日銀の黒田東彦総裁は2日午前、名古屋市内で開いた金融経済懇談会であいさつし、4月に導入した量的・質的金融緩和の波及経路を巡って「最も重要なルートが実質金利の引き下げだ」と語った。
実質金利は名目金利から予想物価上昇率を差し引いたもので、これが低下すると設備投資や家計支出を刺激する効果があるとされる。足元の長期金利については「米欧以外の新興国でも長期金利は上昇しているが、そうしたなかで日本の長期金利は0.6%程度で安定的に推移している」と説明。一方、企業や家計などの見方を反映した予想物価上昇率は「明らかに上昇してきている」と語った。その結果、実質金利は「おそらくマイナスになっている」といい、量的・質的緩和による効果が出ているとの認識を示した。
足元の日本経済に関しては「2%の物価安定目標の実現に向けた道筋を順調にたどっている」と強調。量的・質的緩和に関しては「物価安定目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで継続する」との考えを改めて示した。
【私の論評】世界の注目の的である日本の金融緩和、来年増税すれば景気は必ず腰折れする。しかし、追加緩和と、最低5年間で20兆円の追加経済対策さえ実行できれば、増税の負担を乗り越え日本経済を成長軌道にのせられる(゚д゚)!
上の記事では、金融緩和によって、マクロ的に見て実質金利はおそらくマイナスとなっており、かなり効果があったことを示しています。実質マイナスの金利とは、お金を借りても金利をかえさないですむどころか、実質的にお釣りがくるという水準です。これは、つい1年ほど前の日本では、とても考えられなかった水準です。まさに、お金の借り時です。
そうして、巷にも金融緩和の効果によるものと思われるニュースが報道されています。以下にその代表的なものをあげておきます。
千葉湾岸、パート争奪戦 イオンモール開業で3000人雇用
千葉県の湾岸エリアでアルバイト・パートの争奪戦が起こっている。イオンが12月20日に千葉市内に開業する旗艦店の採用人数は約350店で計3000人強。開業期に限り時給を数百円引き上げるなど人集めに躍起だ。あおりを受け、周辺の飲食店や工場も時給上げに動く。景気回復でもともと人手不足だったところに大型店の開業が重なり、時給高騰に拍車をかけている。
ハワイアンカフェ「ハレノヘヤ」 |
「面接の席に着くなり採用された」。25日に開かれた「イオンモール幕張新都心」の合同面接会。ハワイアンカフェ「ハレノヘヤ」の面接に臨んだ女性(19)は驚いた様子。面接官からは「友達にも声をかけるよう頼まれた」という。これは、金融緩和により、ミクロ的にも効果が出ているという証です。もう、金融緩和の効果をマクロ的に見ても、ミクロ的に見てもどうみても間違いなく効果がでてきています。
この傾向は、年度末まで確実に続きます。 ただし、来年4月以降はどうなるかはわかりません。
ところで、この金融緩和は、アベノミクスの第一矢ですが、このアベノミクスが、米国WSJ(ウォールストリート・ジャーナル)の10大ニュースの第二位になっています。詳細は以下のURLをご覧になってください。
「WSJ日本版が選ぶ2013年10大ニュース」
順位 ニュース
1 米政府一部閉鎖と債務不履行の危機
2 国内外から注目を集める「アベノミクス」
3 金融緩和から出口探る米FRB
4 米国NSA盗聴問題
5 シリア内戦
6 中国 薄熙来(はくきらい)失脚
7 相次ぐIT企業の大型再編
8 福島第1原発の汚染水問題
9 ボーイング機事故
10 世界各地の異常気象
WSJは、2014年注目の経済トピックスとして、日本の「消費税引き上げ」、「エネルギー革命」、「欧州危機は終わったか」の3点を挙げている。このうち、消費税引き上げについては、2014年4月の増税で消費者負担が8兆円拡大し、一時的に消費を圧迫するとの見方が強まっているとし、増税の負担を乗り越えて日本経済を成長軌道に乗せられるかに、来年は注目が集まるとしている。WSJは、内容は国際経済的なものですが、アメリカの経済誌です。アベノミクスは、もし今年例年のように、米政府の一部閉鎖と、債務不履行の危機などという特異な問題がなければ、一位になっていたかもしれないということです。そうして、来年の一番のトピックは日本の「消費税引き上げ」です。増税の負担を乗り越えて日本経済を成長軌道にのせられるかに、来年は注目が集まるという、ことです。
世界を見回してみると、中国は不正に海外に流れた金を国内に呼び込むという信じがたい方法で、これから一息はつけるとはいうものの、その次の手立てがなく、まさに崖っぷちで、どうしようもない状況にあります。米国も良いとはいえません。欧州も似たようなものです。
そうしたなかで、唯一日本だけが、増税という不安要因はあるというものの、金融緩和によって大きな効果を出しつつあります。
これは、多いに世界が注目しているわけです。日本だけでも経済が上向けば、世界経済も随分違ってきます。これが、新興国などが景気が良かったとしても、いずれの国もあまりにも経済が小さすぎで、たとえかなり景気が良くなったとしても、焼け石に水で、世界経済にはほとんど影響がありません。しかし、日本の場合は、かなり経済が大きく、実質世界第ニの経済大国ですから、これが上向けば世界かなり良い影響があります。
こんな状況ですから、日本でも、たとえ増税しても経済が上向くように最大限の努力をすべきです。そうして、その方策はすでにあります。それに関しては、以前のこのブログにも掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
増税決定でも動かなかった日銀 12月にも追加緩和の可能性ー【私の論評】異次元の追加金融緩和に、追加財政支出と、15年は10%増税見送り、第三次安倍内閣誕生で日本はやっとデフレから回復できる!(◎_◎;)
過去20年の日銀悪夢を繰り返さないように、近いうちに必ず日銀法を改正して日銀の独立性を世界水準のまともなものにすべきです。そうして、増税が決まってしまった今は、さらなる金融緩和および、上で高橋洋一氏が提唱する、最低限5年間で20兆円の財政支出を行うべきです。 私は、100兆円規模の支出を行っても良いと思います。そうして、国民所得を増やして、一刻もはやくデフレから脱却して、政府の税収を増やすべきです。
来年から増税した場合、当然デフレからの脱却から遠のくのは、はっきりしています。どう考えても来年4月からの増税は間違いです。デフレの最中の増税などというこは、本来絶対あってはならないことです。安倍総理は、アベノミクスの提唱者です。その安倍総理自身が、増税はせっかく金融緩和の腰をおることは、自民党内の誰よりも知っているはずです。しかし、自民党内のほとんどが増税派であり、それも心底そう信じる馬鹿者揃いであることから、安倍長期政権を狙うためには、今の時点では妥協せざるを得なかったのだと思います。
日本が今後、デフレから確実に脱出するためには、さらなる異次元の追加金融緩和に、追加財政支出と、15年は10%増税見送り、そうしてしゃにむに第三次安倍内閣誕生させることです。これ以外に来年からの増税が決まってしまった日本に早期デフレ脱却の道は残されていません。さてこれを、をご覧いただけば、来年日本がどうすれば良いかお分かりになると思います。黒田日銀は、12月からも追加金融緩和をすると表明しているので、これは何とかなるものとして、来年の4月以降は、この追加金融緩和を確実に行っているものとして、後は、最低限5年間で20兆円以上の財政支出を行うべきです。 これは、さらに多くても良いです。できれば、本当は100兆円です。そうして、15年度以降は、10%増税どころか、増税など絶対にやめ、理想としては減税すべきです。
まともに増税すれば、次の東京オリンピックのときも、デフレの最中での開催ということになります。ロンドンオリンピックは不況の中での開催となり、経済的波及効果もあまりありませんでした。しかし、少なくともイギリスはデフレの真っ只中ということではなく、不景気の中での開催でした。東京オリンピックがデフレの最中で開催されるということになれば、現在の日本は経済の規模が大きくて、東京オリンピックの経済効果など、焼け石に水の微々たるものに過ぎず、元気のないものになることが予想できます。
オリンピック招致での総理のプレゼン。次の東京オリンピックの 時の日本には、是が非でもデフレから脱却していてほしいもの。 |
しかし上にあげた、最低限のことを実行する意思決定ができれば、日本はたとえ来年増税したとしても、早期にデフレから脱却できる可能性が高まります。そうして、オリンピックを開催するにふさわしい日本国となることができます。
しかし、来年増税すれば、今影を潜めているアベノミクス反対派がまたぞろ、冬眠していたクマが冬眠からさめるように、ぞろぞろ這い出してきて、緩和=アベノミクス=無効という珍説がまたぞろ巷に横行することになります。しかし、私たちは、そんなものに惑わさないどころか、個別粉砕撃破し、力強い成長をめざすべきです。
まさに、来年は、WSJが報道しているように、増税の負担を乗り越えて日本経済を成長軌道にのせられるかが、世界から観た焦点となります。日本経済を成長軌道にのせるためには、日本政府が、上記で述べた最低限のことを実施するだけの器量があるかどうかにかかっています。安倍総理にはその器量がありますが、自民党の大部分の議員にはその器量がありません。これらの議員の意識改革が来年の大きな焦点になりそうです。
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?
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