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2015年12月10日木曜日

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ  消費増税は延期すべきだ 新聞の「手のひら返し」ありうる―【私の論評】軽減税率に頭を悩ますな!五つの観点から、10% 増税はあり得ない(゚д゚)!

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ  消費増税は延期すべきだ 新聞の「手のひら返し」ありうる

前回の本コラムで書いた軽減税率の自公間協議がようやく終わろうとしている。争点となっていたのは軽減税率をどこまで対象とするかであり、その必要財源について「政治的には4000億円に増額調整が加えられて、自公間では決着するだろう」と書いたが、1兆円規模というから、内容としては公明党の要求の丸呑みである。公明党の後ろにいる官邸が自民党・財務省を押し切った。

軽減税率が論じられているが、これに頭を悩ます必要はないかも?


4000億円なら食品のうち生鮮食品のみ、1兆円ならそれに加工食品まで含めるということだ。政治家同士の話なので、軽減税率の対象に「梅干しやノリ、豆腐、納豆が含まれないのはおかしい」という、朝食の定番メニューを例にして加工食品を適用すべしとのやりとりがあったようだ。

新聞への軽減税率の適用は絶望的

ところで、新聞への軽減税率の適用は絶望的である。かつては、「米、味噌、醤油、新聞」とやはり朝の食卓風景の一角で、新聞を軽減税率対象にするとのスローガンがあったが、今回の話は「米、味噌、醤油」までだ。

これで、これまで軽減税率を受けたいがために、消費増税に賛成していた新聞の論調がどうなるのかが見ものである。

軽減税率については、低所得者以外も恩恵が及び、消費税税収が減るなどの問題点がいわれている。その批判はもっともであるが、日本では確定申告者数が少なく、税務申告時に給付・還付を行いにくいという事情もあるので、軽減税率でもやむを得ない面もある。公明党は、そうした批判を承知しつつ、納税者の分かりやすさや手間を考慮して、選挙で軽減税率を訴えてきた。

また、軽減税率の問題を指摘する人の多くが、2017年4月からの消費再増税に前のめりなのは気になるところだ。

ただ、軽減税率にかかわる懸念は、その消費再増税がないなら、杞憂となる。筆者の見立てでは、その方向になりつつある。


選挙対策上からも「延期」やりやすい

一つには、民主党の枝野幹事長が、軽減税率の導入について「明確に民主、自民、公明の3党合意が破棄されたと言わざるを得ない」と述べ、消費増税に反対する意向なのだ。

3党合意をよく読めば、軽減税率の導入がそれに反しているとはいえない。政治合意文章は、融通無碍に書いてあるからだ。にもかかわらず、枝野幹事長がそういう主張をするのは、消費増税で先手を打ちたいからだ。軽減税率での自公間協議の中、消費増税延期で来16年7月に衆参ダブル選挙という噂が流れた。昨14年の総選挙で、民主党の海江田代表(当時)は当初消費増税賛成といったが、慌てて取り消して、ぶれまくり、結局惨敗したトラウマがあるのだろう。

GDP統計の改定で、2期連続マイナス成長は免れたものの、消費低迷によってGDPがさえないのは事実だ。しかも、補正予算は3兆円余で力不足だ。こうした状態だと、これまで消費増税を主張していた新聞も今後ゆっくりと意見を変えていくだろう。

そう考えると、今回の軽減税率の政治決着は絶妙だ。まず新聞を対象としないので、新聞が、消費増税延期に世論を向けやすい。またかなりの減収になるので、財政当局から見ても「消費増税延期でもやむなし」になりやすい。さらに、野党からの消費増税延期発言を引き出し、選挙対策上からも消費増税延期をやりやすい。

こうした点を踏まえると、今回の軽減税率の政治決着から、2017年4月からの消費増税はかなり可能性がなくなったことが見えてくる。


【私の論評】軽減税率に頭を悩ますな!五つの観点から、10% 増税はあり得ない(゚д゚)!

上の高橋洋一氏の論評に賛成です。かなりの確率で、2017年4月からの消費税増税はないでしょう。私としては、100%なしと言い切りたいくらいです。なぜそう思うのか、本日はそれを掲載しようと思います。

第一には、新聞の軽減税率の適用が完璧に除外されたことは高橋洋一氏が指摘するように、大きいです。新聞への軽減税率の適用については、このブログでも以前何度か掲載したことがあります。ここでは、一番古いものを掲載します。この記事は2011年のものです。
「米国債はデフォルト危機」と大騒ぎする日本の新聞は「財政破綻」「増税」は好きだが、自分たちだけ「軽減税率」求める浅ましさ ―【私の論評】消費税率アップが、新聞業界と財務省の共通の利益だが、アメリカの利益にはならない!!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、新聞に対する軽減税率の適用に関する部分のみ下にコピペします。
その一方で、新聞協会は7月12日、経済産業省が募集していた来年度の税制改正要望に対して、要望書を提出し、消費税については軽減税率の適用を求めている。新聞業界は、消費税軽減のために海外調査を行う等なりふりかまわぬスタンスだ。つまり消費税率アップが、新聞業界と財務省の共通の利益なのだ。 
新聞は消費税アップによっても新聞代の引き上げを避けられる。一方財務省にも利権が発生する。というのは、消費税率がアップすると、必ず軽減税率やゼロ税率の話が出てくる。新聞業界もそのひとつだ。社会的使命を主張しながら、消費税の軽減税率を財務省に働きかけている。これはもちろん新聞では報道されないが事実だ。どの業界に軽減税率を適用するかどうかは財務省の胸先三寸である。 
財務省の事務次官であった丹呉泰健氏が読売新聞に天下りしたことは昨年11月22日の本コラムで述べている。消費税率引き上 げと新聞業界の軽減税率・ゼロ税率の願望とは無縁とはいえない。 
新聞業界と財務省は既に蜜月関係にあると見ていいだろう。だから、新聞が行う世論調査で、増税が必要かというものはあてにならないことを留意する必要がある。そんなものは質問の仕方によってかなり変わるからだ。
新聞業界と財務省はその後も、つい最近まで蜜月関係が続いていて、新聞は財務省の資料などに基づき、増税の正当性を報道してきました。財務省としては、新聞にそのような対応をしてもらうことを引き換えに、新聞に軽減税率を適用することをちらつかせ、自分たちに都合の良い報道をするように圧力をかけてきたのです。

しかし、いつの間にか、新聞への軽減税率の適用は完璧に立ち消えになってしまいした。これは、最近の報道をご覧いただければ、おわかりになると思います。生鮮食品、加工食品、外食、酒類に関しては、軽減税率の論議が行わていますが、新聞に関してはなしのつぶです。

新聞は、過去に本当に増税に関しては、積極的に推進すべきという報道を繰り返してきました。特に、2013年はそのピークに達した感がありました。すべての新聞が、安倍総理が増税すると発表する前から、「安倍総理増税決断」と何度も連呼していました。この状況は全く異常としか言いようがありません。

おそらく、財務省が周到に根回しをして、識者、新聞などに増税の連呼をさせた結果であると思われます。

これに関しては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【衆院選】首相はなぜ解散を決断したのか 幻となった4月総選挙 決断を早めたのは…―【私の論評】産経新聞ですらのってしまった昨年の総理増税決断の虚偽報道!今年は破壊的革命集団財務省が、安倍総理の解散時期をはやめた、その意味するところは?
昨年10%増税を見送り、解散総選挙を表明する安倍総理

この記事は、昨年11月20日のものです。この記事から、新聞の平成13年の増税報道の異常ぶりを示す部分を以下にコピペします。
まず、主要メディアの報道をざっと振り返っておきます。実際には、これ以外も、多くの報道がありましたが、代表的なもののみにとどめます。報道に間違いがなければ、安倍首相は11日から20日にかけて、少なくとも4度(11日、12 日、18日、20日)にわたり「決断」を繰り返したことになります。
"安倍首相は11日、消費税率を来年4月に現行の5%から8%に予定通り引き上げる意向を固めた。出典:読売新聞9月12日付朝刊1面「消費税 来年4月8% 首相、意向固める 経済対策に5兆円」
安倍晋三首相が、来年4月に消費税率を5%から8%へ予定通り引き上げる方針を固めたことが12日分かった。出典:共同通信9月12日「消費増税 来年4月8%に 首相、10月1日表明へ」
安倍晋三首相は12日、現行5%の消費税率を、消費増税関連法に沿って2014年4月に8%に引き上げる意向を固めた。出典:時事通信9月12日「消費税、来年4月に8%=経済対策5兆円で下支え=安倍首相、来月1日にも表明」
安倍晋三首相は、現行5%の消費税率を、来年4月に8%へ予定通り引き上げる方針を固めた。出典:毎日新聞9月12日付夕刊1面「消費増税 来年4月8% 安倍首相『環境整う』判断 経済対策、5兆円規模検討」
安倍晋三首相は18日、現在5%の消費税率について、来年4月に8%に引き上げることを決断した。出典:産経新聞9月19日付朝刊1面「消費税来春8%、首相決断 法人減税の具体策検討指示」
安倍晋三首相は来年4月に消費税率を8%に引き上げる方針を固めた。(…)複数の政府関係者が19日、明らかにした。出典:日本経済新聞9月19日付夕刊1面「消費税来春8% 首相決断 法人減税が決着、復興税廃止前倒し 来月1日表明」
安倍晋三首相は20日、来年4月に消費税率を現在の5%から8%に予定通り引き上げることを決断した。出典:朝日新聞9月21日付朝刊1面「首相、消費税引き上げを決断 来年4月から8%に」
安倍首相は10月1日の発表の前までは、自らの肉声で「決断」の意思を表示したわけではありません。仮に会見等の場で表明していれば「~を表明した」と報じられるし、一部の関係者に伝達していれば「決断したことを~に伝えた」と報じられるのが普通です。しかし、昨年はどのメディアも「表明」「伝達」いずれの事実も報じておらず、「意向を固めた」「決断した」といった表現で報じていました。
「意向」とか「決断」とかいう内面的事実を、メディアは一体どのように確認したというのでしょうか。さまざまな周辺情報(増税に備えた経済政策の検討を指示した等)から「決断している可能性が高い」と推測できるからといって、「決断した」と断定していいはずはなかったはずです。 
もし、「決断」の裏付けを取れたなら、その根拠となる事実関係や、ソース(情報源)を読者に示してしかるべきでした。ところが、各紙の「決断」報道は、日経新聞だけが「複数の政府関係者によると」と書いたほかは、全くソースについて触れていませんでした。
これは、本当に異常で異様なことでした。最近の大手新聞は、発行部数がかなり減っており、そもそも8%増税のときも、できるなら軽減税率を適用して欲しいというのが本音でした。ご存知のように、それは単に間に合わないという理由で、見送りされました。

10%増税では、何がなんでも軽減税率適用をと考えていた大手新聞にとっては、これは財務省の裏切り以外の何ものでもありません。

浅ましいといえば、浅ましいのですが、それにしても、財務省のために増税すべきと報道してきたのに、 肝心要の新聞への軽減税率の約束は反故にされたわけですから、恨み骨髄というところだと思います。

こんことから、もう、新聞がかつてのように狂ったように、増税の連呼をするということはないでしょう。それどころか、もう財務省の手にのらず、手のひらをかえしたように、まともな報道をして、今度は減税すべきなどと報道し始めるかもしれません。

第二には、そもそも増税する必要性は全くないということがあります。それに関しても、このブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
税収上ぶれで国庫収支改善 「国の借金」1054兆円だが資産も653兆円―【私の論評】日本国借金まみれ説は、財務省と追従者が築く馬鹿の壁(゚д゚)!
 

この記事では、あらゆる方向性から、増税する必要性など全くないことを掲載しました。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事の結論部分を掲載します。
以上のような考え方をすれば、日本政府は決して他国に比較して、借金まみれではないことが良く理解できると思います。

日本国借金まみれ説は、奇妙奇天烈、摩訶不思議な論理であり、とても受け入れることはできない戯れ言に過ぎないことがわかります。そうして、これを理解すれば、8%増税は必要なかったし、10%増税などとんでもないという結論になります。

それにししても、財務省はこのような戯れ言で、本当に日本借金まみれ説をすべての人に信じこませることができると思ったのでしょうか。私のように経済に疎い人間でも、上記のようにこのような戯れ言は受け入れらないのですから、まともな経済学者などはこのようなことは、すぐに見破るどころか、最初からわかりきったことだと思います。

日本国借金まみれ説は、財務省およびこれに追従する識者が築く馬鹿の壁に過ぎないのだと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?
財務省の官僚はこのようなことは、良く知っていると思います。しかし、そのようなことは、おくびに出さず、新聞や識者、政治家などの増税の正当性を主張してきたし、これからもそうすることでしょう。何のためかといえば、財務省益のためであり、国民や政府がどうなろうと、自分たちによる税金の配賦権を強化し、権力を掌握しつづけるためです。結局政治だ何だといっても、予算がすべてで、政治家も他省の官僚も予算がなけば何もできません。

第三には、経済成長なくして財政再建なしという事実があります。日本のGDPの60%は個人消費によるものです、増税すれば、個人消費が冷え込み、経済成長ができなくなり、結局のところ税収も減ります。増税すれば、増税したばかりの年などは、一時的に税収が増えることもありますが、次の年あたりから消費がかなり減り、税収はもかなり減ります。

これについても、このブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【日本の解き方】経済成長なくして財政再建なし 歳出カットのみ主張なら財務省の術中―【私の論評】財務省・内閣府の嘘吐き官僚には、徹底した報復人事を行い、政治主導を達成せよ(゚д゚)!
各国の名目GDP成長率 (1997-2012)
出所:IMF WEO Apr 2013 縦軸:パーセント
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、増税などしなくとも、金融緩和だけしていれば、税収弾性値とGDPデフレーターの計算をまともにするだけで、2020年から23年度ぐらいには財政再建はできてしまうという見込みは十分になりたつことを掲載しています。

第四には、大勢の識者が8%増税の影響は軽微としていたにもかかわらず、実際に蓋を開けてみれば、甚大な影響がありました。これからもどうなるかは、わかりません、結局のところ2015年は全体でマイナス成長ということも十分ありえます。

そんなときに、10%増税をししまえば、さらに消費は冷え込むことは、はっきりしています。考えてみてください、10%増税といえば、非常に計算しやすいです。1000円の10%は、100円、10000円のそれは、1000円、10万円のそれは1万円です。これは消費者の心理にかなり大きな影響を及ぼし。経済は致命的な打撃を受けます。

そうなれば、増税時の政権が安倍政権であれ、他の政権であっても、政権が崩壊するのは必至です。そんな冒険を侵す必要性などありません。

それに、上で述べていた選挙対策という第五の観点もあります。

以上五つの観点から、10%増税は見送られる可能性がかなり高いどころか、私自身は100%そうだと踏んでいます。これだの観点から見て、増税はすべきではないのに、実施してしまえば、本当に愚かしいことだと思います。

それにしても、大手新聞は、財務省から裏切られても、増税すべきという愚かな報道を続けるのでしょうか。そうして、来年の選挙が衆参同時選挙となり、自民党の公約の一つに増税見送りがなったとしたら、またぞろ「大義なき解散」などと馬鹿げた報道をするのでしょうか。そうだとすれば、本当にジャーナリズムとしての、プライドも能力もなく、愚かとしか言いようがありません。

私はそう思います。皆さんは、どう思われますか?

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「衆参ダブル選」はもはや“前提”状況 自民幹部の相次ぐ発言…支持率も追い風 ―【私の論評】自民党は、衆参同時選挙の公約に、是が非でも10%増税の見送りを加えよ、でなければ地獄をみることになる(゚д゚)!

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2015年4月28日火曜日

【日本の解き方】経済予測をことごとく外してきた面々は合理的な推測をしているのか―【私の論評】奴らは論評をしているのではない!論病に過ぎない(゚д゚)!


金子洋一参議院議員
 民主党の金子洋一参院議員はツイッターで、「日経平均、続伸し15年ぶり2万円乗せ。わが国経済のためにまずは喜ばしいこと。やはり債券を主に買い入れ、株式を含む実物資産に民間資金をシフトさせる日銀による金融緩和の力は大きかった。われわれが提言したとおり、民主党政権でこれをやっていれば、経済の回復はより早かった。残念だ」とつぶやいた。彼の行動を知る筆者としても同感だ。

もう5年も前のことだが、民主党政権下の2011年4月6日、民主党の「デフレから脱却し景気回復を目指す議員連盟」(会長・松原仁衆院議員、事務局長・金子議員)の第2回会合が開かれた。その日、連合会長の古賀伸明氏、元東京商工会議所副会頭の中西真彦氏、そして筆者が招かれて話をした。

古賀会長は、「FRB(米連邦準備制度理事会)には、雇用の最大化が政策目標に掲げられている。ところが日銀法には雇用への配慮が掲げられていない。日銀も雇用に対する一定の責任を果たすことを明文化すべきだ」と述べた。日銀法改正を示唆するような踏み込んだ発言に、筆者はイスから転げ落ちるかというくらいびっくりしたが、その後で、金融政策は雇用政策であること、海外では左派政党が金融政策に熱心であることを話した。

後日、古賀会長からもっと話を聞きたいと連絡もあったが、結果として立ち消えになった。おそらく、関係者が働きかけたのだろう。そして、今の民主党には、金融緩和政策を批判する同志社大大学院教授の浜矩子氏のファンだと公言する幹部もいる。

 筆者は理系出身なので、理論が正しいかどうかは、理論による予測が現実をどの程度説明できたかに依存すると思っている。しかし、この考え方は必ずしも経済学の世界では一般的ではない。経済学者は、理論について議論するのが好きだが、理論に基づく予測を行わない。

 ただし、一般向けの書物では、将来どうなるかを書かざるをえない。

 浜氏の学術的な論考については知らないが、一般向けに多数の書物を書いている。それらによれば、1ドル=50円、株価は1万円割れ、日本経済は破綻に向かうと主張しているようだ。

 こうした類いの人はほかにもいる。先日、参議院調査会で話した藤巻健史参院議員、テレビでしばしば見かける小幡績慶応大大学院准教授らだ。彼らの株価や為替、債券の動向などについての予測もほぼ完璧に外れている。
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)


この記事の詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】奴らは論評をしているのではない!論病に過ぎない(゚д゚)!
金子洋一氏に関しては、民主党ではありますが、以前から彼の経済に関する認識は正しいと思っていましたから、Twitterではフォローさせていただいています。

本来、民主党は金子洋一氏が主張しているような経済対策を採用すれば、政権を担当しているときには、経済をかなり良くできたでしょうし、野党になってからも、まともに自民党というか、経済に関して安部総理や安部総理に近い考え方の自民党議員などとも、対等に渡り合うことができたと思います。

今の民主党、特に民主党の幹部は、経済に関しては的はずれなことばかりで、こと経済となると全く頓珍漢で奇妙奇天烈で破茶目茶な論点で、自民党を批判するので、まともな批判になりません。

上の記事で、高橋洋一氏が指摘している、浜矩子、藤巻健史、小幡績に関して、浜と小幡に関しては、このブログでも過去に掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
【浜矩子】直視せよ!"バブデフレーション"で大格差時代が来る―【私の論評】矩子さまの凄すぎる御託宣(゚д゚)!でも、過去の御託宣はことごとく外れてますね(・・;)
浜矩子
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事から何かここに引用しようとしましたが、あまりの馬鹿馬鹿しさで、引用する気が失せてしまったので、興味のある方は当該記事をご覧になってください。
有効求人倍率、1.09倍 5月、バブル後の最高更新―【私の論評】経済対策と経済失策には、タイムラグがあるということを知らない変態マスコミ・政治家・似非識者が多すぎ(゚д゚)!リフレは雇用を改善させないんだっけか?
小幡績慶大教授
これも、詳細はこの記事をご覧いただくものとして、とにかくこれらの人々は、とにかくアベノミクスの金融緩和が気に食わないという共通点があるようです。

以下にこの記事から一部を引用します。
金融政策を含む、経済対策など、何か手を打ったとして、すぐに効き目がでてくることはありません。だから、金融緩和して、1から2年くらいは様々な指標は良くなりつも、雇用の改善や、賃金の上昇など明らかに体感できるような、経済の回復などないのが普通です。

そんなことは、国レベルでなくても、たとえば、大企業の経営改革だって同じことであり、企業が何かを手を打って、数ヶ月程度ですぐに効果が出ないからといって、その経営改革は間違いであるなどと批判するのは的外れというより、幼稚ですらあります。

こういうことを言う会社の従業員など、物事を知らない馬鹿と受け取られても仕方ないと思います。しかし、国レベルだと、これに近いようなことを言った無責任な人間が、何ら批判もされないというのは、本当におかしなことだと思います。

私は、このような風潮に棹さし、いつも批判してきましたが、最近になってリフレ政策が正しいことを示す事例がいくつも浮かびあがってきました。上の雇用の改善など最たるものです。

そもそも、金融緩和をしたからといって、すぐに最初から賃金などがあがるなどということがないことなど最初からわかっています。金融緩和をして、1年もたたないうちに、やれ給料が上がらないとか、何も変わらないと語っていたような、政治家・マスコミ・識者などは、はっきり言って白痴レベルであり、白痴状況はなかなか改善されるものではないので、これらの人々のいうことなど二度と拝聴するに値しないと思います。それどころか、拝聴してしまえば、判断を誤ると思います。
藤巻氏については、なぜかこのブログでは過去に一度も写真を掲載して、本格的に掲載したことはないので、このような論客を掲載しないわけにはいかないので、以下に写真を掲載させていただきます(笑)(゚д゚)!

藤巻健史参院議員
さて、金融緩和をして経済が回復していく過程は、大体以下のような段階へます。これは、経済を少しでも勉強した方なら当たり前のど真ん中です。以下のような段階を踏みつつ数年かけて徐々に良くなっていきます。


1.日銀がマネタリーベースを増やす 
2.予想インフレ率が約半年かけて徐々に上昇し、実質金利が下がる 
3.消費と投資が徐々に増える 
4.外為市場で円安が起こり、徐々に輸出が増える 
5.約2年~をかけて、徐々にGDPが増え、失業率が下がり、賃金が上がり、インフレ率も上昇する。その過程で株価も上がる。
2013年の4月から開始された、異次元の包括的金融緩和により、上の段階で4番目の段階の途中までいきました。ところが、昨年4月からの8%増税により、金融緩和の効果が腰砕けになり、振り出しに戻ってしまったような状況になりました。

これをもって、上記の三名はもとより、多くの似非識者どもが、金融緩和そのものを失敗としました。しかし、これは完璧に間違いです。

そもそも、上の5つ段階に関しては、金融緩和政策を実行する際に、増税するなどという馬鹿げた経済政策など念頭においていません。 まともなマクロ経済学においては、デフレのときには、増税などの緊縮財政をするなどという愚かなことは主張していません。

本来金融緩和をはじめてから、2〜3年で、デフレからの脱却が可能だったかもしれないのですが、8%増税によって、5年くらいはかかるようになってしまったかもしれません。それだけ、8%増税の悪影響は甚大なものだったのです。

とはいいながら、金融緩和の効果は、特に雇用面では間違いなく進んでいます。今後も金融緩和を継続することにとにより、再びこの段階が進んでいくことは確実であると思われます。

このようなことや統計数値などは、全く無視して、奇妙奇天烈、頓珍漢な論評をするのが、ブログ冒頭記事であげられていた、浜、藤巻、小幡です。

これら三名に限らず、日本でいわゆる主流派といわれる、経済学者どもは多かれ少なかれ、彼らに似通ったような主張を繰り返しいます。

この主流派経済学者のリストは、以下の記事の最後のほうで見ることができます。
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増税の影響がはっきり見られる
無論、小幡 績の名前も掲載されています。浜に関しては、さすがに異端中の異端なのでしょう、掲載されていません。藤巻は参議院議員なので掲載されいてません。

それにしても、かくも多くの、経済学者などが、高橋洋一氏がブログ冒頭の記事でも指摘したように、統計数値なども満足に参照せずに、おかしけな予測を公表して、ことごとく外れています。

まさに奴らの経済論評は、論評ではなく、経済論病と言わざるを得ません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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ブログ冒頭の記事の作者である、高橋洋一氏の書籍を以下に掲載しました。これらをご覧いただければ、論病を説く人たちの呪縛から確実に逃れることができます。

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2015年2月23日月曜日

高橋洋一「ニュースの深層」「ピケティ格差解説」TV番組に出たら、出演者がみんな「所得トップ1%に入る年収」だった―【私の論評】ピケティ氏の理論を精査せず鵜呑みにすれば、ただブームにのる脳味噌のうっすいバカの展覧会の展示物になるだけと心得よ(゚д゚)!

高橋洋一「ニュースの深層」「ピケティ格差解説」TV番組に出たら、出演者がみんな「所得トップ1%に入る年収」だった


先週土曜日(21日)、面白い体験をした。その日は、たまたま2件、テレビとラジオの出演があった。ともに、格差問題で、ピケティ本に関する話だった。筆者が、ピケティ本の解説本(『【図解】ピケティ入門 たった21枚の図で『21世紀の資本』は読める! 』http://www.amazon.co.jp/dp/4860637402/)を書いているから、お呼びがあったのだろう。

テレビはBS朝日『Live Nippon』(18:54~20:52)でテーマは「景気回復は本当か?格差問題は?」、ラジオはJ-WAVE『Prime Facto』(21:00-24:00)でテーマは「もしアイドルがピケティを読んだら?」だった。

BS朝日では、最近の格差拡大を意味する以下の図がでてきた。



これをベースにして、トップ1%の人のシェアが最近拡大しているという話だ。実は、ピケティ本の各国の格差のデータは、上の図の引用元のWorld Top Incomes Database(http://topincomes.parisschoolofeconomics.eu/#Database:)からのモノが多い。

土曜日のBS朝日では、おそらく出演者どころか、番組関係者の誰もピケティ本をきちんと読んでいなかったようだ。

それにもかかわらず、上の図で、まあいいたいことをみんな言っていた。

時間が許せば、ピケティ本でのトップ所得のシェアというのは、トップ所得者の所得が国民所得に占める比率であること、例えば、トップ1%は20歳以上の人口の中で所得が上位1%に相当する個人だ、といいたかった。しかし、そうした時間はテレビでないので、日本でトップ1%とは年収いくらなのかについて、年収1300万円とだけ言った。

そうしたら、出演者すべて、さらにはスタジオの多くの人が自分はトップ1%だと認識したようだ。

トップ10%に入る年収は576万円

男性の解説者が何か関係のない話にふったので、そのままスルーした。ただし、事前の進行では、富裕税の話が強調される感じだが、その勢いがそがれたみたいだった。

ラジオでも同じ話をした。ところが、ラジオでは担当者もトップ1%に入っていないといい、スタジオでは「へー、そーなんだ」という驚きはあったが、テレビとは違う反応だった。

トップ1%が年収1300万円というのを、正確に言おう。先のWorld Top Incomes DatabaseのJapanのところをみれば簡単に数字は出てくる。トップ1%の年収は1280万円。ついでに、トップ10%、トップ0.1%、トップ0.01%の年収はそれぞれ576万円、3261万円、8057万円だ(いずれも2010年)。

BS朝日の出演者は、トップ1%を3000万円くらいと思っていたのかもしれない。マスコミが高給取りというだけではなく、ピケティ本という学術書の性格を知らないことも理由かもしれない。というのは、トップ1%は20歳以上の人口の中で所得が上位1%に相当する個人だ、とテレビではいえなかったことを書いたが、働かないで所得のない人も含めた上で、その1%なのだ。給料をもらっている人の中での1%ではないのだ。

ピケティ本のように、すべての人の所得分布を表す日本の統計もある。厚労省による所得再配分調査は、世帯の所得分布と等価所得という個人ベースの所得分布について所得再分配前後のデータがある。以下の図は、等価所得の所得再配分前の所得分布だ。



最高税率は先進国で最高水準

他の統計では、給与をもらっている人の中でトップ何%なのかというデータが多い。例えば、国税庁の民間給与実態統計調査は、毎年出されている統計でしばしば利用されるが、これは給与をもらっている人しか調べていない(下図)



これによれば、トップ1%は年収1500万円、トップ4%で年収1000万円である。ただし、いずれの統計でも、マスコミやそこに出演する多くの人はトップ1%に入っているだろう。

格差問題について、マスコミで議論すると、ほぼ格差を是正すべきという論調になる。もちろん、筆者も所得再分配をある程度は行うべきと考えている。ただし、それはあくまで海外と比較しながらである。日本の格差は、米英のアングロサクソン国に比べれば、たいしたことなく、高齢化でも説明出来る程度だ。

ピケティ本を見ると、格差是正のための所得税や相続税について、それぞれ最高税率の推移について各国のものが出ているが、日本は図に書かれていない。そこで、筆者の解説本では、日本の最高税率推移を書いておいた。特に、2015年から所得税と相続税の最高税率は先進国の中では最高水準である。

こうした海外事情にもかかわらず、所得税や相続税の最高税率をさらに引き上げるのは、あまり賢い選択ではない。

テレビでは格差問題の議論は綺麗事すぎてつまらない。何しろ議論している人のすべてがトップ1%なのに、そろいもそろって金持ちから増税、格差是正といったら、テレビ視聴者から見れば片腹痛しだ。しかも、自分が増税対象だとわかると、ひるむようでは視聴者に見透かされるだろう。

この記事の詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】ピケティ氏の理論を精査せず鵜呑みにすれば、ただブームにのる脳味噌のうっすいバカの展覧会の展示物になるだけと心得よ(゚д゚)!

この番組私もたまたま視聴しました。この番組を視聴した私にとっては、上の内容はかなり理解しやすいのですが、視聴しなかった人にとっては、理解しにくい面もあるかと思いますので、以下に若干説明したいと思います。

要するに、ピケティのいう年収トップ1%とは、20歳以上の人で、働いていなくて所得がない人、たとえば大学生や、定年退職した人も含めての20歳以上の人口の中で所得が上位1%に相当する個人ということです。さらに、それを職業としている人は別にして、株式投資とか、他の間接投資などで儲けたお金は所得とはいいません。

ということは、年収一千万を超えれば、上位1%に入る可能性が非常に高いわけです。

しかし、一般の人そうして、この番組に出演していた人たちも、そのことを理解せず、自分たちはピケティのいう所得上位1%にはあてはまっていないと誤って認識して、当然のこととして格差是正のため富裕税などをもうけるべきと主張しがちであることを諌めているわけです。

そもそも、欧米ではこのことは十分理解されていて、それでかなりの物議をかもしたわけです。そうして、反対する人もかなり多かったのです。

しかし、日本ではなぜかあまり物議が醸されることもなく、何やらピケティの理論がすんなりというか、当たり前であり、あっさり何の吟味もされず受けいられられ、それをもとにして格差問題が議論されていることに警鐘を鳴らしているのです。

私も、これに関してはこのブログで、結構はやい時期に警鐘を鳴らしました。その記事のURLを以下に掲載します。
ピケティ氏の陰鬱な「資本論」 ウォール街に警戒―【私の論評】日本はピケティ氏からみれば、理想の国! 余計なことをせず、デフレから脱却しさえすれば日本が世界で一番繁栄する国となるだろう(゚д゚)!
トマス・ピケティ氏

高橋洋一氏も述べているように、日本の格差は、一般にマスコミや左派勢力が喧伝しているように、とんでもない酷い格差というほどではく、米英のアングロサクソン国に比べれば、たいしたことなく、高齢化でも説明出来る程度のものです。要するに、高齢化すれば、資産は増えるのが当たり前で、資産を持たない若者と高齢者の間で格差を生じるのはある程度は、当然といえば当然です。

また、左派系などの語る格差問題で大きく見逃されているのは、デフレです。デフレを放置しておけば、そもそも雇用が悪化して格差が大きくなるのは当たり前であり、まずはデフレを解消しないことには、格差がどうのこうの語ってもはじまらないわけです。

そうして、高橋洋一氏も所得再分配をある程度は行うべきとしています。私もそう思います。

特に、デフレの真っ最中や、現状のように昨年4月の8%増税の悪影響があり、追加金融緩和の時期があまに遅すぎて本格的に効果があらわれるにはもうすこしたってからという状況で、しかも公共工事の供給制約がある現状においては、減税や、給付金政策、それも再配分的な政策が必要不可欠であることをこのブログにおいてもかねて主張してきました。

しかし、このような問題と、ピケティ本に影響されて、日本の状況を良く考えもしないで、富裕税をすぐに導入すべきなどいう主張は間違いです。特に、2015年からは、所得税と相続税の最高税率は先進国の中では最高水準にあります。にもかかわらず、格差是正のために所得税や相続税の最高税率をさらに引き上げよと単純に主張するのは間違いです。

そんなことをすれば、年収1千万を少し超えた程度の人にも、税金がさらに賦課され、富裕層は海外に国籍を移し、相続税の減税をしようとし、お金が海外に逃げるだけです。

それにしても、マスコミや評論家など、このあたりをほとんど理解しないで経済を語っています。それに左派など、ピケティ氏の理論を変な方向にもっていき、それで安倍総理を非難しようした動きもありました。

さらに、反リフレ派など、ピケティ氏の理論を変な方向に展開させ、アベノミクスが無効であるとの主張の根拠にしようとした動きさえあります。

増税派も、何とかこのピケティ氏の理論をあらぬ方向に展開させ、増税の正当化を図ろうとしました。

それに関しは、以前のこのブログにも掲載したことがあります。
ピケティ氏、消費増税に「ノー」 都内の討論会で発言―【私の論評】ピケティ氏の理論を利用して増税推進を正当化してみたり、イスラーム国人質事件で政府批判をする輩は、私達の生活を実質的に脅かす者共であると自覚せよ(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとしして。このような危惧は、経済学者の田中秀臣氏も、ピケティ氏の理論のおかしげな展開に関する危惧を先月ツイートしていて、この記事にも掲載したのですが、以下に再掲させていただきます。


まったく田中秀臣氏の言うとおりです。

テレビなどても、高橋氏や田中氏が指摘するように、浅薄な論議がなされています。この浅薄さが、マスコミを増税キャンペーンなどに駆り立てさせたのかもしれません。

そもそも、給料が高ければ、多少税金があがったとしても、痛くも痒くもありません。マスコミは、自分たちが富裕層であると認識しなければ、これからどんどん衰退し敗退し、いずれ、テレビも新聞もラジオ程度のメディアになると思います。その危機は、もう迫っています。気づかないのは当のマスコミの人間だけかもしれません。これについては、以前このブログにも掲載した事があるので、以下にその記事のURLを掲載します。
“テレビ画面“を奪い合う、戦争が始まる ネットフリックスの衝撃。テレビ局の猶予はあと5年だ テレビの「今、目の前にある危機」―【私の論評】どんなメディアであっても、ユーザーからそっぽを向かれれば、存立の基盤がなくなるという危機感がなければ、容易に腐敗する!その一旦は間違いなく、私達も担っていると心得よ(゚д゚)!


詳細はこの記事をご覧いただくものとして、ネトフリックスが日本に進出してくれば、テレビ局はとんでもないことです。

いずれにしても、テレビは、高給をもらって、浅薄な判断で反日、増税キャンペーンを繰り返しています。このような、メディアがいつまでも隆盛を極めることなどないと思います。私は、おそらく今のままのテレビ局も、ある程度残るには、残るとは思いますが、現状のラジオ局並みのメディアになると思います。その日は案外近いと思います。

それにしても、テレビ局にかぎらず、ピケティ氏の理論はきっちり精査すべきと思います。外国と日本との違いなど無視して、!鵜呑みにすれば、田中氏が指摘しているように、ただブームにのるだけの脳味噌のうっすいバカの展覧会の展示物になるだけと心得るべきです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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ポール・クルーグマン「ピケティ・パニック」---格差問題の言及者に「マルクス主義」のレッテルを貼る保守派はこれにまっとうに対抗できるのか?―【私の論評】中国のように格差を容認する国がどうなったか、これからどうなるのか?先進国は過去どのようにして豊になったのかもう一度真摯にみなおすべき(゚д゚)!



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2015年2月3日火曜日

【日本の解き方】地域の景気回復「ふるさと納税」拡充が効果的 再配分を官から民の手に―【私の論評】「ふるさと納税」は実は画期的であり、財務官僚による『似非財政民主主義』に風穴を開けたという点でも評価すべきと心得よ(゚д゚)!


西伊豆町の例ですですが、無論他の自治体でも同じ流れです

内閣府が毎年公表している白書類の一つにあまり目立たないが、「地域の経済」というものがある。1月27日に発表された「地域の経済2014」は、安倍晋三政権が力を入れている地方創生の背景ともいえる。

「地域の経済2014」では、雇用は全地域で着実に改善し所得改善は地方へと波及している-としている一方、資産効果が大都市圏中心ということもあり、消費の回復は大都市圏で先行していると分析している。

景気循環の過程では、経済が回復するときにも、逆に停滞するときにも、都市部の方が先行して起こるのが普通だ。

ただし、長らく不況にあえぎ、待ちに待った景気回復であるので、地方でもできる限り早くその恩恵にあずかりたいという気持ちは理解できる。

そのための制度として、地方交付税交付金があるが、この制度は官僚の裁量性が多い割に、制度の自由度がない。

この制度改革はよほど腰を据えて長期間にわたって行わなければならず、今のところ、地方の景気回復のカンフル剤としては使いにくい。国の税収が増えれば、一定割合は地方交付税交付金として地方に配分されるのだが、それだけでは不十分である。

美しい西伊豆町の夕日 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

そこで、ふるさと納税の活用がある。この制度は、菅義偉官房長官が総務相を務めた時に導入したもので、実質的な都市部から地方への税移転である。2015年度から、寄付の上限が2倍になるが、それをさらに拡充してもいい。

この拡充策には、ふるさと納税の争奪競争のために、各自治体が商品競争をして、税のムダ遣いだという批判も出ている。ふるさと納税の本来の趣旨からずれているという人もいる。

しかし、そうした意見には、「官僚による再配分が望ましい」「そもそも都市部の税金を地方に配分することが好ましくない」「都市部の税収が失われるのが好ましくない」などといった前提があったりするから要注意だ。

ふるさと納税の本来の趣旨は、税配分について、官僚ではなく、納税者が行うところにある。この意味で、各自治体が獲得競争するために、地元産業を振興して商品を提供し、納税者が自分の納税額の一部を都市部から地方の自治体に移転することは、本来の趣旨だともいえる。なにより官僚による不透明な税の再配分よりいいではないか。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】「ふるさと納税」は実は画期的! 財務官僚による『似非財政民主主義』に風穴を開けたという点でも評価すべきと心得よ(゚д゚)!

西伊豆町の海岸

上の記事でも、高橋洋一氏は、地方交付税制度に関して、「官僚の裁量性が多い割に、制度の自由度がない。この制度改革はよほど腰を据えて長期間にわたって行わなければならず、今のところ、地方の景気回復のカンフル剤としては使いにくい。国の税収が増えれば、一定割合は地方交付税交付金として地方に配分されるのだが、それだけでは不十分である」としています。

そうして、結論では、ふるさと納税の本来の趣旨は、税配分について、官僚ではなく、納税者が行うところにある。この意味で、各自治体が獲得競争するために、地元産業を振興して商品を提供し、納税者が自分の納税額の一部を都市部から地方の自治体に移転することは、本来の趣旨だともいえる。なにより官僚による不透明な税の再配分よりいいではないか。 

では、なぜ官僚による不透明な税の再配分がおこってしまうかというところに、焦点をあてていきたいと思います。

それは、財政民視主義による壁といっても良いようなものが日本には存在するということです。

財政民主主義について、以下に簡単に説明します。
国家が運営されていくには、天文学的な資金が必要であることは言うまでもありません、その膨大な資金を、どのように集め、どのように管理し、どのように使っていくのか、そのへんの国の運営資金の規定が、日本国憲法の第7章の「財政」、83条から91条までに定められています。 
ここの財政の章で規定されていることでまず抑えておかなければならないのは、財政民主主義(83条)という概念です。 
これが日本の国家財政を語る上での大原則になってきます。 
そして、この財政民主主義の考え方を、 
歳入面では租税法律主義(84条)、歳出面では国費支出議決主義(85条)と定めています。

日本国憲法は、国家財政において、この3つを基本原則として規定しています。 
財政民主主義(83条) 
「財政」とは、国家が使う費用について、その資金を徴収し予算を組んで配分し、実際に支出するまでの一連の流れのことをいいます。 
これらの資金は、国民から徴収し、直接的にも間接的にも国家国民のために支出するわけです。国民からしたら、どのように徴収され、どのように予算として組まれ、ちゃんと支出されたのかは重要な関心事となるわけです。 
そこで憲法は、この財政に関して、国民の民主的コントロールが直接及ぶ議会にて決めさせる規定を置きました。 
実際に予算を執行していくのは行政(内閣)ですが、国家機関のうち、民主主義機関といえる国会に財政を委ねるというのは、国民主権における民主主義の観点からも当然の帰結といえるでしょう。


これを「財政民主主義(83条)」といいます。 
83条
国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。 
租税法律主義(84条)、国費支出議決主義(85条)
財政民主主義に関する憲法の規定は、上記のごとくです。しかしながら、国会議員などは選挙活動などかなり忙しく、財政の細かなことまで認識していません。

その結果どういうことになるかといえば、高橋洋一氏が述べているように、地方交付税に限らず、かなりの部分が官僚により不透明な再配分がなされてしまいます。特に、特別予算という予算は、かなり複雑で一般の政治家には理解も及ばないというのが現実です。

これにみならず、財務官僚によって、日本の税収の再配分政策のかなりの部分が、左右されてしまうというのが実情です。

再配分どころか、徴税の部分まで、財務官僚がくちばしをはさみ、大きく左右しているというのが健在の日本の実情です。これに関しては、このブログの読者の方々なら十分おわかりになると思います。

明らかに大失敗に終わった、8%増税、日本経済を破滅させることになった10%増税に関しては、財務省主導により、政治家、マスコミを巻き込んた大キャンペーンとなり、8%増税は導入され、10%増税に関して、昨年末の安倍総理による解散総選挙により、かろうじて阻止されました。

日本の財政民主主義は、結局財務省にかなり恣意的に左右されるという意味では、似非財政民視主義と呼んで良いものと思います。

日本には、他にも似非財政民主主義による、落とし穴があります。それは、主にNPOなどの活動資金のための寄付金制度にみられます。

これについては、随分前にこのブログにも掲載したことがあります。そこから、抜粋します。
財務官僚が提唱する他国では今となっては、どこも主張していない、いかなる思想的ルーツもない根無し草理論である「似非財政民主主義」という概念です。もし、財務官僚が、財政に限って共産主義を標榜しているといえば、わかり易いのですが、そうではありません。無論、財政民主主義の本来の意味での考え方ではありません。 
日本ではNPOに寄付をしたらその分税金の控除が受けられるなど、寄付を盛んにしようという政策がとられていません。 
海外との比較をしてみると、2006年度において、国民一人当たりの寄付金額が、日本 2,034円、米国 84,825円、 英国 33,597円という大きな開きがあります。だから私は、もっと寄付文化が盛んになるように税制を変えてNPOを活性化していくべきとこのブログでも何回も主張してきました。 
しかし、そこでネックになるのが財務省の財務官僚が提唱する今となっては、おかしげな、「似非財政民主主義」という概念です。財務省は、個人の意向でNPOに寄付をしそのお金で公的な業務をNPOが進めることは、「財政民主主義」に反するという主張をしているそうです。 
この似非財政民主主義に関しては、その背景を簡単に説明します。 
日本ではNPOに寄付をしたらその分税金の控除が受けられるなど、寄付を盛んにしようという政策がとられていません。 
海外との比較をしてみると、2006年度において、国民一人当たりの寄付金額が、日本 2,034円、米国 84,825円、 英国 33,597円という大きな開きがあります。だから私は、もっと寄付文化が盛んになるように税制を変えてNPOを活性化していくべきとこのブログでも何回も主張してきました。 
しかし、そこでネックになるのが財務省の財務官僚が提唱する今となっては、おかしげな、「似非財政民主主義」という概念です。財務省は、個人の意向でNPOに寄付をしそのお金で公的な業務をNPOが進めることは、「財政民主主義」に反するという主張をしているそうです。 
他の先進国では、当たり前になっている、NPOに寄付をしたらその分税金の控除が受けられるなど、寄付を盛んにしようという政策が日本ではとられていません。 
ちなみに海外と寄付金額の比較をしてみると、2006年度において、国民一人当たりの寄付金額が、日本 2,034円、米国 84,825円、 英国 33,597円という大きな開きがあります。だから私は、もっと寄付文化が盛んになるように税制を変えてNPOを活性化していくべきとこのブログでも何回も主張してきました。 
さて、元の記事にはいろいろと書いてありますが、ここで転載をやめます。このブログを書いていた当事は、あまり経済の勉強もしていなかっので、金融政策などについても述べていません。今考えると、金融政策の重要性を訴えるべきであったと考えます。

そのため、当事の記事を自分で読むと、気恥ずかしい部分もありますが、自分の成長過程を知るためにも、削除せずにそのままにしてあります。

さて、この記事を書いた当事においては、日本では財政民主主義は、憲法上では定められていても、現実にはそうはならず、いわゆる似非財政民視主義状態になっていることを批判しました。そうして、私はそうすれば、経済も少しはまともになると考えていました。

しかし、当事は似非財政民主主義を正したにしても、日本の経済が良くなることなどあり得なかったと思います。まず、実行すべきは金融緩和であり、その次に積極財政だったと思います。

しかし、昨年の4月に増税をしてしまったとはいえ、追加金融緩和を実施している現在、日本の財政民主主義を正すということも重要なテーマになりつつあると思います。

そもそも、何から何まで、政府が税金として徴収し、それを実質的に財務省が省益にもとづいて恣意的に再配分を行うというのでは、本来の意味での財政民主主義が守られるはずもありません。

ふるさと納税には様々な特典が・・・。

そうして、まさに、高橋洋一氏の語るように、「ふるさと納税は、なにより官僚による不透明な税の再配分より良い」という点において、「ふるさと納税」は、日本の『似非財政民視主義』に風穴を開けたという点でも、評価すべきものと思います。

そうして、次の風穴としては、NPOに対する寄付などの税額控除をもっと拡充すべきと思います。そうして、こういうところから、日本の財政民主主義の真の改革がはじめられると思います。

このようなことが、今では一大政治勢力ともなっている、財務省の省益のみにもとづく、似非財政民視主義の壁を打ち砕くきっかけになると思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか(゚д゚)!

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2014年12月9日火曜日

【高橋洋一氏TW】報ステでバカな報道(円安倒産前年比2.7倍)があったようだが―【私の論評】これが報ステの手口!誤解招く報道「円安倒産急増」に騙されるな 全体は減少傾向続く (゚д゚)!

【高橋洋一氏TW】報ステでバカな報道(円安倒産前年比2.7倍)があったようだが






【私の論評】これが報ステの手口!誤解招く報道「円安倒産急増」に騙されるな 全体は減少傾向続く (゚д゚)!

私は、報道ステーションを見ないので、わかりませんが、上記の内容は事実です。他にも、以下のようにツイートしている人がいました。




このようなツイートがあるのですから、報道ステーションでも、報道ステーションの中の党首討論でも、共産党はこのことを言っていたのでしょう。


このグラフだけを見ていても、注意深く見ていれば、円安倒産など実数が少ないことなど一目瞭然です。グラフの縦軸の目盛をみてください、最大で35件ですよ。3,500件とか、35,000件ではありません。わずか、これだけですよ。全国で、月で特に11月は、たったの21件です。全国、都道府県は、48箇所あるわけですから、月単位でみても、半分以上の都道府県には円安倒産がなかったということになります。

これを同年同月比で、21件と報道するのが正しい報道の仕方でしょうか。これと同じようなことは、以前にもこのブログにも掲載しましたたが、このときは10月のデータまでしかなかったときなので、改めて11月のデータも入れた非なたデータを掲載します。

まずは、データーの入手先のURLを掲載します。
2014年11月の全国企業倒産736件 11月度としては24年ぶりの800件割れで抑制続く
そうして、また前回のように表とグラブ掲載させていただきます。詳細は、この記事をご覧下さい。


この表だけを見ていては、何やらわらないので、さらグラフを掲載します。


どうみても、平成26年は減っています。件数は凸凹がありますが、負債総額は確実に11月は今までで最低です。

こうした中にあって、円安倒産前年比2.7倍と騒ぎ立てるのは、どう考えてもおかしいです。

中には、ここまで掲載しても、納得のいかないごく一部のへそ曲がりの人もいるかもしれません。

そういう人のために、下に新たなグラフを掲載しておきます。

今は、円安にかこつけた報道が見られることから、全体の倒産件数が減少傾向の中で、報道ステーションでは一部を大きく取り上げたと考えられます。

企業倒産は、景気に対して遅行指標(遅れて変化する指標)であることを踏まえ、大きな流れをみてみましょう。2013年の倒産件数は1万855件と、1991年の1万723件以来の低い水準でした。

91年以降倒産件数は増加し、98年の1万8988件が最初のピークで、その後減少したのですが、2001年の1万9164件がここ22年間で最悪でした。第1次安倍政権の06年は1万3245件でしたが、リーマン・ショックのあった08年に1万5646件と再びピークになりました。その後緩やかに減少し、その減少を加速させています。

そうして、2014年1-11月においては、9045件です。そうして2014年11月の全国企業倒産736件です。11月度としては24年ぶりの800件割れで抑制続く このペースが続けば、おそらく年間1万件を下回ることになります。これは1990年6468件以来の良い数字です。これが実情です。

円安倒産は、確かに倒産された会社の経営者や、従業員の方々は、大変な思いをしておられると思います。気の毒といえば、気の毒です。

しかし、全体としては、倒産件数が減っているわけですから、これは良しとしなければならなことだと思います。

それにしても、報道ステーションのやり口は汚な過ぎます。ほんの一部を見せて、全体像は見せずに、安倍政権を批判しています。

最後に以下のようなグラフをもとにして、やはり安倍政権の円安政策による倒産のほうが圧倒的に多いなどと、鬼の首でもとったように吹きまくる人もいるかもしれませんが、それも妥当ではないことを掲載しておきます。


確かに単純比較でいうと、安倍政権になってからの円安倒産のほうが、民主党時代の円高倒産よりは、大きいようみえます。

しかし、ここでもう一度良く考えてみてください。これは、円安倒産と、円高倒産とを比較しただけのものであり、もともと、円安倒産も円高倒産も倒産としては実数が少ないのです。

それは、当然といえば当然です。円高・円安で直接的に大影響を被る企業数は少ないからです。これに大きく関連するのは、輸出企業、輸入企業ということになると思いますが、そもそも輸出や輸入というのが、日本の経済に占める割合は多くないのです。輸出も、輸入も10数%前後に過ぎません。

日本の企業それも、中小企業というと、輸出や輸入に直接関わる企業は小数派です。

内需型産業がかなりの部分を占めます。中小以下の日本の企業は、ほとんどを日本国内から原材料を取得し、日本国内で販売するという企業が多数を占めています。

だから、輸出・輸入に関わる部分は少なく、円高倒産も、円安倒産も少ないのです。ただし、いままでがあまりにも、円高に傾き過ぎていたので円安に対する備えが脆弱な中小企業の倒産が実数では一時増えたということです。これも、いずれ近いうちに沈静化します。

だからこそ、金融緩和政策の効き目によって、国内の倒産件数は全体では減っているのです。円高倒産が減少しようが、円安倒産が増加しようが、全体としては、右肩下がりで下がっているということは、事実です。円高倒産ガー、円安倒産ガーなどと叫ぶよりも全体でどうなのかということが、一番重要です。

この点を忘れないようにしていただきたいものです。円高倒産も、円安倒産も実数にすれば、少数派ということで。円高倒産、円安倒産がどうの叫んでみても、あまり意味はありません。今更、円高政策をしてみたところで、何も良いことはありません。そんなことよりも、まずは、日本の内需を拡大することが先決です。内需を拡大することにより、少数派の輸出・輸入関連の少数派企業も仕事の内容を内需に転換することも可能になります。

そもそも、最近までは、日銀によるデフレ・円高政策により、国内の景気は縮小し、海外への輸出は不利なり、輸入のみは若干有利という状況でした。いくら、輸入が有利になったとはいっても、内需があれだけしぼんでいれば、輸入品もさほど売れないわけです。

このようなことを避けるは、デフレからの脱却が必須です。増税はその動きにストップをかけました。企業倒産は、景気に対して遅行指標(遅れて変化する指標)であることを上で掲載しました。だから、8%増税による景気の悪化による倒産などはもっと遅れて表面化します。

予め予想しておきますが、そのときになれば、マスコミはまたおかしげな報道をします。実際に、私や多くの人が、円安倒産の嘘を暴いているにもかかわらず、その後に報道ステーションでは、上記のような報道をしました。だから、倒産件数が増えると、倒産件数が遅行指数であることを抜きして、安倍政権の経済政策が悪いためであるなどと、むりやりこじつけるようなことを言い出します。

その時には、また、今回のように警告を出そうと思います。皆さん、よろしくお願いします。

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以下の書籍では、「円安」もそうですが、もっと根本的に今の日本の経済を知ることができます。マスコミに騙され続けないためにも、ぜひともご覧になっていただきたい書籍です。



「円安大転換」後の日本経済~為替は予想インフレ率の差で動く~
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日本経済はなぜ浮上しないのか アベノミクス第2ステージへの論点
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アベノミクスの逆襲
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