ラベル 根拠 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 根拠 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2019年5月10日金曜日

米中貿易戦争「中国のボロ負け」が必至だと判断できる根拠を示そう―【私の論評】中国は米国にとってかつてのソ連のような敵国となった(゚д゚)!

米中貿易戦争「中国のボロ負け」が必至だと判断できる根拠を示そう

永田町もそれを見越して動き出した








トランプは、最初から決めていた

米国のトランプ政権が5月7日、中国からの輸入品2000億ドル相当に対する制裁関税を10%から25%に引き上げる方針を表明した。これを受けて、世界の株式市場は急落した。米中貿易戦争の行方はどうなるのか。

トランプ大統領

実際に関税を引き上げるのは10日なので、このコラムの公開後、土壇場で米中の合意が成立し、引き上げが撤回される可能性はゼロではない。だが、中国が大幅譲歩するとは考えにくい。そうなれば、中国の屈服が世界に明らかになってしまう。

私は結局、関税が引き上げられる、とみる。

日本のマスコミは「楽観的見通しを語っていたトランプ大統領が突如、強硬路線に転じた」とか「大統領得意の駆け引きだ」などと報じている。交渉なので駆け引きには違いないが、大統領の方針転換とは思わない。

トランプ氏は当初から、中国に厳しい姿勢で臨んでいた。楽観論を流していたのは「オレは甘くないぞ。だが、中国が折れてくるなら歓迎だ。だから、交渉している最中に『妥結は難しい』などとは言わない。よく考えてくれ」というメッセージだったのだ。

なぜ、そうみるか。そもそも「中国の知的財産窃盗行為を止めさせるために、制裁関税を課す」という目的と手法自体がまったく異例である。乱暴とさえ言える。大統領がそこまで踏み切ったのは、泥棒の中国があまりにひどすぎたからだ。

つまり、制裁関税という非常手段に訴える腹を決めた時点で、大統領の硬い姿勢は明らかだった。そうであれば、中国が窃盗を止める確証を示さない以上、トランプ氏にとって、制裁を強化するのは当然である。

ビーター・ナバロ氏の発言はヘイトではない

日本のマスコミは中国に対する批判よりも、トランプ政権を批判する傾向が強い。たとえば、朝日新聞は5月8日付け社説で「米国は大国としての責任を自覚しなければならない」「世界貿易機関(WTO)ルール違反の疑いがある制裁関税を自らがふりかざすことは厳に慎むべきだ」などと上から目線で指摘した(https://digital.asahi.com/articles/DA3S14005072.html?iref=editorial_backnumber)。

自由貿易の守護神といえる米国が、保護主義的な手段を講じたことに当惑している面はある。だが、昨年7月の時点でホワイトハウスと通商代表部(USTR)はそれぞれ報告書を発表し、中国の泥棒行為を厳しく批判していた(2018年7月13日公開コラム、https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56527、同9月21日公開コラム、https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57602)。

昨年7月以来の流れを素直に見れば、トランプ政権が簡単に妥協しそうもないのは読み取れたはずだ。

ルール違反を言うなら、中国の方がはるかに悪質なのに、そこは「冷静に説得してほしい」などとキレイゴトを言っている。説得で片付くくらいなら、こんな騒ぎにはなっていない。中国が言うことを聞かないから、貿易戦争になってしまったのではないか。

朝日は「トランプ批判」のバイアスがかかっている。これでは、トランプ氏の真意を見誤るのも当然だ。ついでに言えば、朝日はどんな問題でも、最初に自分たちのスタンスを決めて報じる傾向が強い。事態を客観的に眺めるよりも、まず主張が先にありきなのだ。

中国が抱く「覇権奪取」の野望

脱線した。

トランプ氏にとって、問題は「泥棒の中国にどう対処するか」という話である。そこで決断したのが、前例のない制裁関税という手段だった。最初から「多少乱暴であっても、中国には断固として対処する」という方針を確立している。

背景には「中国は米国を倒して、覇権の奪取を目指している」という判断がある。

そうであれば、窃盗行為が止まる確証がないのに、制裁関税をあきらめて中途半端に妥協する選択肢はない。そんなことをすれば「これまでの制裁は何だったのか」という話になってしまう。繰り返すが、大統領の意思は最初から硬かった。これが1点だ。

加えて、私は直前に開かれた安倍晋三首相との首脳会談の影響もあったのではないか、とみている。私は3月29日公開コラムで「トランプ氏は中国に妥協しない」という見方を前提にして「安倍首相は大統領に『中国に安易に妥協するな』」と助言するのではないか」と指摘した(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/63795)。

安倍首相は4月26日、欧米歴訪の途中で米国を訪問し、トランプ氏と2日間にわたってじっくり話し合った。その日米首脳会談を受けて、今回の制裁強化がある。時間軸でみれば、安倍首相とトランプ氏が対中強硬策で一致し、関税引き上げに至ったと考えるのが自然だろう。

なぜかといえば、先のコラムで紹介したが、そもそもトランプ政権の対中政策は、大統領就任前の2016年11月に会談した安倍首相の助言に基づいているからだ。トランプ氏は中国の扱いを判断するのに「シンゾーの話を聞いてから考えよう」と思ったはずだ。

外務省のホームページでは、日米首脳会談で「中国が話題になった」とは一言も書いていないが、日中関係が改善しつつある中、中国を刺激するのを避けるために、あえて触れなかったのかもしれない。

それはともかく、ここまでは私がコラムで予想した通りの展開である。

一方、先のコラムで、私は「安倍首相はトランプ氏の対中強硬路線を背中から押すためにも『日本経済は大丈夫』と請け合う必要がある。それには当然、増税延期が選択肢になるだろう」と書いた。こちらはどうか。おそらく、これもその通りになるだろう。

米国が対中制裁関税を引き上げれば、もちろん中国には一層の打撃になる。それでなくても、景気が落ち込んでいる中国はマイナス成長に陥ってもおかしくない。消費の落ち込みや輸入減少を見れば、もしかしたら、すでにマイナスになっている可能性もある。

習近平体制「大打撃」の予感

そうなると、世界経済はそれこそ「リーマン・ショック級」の危機に見舞われる公算が高い。日本も影響は免れない。すでに日本の対中輸出は落ち込んでいるが、さらに減少するだろう。そんな状況で、消費税引き上げはますます難しくなった。

5月13日に発表される3月の景気動向指数と、同じく20日に発表される1−3月期の四半期別国内総生産(GDP)速報の数字がそれぞれ「悪化」「前期比マイナス」と出れば、いよいよ増税延期の決断に踏み切る材料がそろってくる。

増税延期を決断するなら、安倍首相はそれを大義名分に衆参ダブル選に打って出るだろう。自民党の甘利明選挙対策委員長は5月8日、テレビ収録で「麻生太郎副総理兼財務相が4月30日、安倍首相を私邸に訪ねて、ダブル選を勧めた。首相は言質を与えなかった、と伝わっている」と語っている。

中国は経済的打撃を被るだけではすまない可能性がある。習近平体制そのものを揺るがすかもしれない。今回の制裁強化について、中国は国内で報道管制を敷いているのが、その証拠だ。当局は制裁関税が引き上げられる事実を報道させず、伏せたままにしている。

なぜ、そこまで過敏になっているのかといえば、まさに習近平国家主席がトランプ大統領にやり込められている事態を国民に知られたくないからにほかならない。主席の権威がぐらつくのを心配しているのだ。

これは「主席のメンツが丸つぶれ」という話だけではない。いくら主席のメンツが潰れようと、生活に影響がないなら、国民にとってたいした話ではないが、制裁関税は中国経済を直撃して国民生活にも必ず響く。すでに企業の倒産と失業も加速している。

制裁強化で一段と苦しくなると「習近平は何をしているんだ」という声が高まるだろう。それを事前に抑え込むために、徹底した報道管制を敷いているのである。だが、上海株式も暴落した。投資家は何が起きているのか、水面下で正確な情報を得ているに違いない。

米中貿易戦争は「米国の圧勝、中国のボロ負け」状態でヤマ場を迎えている。日本の永田町も風雲急を告げてきた。

【私の論評】中国は米国にとってかつてのソ連のような敵国となった(゚д゚)!

冒頭の記事では、トランプ政権とトランプ氏の対中国戦略を語っています。もし中国に対して、トランプ政権だけが厳しいというのであれば、習近平としてはトランプの任期が終わるのをひたすら耐え忍ぶことによって、米国の制裁をいずれかわせると考えたかもしれません。

しかし、このブログでも従来から指摘してきたように、それは大きな間違いです。もはや、米国議会も中国と対決する腹を決めていました。これは、トランプ政権が続こうが続くまいが、もう米国の意思となったのです。はっきり、言ってしまえば、米国にとって中国は敵国となったのです。

そうしてその動きは沈静化するどころか、ますます顕著になりつつあります。米国はソ連と正面対決した東西冷戦時代、議会に特別な危機委員会を設置しました。その対中国版がついに立ち上げられたのです。

戦略、外交、軍事などの専門家や元政府高官が約50人、加えて上下両院の有力議員たちが名を連ねたこの新委員会は、中国が米国の存続を根幹から脅かすとして断固たる反撃を宣言し、「共産党政権の中国と共存はできない」とまで断言しています。

中国に対する最強硬派ともいえるこの委員会の発足は、米中両国の対立がいよいよ全世界規模の新冷戦の様相を強めてきた現実を示しています。

委員会の名称は「Committee on the Present Danger: China(CPDC)」、直訳すれば「現在の危機に関する委員会:中国」です。組織としては3月末に設立され、実際の活動は4月から始まりました。

その活動の内容や目的については以下のように発表されています。
・この委員会は、中国共産党の誤った支配下にある中華人民共和国の実存的な脅威について、米国の国民と政策立案者たちを教育し、情報を与えるための自主的で超党派の努力を進める。 
・その目的は、加速する軍事拡張や、米国の国民、実業界、政界、メディアなどを標的とする情報工作と政治闘争、サイバー戦争、経済戦争などから成る中国の脅威を説明することにある。
以上の文中の「実存的な脅威」とは簡単にいえば、「米国の存在に関わる脅威」という意味です。つまり、中国の脅威は米国という国家や国民の存在そのものを脅かしている、という認識なのです。

ブライアン・ケネディ氏

同委員会の会長にはブライアン・ケネディ氏が就任しました。ケネディ氏は「クレアモント研究所」という保守系の戦略研究機関の所長を長年務めた長老的論客です。副会長はフランク・ギャフニー氏が務めます。レーガン政権や先代ブッシュ政権の国防総省高官を務め、民間のシンクタンク「安全保障政策センター」の創設所長となった人物です。

同時に発起人としてジェームズ・ウールジー元CIA(中央情報局)長官、スティーブン・バノン前大統領首席戦略官、ダン・ブルーメンソール元国防総省中国部長、ジェーズ・ファネル元米太平洋統合軍参謀、クリス・ステュワート下院議員ら約40人の安全保障、中国、外交などの専門家が名を連ねました。この委員会は4月9日に米国議会内で初の討論集会を開催しました。

3月25日設立発表では、委員会は最初に、当時合意間近と言われていた米中貿易交渉について警告を発しました。「トランプ政権が交渉中の米中貿易協定は、米国の知的財産を盗むという中国共産党の長年の慣行に対応することが期待されている。知財は経済と国家安全保障の生命線だ」「しかし、この(知財窃盗という)慣習が止むという約束はまだ見られない」

ブライアン・ケネディ委員長は、共産党支配の中国による脅威について、米国民や政策立案者に教示し、情報提供していくと述べた。副委員長のフランク・ガフニー氏は、共産主義の脅威に言及する。「われわれは、最終的に共産主義体制の性格から生じるこれらの問題に対処しなければならない。共産党体制をとる中国では、残酷な全体主義に支配されている」



クリントン政権の中央情報局長だったウールジー委員は、中国は古代中国の戦略家・孫子の理論に基づいて、大きな紛争を発生させることなく、米国を敗北させようとしていると述べました。

ブッシュ大統領政権の防衛情報官だったボイキン委員は、通信機器大手・華為科技(ファーウェイ、HUAWEI)による5G通信技術の拡大に注目し「中国によるインターネットの占拠を見逃してはいけない」と警鐘を鳴らしました。

ボイキン氏によると、米国に対する中国共産党の戦略は、人民解放軍が1999年に発表した書籍・超限戦で概説されているといいます。戦争に勝つためには、あらゆる手段、軍事、外交、経済、金融、さらにはテロも辞さないとする理論です。また、超限戦に基づいて、現在は中国共産党が米国を全面的に実行支配するための過程にあるとしました。

さらにボイキン氏は、米国の国防総省や大学、ハイテク企業は中国政府の代理人により何らかの浸透工作を受けていると述べました。たとえば中国から派遣された研究員は、米国の技術を入手することに注力しています。

米国を弱体化させようとする中国の行動は「非常に洗練されている」と、国防総省の核政策立案者だったマーク・シュナイダー委員は述べました。中国の核兵器は新型ミサイル、爆撃機、潜水艦など急速に最新化していると述べました。

シュナイダー委員によれば、中国の核兵器は「地下の万里の長城」と呼ばれる長さ36,000キロのトンネル複合施設に建設され、保管されているといいます。実際の兵器庫内の弾頭数はわかっていません。

元民主党議員で現ハドソン研究所研究員であるリャンチャオ・ハン委員は、中国共産党政権は米国に深刻な脅威をもたらしているが、多くの米国人は気付いていないとしました。

「だからこそ彼ら(中国共産党)が何をしているのか、何をしようとしているのか、なぜそれほど危険なのかを、アメリカの国民や政策決定者に知らせたり、教示することが私たちの義務だ」とハン委員は述べました。

冷戦時代の元海軍パイロットであり1970年代版の対ソ連危機委員会の委員でもあったチェト・ネーゲル委員は、中国共産党について「この実際的な脅威は、最終的に、全世界を支配する野心的な計画の一つだ」と述べました。

ネーゲル委員は「過去のソビエト連邦と同様に、共産主義の中国は、米国と自由主義に対立するイデオロギーの脅威がある」としました。

このように同委員会の活動は、議会で主に共和党議員たちが中心となってトランプ政権との協調を図りながら影響力を広げると予測されます。

この委員会の発想は、東西冷戦が激化した1950年代に結成された「現在の危機に関する委員会」を基礎としています。「現在の危機に関する委員会」は、ソ連共産党政権との対決のために、米国議会やメディア、一般国民など広範な分野で団結を呼びかけることを目的に結成されました。

危機委員会は、米国が直面する危機に応じて設置され、この度は4回目となります。1回目はトルーマン政権の1950年代に、2回目は「力を通じた平和戦略」を掲げるレーガン政権の1970年代に、それぞれソ連に関する危機委員会が設立されました。2004年の3回目となる設立は反テロを目的としていました。

「現在の危機に関する委員会:中国」もやはり中国共産党政権との対決姿勢を鮮明にしています。委員会の使命や活動目的などに関しては、以下のように打ち出していました。
・共産党政権下の中国は米国の基本的な価値観である民主主義や自由を否定する点でもはや共存は不可能であり、米国官民が一致してその脅威と戦わねばならない。 
・中国政権は東西冷戦中のソ連共産党政権と同様に米国の存在自体に挑戦する危機であり、米国側は軍事、外交、経済、科学、文化などすべての面で対決しなければならない。 
・中国のこの脅威に対して米国側ではまだその危険性への正確な認識が確立されていないため、当委員会は議会やメディア、国民一般への広範で体系的な教宣活動を進める。
同委員会は以上のように「現在の共産党政権下の中国との共存は不可能」と断じており、中国との全面的な対決を促し、中国共産党政権の打倒を目指すという基本方針までも明確にしています。

同時に同委員会はトランプ政権が昨年(2018年)10月のマイク・ペンス副大統領の演説で発表した対中政策への全面的な支援も打ち出しており、今後、同政権と連携して、中国との対決姿勢を一層強めるキャンペーンを推進することが予測されます。

同委員会のこの姿勢は、米国が現在の中国への脅威認識を東西冷戦中のソ連に対する脅威観と一致させるに等しいです。つまり、中国との対決をグローバルな規模での新冷戦と捉えているのです。

この委員会が継続される限り、米国は中国との対立をやめることはありません。米国は、中国が体制を変えるか、変えないなら中国経済を他国に影響を及ぼせないほどに弱体化させるまで冷戦を継続することでしょう。

【関連記事】

トランプ大統領、対中関税25%に引き上げ表明 中国は協議取りやめと一部報道―【私の論評】大統領選を意識したツイートか?


サイバー防衛でがっちり手を結ぶ日米―【私の論評】一定限度を超えたサイバー攻撃は、軍事報復の対象にもなり得る(゚д゚)!

2017年12月24日日曜日

高橋洋一が語る「北朝鮮問題は春までに開戦or北朝鮮のギブアップ」が不思議ではない2つの根拠―【私の論評】北の運命は日米中露の間では既成事実!後は実行するだけ(゚д゚)!

高橋洋一が語る「北朝鮮問題は春までに開戦or北朝鮮のギブアップ」が不思議ではない2つの根拠

日刊SPA!取材班


 すでに「アメリカによる攻撃のカウントダウンが始まっている」といわれる北朝鮮情勢。夏以降、毎月のようにミサイルが発射され、その飛距離が徐々に伸びている状況を見ると、さすがに「今回ばかりは、戦争も避けられないかも」と思ってしまう。しかし同時に、お隣の韓国がさほど気にしていないところを見ると「まぁ、いつものことか。大丈夫だろう」とも思える。

「米朝戦争は目前」と煽るマスコミもあるが、実際、戦争が起こるなんてことはあるのだろうか?

「開戦か北朝鮮のギブアップか、来年の春には、結果が出ているんじゃないでしょうか。個人的には、アメリカが北朝鮮を攻撃する確率が、きわめて高いと思っていますが」

 そう語るのは『朝鮮半島 終焉の舞台裏』の著者で、数量政策学者の高橋洋一氏だ。「ここまで条件が揃ってしまうと、そう言わざるを得ない」と続ける氏に、その根拠の内容を聞いてみた。

経済学者・高橋洋一氏
でっちあげてでもアメリカは北朝鮮を攻撃する

 その根拠の一つに「北朝鮮のミサイル開発が、急速に進展している」ことがあると高橋氏は語る。

 「11月に発射された大陸間弾道ミサイル(ICBM)『火星15』は、米メディアの報道によると『大気圏への再突入に失敗し、途中で分解した』とのことでしたが、飛距離だけでいえば1万3000kmと、すでにニューヨークを射程内にとらえています。専門家の間では『1年以内に大陸間弾道ミサイル(ICBM)の再突入技術は確立されるだろう』と言われていますが、今の開発スピードを考えれば、もっと早いかもしれません。

出所:北朝鮮発表
アメリカにしてみれば、当然、本国に届くミサイルが完成する前に、北朝鮮を叩かなければならないわけで、そうなると春くらいまでには攻撃をせざるを得ない。『核拡散を防ぐ』という大義名分もありますしね」

 やられる前にやる、というわけだ。しかし北朝鮮には、中国やロシアなど旧東側諸国がバックについている印象がある。たとえアメリカでも、そう簡単に手出しできないのではないだろうか?

 「たしかに中国やロシアにとって、対西側諸国の防波堤として、北朝鮮は重要な存在でしたが、もはや手に負えない存在になっています。今でこそ韓国や日本、アメリカに向けられているミサイルが、いつ自国に向けられるとも限りません。それに、戦火を逃れた武装難民が国内に流入すれば、それこそ厄介。特に陸続きの中国は、この状況は避けたいはず。

 過去に北朝鮮への制裁決議に中国やロシアが反対しなかったこと、残された追加制裁の内容が全面禁輸ぐらいしかないことを考えても、武力行使に反対する可能性は低いでしょう。また、仮に反対にあった場合でも、アメリカは国連を動かすことなく、単独でも行動に移すでしょう。なぜなら、アメリカは『そういう国』だからです」

 国際的な正当性を得るためには、国連決議がベストである。しかしこれには、中国やロシアを含む常任理事国の全会一致が必要となる。万が一、ロシアか中国が反対すれば「イラク戦争の時のように多国籍軍を結成し、何らかの口実を作ってでも北朝鮮を攻撃する」と高橋氏は続ける。

 「いい悪いは別として、冷酷な事実を見なければいけない。そもそもアメリカは事件をでっち上げてでも、戦争をする国。ベトナム戦争でのトンキン湾事件はその典型だし、イラク戦争における大量破壊兵器も事実ではありませんでした。特にトランプ大統領は、大統領就任直後に単独でシリアを攻撃するなど「オバマ時代の弱腰外交とは違う」というところを見せつけようとしています。北朝鮮が挑発を繰り返し、火に油を注ぐような行動をとれば、たとえ本国に届く核ミサイルが完成されなくても、アメリカは軍事オプションを行使するでしょう」

北朝鮮は約束破りの常習犯

 本国に届く核ミサイルができる前に、アメリカは北朝鮮を攻撃する。これは、わかった。しかし、そうなる前に対話によって解決はできないのだろうか?

 「たしかに、それが一番いいですね。でも、実際は難しいでしょう。というのも北朝鮮は、国際社会で何度も約束を反故にしてきたからです。最近だとオバマ時代に、核実験停止などの見返りに食糧を提供する約束(『2・29合意』)を反故にしたことがありました。今後もきっと同じことが起こる。そもそも北朝鮮には、国際社会の約束事を守る気なんて、これっぽっちもないんです」

出所:BBC、防衛省、各種資料など
 付き合えば、バカを見る。それが北朝鮮という国なわけだ。とはいえ、アメリカではなく、中国かロシアが話をすれば、なんとか話になるのでは?

 「それも無理でしょう。さっきお話したように、北朝鮮はもはや誰もコントロールできない国になっています。金正恩は中国の使者を門前払いだし、そもそも習近平主席は、金正恩に会ったことがない。ロシアにしても、首都からはるか東の揉め事が盛り上がってくれれば、国際社会の目がクリミア問題から離れてくれるので好都合なはず。あえて、半島情勢に口出しはしないでしょう。

 それと一応言っておくと、民族主義で有名な韓国の文在寅大統領も、大統領就任当初こそ、北朝鮮との対話に意欲的でしたけど、人道支援で国際社会から大ブーイングを受けたあとは、さすがに諦めたみたいです」

注視すべきは半島崩壊後の国際情勢

 北朝鮮という国、それを取り巻く周辺諸国の事情を考えると、米朝戦争は、もはや避けられないようだ。しかし、北朝鮮より警戒するべき国があると高橋氏は続ける。注視すべきは「米朝戦争ではなく、その後の半島情勢」だと言う。

 「世間では、北朝鮮のミサイル、それが引き金となる米朝戦争勃発が話題になっていますが、アメリカや中国をはじめとする当事国の間では、すでにポスト金正恩体制について、話し合いが行われているはずです。つまり、金正恩体制崩壊後、どの国が北朝鮮を統治するのか。そのことが今後、非常に重要になってきます。おそらくは、中国が傀儡政権を置き、統治することになるのでしょうが、朝鮮半島の半分を手に入れることにより、東アジアでの中国の力はますます大きくなるでしょう。

習近平
 10月の中国共産党大会で、党の規約に「習近平思想」を盛り込んだ習近平主席 習近平主席は党総書記に就いた直後、「中国の夢」というスローガンを掲げ、建国から100年にあたる2049年までに「社会主義の現代化した国家」を目指すとしています。これは、列強に半植民地化されたアヘン戦争以前の大国の地位を取り戻すことだと解釈できます。この中国に対し、日本はどう対応していくのか? 米朝戦争よりも、実はこのことが今後、大きな問題になってくると私は見ています」

 現在でも東シナ海問題で横暴な行動を繰り返す中国。10月の党大会で2期目を迎えた習近平主席は、その際「ポスト習近平」を指名せず、3期継続を目論んでいるといわれている。「中国の夢」は「周辺国の悪夢」に他ならない。なんとか阻止をしたいが、こちらもやはり対話では解決できないのだろうか?
<文/日刊SPA!取材班 協力/高橋洋一>

【高橋洋一】
嘉悦大学教授。1955年(昭和30年)、東京都生まれ。東京大学理学部数 学科・東京大学経済学部経済学科を卒業。博士(政策研究)。1980年(昭和55年)に大蔵省(現・財務省)入省。大蔵省理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣参事官等を歴任した。第一次安倍内閣では経済政策のブレーンとして活躍。「霞が関埋蔵金」の公表や「ふるさと納税」「ねんきん定期便」などの政策を提案。12月24日に最新刊『朝鮮半島 終焉の舞台裏』が発売

【私の論評】北の運命は日米中露の中では既成事実!後は実行するだけ(゚д゚)!

現時点では、「北朝鮮問題は春までに開戦or北朝鮮のギブアップ」が不思議ではない2つの根拠の他にも、少なくとも2つは根拠があるものと思います。


一つは、拉致被害者の存在です。日本、韓国そうして数は少ないものの、米国にも拉致被害者が存在します。一人は、今年北朝鮮から米国に戻された後に死亡したオットー・ワームビア氏(22)、もう一人は2004年に中国で失踪し、北朝鮮に拉致された疑いが指摘されている米国人男性デービッド・スネドン氏です。

デービッド・スネドン氏
スネドン氏については、中国雲南省から国境を接するミャンマーに拉致されて平壌に移送され、その後現地の女性と結婚し「ユン・ボンス」と名乗っているとの情報を、昨年8月に「戦後拉北者被害家族連合会」の崔成龍理事長が北朝鮮内の消息筋から得たと明らかにしていました。

国民国家の重要な使命の一つとして「国民の生命・財産を守る」というものがあります。米国民の拉致被害者が存在していること、同盟国の日本と韓国の多くの国民が拉致被害者となっていることも、米国が北朝鮮に対して武力攻撃をする理由の一つなるでしょう。

もう一つは、ブログ冒頭の高橋洋一氏の記事にもあるように、「アメリカや中国をはじめとする当事国の間では、すでにポスト金正恩体制について、話し合いが行われているはず」ということです。

これについては、北朝鮮版ヤルタ会談ということで、このブログにも掲載しています。その記事のリンクを以下に掲載します。
北朝鮮危機「アメリカには安倍晋三が必要だ」―【私の論評】北朝鮮版「ヤルタ会談」のキーマンは安倍総理(゚д゚)!
詳細に関しては、この記事をご覧いただくものとして、以下に北朝鮮版「ヤルタ会談」に関係す部分を引用します。

北朝鮮問題に関しては、今年の末から、来年の前半あたりには必ず何らかの動きがあります。最悪の場合は、米国による爆撃などの武力行使があることでしょう。この場合、中国の参戦もあるかもしれません。あるいは、制裁に北朝鮮が折れて何らかの進展があるかもしれません。 
いずれになるにしても、間違いなく、来年前半あたりには必ず動きがあります。
安倍総理とトランプ大統領
その前に、11月に日米首脳会談、米中首脳会談があります。また、APECでの各国首脳会談には、ロシアも出てくるでしょう。それらの国際会議では、北朝鮮問題が話し合われるのは間違いありません。これらは、北朝鮮版「ヤルタ会談」ともいうべきものです。

「ヤルタ会談」とは無論のこと、第二次世界大戦終了直前の当時のアメリカ合衆国・イギリス・ソビエト連邦による首脳会談です。ソ連対日参戦、国際連合の設立について協議されたほか、ドイツおよび中部・東部ヨーロッパならびに極東における米ソの利害を調整することで、大戦後の国際レジームを規定したものです。これが、後に東西冷戦の端緒ともなりました。

こうした北朝鮮版ヤルタ会談ともいえる、会議において、安倍首相は大きな役割を果たす可能性が高まってきました。これらの会議では、北朝鮮が最終的に戦争に突入した場合と、制裁に屈した場合の両方について、協議が行われることでしょう。
いずれにしても、この重要な会議において、再び極東のレジームが定められることは間違いありません。そうして、この新たなレジームを定めるにあたり、経験の浅く、本土が北朝鮮からかなり離れている米国のトランプ大統領だけが、北朝鮮に国境を接している中国・ロシア首脳と会談をすすめるということになれば、米国にとっては不利な状況になります。
しかし、日米同盟の同盟国でもある、半島情勢に大きく左右される日本がこの会議に参加し大きな役割を果たせば、米国も中国やロシアと対等に話ができます。

そうして、この会議で最も重要なのは、「ヤルタ会談」のように、大戦後の国際レジームを規定が齟齬をきたして、後の東西冷戦を招いたようなことにならないようにすることです。

北朝鮮が戦争するか、しないで制裁に屈服した場合のいずれの場合でも、その後に再度北朝鮮が核武装をしたり、米中露による新たな冷戦が起きないようしなければならないのです。

そのためには、やはり日本がリーダーシップを発揮しなければ、とんでもないことになってしまいます。

まさしく、北朝鮮版「ヤルタ会談」においては、安倍総理はキーマンなのです。そうして、ヤルタ会談では日本を含む極東レジームも定められましたが、北朝鮮版「ヤルタ会談」では新しい極東レジームが定められることになります。

とすれば、極東レジームの日本の戦後レジームも崩壊することになります。これは、まさに安倍総理が取り組んできたことです。
もうすでに、「北朝鮮版ヤルタ会談」は終了しています。日米中露の間で、すでに北朝鮮の運命は決まっていることでしょう。それは、中露は米国が北攻撃を容認すること、さらには攻撃後の半島の新たな秩序に関してもこれらの国々の間で合意ができていて、その通りになることでしょう。

ただし、私はブログ冒頭の記事で、高橋洋一氏が主張しているように、「金正恩体制崩壊後、どの国が北朝鮮を統治するのか。そのことが今後、非常に重要になってきます。おそらくは、中国が傀儡政権を置き、統治することになるのでしょうが、朝鮮半島の半分を手に入れることにより、東アジアでの中国の力はますます大きくなるでしょう」ということにはならないと思います。

なぜなら、日米は当然中国のこの危険性を察知していることと、中国が北朝鮮に傀儡政権をつくることは、 中国にとっても実は危険なことだからです。

なぜ中国にとって危険なのかは、このブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【北朝鮮危機】朝鮮半島の最悪シナリオに備えよ 「中国が実質的に支配」なら日本は脅威を直接受けることに―【私の論評】中国が北実効支配なら習近平は寝首をかかれる(゚д゚)!
米中の「二大大国の覇権争い」で朝鮮半島の危機を考えたとき、日本はどう動くべきか
それが現実になるかならないかは別にして、習近平は現在の中国東北地方を拠点とする人民解放軍の北部戦区(旧瀋陽軍区)のクーデターが発生することを恐れています。北に進駐するのは、この北部戦区の人民解放軍であることが想定されます。

北部戦区の人民解放軍が北に進駐することは、習近平は極度に嫌うものと考えられます。

この記事から、それに関係する部分を以下に引用します。
この瀋陽軍区は特に中国人民解放軍の中でも、最精強を誇り、機動力にも優れています。 
朝鮮戦争(1950~53年休戦)の戦端が再び開かれる事態への備え+過去に戈を交えた旧ソ連(現ロシア)とも国境を接する領域を担任する旧瀋陽軍区には、軍事費が優遇され、最新兵器が集積されています。 
大東亜戦争(1941~45年)以前に大日本帝國陸軍がこの地に関東軍を配置したのも、軍事的要衝だったからです。 
習国家主席は、北京より平壌と親しいとされる「瀋陽軍区」によるクーデターを極度に恐れているといわれています。「瀋陽軍区」高官の一族らは、鴨緑江をはさみ隣接する北朝鮮に埋蔵されるレアメタルの採掘権を相当数保有しています。

これは、「瀋陽軍区」が密輸支援する武器+エネルギー+食糧+生活必需品や脱北者摘発の見返りです。北朝鮮の軍事パレードで登場するミサイルや戦車の一部も「瀋陽軍区」が貸している、と分析する関係者の話もあります。 
もっと恐ろしい「持ちつ持たれつ」関係は核・ミサイル製造です。中国人民解放軍の核管理は《旧・成都軍区=現・西部戦区》が担い「瀋陽軍区」ではありません。「瀋陽軍区」は核武装して、北京に対し権限強化を謀りたいのですが、北京が警戒し許さないのです。

ならば、核実験の原料や核製造技術を北朝鮮に流し、または北の各種技術者を「瀋陽軍区」内で教育・訓練し、「自前」の核戦力完成を目指すということも考えられます。 
実際、2016年、中国の公安当局は、瀋陽軍区→北部戦区の管轄・遼寧省を拠点にする女性実業家を逮捕しました。高濃度ウランを生み出す遠心分離機用の金属・酸化アルミニウムなど核開発関連物資や、戦車用バッテリーなど大量の通常兵器の関連部品を北朝鮮に密かに売りつけていたのです。戦略物資の(密輸)重油も押収されました。
このようなことから、私は北の現在の体制が崩壊した後は、習近平はそれを中国の傀儡政権にするというよりは、日米中露およびその他の国々の軍隊により組織される国連軍による分割統治のほうを望むのではないかと思います。

いずれにせよ、今回は北に民主的な政権が根付くようにすべきと思います。そうでないと、またこの地域が紛争の絶えない地域になり、新たな脅威の火種になるだけです。

また、この分割統治に日本が参加するかどうかは、未知数です。日本は、この分割統治にどのように臨むかが、これからの日本の試金石になると思います。

これを日本を拒めば、米国も中露も日本を韓国なみの国とみなすようになるでしょう。これに対して多少犠牲者がでることも厭わず参加すれば、米国は今後も同盟国として扱い、さらに日本に対する信頼を増すことでしょう。中露は、日本を侮れない存在として再認識することになるでしょう。具体的には、中国は尖閣奪取をためらうようになるかもしれません。露は北方領土問題を真面目に考えるようになるかもしれません。

いずれにせよ、このシナリオが成就するかどうかは別にして、すでに北の運命は日米中露の中では、既成事実として決まっていることでしょう。後は実行するだけなのです。今は適当な実行時期を模索している段階です。そうして、北朝鮮はその運命を変えることはできません。

【関連記事】

【北朝鮮危機】朝鮮半島の最悪シナリオに備えよ 「中国が実質的に支配」なら日本は脅威を直接受けることに―【私の論評】中国が北実効支配なら習近平は寝首をかかれる(゚д゚)!

北朝鮮「兵士亡命」が招く戦争の危機―【私の論評】北朝鮮有事は最悪、北と韓国による米・中・露の代理戦争になり得る(゚д゚)!

2017年11月2日木曜日

安倍首相が増税撤回する可能性は十分 その根拠とは―【私の論評】既に総理は財務省に10%増税凍結の宣戦布告をしている(゚д゚)!

安倍首相が増税撤回する可能性は十分 その根拠とは

 日本経済を「デフレ逆戻り」の道から方向転換させ、成長路線に乗せるには、2019年10月に予定されている消費税10%引き上げの「再々々延期」が必要だ。

 国民の多くは、はっきり増税を公約して選挙で国民の信任を受けた安倍晋三・首相が、いまさら増税を撤回するとは想像もしていないだろう。が、経済評論家の上念司氏は、その可能性は十分あると見る。

経済評論家 上念司氏
 「消費増税の怖さを身にしみてわかっている安倍首相は本音では増税はしたくないし、できれば“凍結”してしまいたいと考えている。しかし、それを言い出せなかった。

 法律で決まっている増税を延期や凍結するには法改正が必要です。過去2回の増税延期の時は“安倍一強”の力があったから財務省や党内の増税推進派をねじ伏せることができたが、支持率低下で安倍さんにはかつてほどの力がなくなり、今回の総選挙では増税推進派に配慮して『予定通り消費税を引上げて税収の使途を変える』と言わざるを得なかった」

 それが選挙大勝で状況が変わった。

 「国政選挙5連勝で再び求心力を取り戻した安倍首相は、消費税凍結を言える力を取り戻した。消費税を本当に引き上げれば、景気は急激に悪化し、国民の不満が高まって今度こそ安倍政権は終わりに向かう。

 そのため、2019年夏の参院選で『やはり五輪前に景気の腰を折るわけにはいかない』とやりたかった増税凍結を掲げて戦う可能性があります。ただし、それでは遅い。実施まではまだ2年あるとはいえ、景気を考えればできるだけ早く凍結を宣言すべきです」(同前)

 安倍首相が「増税」を公約して選挙に勝ったことで、逆に本来やりたかった「増税凍結」をする力を得たという見方である。

 ※週刊ポスト2017年11月10日号

【私の論評】既に総理は財務省に10%増税凍結の宣戦布告をした(゚д゚)!

私も、安倍総理はできれば10%増税はしたくないと考えていると思います。ただし、今回の衆院選では、上念司氏がブログ冒頭の記事に述べているように、増税凍結を公約にしなかったのでしょう。

何しろ、昨日のこのブログでも述べたように、「まさに消費増税ありきの財務省の走狗のような政治家が日本の圧倒的大多数です。むしろ財務省的な経済政策観をもたない政治家を数える方が容易なくらいです。アベノミクス(の金融政策中心)的政策観をもつ国会議員は、その数は二桁にも満たないでしょう」というような状況です。

安倍総理としては、2年も先の10%増税に関して、これを争点にすれば、選挙戦に悪影響が出ると判断して、今回は争点にしなかったのです。

そうして、消費税凍結を今回の衆院選の争点としないことを前提とた上で、"消費税を引上げる前提で税収の使途を変える"という発言をしたと考えています。そうして、その意図に関して以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
民進は共産と共闘するのか 増税凍結提言で維新好機、準備不足が響く小池新党―【私の論評】消費増税凍結が争点となりえない裏事情(゚д゚)!
財務省は、資産など無視して、負債の額のみを示して、これを「国の借金」としています。これは、明らかに虚偽です。 
これについては、以下の動画をご覧いただけると、さらにご理解いただけるものと思います。


「税と社会保障の三党合意は財務省によるペテンだった」という驚くべき内容です。実際財務省は、税と社会保障の一体改革として、消費税を社会保障の財源とするということで、三党を騙して、ほとんど危機的とはいえない国の借金の返済のなどの名目で、資産を溜め込んでいるのです。無論溜め込んだ資産は、将来様々な天下り先を構築し、財務省退官後のゴージャスなハッピーライフを送るための準備資金ということでしょう。
このような事実を安倍総理は十分理解していて、借金返済に充てる約4兆円の一部を教育無償化に回すことを検討という形で、財務省の、この溜め込み姿勢を批判しているのです。
そうして、以上のようなことから、安倍総理が今回の選挙では、増税を争点としないということは、どういうことか、今一度考えてみると、以下のようなことがいえると思います。
来年生誕90周年を迎える池田大作氏
まずは、首相の今回の解散決断は、北朝鮮情勢の緊迫化、内閣支持率の好転、上の動画にも掲載されていたように、公明党の来年の池田大作氏生誕90周に対する配慮など様々な要因が重なったための急ごしらえのものであるということがあります。
そのため、政治的な駆け引きが必要な消費増税の凍結や再々々延期などは全く無理です。10%の消費増税は、2019年10月に実施されることはすでに法律で決まってることです。これを凍結ないし再々々延期するには法律を修正するか、新しい法律を国会で通す必要があります。
そのためには、国会で消費税増税に反対する議員が多数派になっていなければなりません。無論、その前に安倍総理は自民党内をまとめる必要があります。
そもそもそのための政治日程など、組まれていませんし、白紙の状態にあると見て間違いないです。ちなみに他の野党・新党に至っては、たとえ言ってみたとしてみても、それを争点にして自党に選挙戦を有利にするまでの準備も何もない状況です。
そうして、上の読売新聞の記事のプライマリーバランス2020年問題に関しては、安倍総理の単なる口約束のようなものであり、いつでも撤回できるものであり、これは安倍総理による消費税の分配という形を借りた財務省批判と見るのが妥当だと思います。一般の人はもとより、政治家ですらも気づかないでしょうが、財務省の高級官僚たちは気づいていると思います。
実際、今回の衆院選では、維新の党のように、増税凍結を公約にした党もありましたが、維新の党の凋落にみるように、増税凍結が争点になったとは到底思えません。

私も、上念氏と同じように、安倍首相が増税撤回する可能性は十分あると見ています。安倍総理は、2年後に向けて着々と増税凍結のために様々な手を打っていくことでしょう。

というより、"借金返済に充てる約4兆円の一部を教育無償化に回すことを検討"という発言そのものが、財務省に対する最初の宣戦布告であり、「増税による税収を国の借金などという得体のしれないものには使わせない、その先には無論増税凍結もある」という意思表示であると見ています。

そうして、この戦いは意外と有利かもしれません。そもそも、民進党が分裂してできた、立憲民主党と、旧民進党が大勢をしめる希望の党も、今回の選挙では10%増税の見送りを公約にしています。先に、述べたように維新の党も増税見送りを公約にしました。

さらに、三党合意の当事者である民進党は事実上崩壊しています。今後、完璧に崩壊すれば、三党合意そのものが、意味をもたなくなる可能性もあります。

これらのことから、意外と消費税増税法案の改廃はスムーズに進む可能性が高いと思います。いずれにせよ、財務省ならびに、選挙対策として増税反対とは言ってみたものの、その実財務省の走狗である多くの政治家は、度肝を抜かれる時がやってくると思います。

私は、既に総理は財務省に10%増税凍結の宣戦布告をしているとみています。

【関連記事】

民進は共産と共闘するのか 増税凍結提言で維新好機、準備不足が響く小池新党―【私の論評】消費増税凍結が争点となりえない裏事情(゚д゚)!

小泉進次郎氏「総理養成ギプス」装着され安倍氏も恐れる男に―【私の論評】総理は進次郎ではなくその背後の財務官僚を恐れている(゚д゚)!

2016年10月18日火曜日

「リフレ派敗北」という人の無知と無理解と統計オンチ デフレに逆戻りさせるのか―【私の論評】俗説、珍説を語る輩はエビデンス(証拠・根拠、証言、形跡)を出せ(゚д゚)!

「リフレ派敗北」という人の無知と無理解と統計オンチ デフレに逆戻りさせるのか

日銀が金融政策の検証を行ったことを受けて、金融緩和によるデフレ脱却を主張する「リフレ派」の「敗北」や「失敗」を強調する報道が見受けられる。「異端の理論を実験したが、失敗して路線変更を余儀なくされた」といった論調もある。

だが、「異端」というのは日本のマスコミや学会だけの話である。世界の中央銀行はリフレ的な考え方で運営されている。

こうした批判者は、日銀が「金利」重視に変更したことで、これまでお金の「量」が重要だと主張してきたリフレ派が敗北したと言いたいのだろう。

たしかに、名目金利にこだわる従来の金融政策を批判するために、実質金利に注目すべきことや、量的緩和が重要であることを筆者は主張してきた。

だが、金融理論では、実質金利を決めれば量が決まり、逆に量が決まれば実質金利が決まるという「1対1対応」の関係にある。この意味で、量か金利かというのは、さほど本質的なことではない。

この等式が頭に入っていないお粗末な経済記者や経済学者が多い
図表・写真はブログ管理人挿入以下同じ
「名目金利をゼロ以下に下げにくいのだから、もう金融政策は無効だ」という従来の金融政策に対して、「予想インフレ率を高めれば実質金利(名目金利から予想インフレ率を差し引いたもの)を大きくマイナスにすることもできる」と主張してきたのがリフレ派である。そのための手段の一つが量であるが、決して量だけを強調してきたわけではない。

筆者は、日銀の2013年以降の金融政策を評価している。なにより就業者数が増加し、失業率は低下するなど雇用環境が良くなった。これはマクロ経済政策としてクリアすべき必須条件だ。

こう言うと、冒頭の批判者は「人口、とりわけ生産年齢人口が減っているからだ」と反論する。しかし、人口減少は05年から、生産年齢人口減少は1995年から始まっており、アベノミクスの金融緩和による結果とは無関係だ。「リフレ派の敗北」といった記事を書く人は統計数字をまったく読めない人たちだというほかない。

ただし、筆者は9月に日銀が決めた政策には不満がある。金融緩和か引き締めかでみれば、現状維持で、何もしていないのと同じだからだ。

筆者の計算では、失業率は現在の3・1%から2・7%程度まで下げることが可能だ。しかも、現状のインフレ率はゼロ近辺で、目標の2%まで達していないため、失業率を下げてインフレ率を高める金融緩和を実施するのは当然だ。

今回それを日銀はやらなかったので、筆者の評価は、やるべき時にやらなかったという意味で「日銀はサボった」となる。

野球の試合にたとえれば、日銀は5対0でリード、追加点2点を取ればコールドゲームというチャンスなのに、絶好球を打ち損じた-というところだ。

リフレの批判者は、ほぼ例外なく実質金利を理解できていない。冒頭のような批判者も、金融政策は無効であり、他の政策を行うべきだと主張する。しかし、これまで雇用増加に寄与し、さらなる増加も見込まれるのに、もう金融政策をやるなというのは、デフレに逆戻りせよというのと同じだ。失われた20年間の教訓がまったくない、デフレの犯人ともいえる。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】俗説、珍説を語る輩はエビデンス(証拠・根拠、証言、形跡)を出せ(゚д゚)!

高橋洋一氏の上の記事では、「日銀はサボった」との記述もありますが、過去においてはまともに実行していた時期もあります。そうして、あまりにも当然のことなので、わざわざ触れていませんが、量的金融緩和政策をまともにやっていたときでも、8%増税などという馬鹿げた政策をやってしまったので、せっかくの量的金融緩和の腰を折ったというのも事実です。

もし、消費税増税をしていなければ、量的金融緩和の政策の効果が至るところに現れていて、「リフレ派」の「敗北」や「失敗」などという論調など全く影を潜めていたことでしょう。

さらに、量的金融緩和政策には、量的金融緩和政策には、一定期間のラグがあるということも理解すべきです。それに関しては、以下の表をご覧いただければご理解いただけるものと思います。

岩田規久男「デフレをとめよ」(日本経済新聞社)第6章 IS-LM2分析で記述

量的金融緩和政策を実行したからといって、その効果がGDPの上昇、失業率の上昇、インフレ率の上昇という形になってあらわれるのは、約2年かかるということです。これは、何も後付で解説しているのではなく、最初からわかっていたことです。

日銀の量的金融緩和政策は、2013年4月から実施されてます。もし、増税せずにそのまま金融緩和を続けていれば、2015年にはGDPも上昇していたことでしょう。

ただし、GDPは上昇してはいないものの、過去に量的金融緩和を実施し続けてきたことにより、失業率はかなり下がり、新卒の就職率もここ数十年ほどなかったほどの高水準です。実質賃金も上昇基調にあります。

特に新卒雇用に関しては、2013/03/09にはYouTubeで以下の様な動画が掲載されていたことを考えると、隔世の感があります。



この動画は、『「就活狂想曲」animation "Recruit Rhapsody"』というタイトルで、「ごく普通の大学生として何となく過ごしてきた主人公。ところが近頃友人たちの様子がおかしい。聞けば、彼らは噂の"就活"に躍起になっているらしい。それが一体どのようなものなのか見極められぬまま、主人公もまた「ニッポン式就活」の渦中へと引きずり込まれて行く」というストーリーです。

わずか3年ほど前には、このような悲惨で異様な就活が一般的だったのが現在のような状況になったのですから、現状までの量的金融緩和が失敗だったなどというのは全くの間違いです。

高校や大学の就職担当の先生方は、この違いを一番良く理解しているでしょう。それに、多くの若者達もこれをよく実感または、体感していることでしょう。そのためでしょうか、多くの若者はアベノミクスの継続を希望しています。

しかし、2014年4月から8%の消費税増税を実行してしまったため、その悪影響でGDPはいまだにはっきりとした上昇基調にはありません。

会社経営でも、一旦業績をかなり落とした企業が、回復して成長軌道にのるためには、何か対策を打ってそれが効き目があったにしても、数年かかります。量的金融緩和政策も同じことで、緩和したからといって、半年、1年で目に見えてすぐに効果でるというわけではありません。

それに、一旦業績を落とした企業が何か対策を打ったにせよ、まだ会社の業績が回復しきっていない状況にあるにもかかわらず、大規模な設備投資や賃上げを行ってしまえば、ふたたび会社の業績を落とすのは目に見えています。

このたとえが、良いものであるかはどうかはわかりませんが、量的金融緩和政策を実行中似、減税ではなく増税を実行してしまうというのは、企業経営でいえば回復途上にある会社が大規模な設備投資や賃上げを行ったのと、同様で、GDPがいまいち伸びないのは当然すぎるほど当然です。

量的金融緩和政策はまさに、失敗したのでも何でもなく、増税さえしなければ今頃十分に成果をあげていたはずなのが、増税をしてしまったために、その途上にあるということです。

その根拠として、ブログ冒頭の記事で高橋洋一氏は「失業率は現在の3・1%から2・7%程度まで下げることが可能だ。しかも、現状のインフレ率はゼロ近辺で、目標の2%まで達していないため、失業率を下げてインフレ率を高める金融緩和を実施するのは当然だ」としています。

特に、失業率に関してはまさに、高橋洋一氏の言うとおりです。それに関して以下に若干の説明を加えます。

総務省では、失業を発生原因によって、「需要不足失業」、「構造的失業」、「摩擦的失業」の3つに分類しています。
需要不足失業―景気後退期に労働需要(雇用の受け皿)が減少することにより生じる失業
構造的失業―企業が求める人材と求職者の持っている特性(職業能力や年齢)などが異なることにより生じる失業
摩擦的失業―企業と求職者の互いの情報が不完全であるため、両者が相手を探すのに時間がかかることによる失業(一時的に発生する失業)
この3つの失業のうち、需要不足失業は金融緩和などの政策によって、解消しうる失業です。構造的失業と、摩擦的失業は金融緩和などの政策によっては解消できない失業です。このうち、摩擦的失業は最近ではインターネットなどが発達したため、情報共有が進みあまりみられらなくなりました。現在では、あまり考慮しなくても良いといえるものです。

量的緩和政策により失業率が下がり需要不足失業が全くなくなったとしても、構造的失業は依然として残るわけです。この構造的失業率を高橋洋一氏は2.7%であると見ているわけです。

以下に、過去の完全失業率のグラフを見ておきます。過去の失業率でも、97年以降からは日本は完璧にデフレに突入しましたし、その数年前からデフレ気味でした。ですから、このあたりの失業率はあまり参考になりません。


それ以外の期間の失業率をみると、87年を例外として、ほとんどが2.0%と3%の間に収まっています。この前の年の1986年には、日本経済は円高不況に陥っていました。失業率の悪化はその影響であると思われます。

このように過去の傾向からみても、日本の失業率の下限(≒構造的失業率)は、やはり3%未満、おそらく2.7%であるとみるべきでしょう。これは、かつてデフレでなかった頃の、日本では失業率が3%を超えるとそろそろ赤信号と言われていたことと、符号します。

そうなると、失業率が2.7%になるまでは、量的金融緩和政策を続けるべきという結論に落ち着くのは当然のことです。

さらに、2%の物価目標も達成されていないわけですが、やはり量的金融緩和は絶対に必要であるという結論になります。

「リフレ派」の「敗北」や「失敗」等と主張する方々には、そのような主張をする前に、誰もが納得するエビデンスを出せといいたいです。

エビデンスがないのなら、日本を再びデフレ(証拠・根拠、証言、形跡)に戻すような主張をするのは厳に慎むべきです。

【関連記事】




2016年10月11日火曜日

米国防省が恐怖の分析、中国の核攻撃で日本は絶滅?―【私の論評】日本が核武装をすることになるであろう4つの根拠はこれだ(゚д゚)!

米国防省が恐怖の分析、中国の核攻撃で日本は絶滅?
ワシントン・フリー・ビーコンのバナー 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 日本は中国に死者3000万人の被害をもたらす核ミサイルを10年以内に開発することができる。一方、中国は日本に対して3400万人の死者を出す核攻撃をかけることが可能だ――。

 まるで恐怖をあおるサイエンスフィクションのような物騒な推定が米国防総省委託の研究報告で明らかにされた。

■ 米国同盟国の間で徐々に高まっている核武装論

 米国・ワシントンのインターネット新聞「ワシントン・フリー・ビーコン」は10月7日、「ペンタゴン(米国防総省)が将来の日本の核兵器と対中戦争について研究」という見出しの記事を掲載した。

 この報道をスクープしたのは、米国の軍事戦略を専門とするビル・ガーツ記者である。ガーツ記者は、国防総省の「相対評価局(ONA)」が今年6月にワシントンで開催した「核作戦とその意味」と題する研究集会の報告書の主な内容を伝えていた。

 ONAは国防長官に直結する研究調査機関で、米国にとって10年以上の単位で長期的な脅威となりうる諸外国の軍事動向や、同盟国を含めた米国側陣営に対する脅威への対応策について研究することを主任務としている。

米国国防総省 通称「ペンタゴン」
同新聞の報道によると、ONAがこの種の研究に取り組んだ背景には以下のような要因がある。

 (1)米国は同盟諸国に対して「拡大核抑止」(核の傘)を誓約してきた。しかし、オバマ大統領が「核なき世界」や「核先制不使用」政策を掲げることで、その制約への信頼が失われている。その結果、同盟国の間で核武装論が徐々に高まりつつある。

 (2)オバマ政権が米国の核戦力を進化・改良させないのに対し、中国やロシアは核戦力の近代化を進めており、米側の抑止力が相対的に弱くなった。

 (3)北朝鮮が核武装を完了させ、イランも10年後には核兵器開発が確実だとみられるようになった。

 こうした諸要因が、米国の核兵器による戦力や抑止力のあり方を根本から再検討するという作業につながったというわけだ。

■ 日本が核兵器開発に着手するきっかけとは

 この研究結果は、ONAが委託した民主党系の民間防衛シンクタンク「長期展望戦略グループ」によって報告書としてまとめられた。同報告書によると、日本の目の前には核武装という選択肢があるという。その主な理由は、「中国や北朝鮮による日本への核攻撃や核威嚇に対する米国の核安全保障が弱くなり、やがて、中国や北朝鮮を抑止するには不十分になると、日本は恐れている」からだ。

 そして、以下のような事態が契機になって日本が核兵器開発に着手する可能性があるという。

 ・韓国の核兵器開発
 ・イランの核武装
 ・中国あるいはロシアによる核兵器の使用

 同報告書は、上記のような事態が起きれば米国の核政策に大きな変化が起きて、緊密な同盟関係にある日本の核武装に対して寛容な姿勢へシフトする可能性がある、と述べる。

 同報告書はその上で、日本の核武装の可能性について以下のように記述していた。

 ・日本政府は一度決定を下せば、現在の原子力技術や宇宙開発技術、巡航ミサイル、潜水艦の技術を基に、10年以内に核兵器を完成させることが可能である。

 ・同研究集会に参加したONAの専門家たちは、日本は自国で開発した核兵器を実際に地上や宇宙ロケット、潜水艦などに配備するだろうと予測していた。

 ・安倍政権も認めているように、日本の現行憲法は核兵器保有を禁じてはいない。米国としてもこの点を重視する必要がある。

■ 中国の核攻撃で日本は国家絶滅の危機に

 さらに同報告書は、日本と中国が尖閣諸島の領有権をめぐって争い、場合によっては日中戦争へと発展する危険性があることを指摘する。その上で、日中両国の将来の核戦力の威力についても次のように触れていた。

 ・日中間で全面戦争が起きた場合、日本は地上配備、あるいは潜水艦発射の核ミサイルにより中国に最大で死者3000万人の被害をもたらす破壊能力を保持するにいたる。

 ・中国側は現状でも日本に核攻撃をかけて死者3400万人の被害を与える能力がある。この死者は日本の総人口の27%であり、日本は国家絶滅の危機に瀕することとなる。

 同報告書は、こうした調査、研究の結果を踏まえて、米国政府が日本への拡大核抑止の保証を従来通りに堅持することが最も賢明で合理的な政策だという結論を示唆していた。

 現在、米国では世界の唯一の超大国、そして日本の同盟国という立場から、この種の仮定に基づく安全保障研究が大胆に行われている。起こしてはならない最悪の想定のシナリオを事前に研究しているのである。たとえ仮定のまた仮定でもこの種の軍事シナリオがタブー視されている日本とは対照的に米国は現実を見据えているというわけだ。

古森 義久

【私の論評】日本が核武装をすることになるであろう4つの根拠はこれだ(゚д゚)!

冒頭の記事で、「安倍政権も認めているように、日本の現行憲法では核兵器保有を禁じてはいない」という記述には驚かれた方々も大勢いると思います。

しかし、政府は今年4月に「憲法は核兵器保有を禁じず」とした政府答弁書を決定しました。日本は憲法9条で「戦力不保持」をうたい、「非核三原則」を掲げています。意外な気もしますが、これは政府の方針変更というわけではなく、従来の政府見解と同様のものです。例えば1978年に当時の福田赳夫首相は、非核三原則があるとしながら、「憲法9条の解釈として絶対に持てないということではない」と答弁しています。

民進党の逢坂誠二議員と無所属の鈴木貴子議員からの質問に対する回答において、に対する回答において、政府は「自衛のための必要最小限度の実力保持は憲法9条でも禁止されているわけではなく、核兵器であっても、仮にそのような限度にとどまるものがあるとすれば、保有することは必ずしも憲法の禁止するところではない」という解釈を示しました。

政府は、この答弁は従来と同趣旨の説明だとしています。

核兵器の使用が認められるか否かについては、国際法、日本国憲法など国内法、日本の政策を区別してみていく必要があります。

国際法においては、核兵器が違法で禁止されているか、各国の考えは一致していません。日本政府は、戦後間もないころ違法だとみていたことがありました。1960年、フランスがサハラ砂漠で核実験を行い、アフリカ諸国を中心として、核兵器は国連憲章や国際法に違反しており禁止すべきだという決議案が国連総会に提出されたとき日本は賛成したのです。

しかし、中国が核兵器を開発したことなど、国際政治において核の抑止力に頼らざるを得ない状況になり、それ以後、日本は核兵器を違法であり、禁止されるとすることに賛成していません。

一方、日本国憲法では、核兵器が違法で禁止されている、あるいは、いないなどと直接的に規定されていません。第9条の、国際紛争を解決する手段としては「武力の使用を永久に放棄する」という規定の解釈にゆだねられています。

1954年に日本政府は、「日本に対して武力攻撃が加えられた場合に、国土を防衛する手段として武力を行使することは、憲法に違反しない」という解釈を示しました。この考えに立って創設されたのが自衛隊です。それ以来、政府は「自衛のための必要最小限度の実力を持つことは憲法で禁止されていない」という解釈を維持しています。ここで言う「実力」が武器のことです。

では、核兵器は憲法が認めている自衛のための武器にあたるでしょうか。

核兵器は一度使用されると市民に甚大な被害をもたらしますので、「自衛のために必要最小限度」の武器か、その範囲を超えるのではないかという疑念を抱かれるのは当然ですが、日本政府は、冒頭で引用した答弁のように「核兵器であっても自衛のために必要最小限度にとどまるものがありうる」という立場です。

「安倍政権も認めているように、日本の現行憲法では核兵器保有を禁じてはいない」とは、まさにこのことです。

しかし、核兵器が禁止されているかいなかについては、さらに次の2つの点を勘案する必要があります。

一つは日本が、「核を持たず、作らず、持ち込ませず」の非核三原則を表明したことです。しかし、これは政府による表明であり、撤回することが全く不可能というわけではありません。

もう一つは、日本は、1976年に批准した核兵器不拡散条約(NPT)で、核兵器の保有、使用など一切のことが国際法上、禁止されていることです。

しかし、このブログの冒頭の記事でも述べられているように、米国は同盟諸国に対して「拡大核抑止」(核の傘)を誓約してきたのですが、オバマ大統領が「核なき世界」や「核先制不使用」政策を掲げることで、その制約への信頼が失われています。その結果、同盟国の間で核武装論が徐々に高まりつつあります。日本だけが例外であるとはいえません。


日本としては、核武装も国内で十分議論すべきです。議論する事自体が、抑止力になる可能性が十分あります。私として、いずれ核武装することになるのではないかと思っています。その根拠をいくつかあげておきます。

まずは、ブログ冒頭の記事にもあるように、中国側は現状でも日本に核攻撃をかけて死者3400万人の被害を与える能力があり、この死者は日本の総人口の27%であり、日本は国家絶滅の危機に瀕することなるという潜在的脅威があるからです。

以下に、中国人民解放軍対日攻撃概念図をあげておきます。当然のことながら、核攻撃も含まれています。


さらには、最近の北朝鮮の頻繁なミサイル等の発射です。中国と北朝鮮の核兵器は日本を標的しているという事実があります。

次に、上院外交委員会全体が2013年に開いた「米国の対北朝鮮政策」と題する公聴会における「日本の核武装」論です。

この公聴会はタイトル通り、長距離弾道ミサイルの発射や核兵器の爆発の実験を断行し続ける北朝鮮に米国はどう対処すべきかが討議の主題でした。その流れの中で「日本の核武装」というテーマが再三再四、論じられたのです。

その論議の趣旨を最初に総括すると、以下のようになります。
米国は北朝鮮の核武装、特に核弾頭の長距離弾道ミサイルへの装備をなんとしてでも防ぐべきだ。だがこれまでの交渉も対話も圧力も制裁も効果がなかった。いまや北朝鮮の核武装を実際に非軍事的な手段で阻止できる力を持つのは中国だけである。
その中国がいま最も恐れるのは日本の核武装だ。だから日本の核武装というシナリオを中国に提示すれば、中国は北朝鮮の核武装を真剣になって止めるだろう。
その一方、北朝鮮が核兵器の保有国として国際的にも認知されるようになると、日本側で核武装への動きが起きかねない。米国政府は核拡散防止条約(NPT)の主唱者でもあり、日本の核兵器保有には反対だが、北の核武装が公然たる現実となった場合には、日本が核を持つ可能性も改めて米側で論議すべきだろう。
この時からすでに2年数ヶ月が過ぎ、北の核武装はまさに公然たる現実となっています。

第三に、以前にもこのブログに掲載した、バイデン副大統領によるヒラリー大統領候補に対する応援演説の中における発言内容です。これに関しては、以前このブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
<米国>バイデン副大統領「日本国憲法、米が書いた」―【私の論評】米国は場合によっては、日本の戦術核を容認する用意がある(゚д゚)!
8月15日にクリントン氏の応援演説をするバイデン副大統領
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部引用します。
バイデン氏はトランプ氏を「事実から学ぼうとしていない」と批判した上で、日本国憲法の話題に触れた。トランプ氏が今春、日本や韓国の核武装を容認する発言をしたことを念頭に置いたとみられ、「(トランプ氏は)学校で習わなかったのだろうか? 彼に(大統領として)核兵器発射コードを知る資格はない」とも非難し、会場は笑いに包まれた。 
バイデン氏は今年6月、米公共テレビ(PBS)のインタビューで、中国の習近平国家主席に対して北朝鮮の核開発阻止で協力を求める中で、「日本は事実上、一夜で核兵器を製造する能力がある」と伝えたことを明らかにしている。
・・・・・・・・・・・・・ 
中国が北朝鮮を懐柔することができずに、北朝鮮がこのまま核兵器の開発を続け、ICBMやSLBMの開発に成功して、米全土を核兵器の標的に収めることができるようになったとしたら、米国にとっては脅威ですし、そうなれば、米国としてもこれに対する備えをしなければなりません。 
これに対して、無論自らも備えるでしょうが、日本にも備えてもらえれば、より強固なものになります。米国からすれば、日本が米国も標的になるような核兵器ではなく、米国が標的にならないような短距離の核兵器を装備すれば、ベストでしょう。

さて、日本国憲法に関しては、バイデン副大統領が主張するように、事実上米国側が起草したものであることは周知の事実です。そうして、アメリカ議会は、すでに数年前から、日本憲法の改憲派が多数派になっています。
この記事では、おそらく米国は戦略核ではなく戦術核だけを容認することになるであろうことも指摘しました。

 第四に、日本に数万人単位のスパイを送り込んで、日本の情報に精通している中国は日本の核武装を懸念しているのは明らかです。

それについても、このブログで以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国人民解放軍内部文書「日本は2000発の核弾頭製造可能」―【私の論評】日本の核武装の意図は、それだけで外交カードになる(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくもとして、以下に一部を引用します。
 日本では原子力発電所の稼働によって、核兵器を製造するための原料であるウランやプルトニウムといった核物質を豊富に保有している。同時に、核兵器を持たない国のなかでは唯一、ウランの濃縮や使用済み燃料の再処理によるプルトニウムの製造技術といった、核兵器に転用可能な核物質を製造する一連の技術も保有する。それゆえ、日本は「2000発の核弾頭を製造できる」とし、それも「短期間で」と付け加えている。 
 さらに、文書は日本の核兵器製造をめぐる歴史的経緯や政治・経済動向、科学的な裏付け、日本の核武装正当化のための国際関係や領土問題に加え、日本の核武装を阻止するための中国の対応についても詳しく解説している。
この記事では、中国の海軍も、空軍も日本の自衛隊と比較すると実質的にかなり劣勢であり、唯一日本より優れているのは核武装のみであることを掲載しました。その中国からすれば、日本の核武装はかなりの脅威です。

日本の核武装は、中国、北朝鮮にとってかなりの脅威です。彼らからすれば、自分たちは核兵器を保有しているのに、日本は保有しておらず、米国の傘に守ってもらっている日本を見下し、オバマ大統領は、世界の警察官をやめることを宣言したので、最終的には自分たちの勝ちであると考えていたでしょう。

ところが、そこにきて、日本が核武装ということにでもなれば、彼らの核戦略どころか、国家戦略そのものが根底からくつがえされることになります。

これら4つの点から私は日本が核武装する日もそう遠くはないのではないかと思っています。

【関連記事】





2016年9月28日水曜日

【朝日新聞研究】「君が代」否定の根拠とされる五輪憲章 現実とはなはだしく乖離している―【私の論評】朝日もNHKもネガキャン手法に限界?左翼・リベラル・中国にさえ見放される(゚д゚)!

【朝日新聞研究】「君が代」否定の根拠とされる五輪憲章 現実とはなはだしく乖離している

8月20日NHK「おはよう日本」が報道した「五輪開催5つのメリット」
ブラジル・リオデジャネイロ五輪の代表選手団の壮行会(7月3日)で、2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(元首相)が「国歌も歌えないような選手は日本の代表ではない」と苦言を呈したことから、また国歌・君が代が話題になった。

国歌国旗法が成立したときに大反対した朝日新聞は、8月23日朝刊のオピニオン欄「耕論」で、「スポーツと国歌」と題して、3人の意見を載せている。元サッカー日本代表主将の宮本恒靖氏と、元プロ野球選手で元参院議員の江本孟紀氏、もう1人は女性の憲法学者である。

宮本氏は、国際試合で君が代が演奏されるとき、初めは歌わなかったが、次第に歌うようになったという。江本氏は「スポーツ選手は君が代を歌うべきだと思います」と明言する。両者ともに肯定的である。

否定的なのは女性学者で、憲法学者らしく五輪憲章を持ち出して、第6条で「オリンピック競技大会は、個人種目または団体種目での選手間の競争であり、国家間の競争ではない」と明記されているといい、「同憲章では、国際オリンピック委員会と組織委員会が国別のランキングを作成することを禁止しています」と指摘する。

朝日新聞としては珍しく感じる2人の肯定論に対し、間もなく読者からの反論を、投書欄「声」に採用している。

8月29日、32歳の牧師からのもので、「耕論『スポーツと国歌』(23日)を読み、国歌を歌わない五輪選手に苦言を呈した森喜朗氏を擁護する意見に違和感を持ちました」とあり、その理由を「なぜなら、私はクリスチャンであり、天皇(陛下)を賛美する歌詞の君が代を歌えません。聖書に記されている神以外を賛美することはできないのです」という。

このような強固な宗教的見解に立脚した反対論はともかく、女性学者の持ち出した五輪憲章の規定は、現実とはなはだしく乖離(かいり)しているのではないか。

どの競技でも、メダルを獲得した選手は、国旗をまとって歓びを表している。スポーツを国威発揚の手段とする国は、いくらでも存在する。国別メダル獲得数については、憲章の精神は無視されているし、朝日新聞自身が掲載している。

五輪より、さらに国家やナショナリズムと関係が深いのが、サッカー・ワールドカップ(W杯)で、これこそ明白に「国と国との戦い」である。テレビでサッカーの国際試合を見ていると、ピッチの脇に朝日新聞の広告が出てくる。

朝日新聞が、日本代表チームの「サポーティングカンパニー」になっているからである。もし、ナショナリズムを忌避するなら、朝日新聞は速やかに公式スポンサーを解約すべきではないか。

【私の論評】朝日もNHKもネガキャン手法に限界?左翼・リベラル・中国にさえ見放される(゚д゚)!

ブログ冒頭の写真で掲載したように、8月20日NHK「おはよう日本」が報道した「五輪開催5つのメリット」ですが、これは著しく五輪憲章を逸脱していると言わざるを得ません。

以下に、この番組の動画を掲載します。



これはオリンピック憲章の「オリンピック競技大会は、 個人種目または団体種目での選手間の競争であり、 国家間の競争ではない」とした理念と真っ向から対立する考え方となっており、NHKがオリンピックの理念を何ひとつ理解できていないことを明確に示しているか、わざわざこのように事実を曲げて報道する背後に何らかの意図があるのではないかと思います。

ではなぜIOCは、オリンピック憲章に敢えて「国家間の競争ではない」と明記し、国家の威信や指導者の権力を披露する事を固く拒んでいるのでしょうか?それには苦い過去の経験があります。

オリンピックを 「国威発揚」のために徹底的に「政治利用」したのがヒトラー率いるナチスドイツでした。1936年にナチスドイツ下で開催されたベルリンオリンピックでは、国家の総力を挙げてスタジアムや選手村、各種インフラの整備が行われ、実験段階だったテレビ中継が実施されました。後にヴェネツィア国際映画祭で金賞を獲得するオリンピックの記録映画「民族の祭典」がナチスお抱えのレニ・リーフェンシュタール監督によって撮影されています。


レニ・リーフェンシュタール監督による「民族の祭典」

今ではオリンピック前の恒例行事として知られるようになった初の聖火リレーが行われたのもベルリンオリンピックで、この際の経路の詳細な調査結果が第二次世界大戦でのドイツ侵攻に活用されました。

このように、オリンピックが結果的にナチスドイツの「国威発揚」に荷担させられる結果になってしまったことから、オリンピック憲章ではオリンピックを国家のプロパガンダの場として政治利用することを拒んでいます。

ヒトラー 当時としては珍しいカラー写真
つまり、今回NHKが堂々と放映したオリンピック開催のメリットの筆頭に「国威発揚」を挙げるという行為は、近代オリンピックが過去の苦い経験への反省から作り上げたオリンピックの精神を土足で踏みにじるもの。どこぞのまとめサイトが書き散らしたのならともかく、仮にも次期オリンピック開催国の公共放送が全国ネットで放映していい内容では断じてありません。

さて、朝日新聞の8月23日朝刊のオピニオン欄「耕論」を朝日新聞デジタルから引用します。
(耕論)スポーツと国歌 宮本恒靖さん、江本孟紀さん、志田陽子さん

2016年8月23日05時00分 


 「国歌を歌えないような選手は日本の代表ではない」。選手団壮行会で、来賓からこんな発言も飛び出したリオ五輪が閉幕した。スポーツと国家、個人のかかわりを、改めて考えたい。

■プレーで応えるのが使命 宮本恒靖さん(元サッカー日本代表主将、ガンバ大阪ユース監督) 
宮本恒靖さん 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 初めて国際試合に出たのは高校2年になる春です。17歳以下の日本代表に選ばれました。自分のアイデンティティーというものを強く感じたのを覚えています。国民の代表として戦うんだ。このユニホームを着て戦う限り、ふがいないプレーはできない。そんな責任感が生まれました。 
 サッカーの国際試合では、キックオフ前に両チームの国歌が流れます。その初めての代表戦のときもそうでしたが、僕は歌いませんでした。歌いたくなかったということではないんです。理由は特になくて、慣れていないことが大きかったような気がします。その後、A代表にも選ばれ、何十試合と国際試合を経験していくなかで、歌うようになりました。 
 国歌が流れるのは、国際試合ならではのこと。そう考えると、聞きながら燃えてこないわけがない。今からこの国のために戦うということ、代表のユニホームを着られる喜び、誇り。そういうことを感じる瞬間です。自然と声が出るようになりました。 
 僕の場合、ゲームに向かう準備の最終段階で、心を整えるという意味合いもありました。歌いながら心を落ち着かせ、ほどよい高揚を持って戦いに出て行く。いわば、ルーティンです。 
 ただ、胸の中の思いは選手それぞれだし、どう表現するかも人によるものです。黙って目を閉じて、国歌を聞く選手もいます。その瞬間にどう振る舞うかは、意思の自由。心を一つにするためにみんなで歌うという方法もあるかもしれませんが、ルールを決める必要はないと思います。代表にいたとき、協会や監督から言われたことはないし、自分が主将のとき、決まりを作ろうとも思いませんでした。 
 いいプレーをしたり勝ったりすると、国中のみんなが喜ぶ。そういう日本代表の力を、地元開催の2002年W杯では実感しました。直接会うことはなくても手紙をくれたり、「病気だけど気分がよくなった」と言ってくれたりした人もいました。 
 たくさんの人にプラスのものをもたらせる立場にあるわけだから、もっとがんばらない手はない、となる。サッカー以外の代表も、同じなんじゃないでしょうか。 
 五輪の表彰式で、一番真ん中に国旗が掲揚されるという場面は、まさに喜びをもたらせた瞬間です。それを見ながら、誇らしいとか良かったとか、さまざまな思いがわくでしょう。その感情をどう表に出して、そして国歌を歌うか歌わないかも、選手それぞれですよね。見守ってあげてほしいなと思います。
選手としては、使命や期待に応えるのはプレーです。いかにチームや個人としてしっかり力を出すか。代表の役割もそこに尽きると思います。(聞き手・村上研志) 
* 
みやもとつねやす 77年生まれ。2002年と06年のW杯、04年アジア杯(優勝)で日本代表主将を務めた。11年に現役引退。

■競技と社会の関係、考えて 江本孟紀さん(プロ野球解説者、元参院議員) 
江本孟紀さん
 スポーツ選手は君が代を歌うべきだと思います。国際試合であれば、なおさら。相手の国への敬意を示す意味でも、自分の国の国歌に対して知らん顔というのはおかしいことになるでしょう。 
 民主党の参院議員だった1999年、国旗・国歌法案に賛成しました。党内には反対の議員も多かったのですが、国旗・国歌特別委員会でも、賛成の主張をしました。 
 教育現場で混乱が起きるのは国旗・国歌の法制化をしなかったからであり、過去の政治家と国民の間で、長くあいまいにされていた問題と考えたのです。
君が代の歌詞がわかりにくいとの批判がありましたが、そもそも校歌や社歌等も同じで私の出身高校の校歌だって明治時代の歌詞でさっぱりわからない。それでも、甲子園で校歌が流れれば故郷を思い感激しますといった持論を特別委で展開しました。首相だった故・小渕恵三さんから、「素晴らしい質問だった」と後で電話をもらいましたよ。 
 当時、国歌を歌うよう強制はしないと政府は答弁していました。しかし、その後、東京で石原慎太郎都知事、大阪で橋下徹府知事がそれぞれ登場したことなどもあって、教育の現場では強く指導する流れになっていますね。 
 何が強制にあたるかという問題でしょうが、学校で毎日歌わせるのならともかく、年に1回か2回の儀式と、そのための何回かの練習が強制にあたるとは思えません。 
 スポーツの世界で、戦時の経緯を考え、政治的に歌いたくないという選手が歌わないのなら、それでいいと思うんです。 
 ただし最近、スポーツ選手が「日の丸を背負って」「国を背負って」といった言い方をしきりにする傾向があると感じています。大げさな感じであまり好きじゃない表現ですが、そのように言う以上は、君が代を歌えないのは矛盾するでしょう。 
 根底にあるのは、選手も指導者も、ここぞという国際試合の場で国歌にどう向き合うかしっかり考えていないことだと思います。さらに言えば、国や政治とスポーツは関係ないと思っている当事者が多すぎるのではないか。 
 国歌を歌わない選手に苦言を呈した森喜朗さんも「選手にはもっと、競技活動と国との関係を考えてほしい」と言いたかったのではないか、と受けとめています。 
 五輪での選手のコメントは、コーチや親など、身の回りにいる人たちへの感謝の言葉がほとんどでした。それはそれで結構ですが、活動できたのは税金で助成してもらったり、税制上の優遇を受けた学校などのスポーツ施設を使ったりしたからのはず。もう少し社会や政治とのかかわりに心を寄せてほしいものです。(聞き手・池田伸壹) 
* 
えもとたけのり 47年生まれ。プロ野球の阪神、南海で投手として113勝した。92年から参院議員に2期連続で当選。

■公人の発言、萎縮招く恐れ 志田陽子さん(武蔵野美術大学教授) 
志田陽子さん
  リオデジャネイロ五輪で、日本人選手を応援し、感動するのは自然なことです。表彰式で君が代が流れ、感激した人も多かったでしょう。 
 開催中、五輪憲章を読んでみました。日本国憲法と通じる点が多いことに驚きました。 
 オリンピックは、平和な社会と「人間の尊厳」を推進することを目的としていて、憲法と共通する精神を持っています。さらに、憲章は第6条で「オリンピック競技大会は、個人種目または団体種目での選手間の競争であり、国家間の競争ではない」と明記し、競技者個人を参加主体としています。 
 国別のメダル獲得数が報道されていますが、同憲章では、国際オリンピック委員会と組織委員会が国別のランキングを作成することを禁止しています。国ではなく、選手とチームが主体なのです。 
 日本国憲法では、第13条が保障する「個人の尊重」がこれに通じるでしょう。選手は個人の自己決定幸福追求権)をもとに全力を尽くしているのです。 
 歴史を振り返れば、第2次世界大戦にいたるナチスドイツに顕著に見られたように、国民感情を都合よく操作するために、権力者が芸術とスポーツを利用してきました。日本でも総力戦体制で、文学、美術、音楽、映画やスポーツが国威発揚や戦意高揚に動員されました。個人より国家を重視していたのです。 
 五輪憲章も日本国憲法も、こうした反省の上に立っているのだと思います。
そんな流れを知ってか知らずか、2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の森喜朗元首相が、リオ五輪へ向けた代表選手の壮行会で「国歌を歌えないような選手は日本の代表ではない」と発言しました。大変残念なことです。オリンピックの精神からも憲法の理念からも、権力が個人の心の中に入り込むことがあってはならない。国歌を歌うか歌わないかは、選手に任されるべきです。 
 例えば実業団チームを持つ企業の経営者が「わが社の商品を知らないようでは、うちの選手ではない」と言うのは許されるかもしれない。しかし、政治家など公的な立場にある人の発言は、選手だけでなく社会を構成する一般の人たちにも影響します。直接批判されていない人にも、発言を忖度(そんたく)し、レッテル貼りを恐れることによる迎合や萎縮をもたらす効果がある。公的立場にある人は、自らの影響力を自覚し、個人的選好を強制する発言は慎まなければなりません。 
 スポーツや文化活動にはお金もかかります。民主的な決定に基づいて国が公的にサポートするのはすばらしいこと。しかしその場合も、国はあくまでも応援団に徹するべきです。(聞き手・池田伸壹) 
* 
しだようこ 61年生まれ。専門は憲法。編著書に「表現者のための憲法入門」「映画で学ぶ憲法」。講演と歌唱の活動も。
NHKの報道も、朝日新聞の報道も、一見コインの表裏のように異なるようにも見えますが、 結局目指すところは同じなのだと思います。

NHKの報道に関しては、オリンピックそのものにナチスばりのネガティブな印象を強調し、安倍政権批判に結びつけるということだと思います。

朝日新聞のほうは、五輪憲章を強調し、森喜朗会長(元首相)が「国歌も歌えないような選手は日本の代表ではない」と苦言を呈したことを強調し、あたかもこの発言が、五輪憲章を踏みにじるかのように印象付け、ネガティブな印象を強調し、安倍政権批判に結びつけるということであると考えられます。

どちらも、安倍政権批判に結びつけようとしています。しかし、オリンピックそのものをネガティブに仕立てようと、国歌を歌えない選手に苦言を呈したもと総理大臣のことをことさら強調しようと、多くの人の国歌に対する考え方や、オリンピックに対する考え方を変え、さらにそれをもって、多くの国民に対して、安倍政権に対して、ネガティブな意識を植え付けることなどできるのでしょうか。

ほとんど、無理ですね。ほとんどの人は、このようなキャンペーンに影響されることはないでしょう。にもかかわらず、なぜこのような姑息なことをするのでしょうか。

もう、NHKも朝日新聞も、多くの国民に見透かされネガキャン手法に限界がきているのではないでしょうか。もっと、もっとやり方はあるはずです。

どうせやるなら、もっと効き目のあるまともなキャンペーンはできないものなのでしょうか。彼らの立場に立って物事を考えてみても、情けないの一言です。この有様では、両方共左翼・リベラルそうして中国からさえ、効き目のないメデイアとして相手にされなくなるのではないでしょうか。

中国は、このまま効き目のないメディアを放置しておいて良いはずがありません。日本のメディアがまともに日本政府を貶められるように、まともなネガキャンができるわように、督戦隊を送り込むべきです。

無論、これは冗談ですよ。たまに、真に受ける人がいるので、念のため掲載しておきます。

結局いいたいことは、朝日も、NHKもなぜか日本や、日本政府を貶めるような報道をするのですが、それがほとんど効果がなくなっているということです。これでは、いずれ、左翼・リベラル、中国にも見放されることになるのは必定です。

【関連記事】

【朝日新聞研究】参院選「18歳選挙権」 朝日新聞の姿勢がよく表れたシールズ「解散報道」―【私の論評】情報操作がひときわ目立つ朝日、今のままではいずれ存続困難に(゚д゚)!






2016年5月22日日曜日

緊急リポート!衆議院はまもなく解散→総選挙の公算大~前回の解散を言い当てた筆者が、そう予測する根拠―【私の論評】同時選挙は、ほぼ確実(゚д゚)!

緊急リポート!衆議院はまもなく解散→総選挙の公算大~前回の解散を言い当てた筆者が、そう予測する根拠
長谷川 幸洋





 根拠その1:山口公明代表との会談の違和感

安倍晋三首相はどうやら近く衆院を解散し、夏の衆参ダブル選挙を決断したのではないか。ここ数日でそう考えざるを得ない材料がいくつか出てきた。私のコラムは通常、毎週金曜公開だが、今回は事態の急進展に合わせて特別版を公開する。

私が「やはりダブル選か」と考える根拠の一つは、5月18日に首相官邸で開かれた首相と山口那津男公明党代表との党首会談だ。会談は最初、首相と谷垣禎一自民党幹事長の2人だけで始まり、途中から山口代表と井上義久公明党幹事長が加わる形で開かれた。

山口代表は会談後、焦点の消費税増税について記者団の質問に「特に話をしていない。私の方から申し上げていないし、総理からも特になかった」と答えている。これは、あきらかにおかしい。

いま政権の最重要案件は「来年春の増税をどうするか」だ。安倍首相が慎重論に傾いているのは周知の事実であり、山口代表は推進派だ。このタイミングで両者が会っていながら、増税問題について「何も話し合わなかった」などというのは考えられない。

山口代表は参院選について「お互い協力して頑張ろうと基本精神を確認した」うえで、ダブル選については話題にもならなかったという。だが、ダブル選に反対してきた山口代表にすれば、総理に衆院を解散するのかしないのか、本心を質す絶好のチャンスではなかったか。

それを話題にもしなかったなら「私は絶好球を見逃し三振しました」と言っているようなものだ。与党である両党が選挙で協力して頑張るのは当たり前である。いまさら確認の必要もない。

山口代表の否定にもかかわらず、一部の新聞は増税問題について「首相、公明説得へ地ならし」(読売新聞)とか「増税延期を協議」(日本経済新聞)と報じている。つまり、代表は記者を意図的にごまかそうとしたのだ。なんのために?

増税問題を話し合ったとなれば、首相の頭に増税延期の選択肢があることが公然化してしまう。そうなれば当然、次に「夏はやはりダブルか」という予想が広がる。それを避けたかったからに違いない。

これが私のアラーム警報が鳴り響いた第1点だ。

 根拠その2:山口県人会の不可思議

それから2点目。20日午後になって「6月11日に大阪で開かれる山口県人会に同県出身の衆院議員が急きょ、そろって参加する」という情報が飛び込んできた。

県人会の幹事によると、当初欠席のはずだった高村正彦、河村建夫、岸信夫各衆院議員の事務所から20日朝、相次いで「代理を出したい。いまから参加できるか」と連絡がきたという。

高村氏は山口1区、河村氏は同3区、岸氏は同2区の衆院議員である。高村氏は自民党副総裁として先の安全保障関連法を成立に導いた立役者の1人であり、岸氏は安倍首相の実弟だ。山口県は言うまでもなく安倍首相(山口4区)のお膝元である。

幹事は「岸氏は本人が出席する可能性もあるようだ。県人会には地元の市長たちも大勢来る。やはり選挙ではないかとピンときた」と私に語った。別の山口県関係者も「大阪の県人会には選挙がなければ代理も出ないことが多かった。代理を出すと言ってきたのは、ずばりダブル選だからだろう」と語っている。

もう一つ。私は最近、ある政権幹部と会食した。そのとき幹部が突然「前回は長谷川さんにやられちゃったからなあ」と前後の脈絡もなくポツリと私に漏らしたのだ。

これには少し説明が必要だろう。

私は前回2014年11月の衆院解散予想を的中させている。菅義偉官房長官の記者会見から「増税を先送りして解散総選挙」と読んだのだ(経緯はこちら、http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/41078)。幹部はそれを覚えていて話を持ちだしたのだが、私には違和感が残った。

なぜかといえば、私が前回の解散を当てたのは、私と幹部の間で何度も笑って振り返った「終わった話」であり、いまさらあえて持ち出す必然性はなかったからだ。加えて、幹部は「いま闘志がわいているんですよ」とも言った。

私は「熊本の状況はどうか」と繰り返し幹部に質問した。そのたびに幹部は「熊本は大丈夫、落ち着いてくる」と答えた。私は「熊本が落ち着いてくるとなれば、ダブル選が蘇ってくる」と言ったが、返事はまったく期待していなかった。彼がそんな話に答えられるわけがないからだ。

そう言いながら、私は内心「それでもダブルは無理だろう」と思っていた。だが、公明党の山口代表が安倍首相と会談した後、記者団に見え透いた嘘をついて、山口県出身の衆院議員たちがそわそわし始めたとなると、話は違う。

ここへきて安倍政権は重要課題に次々と結論を出している。一億総活躍プランや成長戦略の素案、さらに規制改革会議の答申もまとまった。1票の格差是正を図る衆院選挙制度改革関連法は20日に成立した。重要案件に区切りを付けて、あとは選挙を戦うだけの体制を着々と整えつつある。

私は昨年7月以来、消費税増税先送りでダブル選という見通しを示してきたが、熊本地震を受けて4月22日公開コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/48508)では「ダブル選は難しくなった」という見方に軌道修正したばかりだ。

最近のテレビやラジオ番組でもそう喋っている。だが、ここでもう一度、軌道修正する。やはり政局はダブル選に向かって動いているのではないか。

【私の論評】同時選挙は、ほぼ確実(゚д゚)!

このブログでは、昨年から衆参同時選挙になる旨を掲載していました。長谷川氏もブログ冒頭の記事で語っているように、長谷川氏を含めた多くの人が、熊本地震で衆参道志是選挙はなくなったものと考えたようで、そのような内容の記事がサイトにもいくつか掲載されていました。しかし、このブログでは、熊本地震で衆参同時選挙はなしという内容は一度も掲載したことがありません。

なぜそうしたかといえば、熊本地震で衆院解散はありえないという、ことにかなり疑念を抱いたからです。考えてみてください、元々参院選は地震があろうが、なかろうが実施されます。地震があったからといって、参院選を中止するなどということはあり得ません。

あの被災地熊本でも、必ず選挙は行われるのです。そうして、熊本震災の復興はかなり急ピッチで進んでいて、7月には参院選を熊本でも十分できそうな状況になっていました。この状況なら、参院選プラス衆院選も十分ありえると睨んでいました。

ちなみに、以下に今年4月25日のANN世論調査の結果の動画を掲載します。



衆参同時選挙を行って良いは、43%、行っても良いと思わないが、33%でした。安倍内閣の支持率は、46.9%でした。

熊本の状況を考慮に入れても、参院選とともに衆院選も行うということは十分に可能なことであり、熊本有権者からすれば、元々選挙はやらなければならなかったことであり、そのために投票場に足を運ばなければならないことはには変わりはなく、それに衆院選挙が加わっても、投票用紙に書き込む内容が増えるだけのことです。手間的にはそう変わりません。

それに、7月時点で震災地が混乱の巷にあるとは考えられず、選挙ができるほどに一定の秩序を回復している状況になったことは、かえって与党側に有利に働くことが考えられます。そうして有権者からすれば、復興税の導入を阻止する良い機会ともなります。

よもや、今回は東日本大震災の時のように、復興税を導入し、その上10%増税まで導入しようなどということを主張するような勢力は出ないと思いますが、有権者は、そのようなことを主張するような勢力はこの選挙で排除できるなどのメリットがあります。そうして、復興と経済対策の相乗効果により、経済が良くなることを明確に示す候補者を選びやすくなります。

阿蘇山の通称「ラピュタの道」震災直後は道路が寸断し通行止めされたが、今は訪れることができる
元々、参院選がないというのであれば、わざわざ衆院を解散して選挙するということもなかったと思いますが、参院選が最初から予定されているのですから、それを考慮すると、衆参同時選挙は、熊本震災でなくなるなどと、はっきり断定するほうが、私にとっては奇異に感じたくらいです。

ちなみに、本日放映された「そこまでいって委員会NP」では、長谷川氏は「衆参同時選挙はあるか」という質問に答えて「なし」と答えていました。ところが、ブログ冒頭の記事では、「あり」と予測しています。

「そこまでいって委員会NP」にレギュラー出演している長谷川 幸洋氏
これは、「そこまでいって委員会NP」の収録は1週間ほど前に撮られているのだと思います。そのため、長谷川氏はこの番組収録の時点では、まだ新しい情報を得ておらず、衆参同時選挙は熊本震災でなしと考えていたのだと思います。

ところが、この番郡を収録してから、ブログ冒頭の記事を掲載する直前にこの記事に掲載したような新たな情報に接して、考えを変えたのだと思います。

さて、衆参同時選挙があり得ることは、つい先日(20日)にもそれを主張する、選挙結果の予想には定評のある浅川博忠氏の主張が、zakzakに掲載されていました。その記事のリンクを以下に掲載します。
衆参同日選“再浮上” 衆院選は自民圧勝、民進は惨敗の予測 浅川博忠氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事から、浅川氏の意見と、選挙結果のみを以下に掲載させていただきます。
「見送り報道が出たからこそ、あり得る。1986年に中曽根康弘首相が行った同日選は『死んだふり解散』といわれたが、今回も似ている。安倍首相は虎視眈々(たんたん)と狙っているのではないか」

「伊勢志摩サミット(主要国首脳会議=26、27日)の前後、安倍首相が『世界経済の収縮』などを理由に、増税延期を表明する可能性が高い。大きな政治決断をしながら、参院選だけ実施するとは考えにくい。必然的に同日選を呼び込むとみるべきだ」

「安倍政権は熊本地震に迅速に対応した。選挙戦では、東日本大震災時の菅直人政権のひどい対応と比較して、『自民党政権の危機管理能力』をアピールできる。有権者の理解は得られるのでは」
 そうして、この記事では、以下のようにも付け加えられていました。
 加えて、オバマ氏が伊勢志摩サミット後に、安倍首相とともに被爆地・広島を訪問することや、米大統領選で共和党候補の指名獲得を確実にした、トランプ氏の影響を指摘する向きもある。 
 まず、オバマ氏の広島訪問は、安倍外交の大きな成果になる。トランプ氏は「日本防衛費の全額負担要求」や「日本車の関税大幅増」など、日米関係を激震させかねない過激な発言を連発している。「政権与党としては、『トランプ大統領』誕生に備えて、衆参で安定多数を確保しておく必要がある」(自民党関係者)というものだ。 
毎日新聞も19日朝刊の1面トップで「首相、同日選視野」と報じた。 
そうして、注目の浅川氏による選挙結果の予測の表を以下に掲載しておきます。


どうして、このような結果になるかについては、浅川氏は以下のように述べています。
「野党、特に民進党の低迷が大きい」
「民主党と維新の党が合流したインパクトは皆無に等しく、世論調査でも支持率は数%台だ。有権者から『政治理念のない数合わせ』と見抜かれた。共産党と組むようなイメージが定着したことも大きなマイナスだ。同日選となれば、共産党が比例票目当てで衆院の選挙区で候補者を擁立するため、野党共闘は進まない。ただ、有権者のバランス感覚も働くので、参院選での与党大勝は簡単ではない」
「安倍首相は選択肢として捨てていない。安倍首相は憲法改正をライフワークとしており、その執念は尋常ではない。在任中の憲法改正に向けて、少しでも勝機があれば同日選に踏み切るのではないか。あとは安倍首相の勇気、決断のみだ」
浅川氏昨年も今回の衆参同時選挙になることを予想しており、その時にも選挙結果を予想しています。このブログでもそれに関する記事を掲載しました。以下にその記事のリンクを掲載します。
「ダブル選」大予測 自公の圧勝、野党は壊滅…おおさか維新協力なら憲法改正も ―【私の論評】与党圧勝の真の背景はこれだ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、昨年の12月時点での浅川氏の衆参同時選挙の結果予想のみ以下に掲載します。

 


さて、最近の予測と、昨年12月の浅川氏の予測を比較すると、議席予想で衆院は、昨年は与党小計で342だったものが、最近の予想では351としています。参院では、昨年は155でしたが、最近の予想では144としています。

どちらの予測でも、衆参両院とも与党側が圧勝すると予測しているのですが、衆院では昨年より、与党議席数が増えるが増えると予想し、参院で昨年よりも、与党議席が減ると予測しています。やはり、野党共闘などの影響が参院選に出ることを見込んでいるのだと思います。

この結果からみれば、衆院解散選挙は実施したほうが良いという判断になると思います。

浅川氏は、「後は総理の腹次第」としていますが、私は総理の腹はすでに「衆参同時選挙」で腹は決まってると思います。後は、衆院解散をいつ行うかそのタイミンクを考えていると思います。そうして、10%増税は当然延期することを念頭に入れてるでしょうが、私はひよっとすると8%減税の失敗を取り返すため、消費税を5%に戻すということも検討していると思います。

後は、8%増税の悪影響からなるべくはやく脱却するため、大型補正予算や追加金融緩和に関しても、検討していると思います。

政治の世界は一寸先は闇です。今は、このように与党が十分圧勝できることが予め予想がたちますが、来年、再来年となればどうなるかなど全くわかりません。

であれば、確実に勝てる方に賭けるのが、政治家というものだと思います。

【関連記事】



安倍政権「消費増税再見送り」で来年7月衆参ダブル選へ!―【私の論評】来年の衆参同時解散総選挙というシナリオの確率はかなり高い!これに気づかない政治家・マスコミは、完璧に蚊帳の外(゚д゚)!



「衆参ダブル選」はもはや“前提”状況 自民幹部の相次ぐ発言…支持率も追い風 ―【私の論評】自民党は、衆参同時選挙の公約に、是が非でも10%増税の見送りを加えよ、でなければ地獄をみることになる(゚д゚)!



【関連図書】

戦後経済史は嘘ばかり 日本の未来を読み解く正しい視点 PHP新書
PHP研究所 (2016-03-18)
売り上げランキング: 3,275

総理の実力 官僚の支配 ─教科書には書かれていない「政治のルール」─
倉山 満 
TAC出版 (2015-07-15)
売り上げランキング: 838

官愚の国 日本を不幸にする「霞が関」の正体 (祥伝社黄金文庫)
高橋 洋一
祥伝社 (2014-06-12)
売り上げランキング: 191,910




高橋 洋一
講談社
売り上げランキング: 51



トランプ氏の「お客様至上主義」マーケティングから学べること―【私の論評】真の意味でのポピュリズムで成功した保守主義者の典型トランプ氏に学べ

トランプ氏の「お客様至上主義」マーケティングから学べること まとめ トランプ元大統領は、テレビタレントとしての経験を活かし、有権者のニーズを理解した明確なメッセージを発信している。 彼のマーケティング力とキャラクター演技力が、選挙戦での成功に寄与している。 対立候補陣営は、高額な...