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2017年11月8日水曜日

首相頼みの金融緩和路線 次の政権では風前のともしび、日銀法に雇用目標の明文化を―【私の論評】放置すれば地獄の釜を開く政治家どもに任せて良いのか(゚д゚)!

首相頼みの金融緩和路線 次の政権では風前のともしび、日銀法に雇用目標の明文化を

政権中枢にいる安倍首相と菅官房長官が金融政策を理解していることが幸いしているのだが・・・・
先の衆院選の結果は悲喜こもごもだったが、金融緩和政策の効果を理解する政治家が、政界全体で、かなり少なくなったのは残念だ。

もともと、金融緩和によって雇用が増えることについて、欧米では一般常識になっているが、日本で理解している学者やマスコミは少ない。

ここ10年ほどで、金融政策を正しく理解していると筆者が思い当たる政治家は、安倍晋三、菅義偉、中川秀直、山本幸三、竹中平蔵、渡辺喜美、舛添要一、馬淵澄夫、小沢鋭仁、松原仁、金子洋一の各氏らだった。

ところが、ここ数回の国政選挙などを経て、いまや風前のともしびになっている。ある意味で奇跡的に安倍首相と菅官房長官が政権中枢にいるので、一連の日銀人事では間違いがなく、金融政策はおおむね正しく行われてきた。

その結果、雇用状況は民主党政権と比べて格段に向上した。有効求人倍率や大学新卒者の就職率のまれに見る成果によって如実に表れている。

大学関係者と話をすると、いわゆる一流大学では新卒者の就職率の向上が実感できないらしい。いつでも就職率が高いからだという。一方、筆者の所属大学のレベルになると、民主党政権下での就職率は実質的に現状の3分の2程度だった。安倍政権になってから就職率が高くなって、今ではほぼ全員が就職できるようになった。
正直なところ学生の学力が劇的に向上したとは思えないので、異次元金融緩和の恩恵による部分が大きい。これは、筆者が事前に予測したとおりの結果であり、標準的なマクロ経済分析からの帰結でもある。

雇用が良くなると、自殺率、強盗率、生活保護不正受給率なども減少し、社会の安定にも好都合となる。しかも、雇用を作ったというのは対野党としても格好の材料だ。

つまり、金融政策を上手に使ったことが安倍政権が長期化している裏にある。安倍首相は、日本の政治史で初めて金融政策の効用を正しく理解し、それを活用した首相だといえる。

その安倍政権もいつかは終わる。今の政治家を見渡すと、次の首相候補と目される人の中で、誰が金融政策を理解しているのかと思うと、空恐ろしくなる。

ここは、日銀法を改正して、雇用の確保を金融政策の目標に加えるべきだろう。安倍政権では、その意味を理解している人が日銀の正副総裁や審議委員に起用されているが、金融政策に無理解な政権となったら、人事もひどいものになる恐れがあるためだ。

ニュージーランド準備銀行(中央銀行)が約30年前、世界に先駆けて掲げたインフレ目標は世界中に広がった。そのニュージーランドでは、雇用目標を中央銀行に課すという新たな動きがある。先進国の中央銀行では雇用も事実上の目標になっているが、ニュージーランドではそれを明文化するのだ。

日本は先進国では最も遅くインフレ目標を導入したが、雇用目標ではそうした遅れは許されない。一刻も早く明文化してもらいたいものだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】放置すれば地獄の釜を開く政治家どもに任せて良いのか(゚д゚)!

東大や早稲田、慶応などの有名大学ならいざしらず、他の比較的有名大学では、男子学生はそうでもないでしょうが、女子学生は大変だったようです。また、有名大学であっても、博士課程まで行った人は、ポスドク問題があり大変でした。

高学歴女子の貧困も話題となった
1999年の大学生の就職内定率は男子の66.4%に対し、女子は57.7%と過去最低を記録していました(文部省・労働省調査、 10月1日時点)。「説明会の受付で女子だけ『全国転勤可能か?』ときかれ、中に入れてもらえなかった」など女子学生差別は後を絶ちません。「胸元が開いている服とかも女性の武器ですよ」といったセクハラ面接もひきつづきおきていました。

就職難の背景は、多くの人々、企業経営者や就活生や政治家なども含めて、この時には、大企業の大規模なリストラ・人員削減がおこなわれ、雇用危機が進行していることであると考えていました。長期にわたる金融引締めそのものががその原因と考える人は、政治家の中でもブログ冒頭の記事で高橋洋一氏があげている例外的な人たちくらいのものでした。

日本共産党は、雇用危機の解決のために緊急提案をだしました(1999年11月8日)。(1)異常なリストラ・解雇の横行をおさえ、雇用を守るルールを確立する(2)サービス残業の根絶、労働時間の短縮により雇用を拡大(3)国や自治体が介護、防災、教育など国民の暮らしと安全に不可欠な分野で新たな雇用を創出することなどを提案していました。

これは、今日考えると、そもそも雇用状況がかなり悪くなっているのに、このようなことを実施しても全く意味がありませんでした。しかし、この頃には、共産党に限らず、他の政党の政治家も含めて、雇用というと金融緩和など思いも浮かばず、似たり寄ったりの提案しかしていませんでした。

日本では、残業をなくせば260万人、労働時間をドイツなみの1500時間にすれば約600万人の雇用拡大効果があるといわれました。確かに、残業などの問題は、雇用にも関係はありますが、これはあくまで労働環境に属するものです。

こんなことをしても、結局当時は景気も悪いので、残業を減らしても新人を雇用するという企業は滅多にありませんでした。

また、男女雇用機会均等法や男女共同参画社会基本法にもとづいて、女子学生の就職差別にみられる大企業の女性差別の体質を変えていくことなども主張されたりしましたが、これとてほとんど効果は期待できませんでした。

本当に実施すべきは、やはり大規模な金融緩和でした。これを行えば、慢性的な人手不足となり、女子の雇用を控えていた企業も、女子を雇用するようになります。いくら共産党あたりが、大企業の女性差別の体質を変えるようにと、提言したり、叫んだりしても、実際に雇用枠そのものが増えなければ全く意味はありませんでした。

以下は2011年の動画ですが、共産党の小池氏が就職難について語っています。



そうして、就職対策とはいっても金融緩和については全く述べるでもなく、ほとんど無意味なことを語っています。しかし、この小池氏だけが、雇用と金融政策との間に、密接な相関関係があることを知らないというわけではありません。むしろ、小池氏のような政治家のほうが日本では平均的です。ただし、世界水準では、金融緩和政策は雇用環境を良くするということで世界中の共産党が支持する政策です。なぜか、日本では共産党ですら、金融緩和には無関心です。

米国などでは、無論この頃より相当前から、FRB(米国中央銀行、日本の日銀にあたる)は雇用に責任があるとの考えれていました。米国では、雇用状況が悪くなれば、まずはFRBがやり玉にあげられるというのが一般的です。最近のFRBの金融緩和の目標は雇用状況の指標が用いられていました。

しかし、日本ではなぜか、まるで日米の経済構造が根本的に異なるかのように、雇用と金融政策は全く関係ないとみなされてきました。日本がデフレ・スパイラルの底に沈んでいたときに、厚生労働書の雇用に関係する部署とされる部署に勤めていた女性が、自分の上司が「自分には雇用がわからない」という旨のことを語っていたのでは、驚愕したという話がサイトを賑わしていたことがあります。

日本では、なぜか雇用というと、関係省庁は厚生労働省とされますが、これは全くの間違いです。だから、この女性の上司が「自分は雇用がわからない」というのは当然のことなのです。

実際に、雇用枠を拡大することができるのは、日本銀行です。実際、日銀やFRDが金融緩和をして、物価を数%あげることに成功すれば、それだけで他は何もしなくても、日米のような国々では一夜にして数百万の雇用が生まれます。これは、昔から経験則で知られていましたし、近年では理論的にも完璧に裏付けられています。

わずか数年前まで年越し派遣村が毎年年末に設営されていたが、金融緩和策のため最近はなくなった
厚生労働省は、雇用には直接関係ありません。関係あるのは、労務に関係することです。労働統計や、労働環境、雇用のミスマッチの解消などには関与できますが、雇用そのものには全くタッチできません。そもそも、金融緩和を実行できません。

現在でも、多くの政治家や、民間企業の人事担当者に聴いてみてみても雇用と金融政策が密接に結びつていると考えている人は少数派です。皆さんのまわりにも、この関係を知らない人は大勢いると思います。

こういう心もとない状況を考えると、今のままであれば、ポスト安倍は、また金融政策に無関心・無知な人が政権の中枢を占め、とんでないことになるのは必定です。

であれば、やはり高橋洋一氏が主張するように、雇用の確保を金融政策の目標に加えるべきです。そうしないと、ポスト安倍はとんでもないことになってしまうでしょう。

今の政治家は放置しておけば、地獄の釜を開きかねない・・・・・
金融政策に無関心であれば、地獄の釜を開くことになることを知らない政治家どもに日本の将来を預けるわけにはいきません。明文化し、馬鹿にでもできるように、義務としてしなければならなくなるようにすべきです。

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