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2018年11月25日日曜日

台湾、選挙で与党敗北 習近平指導部は圧力路線に自信―【私の論評】大敗の要因は、大陸中国の暗躍だけでなく蔡総統がマクロ経済対策に無知・無関心だったこと(゚д゚)!


台湾地方統一戦を終え記者の質問に答える蔡英文総統=24日,新北市

台湾の統一地方選で与党・民主進歩党が敗北したことで、中国の習近平指導部は「一つの中国」原則を認めない蔡英文政権に軍事・外交圧力をかけ続ける強硬路線への自信を深め、さらに攻勢に出る可能性がある。

 「だれが県・市長になろうとも大陸(中国)の政策と決意を変えることはできない。しっかり選ぶがいい」。中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は投票当日24日付の社説で結果に無関心を装ってみせた。

ただ実際は、習指導部にとって台湾世論への宣伝工作は最重要課題の一つであり、当面の狙いは2020年の総統選での民進党政権の下野だ。そのために「アメとムチ」を駆使し、統一圧力を強めてきた。

 16年の蔡政権発足後、中国当局は一貫して対話を拒否。台湾と外交関係があったパナマやドミニカ共和国など5カ国と国交を結び、「断交ドミノ」で孤立感を強めさせた。台湾周辺海域で演習を活発化し軍事圧力をかける一方、中国で生活する台湾人に修学や就職、生活面で便宜を図る31項目の優遇措置を公表し、世論に揺さぶりをかけてきた。

 中国の世論工作部隊が地方選に介入しているとの民進党の主張に対し、中国側は「何の具体的な証拠もない」(環球時報)と反論。ただ米国の対台湾窓口機関、米国在台湾協会のモリアーティ会長は、中台が同じ言語を使っているため「台湾はフェイクニュースによる被害が最も著しい」と現地メディアに語った。

 台湾への接近を強めるトランプ米政権の出方も中国は注視している。北京の政治研究者は「経済の下押し圧力が強まり対米関係も不透明な中で、台湾政策は当面慎重にならざるをえない」と指摘する。一方、今月末に始まる20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせた米中首脳会談の後に、台湾政策の変化が表れる可能性にも言及した。

【私の論評】大敗の要因は、大陸中国の暗躍だけでなく蔡総統がマクロ経済対策に無知・無関心だったこと(゚д゚)!

今回の台湾の統一地方選で与党・民主進歩党が敗北したことについて、多くのメディアや、識者が中国の暗躍について述べています。それは上の記事にも掲載されています。

私も当然のことながら、今回の選挙に関連して、大陸中国の暗躍はあったものと思います。ただし、敗因のすべてが大陸中国の暗躍によるものという考えには賛同できません。

今回の敗北には、もう1つの大きな要因があります。それについては、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
統一選前に台湾で政治不信増大 中国共産党もアプローチに困惑―【私の論評】台湾に限らず、日本も含めてアジアの政治家はマクロ経済政策を疎かにすべきではない(゚д゚)!
民主進歩党(左)のシンボル・カラーは緑、国民党(右)のそれは青
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事は9月のものであり、この時点での台湾などの正当支持率などに関する部分を以下に引用します。

 日本では、台湾の選挙といえば、緑か青のどちらが勝ったかで、台湾の人々の対中国観をはかろうとするのだが、対外政策が選挙の中心に来るケースは極めて稀で、実際はそうではないことの方が多い。 
 では、人々は何を気にしているのかといえば、当然のこと自分たちの生活の改善である。 
 その意味で蔡英文総統が誕生した当初には、民進党政権に大きな期待が寄せられた。 
 だが、結果的に民進党は人々の期待に応えられなかったといってもよいだろう。
 そのことは各種の世論調査に顕著だが、その一つ、台湾民意基金会の調査結果によれば、7月の政党支持率は、民進党が25・2%、国民党が20・7%だった。
 2016年に行われた同じ調査では、民進党への支持が51・6%であったことを考慮すれば、緑に対する失望の大きさは明らかと言わざるを得ない。 
 ちなみに国民党の支持率は18・9%だったので、2ポイント程度伸びた計算になるが、民進党が失った支持を取り込めたとはとても言えないのが現実である。 
 緑と青に代わって拡大したのは無党派で、49・6%となった。 
 焦った民進党は選挙を前に慌てて基本月給や時給を引き上げる政策を打ち出したが、効果を期待する声は少ない。 
 台湾住民の貯蓄率はずっと下降傾向にあるが、昨年は過去5年間で最低になるなど、家計の厳しさを示す数字は枚挙に暇がない。

台湾の個人消費の伸び率

 だが、繰り返しになるが国民党にも決め手がない。かねてから指摘される人材不足と内紛で満身創痍状態だからだ。 
 興味深いのはこうした台湾の状況に中国共産党も戸惑っていることだ。 
 かつて民進党の支持基盤の南部の農家から果物を“爆買い”して揺さぶりをかけたり、観光客を制限して蔡政権のプレッシャーをかけてきたが、いまは何処に向けて何を発して良いのか分からなくなっているという。

この中で、「人々は何を気にしているのかといえば、当然のこと自分たちの生活の改善である」としていますが、これはどの国も当然のことです。多くの国の国民の最大の関心事は自分たちの暮らしぶりが良くなっているか、悪くなっているかです。

国益や、安全保障などはどうしても二の次になります。それは、当然といえば、当然です。自分たちの暮らし向きが少なくとも悪くなっていない状態であれば、台湾の国民も安全保障などに関心を持ったかもしれません。

そうして、自分たちの暮らし向きをどうはかるかといえば、経済の状況です。その中ではも、経済成長であり雇用です。特に雇用は重要です。これらは、政府のマクロ経済政策である、財政政策と中央銀行の金融政策に大きく左右されます。

このブログ記事では、蔡英文総統のマクロ経済政策についても述べています。その部分を以下に引用します。

では、蔡英文総統の経済政策とはどのようなものなのでしょうか。以下にこの記事から引用します。
蔡政権の経済政策として特徴的なのは、「新南向政策」です。これは、蔡総統就任後の2016年に打ち立てられた政策で、経済発展が著しいASEAN10ヵ国、南アジア6ヵ国、オーストラリアとニュージーランド、計18ヵ国との関係を強化し、台湾の経済発展を目指すといった政策です。この政策では、下記4つの軸を主軸として、経済成長を目指すとしています。  
(1)経済貿易協力
(2)人材交流
(3)資源の共有
(4)地域の連携


しかし、これは経済政策といえるのでしょうか。これは、どちらかというと、外交政策のようなものです。

それ以前に、国民の暮らし向きを良くするというのならは、まずは雇用を良くすため、金融緩和政策を実行すべきです。さらに、経済成長を促すというのなら、積極財政を実施すべきです。

私自身は、台湾経済について熟知しているわけではないので、詳しいことは言えませんが、それにしても、国民の暮らしぶりを良くするというのなら、まずは金融緩和と積極財政をするべきであるのは間違いないと思います。

ただし、積極財政と一言でいっても、減税、給付金、公共工事など様々な方法があります。さらには、主に実行してから効果があるまでのラグとの兼ね合いで、金融緩和策との組み合わせは様々なものがあります。

その時々での、経済・雇用の状況と、政府や中央銀行の能力との兼ね合いでベストな方法と期間と、組み合わせを考えて、政府が財政・金融政策の目標と期間を設定すべきです。

無論その目標に従い、台湾の財政部(日本の財務省に相当)、中華国民中央銀行(日本の日本銀行に相当)が専門家的な立場から、方法を選定し実行することになります。

蔡英文総統は、それ公表して、実際に実行して、その結果を国民に判断してもらうということを実行していないようです。おそらく、マクロ経済政策は、財政部、中華国民中央銀行まかせになっているのでしょう。

大胆なマクロ政策を実行するためには、やはり政府が目標を定め、それを実行させるということでなければ、官僚はどこの国でも、保守的・保身的ですから、なかなかまともなマクロ経済政策はできません。

通常は、このようなマクロ政策が根底にあり、さらに外交政策があるというのが当たり前なのですが、蔡英文総統は、経済政策として外交政策のようなものしか公表していません。

これでは、経済の舵とりがうまくいくはずはありません。その結果として、国民の暮らしぶりをどの面でも良くすることはできず、結局多くの国民の支持を失うとともに、そこに大陸中国の暗躍も相まって、今回の選挙で大敗したのだと考えられます。

どうも、アジアの国々のリーダーはマクロ経済に疎いようです。その中でも、台湾の蔡英文総統や、韓国の文在寅大統領などの左派は疎いようです。


雇用を激減させた文在寅大統領

文在寅大統領は、金融緩和をせずに最低賃金だけ上げるという愚策中の愚策を実行し、その結果雇用が激減して韓国はとんでもないことになっています。ちなみに、これは立憲民主党の枝野氏の主張する経済対策と同じです。

そのため、文在寅大統領の支持率は9月に初めて、50%を切りました。






今後文在寅大統領が、まともなマクロ経済対策を打ち出し、実際に雇用を改善したり、経済成長を達成することがなければ、支持率はますます下がっていくことでしょう。

デフレから完璧に脱却したとは言い難い日本においては、安倍政権が今のところ、来年10月から消費税を10%にあげるとしています。消費税を上げるというのは、マクロ財政政策の中の緊縮財政の一手法です。あげてしまえば、個人消費がかなり落ち込み、また経済が落ち込むのは目に見えています。

おそらく、予定通りにあげた場合、今回蔡英文政権のように、国民の支持を失い、最初は地方選挙で負けて、その後は国政選挙でも負けて、安倍政権はレイムダックになってしまうことでしょう。その結果、安倍総理は憲法改正に取り組む機会を失ってしまうでしょう。

そんな事態に陥ることを安倍総理が望んでいるはずもなく、私はおそらく、安倍総理は来年は増税凍結もしくは見送りを公約として、衆参同時選挙を実行するのではないかと期待しています。

さて、台湾ですが、日本としては台湾が大陸中国に飲み込まれることは避けたいところです。であれば、蔡英文総統は、今からでも遅くはないので、まともなマクロ経済対策を熟考して、実行して、国民に実際に雇用や経済がかなり良くなり、暮らし向きが良くなりつつあるところをみてもらうようにすべきです。

そのような政策を打ち出せば、市場が好感して、まずは台湾の株価が上がりはじめることでしょう。その後雇用や経済がよくなれば、国民の支持率が上がってくるはずです。日本でも、まさに、安倍氏がアベノミクスを打ち出すと、安倍氏が総理になる前から、株価が上がり始めました。そうして、その後支持率も上下はあったものの、落ちてはいません。

台湾が、大陸中国に飲み込まれることを良しとしない日米は、台湾にマクロ経済対策の方法をアドバイスし、さらに経済対策に資金が足りないというのであれば、それも支援しても良いではないかと思います。

とにかく、蔡英文総統は一刻もはやく、金融緩和策、積極財政策を打ち出し、台湾経済を良くすべきです。そのようにして、実際に経済が上向けば、国政選挙では敗北することなく、いずれ地方統一戦で勝利できるようになるでしょう。

何より、トランプ政権のように雇用を劇的に改善し、経済成長することができれば、人々の暮らしぶりも良くなり、大陸中国への魅力も消え失せ、台湾の独立を保つことができます。

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2018年9月5日水曜日

統一選前に台湾で政治不信増大 中国共産党もアプローチに困惑―【私の論評】台湾に限らず、日本も含めてアジアの政治家はマクロ経済政策を疎かにすべきではない(゚д゚)!

統一選前に台湾で政治不信増大 中国共産党もアプローチに困惑

民進党党首蔡英文氏 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 台湾の政治が迷走している。

 今年11月24日、台湾では統一地方選挙(「九合一」)が行われる。投票まで100日を切ったとあって、メディアの報道も熱を帯びているので、ここで一度触れておこうと思う。

 ただ、取り上げようと思う反面、気になるのが、肝心な台湾の有権者の政治への関心が一向に高まっていないことだ。

 その理由は、有権者の“政治離れ”に歯止めがかからないからである。

 中国との関係で政策が対立する台湾では、台湾独立の受け皿となる与党・民主進歩党(民進党)と大陸との統一を掲げる国民党という二大政党の対立の構造が定着している。

 互いに象徴するカラーを定め、民進党の緑に対して国民党が青。有権者の選択はずっと、緑か青かという単純なものであった。

民主進歩党(左)のシンボル・カラーは緑、国民党(右)のそれは青

 しかし、ここにきて顕著になりつつあるのが緑にも青にも「ノー」という空気である。いわゆる「無色」勢力の伸長と呼ばれる傾向だ。

 いったいなぜこんなことになったのか。

 日本では、台湾の選挙といえば、緑か青のどちらが勝ったかで、台湾の人々の対中国観をはかろうとするのだが、対外政策が選挙の中心に来るケースは極めて稀で、実際はそうではないことの方が多い。

 では、人々は何を気にしているのかといえば、当然のこと自分たちの生活の改善である。

 その意味で蔡英文総統が誕生した当初には、民進党政権に大きな期待が寄せられた。

 だが、結果的に民進党は人々の期待に応えられなかったといってもよいだろう。

 そのことは各種の世論調査に顕著だが、その一つ、台湾民意基金会の調査結果によれば、7月の政党支持率は、民進党が25・2%、国民党が20・7%だった。

 2016年に行われた同じ調査では、民進党への支持が51・6%であったことを考慮すれば、緑に対する失望の大きさは明らかと言わざるを得ない。

 ちなみに国民党の支持率は18・9%だったので、2ポイント程度伸びた計算になるが、民進党が失った支持を取り込めたとはとても言えないのが現実である。

 緑と青に代わって拡大したのは無党派で、49・6%となった。

 焦った民進党は選挙を前に慌てて基本月給や時給を引き上げる政策を打ち出したが、効果を期待する声は少ない。

 台湾住民の貯蓄率はずっと下降傾向にあるが、昨年は過去5年間で最低になるなど、家計の厳しさを示す数字は枚挙に暇がない。

台湾の個人消費の伸び率


 だが、繰り返しになるが国民党にも決め手がない。かねてから指摘される人材不足と内紛で満身創痍状態だからだ。

 興味深いのはこうした台湾の状況に中国共産党も戸惑っていることだ。

 かつて民進党の支持基盤の南部の農家から果物を“爆買い”して揺さぶりをかけたり、観光客を制限して蔡政権のプレッシャーをかけてきたが、いまは何処に向けて何を発して良いのか分からなくなっているという。

 なんとも皮肉な話だ。

 ■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)など著書多数。近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』(PHP新書)。

【私の論評】台湾に限らず、日本も含めてアジアの政治家はマクロ経済政策を疎かにすべきではない(゚д゚)!

上の記事を読んでいると、民進党も、国民党も結局のところマクロ経済音痴なのではないかと思います。上の記事を書いている富坂氏もマクロ経済音痴なのではないかと思ってしまいます。

なぜなら、富坂氏も台湾のマクロ経済には全く触れないからです。こういう人は、なぜかアジアに多いです。一国の経済が、マクロ経済政策すなわち、政府の財政政策と中央銀行の金融政策に全く関わりがないなどということはありません。

それどころか、大きく関与しているというか、国の経済対策といえば、財政政策と金融政策であり、それが大部分を占め、ミクロ政策などは国にとってはあまり関係のないことです。

この基本中の基本を、民進党党首蔡英文も国民党党首呉敦義氏も、理解していないのではないかと思われます。さらには、民進党や国民党の議員のもこれを理解していないのではないかと思われます。

なぜそのようなことを言うかといえば、台湾の経済対策などみていると、どうもマクロ的な政策はみあたらず、ミクロ的なものばかりが散見されるからです。

2016年に馬英九総統に代わり、蔡英文氏が台湾総統として就任しました。

蔡政権の経済政策として特徴的なのは、「新南向政策」です。これは、蔡総統就任後の2016年に打ち立てられた政策で、経済発展が著しいASEAN10ヵ国、南アジア6ヵ国、オーストラリアとニュージーランド、計18ヵ国との関係を強化し、台湾の経済発展を目指すといった政策です。この政策では、下記4つの軸を主軸として、経済成長を目指すとしています。

(1)経済貿易協力
(2)人材交流
(3)資源の共有
(4)地域の連携


経済貿易協力では、ターゲット国のインフラ建設協力や、スマート医療、IoTシステムの輸出、さらにはEコマースでの台湾製品の発信、教育やヘルスケア分野での輸出の推進を目指しています。

人材交流では、専門性の高い人材を育成・交流を図るとしています。具体的には、台湾の大学の海外分校の設立、台湾専門のクラスの設立をすることで、台湾の専門家の育成の強化を目指します。また、交流促進の為にビザ申請等の手続きを簡素化する計画があります。

台湾で働いている外国人専門家や技術者には、評価制度を設け、一定の基準を満たした場合にビザの延長許可措置が可能になる施策も盛り込まれています。

資源の共有では、文化や観光、医療等のターゲット国の生活の質向上を目指すとしています。

文化面では、メディアやゲームを利用した台湾のブランディングの向上、観光分野では、ターゲット国からの旅行者へのビザ規制緩和、医療分野では、医薬品の認証、新薬、医療機器の開発の協力を目指しています。

最後に地域の連携では、ASEANやインドとの経済連携協定締結を積極的に図るとしています。これにより、台湾からのターゲット国への投資を期待しています。また、南アジアへの進出も第三国との連携で目指すとしています。

結局、貿易を伸ばして経済成長しようということであり、国の経済の基本である、財政政策や金融政策について具体的には何の方針もありません。

金融緩和というと、蔡英文氏は貿易に何の関係もないと思っているのでしょうか、仮にいずれかの国への貿易を増やそうとして、いくら人材育成や資源の共有、地域の連携などミクロ的な努力を重ねたとしても、台湾の中央銀行が金融引締めばかりしていて、貿易相手国が徹底的に金融緩和をしていたとしたらどうなるでしょうか。

結局台湾元高になってしまい、いくら努力をしたとしても貿易では不利になってしまいます。しかし、だからといって、今度は台湾中央銀行が金融緩和に走ったとして、際限なく金融緩和を続けたとすれば、今度は台湾国内が過度のインフレになってしまいます。

そんなことにならないように、様々な方法を駆使して、金融緩和で貿易では不利にならないように、国内では、インフレが過渡に進行しないようにしなければなりません。

この仕事を行うのは、無論台湾中央銀行ですが、それにしても方針・目標は台湾政府が定めなければならないです。

また、いくら貿易に力をいれるからといって、国内をおろそかにするわけにはいきません。国内では、まともな財政政策を実施して、経済成長を実現する必要があります。

財政政策の目玉としては、2017年に台湾政府が定めた「前瞻(せん)基礎建設計画」では、次世代インフラの建設を行うことで、投資の強化を目指しています。具体的には、

(1)風力発電や太陽光発電等のグリーンエネルギー
(2)ネットやITインフラ
(3)治水、水供給等の環境インフラ
(4)高速鉄道や台湾鉄道の高度化、都市MRT等の鉄道インフラ
(5)駐車問題の改善、道路の改善等の都市・農村インフラ


を挙げています。その中でも特に金額的に大きいのは、鉄道インフラの整備となっており、訪台した観光客や現地の住民の生活の高めることを優先としていることが考えられます。

台湾の経済対策なるものは、貿易振興のための投資計画がほとんどのようです。これによって、確かに経済が良くなることは良くなりますが、あまりに投資にばかり頼ると、クラウディング・アウトに見舞われることもあります。

クラウディング・アウトとは、行政府が資金需要をまかなうために大量の国債を発行すると、それによって市中の金利が上昇するため、民間の資金需要が抑制されることをいいます。

公共投資と、同じ財政政策でも減税や、給付金などは大規模に行ってもクラウディング・アウトがおこることはありません。

減税、給付金といっても、盲滅法に行うのではなく、その時々で最も効果の上がりそうなものを選択して行う必要があります。これを行うのが、日本でいうところの財務省ですが、それにしても目標は政府が定めなければなりません。

さらに、財政政策、金融政策など、いずれの手法をとっても、効果が出てくるまでにラグがあり、このラグも考慮しながら、財政政策と金融政策をうまく組み合わせていく必要があります。

それに、金融政策は雇用政策でもあります。インフレ率を数%あげると、日本や米国では、それだけで他に何もせずとも、一夜にして数百万の雇用が生まれます。台湾では、人口のなどの規模が違うので、ここまではとはいわずとも、雇用が大量に生まれることには変わりないです。

などと、いろいろと述べましたが、台湾経済そのものは、さほど悪くはないものの、かなり良いとか、かなり伸びているともいえるような状況ではありません。それについては、みずほ銀行の資料にうまくまとめられているので、そちらをご覧になってください。以下にリンクを掲載します。
台湾経済の現状と展望2018年6月
 ただし、台湾の経済政策は上記にあげたように、貿易によって成長しようとしているようです。しかし、その前にマクロ経済政策によって内需拡大をすべきです。マクロ政策によって前途有望であると思われるような、政策を打ち出していないので、上滑り観はまぬがれず、台湾の国民は納得していないのでしょう。それは、国民党も同じことなので、国民の政治離れが進んでいるのでしょう。

それにしても、米国の経済対策など、政府は必ず財政政策や金融政策などをあげるのが常識ですが、日本をはじめとして、アジアの国々ではそうではありません。無論米国の場合は、世界経済に影響を与えるほど、米国の国内事情は重要です。だからかこそ、米国内のマクロ経済に関しては政府も公表する姿勢を貫いているのでしょう。

しかし、米国とアジアでは経済対策が異なるなどということはありません。アジアの国々も、本来政府の経済対策といえば、まずはマクロ経済政策というのが正しいありかたのはずです。

日本も、金融政策、財政政策などを政府の方針としてあげたのは、安倍政権による3本の矢においてが初めてではなかったかと思います。

お隣の韓国では、朴槿恵政権はまともなマクロ経済政策を実行せず、文在寅大統領にかわってからは、金融緩和はせずに、最低賃金をあげるという政策を実施し、これは見事に失敗して雇用が激減しています。そうして、これは金融緩和等のマクロ政策には全く関係なく、とにかく再分配を重視すべきと主張する立憲民主党の枝野氏が主張する経済政策と同じものです。

文在寅韓国大統領

このようなアジアの国々実体をみると、やはりアジアの諸国にはそのような共通点があると思ってしまいます。

ただし、中国だけは例外かもしれません。中国の場合、とにかく経済が悪くなれば、積極財政で巨額の投資をする、それでも足りなければ、金融緩和策として巨額の元を刷り増すという具合で、景気が加熱すると逆に、緊縮財政と金融引締めに転じるという具合に、単純にマクロ経済政策を実行しています。

ただし、中国の体制はそもそも、民主化、政治と経済、法治国家化がなされておらず、様々な矛盾が蓄積しているのも事実です。そのため、結局自ら他国に対して貿易戦争を仕掛けたにも等しいことをしてしまい、最近では米国から本格的に貿易戦争を挑まれるという手痛いしっぺ返しを食らっています。

日本も、ふりかえってみれば、総裁選に出る石破氏も、経済対策に関してはマクロ経済対策はあげていません。希望の党の小池氏もマクロ経済対策はあげていませんでした。

日本では、多くの政治家には、マクロ経済政策などはないものと同じようです。自民党の政治家の多くも、経済対策というと公共工事のことと思っているようです。

このようなマクロ経済政策を無視するような台湾を含めたアジアの政治は、結局うまくいかないのは確かです。

日本でも、マクロ経済的にみれば悪手中の悪手がある10%増税を来年10月からそのまま実施してしまえば、経済が停滞するのは必定です。

もし、そうなれば、台湾のような政治不信に日本も見舞われることでしょう。さらに、まかり間違って、日銀が金融引締めにでも転ずることでもあれば、韓国のように若者雇用が最悪となることでしょう。

安倍総裁の3選は間違いないようですが、予定通りに10%増税を実行してしまえば、次の任期のときに、自民党内で本格的な安倍おろしがはじまるかもしれません。ただし、安倍さんに変わって誰かが総理大臣になったとしても、まともなマクロ経済対策を実行しなければ、短命政権に終わることでしょう。

その後どの党の誰が、総理大臣になったとしても、経済政策を根本的にあらためなければ、どの政権も短命で終わることになるでしょう。

それだけ、マクロ経済政策は重大事なのです。アジアの政治家はこれをおろそかにすべきではありません。

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2016年8月27日土曜日

【日韓財務対話】通貨交換協定再開へ議論開始で合意 韓国側が提案 「日韓の経済協力は有益」と麻生氏―【私の論評】誰か朴槿恵にマクロ経済政策を教えてやれ、そうでないと援助が無駄になるぞ(゚д゚)!



日本と韓国の財務担当閣僚らによる第7回日韓財務対話が27日、ソウルで開かれ、緊急時にドルなどを融通し合う通貨交換協定に関し、昨年2月に終了したものに代わる新たな協定について議論を始めることで日韓双方が合意した。韓国が提案し、日本側が応じた。

財務対話には、麻生太郎副総理兼財務相と韓国の柳(ユ)一鎬(イルホ)経済副首相兼企画財政相らが出席した。

韓国側は、日韓の2国間の経済協力を強化することと、その「証」として日韓双方が同額となる新たな協定の締結を呼びかけた。

麻生氏は「今後ともグローバルや地域的な話で協調する関係を構築していかないといけない」と答え、両国は新たな協定が地域金融市場の安定を高めるとの点で一致した。新たな協定締結に向けた協議は今後行い、締結の時期や金額について詰めていく。

麻生氏は終了後、記者団の取材に応じ、韓国側が新たな協定への議論の開始を提案したことについて「いざというときのために(外貨は)用意しておくべきではないか。韓国が(そのように)必要だと判断したと思う」と述べた。その上で「日韓の経済協力は有益であり、地域の持続的経済成長に資するものだ」と強調した。

日韓の通貨交換協定は、両政府が平成13年に締結した。しかし、24年に当時の李明博大統領が竹島(島根県隠岐の島町)に上陸するなどで日韓関係が悪化、昨年2月に打ち切られた。

日韓財務対話の開催は昨年5月に東京で開催されて以来。

【私の論評】誰か朴槿恵にマクロ経済政策を教えてやれ、そうでないと援助が無駄になるぞ(゚д゚)!

通貨スワップにの関しては、日本側は「向こうから話が出れば検討する」(麻生氏)姿勢ということを予め表明していました。 事前に日本側からこう言われた上でなお議論を持ちかけてくるということは、国内の反日勢力に構っていられない状況ということなのでしょう。

それだけ、韓国経済が危機に瀕しているということです。

韓国が頼みとしていた中国経済は失速が鮮明になり、さらに、米国による韓国のTHAAD配備によって、中国の韓国に対する態度はかなり硬化しました。それに輪をかけてイギリスの欧州連合(EU)離脱が決定したことから、外貨を中心に資本が韓国内から海外へ流出する危険がかなり高まっています。

このままでは、金融危機などで投資家のリスク回避志向が強まった際には、韓国から深刻な資本逃避が起こる恐れがあります。

そこで、韓国内では、米韓・日韓通貨交換(スワップ)締結に関心が集まっていました。韓国の経済専門家の間では、他国との通貨スワップを増やすべきとの主張が強まっていました。

通貨スワップは、両国政府・中央銀行が緊急時に資金(主にドル)を融通し合うもので、日韓スワップ協定は国際金融市場で流通量の少ない韓国のウォン安定化を目的に2001年から始まりました。本来は、締結した両国の金融市場の安定を目的として、相互に金融協力の強化を行うものですが、日韓スワップ協定は、日本から韓国への片務的な性質が強よいです。つまり、実態は日本から韓国への経済支援でした。

しかし、12年に李明博前大統領による竹島上陸を端に発した両国間の関係が悪化したことに伴い、協定延長を取りやめることを検討する動きが双方で加速しました。

日本政府は、韓国からの要請があれば協定を延長することもやぶさかではないとの姿勢をたびたび表明したのですが、韓国側は「日本との協力関係は不要」とする世論の高まりや、反日姿勢を貫く朴槿恵大統領の方針もあり、協定の延長は望みませんでした。

韓国銀行の金仲秀総裁(当時)が、「延長が双方にとって利益になるなら延長することができる」との見解を示したが、菅義偉官房長官は「日本側から積極的に延長する必要はない」と述べています。

かくして15年2月16日、日本政府と韓国政府は「日韓スワップ協定を延長せず、予定通り2月23日で終了する」と発表し、13年半続いた日韓スワップ協定は終わりを迎えたのです。

このような経緯で終了した日韓スワップ協定ですが、韓国は長引く経済の低迷(デフレ)と資本流出の懸念が高まったことで、日本とのスワップ協定を再開させようとの動きが慌しくなっていました。特に、朴大統領が焦りを見せ始めたようです。

日韓財務対話は、両国の財務大臣や財務省幹部クラスが出席し、経済や金融問題について定期的に意見を交わす会合で、以前は毎年定期的に開かれていたのですが、李前大統領が竹島に上陸して以降、開催は中断していました。しかし、昨年5月に2年半ぶりに再開され、また会合を定期的に開くことになりました。

柳副首相と麻生氏
韓国は来年、大統領選挙が控えています。14年の旅客船セウォル号沈没事件以来、支持率は低迷し続け、経済も回復の兆しがみえない朴政権。日本とのスワップ協定を再開させることでウォンの安定化を図り、経済を安定させたいところなのでしょう。ウォンの価値が下落すれば、外国人投資家は一気に外貨を引き上げる可能性が高いです。それを避けるために日韓スワップ協定は一定の役割を果たすことでしょう。

従来と同じように、スワップは日本にとってほとんどメリットがないと考えられるのですが、ウォン安が進めば韓国から資本が急激に流出し、対韓民間融資債権のデフォルトが起こる可能性が高いです。とはいいながら、韓国経済の規模は小さくて、GDPは東京都と同程度です。

全体でそのくらいで、さらに日本の対韓民間融資債権ともなれば、日本の経済の規模からすれば、それがたとえ全部が価値を失って紙切れになったとしても、誤差の範囲でしたかありません。輸出も輸入も微々たるものです。韓国向け輸出がゼロになっても、日本経済にとっては、軽微なものです。

先に述べたように、スワップ協定が終了した当時、菅義偉官房長官は「日本側から積極的に延長する必要はない」と述べています。さらに、今回の日韓財務対話の直前に、通貨スワップに関しては、日本側は「向こうから話が出れば検討する」(麻生氏)姿勢ということを予め表明していました。

今回日本に対して強硬姿勢をとってきた朴政権が、しおらしく頭を下げてきたということです。これは、韓国側がどう体裁を繕っても、国際社会はそうとしか受け取りません。日本政府が韓国政府に、韓国のほうから言ってきたではないかといえば、それに対して韓国政府は抗うことなどできません。

韓国から申し出をしたということで、今回の通貨スワップ協定は、日本の外交の勝利といえるでしょう。

私自身は、この通貨スワップに関しては、反対でした。それに関しては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
通貨スワップ「不要」と打ち切った朴政権 日韓財務対話で復活要求の模様…―【私の論評】韓国は再び通貨危機に陥りIMFの管理下に入り、それを日本のせいにする(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事の結論部分のみを以下に掲載します。
もしウォン高要因が大きくなれば、韓国はデフレに陥り、かつての日本のような長期不況に陥るでしょう。 
逆にウォン安要因が大きくなれば、韓国は通貨アタックを受けて、金融危機に陥るでしょう。しかし、中国を含めて、韓国を本気で助けようとする国はもうありません。 
結局、韓国が自分勝手な外交によって中国はもとより、日本と米国の信頼を失ったことが、韓国がリフレ政策を採用できない理由だということになります。韓国はなんとも愚かなことをしたものだと思います。 
これを解決するには、韓国がその尊大な態度を改め、日米との和解を本気で進めるしかないのでしょう。

しかし、これも今更かなり難しいです。日本としても、韓国側から、韓国の経済危機を絶対に日本のせいにしないことという確約をとりつけるのはもとより、その他でも譲歩してもらわないと、とてもできるものではありません。

米国としても、韓国が中国側に寝返ることを確約しないと無理です。しかし、過去の韓国はこのような約束はことごとく反故にのしてきたため、いまさら信用されません。結局、韓国はまた通貨危機に陥り、IMFの管理下に入るしかなくなることでしょう。

現状でも韓国経済はかなり危険なのですが、もし9月に日銀が大幅な追加金融緩和を決定した場合、韓国の破綻はさらに早まり、第二の通貨危機に陥ることになります。そうして、韓国は第二の通貨危機も、日本の金融緩和のせいにすることでしょう。本当にやっかいな国です。
今のままでは、このシナリオを変えることはできないでしょう。なぜなら、韓国は深刻なデフレに見舞われているのですが、キャピタル・フライトを恐れて、金融緩和を実行できないでいるからです。韓国内でも、結局のところ、金融緩和を恐れて、それには目をつぶり構造改革の論議ばかりされています。

ただし、確かに構造改革も必要といえば、必要です。それは、あまりにもグローバル一辺倒に偏りすぎた韓国経済の内需をもっと拡大するということです。GDPの4割近くが、輸出で占めていたというのがそもそも間違いです。

日本では、輸出がGDPに占める割合は、15%程度です。米国は、数%です。さらに、個人消費がGDPに占める割合は日本は60%台、米国は70%台、韓国は50%台です。

輸出の占める割合が高いことは、国際競争力があるということで、積極的に受け取られがちですが、それは逆の側面から見ると、外国の経済状況に左右されやすいということです。そうして、今の韓国がまさにそれです。

世界経済の低迷の直撃を受けています。特に、輸出先をかなり中国にシフトしていたというのが致命的です。

このような状態であれば、グローバル化一辺倒から、内需を拡大する方向に進むのが、韓国経済を救う唯一の道です。

たとえ大規模な外貨のキャピタル・フライトが起きたにしても、ウォンは韓国の通過です。国外では安くなっても、韓国内ではそれなりの価値を持って流通するはずです。国外に逃げ出すのは、ウォンではなく、ドルなどの外貨です。思い切った金融緩和政策と、積極財政を行い、内需を拡大させて、デフレからなるべく早く脱却すべきです。

しかも、韓国はEUなどの共同体に入っているギリシャなどとは異なります。ギリシャなどは自ら金融緩和をやりたくてもできないですが、韓国は自らやりたければ、いつでもできるのです。

そうして、これを機会に、グローバル一辺倒から、恒常的に内需をある程度大きくして、日本や他の先進国なみに、個人消費を60%内外にして、輸出はせいぜい20%内外にすべきです。これを、通貨スワップなしに実行するということになれば、どのようなことをしても、韓国はいっときGDPがかなり落ち込みとんでもないことになるどころか、また通貨危機を迎えることは必定です。

しかし、通貨スワップがあれば、この構造改革をソフトランディングさせることができます。とにかく、通貨スワップによりある程度外貨を確保した上で、デフレ脱却のため、大規模な金融緩和と、大規模な財政出動をすべきです。特に、即効性のある財政出動をすぐにも行うべきです。その他の構造改革など後回しで良いです。

誰か、このデフレからの脱却の王道であるマクロ経済政策を朴槿恵に納得するまで教えて、実行させるべきです。そうでないと、また通貨危機に見舞われて、せっかく日本が援助しても、先の通貨危機の時と同じで、韓国はこれを日本のせいにすることになります。

また、来年は大統領選挙であり、朴槿恵が素早く経済対策を行わない限り、経済の低迷で国内が混乱して、朴槿恵に勝ち目は全くありません。

その兆候はすでに見られています。日本では、なぜかほとんど報道されませんが、韓国では、昨年パリのテロ事件があったころに、7万人規模の暴動が発生しています。その記事のリンクを以下に掲載します。
日本のメディアはなぜ報じない!?韓国を揺るがす7万人大暴動 来年秋に控える韓国大統領選は?             櫻井よしこ
櫻井よしこさん
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事かなり大規模で、主催しているのは左翼です。以下に、この暴動の様子を写した動画を掲載します。



時の政府の経済対策があまりもまずいと、反対勢力はそれに乗じて大規模な暴動などで、国内を混乱させます。また、国民の中にも不満が鬱積してるので、反対勢力の扇動に簡単にのせられてしまいます。今の韓国がまさにその状況です。慰安婦問題などがなかなか解決しない背景にはこのようなこともあります。

日本としては、もし通貨スワップを再開するというのなら、これを外交カードとしてしっかり持っておき、できうれば、韓国政府に筋違いの構造改革一辺倒の改革を目指すのではなく、通貨スワップにより外貨を確保した上で、デフレから脱却するための、王道である大規模な金融緩和と積極財政を行うように促すべきです。

それに、当然のことながら、慰安婦問題や、竹島問題にもこの外交カードをうまくつかうべきでしょう。さらに、韓国経済が低迷してくれば、日本側は他の外交カードも持つことができるようになるでしょう。これら外交カードをうまく使って、韓国との関係を正常化していく方向に用いるべきです。

それは、麻生財務大臣などでは全く無理でしょうから、誰か日本でまともなリフレ派で外交にも通じている人間がそのような役割を果たすのが望ましいと思います。

もし韓国側が正常化を実行しないというのなら、外交カードを使うべきです。特に、来年大統領選挙でとんでもない人間が大統領になって、まともな経済対策も行わずに、反日的な態度や行動をさらに激化させた場合、即座に通過スワップなど停止すべきです。それで韓国が吠えまくったにしても、単なる負け犬の遠吠えに過ぎません。耳を貸す必要など全くありません。行き着く先は、再び通貨危機です。ぐうの音も出ません。

しかし、そうならないように、外交カードをうまく使うように立ちまわるべきです。

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