東京都の石原慎太郎知事が、たちあがれ日本の平沼赳夫代表らとともに結成を目指す新党の基本政策の草案が2日、分かった。「国のかたち」「外交・防衛政策」「教育立国」など7分野で構成され、憲法9条改正や、男系存続のための皇室典範改正、首相公選制-を明記。保守色を前面に押し出した内容となる。
基本政策は、7分野29項目あり、項目ごとに具体策を明記。前文では「グローバリゼーション」や「地球市民社会」などを幻想と断じ、「一国家で一文明」の日本の創生を訴える。
憲法改正に関しては、9条改正による国軍保持▽国会一院制と大選挙区制導入▽改正手続きを定めた96条の改正-を掲げる。
外交・防衛分野では「自立日本」を掲げ、日米同盟の深化▽防衛産業の育成▽「南西防衛戦略」推進▽核保有に関するシミュレーション-などを明記する。
経済・財政政策は、100兆円規模の政府紙幣発行、国の財政の複式簿記化-など。エネルギー政策としては2040年までの原子力エネルギーゼロを掲げる。このほか、国家公務員3分の1削減▽平成版教育勅(ちょく)語(ご)起草▽フラット税制-なども盛り込まれる。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120203/stt12020312050001-n1.htm
【私の論評】海外の普通の国の水準からいえは、保守色を前面に押し出しているとはいえず、当たり前の真ん中である!!
上の記事では、保守色を前面に押し出したなどとしていますが、私は、そんなことはないと思います。これは、世界標準からみれば、ごく当たり前のことであり、中道だと思います。その根拠について、いくつか、以下にあげてみようと思います。
■「グローバリズム」「地球市民社会」は幻想、一国家一文明
「グローバリゼーション」や「地球市民社会」などを幻想と断じ、「一国家で一文明」の日本の創生は、当然といえば、当然です。国家が消滅するということを最初に言い出したのは、ドイツの哲学者カントです。これに関しては、過去のブログにも掲載したことがあります。それを以下にコピペします。すでに産業革命の時代の初期から、国家間の経済的な相互依存性は国家主義的な情熱よりも強く作用するするはずであると説かれてきました。最初にこれを言ったのはカントでした。「国家の死滅」を現したカール・マルクスも、1950年代、60年代のバードランド・ラッセルなどの最高頭脳が、国民国家の死を予告してきましたが、その通りにはなりませんでした。
旧ソ連邦のミハエル・ゴルバチョフ氏も、国民国家よりも、経済的な結びつきの方が強いだろうと考えていたのが、旧ソビエトの解体でそうではなかったことがはっきりしました。国家間の経済的に依存性とは、今でいえば、「グローバリズム」「地球市民社会」のようなものです。国家主義的情熱とは、日本でいえば、上記の「一国家で一文明」という考え方です。現在でいうところの、「グローバリズム」「地球市民社会」のようなものを最初にカントが言い出し、バードランド・ラッセルなどの最高頭脳が予告したのですが、その通りにはなっていないということです。旧ソ連法に所属していた国々も、ソ連法に属していることよりも、国家的情熱を選び独立したということです。確かに、これらの国々は、天然ガス・原油の供給、その他物資の輸入などのことを考えれば、独立するよりは、旧ソ連法に属していたほうが経済的には、有利でした。にもかかわらず、独立したということです。
また、国際連合などの国際的な会議など、日本では、"善意の集まり"と考えられているような、会議のほとんどは、国同士のエゴのぶつかり合いであり、謀略が渦巻いていると考えるのが常識です。平和日本のニッポン人だけが、そうは考えず、"善意の集まり"と考えているだけです。
世界は、そんなに甘いところではありません。一時、アメリカとソ連の冷戦で、世界は、二国間の対立のもとでの、平和を享受してきました。現在、その冷戦構造は、崩れて、世界は新たな秩序を模索している段階にあります。
しかし、世界は、二国間の冷戦構造も含めて、それこそ、ウェストファリァ条約の時期と本質的には何も変わっていません。その時々で、覇権の強い国、弱い国があるだけの話で、ずっと、5〜6くらいの国が、覇権争いをしつつ、バランスを保ってきたというのが実体です。冷戦時には、これが、アメリカとソ連という二つの国で、バランスが保たれていたというだけの話です。
この冷戦構造が崩れてから、あろうことか、アメリカはこのパワーオブバランスからいっときソ連が消えたことをもって、アメリカ一国でそれを行おうとして、失敗を続けています。これは、もともと、無理な話です。冷戦構造の一極を維持・拡大しようとしたことが、ソ連崩壊の原因の一つにもなっていたのは確かだと思いますが。アメリカが、一曲構造を堅持しようとすれば、アメリカもソ連の二の舞になることは必定です。
それから、一国家一文明に関しては、特に日本おいては、当然のことと思います。これは、何も、日本人の私が強調しなくても、アメリカ人のサミュエル・ハンティントンがその著書「文明の衝突」の中で書いています。ハンティントン氏は、日本はあまりにユニークなどので、中国を中心とする、東アジア文明の中ではなく、日本文明とせざるを得なかったとしています。これについては、ここで述べると長くなるので、当該ブログの記事をご覧になってください。
グローバリズムに関して、インターネットなどで、世界中の情報が簡単にすぐに入ってくるようになったため、情報共有に関しては、確かに、そのようなことがいえますが、それ以外では、まだまだ、日本以外の他の国全部が、まずは、国益を重視しています。こんな、世界の現実をみないで、グローバリズムとか、地球社会市民などと曰う人間は、ただの馬鹿かお人好しです。これに関しては、保守も革新もないです。
■憲法改正など
これに関して、あまりに当然といえば、当然のことです。いまの日本国憲法は日本が、アメリカ人の占領状況にあった最中に、出来上がったものであり、日本国民による日本の憲法改正ではありません。いつまでも、金科玉条のように護憲というのは、許されないことです。この憲法のGHQによる草案作成に全面的に関わった人物のなかには、あろうことか、あとから、ソ連のスパイ(コミンテルン)であることが明らかになり自殺したという人物かいるくらいです。この憲法は、アメリカ側の日本弱体化の意図だけではなく、コミンテルンの日本弱体化の意図も潜んでいるということです。このような憲法改正を施行し、何十年もたてば、政府も弱体化するのは、当然の帰結です。前政権の自民党政権もずいぶん疲弊し弱体化し、その後の民主党政権はどうしようもないことがいまや周知の事実ですが、現在の憲法をそのままにしてきたことの当然の帰結でもあります。それに、アメリカ議会でさえ、日本国憲法改正派が多数派になっています。改憲は当然のことと思います。こんな憲法をそのまま維持しようとるする人達のほうが完璧におかしいです。
その他、9条改正による国軍保持▽国会一院制と大選挙区制導入▽改正手続きを定めた96条の改正もとくに、保守的ということはないと思います。どれも、当然といえば、当然のことと思います。
■外交・防衛分野
日米同盟の深化▽防衛産業の育成▽「南西防衛戦略」推進▽核保有に関するシミュレーション-などを明記する。これらも、全く、保守的であるなどとは、思えません。これらを検討するのは当然のことと思います。核保有に関して、議論すらできない、タブー状態というのは、全くおかしなことです。2012年2月2日、日本政府が尖閣諸島周辺の無名の39島に名称を付けると発表したことを受け、中国で「抗日機運」が高まっている。米華字サイト・多維新聞が伝えた。
中略
記事は、こうした日本に対する反発の高まりから、日中両国が目指す「過去を水に流して友好関係を築く」ことは難しくなってきたと指摘。双方の政府が「和すれば互いに利あり、争えば共に傷つく」ことを訴えていかなければ、「日中再戦」を求める民意を抑えることはできない、と指摘した。
大学教教授といえば、痩せても枯れても、インテリといわれる人々であるわけですから、普通ならこんな馬鹿げた歴史や、国際ルールをたがえたようなことは、言うはすがないのですが、おそらく、この教授は中国共産党を代弁しているだけと思います。日本なら、たとえ政府べったりの御用学者でも、このような低水準のことは言わないと思います。まあ、はっきりいえば、ただの馬鹿ですが、こんなことを平気で要求する馬鹿が現実に存在するわけですから、この周辺に対して備えをするというのは、他国なら当然のことであり、これをもって、保守的などとはいえないと思います。馬鹿がいいがかりをつけて、殴りかかってきたら、殴り返すというのが普通の人だと思います。こういう人を保守と呼ぶのであれば、世界のほとんどの人は保守系ということになります。
■経済財政政策
ここにも、他国なら、ごく当然のことがあげられています。その中でも、100兆円規模の政府紙幣発行、国の財政の複式簿記化なども、当然のことと思います。私は、石原さんは以前から、経済に関しては、弱いと思っていました。たとえば、都営銀行は、最初から理念が間違えているので、失敗するだろうと思っていましたが、やはり、思ったとおりになりました。都営銀行の設立理念は、中小企業は、銀行からお金借りられないから、苦しいというものでしたが、これは、根本的に間違えています。今の中小企業はデフレで仕事がないから、大変なのであって、仕事がないのに、銀行からお金を借りられても救いにも何にもならないのです。要するに、金融緩和(銀行からお金を借りやすくする)だけではダメで、これに加えて、国か、自治体による思い切った財政出動(中小企業の仕事をつくる)をしなければダメだということです。これは、デフレ脱出のときの、常套手段です。どちらか、一方が欠けていてはうまくはいかないのです。
このことを見抜くことができない、石原さんは、経済は、ダメだと思っていましたから、ひょっとしたら新党も経済に関しては期待できないかもしれない思っていましたが、これら二つをもってしてもまともであることがわかりました。
まず、デフレで脱却の原資としては、最低100兆円は必要です。これを単年度に突っ込むまでの必要はないでしょうが、2、3年で大規模に突っ込む必要があります。これとともに、無論金融緩和必要ですが、これは、政府の仕事ではなく、日銀の仕事なので、あえて、草案には盛り込まなかったのだと思います。それに、震災があってから、復興のために円の需要が高まることは最初から予測できたことですが、それにもかかわらず、日銀は、増刷拒否の姿勢を崩しません。こんなことをしていれば、円高になるのは当たり前のことです。このような、日銀の煮え切らない態度から、新党は、日銀はあてにできないので、このような政策を打つのだと思います。
それから、国の財政の複式簿記化については、これは、たいしたことがないようにも思われる方も、いらっしゃるかもしれませんが、これは、実はかなり大事なことです。
そもそも、日本国政府が、すぐにも財政破綻するようなことを、あろうことか、国民一人あたりの借金が700万円にものぼるとして、野田総理大臣が、国民をミスリードするようなことを平気で国会で語っていましたが、これは、私のブログでも指摘したように、全く間違いであり、これは、正しくは「赤ん坊まで入れて、日本国民は、一人当たり700万円の価値のある銀のスプーンをくわえて生まれてきている」と言い換えなければなりません。
このような間違いやミスリードがなぜおこるかといえば、政府や地方自治体の財政の簿記が企業のもののように、複式簿記ではなく、単式簿記になっていることにも大きな原因があります。単式簿記では、確かに、、政府がかなりの借金をしていると同時に、かなりの金融資産を持っていることを見逃してしまいがちです。これが、個人んの場合だと、たとえ、大きな借金をしたとしても、その個人が金融資産をもっていれば、この個人資産から、借金を差し引きして、それが、ブラスなら債務過多になっていないことがすぐにわかります。この過ちは、貸借対照表の読み方がわからずに、全体を見ずに、一部だけみて借金が多いと騒いでいると同じようなものです。
実際日本国貸借対照表でみれば、政府が借金をしているのと同時に特別予算などの形で、他国に例がないほどの、金融資産を保有しています。さらに、対外金融資産(日本が外国に貸している金融資産から日本が外国から借りている金融資産を引いたもの)が過去20年間世界一です。こんなことをみれば、日本が借金まみれとみるのは、全くの間違いであることがわかります。これだけ、お金が有り余っている国は他にありません。日本の景気か良くないのは、有り余るお金が、市中に出回ることがなく、日銀の金庫や、市中銀行に借り手のないお金が堆積されているからです。なぜ、そうなるかといえば、デフレだからです。だから、政府やるべきことは、まずは、デフレの克服であり、増税ではありません。デフレ対策としては、政府の積極財政、日銀の金融緩和の両方が必要です。これは、高校の政治経済で教えるような基本的な方法です。
新党では、政府紙幣や、複式簿記化など、かなり具体的な内容で、デフレ脱却を目指していることがうかがわれます。財務省も過去には、複式簿記化を検討していた時期があります。それは、以下のURLをご覧になればわかります。
http://www.mof.go.jp/budget/report/public_finance_fact_sheet/prev_fy2002/bs1609.pdf
過去には、このようなことを検討していた財務省ですが今は、その片鱗すらみられません。やはり、今は、増税を念頭においているため、このような情報で、増税キャンベーンがうまくいかなくなることを懸念しているのだと思います。
このブログでは、過去に何回も、日本国の貸借対照表を掲載して、日本国が、すぐにも財政破綻しそうであるなどの見解は、全くの間違いであることを掲載してきました。それについては、本日は、本題ではないので、本日は、詳細は掲載しません。それについては、以下の【関連記事】のところに、コピペしておきますので、是非ご覧になってください。
それにしても、これについても、保守だ革新だのは、全く関係のないことだと思います。他のことも、ここでは、とりあげると長くなってしまうので、ここでやめておきますが、どれをとっても、保守的とは思えません。唯一皇室は男系男子というところだけが、保守的ともみえますが、これとて、本来は保守だの革新などは関係ないと思います。これは、皇室内の問題であって、私達が口に出していう話題ではありません。だれが、他者の家内のことについて、嘴をはさむことができるでしょうか?ましてや、それが皇室であってはなおさらです。新党は、この問題に口を挟む必要はないという見解のもとで、元通りなにもかえないという意思表示をし他のだと思います。
左に傾くボディ? |
以上新党の草案をみてきましたが、本当にどれをとっても、特に保守的ということはないと思います。この内容をみて、保守的だと思う方々、それこそ、ものの見方をグローバルに切り替えてください。世界標準では、これを保守などといいません。当たり前の真ん中をいく、政策だと思います。このような見方をすることが、現実を踏まえた真の「グローバリズム」だと思います。皆さんは、いかがですか?もし、この内容をみて、保守的だとか、右翼的だと感じるなら、あなたの体は左に傾いているかもしれません(笑)。