみやたらと、PCR検査をするくらいなら、疑いのある人にCT検査などをして、肺炎があるとわかった人には、PCR検査とともに治療を始めるというのが正しいあり方だと思います。

肺炎の治療は、コロナ肺炎だろうとなかろうと似たようなところがありますし、検査して陽性でコロナ肺炎が濃厚ということになれば、コロナ肺炎治療に切り替えれば良いのです。

このようなことをしないで、とにかくまずは、大量のPCR検査を行うというのは、第一波のときは間違いであ つたことは明らかになりましたし、今回の感染者数の増加が第二波と言えるかどうかは、わかりませんが前後の脈絡なく大量のPCR検査を行うというのは間違いと言わざるを得ません。

とにかく大量のPCR検査をせよという人は、無知なのか、嘘つきか、PCR検査によってお金を儲けたいだけの人だと思います。

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2018年11月25日日曜日

台湾、選挙で与党敗北 習近平指導部は圧力路線に自信―【私の論評】大敗の要因は、大陸中国の暗躍だけでなく蔡総統がマクロ経済対策に無知・無関心だったこと(゚д゚)!


台湾地方統一戦を終え記者の質問に答える蔡英文総統=24日,新北市

台湾の統一地方選で与党・民主進歩党が敗北したことで、中国の習近平指導部は「一つの中国」原則を認めない蔡英文政権に軍事・外交圧力をかけ続ける強硬路線への自信を深め、さらに攻勢に出る可能性がある。

 「だれが県・市長になろうとも大陸(中国)の政策と決意を変えることはできない。しっかり選ぶがいい」。中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は投票当日24日付の社説で結果に無関心を装ってみせた。

ただ実際は、習指導部にとって台湾世論への宣伝工作は最重要課題の一つであり、当面の狙いは2020年の総統選での民進党政権の下野だ。そのために「アメとムチ」を駆使し、統一圧力を強めてきた。

 16年の蔡政権発足後、中国当局は一貫して対話を拒否。台湾と外交関係があったパナマやドミニカ共和国など5カ国と国交を結び、「断交ドミノ」で孤立感を強めさせた。台湾周辺海域で演習を活発化し軍事圧力をかける一方、中国で生活する台湾人に修学や就職、生活面で便宜を図る31項目の優遇措置を公表し、世論に揺さぶりをかけてきた。

 中国の世論工作部隊が地方選に介入しているとの民進党の主張に対し、中国側は「何の具体的な証拠もない」(環球時報)と反論。ただ米国の対台湾窓口機関、米国在台湾協会のモリアーティ会長は、中台が同じ言語を使っているため「台湾はフェイクニュースによる被害が最も著しい」と現地メディアに語った。

 台湾への接近を強めるトランプ米政権の出方も中国は注視している。北京の政治研究者は「経済の下押し圧力が強まり対米関係も不透明な中で、台湾政策は当面慎重にならざるをえない」と指摘する。一方、今月末に始まる20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせた米中首脳会談の後に、台湾政策の変化が表れる可能性にも言及した。

【私の論評】大敗の要因は、大陸中国の暗躍だけでなく蔡総統がマクロ経済対策に無知・無関心だったこと(゚д゚)!

今回の台湾の統一地方選で与党・民主進歩党が敗北したことについて、多くのメディアや、識者が中国の暗躍について述べています。それは上の記事にも掲載されています。

私も当然のことながら、今回の選挙に関連して、大陸中国の暗躍はあったものと思います。ただし、敗因のすべてが大陸中国の暗躍によるものという考えには賛同できません。

今回の敗北には、もう1つの大きな要因があります。それについては、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
統一選前に台湾で政治不信増大 中国共産党もアプローチに困惑―【私の論評】台湾に限らず、日本も含めてアジアの政治家はマクロ経済政策を疎かにすべきではない(゚д゚)!
民主進歩党(左)のシンボル・カラーは緑、国民党(右)のそれは青
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事は9月のものであり、この時点での台湾などの正当支持率などに関する部分を以下に引用します。

 日本では、台湾の選挙といえば、緑か青のどちらが勝ったかで、台湾の人々の対中国観をはかろうとするのだが、対外政策が選挙の中心に来るケースは極めて稀で、実際はそうではないことの方が多い。 
 では、人々は何を気にしているのかといえば、当然のこと自分たちの生活の改善である。 
 その意味で蔡英文総統が誕生した当初には、民進党政権に大きな期待が寄せられた。 
 だが、結果的に民進党は人々の期待に応えられなかったといってもよいだろう。
 そのことは各種の世論調査に顕著だが、その一つ、台湾民意基金会の調査結果によれば、7月の政党支持率は、民進党が25・2%、国民党が20・7%だった。
 2016年に行われた同じ調査では、民進党への支持が51・6%であったことを考慮すれば、緑に対する失望の大きさは明らかと言わざるを得ない。 
 ちなみに国民党の支持率は18・9%だったので、2ポイント程度伸びた計算になるが、民進党が失った支持を取り込めたとはとても言えないのが現実である。 
 緑と青に代わって拡大したのは無党派で、49・6%となった。 
 焦った民進党は選挙を前に慌てて基本月給や時給を引き上げる政策を打ち出したが、効果を期待する声は少ない。 
 台湾住民の貯蓄率はずっと下降傾向にあるが、昨年は過去5年間で最低になるなど、家計の厳しさを示す数字は枚挙に暇がない。

台湾の個人消費の伸び率

 だが、繰り返しになるが国民党にも決め手がない。かねてから指摘される人材不足と内紛で満身創痍状態だからだ。 
 興味深いのはこうした台湾の状況に中国共産党も戸惑っていることだ。 
 かつて民進党の支持基盤の南部の農家から果物を“爆買い”して揺さぶりをかけたり、観光客を制限して蔡政権のプレッシャーをかけてきたが、いまは何処に向けて何を発して良いのか分からなくなっているという。

この中で、「人々は何を気にしているのかといえば、当然のこと自分たちの生活の改善である」としていますが、これはどの国も当然のことです。多くの国の国民の最大の関心事は自分たちの暮らしぶりが良くなっているか、悪くなっているかです。

国益や、安全保障などはどうしても二の次になります。それは、当然といえば、当然です。自分たちの暮らし向きが少なくとも悪くなっていない状態であれば、台湾の国民も安全保障などに関心を持ったかもしれません。

そうして、自分たちの暮らし向きをどうはかるかといえば、経済の状況です。その中ではも、経済成長であり雇用です。特に雇用は重要です。これらは、政府のマクロ経済政策である、財政政策と中央銀行の金融政策に大きく左右されます。

このブログ記事では、蔡英文総統のマクロ経済政策についても述べています。その部分を以下に引用します。

では、蔡英文総統の経済政策とはどのようなものなのでしょうか。以下にこの記事から引用します。
蔡政権の経済政策として特徴的なのは、「新南向政策」です。これは、蔡総統就任後の2016年に打ち立てられた政策で、経済発展が著しいASEAN10ヵ国、南アジア6ヵ国、オーストラリアとニュージーランド、計18ヵ国との関係を強化し、台湾の経済発展を目指すといった政策です。この政策では、下記4つの軸を主軸として、経済成長を目指すとしています。  
(1)経済貿易協力
(2)人材交流
(3)資源の共有
(4)地域の連携


しかし、これは経済政策といえるのでしょうか。これは、どちらかというと、外交政策のようなものです。

それ以前に、国民の暮らし向きを良くするというのならは、まずは雇用を良くすため、金融緩和政策を実行すべきです。さらに、経済成長を促すというのなら、積極財政を実施すべきです。

私自身は、台湾経済について熟知しているわけではないので、詳しいことは言えませんが、それにしても、国民の暮らしぶりを良くするというのなら、まずは金融緩和と積極財政をするべきであるのは間違いないと思います。

ただし、積極財政と一言でいっても、減税、給付金、公共工事など様々な方法があります。さらには、主に実行してから効果があるまでのラグとの兼ね合いで、金融緩和策との組み合わせは様々なものがあります。

その時々での、経済・雇用の状況と、政府や中央銀行の能力との兼ね合いでベストな方法と期間と、組み合わせを考えて、政府が財政・金融政策の目標と期間を設定すべきです。

無論その目標に従い、台湾の財政部(日本の財務省に相当)、中華国民中央銀行(日本の日本銀行に相当)が専門家的な立場から、方法を選定し実行することになります。

蔡英文総統は、それ公表して、実際に実行して、その結果を国民に判断してもらうということを実行していないようです。おそらく、マクロ経済政策は、財政部、中華国民中央銀行まかせになっているのでしょう。

大胆なマクロ政策を実行するためには、やはり政府が目標を定め、それを実行させるということでなければ、官僚はどこの国でも、保守的・保身的ですから、なかなかまともなマクロ経済政策はできません。

通常は、このようなマクロ政策が根底にあり、さらに外交政策があるというのが当たり前なのですが、蔡英文総統は、経済政策として外交政策のようなものしか公表していません。

これでは、経済の舵とりがうまくいくはずはありません。その結果として、国民の暮らしぶりをどの面でも良くすることはできず、結局多くの国民の支持を失うとともに、そこに大陸中国の暗躍も相まって、今回の選挙で大敗したのだと考えられます。

どうも、アジアの国々のリーダーはマクロ経済に疎いようです。その中でも、台湾の蔡英文総統や、韓国の文在寅大統領などの左派は疎いようです。


雇用を激減させた文在寅大統領

文在寅大統領は、金融緩和をせずに最低賃金だけ上げるという愚策中の愚策を実行し、その結果雇用が激減して韓国はとんでもないことになっています。ちなみに、これは立憲民主党の枝野氏の主張する経済対策と同じです。

そのため、文在寅大統領の支持率は9月に初めて、50%を切りました。






今後文在寅大統領が、まともなマクロ経済対策を打ち出し、実際に雇用を改善したり、経済成長を達成することがなければ、支持率はますます下がっていくことでしょう。

デフレから完璧に脱却したとは言い難い日本においては、安倍政権が今のところ、来年10月から消費税を10%にあげるとしています。消費税を上げるというのは、マクロ財政政策の中の緊縮財政の一手法です。あげてしまえば、個人消費がかなり落ち込み、また経済が落ち込むのは目に見えています。

おそらく、予定通りにあげた場合、今回蔡英文政権のように、国民の支持を失い、最初は地方選挙で負けて、その後は国政選挙でも負けて、安倍政権はレイムダックになってしまうことでしょう。その結果、安倍総理は憲法改正に取り組む機会を失ってしまうでしょう。

そんな事態に陥ることを安倍総理が望んでいるはずもなく、私はおそらく、安倍総理は来年は増税凍結もしくは見送りを公約として、衆参同時選挙を実行するのではないかと期待しています。

さて、台湾ですが、日本としては台湾が大陸中国に飲み込まれることは避けたいところです。であれば、蔡英文総統は、今からでも遅くはないので、まともなマクロ経済対策を熟考して、実行して、国民に実際に雇用や経済がかなり良くなり、暮らし向きが良くなりつつあるところをみてもらうようにすべきです。

そのような政策を打ち出せば、市場が好感して、まずは台湾の株価が上がりはじめることでしょう。その後雇用や経済がよくなれば、国民の支持率が上がってくるはずです。日本でも、まさに、安倍氏がアベノミクスを打ち出すと、安倍氏が総理になる前から、株価が上がり始めました。そうして、その後支持率も上下はあったものの、落ちてはいません。

台湾が、大陸中国に飲み込まれることを良しとしない日米は、台湾にマクロ経済対策の方法をアドバイスし、さらに経済対策に資金が足りないというのであれば、それも支援しても良いではないかと思います。

とにかく、蔡英文総統は一刻もはやく、金融緩和策、積極財政策を打ち出し、台湾経済を良くすべきです。そのようにして、実際に経済が上向けば、国政選挙では敗北することなく、いずれ地方統一戦で勝利できるようになるでしょう。

何より、トランプ政権のように雇用を劇的に改善し、経済成長することができれば、人々の暮らしぶりも良くなり、大陸中国への魅力も消え失せ、台湾の独立を保つことができます。

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2018年8月30日木曜日

「真珠湾攻撃忘れないぞ」トランプ米大統領、安倍首相に圧力―【私の論評】日本のメディアは米国保守派の歴史観の変貌に無知(゚д゚)!


会談で握手する安倍首相(左)とトランプ米大統領=6月、ワシントンのホワイトハウス

米紙ワシントン・ポスト電子版は28日、トランプ大統領が6月にホワイトハウスで安倍晋三首相と会談した際「(第2次大戦の)真珠湾攻撃を忘れないぞ」と前置きした上で、難航している通商問題の協議を始めたと伝えた。異例の発言の背景には、対日貿易赤字の削減を目指し圧力を強める狙いがありそうだ。

米国では真珠湾攻撃は「卑劣なだまし討ち」との見方が強い。日本側の弱みと見なしてトランプ氏が通商交渉で譲歩を引き出すために、あえて日米首脳会談で触れた可能性がある。

同紙によると、トランプ氏は真珠湾攻撃に言及した後、米国の対日貿易赤字について激しく非難し、安倍氏に対し牛肉や自動車の対日輸出で米国に有利になるような2国間貿易協定の交渉に応じるよう促した。

これに対し安倍氏は、トランプ氏の発言が終わるのを待った上で反論。日本政府当局者は「首相は大統領の主張を断定的に否定すれば、プライドを傷つけてしまうと分かっている」と説明した。(共同)

【私の論評】日本のメディアは、米国保守派の歴史観の変貌に無知(゚д゚)!

時事通信や共同通信、新聞各紙が、トランプ大統領が「真珠湾攻撃を忘れていないと発言し、通商交渉で厳しい姿勢を示した」とし、「揺らぐ日米蜜月」などと報じています。

この「パールハーバー発言」は、そもそもアメリカの新聞「ワシントン・ポスト」が、トランプ大統領が安倍首相に対して、「真珠湾攻撃はひきょうだった」と非難する、「アイ・リメンバー・パールハーバー」、つまり、「真珠湾攻撃を忘れないぞ」という言葉を使って、通商問題で譲歩を迫ったと報じたことが始まりでした。しかし、各紙はしっかりと総理周辺などに取材したのでしょうか。

日本軍による真珠湾攻撃

トランプ大統領は、真珠湾攻撃ではないものの先の大戦に関しこれまでも同様の発言を繰り返し、防衛費増について話を日本側に振っています。

すなわち防衛装備品の購入増につながるわけで、それをアメリカも狙っているわけですが、アメリカの新聞の引用ではなく、しっかりと取材をし記事を書いて欲しいものです。

一方多少まともに報道しているところもあります。これは、FNNの取材でわかったことですが、6月にアメリカで行われた日米首脳会談において、トランプ大統領は確かに「アメリカが日本の防衛費を負担して、対日貿易赤字も解消されなければ、ダブルパンチになる」と不満を表明しました。

そのうえで、「真珠湾攻撃を忘れていない。日本も昔はもっと戦っていただろう。日本も周辺国ともっと戦うべきだ」と述べたのです。

この発言は、「日本が自国の防衛を強化して、アメリカの防衛費の負担を減らすべきだ」と、暗に求めたとみられます。

関係筋などによると、この時トランプ大統領は、「日本はかつて真珠湾を攻撃したほどの軍事強国であったじゃないか」と言う意味で述べたもののようです。

日本は「防衛費をもっと増やすべきだ」という意味で発言したもので、通商問題で日本を非難する意味ではなかったとしています。

また、トランプ大統領は、「パールハーバー」と発言したものの、「あのひきょうな攻撃を忘れないぞ」という批判的な意味、言い方はしていないとのことです。

外交上、際どい言葉は、異なる解釈を生み出すケースがあるため、そうした言葉が波紋を生んだケースだといえそうです。

また、メディアとの関係もあります。トランプ大統領に対して批判的な米リベラル・メディアは、そういうふうに報道したというベースがあるとも忘れてはいけないです

このブログでも何度か述べたように、米国のメデイアはほとんどがリベラルです。その中で、特に大手新聞はすべてがリベラルです。米国のメディアのリベラル対保守を比率でいうと、代替9対1の割合です。

そのため、保守派が何かをいっても、ほとんどがリベラルメディアによってかき消されてしまうというのが現状です。そのため、私達日本人などは、リベラルメディアによる報道のみに接しているため、米国の半分のリベラルの見方や考え方にせっしているわけです。

ところが、トランプ大統領が誕生したことでもわかるように、実は米国にも当然のことながら、保守派も存在するわけです。少なくとも、米国の人口の半分くらいは存在するはずです。でなければ、トランプ大統領など誕生する余地もなかったはずです。

メディアを批判するトランプ大統領

結果として、私達日本人は米国のリベラルのことはみていても、後半分の保守層のことは全く見ていないということになります。

そうして、日本のメディアは米国のリベラルメデイアの報道する内容をそのまま報道することが多いので、いつまでたっても、日本ではアメリカの半分である保守の言っていることや考えていることがわからないままなのです。

だからこそ、ブログ冒頭の記事のような報道がなされてしまうことが良くあるのです。

そうして、このトランプ氏を含めた保守派の「真珠湾」という言葉の意味は、従来とは明らかに変わっています。それについては、以前このブログに掲載したことがあります。そのブログのリンクを以下に掲載します。
やはり「中国と対決」の道を選んだトランプ政権―【私の論評】背景には米国内での歴史の見直しが(゚д゚)!
米国のドナルド・トランプ大統領(左)と中国の習近平国家主席(2017年11月9日)

この記事は、2017年12月27日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事には動画が掲載してあり、その動画ではトランプ大統領のいう「真珠湾忘れるな」の意味について説明しています。

以下にその動画と、記事の一部を引用します。




この動画では、米国では多様な歴史の見方があることを語っています。たとえば、日本のパールハーバー攻撃を卑怯なだまし討とみるのではない見方もあることを語っています。 
1941年12月7日(現地時間)、日本軍が真珠湾攻撃をした当時、アメリカのルーズヴェルト民主党政権は「卑怯な騙し討ち」と非難しました。日米両国が懸命な戦争を避けるための外交交渉をしていたのに、日本がいきなり真珠湾を攻撃してきたという見方です。 
しかし、日米交渉の経緯について知られるようになるにつれ、日米交渉を潰したのは、ルーズヴェルト民主党政権側であったことが知られるようになっていきました。 
先の戦争は決して日本の侵略戦争などではなかったにもかかわらず、アメリカのトルーマン民主党政権は東京裁判を行い、日本の指導者を侵略者として処刑しました。このことは、公正と正義を重んじたアメリカ建国の祖、ワシントンやリンカーンの精神を裏切る行為です。 
これまで戦争責任といえば、必ず日本の戦争責任を追及することでした。過去の問題で批判されるのは常に日本であって、過去の日本の行動を非難することがあたかも正義であるかのような観念に大半の日本人が支配されてしまっています。しかし、どうして戦争責任を追及されるのは常に日本側なのでしょうか。 
敗戦後の日本人が、「戦争に負けたのだから」と連合国側による裁きを甘受したのは仕方のないことだったかもしれません。しかし、歴史の真実は勝者の言い分にのみ存するのではないはずです。 
上の動画をみてもわかるように、米国では真珠湾攻撃は日米両国がそれぞれの国益を追求した結果起こったものであるとして、日本を「侵略国」であると決めつけた「日本悪玉史観」は事実上、見直されているのです。

この「日本悪玉観」を見直しているのは、あくまで米国の保守派であって、リベラル派の多くは未だに「日本悪玉観」で歴史をみています。

米国のリベラル派は、おそらく米国の人口の半分はいるとみられる保守層の「歴史観」の変貌にきづいているでしょう。かなりの脅威を感じているに違いありません。

トランプ氏の歴史観も当然ながら、「日本悪玉観」ではないので、当然のことながら、安倍総理に「真珠湾を忘れない」と語ったのも、 無論「卑怯な騙し討ち」を意味するものではないのです。

このような事実を知っていれば、日本の新聞も誤った報道をしないですんだかもしれません。

その意味では、今回の出来事は、日本のマスコミが米国の主に保守派においては、歴史観が変わって単純な「日本安悪玉観」は通用しなくなっていることに関して無知であることを露呈したともいえると思います。

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2016年10月18日火曜日

「リフレ派敗北」という人の無知と無理解と統計オンチ デフレに逆戻りさせるのか―【私の論評】俗説、珍説を語る輩はエビデンス(証拠・根拠、証言、形跡)を出せ(゚д゚)!

「リフレ派敗北」という人の無知と無理解と統計オンチ デフレに逆戻りさせるのか

日銀が金融政策の検証を行ったことを受けて、金融緩和によるデフレ脱却を主張する「リフレ派」の「敗北」や「失敗」を強調する報道が見受けられる。「異端の理論を実験したが、失敗して路線変更を余儀なくされた」といった論調もある。

だが、「異端」というのは日本のマスコミや学会だけの話である。世界の中央銀行はリフレ的な考え方で運営されている。

こうした批判者は、日銀が「金利」重視に変更したことで、これまでお金の「量」が重要だと主張してきたリフレ派が敗北したと言いたいのだろう。

たしかに、名目金利にこだわる従来の金融政策を批判するために、実質金利に注目すべきことや、量的緩和が重要であることを筆者は主張してきた。

だが、金融理論では、実質金利を決めれば量が決まり、逆に量が決まれば実質金利が決まるという「1対1対応」の関係にある。この意味で、量か金利かというのは、さほど本質的なことではない。

この等式が頭に入っていないお粗末な経済記者や経済学者が多い
図表・写真はブログ管理人挿入以下同じ
「名目金利をゼロ以下に下げにくいのだから、もう金融政策は無効だ」という従来の金融政策に対して、「予想インフレ率を高めれば実質金利(名目金利から予想インフレ率を差し引いたもの)を大きくマイナスにすることもできる」と主張してきたのがリフレ派である。そのための手段の一つが量であるが、決して量だけを強調してきたわけではない。

筆者は、日銀の2013年以降の金融政策を評価している。なにより就業者数が増加し、失業率は低下するなど雇用環境が良くなった。これはマクロ経済政策としてクリアすべき必須条件だ。

こう言うと、冒頭の批判者は「人口、とりわけ生産年齢人口が減っているからだ」と反論する。しかし、人口減少は05年から、生産年齢人口減少は1995年から始まっており、アベノミクスの金融緩和による結果とは無関係だ。「リフレ派の敗北」といった記事を書く人は統計数字をまったく読めない人たちだというほかない。

ただし、筆者は9月に日銀が決めた政策には不満がある。金融緩和か引き締めかでみれば、現状維持で、何もしていないのと同じだからだ。

筆者の計算では、失業率は現在の3・1%から2・7%程度まで下げることが可能だ。しかも、現状のインフレ率はゼロ近辺で、目標の2%まで達していないため、失業率を下げてインフレ率を高める金融緩和を実施するのは当然だ。

今回それを日銀はやらなかったので、筆者の評価は、やるべき時にやらなかったという意味で「日銀はサボった」となる。

野球の試合にたとえれば、日銀は5対0でリード、追加点2点を取ればコールドゲームというチャンスなのに、絶好球を打ち損じた-というところだ。

リフレの批判者は、ほぼ例外なく実質金利を理解できていない。冒頭のような批判者も、金融政策は無効であり、他の政策を行うべきだと主張する。しかし、これまで雇用増加に寄与し、さらなる増加も見込まれるのに、もう金融政策をやるなというのは、デフレに逆戻りせよというのと同じだ。失われた20年間の教訓がまったくない、デフレの犯人ともいえる。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】俗説、珍説を語る輩はエビデンス(証拠・根拠、証言、形跡)を出せ(゚д゚)!

高橋洋一氏の上の記事では、「日銀はサボった」との記述もありますが、過去においてはまともに実行していた時期もあります。そうして、あまりにも当然のことなので、わざわざ触れていませんが、量的金融緩和政策をまともにやっていたときでも、8%増税などという馬鹿げた政策をやってしまったので、せっかくの量的金融緩和の腰を折ったというのも事実です。

もし、消費税増税をしていなければ、量的金融緩和の政策の効果が至るところに現れていて、「リフレ派」の「敗北」や「失敗」などという論調など全く影を潜めていたことでしょう。

さらに、量的金融緩和政策には、量的金融緩和政策には、一定期間のラグがあるということも理解すべきです。それに関しては、以下の表をご覧いただければご理解いただけるものと思います。

岩田規久男「デフレをとめよ」(日本経済新聞社)第6章 IS-LM2分析で記述

量的金融緩和政策を実行したからといって、その効果がGDPの上昇、失業率の上昇、インフレ率の上昇という形になってあらわれるのは、約2年かかるということです。これは、何も後付で解説しているのではなく、最初からわかっていたことです。

日銀の量的金融緩和政策は、2013年4月から実施されてます。もし、増税せずにそのまま金融緩和を続けていれば、2015年にはGDPも上昇していたことでしょう。

ただし、GDPは上昇してはいないものの、過去に量的金融緩和を実施し続けてきたことにより、失業率はかなり下がり、新卒の就職率もここ数十年ほどなかったほどの高水準です。実質賃金も上昇基調にあります。

特に新卒雇用に関しては、2013/03/09にはYouTubeで以下の様な動画が掲載されていたことを考えると、隔世の感があります。



この動画は、『「就活狂想曲」animation "Recruit Rhapsody"』というタイトルで、「ごく普通の大学生として何となく過ごしてきた主人公。ところが近頃友人たちの様子がおかしい。聞けば、彼らは噂の"就活"に躍起になっているらしい。それが一体どのようなものなのか見極められぬまま、主人公もまた「ニッポン式就活」の渦中へと引きずり込まれて行く」というストーリーです。

わずか3年ほど前には、このような悲惨で異様な就活が一般的だったのが現在のような状況になったのですから、現状までの量的金融緩和が失敗だったなどというのは全くの間違いです。

高校や大学の就職担当の先生方は、この違いを一番良く理解しているでしょう。それに、多くの若者達もこれをよく実感または、体感していることでしょう。そのためでしょうか、多くの若者はアベノミクスの継続を希望しています。

しかし、2014年4月から8%の消費税増税を実行してしまったため、その悪影響でGDPはいまだにはっきりとした上昇基調にはありません。

会社経営でも、一旦業績をかなり落とした企業が、回復して成長軌道にのるためには、何か対策を打ってそれが効き目があったにしても、数年かかります。量的金融緩和政策も同じことで、緩和したからといって、半年、1年で目に見えてすぐに効果でるというわけではありません。

それに、一旦業績を落とした企業が何か対策を打ったにせよ、まだ会社の業績が回復しきっていない状況にあるにもかかわらず、大規模な設備投資や賃上げを行ってしまえば、ふたたび会社の業績を落とすのは目に見えています。

このたとえが、良いものであるかはどうかはわかりませんが、量的金融緩和政策を実行中似、減税ではなく増税を実行してしまうというのは、企業経営でいえば回復途上にある会社が大規模な設備投資や賃上げを行ったのと、同様で、GDPがいまいち伸びないのは当然すぎるほど当然です。

量的金融緩和政策はまさに、失敗したのでも何でもなく、増税さえしなければ今頃十分に成果をあげていたはずなのが、増税をしてしまったために、その途上にあるということです。

その根拠として、ブログ冒頭の記事で高橋洋一氏は「失業率は現在の3・1%から2・7%程度まで下げることが可能だ。しかも、現状のインフレ率はゼロ近辺で、目標の2%まで達していないため、失業率を下げてインフレ率を高める金融緩和を実施するのは当然だ」としています。

特に、失業率に関してはまさに、高橋洋一氏の言うとおりです。それに関して以下に若干の説明を加えます。

総務省では、失業を発生原因によって、「需要不足失業」、「構造的失業」、「摩擦的失業」の3つに分類しています。
需要不足失業―景気後退期に労働需要(雇用の受け皿)が減少することにより生じる失業
構造的失業―企業が求める人材と求職者の持っている特性(職業能力や年齢)などが異なることにより生じる失業
摩擦的失業―企業と求職者の互いの情報が不完全であるため、両者が相手を探すのに時間がかかることによる失業(一時的に発生する失業)
この3つの失業のうち、需要不足失業は金融緩和などの政策によって、解消しうる失業です。構造的失業と、摩擦的失業は金融緩和などの政策によっては解消できない失業です。このうち、摩擦的失業は最近ではインターネットなどが発達したため、情報共有が進みあまりみられらなくなりました。現在では、あまり考慮しなくても良いといえるものです。

量的緩和政策により失業率が下がり需要不足失業が全くなくなったとしても、構造的失業は依然として残るわけです。この構造的失業率を高橋洋一氏は2.7%であると見ているわけです。

以下に、過去の完全失業率のグラフを見ておきます。過去の失業率でも、97年以降からは日本は完璧にデフレに突入しましたし、その数年前からデフレ気味でした。ですから、このあたりの失業率はあまり参考になりません。


それ以外の期間の失業率をみると、87年を例外として、ほとんどが2.0%と3%の間に収まっています。この前の年の1986年には、日本経済は円高不況に陥っていました。失業率の悪化はその影響であると思われます。

このように過去の傾向からみても、日本の失業率の下限(≒構造的失業率)は、やはり3%未満、おそらく2.7%であるとみるべきでしょう。これは、かつてデフレでなかった頃の、日本では失業率が3%を超えるとそろそろ赤信号と言われていたことと、符号します。

そうなると、失業率が2.7%になるまでは、量的金融緩和政策を続けるべきという結論に落ち着くのは当然のことです。

さらに、2%の物価目標も達成されていないわけですが、やはり量的金融緩和は絶対に必要であるという結論になります。

「リフレ派」の「敗北」や「失敗」等と主張する方々には、そのような主張をする前に、誰もが納得するエビデンスを出せといいたいです。

エビデンスがないのなら、日本を再びデフレ(証拠・根拠、証言、形跡)に戻すような主張をするのは厳に慎むべきです。

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2016年7月9日土曜日

【7・10参院選 私はこれで投票する】国防に無知な政党・個人には投票しない KAZUYA氏―【私の論評】明日の選挙では、中国の顕な野望を無視する政党、個人には投票するな(゚д゚)!

【7・10参院選 私はこれで投票する】国防に無知な政党・個人には投票しない KAZUYA氏

京本和也氏
これまでは20歳以上だった選挙権が、今回の参院選から18歳以上に引き下げられる。新たに有権者になる約240万人の票の行方が注目されているところだ。

最近の若者は新聞を読まないと揶揄(やゆ)される。確かに、その通りなのだろう。だが、裏を返せば、必死に「雰囲気」で世論を誘導しようとする新聞の影響をあまり受けないと見ることもできる。読まないことがプラスに働くこともあるのではないかと思う。

日本は危機の時代を迎えている。その原因の1つとして挙げられるのが、中国の膨張である。

中国海軍の軍艦が、鹿児島県・口永良部島(くちのえらぶじま)沖の領海を侵犯したとの話題も記憶に新しい。今年4~6月に日本領空に接近した中国軍機に対する航空自衛隊戦闘機の緊急発進(スクランブル)の回数が、昨年の同時期に比べて80回以上増え、過去最多の約200回となった。

ネットでは中国の行き過ぎた行動が盛んにシェアされている。新聞を読まなくても、こうした情報は入ってくる。

虎視眈々と沖縄県・尖閣諸島を狙い、領海・領空への揺さぶりをかけて着実に侵略の歩みを進める中国。しっかりと、わが国の領土・領海・領空を守りぬく気概が求められているのだ。

しかし、今回の参院選において、民進党や共産党、社民党、生活の党などは徒党を組んで、まったく真逆の方向のことを訴えている。4党といっても、実際の主力は民進党と共産党だろう。岡田克也代表と志位和夫委員長をもじって、ネットでは「岡志位(おかしい)コンビ」などと揶揄(やゆ)されることもある。

岡志位コンビ
共産党は「自衛隊を段階的に解消していく」などと公言し、国防に対する無知からか「防衛費=人を殺すための予算」などと共産党特有の本音が飛び出している。この危機の時代にあって、いや危機の時代でなくても時代にそぐわないのは間違いない。

「戦争になる」などと扇動家が煽り、安全保障法制にしても反対の論調を多くとる一部メディアにだまされることなく、私たちは現実的な視点で判断しなければいけない。

国防は国家の根幹だ。まず外敵から身を守ることができなければ、私たちの安心な生活も何もない。家もまず雨風をしのぎ、防犯をしっかりやってこそ、インテリアをどうするという話になるのは当然だ。

しかし、野党連合の国防観は、雨風・防犯を無視してインテリアをどうするか議論するようなものではないのか。吹きっさらしで泥棒が自分の資産を狙って侵入するような状態では、インテリアも何もない。

国防に対し、まったくの無知をさらす政党、個人には投票しない。これが基本だろう。国防観・国家観がある上で、どういった政策をするかに注目する。自分はこういう基準で投票したい。 =おわり

KAZUYA(かずや)

【私の論評】明日の選挙では、中国の顕な野望を無視する政党、個人には投票するな(゚д゚)!

京本和也氏といえば、youTuber として有名な若者です。私も、時折その動画を視聴させていただいています。このブログにも動画を何度か掲載させていただいたこてともあります。彼の動画は視聴者が35万人ともいわれているので、その意味では、上の記事は、多くの若者に受け入れられるものと思います。登録者が35万人なのですから、時々見るひともあわせると莫大な数になると思います。

私自身は、一度倉山満氏と京本和也氏の二人の講演会に行ったことがあります。京本氏は、保守的な内容とともに、自らの動画の運営の仕方などについて熱心に語っていました、自ら開拓してきたノウハウをいろいろと開陳していました。その中で自分は、いろいろな保守的な内容のうち入門的なものを専門に扱っているしていました。

しかしこれをそのまま真似たとしても、京本氏のように35万人もの視聴者が登録するようなチャンネルなどなかなかできないと思います。

そもそも、京本氏の選んだ保守的なテーマが多くの人に注目を浴びたことと、その内容がかなり平易で噛み砕いたもので、誰にでも理解できるものであったこと、そうしてタイミングもあったことでしょう。まさに、彼の動画は、多くの人の疑問に応えるものであったし、それに視覚・聴覚に訴える動画でありながら、既存のテレビとは全く違う媒体ということが、何よりも革新的でした。彼は、既存のテレビ・新聞・雑誌などのメデイアとは異なる媒体であるインターネットの動画がこれだけ多くの人にアピールをするということを実証した、一人ということもできます。

若者こそ、これからの日本を担っていくわけですから、若者である和也氏がこのような記事を書いているのですから、和也氏以外の日本の若者の多くも日本の将来についてしっかり考えているのだと思います。SEALDsやそれに同調する若者など、ごく一部なのでしょうが、マスコミが喧伝するので、いかにも影響力があるようにみえるだけで、とても京本和也氏ほどの影響力はないでしょう。

私は、SEALDsは若いころ、新左翼運動をしたか、しないまでもそのシンパであった老人たちのアイドルにすぎないと思っています。明日選挙に初めて行く若者の中にも、京本氏の動画を日常的に視聴している若者も結構いるものと思います。

以下に、京本和也氏の明日の選挙がらみの本日の動画を掲載します。


上の記事で、京本和也氏は、「国防に対し、まったくの無知をさらす政党、個人には投票しない。これが基本だろう。国防観・国家観がある上で、どういった政策をするかに注目する。自分はこういう基準で投票したい」と結んでいますが、まさにその通りです。

この記事は、夕刊フジのサイトであるZAKZAKに掲載されているものですが、本日は、以下のような記事もありました。
【緊迫・南シナ海】中国が南シナ海でミサイル・魚雷の実弾演習 仲裁裁定前に実効支配を誇示 100隻の軍艦と数十機の航空機が参加
南シナ海の西沙諸島付近の海域で実弾演習する中国海軍=8日
 中国海軍は8日、南シナ海のパラセル(中国名・西沙)諸島付近の海域で、約100隻の軍艦と数十機の航空機、ミサイル部隊が参加して実弾演習を行った。新華社電などが9日、伝えた。ミサイルや魚雷数十発を発射したという。
南シナ海の西沙諸島付近の海域で実弾演習する中国海軍=8日
 中国による南シナ海の大半の管轄権主張を巡り、フィリピンが申し立てた国連海洋法条約に基づく仲裁手続きの判断が12日に示されるのを前に、軍事力を誇示して実効支配をアピールする狙いとみられる。 
南シナ海の西沙諸島付近の海域で演習する中国海軍兵士=8日
 演習は、赤と青のチームに艦船などが分かれて対抗する形で行われ、制空権確保や海上作戦、対潜水艦作戦に重点が置かれたという。中国海事局は軍事演習のため南シナ海の一部海域で5~11日、船舶の進入を禁止している。
それに本日は、午前中には、北朝鮮がSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)の発射実験を行ったことも伝えています。最近では、北朝鮮がしょっちゅうミサイルを発射するので、多くの人は麻痺してしまったようでもありますが、これも脅威であることには変わりありません。

北朝鮮の国営朝鮮中央通信が配信した、SLBMの発射実験の写真(2016年4月24日配信)

 中国がここまでして、南シナ海の実効支配に拘りつづけ、さらに強めるのはなぜでしょうか。それには、いろいろな見方ができますが、私は中国の核戦略のためであるという記事をこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。

中国の膨張路線は止まらないが国際社会から強い逆風 南シナ海のハーグ裁定―【私の論評】通常戦力で勝ち目のない中国は、南シナ海に戦術核を配備する(゚д゚)!
中国によるスプラトリー諸島にあるファイアリー・
クロス礁の完成した飛行場(昨年9月20日撮影)
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、趣旨のみ元記事を再構成して以下に掲載します。

ICBM(大陸間弾道弾)と、SLBM(潜水艦発射弾道弾)を比較すると、ICBMは地上あるいは、サイロに格納されているものですので、最近では衛星写真などから、その位置を比較的容易に敵に察知されやすく、いざ核戦争になった場合、先に敵に破壊される可能性が高いです。

しかし、SLBMの場合は、深海に深く潜行すると、敵からは容易には発見されません。そのため、最近ではSLBMが各戦略において重要な役目を担うようになってきています。

そうして、中国も当然のことながら、SLBMに力を入れています。ところが、中国大陸の近くの海域は比較的水深が浅いので、中国の潜水艦は日本や米国などの対潜哨戒機にたやすく捕捉されてしまいます。

これでは、SLBMを有効に使うことはできないわけです。しかし、南シナ海の海域では、水深が深いので、ここに戦略型原潜を深く潜行させることができれば、ここから比較的アメリカの近くまで深く潜行したまま航行し、いざという場合核攻撃ができるわけです。

中国としては、南シナ海に複数の戦略型原潜を潜行させておき、交代でアメリカの射程距離内まで定期的に航行させることができれば、常時アメリカ全土を中国のSLBMの標的にすることができるわけです。

中国が、南シナ海にこだわるのは、こうした核戦略を成就させるという狙いがあるということです。

そうして、最初中国は、戦略型原潜を中国本土から南シナ海まで航行させ、そこからさらにアメリカへの射程距離内に航行させ、そこにしばらく滞在して、次の戦略型潜水艦と交代して、南シナ海に戻り、さらに中国に帰還するという方式をとるのだろうと思います。

しかし、わざわざ南シナ海を毎回経由するというのでは、いろいろと不都合も生じると思います。原潜を修理したり、補給するのに、わざわざ南シナ海を毎回通過するのはいかにも不経済です。それに、中国大陸の基地に戻るということは、中国の戦略型原潜の行動をその都度日本や、米国に知られてしまうことになります。さらに、大陸付近の東シナ海などは比較敵水深が浅いので、簡単に敵に捕捉され、撃沈されることになります。

であれば、中国はいずれ、南シナ海の環礁埋立地に原潜基地を移すことが考えられます。ただし、中国本土であれば、中国が戦略型原潜の基地を置いても、どこの国もクレームをつけることはないですが、南シナ海だとそういうわけにはいきません。だからこそ、中国は

それに、さらに恐ろしいシナリオもあります。南シナ海に中国が原潜基地を設置した場合、残念ながら中国は通常兵力では、とても米国や日本などには勝つことができません。これにインドや、オーストラリア場合によっては、タヒチに駐屯するフランス海軍もくわわることになれば、全く勝ち目はなく、原潜基地を守ることはできません。

そうなると、中国が是が非でも、南シナ海の戦略型原潜の基地を守ろうとした場合、通常兵力ではかなわないので、戦術核を配備する可能性もあります。

そうなると、南シナ海の中国の実効支配はより強固になります。そうなってからでは、これを翻すことはかなり困難になります。

そうなる前に、日米や南シナ海の近隣諸国はこれを阻止する必要があります。

このような状況のなか、明日の選挙では、京本和也氏のように"国防に対し、まったくの無知をさらす政党、個人には投票しない。これが基本だろう。国防観・国家観がある上で、どういった政策をするかに注目する"というのが当然のことと思います。

実はわたしは、昨日期日前投票をしてきました。私は、当然国防に対して、まったく無知をさらす政党、個人には投票しませんでした。また、マクロ経済に関しても無知をさらす政党、個人には投票しませんでした。真逆の政党、個人に投票しました。

明日投票に行かれる方は、是非ともこの京本和也氏の基準も考慮に入れて投票していただきたいものです。

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2016年4月3日日曜日

文藝春秋も日テレも間違えた! 意図的かつ無知な安保法制の誤報 田村重信(自民党政務調査会審議役)―【私の論評】憲法九条の解釈は一つしかない、集団的自衛権は、戦後一環して否定されてきたという認識は大嘘(゚д゚)!

文藝春秋も日テレも間違えた! 意図的かつ無知な安保法制の誤報 田村重信(自民党政務調査会審議役)

北朝鮮のミサイル発射に備えてPAC3が配備された防衛省=2013年4月9日、
東京・市ケ谷 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
一昨年(2014年)7月1日、政府は「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」を閣議決定した。

私はそれ以来、100箇所ほど講演を、北は北海道から南は九州・沖縄まで行った。テレビも『朝まで生テレビ』や『チャンネル桜』で反対派との討論会に出演した。 (総合オピニオンサイト iRONNA

そこでよく分かったことは、平和安全法制は、きちんと正しく説明すればみなさんによく理解してもらえるということ。今、本屋に行くと反対本や間違った本がたくさん並ぶ。そこで、私は閣議決定後に『安倍政権と安保法制』(内外出版)を、今回法律が国会で成立してから『平和安全法制の真実』(内外出版)を急ぎ出版した。真実を伝える必要があると思ったからだ。

かつて有事法制についても、『急げ!有事法制』(朝雲新聞社)という当たり前の本を出し、勉強したいという方や国会議員のみなさんに参考にしてもらった。

また、『WiLL』7月号の「一問一答」では、テレビ局、学者、評論家の方々に対し名指しでのQ&Aを作ったが、どなたからも批判はなかった。つまりこれは全て正しいということ。もし間違っていれば批判される。WiLLの編集には「これはおかしい」といった話は皆無。「非常によく分かって勉強になった」という話はたくさんあったとのこと。

一昨年、鹿児島県の地方紙『南日本新聞』の記事で、私の講演が大きく取り上げられた。7月の政府の限定的な集団的自衛権容認の閣議決定に対して、鹿児島県出水市議会が「立憲主義の根本を破壊する暴挙」とする意見書を可決した。その後、私が鹿児島市で講演をしたところ議員たちの理解が進み、9月には行使容認を支持する意見書が可決された。

南日本新聞が取材してわかったことは、私の講演がきっかけで「戦争抑止と国際平和貢献のため、憲法解釈の閣議決定は必要と判断した」と変わったということだ。

反対の人たちは相変わらず「戦争できる国になる」とか言っているが、賛成の人たちは、「抑止力を高める必要がある」、そして「7月当時は勉強不足だった」という話だ。

つまり勉強すれば分かるということ。パワーポイントで話を聞いて分かったつもりでも、その後、他の人に説明できない。そこで私は全国で講演する際には、資料を配布して話を聞いてもらうようにしている。私の作成した資料を持って、他の人に説明できる。今回は、そうした地道な努力の成果である。

■マスコミの意図的かつ無知な誤報

意図的及び無知な誤報は非常にたくさんあり、それをきちんと正し、指摘することが極めて重要だ。

例えば、柳澤協二氏は『週刊現代』で「一般の国民に比べて自衛官の自殺は1.5倍」「イラク派遣から帰国した人は10倍自殺する」と言っていた。

週刊現代の誤った内容が掲載された記事
これはおかしいと思い調べたら、男と女で自殺率が全然違うということだ。女性が100人自殺すれば男性は200人以上自殺する。つまり男性の方が自殺率は高いということ。自衛官は95%男性、一般男性の自殺率と自衛官の自殺率を比較すると、自衛官の方が自殺率は低いということになる。

イラクに行って帰ってきた人はどうかと言うと、もっと少ない。アメリカの場合と異なる。日本の場合は戦争が終わってから人道復興支援へ行ったわけで全然違う。これが事実だ。

この事実をきちんとPRすると、国会で自殺問題が取り上げられ大変だったのが、一切自殺の話がなくなった。

ところが今年に入って青森県で講演した際、「自殺は多い」と頭にこびりついている人が結構いることがわかった。だから、正しい情報を伝えていく必要がある。

自衛官の自殺について、『東京新聞』も訂正記事を載せたが、それは28面。間違った記事は1面で、3年前の記事だった。

防衛省に対しては「間違ったことはその時きちんと指摘しなければだめだ」と注意した。自殺の問題、私が提起しなければ嘘がそのまま通り、国会審議においても「自衛官の自殺は多い」というデマが流布されたままだった。

■『文藝春秋』も間違う

『文藝春秋』は11月号に「保守は『SEALDs』に完敗です」という対談を載せた。メンバーの奥田さんの発言中、「現状、自衛隊は軍隊ではありませんから、自衛官は、万が一拘束された時に国際法上の捕虜にもなれません」と。これは間違い。

編集長に電話してもピンと来ない。防衛省にも注意した。すると11月、防衛省広報課長が文書を持って編集長のところに直接出向いて申し入れを行った。

『文藝春秋』には、「自衛隊は通常の概念で考えられる軍隊ではありませんが、国際法上は軍隊として取り扱われており、我が国が紛争当事国となり、万が一、自衛隊員が捕えられるような事態が発生した場合、国際人道法上の「捕虜」として取り扱われることになります」と。
ツイートはブログ管理人が挿入 以下同じ。


憲法と自衛隊の関係についての基本を大学等で習っておらず、基本中の基本がみんなわかっていない。

憲法9条の建前から言えば戦力は持てない。戦力=軍隊だから、日本には軍隊がないということになる。では日本の独立はどうやって守るのだ。自衛隊である。自衛隊は軍隊までいかない必要最小限度の実力組織だから良いとなる。

では外国に行けばどうなるか? 国際法上は軍隊として扱われる。それはすなわち捕虜としても扱われるということ。ただし、外国に行ったら軍隊だから外国の軍隊と同じようにPKOの活動を行い武器の使用ができるかというと、これはまた違う。「武力行使と一体化しない」というようにする等、国内法の制約の中で法律を作っていくから非常に厄介な仕組みになっている。そんな法律の仕組みは憲法との関係で日本しかない。

国会で問題となったのは、外務大臣による「自衛隊が海外に行くと捕虜として扱われません」との発言で、それだけがクローズアップされた。それはどういうことか? 重要影響事態法及び国際平和支援法によって自衛隊が他国軍隊に対して後方支援を行う場合、我が国がそのこと自体によって紛争当事国になることはないことから、そのような場合に自衛隊員が国際人道法上の捕虜となることはない、ただしその場合であっても、国際法上適正な活動を行っている自衛隊員の身柄が少なくとも普遍的に認められている人権に関する基準及び国際人道法上の原則及び精神に則って取り扱われるべきことは当然である、というわけである。

防衛省の文書にも「前述の奥田氏の発言は、明らかに誤りであり、適切ではない」と表現されており、『文藝春秋』に対しても「貴社は、報道機関として、その使命は重く、社会的影響力が大きいと考えており、正確を期した記事の掲載をされますことを切に要望いたします」とある。

■日本テレビも間違う

次は、日本テレビの世論調査です。調査項目が、「同盟国などが攻撃を受けた場合、日本が攻撃されたことと見なして、反撃することができる集団的自衛権の行使など、自衛隊の活動を広げる安全保障関連法が、3月末までに施行されます。あなたは、この法律を支持しますか、支持しませんか?」となっていた。

そう聞かれると、支持する33%に対して支持しないが53%と多くなる。これについても問題ということで、防衛省広報課長が日本テレビの政治部長宛てに文書を送付した。今回の法律は「あくまで『限定的な集団的自衛権』の行使を認めたものであり、他国防衛それ自体を目的とするいわゆる集団的自衛権一般の行使を認めたものではありません」「このような設問は、…誤解を国民に与えるものであり、極めて遺憾であります」「今後慎重かつ適切な報道を強く要望致します」と。

安保法案世論調査について報道した日テレの画面

同じテレビでも、例えばFNNの調査だと、「集団的自衛権を限定的に容認し、自衛隊の役割を増やした安全保障関連法を評価しますか」という質問となっており、この聞き方だと評価する方が割合は高くなった。こうした誤りは、基本的にはこの法律のことを知らない、無知から来ることが多い。知らないことによって間違える。知っていても意図的にわざとデマを飛ばすといったこともあるかもしれないが。

俳優の石田純一氏も間違った。『日刊ゲンダイ』の記事に「中国が攻めてきても、今まで周辺事態法というものがあり」と書いていたが、その場合、周辺事態法ではなく、武力攻撃事態法である。国が外部から攻められているから。そういう基本中の基本も分からないタレントが多い。今後も間違いを正す努力が必要だ。

週刊現代に掲載された石田純一の記事
今回の平和安全法制の議論でも、憲法と防衛政策・自衛隊の関係が正しく理解されていないことから、感情的な誤った主張が幅をきかせる結果となっている。

例えば、戦争は国際法上違法とされていることから戦争法という名前の法律を作れば憲法違反や国際法違反となる。平和安全法制を、戦争法だと批判する人の方が立憲主義の破壊者と言える。

また、徴兵制は憲法上できない。集団的自衛権の解釈を変更しても新たな法律を作ってもできない。さらに他国では、ドイツやスウェーデンなどは、徴兵制から志願制に移行しているのが現状だ。

国会でデモをしていた連中が参議院で法案が通ればこのデモはもっと大変なことになる、と言っていたが、最近はめっきり見かけなくなった。彼らは嘘を言っていた。 (総合オピニオンサイト iRONNA

【私の論評】憲法九条の解釈は一つしかない、集団的自衛権は、戦後一環して否定されてきたという認識は大嘘(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事のようなことは、何も今に始まったことではありません。最近では、8%増税に関しても同じようなものでした。新聞、テレビ、識者、政治家などが8%増税による日本経済への影響は軽微として、財務省主導の一大キャンペーンを繰り返し、安倍総理もそのあまりにも大きな声に屈して、増税を実施したところ、実際にはそれは全くの間違いで、日本経済はかなり深刻なダメージを受けてしまいました。

このままの状況だと、夏あたりには、せっかく金融緩和政策で良くなっていた、雇用状況も悪化に転じる恐れすらあります。それだけ、増税のダメージは大きかったのです。

そうして、安保法制に関しても、PKO法案のときにも誤った報道が幅を効かせていました。このときもPKO法案を「戦争法案」とレッテル貼りをして、マスコミや、左翼や、社会党が大騒ぎしました。しかし、皆さんご存知のように今にいたるまで戦争にはなっていません。そうして、社会党はPKO法案成立後の選挙で大敗し、現在でその存在すら消えてしまいました。

PKO法案について報道した朝日新聞の紙面

その前の70年安保、60年安保の時にも同じようなことが繰り返されました。しかし、この時に通った安保法制により、日本が戦争に突入などということはありませんでした。そうしてこれは、今でも似たようなものですが、60年安保のときの安保反対派のリーダーだった学生は、安保法案の条文など読んでおらずに、反対運動を繰り広げていたことを後に告白していました。

以上の出来事のその時々で、「増税しても日本経済への影響は軽微」とか「安保法制は戦争法案」などと本気で考えた人は、真摯に反省していただきたいものです。自分がいかに扇動されやすい性質を持っているのか、自分のことを省みていただき、今後そのような間違いをおかすことがないようにしていただきたいものです。

そうして、ブログ冒頭の記事では、意図的かつ無知な安保法制の誤報について、いくつか報道されていましたが、実はこれ以外にも日本における安全保障について誤解されていることがあります。それは、大きく言って二点あります。

これに関しては、マスコミや左翼などは当然誤解しているのは、当然ですが、保守系の人ですら誤解している事柄があります。それは、以下の二点です。以下の二点については、実は折にふれてこのブログでは何度も掲載してきたことなのですが、敢えて再度ここに掲載します。
1.憲法九条の解釈は一つしかなく、自衛隊は違憲であるとするものしかない。 
2.集団的自衛権は、戦後一環して否定されてきた。
この二点に関しては、なぜか保守系の人々でも単純に信じ込んでいる人も多く、多くの人々がまるで天地神明の理であるかごとくに頑なに信じ込んでいます。そうして、ブログ冒頭の記事にも全く触れられていません。

しかし、これは真実ではありません。以下に解説します。

1.憲法九条の解釈は一つしかなく、自衛隊は違憲であるとするものしかない。

これに関しては、このブログで何度も、掲載しています。その代表的な記事のリンクを以下に掲載します。
佐々木惣一の「憲法第九条と自衛権」―【私の論評】安保法制=戦争法案としてデモをする人々は、まるで抗日70周年記念軍事パレードをする人民解放軍の若者と同じか?
佐々木惣一
このブログを従来から読まれているかたなら、これはすでに周知の事実で、当たり前のことであると認識されていると思います。

詳細は、この記事をご覧いただくものして、佐々木惣一氏ら憲法学の京都学派といわれている人々の解釈によれば、憲法9条は、国際紛争解決の手段として、武力を保持したり、行使したりすることは明確に否定しているが、自衛戦争のためにそれらを保持したり、行使したりすることまで、否定していないというものです。

確かに、憲法九条を隅から隅まで読んでも、自衛戦争をはっきり否定してはいません。さらに、日本以外の国でも、憲法典の条文に平和をうたっているものはありますが、それらの国々でも、自衛戦争のために武力を保持したり、行使するなどとはっきり歌っていないにもかかわらず、軍隊を保持しているといる国がほとんどです。

こういう解釈があるのですから、私自身は、この憲法解釈に従えば、自衛隊を軍隊として、その任務は日本の防衛とすれば、自衛隊は違憲ではないと判断します。

しかし、この憲法解釈は、従来は報道されていたこともあったのですが、最近は全く顧みられなくなりました。保守系の人々は、この事実を拡散すべきものと思います。

2.集団的自衛権は、戦後一環して否定されてきた。

これも真っ赤な嘘なのですが、保守系の人々も政府もなぜか、集団的自衛権は、戦後一環して否定されてきたかのごとく信じ込んでいるようです。

実は、内閣法制局の憲法解釈など、歴代内閣ごとに変わっていました。代表的な例を挙げると、憲法制定時の吉田茂内閣は「自衛も含めて、すべての戦争を放棄します。もちろん軍隊を持ちません」と宣言しました。

ところが、朝鮮戦争が起きると、警察予備隊~保安隊~自衛隊を創設されました。鳩山一郎内閣では「敵のミサイル攻撃を座して待つつもりはない。敵基地攻撃は自衛の範囲だ」と幅を広げました。

岸信介・池田勇人内閣では核武装まで容認し、集団的自衛権の行使など自明でした。そもそも、日米安保条約など、集団的自衛権を行使するための条約であるという理解が当たり前だったからです。

日米安全保障条約そのものがもともと、集団的自衛権を行使するための条約である

朝鮮戦争勃発から池田内閣までの解釈をすべてひっくり返したのは佐藤栄作内閣の高辻正己長官です。このあたり、詳しくは、樋口恒晴『平和という病』ビジネス社を参照していただきたいです。ただし、その後も解釈変更は繰り返されていました。

これに関しては、さらに一つ付け加えることがあります。ドイツには個別自衛権は認められておらず、NATOとの集団的自衛権のみが認められているという事実もあります。

なぜこのようなことをするかといえば、ドイツに個別自衛権を認めてしまえば、ドイツ単独で戦争ができるということになり、周辺諸国に脅威を与えるからです。しかし、NATOとの集団的自衛権ということになれば、ドイツ単独で戦争をすることはできないので、安全だといいう認識に従いこのようなことが実施されているのです。

以上のことが、なぜか保守派の人々でも知らない人が多いです。

これらに関しては、ブログ冒頭の記事に掲載されている事柄よりもはるかに本質的で、重大な事項だと思います。

保守派の方々等、これらの事実、私のブログの内容だけではなく、他の書籍などもご覧いただければ幸いです。そうして、その内容を拡散していただけましたら幸いです。

これらの事実を多くの人々に拡散することができれば、多くの人々の安全保障に関する考え方は根本的に変わるものと思います。

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