ラベル 衝撃,中国経済,マイナス成長,データ,第二のリーマン・ショック,だし,説局財政 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 衝撃,中国経済,マイナス成長,データ,第二のリーマン・ショック,だし,説局財政 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2015年8月24日月曜日

衝撃!中国経済はすでに「マイナス成長」に入っている〜データが語る「第二のリーマン・ショック」―【私の論評】中国経済の悪化をだしに、日本の積極財政を推進せよ(゚д゚)!

衝撃!中国経済はすでに「マイナス成長」に入っている〜データが語る「第二のリーマン・ショック」

中国経済の落ち込みは、実に深刻

先週の本コラムの冒頭で、4-6月期GDPが悪い、ということを書いた。

17日に発表された4-6月月期GDPは、前期比で▲0.4%。その内訳を寄与度でみると、民間消費▲0.4,民間設備など+0.1%、公的消費・投資+0.2%、純輸出▲0.3%である。「民間消費」と「純輸出」が悪かった。

「民間消費」が悪いのは、2014年4月からの消費増税の影響である。1997年の時にもそうだが、消費増税は恒久的な影響があるので、そう簡単に悪影響はなくならないのだ。

ただ、アベノミクスの円安のおかげで、外為特会の“20兆円”が使えるので、政府として手の打ちようはある。今のところ、GDPギャップは10兆円くらいあるので、5~10兆円の対策をしても、財源の心配は必要ない。



深刻なのは、「純輸出」の減少の原因となっている、中国経済の落ち込みである。上海株が再び下落し、製造業の景況感指数も悪化するなど、中国経済への懸念が広がっている。その不安は、世界の株安にまで広がっているようだ。

もちろん株価に一喜一憂しても意味ない。中国の株式市場は管理相場なので、下がると次は上がるかもしれない。

ただ、当面の株価ではなく、中期的な中国経済の先行きがどうなるか、リーマン・ショックのように世界経済に悪影響を及ぼすおそれはあるのかを考えておきたい。
世界経済に与える影響は?

まず、世界貿易における中国の位置を確認しておこう。
中国の輸出入額を合計した貿易総額は4兆ドルをこえて、世界第一位である。輸入額については、アメリカに次いで世界第二位。輸入のうち、アジアからが5割を超えている。中国の輸入は相手国から見れば輸出であり、国別でみると、韓国、日本、台湾、アメリカの順である。また、東アジアの高成長国も中国への輸出が多く、中国依存度は大きい。

中国経済が不調になった場合、輸入の減少につながるが、相手国では輸出の減少となって、GDPを低下させる。その輸出国のGDP低下は、その国の輸入を減少させることになり、それがさらに第三国の輸出を減少させるといった「波及効果」がある。

要するに、貿易面から見れば、中国経済の失速はアメリカのそれと大差ないくらい、世界経済に与える影響は大きなものになる、ということだ。しかも、その影響は、中国との貿易依存度が大きい、アジアでより深刻になるだろう。

現在の中国の株式市場は、ほとんど機能不全に陥っている。もっとも、海外投資家から見れば、中国市場への投資は、個別に中国企業の財務諸表をみたりして行っているわけではないだろう。そうしたデータはほとんど信用ないからだ。投資戦略としては、中国当局の色のついた投資家が買っている銘柄を、後追いして買うだけだ。

そうした状態になると、外国人投資家はいつでも中国から逃げ出してもおかしくない。個別企業のみがわからないのではなく、中国経済全体も統計数字があてにならない。

筆者のようにデータをベースに分析する者にとって、中国経済の統計データは鬼門である。しばしば、GDP統計はあてにならず、電力消費、貨物輸送量、銀行融資だけがまともな統計といわれる。これは、中国の統計の実態を告白したとされている李克強氏による「ウィキリークス」での有名なエピソードである。

これらの数字は中国国家統計局が公表しており、その動きはGDPの数字とかなり連動している。統計的に見て、電力消費、貨物輸送量、銀行融資が正しいのであれば、GDPが捏造されているとはにわかに言いがたい。


本当は「マイナス成長」という衝撃

実は、筆者が注目しているのは、輸出入統計である。これは、相手国があるので、そう簡単には誤魔化せない統計である。その数字をみると、今年1月から7月までの中国の輸入は前年比14%も減少している。

輸入の伸び率とGDPの伸び率との間には、かなり安定的な正の関係(GDPが伸びているときには、輸入が伸びている)がある。GDP統計が比較的正しいと思われる先進国の2010-2012年の輸入の伸び率とGDPの伸び率をプロットしたのが、下図である。

これを見ると、輸入が前年比10%以上も減少しているときに、GDPがプラス成長ということはまずあり得ないということだ。

世界の先進国のデータから、その安定関係を推計して、中国の輸入の伸び率からGDPの伸び率を算出すると、今年は7%成長どころか、マイナス3%成長である。もしこの推計が正しければ、中国経済は大変な減速局面になっている。

リーマン・ショック後の2009年、アメリカのGDPは3%程度減少、輸入も15%程度減少した。今の中国の経済減速は、リーマン・ショック後のアメリカと似ている状況だ。

日本の経済は完全に沈没
日本の場合、2017年4月からの10%への消費増税を控えている。中国ショックの可能性を考えれば、とても増税を行える環境ではない。

かりに中国ショックがなかったとしても、今年の経済財政白書では消費増税の影響が分析されているが、その分析を参考にして成長率試算をすると、2017年度は再びマイナス成長になってしまう。


中国ショックがあれば、ダブルパンチになるので、日本経済は完全に沈没である。そうなると、金融緩和でもっている雇用のいいパフォーマンスも確実に失われるだろう。

今の景気の足踏みに加えて、「起こりうる」中国ショックに備えるために、この秋は大型の補正予算が必要だろう。その財源はアベノミクスの成果である外為特会の含み益“20兆円”であるので、安倍政権の意向ひとつで容易に組める。

やるかやらないかは、安倍首相次第である。

高橋陽一

【私の論評】中国経済の悪化をだしに、日本の積極財政を協力に推進せよ(゚д゚)!

上の記事は、中国経済の先行き不安があるとともに、日本では8%増税の悪影響が予想以上に大きく、10%増税など全く不可能であることを強調しています。

私自身は、中国経済低迷の影響は日本の実体経済には、あまり大きくはないと考えています。そもそも、日本のGDPに占める輸出の割合などを考えると、さほど大きな影響はないと思います。
日本の貿易依存度はG20の中で18番目。先進国で日本より貿易依存度が低いのは米国だけです。以下に世界の国々の直近の輸出依存度などの数字を掲載します。

G20諸国の輸出依存度と輸入依存度(GDP比)は下記の通り。

●輸出依存度(GDP比)
韓国  :43.4%
ドイツ :33.6%
メキシコ:26.2%
中国  :24.5%
ロシア :24.4%
日本  :11.4%
アメリカ: 7.5%

●輸入依存度(GDP比)
韓国  :38.8%
ドイツ :28.0%
カナダ :24.6%
アメリカ:11.4%
日本  :10.8%

日本ははたして輸出依存国ではないことははっきりしています。そして、日本の対中依存度は下記の通りです。
対中輸出依存度(GDP比):2.79%
対中輸入依存度(GDP比):2.44%
日本の輸出依存度(GDP比)11.4%のうちの2.79%、輸入依存度(GDP比)10.8%のうちの2.44%が中国依存です。特に日本が中国に依存しているとは、考えられません。

さらに、にこの輸出入は日本で生産した資本財を中国に輸出、現地の日系企業がその資本財で工業製品を生産し日本に逆輸入している場合も多く、また、で日本からみると、中国が輸出入の相手でなければならないなどということはありません。

インドやベトナム、インドネシアに置き換えることは十分可能と考えられます。

中国商務省は本年6月18日、1~5月の日本から中国への直接投資実行額が前年同期比9・4%減の17億8千万ドル(約2190億円)だったと発表しています。減少率は1~4月の7・8%からやや拡大し、対中投資が振るわない状況が続いています。今や、投資先としても中国は魅力を失っていますし、額的にももともとたいした額ではないです。

しかし、中国は資本財を生産する技術が無いため日本からの輸入に頼っています。さらに中国国内で工業製品を生産している企業は日系がほとんどであるため、この面で中国は日本に頼り切っている状況にあります。

仮に、中国の経済がかなり落ち込んだとしても、日本が受ける実体経済への影響は軽微といえます。

ただし、株価などは影響受けたり、中国にかなり投資したような企業は、かなり影響を受けることは間違いないですが、さりとて、日本が甚大な影響を受けるとは考えにくいです。

上の記事では、リーマン・ショックを引き合いに出していますが、今回の中国危機と米国のリーマン・ショックとは同一に語ることは出来ないと思います。

それに、リーマン・ショックの影響は本来日本は、あまりなかったはずです。リーマン・ショックのときに、日本以外の国はどこも、景気を回復させるため、こぞって大規模な金融緩和をしました。

しかし、日銀だけが、思い切った金融引き締め策をしなかったため、その悪影響が続きました。そのため、リーマン・ショックの震源地であるアメリカや、その影響をもろに受けたEUなどが日本よりもはやく景気を回復するという有様でした。

デフレの最中に、リーマン・ショックが発生して、他国がこぞって金融緩和に走っているときに、何もしなければ、さらに円高・デフレ傾向になるのは当たり前のことです。

あの時もし、日銀が今日のようにも大規模な金融緩和に走っていたら、日本はリーマン・ショックの悪影響はほとんど受けなかったものと思います。だから私は、日本国内では、リーマン・ショックと呼ぶより、本当に日銀ショックと呼んだほうが、ふさわしいし実体をより良く表しているものと思い、そう呼んでいます。

リーマン・ショック後、アメリカやEUは大規模な金融緩和策を実行したが日銀はしなかった


だから、もし中国の経済が本格的におかしくなったとしても、日銀が今日のようにまともな制作を素早く取るようにすれば、金融面で受ける影響はあまりないと考えられます。

こんなことは、高橋洋一氏は良くご存知だと思います。にもかかわらず、上の記事で中国の危機を強調するのは、やはり、過去の日銀、そうして現在の多くの政治家、財務省、マスコミ、識者たちの前例が頭にこびりついているからでしょう。

彼らは、リーマン・ショックのときも、金融緩和をせよということもなく、全く理屈の通らないおかしな理由で、日本経済のデフレを放置しました。

だから、今回の中国の経済低迷も、さほど影響はないと内心では思いつつも、中国の経済低迷を強調して、10%増税などやっている場合どころか、8%増税の悪影響が甚大であり、来年もマイナス成長になりそうである現状であるし、中国問題も大きく影を落としているとして、危機感を煽っているのだと思います。

何しろ、日本の政治家、財務省や、マスコミ、識者など、8%増税しても影響は軽微としてきた呑気な人たちです。今後も、8%増税の影響を軽く見積もり、とんでもない予測をして、日本経済を危機に陥れる可能性はまだまだ、捨てきれません。

これを防ぐために、中国の経済低迷をだしに使って危機感を煽っているのだと思います。本来日本経済にとって、中国の経済低迷と、日本国内の経済政策のまずさのどちらのほうが、大きな影響があるか両天秤にかけると、圧倒的に日本国内の経済政策のまずさのほうが大きいです。

しかし、中国経済の低迷なども、材料として、日本がまともな金融緩和政策を続行し、さらに積極財政をするように仕向けることは、良いことだと思います。何しろ、積極財政や金融緩和を軽視する人、あるいは、害悪とする人たちの中には、なぜか中国を過大にとらえ、中国幻想を吹聴する人が多いです。こういう人たちには、「中国が~、中国が〜」とわめきたてれば、もともと中国を誇大に語っているため、それがどの程度のものかは別にし、中国の経済悪化の日本への悪影響を否定することはできません。

特に積極財政は、上で高橋洋一氏も述べているように財源は十分にあります。現状では、公共工事の供給制約もあることから、公共工事はあまり説局財政に寄与しません。思い切った給付金など創設し、再半分的な政策をとれば、中国の経済悪化の悪影響など完璧にはねのけ、日本は他国を尻目に一足飛びに経済を飛躍させることができます。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】







【関連図書】

今の日本経済を中国との関係で、正しく理解するための書籍、三冊を以下にチョイスさせていただきました。

中国壊滅
中国壊滅
posted with amazlet at 15.08.03
渡邉哲也
徳間書店
売り上げランキング: 44

「アジアインフラ投資銀行」の凄惨な末路
宮崎 正弘
PHP研究所
売り上げランキング: 1,261


トランプ、ウクライナ支援継続で「戦況逆転」の可能性も...「本当に怖い存在」習近平の中国との関係は?―【私の論評】発足もしてない政権に対して性急な結論をだすべきではない

トランプ、ウクライナ支援継続で「戦況逆転」の可能性も...「本当に怖い存在」習近平の中国との関係は? まとめ トランプ次期大統領はNATO加盟国に国防費をGDP比5%に引き上げるよう要求し、ウクライナへの支援は継続すると伝えた。 現在のNATOの国防費目標はGDP比2%であり、ク...