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2016年8月27日土曜日

【日韓財務対話】通貨交換協定再開へ議論開始で合意 韓国側が提案 「日韓の経済協力は有益」と麻生氏―【私の論評】誰か朴槿恵にマクロ経済政策を教えてやれ、そうでないと援助が無駄になるぞ(゚д゚)!



日本と韓国の財務担当閣僚らによる第7回日韓財務対話が27日、ソウルで開かれ、緊急時にドルなどを融通し合う通貨交換協定に関し、昨年2月に終了したものに代わる新たな協定について議論を始めることで日韓双方が合意した。韓国が提案し、日本側が応じた。

財務対話には、麻生太郎副総理兼財務相と韓国の柳(ユ)一鎬(イルホ)経済副首相兼企画財政相らが出席した。

韓国側は、日韓の2国間の経済協力を強化することと、その「証」として日韓双方が同額となる新たな協定の締結を呼びかけた。

麻生氏は「今後ともグローバルや地域的な話で協調する関係を構築していかないといけない」と答え、両国は新たな協定が地域金融市場の安定を高めるとの点で一致した。新たな協定締結に向けた協議は今後行い、締結の時期や金額について詰めていく。

麻生氏は終了後、記者団の取材に応じ、韓国側が新たな協定への議論の開始を提案したことについて「いざというときのために(外貨は)用意しておくべきではないか。韓国が(そのように)必要だと判断したと思う」と述べた。その上で「日韓の経済協力は有益であり、地域の持続的経済成長に資するものだ」と強調した。

日韓の通貨交換協定は、両政府が平成13年に締結した。しかし、24年に当時の李明博大統領が竹島(島根県隠岐の島町)に上陸するなどで日韓関係が悪化、昨年2月に打ち切られた。

日韓財務対話の開催は昨年5月に東京で開催されて以来。

【私の論評】誰か朴槿恵にマクロ経済政策を教えてやれ、そうでないと援助が無駄になるぞ(゚д゚)!

通貨スワップにの関しては、日本側は「向こうから話が出れば検討する」(麻生氏)姿勢ということを予め表明していました。 事前に日本側からこう言われた上でなお議論を持ちかけてくるということは、国内の反日勢力に構っていられない状況ということなのでしょう。

それだけ、韓国経済が危機に瀕しているということです。

韓国が頼みとしていた中国経済は失速が鮮明になり、さらに、米国による韓国のTHAAD配備によって、中国の韓国に対する態度はかなり硬化しました。それに輪をかけてイギリスの欧州連合(EU)離脱が決定したことから、外貨を中心に資本が韓国内から海外へ流出する危険がかなり高まっています。

このままでは、金融危機などで投資家のリスク回避志向が強まった際には、韓国から深刻な資本逃避が起こる恐れがあります。

そこで、韓国内では、米韓・日韓通貨交換(スワップ)締結に関心が集まっていました。韓国の経済専門家の間では、他国との通貨スワップを増やすべきとの主張が強まっていました。

通貨スワップは、両国政府・中央銀行が緊急時に資金(主にドル)を融通し合うもので、日韓スワップ協定は国際金融市場で流通量の少ない韓国のウォン安定化を目的に2001年から始まりました。本来は、締結した両国の金融市場の安定を目的として、相互に金融協力の強化を行うものですが、日韓スワップ協定は、日本から韓国への片務的な性質が強よいです。つまり、実態は日本から韓国への経済支援でした。

しかし、12年に李明博前大統領による竹島上陸を端に発した両国間の関係が悪化したことに伴い、協定延長を取りやめることを検討する動きが双方で加速しました。

日本政府は、韓国からの要請があれば協定を延長することもやぶさかではないとの姿勢をたびたび表明したのですが、韓国側は「日本との協力関係は不要」とする世論の高まりや、反日姿勢を貫く朴槿恵大統領の方針もあり、協定の延長は望みませんでした。

韓国銀行の金仲秀総裁(当時)が、「延長が双方にとって利益になるなら延長することができる」との見解を示したが、菅義偉官房長官は「日本側から積極的に延長する必要はない」と述べています。

かくして15年2月16日、日本政府と韓国政府は「日韓スワップ協定を延長せず、予定通り2月23日で終了する」と発表し、13年半続いた日韓スワップ協定は終わりを迎えたのです。

このような経緯で終了した日韓スワップ協定ですが、韓国は長引く経済の低迷(デフレ)と資本流出の懸念が高まったことで、日本とのスワップ協定を再開させようとの動きが慌しくなっていました。特に、朴大統領が焦りを見せ始めたようです。

日韓財務対話は、両国の財務大臣や財務省幹部クラスが出席し、経済や金融問題について定期的に意見を交わす会合で、以前は毎年定期的に開かれていたのですが、李前大統領が竹島に上陸して以降、開催は中断していました。しかし、昨年5月に2年半ぶりに再開され、また会合を定期的に開くことになりました。

柳副首相と麻生氏
韓国は来年、大統領選挙が控えています。14年の旅客船セウォル号沈没事件以来、支持率は低迷し続け、経済も回復の兆しがみえない朴政権。日本とのスワップ協定を再開させることでウォンの安定化を図り、経済を安定させたいところなのでしょう。ウォンの価値が下落すれば、外国人投資家は一気に外貨を引き上げる可能性が高いです。それを避けるために日韓スワップ協定は一定の役割を果たすことでしょう。

従来と同じように、スワップは日本にとってほとんどメリットがないと考えられるのですが、ウォン安が進めば韓国から資本が急激に流出し、対韓民間融資債権のデフォルトが起こる可能性が高いです。とはいいながら、韓国経済の規模は小さくて、GDPは東京都と同程度です。

全体でそのくらいで、さらに日本の対韓民間融資債権ともなれば、日本の経済の規模からすれば、それがたとえ全部が価値を失って紙切れになったとしても、誤差の範囲でしたかありません。輸出も輸入も微々たるものです。韓国向け輸出がゼロになっても、日本経済にとっては、軽微なものです。

先に述べたように、スワップ協定が終了した当時、菅義偉官房長官は「日本側から積極的に延長する必要はない」と述べています。さらに、今回の日韓財務対話の直前に、通貨スワップに関しては、日本側は「向こうから話が出れば検討する」(麻生氏)姿勢ということを予め表明していました。

今回日本に対して強硬姿勢をとってきた朴政権が、しおらしく頭を下げてきたということです。これは、韓国側がどう体裁を繕っても、国際社会はそうとしか受け取りません。日本政府が韓国政府に、韓国のほうから言ってきたではないかといえば、それに対して韓国政府は抗うことなどできません。

韓国から申し出をしたということで、今回の通貨スワップ協定は、日本の外交の勝利といえるでしょう。

私自身は、この通貨スワップに関しては、反対でした。それに関しては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
通貨スワップ「不要」と打ち切った朴政権 日韓財務対話で復活要求の模様…―【私の論評】韓国は再び通貨危機に陥りIMFの管理下に入り、それを日本のせいにする(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事の結論部分のみを以下に掲載します。
もしウォン高要因が大きくなれば、韓国はデフレに陥り、かつての日本のような長期不況に陥るでしょう。 
逆にウォン安要因が大きくなれば、韓国は通貨アタックを受けて、金融危機に陥るでしょう。しかし、中国を含めて、韓国を本気で助けようとする国はもうありません。 
結局、韓国が自分勝手な外交によって中国はもとより、日本と米国の信頼を失ったことが、韓国がリフレ政策を採用できない理由だということになります。韓国はなんとも愚かなことをしたものだと思います。 
これを解決するには、韓国がその尊大な態度を改め、日米との和解を本気で進めるしかないのでしょう。

しかし、これも今更かなり難しいです。日本としても、韓国側から、韓国の経済危機を絶対に日本のせいにしないことという確約をとりつけるのはもとより、その他でも譲歩してもらわないと、とてもできるものではありません。

米国としても、韓国が中国側に寝返ることを確約しないと無理です。しかし、過去の韓国はこのような約束はことごとく反故にのしてきたため、いまさら信用されません。結局、韓国はまた通貨危機に陥り、IMFの管理下に入るしかなくなることでしょう。

現状でも韓国経済はかなり危険なのですが、もし9月に日銀が大幅な追加金融緩和を決定した場合、韓国の破綻はさらに早まり、第二の通貨危機に陥ることになります。そうして、韓国は第二の通貨危機も、日本の金融緩和のせいにすることでしょう。本当にやっかいな国です。
今のままでは、このシナリオを変えることはできないでしょう。なぜなら、韓国は深刻なデフレに見舞われているのですが、キャピタル・フライトを恐れて、金融緩和を実行できないでいるからです。韓国内でも、結局のところ、金融緩和を恐れて、それには目をつぶり構造改革の論議ばかりされています。

ただし、確かに構造改革も必要といえば、必要です。それは、あまりにもグローバル一辺倒に偏りすぎた韓国経済の内需をもっと拡大するということです。GDPの4割近くが、輸出で占めていたというのがそもそも間違いです。

日本では、輸出がGDPに占める割合は、15%程度です。米国は、数%です。さらに、個人消費がGDPに占める割合は日本は60%台、米国は70%台、韓国は50%台です。

輸出の占める割合が高いことは、国際競争力があるということで、積極的に受け取られがちですが、それは逆の側面から見ると、外国の経済状況に左右されやすいということです。そうして、今の韓国がまさにそれです。

世界経済の低迷の直撃を受けています。特に、輸出先をかなり中国にシフトしていたというのが致命的です。

このような状態であれば、グローバル化一辺倒から、内需を拡大する方向に進むのが、韓国経済を救う唯一の道です。

たとえ大規模な外貨のキャピタル・フライトが起きたにしても、ウォンは韓国の通過です。国外では安くなっても、韓国内ではそれなりの価値を持って流通するはずです。国外に逃げ出すのは、ウォンではなく、ドルなどの外貨です。思い切った金融緩和政策と、積極財政を行い、内需を拡大させて、デフレからなるべく早く脱却すべきです。

しかも、韓国はEUなどの共同体に入っているギリシャなどとは異なります。ギリシャなどは自ら金融緩和をやりたくてもできないですが、韓国は自らやりたければ、いつでもできるのです。

そうして、これを機会に、グローバル一辺倒から、恒常的に内需をある程度大きくして、日本や他の先進国なみに、個人消費を60%内外にして、輸出はせいぜい20%内外にすべきです。これを、通貨スワップなしに実行するということになれば、どのようなことをしても、韓国はいっときGDPがかなり落ち込みとんでもないことになるどころか、また通貨危機を迎えることは必定です。

しかし、通貨スワップがあれば、この構造改革をソフトランディングさせることができます。とにかく、通貨スワップによりある程度外貨を確保した上で、デフレ脱却のため、大規模な金融緩和と、大規模な財政出動をすべきです。特に、即効性のある財政出動をすぐにも行うべきです。その他の構造改革など後回しで良いです。

誰か、このデフレからの脱却の王道であるマクロ経済政策を朴槿恵に納得するまで教えて、実行させるべきです。そうでないと、また通貨危機に見舞われて、せっかく日本が援助しても、先の通貨危機の時と同じで、韓国はこれを日本のせいにすることになります。

また、来年は大統領選挙であり、朴槿恵が素早く経済対策を行わない限り、経済の低迷で国内が混乱して、朴槿恵に勝ち目は全くありません。

その兆候はすでに見られています。日本では、なぜかほとんど報道されませんが、韓国では、昨年パリのテロ事件があったころに、7万人規模の暴動が発生しています。その記事のリンクを以下に掲載します。
日本のメディアはなぜ報じない!?韓国を揺るがす7万人大暴動 来年秋に控える韓国大統領選は?             櫻井よしこ
櫻井よしこさん
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事かなり大規模で、主催しているのは左翼です。以下に、この暴動の様子を写した動画を掲載します。



時の政府の経済対策があまりもまずいと、反対勢力はそれに乗じて大規模な暴動などで、国内を混乱させます。また、国民の中にも不満が鬱積してるので、反対勢力の扇動に簡単にのせられてしまいます。今の韓国がまさにその状況です。慰安婦問題などがなかなか解決しない背景にはこのようなこともあります。

日本としては、もし通貨スワップを再開するというのなら、これを外交カードとしてしっかり持っておき、できうれば、韓国政府に筋違いの構造改革一辺倒の改革を目指すのではなく、通貨スワップにより外貨を確保した上で、デフレから脱却するための、王道である大規模な金融緩和と積極財政を行うように促すべきです。

それに、当然のことながら、慰安婦問題や、竹島問題にもこの外交カードをうまくつかうべきでしょう。さらに、韓国経済が低迷してくれば、日本側は他の外交カードも持つことができるようになるでしょう。これら外交カードをうまく使って、韓国との関係を正常化していく方向に用いるべきです。

それは、麻生財務大臣などでは全く無理でしょうから、誰か日本でまともなリフレ派で外交にも通じている人間がそのような役割を果たすのが望ましいと思います。

もし韓国側が正常化を実行しないというのなら、外交カードを使うべきです。特に、来年大統領選挙でとんでもない人間が大統領になって、まともな経済対策も行わずに、反日的な態度や行動をさらに激化させた場合、即座に通過スワップなど停止すべきです。それで韓国が吠えまくったにしても、単なる負け犬の遠吠えに過ぎません。耳を貸す必要など全くありません。行き着く先は、再び通貨危機です。ぐうの音も出ません。

しかし、そうならないように、外交カードをうまく使うように立ちまわるべきです。

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2016年2月20日土曜日

英離脱防止のEU改革案 全会一致で合意―【私の論評】人口7千万人台で都市部が焼け野が原でも高度成長した移民大国日本にもう移民は必要ない(゚д゚)!



EU=ヨーロッパ連合の首脳会議は、イギリスのEUからの離脱を防ぐための鍵を握るEUの改革案について全会一致で合意し、これを受けてイギリスのキャメロン首相は離脱の賛否を問う国民投票をことし6月にも実施する方針です。

イギリスではEUの規制や政策に対する国民の不満が高まっていて、キャメロン首相はEUの改革について各国の合意を取りつけたうえで、離脱の賛否を問う国民投票を行う方針を示してきました。

この改革案を巡って、ベルギーのブリュッセルでEUの首脳会議が開かれてきましたが19日夜、各国は全会一致で採択しました。

これを受けてイギリスは、ポーランドなどから来る移民を抑える対策として、移民に給付する社会保障費を制限できることや、ほかの19の加盟国が参加するユーロ圏の規制やルールに強制されないこと、それにEUが進める政治や経済の統合政策の対象にはならないという特別な地位をもつことが認められました。

会議の後、EUのトゥスク大統領は、「イギリスがEUにとどまるようすべての国が譲歩し、連帯を示した」と述べて、合意の意義を強調しました。

キャメロン首相は20日、緊急の閣議を招集し、ことし6月にも国民投票を実施する方針を決める見通しです。ただ、イギリスではEU離脱か残留かで世論がきっ抗していて、キャメロン首相にとっては改革の内容を強調して残留に導けるかどうかが大きな課題となります。

英首相「EUにとどまるべき」

EUの首脳会議で各国がEUの改革案について全会一致で合意したことについて、キャメロン首相は記者会見で、「国をいかに強く、安全で豊かにするかについてずっと考えてきた。合意を得たいまとなっては改革後のEUにとどまることがその答えだ」と述べて評価しました。

そのうえでキャメロン首相は国民投票について、「わが国の将来を決めるまたとない重要な機会になるだろう。イギリス国民に対しては改革後のEUにとどまるべきだと、全身全霊で説得する」と述べ、イギリスはEUに残留すべきだという考えを国民に訴えていく姿勢を強調しました。

【私の論評】人口7千万人台で都市部が焼け野が原でも高度成長した移民大国日本にもう移民は必要ない(゚д゚)!

上の記事、ANNの動画も公表されていますので、その動画を以下に掲載します。


イギリスでの移民に対する風当たりは相当強くなっているようです。

ここ数年、イギリス国民は、一部の政治家からこのような寛大な言葉を聞かされてきました。「移民について懸念するのは、決して人種差別なんかではないですよ」。

こんな「お許し」が出たのは、大きな変化でした。過去10年以上にわたり、多くのイギリス人が移民の大量流入に懸念をおぼえながらも、そんな心配を口にしようものなら非難されてきたのですから。

イギリス政治に関心のある人なら、2010年の総選挙でのあの出来事を覚えているかもしれません。当時のゴードン・ブラウン首相が遊説中、テレビカメラの前である熱心な労働党支持者の女性から移民問題についての質問を受けたときのことでした。

車に戻ったブラウンは、マイクが付きっぱなしになっていることに気付かず「偏狭な差別女め」と激怒。この女性との対面を準備した選挙スタッフにも当たり散らしました。熱心な支持者との間で起こった価値観の不一致にさらされ、怒りがわいてきたというわけでした。

その折の動画を以下に掲載します。

総選挙を1週間後に控えた英国で2010年4月28日、イングランド北西部ロッチデール(Rochd­ale)を遊説していたゴードン・ブラウン(Gordon Brown)英首相は、有権者の女性のことを「頑固な女だ」と言った声をマイクに拾わ­れてしまい、女性に直接謝罪した。厳しい戦いの中、首相には大きな痛手となりました。

そうして、選挙で労働党は大敗して、政権交代により、保守党が政権与党となったのは、イギリスの政治に関心のある方ならご存知のことでしょう。


移民は大きな問題ですが、つい数年前までは話すこともままならない事実上のタブーでした。移民政策を問題視すれば人種差別主義者と呼ばれ、こう呼ばれると、社会的に抹殺され、政治キャリアもおしまいになりました。

イギリスは50年代から移民を受け入れてきましたが、90年代後半からはその量も性質も様変わりしました。

移民には総じて経済的メリットがあるという事実は広く知られています。移民は働いて税金を払うし、高齢化するイギリス社会の年金制度を支えてくれることにもなります。移民はイギリス人より低賃金で働いてくれるので、物価も抑えられます。例えば、農産物を収穫するのは主に移民労働者です。移民に利点があることに異論はありません。

とはいえ、長年語られずにきたデメリットも存在します。そうして移民のデメリットの影響を受けるのは、ほとんどがいわゆる低階層の人々です。まず、低賃金労働者が大量に供給されると、イギリス人の労働者階級は自分も低賃金で働くことを受け入れるか、失業するしかなくなってしまいます。しかし、移民の多くは、最低賃金でも母国の賃金に比べればずっと高いので満足です。微々たる貯金も、母国の家族に送れば大金になります。

移民はさまざまな側面で負担になっています。中期的にはもちろんのこと、長期的にもそうなるかもしれません。イギリスの住宅問題は慢性化し、需要に供給がまったく追い付かいていません。新築住宅の不足と小規模な世帯の増加が大きな原因ですが、突然の大規模な人口増加が明らかに拍車を掛けています。国民保険サービス(NHS)が破たん寸前なのも、イギリス人よりも子だくさんな移民がイギリスの国営医療制度をすぐに無料で利用できる、ということが少なからず影響していることでしょう。

NHS改革を主張するキャメロン首相

しかし、移民の大量流入は、選挙の際のマニフェストにも記されず、イギリス国民のコンセンサスすら得ないないまま進められ、今や廃止もできなければ制限も難しい政策になってしまいました。ブレアとブラウンの労働党政権下で移民は野放し状態でした。イギリス内務省は合法的な移民の数も不法移民の数も、滞在者数も把握していないことを事実上認めています。

アイルランドや旧植民地などイギリス旅券を所持する人々だけでなく、ソマリアやアフガニスタンの亡命者らイギリスと何ら歴史的・文化的つながりのない国からも移民を受け入れてきました。ビザのシステムも、大規模に悪用されています。偽装結婚もあれば、学校に通いもしない人々が「学生ビザ」で入国する場合もあります。

膨大な数が流入しているのは、中東欧からの移民です。ポーランドやルーマニアなどの中東欧の国々がEUに加盟したことによって、こうした国の人々がイギリスに入国して働き、育児給付や無償教育といったイギリスの社会福祉を受ける自由が保障されたからです。

最近では、労働者階級より上の階層も移民のマイナス面を感じ始めているようです。中産階級の若者(35歳未満)の多くはかつては当然の権利と思われていたロンドンの住宅を買うことができなくなっています。貧しい移民が多くの公営住宅や安い賃貸住宅を占拠する一方で裕福な駐在外国人はロンドンの不動産を投資対象として買い占め、肝心のロンドン市民が締め出されているのです。

ロンドンの住宅事情は劣悪 これが2013年当時の家賃3万円の部屋 ある日本人の留学生の部屋
ロンドンの公立学校では、さまざまな国から来た移民の子供たちで教室はあふれかえっています。移民の子どもたちは、イギリスに来てまだ日が浅く、英語が母国語ではない子が多いので、1、2年生のクラスは英語を教えることだけで精一杯という状況です。そのため、多くの地元の子どもたちの親は、大金を掛けて子どもたちを私立学校に通わせることを余儀なくされていまする

長年のあいだ、文化摩擦に苦しんできたのは貧しい地域の人々でした。高齢のイギリス人の団地住民は、次第にサリーやブルカ姿の女性に圧倒されていきました。それが今では移民の規模はこうした地域を超えて拡大する一方で、小さな町や村では新入りの移民が曜日構わずごみを捨てたり、ポーランド人の若者が夏に毎日、庭先で母国語でラップをがなりたてていたりします。

ロンドン市内のブルカ姿の女性
今になって移民を疑問視してもいいという政治家が出てきたのはなぜでしょうか。彼らがたいして気にかけていない「一般大衆」だけでなく、政治家と付き合いのあるそれなりの階層の人々にまで、移民問題が影響を与えるようになったからです。

さて、この移民の問題日本にとっても、対岸の火事ではありません。事実、2014年 2月24日の政府の経済財政諮問会議の専門調査会「『選択する未来』委員会」。内閣府が用意したペーパーには、大量に受け入れた場合の将来人口見通しがしたためられていいました。

その内閣府の試算がどんな内容だったかを、ご紹介します。これは、2015年から毎年20万人ずつ受け入れ、2030年以降には合計特殊出生率が「2・07」に回復していることを前提としています。かなり高めの設定ですが、この2条件を達成すれば、日本の総人口は2060年に1億989万人、2110年には1億1404万人となり、ほぼ1億1千万人水準を維持できるというシナリオです。

しかし、試算通り1億1千万人規模の総人口を維持できたとして、2060年時点でどういうことになるかといえば、10人に1人、2110年には約5人に1人が移民という計算になります。2012年末現在の在留外国人数は203万人余で、総人口の1・59%に過ぎません。「2千万人」というのが、いかにインパクトある数字かお分かり頂けるでしょう。

推進派の言い分の多くは、「労働力人口が減少すれば経済成長しない。日本経済を縮小させないためには、外国人で穴埋めせざるを得ない」との理屈です。

しかし、人口減少が日本社会や経済にとってマイナスばかりで、何も良いことはないというのは本当でしょうか。そもそも、人口動態は経済成長を左右する絶対的な条件ではありません。その証拠に、高度経済成長期の労働力人口は年に1%程度しか伸びていません。

世の中には、全くマクロ経済を理解しない人いて、デフレは人口減少が原因という馬鹿な節を唱える愚か者がいます。しかし、日本より人口が少ない国々、日本と同じように人口が減少している国々でもデフレでない国々がほとんどです。また、そのような国でも、一人あたりのGDPが日本よりも高い豊か国々もあります。

さらに、日本が大東亜戦争をしていた頃の人口は、当時の政府の「一億火の玉」などのキャッチフレーズで、漠然と1億人を超えていると思い込んでいる人も多いようですが、実際には8000万人を切っていました。

以下に「出せ一億火の玉」という当時のプロパガンダ用の歌の動画を掲載します。画像として、当時の写真も掲載されています。



何やら、当時は以下のようなポスターもあったようです。


現在だと問題になりそうですが、当時は特に夏の暑い時期に少女が上半身裸で農作業をしている風景は珍しくもなかったのだと思います。何ともおおらかな時代でもあったようです。

以下に大東亜戦争中の人口の実数を掲載します。

総理府統計局編「日本統計年鑑」での統計では以下の通りです。
1941年(昭和16)72、218千人
1942年(昭和17)72、880千人
1943年(昭和18)73、903千人
1944年(昭和19)74,433千人
1945年(昭和20)72、147千人
この人口で、あの広い戦線に兵士を送り込み、大戦争をしていたというのですから驚きです。1945年当時と現在を比較すると、3000万人も人口が少なかったということです。そうして、ご存知のように、市町村合併は戦後に行われるようになりましたから、この当時は今からすると想像もできないような、小さな村や、部落が多く存在していて、それが成り立っていたということです。

何やら、現在では、地方の人口が減ってどんどん疲弊していくようなことばかり言われていますが、3000万人も人口が少なくとも、あれだけの軍備をして、兵士を外地におくりだすだけの力があったし、現在では限界集落と呼ばれるような集落でも、成り立ってたということです。

そうして、このブログでは以前、大東亜戦争後の日本のスタートは決してゼロからのものではないことを掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【堀江貴文氏ブログより】私がSEALDsをdisる理由―【私の論評】ホリエモンも瀬戸内寂聴も見えない、安保の当たり前のど真ん中(゚д゚)!
詳細は、この記事をごらんいただくものとして、以下に大東亜戦争後の日本のスタートは多くの人が漠然と思っている焼け野が原の「ゼロからのスタート」では決してなかったことの説明の部分を掲載します。

"
経済合理性だけを見るというのなら、人間の複雑な面を見失ってしまいます。経済学の大家ドラッカー氏は、経済統計だけをみたとしてら、後世の歴史家は、第二次世界大戦が起こったことなど、気づかないだろうとしています。




確かに、第二次世界大戦は世界中に大惨禍をもたらし、大勢の人が亡くなり、社会が混乱しましたが、経済統計だけを見ているとそうではないというのです。

これは、にわかには信じがたいことですが、第二次世界大戦で敗北した、ドイツや日本でも、確かに戦争の惨禍で、とんでもない状況にはなりましたし、物資も不足はしましたが、それでも、戦争中には普段よりもかなり多く、兵器を製造したり、軍隊にそれを支給したりして、大きな経済活動が営まれました。

さらに、日本を例をとり、後世の歴史家が経済指標だけ見ていたら、大東亜戦争があったことなど気づかないかもしれないことを実証してみせようと思います。

以下は、最近読んだ古谷経衡氏の『戦後イデオロギーは日本人を幸せにしたか』という書籍に掲載されていた、統計資料です。

クリックすると拡大します

この統計資料に関して、古谷氏は、以下のような説明をしています。
 これを見ると、日本は先の大戦で、すべての国富のうち、その4分の1を失ったことになるが、逆説的に言えば、4分の3は残存していると見なすことができ、その水準はおおむね1935年のそれであった。 
 簡単に言えば、日本は1935年から1944年までの拡大分が戦争最後の1年、つまり戦争末期の大空襲であらかた吹き飛び、日本の敗戦時の国富は終戦時点の10年前である1935年の水準に逆戻りしたと考えればわかりやすい。 
 よって、「日本は敗戦でゼロからのスタート」を余儀なくされたのではなく、「敗戦により、おおむね1935年の国富水準からスタート」と言い換えることができるのだ。 
 1935年のレベルといえば、言うまでもなくアジアの中ではトップクラスです。戦後の日本の復興は、「ゼロからのスタート」とするのは程遠い実態です。
終戦直後にこの状況であり、温存された国富の源となった、爆撃されなかった町や村などは生産活動を継続し、さらに戦争遂行のための様々な経済活動なども加えれば、日本も経済指標だけみていれば、戦争のあったことなど後世の歴史家は気づかないかもしれません。

そうはいいながら、大東亜戦争は、日本の社会に経済とは別に深刻な悪い影響を及ぼしたことは明らかです。誰も、このような戦争を二度と味わいたくはないと思ったことでしょう。
"
戦争で、広島・長崎は原爆で破壊しつくされ、東京・大阪などの大都市だけに及ばず、地方の中核都市までことごとく爆撃で破壊された日本であっても、このように地方には国富が残っており、日本はアジアの中ではトップクラスの国富からスタートすることができたのです。

これを考えると、たとえ今の日本の人口がかなり減ったとしても、とんでもないことになるなどとは、にわかには信じがたいこどです。


それに、戦後においても、労働力人口が増えたから高度経済成長が可能だったわけではなく、機械化や生産要素の増加のみでは説明し切れない技術進歩などが寄与した結果によるものです。

それに、現在農林水産業に従事する人は、日本ではほんの数%に過ぎません。鉱工業などの第二次産業に携わる人々も、20%台に過ぎません。食べ物をつくったり、モノを製造したり運んだりする人の数はこのくらで間に合うのです。

だとすれば、人口の増減とは関係なく、無論今の日本人が戦中・戦前のような生活はできはしませんが、それでもイノベーション(技術革新)によって今後も経済成長は達成可能ということです。いままでのやり方では難しいかもしれませんが、それでもやりようは十分にあると考えられます。

さらに、ポジティブな見方をすれば、高齢社会を迎える日本は経済成長のチャンスがいくらでも転がっています。医療や介護はもちろん、住宅から乗り物、市街地の在り方に至るまで、すべてを高齢者にとって使い勝手のよいものに作り替えていかなければならないのです。この市場はとてつもない規模になることが考えられます。

それに、少子化に歯止めがかかれば、将来の人口予測は全く異なるものとなるでしょう。当面避けられない労働力人口の減少には、女性や高齢者の力を引き出すほうが先決でしょう。

総務省の労働力調査の基本集計(2014年2月速報)によれば、生産年齢人口(15~64歳)の女性は3889万人です。このうち就業者は2439万人で62・7%に過ぎません。

日本の女性や高齢者は高い教育水準にあります。言葉や文化の壁もありません。外国人を受け入れるよりもはるかにコストもトラブルも少なくて済むはずです。移民受け入れに先走るのではなく、こうした方策についても検討するのが筋というものです。

とはいいながら、労働人口の減少は避けられない現実でもあり、特に外国人との付き合い方に正面から向き合わなければならないときは来るかもしれません。

しかし、だからといって大量の移民を受け入れるかどうかという選択を、現在に生きるわれわれの利益や見込みだけで判断して良いはずがありません。

後世の日本人に顔向けできる「日本」をいかに残すのか。戦略もなく易きに走れば、国を大きく誤ります。そのことを上記のイギリスの例や、最近のEUが示していると思います。

それと、移民問題は対岸の火事ではないということには、もう一つの根拠があります。

国連人口部の定義では、移民とは「市民権(つまり国民としての主権)のある母国から1年以上離れて外国に暮らしている人」を指し、一般的には留学生や技能実習生はもちろん、特別永住者なんか言うに及ばず、1年以上の正規滞在者や不法滞在者、さらに帰化した初代も「移民」と定義づけられています。

日本にはすでに大東亜戦争以前から滞在している朝鮮人を中心とした移民が存在していて、朝鮮動乱では済州島から難民が来て定着、さらに国際化する過程で多数の移民が定着して政治活動まで発展しており、現在も難民対策の抜け道が放置されている、移民大国です。

以上のようなことを考えると、人口7千万人台で都市部が焼け野が原でも高度成長した日本は、すでに大量の移民を受け入れており、このうえさらに移民を受け入れる必要性など全くないと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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