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2017年12月26日火曜日

「日本の借金1千兆円」を性懲りもなく煽る人たちの狙いと本音ちょっとは進歩する気がないのか―【私の論評】経済回復のボトルネックと成り果てたNHKは財務省とともに廃棄せよ(゚д゚)!

「日本の借金1千兆円」を性懲りもなく煽る人たちの狙いと本音ちょっとは進歩する気がないのか


髙橋 洋一:経済学者、嘉悦大学教授 プロフィール

また出た「財政規律の緩み論」

18年度予算案が閣議決定されたが、メディアの論調は「(歳出が増え)財政規律が緩んでいる」「税収増頼みだ」といったものばかりだ。例えば、22日のNHK「時論公論」では、「来年度予算 求められる新たな財政規律」というタイトルで、財政規律のゆるみを問題にしている。

しかし本当に財政規律にゆるみが生じているのか。これを検証したい。

まず、予算の全体像を知るには、予算フレームを見るのがいい(http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2018/seifuan30/02.pdf)。

これをみれば、18年度予算案は昨年度予算とほぼ同じものであることがわかる。

さらに中身を詳しく見るのは、概算をチェックするのがいい(http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2018/seifuan30/03.pdf)。

ここには、各省別の予算概算がでている。全体の伸びが0.3%であるので、各省の予算でも、天皇ご譲位行事のある皇室58.6%を除くと、最大の伸びは内閣府1.7%、最低は経産省▲4.3%である。11省で増額、5省で減額である。

主要経費でみると、社会保障関係費4997億円増のほか、文教科学79億円増、防衛関係費660億円増、公共事業関係費26増億円、その他806億円増を、国債費▲2265億円などでカットして、全体で2581億円増、結果、0.3%の伸びにしている。

NHK「時論公論」では、日本の財政状況について、国の借金総額が883兆円(来年度末)になるから、財政規律を正すべきだとしている。相変わらず、バランスシートの考え方が抜け、資産を無視して借金だけをみていることに呆れてしまう。

12月22日放送のNHK「時事公論」より。かなり大げさな図を用いて、日本の借金の「深刻さ」を表現している

筆者は2年前の2015年12月28日に<「日本の借金1000兆円」はやっぱりウソでした~それどころか… 財政再建は実質完了してしまう!>(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47156)を書いている。そこでは、日銀を含んだ「統合政府」としてのバランスシートが国の財政状況を正しくみるためには必要であり、それをみれば、日本ではほぼ財政再建が終わっている状態で、健全な財政状況となっていることを示している。

なお、「統合政府」とは、財政・金融問題を考えるときに、政府と中央銀行を一体のものとして考えるやり方である。法的にも中央銀行はいわば「政府の子会社」であるが、一般企業においてグループ企業の業績・資産は連結決算で考えるのと同じで、政府と日銀の財政・資産は一体で視るべきだ、ということである。

もちろん、この考え方は中央銀行の独立性と矛盾しない。中央銀行の独立性とは、政府の経済政策目標の範囲内で、その達成のためにオペレーションを任されているという意味である。これも、グループ企業が営業の独立性を持っているのと同じ意味である。

これは国際的な見方なのだ

ところで今年3月14日、ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・E・スティグリッツ・米コロンビア大学教授が来日して経済財政諮問会議に出席した。このときスティグリッツ教授は、諮問会議での発言のなかで、政府・日銀が保有する国債を「無効化」することを提言した。政府・日銀が保有する国債を「無効化」することで、政府の債務は「瞬時に減少」し、「不安はいくらか和らぐ」と主張した(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2017/0314/shiryo_01-2.pdf)。

これは、統合政府の考え方そのものである。これで、(なにかと日本では批判の的となるが)筆者の分析方法が、国際的には標準的なものであったことがわかっていただけるだろう。

日本の経済学者の中には、スティグリッツ教授が間違っていると息巻いている人もいるが、そうであれば、彼にもそのことを直接指摘して、公式に謝罪させてほしいものだ。もちろん、「統合政府」は、会計的な考え方であり、否定しようのないものなので、スティグリッツ教授が謝罪するはずないのだが。

こうして、バランスシートで見て財政状況を把握するのは常識であり、その右側だけの借金だけをみる方法が通用しないことが説明できる。ただ、それでも懐疑的な人は、来年3月に確定申告すればわかるはずだ。

税務署に「借金が多くて苦しいので、税金を払えない」という申告者を出したとしよう。その人の所得が一定以上であれば、資産負債の明細書を求めらる。そのとき、資産を過小に申告して、税務調査で「隠し資産」があることが判明したら大変なことになるのは分かるだろう。要するに、「借金が多い」というのは、すなわち財政状況が悪いということではないのだ。

なお、半ば冗談であるが、今の国税庁長官は森友学園事件の時、財務省理財局長として「資料がない」と言い張った佐川氏だ。彼に対して「資産負債の明細書資料がない、廃棄した」といったら、一体どうなるのだろうか。興味深いが、答えに窮するだろう。森友事件は、現場の税務調査官泣かせの事件だっただろう。

ちなみに、政府のバランスシートをはじめて作成したのは、20数年前の大蔵省に勤めていた筆者である。その当時は、以下の財政状況を客観的に把握するかを大蔵省内で議論しており、会計に詳しい筆者が政府のバランスシートを作成した。そのとき、バランスシートに着目した財政運営も行おうとして、理財局内に「資金企画室」という組織も作った。その初代室長は筆者だった。

この室の俗称英語名は「Asset and Liability Management Office」。まさに、バランスシート管理、という意味である。そうしたバランスシートを政府が作るのは、その当時から世界の潮流になっていたのだ。

そこで、筆者がいろいろな国を勉強して、日本でも政府のバランスシートをつくろうとなった。

そのためアメリカに出張にいくと、米財務省でも似たようなことを考えているということで、筆者は実際に作成するアメリカの担当者とかなり親しくなったものだ。

そのアメリカは、日本に先立って1995年版から政府のバランスシートを公表している(https://www.fiscal.treasury.gov/fsreports/rpt/finrep/fr/backissues.htm)。

日本でもほぼ同時期に作ったが、対外的には公表しないということで、部内利用になった。遅れること2005年、小泉政権のときに、2003年度版を正式に公表するようになった(http://www.mof.go.jp/budget/report/public_finance_fact_sheet/index.htm)。

これは、筆者が経済財政諮問会議特命室時代に、いわゆる埋蔵金論争(資産負債改革、特別会計改革)を仕掛けていたときだ。

そのときから、財務省はこのバランスシートが積極的に取り上げられないように、マスコミにはほとんどその存在や意味を説明しなかった。筆者が財務省に対してバランスシートについて指摘すると、「公表済み」という。しかし、マスコミには説明(レクチャー)しないので、どこのマスコミもこのバランスシートについては報じないという状況が今でも続いている。

大きな財政問題にはならない

実は、海外投資家向けに日本国債の状況を説明するときには、バランスシートがしばしば用いられる(もっとも最近では英文資料も用意していないようだ。2009年度版英文資料は、財務省のサイト(http://www.mof.go.jp/english/budget/others/2011_03_english.pdf)にあるが、それ以降のものは見当たらない)。

そういえば、最近筆者のところに、しばしば海外投資家が訪れ、日本政府のバランスシートについて話をしてもらいたいという依頼を受けるが、先進国であれば、financial statementを用意するのは常識である。

もっとも、海外投資家は、日本の財政状況が悪くないことをよく理解している。筆者も、次の資料を使って説明することが多い。



日米は、同様のバランスシートを作成した経緯があるから、筆者には比較しやすい。そこで、日米比較をすると、ここ20年弱、アメリカの財政状況のほうが日本より一貫して悪いことが分かる。

逆にいえば、日本がアメリカの数字を上回るようになったら注意したほうがいい。もっとも、国には「徴税権」などの見えない資産があるので、少しぐらいネット債務額が大きくなっても、びくともしないのだが。それでも、一応の目安はアメリカの数字、と筆者は思っている。

中央銀行を含めないベースでGDP比20%程度、含めるベースではGDP比60%くらいの日米格差があるので、現状100~300兆円くらいの国債を発行したとしても、大きな財政問題にはならないと筆者は考えている。

なぜNHKは報じないのか

NHKが指摘していたのは、高齢化による社会保障費増大の話だ。このままでは社会保障費が増える一方で、日本の財政は大変なことになるというものだ。しかし、社会保障は保険原理で運営されるので、それを徹底しておけば、かなりの問題は防げる。

「保険原理」から、将来収支は将来費用に見合うように設計される。それを短期間で支出と費用を見直することがまず必要だ。そうすれば自ずと、費用の徴収漏れ問題に行きつくはずだ。

実は世界の社会保障ではほとんど保険方式であるが、その徴収は税当局が行い、徴収の効率性を高めている。歳入庁が存在することが世界標準なのだ。日本でも歳入庁がないことによって、数兆円の徴収漏れがあることが指摘されているが、日本ではなぜ歳入庁をつくろうとしないのか、不思議である。

民主党政権時には「歳入庁の設立」を公約としたが、おそらく財務省の意向だろう、いつのまにか取り下げてしまった。そして、消費税を社会保障に充てるために消費増税する、といいだした。消費税は一般財源であり、社会保障目的税としている先進国はないのに、である。

政策の筋としては、歳入庁をつくって、社会保険料徴収の効率化をすすめることが第一歩のはずなのに、それを避けて社会保障の話をするのは世界標準とずれていて、違和感がありすぎる。

どうして、こうした基本的な話をNHKは報道しないのか、不思議でならない。筆者は、実はNHKのバランスシートもこの「珍問」のカギがあるとにらんでいる。

筆者は政府のバランスシートの話をよくするが、財務省が「資産」について語りたくないのは、資産とはつまり、天下りと直結している問題だからなのだ。借金返済のために、資産を売れ、となると、天下りに支障が出てしまう。

さて、そのなかでNHKのバランスシートをみると、ほとんど無借金経営状態であり、資産たっぷり。純資産8000億円の超優良組織であることが分かる(http://www.nhk.or.jp/pr/keiei/kessan/h28/pdf/renketu28.pdf)。

先日、本コラムで筆者は、NHK分割論を提案した(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53787)が、上手く分割すれば、8000億円も国庫収入が増えることになるかもしれない。これは、見方を変えれば潤沢な放送受信料収入をほとんど苦労なく得られるため、楽な運営をしてきたからだともいえる。この点を指摘されたくないから、NHKは国の「資産」についても触れたくないのではないか。

その点では、財務省と似ているかもしれない。となれば、極めて恣意的に言えば、財務省とNHKは、「資産については話をしない」という共犯関係にあるのかもしれない。「本当のこと」を知る機会を奪われているのだと考えると、ちょっとゾッとしてしまう。

【私の論評】経済回復のボトルネックと成り果てたNHKは財務省とともに廃棄せよ(゚д゚)!

「日本の借金1千兆円」を性懲りもなく煽る財務省については、このブログにも以前その悪い体質について掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
財務省の補正予算編成が日本のためにならない理由―【私の論評】日本経済復活を阻むボトルネックに成り果てた財務省はこの世から消せ(゚д゚)!
図4

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、財務省の補正予算の組み方について掲載しました。

結論からいうと、財務省は経済環境などおかまいなしに、 概算要求を4%カットして当初予算を作るのですが、補正予算でカット分の予算をつけて、当初の概算要求と同じ水準にしているという実体があります。

なぜこのようなことになるかといえば、財務省の基本的な考え方として、国民経済など二の次にして、どのような場合でも、できるだけ予算を絞り込みたいという不思議な習性があります。

これは、財務省が国の「金庫番」である以上、仕方がないのかもしれないともいえますが、財政の健全化というのは建前であり、当初予算で絞り込めば、補正予算で復活させた時に、要求官庁がより恩を感じるようにしているだけなのです。

こんなことでは、日本経済が良くなるはずもありません。

そうして、この記事の元記事で高橋洋一氏は、以下のような予想をしています。
 それでは今年度の場合、こうした戦略的な話ではなく、財務省は事務的にどの程度の補正予算とするつもりなのだろうか。ひょっとしたら、補正なしというのもあり得るが、それでは政治的にもたないだろう。そこで、財務省的には、どの程度なら、財政健全化に支障がない許容範囲かという、つまらない次元で考えるのだろう。 
 それは、安倍政権になってから、年々、補正予算の緊縮度合いが増していることから予想できる。 
 実は、最近15年度と16年度では、概算要求から当初予算で5%カットして、補正予算で3%増やすことになっており、概算要求の水準まで達していない。図4の補正で修正された予算と概算要求の比率を見ると、15年度と16年度は平均線を下回っている。 
 17年度は、概算要求と当初予算を比べると、これまでの経験則通りに4%カットだった。 
 補正予算後の予算総額が15年度と16年度並みの2%カット水準であればどうなるか。 
 17年度の概算要求は101.5兆円だったので、概算要求の2%カットだと99.5兆円。当初予算は97.5兆円だったので、補正予算は2兆円程度、総計でも100兆円を切るショボいものになる可能性がある。
そうして、補正予算は実際どうなったのかといえば、今月6日に明らかになっています。以下にそれに関連したロイターの記事のリンクを掲載します。
17年度補正予算で歳出追加2.9兆円、ミサイル防衛費も=政府筋
政府は、2017年度補正予算案の追加歳出を2.9兆円とする方針を固めた。政策経費は2.7兆円となる。生産性向上や人づくりなどの経費と併せ、1兆円を超える公共事業を盛り込んだ。ミサイル防衛関連費用も計上し、北朝鮮情勢など喫緊の課題に対応する。複数の政府筋が明らかにした。 
2.9兆円ということで、高橋洋一氏の予測よりは、9000億円ほど多くなっていますが、これは、北朝鮮の脅威も現実的となり、防衛関連経費を増やさないと、国民の批判が高まり、政治的にもたなくなるとの財務省側の判断で、増やしたものと思います。

それにしても、高橋洋一氏は、現在の日本は8%増税などを要因とするデフレ・ギャップを
解消するためには、財政出動20兆円が必要としていると比較すると、わずか2.9兆円では本当に焼け石に水です。まさに財務省の思惑通りの補正予算になっていると見て良いです。

今年一度に20兆円ということではなくても、今年は10兆にして、来年も継続で10兆にするというのなら、まだわかりますが、2.9兆円では日本GDPはまだまだ低迷しそうです。

そうして、この記事では、最後に以下のような結論を掲載しました。
これでは、本来は日本経済を良くするのが仕事であるはずの財務省自体が、日本経済復活のボトルネックになっているとしかいいようがありません。こういう官庁に対しては、まずは内閣人事局において、徹底的に厳しい人事を実施すべきです。人事を軽く見るべきではありません。

平成26年5月30日、安倍総理は内閣人事局看板掛け及び職員への訓示を行った 

人事は、いかなる組織においても、最大のコントロール手段です。その他の手段はどのようなものであれ、人事には及びません。いくら精緻な組織分析をしたとしても、それ自体がコントロール手段となるわけではありません。

役人たちを本当に政府の仕事に貢献させたいのであれば、本当に政府に貢献する人たちに報いなければならないです。それとは、反対に政府に貢献しない人たちには報いないようにしなければならないのです。省庁の組織としての精神は、どのような人たちを昇進させるかによって決まります。

かつてのように、国民や政府などには目もくれず、省益を最大限に重んじる人が昇進するようでは、政治主導など永遠に勝ち取ることはできません。

組織において真に力のあるコントロール手段は、人事の意思決定、特に昇進の決定です。それは組織が信じているもの、望んでいるもの、大事にしているものを組織の全構成員に対して明らかにします。 
“国民への貢献”を組織の精神とするためには、誤ると致命的になりかねない“重要な昇進”の決定において、真摯さとともに、経済的な業績を上げる能力を重視しなければならないです。 
致命的になりかねない“重要な昇進”とは、明日の高級官僚が選び出される母集団への昇進のことです。それは、組織のピラミッドが急激に狭くなる段階への昇進の決定です。 
そこから先の人事は状況が決定していきます。しかし、そこへの人事は、もっぱら政府の下部組織としての価値観に基づいて行なわれるべきです。 
高級官僚など、重要な地位を補充するにあたっては、政府の目標と成果に対する貢献の実績、証明済みの能力、政府全体のために働く意欲を重視し、報いなければならないのです。 
それでも、ボトルネック状態が払拭できない場合は、財務省を分割するしかないでしょう。ただし、単純に分割すると、財務省は長い時間をかけても、他省庁を植民地にするという習性があるので、財務省を分割した上で、他省庁の下部組織にするという方式で分割すべきです。 
もし、これを実施しなければ、旧財務省出身者がいずれかの官庁で、事務次官になり、この事務次官が分割された他省庁の旧財務省出身者と結託して、他省庁を時間をかけて植民化して、実質他省庁を支配し、結局旧財務省と同じようなグループを復活させることになります。 
このような分割の仕方をすれば、旧財務省出身者は、どうあがいても、いずれの官庁においても事務次官にまで上り詰めることは不可能になり、政治に対して権力を振るうことは不可能になります。そうして、大蔵省のDNAは、財務省から新体制は受継がれなくなります。 
そうして、官僚は本来の業務である、政府の目標設定に従い、専門家的立場から、それを実行するための手段を選び実行するという役割を果たすようになります。前川のような馬鹿で独善的な次官が生まれる余地はなくなります。 
これで、財務省はすっかりこの世から消えることなります。そうして、全省庁の高級官僚は、左遷されたり、それどころか、自分の属する省庁がこの世から消えることを恐れ、政府の方針に従った仕事をするようになります。そうなれば、日本経済は大復活することになります。 
せっかく、内閣人事局を設置したわけですから、安倍政権には少し時間をかけても、これを実行して頂きたいです。これが成功すれば、日本経済が大復活するだけではなく、日本の政治主導の夜明けとなり、良いことずくめです。
そうして、公共放送であるはずのNHKにも、高橋洋一氏が指摘したように非常に問題があります。

ブログ冒頭の高橋洋一の記事に掲載されていた、NHKの平成28年度の決算をみると、当然のことながら、連結決算になっており、連結のBS(貸借対照表)も掲載されています。

NHKの業績をみるためには、当然のことながら、連結決算でみなければなりません。これは、過去の苦い経験から会計法がかわり、今では企業グループは連結決算を提出しなければなりません。特に、大企業では連結決算の提出が義務付けられています。

過去においては、グループ企業において、親会社の赤字が、巧妙に小会社に移転され、あたかも親会社の業績は良いように、決算書が偽造されていることがありました。だからこそ、会計法が改正されて連結決算をしてね、グルーブ企業全体の状況を把握できるようにしたのです。

そうして、連結決算でも、BSを見て、資産と負債の状況を把握しなけばなりません。負債だけ見て、借金が過大であるなどといえば、馬鹿といわれるだけです。資産の状況もみなければなりません。これは、法律で義務付けられていることです。

そうして、本来政府の業績をみるためにも、日銀と政府の連結、すなわち統合政府の決算書それも、PLとBSの両方をみなければなりません。特にBSで、負債だけではなく資産もみなければならないはずです。

しかし、NHKはそのようなことをしようともしません。これは、高橋洋一氏が指摘するように、意図して意識してやっていることなのでしょうか。

私は、そうとも限らないと思います。高橋洋一氏が指摘するように、潤沢な放送受信料収入をほとんど苦労なく得られるため、楽な運営をしてきたので、資産などに関しても、どんぶり勘定ができれば、支障はなく、ほとんど頭を使う必要がなかったので、BSを読めないのかもしれません。

いずれにしても、これは問題です。このようなNHKをそのまま運営させても、国民には全くメリットがありません。国民が、政府の業績を知るための財政の「本当のこと」を知る機会を結果として奪っているNHKには存在価値はありません。


NHKは解体して、国民の「本当のこと」を知る権利を尊重する、新たな公共放送を創設すべきです。

NHKの解体は、財務省の解体ほどには難しくないと思います。そうして、解体すればそのインパクトはかなり大きいと思います。いわゆる、放送業界にもかなりのインパクトを与えるものと思います。少なくとも財政に関して国民の知る権利を無視する放送局はなくなると思います。

経営学の大家であるドラッカー氏は以下のように述べています。
長い航海を続けてきた船は、船底に付着した貝を洗い落とす。さもなければ、スピードは落ち、機動力は失われる。(『乱気流時代の経営』)
あらゆる製品、あらゆるサービス、あらゆるプロセスが、常時、見直されなければならない。多少の改善ではなく、根本からの見直しが必要です。
なぜなら、あらゆるものが、出来上がった途端に陳腐化を始めているからです。そして、明日を切り開くべき有能な人材がそこに縛り付けられるからであす。ドラッカー氏は、こうした陳腐化を防ぐためには、まず廃棄せよと言います。廃棄せずして、新しいことは始められないのです。
ところが、あまりにわずかの企業しか、昨日を切り捨てていません。そのため、あまりにわずかの企業しか、明日のために必要な人材を手にしていません。
自らが陳腐化させられることを防ぐには、自らのものはすべて自らが陳腐化するしかないのです。そのためには人材がいります。その人材はどこで手に入れるのでしょうか。外から探してくるのでは遅いです。
成長の基盤は変化します。企業にとっては、自らの強みを発揮できる成長分野を探し出し、もはや成果を期待できない分野から人材を引き揚げ、機会のあるところに移すことが必要となります
乱気流の時代においては、陳腐化が急速に進行する。したがって昨日を組織的に切り捨てるとともに、資源を体系的に集中することが、成長のための戦略の基本となる。(『乱気流時代の経営』)
そうして、これは企業だけではなく、日本国にもあてはまることです。このようなことをしなければ、日本が成長することはないのです。

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2017年2月11日土曜日

「Nスぺは小保方氏の人権侵害」 BPO勧告、NHKは異例の反論―【私の論評】小保方大悪人説だけでは未だ納得できないこの事件(゚д゚)!

「Nスぺは小保方氏の人権侵害」 BPO勧告、NHKは異例の反論

理化学研究所の小保方晴子元研究員らによるSTAP細胞の論文不正問題を特集した「NHKスペシャル」について、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会は2017年2月10日、「名誉棄損の人権侵害が認められる」として再発防止に努めるようNHKに勧告した。NHK側は異例の反論コメントを発表した。

番組は2014年7月27日に放送された「調査報告 STAP細胞 不正の深層」。英科学誌「ネイチャー」に掲載された小保方氏らによるSTAP細胞論文を検証したものだ。

NHK放送センター

 
BPO「真実性・相当性が認められない」

放送後、小保方氏は「ES細胞を『盗み』、それを混入させた細胞を用いて実験を行っていたと断定的なイメージの下で作られたもので、極めて大きな人権侵害があった」などと主張し、申立書を提出。

これに対し、NHKは「『STAP細胞はあるのか』という疑問に対し、客観的な事実を積み上げ、表現にも配慮しながら制作したものであって、申立人の人権を不当に侵害するようなものではない」などと反論していた。

15年8月から審理していた放送人権委員会は、17年2月10日に「委員会決定」を公表。同番組で、小保方氏がES細胞を不正行為によって入手・混入し、STAP細胞を作成疑惑があると摘示したことについて「真実性・相当性が認められず、名誉毀損の人権侵害が認められる」と結論付けた。

また、番組放送直前にNHKがホテルのロビーで行った執拗な取材方法についても「放送倫理上の問題があった」と指摘し、
「本決定を真摯に受け止めた上で、本決定の主旨を放送するとともに、過熱した報道がなされている事例における取材・報道のあり方について局内で検討し、再発防止に努めるよう勧告する」
とした。

 NHK「客観的事実を積み上げ、表現にも配慮」

これを受け、NHK広報局は、
「BPOの決定を真摯に受け止めますが、番組は、関係者への取材を尽くし、客観的な事実を積み上げ、表現にも配慮しながら制作したもので、人権を侵害したものではないと考えます」
とのコメントを発表し、小保方氏に対する人権侵害を否定。その上で、
「今後、決定内容を精査した上で、BPOにもNHKの見解を伝え、意見交換をしていきます。また、放送倫理上の問題を指摘された取材の方法については、再発防止を徹底していきます」
とした。

【私の論評】小保方大悪人説だけでは未だ納得できないこの事件(゚д゚)!

小保方晴子氏
ブログ冒頭の記事には掲載されていませんでしたが、小保方氏は「正当な認定で感謝している」と代理人の三木秀夫弁護士通じてコメントしています。

放送倫理・番組向上機構(BPO)が「NHKスペシャル」の人権侵害を認めたのを受け、小保方晴子氏は10日、代理人の三木秀夫弁護士を通じ、「放送が私の人生に及ぼした影響は一生消えるものではありません」とのコメントを出しました。

小保方氏はコメントで「人権侵害や放送倫理上の問題点を正当に認定してもらい感謝している」とし、「国を代表する放送機関であるNHKから人権侵害にあたる番組を放送され、このような申し立てが必要となったことは非常に残念なことだった」と振り返えりました。

三木弁護士によると、小保方氏は現在も療養中で、BPO側からNHKに対する勧告について直接説明受けました。

"NHKスペシャル"「調査報告 STAP細胞 不正の深層」の動画、Youtubeに掲載されていますので、以下に掲載します。


この動画は元のNHKの番組を四分割しています。上の動画の続きのリンクを以下に掲載します。
https://www.youtube.com/watch?v=gq334DlC7mo
https://www.youtube.com/watch?v=mv5uv3p5JKU
https://www.youtube.com/watch?v=86tuZiM6-Xo

私が、この番組で一番問題であると思ったのは、やはり小保方氏が「ES細胞を『盗み』、それを混入させた細胞を用いて実験を行っていたと思わせるるような内容であったことです。

番組内で、若山研にいた留学生と名乗る人物(後に、Chong Li博士と判明)が登場し、小保方氏の研究室にあったサンプルボックスについて次のように証言していた。

「びっくりしました。保存しているのは全部ES細胞ですので、なぜかSTAP細胞に関係があるところに見つかったのは本当にびっくりしましたね。(小保方氏に)それを直接私が渡したことはないです」(Li博士)

この発言を受けて、番組では次のようなナレーションを流していました。

「なぜこのES細胞が小保方氏の研究室が使う冷凍庫から見つかったのか、私たちは小保方氏にこうした疑問に答えてほしいと考えている」

Li博士に対しては石川氏も取材したといい、Li博士は「(若山研では、続きの実験が計画されていたので、実験を)山梨大で続けるつもりだったが、ES細胞を紛失したことで、それを断念した」と語ったと証言しています(「フライデー」<講談社/15年2月6日号>より)。

そもそもLi博士のES細胞は、STAP研究とはまったく関係のない種類のES細胞であることは、石川氏の告発状が出される時点で判明していました。それにもかかわらず、『NHKスペシャル』と同様に石川氏は、あたかもLi博士のES細胞がSTAP研究に混入されたとされるES細胞と同一であるかのような告発状を作成し、マスコミに配布していました。石川氏の告発内容がのちに虚偽であったことが判明したのですが、マスコミはその告発状の論旨をベースに国民をミスリードさせていきました。

また、若山研ではES細胞を紛失したため実験が続けられなくなったと報道されたにもかかわらず、若山研から理研に対し紛失届が出されていませんでした。本当に必要なサンプルだったのならば、実験を断念せず、理研に紛失届を出すのが自然です。それを出さずにマスコミに「盗まれたかもしれない」とリークする目的はなんだったのでしょうか。NHKや毎日新聞がそうであったように、石川氏も若山研を情報源とするものが多いのですが、何か理由があるのでしょうか。

同番組放送後、世間は一気に「小保方氏犯人説」に傾いていきました。その影響は今なお色濃く残っています。NHKは十分な取材をしたと主張していますが、なぜMTAを確認するという基本的な裏取りをせずに、このようないい加減な放送をしたのかはなはだ疑問です。

昨年婦人公論に掲載された小保方さんの写真

小保方氏が理化学研究所(神戸市)の研究室から胚性幹細胞(ES細胞)を盗んだ疑いがあるとして告発され、兵庫県警が容疑者を特定せず捜査結果を書類送付した事件について、神戸地検は昨年5月18日、嫌疑不十分で不起訴処分としました。「事件の発生自体が疑わしい」と判断しました。

不起訴処分を受け、小保方氏の代理人を務める三木秀夫弁護士は取材に「当然の結論だ。若山氏の研究室の引っ越しで残されていたものの中にES細胞があっただけで、刑事告発したこと自体がおかしい」と話しました。

この事件に関しては、このブログでも何度か掲載してきました。それらの中でも強調してきたのですが、仮に小保方氏が大悪党だったにしても、それでもなおこの事件には疑問が残るし、それに小保方氏一人だけを悪者にしてそれですべてが一件落着というわけではないと思います。

理研の上層部や、その監督省庁である文部省では誰も責任を追求されることもないし、笹井氏の自殺という残念な結果を招いたのにもかかわらず、危機管理上の改善などがされたという話は聴いたことがありません。

私は過去にこのブログで、このままでは、また同じようなことが起こるという懸念は払拭されないことを強調しました。その考えは、今でも変わりありません。多くの人が忘れたころに類似の事件が理研でまた発生することでしょう。

この事件は、もう小保方氏一人が大悪党で、その大悪党が処分を受けたので、大方の人はもう忘れてしまい、今回のこのニュースもほとんど取り上げられず、闇に葬られそうです。

これでは、何の解決にもなりません。悪い体質が温存されるだけです。BPOの今回の勧告がきっかけとなり、こちらのほうにも目が向けられと良いのですが、どうもそうはならないようです。このようにして、日本の悪い部分はいつまでも温存されて、あるとき限界を超えてさらにとんでもない事態を招いてしまい、そのときにはじめて改善・改革が行われるのだと思います。

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2016年9月28日水曜日

【朝日新聞研究】「君が代」否定の根拠とされる五輪憲章 現実とはなはだしく乖離している―【私の論評】朝日もNHKもネガキャン手法に限界?左翼・リベラル・中国にさえ見放される(゚д゚)!

【朝日新聞研究】「君が代」否定の根拠とされる五輪憲章 現実とはなはだしく乖離している

8月20日NHK「おはよう日本」が報道した「五輪開催5つのメリット」
ブラジル・リオデジャネイロ五輪の代表選手団の壮行会(7月3日)で、2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(元首相)が「国歌も歌えないような選手は日本の代表ではない」と苦言を呈したことから、また国歌・君が代が話題になった。

国歌国旗法が成立したときに大反対した朝日新聞は、8月23日朝刊のオピニオン欄「耕論」で、「スポーツと国歌」と題して、3人の意見を載せている。元サッカー日本代表主将の宮本恒靖氏と、元プロ野球選手で元参院議員の江本孟紀氏、もう1人は女性の憲法学者である。

宮本氏は、国際試合で君が代が演奏されるとき、初めは歌わなかったが、次第に歌うようになったという。江本氏は「スポーツ選手は君が代を歌うべきだと思います」と明言する。両者ともに肯定的である。

否定的なのは女性学者で、憲法学者らしく五輪憲章を持ち出して、第6条で「オリンピック競技大会は、個人種目または団体種目での選手間の競争であり、国家間の競争ではない」と明記されているといい、「同憲章では、国際オリンピック委員会と組織委員会が国別のランキングを作成することを禁止しています」と指摘する。

朝日新聞としては珍しく感じる2人の肯定論に対し、間もなく読者からの反論を、投書欄「声」に採用している。

8月29日、32歳の牧師からのもので、「耕論『スポーツと国歌』(23日)を読み、国歌を歌わない五輪選手に苦言を呈した森喜朗氏を擁護する意見に違和感を持ちました」とあり、その理由を「なぜなら、私はクリスチャンであり、天皇(陛下)を賛美する歌詞の君が代を歌えません。聖書に記されている神以外を賛美することはできないのです」という。

このような強固な宗教的見解に立脚した反対論はともかく、女性学者の持ち出した五輪憲章の規定は、現実とはなはだしく乖離(かいり)しているのではないか。

どの競技でも、メダルを獲得した選手は、国旗をまとって歓びを表している。スポーツを国威発揚の手段とする国は、いくらでも存在する。国別メダル獲得数については、憲章の精神は無視されているし、朝日新聞自身が掲載している。

五輪より、さらに国家やナショナリズムと関係が深いのが、サッカー・ワールドカップ(W杯)で、これこそ明白に「国と国との戦い」である。テレビでサッカーの国際試合を見ていると、ピッチの脇に朝日新聞の広告が出てくる。

朝日新聞が、日本代表チームの「サポーティングカンパニー」になっているからである。もし、ナショナリズムを忌避するなら、朝日新聞は速やかに公式スポンサーを解約すべきではないか。

【私の論評】朝日もNHKもネガキャン手法に限界?左翼・リベラル・中国にさえ見放される(゚д゚)!

ブログ冒頭の写真で掲載したように、8月20日NHK「おはよう日本」が報道した「五輪開催5つのメリット」ですが、これは著しく五輪憲章を逸脱していると言わざるを得ません。

以下に、この番組の動画を掲載します。



これはオリンピック憲章の「オリンピック競技大会は、 個人種目または団体種目での選手間の競争であり、 国家間の競争ではない」とした理念と真っ向から対立する考え方となっており、NHKがオリンピックの理念を何ひとつ理解できていないことを明確に示しているか、わざわざこのように事実を曲げて報道する背後に何らかの意図があるのではないかと思います。

ではなぜIOCは、オリンピック憲章に敢えて「国家間の競争ではない」と明記し、国家の威信や指導者の権力を披露する事を固く拒んでいるのでしょうか?それには苦い過去の経験があります。

オリンピックを 「国威発揚」のために徹底的に「政治利用」したのがヒトラー率いるナチスドイツでした。1936年にナチスドイツ下で開催されたベルリンオリンピックでは、国家の総力を挙げてスタジアムや選手村、各種インフラの整備が行われ、実験段階だったテレビ中継が実施されました。後にヴェネツィア国際映画祭で金賞を獲得するオリンピックの記録映画「民族の祭典」がナチスお抱えのレニ・リーフェンシュタール監督によって撮影されています。


レニ・リーフェンシュタール監督による「民族の祭典」

今ではオリンピック前の恒例行事として知られるようになった初の聖火リレーが行われたのもベルリンオリンピックで、この際の経路の詳細な調査結果が第二次世界大戦でのドイツ侵攻に活用されました。

このように、オリンピックが結果的にナチスドイツの「国威発揚」に荷担させられる結果になってしまったことから、オリンピック憲章ではオリンピックを国家のプロパガンダの場として政治利用することを拒んでいます。

ヒトラー 当時としては珍しいカラー写真
つまり、今回NHKが堂々と放映したオリンピック開催のメリットの筆頭に「国威発揚」を挙げるという行為は、近代オリンピックが過去の苦い経験への反省から作り上げたオリンピックの精神を土足で踏みにじるもの。どこぞのまとめサイトが書き散らしたのならともかく、仮にも次期オリンピック開催国の公共放送が全国ネットで放映していい内容では断じてありません。

さて、朝日新聞の8月23日朝刊のオピニオン欄「耕論」を朝日新聞デジタルから引用します。
(耕論)スポーツと国歌 宮本恒靖さん、江本孟紀さん、志田陽子さん

2016年8月23日05時00分 


 「国歌を歌えないような選手は日本の代表ではない」。選手団壮行会で、来賓からこんな発言も飛び出したリオ五輪が閉幕した。スポーツと国家、個人のかかわりを、改めて考えたい。

■プレーで応えるのが使命 宮本恒靖さん(元サッカー日本代表主将、ガンバ大阪ユース監督) 
宮本恒靖さん 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 初めて国際試合に出たのは高校2年になる春です。17歳以下の日本代表に選ばれました。自分のアイデンティティーというものを強く感じたのを覚えています。国民の代表として戦うんだ。このユニホームを着て戦う限り、ふがいないプレーはできない。そんな責任感が生まれました。 
 サッカーの国際試合では、キックオフ前に両チームの国歌が流れます。その初めての代表戦のときもそうでしたが、僕は歌いませんでした。歌いたくなかったということではないんです。理由は特になくて、慣れていないことが大きかったような気がします。その後、A代表にも選ばれ、何十試合と国際試合を経験していくなかで、歌うようになりました。 
 国歌が流れるのは、国際試合ならではのこと。そう考えると、聞きながら燃えてこないわけがない。今からこの国のために戦うということ、代表のユニホームを着られる喜び、誇り。そういうことを感じる瞬間です。自然と声が出るようになりました。 
 僕の場合、ゲームに向かう準備の最終段階で、心を整えるという意味合いもありました。歌いながら心を落ち着かせ、ほどよい高揚を持って戦いに出て行く。いわば、ルーティンです。 
 ただ、胸の中の思いは選手それぞれだし、どう表現するかも人によるものです。黙って目を閉じて、国歌を聞く選手もいます。その瞬間にどう振る舞うかは、意思の自由。心を一つにするためにみんなで歌うという方法もあるかもしれませんが、ルールを決める必要はないと思います。代表にいたとき、協会や監督から言われたことはないし、自分が主将のとき、決まりを作ろうとも思いませんでした。 
 いいプレーをしたり勝ったりすると、国中のみんなが喜ぶ。そういう日本代表の力を、地元開催の2002年W杯では実感しました。直接会うことはなくても手紙をくれたり、「病気だけど気分がよくなった」と言ってくれたりした人もいました。 
 たくさんの人にプラスのものをもたらせる立場にあるわけだから、もっとがんばらない手はない、となる。サッカー以外の代表も、同じなんじゃないでしょうか。 
 五輪の表彰式で、一番真ん中に国旗が掲揚されるという場面は、まさに喜びをもたらせた瞬間です。それを見ながら、誇らしいとか良かったとか、さまざまな思いがわくでしょう。その感情をどう表に出して、そして国歌を歌うか歌わないかも、選手それぞれですよね。見守ってあげてほしいなと思います。
選手としては、使命や期待に応えるのはプレーです。いかにチームや個人としてしっかり力を出すか。代表の役割もそこに尽きると思います。(聞き手・村上研志) 
* 
みやもとつねやす 77年生まれ。2002年と06年のW杯、04年アジア杯(優勝)で日本代表主将を務めた。11年に現役引退。

■競技と社会の関係、考えて 江本孟紀さん(プロ野球解説者、元参院議員) 
江本孟紀さん
 スポーツ選手は君が代を歌うべきだと思います。国際試合であれば、なおさら。相手の国への敬意を示す意味でも、自分の国の国歌に対して知らん顔というのはおかしいことになるでしょう。 
 民主党の参院議員だった1999年、国旗・国歌法案に賛成しました。党内には反対の議員も多かったのですが、国旗・国歌特別委員会でも、賛成の主張をしました。 
 教育現場で混乱が起きるのは国旗・国歌の法制化をしなかったからであり、過去の政治家と国民の間で、長くあいまいにされていた問題と考えたのです。
君が代の歌詞がわかりにくいとの批判がありましたが、そもそも校歌や社歌等も同じで私の出身高校の校歌だって明治時代の歌詞でさっぱりわからない。それでも、甲子園で校歌が流れれば故郷を思い感激しますといった持論を特別委で展開しました。首相だった故・小渕恵三さんから、「素晴らしい質問だった」と後で電話をもらいましたよ。 
 当時、国歌を歌うよう強制はしないと政府は答弁していました。しかし、その後、東京で石原慎太郎都知事、大阪で橋下徹府知事がそれぞれ登場したことなどもあって、教育の現場では強く指導する流れになっていますね。 
 何が強制にあたるかという問題でしょうが、学校で毎日歌わせるのならともかく、年に1回か2回の儀式と、そのための何回かの練習が強制にあたるとは思えません。 
 スポーツの世界で、戦時の経緯を考え、政治的に歌いたくないという選手が歌わないのなら、それでいいと思うんです。 
 ただし最近、スポーツ選手が「日の丸を背負って」「国を背負って」といった言い方をしきりにする傾向があると感じています。大げさな感じであまり好きじゃない表現ですが、そのように言う以上は、君が代を歌えないのは矛盾するでしょう。 
 根底にあるのは、選手も指導者も、ここぞという国際試合の場で国歌にどう向き合うかしっかり考えていないことだと思います。さらに言えば、国や政治とスポーツは関係ないと思っている当事者が多すぎるのではないか。 
 国歌を歌わない選手に苦言を呈した森喜朗さんも「選手にはもっと、競技活動と国との関係を考えてほしい」と言いたかったのではないか、と受けとめています。 
 五輪での選手のコメントは、コーチや親など、身の回りにいる人たちへの感謝の言葉がほとんどでした。それはそれで結構ですが、活動できたのは税金で助成してもらったり、税制上の優遇を受けた学校などのスポーツ施設を使ったりしたからのはず。もう少し社会や政治とのかかわりに心を寄せてほしいものです。(聞き手・池田伸壹) 
* 
えもとたけのり 47年生まれ。プロ野球の阪神、南海で投手として113勝した。92年から参院議員に2期連続で当選。

■公人の発言、萎縮招く恐れ 志田陽子さん(武蔵野美術大学教授) 
志田陽子さん
  リオデジャネイロ五輪で、日本人選手を応援し、感動するのは自然なことです。表彰式で君が代が流れ、感激した人も多かったでしょう。 
 開催中、五輪憲章を読んでみました。日本国憲法と通じる点が多いことに驚きました。 
 オリンピックは、平和な社会と「人間の尊厳」を推進することを目的としていて、憲法と共通する精神を持っています。さらに、憲章は第6条で「オリンピック競技大会は、個人種目または団体種目での選手間の競争であり、国家間の競争ではない」と明記し、競技者個人を参加主体としています。 
 国別のメダル獲得数が報道されていますが、同憲章では、国際オリンピック委員会と組織委員会が国別のランキングを作成することを禁止しています。国ではなく、選手とチームが主体なのです。 
 日本国憲法では、第13条が保障する「個人の尊重」がこれに通じるでしょう。選手は個人の自己決定幸福追求権)をもとに全力を尽くしているのです。 
 歴史を振り返れば、第2次世界大戦にいたるナチスドイツに顕著に見られたように、国民感情を都合よく操作するために、権力者が芸術とスポーツを利用してきました。日本でも総力戦体制で、文学、美術、音楽、映画やスポーツが国威発揚や戦意高揚に動員されました。個人より国家を重視していたのです。 
 五輪憲章も日本国憲法も、こうした反省の上に立っているのだと思います。
そんな流れを知ってか知らずか、2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の森喜朗元首相が、リオ五輪へ向けた代表選手の壮行会で「国歌を歌えないような選手は日本の代表ではない」と発言しました。大変残念なことです。オリンピックの精神からも憲法の理念からも、権力が個人の心の中に入り込むことがあってはならない。国歌を歌うか歌わないかは、選手に任されるべきです。 
 例えば実業団チームを持つ企業の経営者が「わが社の商品を知らないようでは、うちの選手ではない」と言うのは許されるかもしれない。しかし、政治家など公的な立場にある人の発言は、選手だけでなく社会を構成する一般の人たちにも影響します。直接批判されていない人にも、発言を忖度(そんたく)し、レッテル貼りを恐れることによる迎合や萎縮をもたらす効果がある。公的立場にある人は、自らの影響力を自覚し、個人的選好を強制する発言は慎まなければなりません。 
 スポーツや文化活動にはお金もかかります。民主的な決定に基づいて国が公的にサポートするのはすばらしいこと。しかしその場合も、国はあくまでも応援団に徹するべきです。(聞き手・池田伸壹) 
* 
しだようこ 61年生まれ。専門は憲法。編著書に「表現者のための憲法入門」「映画で学ぶ憲法」。講演と歌唱の活動も。
NHKの報道も、朝日新聞の報道も、一見コインの表裏のように異なるようにも見えますが、 結局目指すところは同じなのだと思います。

NHKの報道に関しては、オリンピックそのものにナチスばりのネガティブな印象を強調し、安倍政権批判に結びつけるということだと思います。

朝日新聞のほうは、五輪憲章を強調し、森喜朗会長(元首相)が「国歌も歌えないような選手は日本の代表ではない」と苦言を呈したことを強調し、あたかもこの発言が、五輪憲章を踏みにじるかのように印象付け、ネガティブな印象を強調し、安倍政権批判に結びつけるということであると考えられます。

どちらも、安倍政権批判に結びつけようとしています。しかし、オリンピックそのものをネガティブに仕立てようと、国歌を歌えない選手に苦言を呈したもと総理大臣のことをことさら強調しようと、多くの人の国歌に対する考え方や、オリンピックに対する考え方を変え、さらにそれをもって、多くの国民に対して、安倍政権に対して、ネガティブな意識を植え付けることなどできるのでしょうか。

ほとんど、無理ですね。ほとんどの人は、このようなキャンペーンに影響されることはないでしょう。にもかかわらず、なぜこのような姑息なことをするのでしょうか。

もう、NHKも朝日新聞も、多くの国民に見透かされネガキャン手法に限界がきているのではないでしょうか。もっと、もっとやり方はあるはずです。

どうせやるなら、もっと効き目のあるまともなキャンペーンはできないものなのでしょうか。彼らの立場に立って物事を考えてみても、情けないの一言です。この有様では、両方共左翼・リベラルそうして中国からさえ、効き目のないメデイアとして相手にされなくなるのではないでしょうか。

中国は、このまま効き目のないメディアを放置しておいて良いはずがありません。日本のメディアがまともに日本政府を貶められるように、まともなネガキャンができるわように、督戦隊を送り込むべきです。

無論、これは冗談ですよ。たまに、真に受ける人がいるので、念のため掲載しておきます。

結局いいたいことは、朝日も、NHKもなぜか日本や、日本政府を貶めるような報道をするのですが、それがほとんど効果がなくなっているということです。これでは、いずれ、左翼・リベラル、中国にも見放されることになるのは必定です。

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2016年8月21日日曜日

片山さつき議員が貧困女子高生問題に言及「パソコン買えるのでは」「NHKに説明を求める」―【私の論評】NHKが貧困を煽るのは馬鹿か常識知らずかその両方で、いずれにしても酷すぎ(゚д゚)!

片山さつき議員が貧困女子高生問題に言及「パソコン買えるのでは」「NHKに説明を求める」

貧困女子高生を取り上げたNHK ニュース、この女子高生は実は貧困ではないのではなかとされ様々な憶測を生んでいる

NHKの貧困女子高生問題を片山さつき・自民党参院議員が取り上げてNHKに説明を求めると話しています。

片山議員は8月20日夕方から数回に渡ってTwitterでこの問題に言及、貧困女子高生の外食やキャラクターグッズ購入を指摘して中古のパソコンを十分買えるのではないかとしてネットの不信感に理解を示し、経済的な理由で進学できないのであるのなら奨学金を始めとする各種の施策で支援可能ではないかと語っており、貧困女子高生のようなケースに返済義務のない奨学金が活用可能であるのか、NHKに説明を求めるとしています。

NHKニュースのキャプチャ画像
片山議員は問題の番組を見て経済的な理由で進学を断念したという貧困女子高生の夢を叶えてあげたいと思っていたところネットからの指摘で女子高生の散財を知り驚いたそうで、貧困女子高生がTwitterに載せていた外食について「一食千円以上。かなり大人的なオシャレなお店で普通の高校生のお弁当的な昼食とは全く違う」として疑問を抱いているようです。

この問題では貧困状態の定義が議論になっており女子高生の生活それ自体を批判するというスタンスに対しては否定的な意見も根強いものの、NHKの報道に対しては厳しい声が多く、YouTubeで公開されている動画への評価は8月21日朝の段階でBadが2,150回に対しGoodはわずか54回と、貧困女子高生を取り上げた報道それ自体が支持を得られていないのが鮮明となっています。

こうした背景の一つには貧困女子高生が2016年春の段階で既に神奈川県内の高校生による選挙啓発運動に参加していたことが判明しているなど政治的な取り組みにも積極的である点から報道に何らかの思惑があったのではないかとの憶測も影響しており、取材に至った理由やこの女子高生を取り上げた経緯についての説明を求める人が多いため片山議員の発言は期待感を持って受け止められているようです。

【私の論評】NHKが貧困を煽るのは馬鹿か常識知らずかその両方で、いずれにしても酷すぎ(゚д゚)!

さて、この件では、ネット上でかなり情報が乱れ飛んでいます。中には、この貧困女子高生(杉山麗)の自宅住所に赴いて、NHKニュースではエアコンがないとされていたにもかかわらず、この女子高生の自宅にはエアコンの室外機があることを示す写真をネットに掲載する人間もいるほどです。

このような動きに対して、不安を感じたのか、貧困女子高生の妹なる人物が以下のようにツイートしています。


ここまで、やるのは実際やり過ぎであるとは思います。結局、この問題は、貧困とされる女子高生にはあまり問題はないと思います。(全く問題がないというわけではない。)

問題はどうしてこのような事実と異なる放送がされてしまったかです。放送中には大量の漫画、アニメグッズ、高価なペン(2万程)があるのが映っており、明らかに貧困に苦しむ家庭という雰囲気ではありませんでした。本当に貧困で困っている人からすれば迷惑な話です。

この放送についてはNHKの戸田有紀記者が深く関与しているのではないかと囁かれているます。

その根拠として、以下のような事実があります。
(1)うららさんがスピーチをした「かながわ子どもの貧困対策会議」の出席者名簿に「戸田有紀(NHK報道局 遊軍プロジェクト 記者)」の名前がある。同会議では76億円規模の貧困対策予算の使い道を検討する。 
(2)「子どもの貧困対策センター設立準備委員会」に設立に賛同すると「NHK記者 戸田有紀」の名前で署名がある(2015年)。左翼リベラル系が多数散見される。
(3)安保法案に反対する署名「安全保障関連法案の廃案を求める和歌山大学有志の会の声明」に参加している。※ただし、こちらについては同姓同名の可能性あり 
これらを受けてネット上では「以上を総合して考えると共産党系組織が政治のためにやっているとしか思えない」、「これは貧困ビジネス」、「同情されやすい女子高校生を意図的に使った」などと指摘され始めています。

おそらく、以前から貧困問題に対して強い問題意識を持っていた戸田有紀記者は貧困対策会議にて、うららさんと出会い、出演を依頼。撮影中に貧乏ではないと気づいたものの、番組をつくりあげるために事実を捻じ曲げて故意に感動的なストーリーを演出したと思われます。

それにしても、貧困率のデータは、2012年(平成24年)のものです。現在は、2016年(平成28 年)ですから、4年も前のデータです。NHKは、貧困率は4年前と、現在も同じと考えているのでしょうか。ただし、貧困率のデータは、最新の「こども白書」などをみても、最新のものでも平成24年のものしか掲載されていません。おそらく、数年に一度新しい統計を出すのだと思います。

この4年間で、日本もかなり変わっています。特に、平成13年からそれまで、金融引き締めばかりしていた、日銀が金融緩和に転じています。そうして、ここから、雇用が劇的に改善されています。相対的貧困率に関する直近のデータはありませんが、以下に最低賃金と完全失業率のグラフを掲載します。

最低賃金が上がってるのですから、この貧困女子高生の母親はバイトをしているそうなので、この人の賃金も上がっているはずです。さらに、高校生や、大学生の就職率も劇的に良くなっています。4年前とは天と地との差です。就職率に関しては、今年は数十年ぶりの良さだったそうですから、まさに天と地です。貧困率も、4年前と比較するとかなり良くなっていると思います。

しかし、野党やマスコミなどは、金融緩和の意義をほとんど認めません。そもそも、金融緩和と雇用の改善との間の相関関係を全く認めていません。彼は、貧困率とは構造的なものとでも思っているのかもしれません。

だから、4年前の古い数値を使って、ことさら貧困率を強調して、安倍政権を叩こうとしたのかもしれません。しかし、その試みは、ネット民によって頓挫させられたようです。

国会での説明資料
今回の出来事は、上記のような見方ができると思います。しかし、別の見方もできます。戸田有紀記者をはじめとして、NHKの職員の平均給与は、NHK の正職員の平均年収は、1780 万円、30歳で2000万円以上の人もいるとか、部長になると3000万もの人もいるとか、これに対して 契約アナは150~200万に過ぎないともされています。

そんなNHKが貧困を取り上げるというのも、不思議な感じがします。そもそも、このようなまるで、貴族様のような生活を送ってるNHKの正職員様からすると、この女子高生の生活は貧困そのものに見えるのかもしれません。そもそも、本当の貧困など想像もつかないのかもしれません。


NHKが貧困を煽るのは、とにかく安倍叩きをするためには、事実の歪曲でもなんでもするという馬鹿さ加減によるものか、現代の本当の貧困とはどのようなものなのかという常識もないためなのかいずれかか、あるいは両方で、いずれにしても酷すぎるということです。

日本を代表すNHKがこの有様なのですから、改めて、日本のテレビの低水準ぶりが露呈してしまったということです。

それと、この貧困問題の煽りですが、NHKは朝日新聞とコラボでこれを安倍政権叩きの柱にしようとしていた形跡があります。

朝日新聞は、今年の5月からシリーズ「子どもと貧困」という特集を組んでいます。一部ピックアップしておきます。

"


"
この朝日新聞のシリーズでは、日本の貧困率は、2009年時点の15・7%が用いられています。2016年現在とは、比較にならないものと思います。おそらく、朝日新聞も、貧困問題と金融政策の間には何も関係はなく、貧困は構造問題だと思っているのでしょう。

メディアや左翼リベラルの貧困問題の捉え方は、著しく偏っています。というより、これは意図的に画策されたものとみなすべきかもしれません。

おそらく、「保育園落ちた、日本死ね」の二番目のどじょうにしようと画策したのでしょうが、最初からネタバレで、これでは他のメデアは乗ってこないでしょうから、頓挫してしまったようです。

相対的貧困率は、所得ベースで計算しますから、年金生活者が多い少子高齢化社会では貧困率が高く出ます。所得と資産は全く異なり、所得が少ないから、貧困者というわけではないのです。日本の場合、少子高齢化で年金生活者など所得の少ない人が急増していますのでデータに多きな歪みが出ます。貧困を語る場合、資産を無視した議論は成立しません。

親の所得が少ないため貧しい子供も居ますが、親に所得があってもお金を持たない子供がいたりします。その理由は様々で 親の浪費もあれば、教育方針もあるるし、子供のお金の使い方にも依存します。また、心の豊かさと貧しさというものもあります。これは、簡単に一律に解決など出来る問題ではありません。

子供の貧困問題も保育園問題と同じように、政治的キャンペーンで煽る手法には、私は大反対です。こんなことをすると、かえって問題がこじれてしまい解決できなくなってしまうことも考えられます。問題を一度整理して、権利義務関係、行政と個人 の責任分担など出来ることを冷静に切り分ける必要があります。貧困問題の対策をすべて国や行政だけが、実行するというのは、共産主義的であり、個人の権利まで侵害することにもなりかねません。
【資料】

ブログ冒頭の記事の動画ですが、比較的短期間で削除されてしまう可能性もあるので、以下に音声を文書化したものを資料として掲載しておきます。

経済的な理由で進路の選択が難しい学生たちが、みずからの言葉で貧困の現状を訴えるイベントが18日横浜市で開かれ、学生たちは「子どもの貧困は日本にも存在していることを理解してほしい」と訴えました。 
厚生労働省によりますと、日本では平成24年の時点で6人に1人の子どもたちが貧困状態にあるとされ、国や自治体には将来に不安を抱える子どもたちへの対策が求められています。 
神奈川県はことし5月、経済的に厳しい状況にある高校生などを委員とした会議を設置し、当事者の声を生かした対策作りを進めていますが、18日は学生たちが企画したイベントが横浜市で開かれ、高校生や教職員などおよそ100人が参加しました。 
イベントでは、学生たちがみずからの体験を講演し、このうち委員の1人で経済的な理由で、希望する専門学校への進学を諦めた高校3年生のうららさんは「みんなが当たり前に持っているものが自分の家にはない。みんなが普通にできることが、自分の家ではとても困難。自分は貧困なのかもしれないと思った」と話しました。 
そのうえで、うららさんは「貧困の子どもが大人になり、同じような生活を強いられ、この状況が繰り返されることで未来の子どもも貧困になってしまうかもしれない。その子たちには、私のようにお金という現実を目の前にしても諦めさせないでほしいです。現実を変えるために、子どもの貧困は日本にも存在するのだと理解してほしい」と訴えました。 
神奈川県では、子どもたちの意見を取り入れて、今後公的な支援策などをまとめたホームページを作成するなどの対策を進めたいとしています。 
経済的な壁 夢を諦める高校生も 
みずからの体験を語った高校3年生のうららさんは、経済的な壁に直面し、進学を諦めざるをえない状況に追い込まれています。 
うららさんは、小学5年生のときに両親が離婚し、現在は一緒に暮らす母親が働きながら家計を支えていますが、経済的に厳しい状況です。自宅のアパートには冷房はなく、夏の時期はタオルに包んだ保冷剤を首に巻き、暑さをしのぐ毎日です。自分の家が経済的に厳しいことについて実感させられたのは、中学時代の授業だったといいます。パソコンを持っていなかったうららさんは、授業で先生に「ダブルクリックして」とか「画面をスクロールさせて」などと言われても、ついていくことができませんでした。母親からは千円ほどのキーボードだけを買ってもらい、一生懸命練習したことは忘れることができない出来事でした。 
うららさんは「みんなが当たり前にできることが自分だけできない。置いて行かれている。こんな自分が惨めだと思った」と当時を振り返ります。 
うららさんは塾にも行けませんでしたが、公立の高校に進学し、現在は、生徒会長を務めています。 
進路を選ぶ3年生の夏を迎えたうららさん。絵が好きで、アニメのキャラクターデザインの仕事に就きたいと、専門学校への進学を希望していましたが、入学金の50万円を工面することが難しく、進学は諦めました。 
うららさんは「私はいちばん不幸だなと思った。夢を持っているのになんで目指せないんだろう」と話し、経済的な理由で将来の選択肢が狭まっていくのを感じています。学校の担任から、夢を諦めずにさまざまな技術を学ぶことができる公的な職業技術校への進路を提案され、家計を助けるためには就職か技術校に進むのか今も迷い続けています。 
うららさんは「夢があって、強い気持ちがあるのに、お金という大きな壁にぶつかってかなえられないという人が減ってほしい。いろいろな人に知ってもらって、助けられていく人が増えてほしい」と話しています。 
「知らないこといっぱいあった」
講演を聞いた横浜市の高校2年生の生徒は「今振り返ると昔の友達で貧困の子がいたかもしれないと思いました。きょうの講演で気づかされたことが多かったです」と話していました。 
横浜市の高校2年の男子生徒は「自分の生きている世界と全然違って、苦しい生活をしている人がいると初めて知って驚いた。周りで大変そうな人がいたら力になりたい」と話していました。 
参加した高校の男性教諭は「知らないことがいっぱいあったので、子どもたちをもっと見るようにしなければと感じた」と話していました。
講演を終えたうららさんは「皆さんが貧困の問題を知りたいという気持ちが伝わってきたので必死でやりました。子どもの貧困の問題がもっと社会に認識され、対策も進み、将来子どもたちが未来を諦めずに済むような社会になればと思う」と話していました。 
子どもの貧困率 最悪に 
厚生労働省によりますと、貧困状態にある18歳未満の子どもの割合を示した「子どもの貧困率」は、平成24年時点の推計で子ども6人に1人の割合に上り、調査をはじめた昭和60年以降、最悪となっています。 
なかでも、母子家庭など「一人親世帯」では半数以上が貧困状態で、先進国の中でも最悪の水準です。こうした子どもの貧困は、進路にも深刻な影響を及ぼしています。厚生労働省が平成23年度に行った調査では、一人親世帯での大学や専門学校などへの進学率は40%余りで、ことし5月時点での全世帯の進学率と比べて、およそ30ポイント低くなっています。また、文部科学省がおととし行った調査では大学や短大を「経済的理由」で中退した若者は1万6181人に上り、全体の20.4%を占めて最も多くなっていて、前回5年前の調査より6.4ポイント増え、貧困が子どもたちの将来に大きな影を落としています。 
さらに子どもたちが経済的な理由で学習の機会を失うことで、将来十分な収入が得られず親の貧困が子どもにも引き継がれる「貧困の連鎖」が広がっています。

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2016年6月26日日曜日

「防衛費は人を殺す予算」 共産・藤野政策委員長がNHKで 他党議員は発言取り消しを勧めたが…―【私の論評】共産党を他野党と同列とみなすのは、中国を他国と同列とみなすのと同じくらい危険(゚д゚)!

「防衛費は人を殺す予算」 共産・藤野政策委員長がNHKで 他党議員は発言取り消しを勧めたが…

共産党の藤野保史政策委員長
 共産党の藤野保史政策委員長は26日出演したNHK番組で、防衛費が初めて5兆円を超えた平成28年度予算を念頭に「人を殺すための予算でなく、人を支えて育てる予算を優先させていくべきだ」と述べた。

これに対し、自民党の稲田朋美政調会長は「それは言い過ぎだ。(防衛費は)日本を守るためだ」と即座に反論。公明党の石田祝稔、おおさか維新の会の下地幹郎両政調会長は「人を殺すための予算」の取り消しや訂正を勧めた。

日本のこころを大切にする党の和田政宗政調会長も「政治家の発言としてまずい。国民の命を守るために国防がある」とたしなめたが、藤野氏が番組中に応じることはなかった。

【私の論評】共産党を他野党と同列とみなすのは、中国を他国と同列とみなすのと同じくらい危険(゚д゚)!

上の記事にも掲載されている、問題発言が掲載されている動画を以下に掲載します。これは、NHK の日曜討論という番組です。この動画近いうちに削除されるかもしれません。ご覧になってないかたは早めにご覧になってください。


以下にこの動画を含んだツイートを掲載します。ツイートはよほどのことがないと削除されないので、上記の動画が削除された場合には、以下のツイートをご覧ください。
この発言はあまりに酷過ぎです。しかし、番組の中では他の人達から「取り消すべき」と何度もいわれながら、結局撤回しませんでした。

しかし、藤野氏は今夕、党広報部を通じて文書で「不適切であり取り消す」と発言を撤回しました。藤野氏はコメントで、「発言は、安保法制=戦争法と一体に海外派兵用の武器・装備が拡大していることを念頭においたものでしたが、テレビでの発言そのものはそうした限定をつけずに述べており、不適切であり、取り消します」と釈明しました。

このニュース驚いたことに、産経と時事通信以外は報道していません。朝日新聞は撤回したことは、伝えましたが、発言の報道自体はしていません。

安倍晋三首相は26日午後、長野県茅野市のJR茅野駅前で演説し、共産党の藤野保史政策委員長が同日のNHK番組で防衛費に関して「人を殺すための予算」と発言したことについて、「泥にまみれても、雨にぬれながらも頑張っている自衛隊に対して極めて失礼な侮辱だ」と強く非難しました。

有権者らとの写真撮影に応じる安倍晋三首相=26日、長野市
また、志位和夫委員長らが、自衛隊を憲法違反とし、将来的な解消を主張していることについて「こんなことが通るわけはない。あまりにも無責任、失礼な発言だ。この共産党と民進党は、まさに一体となってこの選挙区でも戦いを進めている」と批判しました。

日本の自衛隊は他国の軍隊とは違い設立以来一人も人を殺していません。本当に共産党は、自衛隊に対して無礼な政党です。

共産党は自衛隊は違憲、綱領に自衛隊の解消(=廃止)を掲げている。民進党と選挙協力する中、表に出ないようにしてきたが本音が出たのでしょうか、それとも日頃「安保法制は戦争法案」などと嘘をつきまくっているのでつい「防衛予算を人を殺すための予算」とか言ってしまったのかもしれません。いずれにしても、共産党も嘘も本当に怖いです。

参院に自民党から出馬した、青山繁晴氏は、まるで本日の出来事を暗示するような選挙演説をしていました。
詳細はこの動画をご覧いただくものとして、この動画では、青山氏は「阪神淡路大震災の時、瓦礫にはさまっている人達を助ける為に海自の護衛艦に陸自の救出部隊を載せ向かったが、神戸港に接岸出来なかった。神戸市民から『戦争の船は来るな!』と言われたのです」 と語っていました。

無論、神戸市民全員がそのようなことを言ったわけではないのでしょうが、阪神淡路大震災の頃というと、まだまだ左翼勢力が大きく、このような声も大きかったのだと思います。

こんな馬鹿なことが許されて良いはずがありません。藤野保史政策委員長の発言は、阪神淡路大震災のときの左翼勢力の発言と本質的には同じです。助かる命も見捨てろと言っているのと何も変わりありません。本当に恐ろしいことです。

しかし、さらに恐ろしいことがあります。それは、共産党は最近ではソフト路線をとって、一見いかにも他の野党などとあまり変わりないように未だに暴力革命の方針を堅持すしているということです。

これに関しては、警察庁による公文書である、『警備警察50年 ◆元寇警察法施行50周年記念特集号◆』をご覧になってください。


さらに、公安調査庁による公文書である、『国内情勢4 ◆国内情勢4 共産党 内外情勢の回顧と展望』をご覧いただけると、さらに共産党について良くご理解いただけるものと思います。


共産党を他の野党と同じように考えるのは、中国を他の国と同じように考えるのと同じで根本的な間違いです。

安保法案を戦争法案として反対し、防衛予算を人殺しの予算として、防衛費削減もしくはゼロにすることを目論でいる共産党です。共産党によるこの目論見が実行され、しかも自分たちは暴力革命の方針を堅持しているわけです。

そうなれば、自分たちは暴力によって政権の座を獲得するつもりなのです。その本音があるので、「防衛費は人を殺す予算」という発言になってその本性を顕にしたのです。

そもそも、自分たちは革命を起こすためには、人を殺すことも含む暴力を否定しないという本性が顕になったのです。共産党は、現状では革命など起こる可能性など全くないので他の野党と同じような政党であると見せかけつつ、いずれ世の中が乱れたり、とてつもない危機に陥ったときが来るのを待って、暴力革命を実行しようと虎視眈々と狙っているです。

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2016年2月21日日曜日

NHK日曜討論「徹底分析 日本経済のゆくえは」―【私の論評】いつも予想を外す酷すぎる分析をするエコノミストの提言は、完全無視せよ(゚д゚)!

NHK日曜討論「徹底分析 日本経済のゆくえは」

小幡績/慶應義塾大学准教授
高橋進/日本総合研究所理事長
中空麻奈/BNPパリバ証券投資調査本部長 
早川英男/富士通総研エグゼクティブ・フェロー



徹底分析 日本経済のゆくえは

きょうのテーマは日銀のマイナス金利などへの評価、日本経済の今後など。

“GDP伸び率マイナス” 景気の現状は

GDP伸び率が速報値で2期ぶりのマイナスに。個人消費の落ち込みが響き、背景には実施賃金の伸び悩みがある。日経平均株価は一時2万円の大台となったが、今年に入って下落傾向が続く。視聴者の声では、最近の株価・為替乱高下が異常なだけ、景気は上向きと感じるとの肯定的な意見、物価は上がっても給料がそのままとの否定的な意見が聞かれた。

日本のGDPの伸び率はマイナスになったが、今年は暖冬で個人消費が伸びなかったり中国経済の影響を受けていたりするためで日本経済は根本的に弱くなってはいないと高橋進がコメント。

小幡績、早川英男も同意し、長期に成長が0になることが問題、などと付け加えた。

一方中空麻奈は、この現状を無視するわけにはいかない、スローダウンは明らかにしているという認識は持つべきとコメント。個人消費の落ち込みについて早川英男が、春闘で賃上げが去年よりも高くなるかが注目と解説。

小幡績は、実質賃金を上げるためには個々の労働者がより効率的に働き経済に貢献することが必要とコメント。そしてそれには長期間かかるという。

高橋進は、企業がもっと人に投資し、また賃金を上げることが必要と話した。一方中空麻奈は、その前に企業が設備投資をもっと増やすべき、などと解説した。

アベノミクス3年 どうみるか

アベノミクスの政策として提示された「トリクルダウン」について聞く。

小幡績は、アベノミクスはただのイメージ戦略で中身は金融政策だけ、金融政策で国民感情は普通に戻ったがそれ以上の効果はないと答えた。高橋進は、閉塞感を変えただけでも大きな効果であると答えた。

早川英男は、日銀の物価上昇目標は達成されていない、GDP成長率はもっと成績が悪いと答えた。

中空麻奈は、「三本の矢」のうち成長戦略がないと言われるが成果が出るのが遅いだけである、国民に説明する努力が足りていないと答えた。中小企業への戦略が足りないとの意味かと聞かれると、それだけではなく政策が金融緩和に終始しているという根本的原因があると答えた。

アベノミクスへの批判について聞く。高橋進は、政府は説明努力をしていると答えた上で、効果が出るまで時間がかかるものもある、消費税引き上げの後遺症が長続きする・世界経済が不安に陥るなどの要因もあると答えた。

日銀の金融緩和策 “マイナス金利”は

これまでの日銀の金融政策についておさらい。「異次元緩和」では国債買い入れと資金の供給を続け、さらに「マイナス金利」導入で日銀への預金から個人・企業への融資への転換を促した。黒田総裁は実際に金利が低下したと強調した。

日銀のマイナス金利導入について聞く。

早川英男は、毎年一定額の国債買い入れには限界がある、マイナス金利導入で選択肢が広がったと答えた。

小幡績は、経済をデフレ化させる効果しかない、世界経済はドルが弱い時期にあり日本だけの政策では効果がないと答えた。

高橋進は、インフレ期待を高めるための政策の延長である、経済全体を揺るがすものではないと答えた。

中空麻奈は、金利が貨幣の価値を表すと考えるとマイナス金利は異常と思う、金融システムへの不安を生んでしまうと答えた。

早川英男は、経済不安には海外からくる要因が多く日銀の政策が原因というわけではない、マイナス金利を際限なく導入できるとする論者もいるがそれは難しいと答えた。

“マイナス金利” 暮らしへの影響は

日銀のマイナス金利導入について、視聴者の声を聞いた。住宅ローンの借り時はチャンスと思う、個人の生活への影響がわからないといった声が聞かれた。

中空麻奈は、金利はほぼゼロであり生活への影響はない、影響を受けるのは銀行であり今後大きな副作用が出るおそれがあると答えた。

小幡績は、銀行が国債の安定した収益を行うことから企業の貸し出しが減るなどの悪影響が生まれてくると答えた。

早川英男は、欧州ではマイナス1%以上の金利の国もある、個人の預金からも手数料を取っていると答えた。

高橋進は、銀行が国債や預け金で運用していることが問題、地銀などは早くから統廃合などの動きを始めていると答えた。

中空麻奈は地方銀行の動きについて聞かれ、地銀は貸し出し先を求めているが貸し先がないことに苦しんでいる、銀行に対する厳しい規制が原因でもあると答えた。小幡績も同意し、リーマンショックから規制や国債中心の運用などが生まれと紹介した。

日銀が目指す “2%の物価上昇目標”は

続いて、日銀の物価上昇目標について聞く。

早川英男は、市場には年2%の上昇目標達成を信じている人はいない、努力は続けていくべきと答えた。

高橋進は、目標は安定的な物価上昇の達成を目指すというメッセージである、現状はエネルギー価格の低下が影響しているなどと答えた。

中空麻奈は目標が達成不可能との意見に同意し、メッセージを発信することは達成しており目標を練り直すべきと答えた。

小幡績も同意し、日銀は金融市場の安定という本来の目的に立ち返るべきと批判した。続いて、日銀の物価上昇目標について聞く。早川英男は、サプライズ政策はよくないという意見には賛成する、目標が無理だとは思っておらずショック療法の効果を見極めながら政策を見直すべきと答えた。目標達成を先送りするのかとの問いには、期限を切ることには市場を刺激する意図があった、達成できなくなった時点で見直すべきと答えた。

ゆれる世界経済 現状・先行きは

IMFが今年の世界経済の見通しを公表。中国は減速、アメリカは成長率が高まるが最新のGDP値では勢いが鈍っている、原油価格が産油国などの成長の足かせとなると指摘している。

世界経済の先行きについて高橋進は、中国などの新興国に頼らず先進国が世界経済をどのように引っ張っていくかを議論する必要があるとコメント。

小幡績は、先進国は金融緩和をやり過ぎて効果が出なくなっていて、その金融緩和依存からどう抜け出すかがポイントと話し、

早川英男はそれに同意。

中空麻奈は、現状は続いてしまうため、ある程度低成長を受け入れその後金融機関への規制をもう一度見直す必要があると話し、小幡績が同意した。

高橋進が伊勢志摩サミットに向けた情報発信について聞かれ、市場の安定や経済の上昇を呼びかける、為替については各国に思惑があり連携は難しいなどと答えた。

中空麻奈は欧州の動きについて聞かれ、行き過ぎた金融緩和を止めることが必要と答えた。早川英男は原油安について聞かれ、恩恵やマイナス要因が強調され過ぎていると答えた。小幡績は、資源輸出国が弱っていることに着目すべきと答えた。

これからの日本 求められる政策は

最後に4人に日本経済への提言を聞く。

中空麻奈は、消費増税先送りは日本国債の格下げ・駆け込み需要の消滅から経済の停滞を招くので予定通り行うべきと答えた。

早川英男は、長期的な経済の実力を高めること、財政健全化を進めることが求められると答えた。

小幡績は、日銀が単独で金融市場を混乱させつつあると指摘し、時には政策をストップする決断も必要と答えた。

早川英男は、常に動けるカードを持っていくとの面でマイナス金利を評価したいと答えた。

高橋進は、市場を刺激するために機動的に動くことが必要、経済の地力をつけることも求められると答えた。

【私の論評】いつも予想を外す酷すぎる分析をするエコノミストの提言は、完全無視せよ(゚д゚)!


本日のNHK日曜討論の内容は、本当に酷いものでした。特にひどかったのは、昨年の10-12月期のGDPのマイナス成長に関して、討論参加者の誰からも、8%増税の悪影響をあげた人はいなかったということです。

もうこの時点で、この討論は奇妙奇天烈、摩訶不思議で、まともに聴いている価値はないと判断しましたが、それでも我慢して聴いていると、マイナス金利についてもなにやら筋違いの話ばかりしていました。

この討論を聴いていると、本当に脱力感を感じてしまいました。この人たちは全員見当違い、筋違いの話をしているとしか思えませんでした。

ここで討論している人たちは、経済分析や予想を大外ししている人たちばかりです。それに、8%増税の日本経済に与える影響は軽微と予測していました。こんな人たちが、偉そうに日本の実体経済を語る資格はないです。ツイッターのつぶやきをみていると、こう思うのは私だけではないことが良くわかります。以下にいくつかあげておきます。
さて、このブログでは、GDPマイナス成長は暖冬のせいではなく8%増税であるとの記事を掲載しました。その記事のURLを以下に掲載します。
GDPマイナス成長は暖冬のせいではない―【私の論評】増税派はどこまでも、8%増税が大失敗だったことを認めたくない(゚д゚)!
以下に天候不順は言い訳に過ぎないと片岡氏が述べている部分のみをコピペします。

"
天候不順は言い訳

 今回公表されたGDP統計では、家計消費の推移が自動車や家電製品といった耐久財、衣料品などの半耐久財、食品などの非耐久財、輸送・通信・介護・教育などを含むサービスといった4つの品目群(GDP統計では形態と言う)別にまとめられている。2015年7-9月期と比較しても、1年前の2014年10-12月期と比較しても、家計消費の落ち込みに最も大きく影響しているのは耐久財消費の落ち込みである。石原大臣の述べるとおり、家計消費の落ち込みの主因が冬物衣料品などが大きく落ち込んだことにあるのならば、その影響は半耐久財消費の大幅減という形で現れるはずだが、統計データを参照する限り、そうはなっていない。

思い起こせば、天候不順が消費低迷の主因であるという指摘は、2014年4月の消費税増税以降繰り返されてきた。確かに天候不順が消費を落ち込ませる可能性はゼロではない。しかし消費意欲が旺盛であれば、多少の天候不順でも、消費の落ち込みがこれほど長くかつ深刻な形で続くことはないだろう。GDP速報値の結果からは、2015年10-12月期の民間最終消費支出の値は304.5兆円だが、これは、消費税増税直後に大幅な落ち込みとなった2014年4-6月期の305.8兆円をも下回っているのである。これほどの大きな変動が天候不順で生じると考えられるのだろうか?

やや長い目で民間最終消費支出の推移をみれば、2002年から2012年までの10年間の民間最終消費支出は前期比0.2%程度のペースで緩やかに増加していたことがわかる。2013年に入るとこのペースがやや拡大したが、2014年4-6月期以降になると、民間最終消費は落ち込みが続き、2015年10-12月期の民間最終消費支出は、統計的に見て、前期比0.2%増のトレンドから有意に下ぶれしたと結論できる。つまり、統計的に「消費の底割れ」が生じたというのが今回の結果だということだ。

確かに昨年の暮れは気温が高かったが・・・・・・・
 こうした「民間最終消費支出の底割れ」の主因は、大幅な落ち込みが始まったのが2014年4月以降であることから考えても消費税増税の影響と言えるだろう。消費税増税は、駆け込み需要とその反動減、さらに消費税増税に伴う物価上昇率の高まりが実質所得を減らすことの二つを通じて経済に影響を及ぼす。

 「消費税増税の影響は一時的であって、増税から1年以上経っても影響があるとは考えられない」と考える読者の方は、(仮に消費税減税といった政策が行われない限り)消費税率8%の負担が永続的にかかり続けるという事実を忘れているのではないか。加えて、わが国の場合、2017年4月から10%への消費税再増税が予定されている。多少所得が増えたとしても、2017年4月に増税が予定されているのだから、家計の財布の紐が緩まないのは当然とも言えるだろう。
"

この記事は、菱UFJリサーチ&コンサルティング、経済・社会政策部主任研究員である、
片岡剛士氏の記事を元記事として、私の論評を加えた記事です。そうして、私は片岡氏の論評は正しいものとして、論評しています。

なぜなら、上の記事の日曜討論に出てきた人たちとは異なり、片岡氏の経済予測はいつも大体あたっていることが多いし、そんなことは度外視してもいつも経済統計のデータなどと比較しても、特に乖離するようなことを話しているからです。

これに関しては、元大蔵官僚であった、高橋洋一氏も同じようなことを語っています。その記事のURLを以下に掲載します。
長引いた“増税の悪影響” 早ければ4月に財政出動 GDPマイナス成長
高橋洋一氏
 昨年10~12月期の国内総生産(GDP)がマイナス成長となった。石原伸晃経済財政・再生相は「記録的な暖冬により冬物衣料品などが大きく落ち込んだ」として、個人消費が減少したことが主因であると説明したが、そうだろうか。 
 家計消費は、自動車などの耐久財と、衣類などの半耐久財、食品などの非耐久財、教育などのサービスに分けられる。このうち大きく減少したのが耐久財というデータからみると、石原氏の説明は説得的だとはいえない。なお、住宅投資も減少しているが、これも暖冬の影響なのだろうか。 
 天候要因が消費に悪影響を与えることは否定できないが、暖冬の場合、冬物衣料品が落ち込んでも、暖房費が節約されて、ほかの支出が増えたりすることもあり、消費全体には大きな影響を及ぼさないこともしばしばある。 
 2014年4月に消費税率を8%に引き上げて以降、消費の低迷の要因として天候が挙げられることが多いが、その説明には無理があり、今回もやはりこじつけという印象だ。消費動向は同年4月以降、悪くなっている。消費増税の影響について筆者は少なくとも2年は継続すると予想していたが、やはり悪影響を引きずっているという印象である。 
 なぜ、政府は、消費増税の悪影響を認めないのだろうか。1月21日に公表された中長期の経済財政に関する試算においても、17年4月からの10%への消費再増税の影響は軽微であるとみている。 
 8%に増税された14年4月より前に公表された試算でも、同様に消費増税の影響は軽微というものだった。ところが、実際にふたを開けてみると、14年度の経済成長率は、大きく低下した。
片岡氏も高橋氏もほぼ同じことを語っています。そうして、私もこれが正しいものと考えます。なぜなら、私自身が調べた統計資料の分析からも、論評以外には正しいとは考えられないからです。さらに、このお二方は、両方ともデータに基づき実体経済を分析しているからです。 さらには、その分析は概ね正しかったことが後から実証できているからです。

マイナス金利に関しても、この番組の内容は酷すぎです。

マイナス金利に関しては、最近気づいたのですが、批判する人々の多くが、これをあまりにも事大主義的に捉えすぎています。特に、銀行などの金融機関を擁護するかのような発言ばかりです。

以下に、日銀の当座預金の取引相手の2016年2月1日一覧表のURLを掲載しておきます。
当座預金取引の相手方一覧(2016年1月末・金融機関等コード順)
以下に、金融機関分類ごとの取引先相手数と、その合計を掲載します。
<銀行 126><信託銀行 15><信用金庫 257><協同組織金融機関の中央機関 4><金融商品取引業者(外国法人である金融商品取引業者を除く) 31><外国法人である金融商品取引業者 4><証券金融会社 2>
<短資会社 3><資金清算機関 1><銀行協会 33><その他 6>
<合計 535> 
金融商品取引業者とは、平たくいえば、証券会社のことです。

これを見ただけでも、なぜ日銀のマイナス金利に関して、「劇薬」などと批評するようなアナリストが多いか多少類推ができます。

銀行、証券会社などの金融機関の多くは、日銀の当座預金を利用しています。日銀がこの当座預金にマイナス金利を適用すれば、金融機関はそれまで、日銀にお金を当座預金として預けてさえおけば、金利を得られたわけです。しかし、それが今度は、逆に手数料を払わなければならないということで、日銀に預けっぱなししてはおけず、どこかに融資しなければ金利をもらえるどころか、マイナスになります。

これは、金融機関にとっては、それまではぬるま湯のようなもので、何も仕事をしなくても、日銀に大量の当座預金をしておけば、濡れ手に粟でお金が儲けられたわけです。

しかし、金融機関ではない一般企業は、そもそも日銀とは取引できないですし、銀行に当座預金をしても元々利子などつきません。しかし、なぜか金融機関だけが、日銀に当座預金をすると、利子がつくようになってしまいました。そうしてこれは、日銀がまだ白河体制だった2008年からはじまったことで、それまでは利子などつきませんでした。

そうして、このリストを良くご覧になってください。金融機関とはいっても、銀行や証券会社は取引先になっていますが、同じ金融機関とはいっても、保険会社は含まれていません。

そうして、「劇薬」「毒薬」などと物騒な言葉を遣ったりして、「マイナス金利」に対して批判的な論評をするアナリストは、銀行や証券会社に属しているか、かつて属していたことのある人がほとんどです。しかし、保険会社にもいわゆるアナリストがいますが、保険会社に属してるアナリスやかつて属してしたアナリストが「マイナス金利」に関して猛烈に批判しているのは聴いたことがありません。

日銀は、金融機関をしばいて、日銀に積み立てあるお金を金融機関が、企業や個人などに貸し出すようにせざるを得ないように、しただけです。今までが楽をしすぎていたので、金融機関としてまともに仕事をしろと、しばいただけです。

しかも、今回の措置は当座預金のすべにて対するものではなく、一部にすぎません。

このへんの事情については、やはり高橋洋一が詳細を論評しています。その記事のURLを以下に掲載します。
マイナス金利に文句言うのは 銀行の関係者だけだ―【私の論評】ドイツ銀行の不振まで、マイナス金利のせいにしてしまう浅ましさ(゚д゚)!
日銀決定の影響は
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、ここでは説明は省かせていただきます。

NHKの今回の日曜討論は、参加メンバーが、ことごとく経済予測を外してばかりの人々であり、国民のことなどそっちのけで、財務省の立場を擁護したり、出身金融機関の立場にたって、討論するようなことでは、NHKが報道する内容としては全くふさわしくものでははなく、非常に問題です。

このようなメンバーには討論させないか、あるいは一部のメンバーをまともなアナリストに変えて、討論をさせるべきでした。

この番組、ある程度経済がわかっている人にとっては、とんでもない内容だし、経済疎い人にとっても、はっきりいえば、何を話しているのか非常に理解しにくく、消化不良をおこしたような後味の悪い番組だったと思います。

こういう酷い番組は、なくしていくべきです。そうでないと、一般国民がますます消化不良を起こして、日本経済に関する正しい認識を持つことの妨げになるだけです。

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【関連図書】

以下に、本日のNHK日曜討論の内容が以下に酷いものか、実感していただける書籍を三冊選定させていただきました。

片岡氏の書籍は、2014年のものであり、若干古いのですが、なぜ日本経済が浮上しないのか、この時点ではっきりと言い当てています。

高橋氏の、『数字・データ・統計的に正しい日本の針路』は、単なる憶測や思い込みではなく、数字・データに基づき、統計的にみても正しい日本の進路を提案しています。さらに、『戦後経済史は嘘ばかり』は、終戦直後から現在に至るまで、世間において経済に関して当然のこととされていることが、ことごとく間違っていたことを実証しています。

その典型例は、バブルは狂乱物価によるものというものです。バブルの頃は、土地や株など確かに値上がりしていましたが、一般物価はそうでもありませんでした。にもかかわらず、当時の日銀は金融引き締め政策をとり、それがその後の長期デフレの端緒となりました。その他にも、当然と思われていることで、完璧な誤りがいくつもあります。これをはじめて知った方は、驚愕されることでしょう。

日本経済はなぜ浮上しないのか アベノミクス第2ステージへの論点
片岡 剛士
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数字・データ・統計的に正しい日本の針路 (講談社+α新書)
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経産省が素案公表「エネルギー基本計画」の読み方 欧米と比較、日本の原子力強化は理にかなっている 国際情勢の変化を反映すべき―【私の論評】エネルギー政策は確実性のある技術を基にし、過去の成功事例を参考にしながら進めるべき

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