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2018年12月4日火曜日

国民の理解得られる対中防衛「2つの秘策」 トランプ氏の影響で防衛費GDP1%超―【私の論評】日本のあるべき防衛論を組み立て、それに見合った防衛予算を組め(゚д゚)!

国民の理解得られる対中防衛「2つの秘策」 トランプ氏の影響で防衛費GDP1%超

永田町・霞が関インサイド

海上自衛隊最大のヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」

安倍晋三政権は12月中旬、新しい「防衛計画の大綱」(防衛大綱)を閣議決定する。日本を取り巻く東アジア情勢の激変に基づくもので、5年ぶりである。これに伴い、防衛装備品などの導入計画「中期防衛力整備計画」(中期防)も大きく見直される。

 それだけではない。これまで日本政府が防衛費を国内総生産(GDP)比で1%以内に収めてきた「原則」も変更する。防衛費とは、防衛装備品の取得費や自衛隊の人件費など、防衛省が所管する予算のことである。

 これにも、実はドナルド・トランプ米大統領の存在が影響している。トランプ氏はこの間、フランスや英国、ドイツなど、北大西洋条約機構(NATO)の主要加盟国に対し、繰り返し防衛費の増額を求めてきた。

 ちなみに、2017年度の米国の防衛費6100億ドル(約69兆1600億円)はGDP比3・1%に対し、フランスの578億ドル(約6兆5500億円)は同2・3%、英国の472億ドル(約5兆3500億円)は同1・8%、ドイツの443億ドル(約5兆200億円)は同1・2%。

 日本は5兆1911億円の0・92%(18年度)であり、トランプ氏が求める「応分の負担」の対象国になっている。つまり、防衛省所管以外の旧軍人遺族らの恩給費や国連平和維持活動(PKO)分担金などを合算して、NATO基準にするということである。これでGDP比1%超となり、安倍首相はトランプ氏に顔が立つ。

 これだけではない。防衛大綱の閣議決定を経て19~23年度の中期防に超高額な防衛装備品の取得方針を盛り込む。

その目玉が、米ロッキード・マーチン社の最新鋭ステルス戦闘機「F35」の購入だ。それも半端ない数である。これまでに導入が決まった42機に加えて、1機100億円超を100機追加購入するというのだ。総額1兆5000億円に達する。これもまた、トランプ政権が強く求める対日貿易赤字解消を念頭に置いたものだ。

 新防衛大綱と次期中期防は、トランプ氏のために策定するのではと勘繰りたくなる。それはともかく、筆者が注目する防衛装備品が2つある。

 1つは最新の早期警戒機「E2D」(ノースロップ・グラマン社)の9機導入。中国が配備した最新ステルス戦闘機「J20」を意識したものだ。

 2つ目は、産経新聞が報じた「中国空母2020年末にも進水-国産2隻目、電磁式射出機を導入」に関係する。海上自衛隊のヘリ搭載型護衛艦「いずも」の空母化を新防衛大綱に明記することである。この2つは国民の理解が得られるはずだ。(ジャーナリスト・歳川隆雄)

【私の論評】日本のあるべき防衛論を組み立て、それに見合った防衛予算を組め(゚д゚)!

防衛費に関しては、他国との相対的な要素が強い点が大きいことに留意しなければならないです。一国の防衛費が増加したからといって、その周辺国との比較の上で、その増加がどういう意味を持つのかを考える必要があります。そこで防衛費の質的な比較・検討が重要となるが、まずは防衛費の総額そのものを主眼において解説します。

防衛費の総額といっても、各国の防衛費の考え方や組織の違いもあり、単純な比較が難しいです。例えば、中国で公表されている防衛費には、技術開発関連の費用は含まれていないとされている。また、現在の日本では、海上の警備・水路業務は海上保安庁が担当しているが、独自の沿岸警備隊を有さず海軍がその職務を行っている国もあり、そうした国々とは単純に比べることはできないです。

そこで、国際紛争研究で著名なストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が集計・公開しているデータベースを用いて、日本周辺国の防衛費の20年分(1997年~2016年)の推移を見ていこう。SIPRIのデータを元に、日本、中国、韓国、台湾、ロシアといった日本周辺国(北朝鮮はデータ無しなので除外)の防衛費の推移をグラフ化したものを以下に掲載します。

出典:SIPRI Military Expenditure Database

一見して明らかなのは、2000年代に入ってから中国の防衛費が各国を引き離していることと、韓国・ロシアの増加傾向、そして日本・台湾の横ばい傾向です。1990年代の一時期、日本はアメリカに次ぐ世界2位の防衛費であった時期もあったのですが、今や周辺国の間では中程度と言っても良いです。

今や、経済成長を背景に中国の防衛費が周辺国を圧倒している状況にあります。周辺国の増加ペースを遥かに超えており、2016年の段階で日本の防衛費の5倍以上になっています。昨年の防衛費から1%程度増えて過去最大と騒がれる日本の状況とは、天と地ほどの開きがあるかもしれないです。

残念ながら上のグラフでは中国の伸びが他国を引き離しすぎて、中国以外の伸びが分かりにくいです。そこで、中国を除外した各国のグラフを見てみます。

出典:SIPRI Military Expenditure Database

1990年代に防衛費が大きく落ち込んでいたロシアは、原油高を背景とした経済立て直しにより持ち直し、2000年代後期には日本を抜いています。また、韓国も右肩上がりの増加を続けており、日本の防衛費を抜くのは時間の問題です。

韓国の防衛費が日本を上回ることは、多くの人に意外性を持って受け止められるかもしれないです。しかし、これはある意味必然なのです。この20年間、日本のGDPに占める防衛費の割合は1%で推移しており、同じく韓国のGDPに占める防衛費の割合は2%台で推移しています。

その他、韓国とロシアについては、もう一つ意外な側面があります。それは、韓国のGDPは東京都と同程度ということです。ロシアのGDPは韓国を少し下回る程度です。

ロシアは例外としても、GDPが東京都程度の韓国の防衛費が、日本のそれを上回る日も近いかもしれないという事実は多くの人々にとって衝撃的だと思います。

一方、「失われた20年」と呼ばれる経済停滞の真っ只中にあった日本に対し、韓国は経済危機を経たものの成長を続けています。今後、日本の経済が停滞しGDPが伸び悩む中、日本の防衛費の支出割合が変わらない以上、韓国のGDPが日本の4割近くに達した時点で、韓国が日本の防衛費を抜くのは必然なのです。

恐らく、このペースでいけば、10年以内に韓国が日本の防衛費を抜くことは十分に考えられることでしょう。結局のところ、日本が抱える多くの問題と同様に、日本の経済停滞に根本要因があります。「過去最大の防衛費」とはいいつつも、実態としては日本の相対的な退潮を示していると見ることもできます。

日本の防衛費の個々の項目を見てみます。

本年3月28日、参院本会議で平成30年度予算が可決・成立しました。この予算に関するマスメディアの報道を見ると、過去最大の97兆7000億円にものぼる一般会計総額とともに、陸上設置型ミサイル防衛システムのイージス・アショアや長距離巡航ミサイルの取得費が計上され、過去最大となる5兆1911億円となった防衛費に言及がされていることが多いです。

この防衛費の中でも新規に行われる事業として目新しいものは、多様な任務に対応しつつコンパクト化を両立させた3,900トンの新型護衛艦2隻の建造(992億円)、イージス艦に搭載する新型対空ミサイルのスタンダードSM-6の試験弾の購入(21億円)、長距離を飛翔する巡航ミサイルであるスタンド・オフ・ミサイルの導入(22億円)、将来の経空脅威・弾道ミサイルに対応する次期警戒管制レーダ装置の開発(87億円)などがあります。

ここで、新規事業の中で主だったものをリスト化してみます。


こうして改めて新規事業とその費用を見てみると、メディアで注目されたイージス・アショアや長距離巡航ミサイル導入が今年度予算に与えた影響自体は実は小さく、金額だけ見れば新型護衛艦2隻の金額が大きいです。しかし、組織別に見れば海上自衛隊の今年度予算は29年度予算より減額しています。新規事業全体を見ると、今年度以降に大きな出費を伴うものもありますが、今年度予算に与えるインパクトはそれほどでもありません。

今年度の防衛予算を見渡すと、従来からのミサイル防衛・島嶼防衛の重点化が継続していると言えます。イージス・アショアやスタンド・オフ・ミサイルなど、具体的な装備品の名前が出ただけで、実質的には従来路線のままといえるでしょう。

一方で、重要項目とは言われつつも、2年連続で減額された項目があります。それがサイバー関連経費です。29年度に124億円だったサイバー関連経費は、今年度は110億円に減少しています。大幅な増額があった28年度は監視機材・分析装置といった費用のかかる機材整備が行われたのですが、それが落ち着いた29年度の減額はまだ理解できるものでした。しかし、今年度も引き続き減額になった点は解せないです。

今年度はサイバー防衛隊の隊員を110名から150名へ増員する計画である。その一方、北朝鮮でサイバー戦に携わる兵士は2016年の推計で6,800人を超え、近い将来1万人に達するとみられている。実際、北朝鮮が関与しているとみられるサイバー攻撃が世界で相次いで発生している中、日本のサイバーの分野の取り組みが明らかに遅れてはいまいか。

今年度の防衛予算をめぐる報道を見ても、イージス・アショアのような目で見える・実態のあるものに注目が集まりやすい。だが、目に見えない部分での戦いが深刻化している今、目に見えない部分がもっと注目されてもいいと思うのですが・・・・・。

さて、来年以降の防衛予算についても掲載しておきます。

財務省は24日、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会を開き、平成31~35年度の5年間の中期防衛力整備計画(中期防)について、調達改革によるコスト削減の推進を提案しました。5年間で最低でも1兆円の削減が可能だとみています。北朝鮮による弾道ミサイルの脅威などを受け、第2次安倍晋三政権発足後の25年度以降、毎年度増加を続けている防衛費ですが、無駄の排除や効率化の徹底でさらなる財源を捻出するとしています。

中期防は防衛力の整備、維持、運用に関する基本指針「防衛大綱」に基づき5年ごとに部隊規模や経費を明示するものです。政府は年末までに、31年度からの計画を策定します。 

26~30年度の中期防でも5年で計7千億円のコスト削減を行う計画で、すでに計画を上回る7710億円が削減できる見通しです。特に防衛装備庁が発足し、調達改革が本格化した29、30年度は年2千億円程度の削減ができていることから、財務省は「(次期中期防でも)この水準は最低限達成したうえで、さらなる上乗せを目指すべきだ」とし、5年で1兆円以上のコスト削減を求めました。

財務省が調達コストの大幅削減を提案するのは、市場価格がなく、原材料費なども不透明な防衛装備品には、まだコストを削減する余地が残されているとみているからのようです。

特に防衛装備品の取得単価をみると、計画段階の価格と比べて高額になっているものも少なくないです。一般的に量産が進めば生産効率が上がるため価格は下がるのが普通ですが、財務省が調査したところ、26~30年度の5年間で87両を購入した機動戦闘車は1両あたり4億8千万円の計画だったのですが30年度に実際に購入した際の単価は7億6千万円と58%も上昇。地対艦誘導弾も計画では85億2千万円だったのですが同年度の取得単価は129億4千万円に上ったといいます。

部品の輸入単価の上昇や原材料費の高騰などが要因と考えられますが、詳細は公表されていません。財務省は「計画単価を公表し、取得単価が計画を上回った場合は優先順位を決め、調達計画を見直すことも必要だ」と提言。世界の防衛産業が大規模化していることを踏まえ、国内防衛関連企業の再編の必要性も指摘しました。

過去の防衛費の推移や、今回の「5年間で最低でも1兆円の削減が可能」という発言からみても、どうも財務省は防衛費を増やしたくないようです。

なぜ財務省主計局は国防費削減に拘るのでしょうか。答えは簡単です。それが仕事だからです。財務省主導の与太話で、財政赤字で日本は破産するのではなどとまことしやかなことが言われています。

そうなると、建前上緊縮財政で少しでも予算を削らなければならないことになります。そうなると国防費を削るのは主計官の仕事になってしまうのです。少なくとも、余程の条件、たとえば戦前の満洲事変以降の事態のようなものがない限り、国防費増額などまともには無理でしょう。主計官にとって「過去につけた予算をいかに削るか、無駄な予算を認めないか」が腕の見せ所になるのです。

なぜ他の予算と違って、防衛予算は一方的に削られやすいのでしょうか。理由は二つあります。一つは額が大きいからです。戦車一台約十億円、戦闘機一機約百億円、軍艦一隻数千億円。分割できない一つの単位でこれなのですから、額が小さい予算を細かく見るより効率の良い査定ができます。

こういうと、しかしダムや道路だって規模が大きいではないか、他にも公共事業など色々あるではないか、という疑問をお持ちの方も居るでしょう。そこで二つ目の理由であり、表題の疑問への解答です。

結局抵抗力が弱いからです。額が大きくて抵抗力が弱い、これほど削りやすい項目が他にあるでしょうか。例えば公共事業費や農林関係費を削ろうとすると、国土交通省や農水省の応援団である族議員があの手この手で圧力をかけたりしつこく陳情に来たり、と説得が大変なのです。

福祉予算を削ろうものなら同じく社労関係族議員が押しかけてきたり、マスコミに人でなし呼ばわりされたり、と大義名分を探すだけでも一苦労になります。あと社労関係は法律が特に難解で、という大変さもあります。

それに引き換え、防衛省はどうでしょうか。経済財政諮問会議に呼ばれていましたか。何を主張していましたか。

官僚はしばしば権限争奪に奔走しすぎると、批判されます。しかしこと防衛省自衛隊に関してはそれは当てはまらないでしょう。

これだけ周辺諸国の脅威がある中で、防衛費の増額を実現できない防衛省自衛隊、官僚機構の論理としては無能者の烙印をおされてしかるべきでしょう。

その代わり、先に再反論しておきます。「今の予算で間に合っているのですか。あなた方がまともな防衛費を獲得できないことで日本の国防は危機に瀕していないと言えますか。99条や国民の無理解無関心は同情に値しますが、それを改善するためにどれだけの努力をしましたか」と。

田母神騒動以来、防衛省自衛隊は、ただでさえ設立以来肩身が狭いのに、ますます萎縮しています。しかしそれに関しては私は納得できません。

内局の背広組はもちろん、将校以上の高級軍人は政治のことも認識していなければならないのは古今東西自明の理です。ましてや官僚機構の論理を知ってしかるべきです。戦前の陸海軍は予算獲得が自己目的化して組織がおかしくなりましたが、戦後の自衛隊はまともな予算を取れずに組織がおかしくなっています。

高速道路を走る自衛隊の車輌

ちなみに、上記の予算の折衝の話の中には、含めませんでしたが、自衛隊では高速道路の料金を削減する努力をしているそうです。そもそも、高速道路の料金を自国防衛の重要機関である自衛隊が支払ってるってことですら呆れてしまいます。

米軍では、公用であるということで、高速代金は無料になっています。当然自衛隊の公用もそのように扱うべきです。

自衛隊が高速道路代をゼロとするとどうなるでしょうか。演習や訓練にいく日程のほとんどが下道を走り、演習場にたどりつくっ時間に費やされ、演習や訓練時間が短縮されてしまいます。何をするにしても迅速に対処したくても移動に時間がかかるので早く対処はできません。

演習や訓練にたどりついたころには長時間の下道移動でクッションのない自衛隊車両での移動で足腰がガタガタになっていて、ふらふらになるわけです。元気いっぱい訓練するということもできないのです。

ちなみに自衛隊の訓練場や演習に使う場所など自衛隊の土地も、予算削減のために売り払われているので演習地もどんどん遠くになり不便になっていっています。それも含めて予算を削減し、安くすませるために自衛隊の能力をどんどん削ってしまうのがこの高速道路代削減です。

デフレ脱却について自民党の「日本の未来を考える勉強会」が提言書を7月6日に出しました。この中には、防衛予算を増やすことも明記されています。

防衛予算については、上記で示した通り、まだまだ足りない状況ですが、それでも増やせることについてきちんと言及してくれる存在は嬉しいです。

消費税増税などとんでもないです。消費税増税をすれば、個人消費が冷え込み、景気が低迷し、税収が減り、ますます防衛予算の削減に拍車がかかりかねません。今、必要なのは財政支出の拡大ですし、最も重要な国の安全についてはしっかりお金をかけるべきです。

中国は全力でありえないほどの防衛予算を費やし、領土拡大に本気で準備しているのに国そのものがなくなったら財務省の大好きな節約もできなくなります。

現状は、中国の脅威、北朝鮮の脅威など、誰にでも理解できる脅威が日本に迫っています。今の自衛隊で、本当に日本を守れるのでしょうか。

安易に核武装論を唱える論者にも一言いいたいです。財務省主計局を説得できる理論武装をしましょう。政治家や国民を煽るのも結構ですが、核を何発か持てば国防は終わり、ではないのです。むしろそこから先が大変なのです。

最後に、クラウゼヴィッツ「戦争は、国民と軍隊と政府が三位一体で行うものである」と語っています。誰かのせいにするのではなく、今後どうあるべきかを禁忌抜きで議論すべきなのです。

「九条への批判は許さない」と同様、「自衛隊は可哀想だから批判するな」も禁忌にしてはいけないでしょう。戦後の特殊事情というあらゆる呪縛から自由な議論こそが求められるでしょう。

そこから、日本のあるべき防衛論を組み立て、それに見合った防衛予算を組むべきなのです。

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2018年9月29日土曜日

中国との対決に備え、米国が空軍も大増強へ―【私の論評】「ぶったるみドイツ」ほど酷くはないが日本の防衛予算にも問題あり(゚д゚)!

中国との対決に備え、米国が空軍も大増強へ

10年で戦力を25%増強する「386個飛行隊」建設構想

米国が現在開発中のB-21爆撃機

 ヘザー・ウィルソン米空軍長官は「米空軍は2025年から2030年の間までには戦力を386個飛行隊に拡張しなければならない」と空軍協会の講演で語った。現在米空軍の戦力は312個飛行隊であるから、これから10年前後で空軍戦力を量的に25%ほど増強しようというのである。

 ウィルソン長官によると、このような空軍戦力の強化は、ジェームス・マティス国防長官が提示したアメリカ国防戦略の大転換、すなわち「テロとの戦い」から「大国間角逐」へという大変針に必要不可欠なものであるという。

386個飛行隊構想と海軍の355隻艦隊建設

ヘザー・ウィルソン米空軍長官 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 米空軍が打ち出した386個飛行隊構想は、トランプ政権によって実行に移されている米海軍の355隻艦隊構想を彷彿とさせる。

 米海軍の戦闘艦艇数を355隻に拡大することは、トランプ陣営にとっては選挙公約の1つであった。当初は350隻ということであったが、中国海軍の戦力拡大の目を見張るスピードやロシア海軍再興の兆しなどを考慮すると400隻でも少ないという海軍側からの声なども若干考慮されて355隻艦隊を構築することが法制化された。

 ただし大統領選挙中、そしてトランプ政権が発足してからしばらくの間は、トランプ政権に中国やロシアと軍事的対決姿勢を固めるという意識はなかった。ただ海軍の常識として、場合によっては強力な敵となるかもしれない中国海軍(ならびにロシア海軍)が軍備増強に邁進しているという現実がある以上、アメリカ海軍もできうる限り増強しておかなければならないという論理に拠っていた(もちろん、対中強硬派の人々は、常に中国との対決を想定していたのであるが)。

 それ以上に、トランプ大統領にとって「大海軍再建」は、選挙期間中からのスローガンである「偉大なるアメリカの再興」を目に見える形で内外に示すために格好の事業であった。なぜならば、シーパワーであるアメリカの「強さ」は軍事的には強力な海軍力と空軍力を中心とした海洋戦力によって誇示されることになるし、その海洋戦力に裏付けされた強力な海運力によって経済力の「強さ」の一角も支えられるからである。同時に、大量の軍艦の製造はアメリカ製造業の活性化につながり、まさにトランプ大統領(そして米海軍、裾野の広い軍艦建造関連企業と労働者たち)にとっては355隻海軍建設は最高の政策ということになる。

「テロとの戦い」から「大国間角逐」へ

 ただし、トランプ政権と中国との蜜月は1年と持たず、なかなか改善しない米中貿易摩擦へのトランプ大統領の不満が募るとともに、トランプ政権の国防戦略は大転換を遂げるに至った。すなわち、2017年12月にホワイトハウスが発表した国家安全保障戦略と、それと連動して2018年1月にペンタゴンが公表した国防戦略概要には、アメリカの防衛戦略は「テロとの戦いを制する」から「大国間角逐に打ち勝つ」ための戦略へと変針することとなったのである。

 大国すなわち軍事大国として具体的に名指ししているのは中国とロシアである。とりわけ中国は、アメリカが打ち勝つべき「大国間角逐」にとっての筆頭仮想敵と定義された。

 このようなトランプ政権の軍事戦略大転換は、355隻海軍建設にとどまらない海洋戦力強化の必要性を前面に押し出すこととなった。これまで17年間にわたってアメリカ軍が戦い続けてきた主敵は武装叛乱集団やゲリラ戦士であった。しかし、そのような陸上戦力が主役であった時代は過ぎ去ろうとしているのだ。「大国間角逐」は、とりわけ中国との直接的軍事衝突や戦争は、主として海洋戦力によって戦われることになるからである。
最大に強化されるのは爆撃機部隊

 ウィルソン長官そして空軍参謀総長デイビット・ゴールドフィン大将によると、米空軍にとって現在のところ最も脅威となりつつあるのは、急速に能力を伸展している中国軍航空戦力(空軍・海軍航空隊)である。

 太平洋方面での中国軍との戦いは、航空戦力を持たない中東方面のテロリストとの戦闘とは完全に様相が異なり、米空軍の徹底した戦力の再構築が必要となる。そのため、空軍では戦力見直しと再構築についての検討作業を半年以上にわたって続けてきた。

 このほど公表した386個飛行隊構想はあくまで中間報告であって、来年(2019年)3月頃を目途に、より詳細な戦力強化策を完成させるということである。たしかに、今回の386個飛行隊構想では、単に2025~2030年までに増加させる飛行隊の数が示されただけである。それぞれの組織の具体的内容、たとえば航空機の種類や戦力などは来年3月に提示されるものと思われる。

 ただし、空軍内部で検討されている飛行隊を増加させる草案からも、太平洋方面を主たる戦域として中国と戦うための布石が読み取れる。

 2025~2030年までに、米空軍で最大の規模になるのはC2ISR(指揮・統制・諜報・監視・偵察)部門と戦闘機部門であり、それぞれ62個飛行隊となる。現在、55個飛行隊と最大規模の戦闘機部門は7個飛行隊の増加(13%の増強)となる。一方、現在40個飛行隊であるC2ISR部門は22個飛行隊の増加(55%の増強)ということになる。

 C2ISR部門に次いで飛行隊数の増加が望まれているのが空中給油飛行隊だ。現在40個飛行隊のところ14個飛行隊の増加(35%の増強)が考えられており、輸送機部門とならび54個飛行隊となる。

 飛行隊そのものの数はそれらに比べると少ないものの、増強率が56%と最も高いのが爆撃機部隊だ。現在9個飛行隊のところ14個爆撃飛行隊が目指されている。

 このように、爆撃機部門、C2ISR機部門、空中給油機部門をとりわけ重視しているのは、各種長射程ミサイルと並んで空軍の長距離攻撃戦力こそが中国と戦火を交える際には先鋒戦力となり勝敗の趨勢を握ることになると考えられているからである。なぜならば、中国軍は対艦弾道ミサイルをはじめ多種多様の接近阻止領域拒否態勢を固めている。なんらの接近阻止戦力も保有していないテロリスト集団との戦いにおいては無敵の存在であった空母打撃群を、中国軍が手ぐすねを引いて待ち構えている東シナ海や南シナ海の戦域に先鋒戦力として送り込むわけにはいかないというわけだ。

 ウィルソン空軍長官やゴールドフィン空軍参謀総長が述べているように、いまだ空軍は戦力大増強の基礎となる新戦略も具体的な装備や組織案も打ち出してはいない。だが、ホワイトハウスやペンタゴンが打ち出した「大国間角逐」に打ち勝つため、中国を主たる仮想敵とした空軍戦力大増強策を検討中であることだけは確かなようである。
中国攻撃には不安が伴うB-52爆撃機

焦るアメリカ、我関せずの日本


 米国では財政的観点から「空軍の386個飛行隊建設など夢物語にすぎない」と批判するシンクタンク研究者も少なくない。しかしながら海軍の355隻艦隊建設構想に対してもシンクタンクの研究者たちからは同じような批判が加えられていた。ともかくトランプ政権下では、夢物語かどうかは、蓋を開けてみなければわからない状況だ。

 いずれにせよ、日本の“軍事的保護者”であるアメリカ軍が、中国人民解放軍とりわけその海洋戦力の増強に深刻な脅威を感じて国防戦略そのものを大転換させ、海軍力大増強に踏み切り、空軍力の大増強の検討も進めている。それにもかかわらず、中国海洋戦力と直接最前面で対峙することになる日本では、あいかわらず国防政策最大の課題といえば憲法第9条云々といった状態が続いている。

 今こそ日本を取り巻く軍事的脅威を直視する勇気を持たなければ、気がついたときには“軍事的保護者”が変わっていた、という状況になりかねない。
【私の論評】「ぶったるみドイツ」ほど酷くはないが日本の防衛予算にも問題あり(゚д゚)!

ヘザー・ウィルソン米空軍長官の「米空軍は2025年から2030年の間までには戦力を386個飛行隊に拡張しなければならない」という話はかなり信憑性が高いと思われます。彼女の発言は理想論ではなく、本気でしょう。

なぜなら、この発言は今月7日のことですが、それに呼応するかのように以下の報道がありました。
米、最新鋭戦闘機F35調達費が最安値に
昨年沖縄米軍嘉手納基地に配備されF35A
  米国防総省は28日、最新鋭ステルス戦闘機F35、141機を計115億ドル(約1兆3千億円)で調達することで、製造元のロッキード・マーチンと合意したと発表した。これまでの調達で最安値となり、空軍仕様で航空自衛隊も導入したF35Aは1機当たり約8920万ドル(約101億円)となり、初めて9千万ドルを切った。 
 ロッキードの担当者は28日、2020年までにF35Aの調達費を1機当たり8千万ドルまで値下げする意向を示した。 
 米政府監査院(GAO)は昨年、F35の維持費が60年間で1兆ドル以上になるとの試算を発表。トランプ大統領は調達計画を「制御不能」と批判し、米軍は価格を抑制しなければ、調達機数を減らす必要があるとしてロッキードに値下げを迫っていた。 
 F35Aは前回調達時と比較して5・4%減。海兵隊仕様のF35B、海軍仕様のF35Cも、それぞれ5・7%、11・1%減となった。値下げを受けて日本が調達を拡大する可能性もある。
この記事の元記事では、 「最大に強化されるのは爆撃機部隊」とありますが、記事をよく読めばそれはあくまで率であり、軍事機密でもあるので詳しくは記されていませんが、類推するに、おそらく統合打撃戦闘であるB35が機数や調達金額では最大であると考えられます。

製造機数が多くなれば、一機あたりの製造コストも当然のことながら、下がります。製造元のロッキード・マーチンとしては、製造機数が多くなることを前提として、トランプ政権の要望に応えて、値下げしたのでしょう。

現在米国は中国に貿易戦争をしかけています、さらに南シナ海でもB52爆撃機を飛行させたり、航行の自由作戦を敢行して、中国に対して揺さぶりをかけています。

ということは、トランプ政権としては、貿易戦争は徹底して継続しさらに金融制裁も実行して、実質的な経済冷戦となり、軍事的にも中国に対峙し、抑止力を強化し、さらにこちらからは仕掛けることはないにしても、中国が仕掛けてきた場合には反撃するつもりなのでしょう。以上のことからも、トランプ政権の本気度がうかがわれます。

冒頭の記事では、米国が空軍も大増強することを表明しても日本は、我関せずの日本などと批判していますが、そうでもありません。ただし、今のところはですが・・・・・・

そもそも、日本は元々米国からB35をある程度の機数を購入することを約束していますし、値下げを受けて調達を拡大する可能性はかなり高いです。

軍事的に我関せずになのは、日本よりむしろドイツです。それについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
なぜ日本は米国から国防費増額を強要されないのか F-35を買わないドイツと、気前よく買う日本の違い―【私の論評】国防を蔑ろにする「ぶったるみドイツ」に活を入れているトランプ大統領(゚д゚)!
メルケルと李克強

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、ドイツは緊縮財政で主力戦闘機であるユーロファイターが4機しか稼働しない状態にあり、さらに中国とは貿易を推進しようとしてまいます。

以下にこの記事の結論部分だけを引用します。
いくら中国から地理的に離れているとはいえ、ドイツも含まれる戦後秩序を崩し世界の半分を支配しようとする中国に経済的に接近するとともに、緊縮財政で戦闘機の運用もままならないという、独立国家の根幹の安全保障を蔑ろにするドイツは、まさにぶったるみ状態にあります。ドイツの長い歴史の中でも、これほど国防が蔑ろにされた時期はなかったでしょう。
このような状況のドイツにトランプ大統領は活をいれているのです。ドイツにはこのぶったるみ状態からはやく目覚めてほしいものです。そうでないと、中国に良いように利用されるだけです。 
そうして、ドイツを含めたEUも、保護主義中国に対して結束すべき時であることを強く認識すべきです。
しかも、これはあまりにタイミングが悪すぎます、トランプ政権の米国が中国に対して貿易戦争を開始したときとほぼ同時にメルケルは李克強と会談し、貿易を推進させることを公表しているのです。

この状況はトランプ大統領からみれば、まさにドイツは「ぶったるみ」状態にあると写ったことでしょう。だから先日のNATO総会でも「NATO諸国が国防費の目標最低値として設定しているGDP比2%はアメリカの半分であり、アメリカ並みに4%に引き上げるべきである」とトランプ大統領は主張したのです。

この記事には掲載はしませんでしたが、さらに驚くべきこともあります。昨年10月15日、ドイツ潜水艦U-35がノルウェー沖で潜航しようとしたところ、x字形の潜航舵が岩礁とぶつかり、損傷が甚大で単独帰港できなくなったのです。

ドイツ国防軍広報官ヨハネス・ドゥムレセ大佐 Capt. Johannes Dumrese はドイツ国内誌でU-35事故で異例の結果が生まれたと語っています。

ドイツ海軍の通常動力型潜水艦212型。ドイツが設計 建造しドイツの優れた造艦技術と
最先端科学の集大成であり、世界で初めて燃料電池を採用したAIP搭載潜水艦である。

紙の上ではドイツ海軍に高性能大気非依存型推進式212A型潜水艦6隻が在籍し、各艦は二週間以上超静粛潜航を継続できることになっています。ところがドイツ海軍には、この事故で作戦投入可能な潜水艦が一隻もなくなってしまったというのです。

Uボートの大量投入による潜水艦作戦を初めて実用化したのがドイツ海軍で、連合国を二回の大戦で苦しめました。今日のUボート部隊はバルト海の防衛任務が主で規模的にもに小さいです。

212A型は水素燃料電池で二週間潜航でき、ディーゼル艦の数日間から飛躍的に伸びました。理論上はドイツ潜水艦はステルス短距離制海任務や情報収集に最適な装備で、コストは米原子力潜水艦の四分の一程度です。

ただし、同型初号艦U-31は2014年から稼働不能のままで修理は2017年12月に完了予定ですかが再配備に公試数か月が必要だとされています。

この現況は緊縮財政による、経費節減のためとされていますが、これも酷い話しです。

貿易で中国と接近しようとしつつ、国防力も緊縮財政で最悪の状態にあるドイツはまさに「ぶったるみ」状態です。

日本は、ドイツのように「ぶったるみ」状態にはありませんが、それにしても防衛予算は低すぎです。陸上自衛隊の隊員の訓練度合いは、なんと米軍の軍楽隊並であるとか、自衛隊の官舎などにいけばわかりますが、低予算のために涙ぐましい努力をしています。

それについては、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを掲載します。
【憲法施行70年】安倍晋三首相がビデオメッセージで憲法改正に強い意欲 「9条に自衛隊書き込む」「2020年に新憲法を施行」―【私の論評】憲法典を変えればすべてが変わるというファンタジーは捨てよ(゚д゚)!

 

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事の結論部分のみ掲載します。
憲法改正ももちろん大事でしょうが、我々はもっと地道な努力をすべきです。ブログ冒頭の、安倍総理のビデオメッセージは確かに、立派です。しかし、安倍総理が憲法を改正するにしても、その前にできることをしなければ、無意味になってしまいます。

憲法典が改正されたとしても、自衛隊のトイレットペーパーの個人負担や、ファーストエイドキットがまともになったり、射撃訓練がまともにできるようならなければ、何も変わらないのです。

安倍総理には、これらの地道な努力を重ねていった上で、最終的に憲法を改正するという道を歩んでいただきたいです。
防衛予算など、憲法を変えなくてもできると思います。実際、現在でも憲法で軍隊についての定めのあるドイツよりも防衛予算は多いです。

この事実が雄弁に物語っています。憲法に軍隊の定めがあっても、ドイツのように 緊縮財政で主力戦闘機であるユーロファイターが4機しか稼働しない状態になったり、Uボートが無稼働の状態になるのです。

では、防衛費は憲法がどうのこうのというよりも、緊縮財政をする主体、日本でいえば、財務省に問題があるに違いありません。

財務省は、まるで大きな政治集団のように振る舞い、政治にも大きな影響力を及ぼします。その良い例が、消費税増税です。

その財務省が防衛予算も何かといえば削減する傾向があるため、日本の安全保証が危険にさらされています。ただし、安倍政権になってから防衛費は毎年若干ながらも増えています。だからこそ、「ぶったるみドイツ」のようにはならないですんでいるのでしょう。


ただし、日本の安全保証環境は、従来から比較すれば、かなり不安定化し厳しさも増しててきています。このような状況であれば、微増ではまったく話になりません。現在のGDP比1%5兆円ではなく、せめて先進国の軍事費のスタンダードであるGDP比2%程度の10兆円規模がないとお話にもならないのです。

現状の予算であれば、これからF35を新たな購入したり、イージスアショアを購入すれば、この程度の予算増では、様々なところにしわ寄せがいくことになる可能性は否定できません。今のところ、自衛隊員の自助努力で何とかなっていますが、いずれドイツのようになる可能性は否定できません。

憲法が改正されても、安全保障面で「ぶったるみドイツ」のようになって、世界から信用を失い、米国からも信用を失えば、とんでもないことになりかねません。

そのようなことにならないように、安倍政権としては、日本国内の安全保障上の敵である財務省に対峙していただき、消費税の10%増税阻止と、防衛予算のさらなる向上を目指していただきたいです。

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