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2015年2月26日木曜日

<日本礼賛本>嫌韓・嫌中しのぐ勢い? ブームの理由を探る―【私の論評】日本礼賛は日本の真の強みを見出し、それを伸ばし再び大きく成長させ世界のトップランナーになるきっかけを作り出すことになるだろう(゚д゚)!

<日本礼賛本>嫌韓・嫌中しのぐ勢い? ブームの理由を探る

毎日新聞 2月25日(水)17時38分配信



書店で“嫌韓・嫌中本”をしのぐ勢いで売れているのが「日本はこんなにスゴイ!」と褒めたたえる“日本礼賛本”だ。謙遜が美徳、自己PRは下手だったはずのこの国で今なぜ、この手の本が売れるのか。理由が知りたくて、尋ねて回った。【小国綾子】

◇将来不安癒やす安定剤? 震災機に広がり

書店でタイトルを拾ってみる。「ドイツ大使も納得した、日本が世界で愛される理由」「やっぱりすごいよ、日本人」「イギリスから見れば日本は桃源郷に一番近い国」「イギリス、日本、フランス、アメリカ、全部住んでみた私の結論。日本が一番暮らしやすい国でした。」「だから日本は世界から尊敬される」。どれもこの1年間に出版された。

そういえば、テレビでも「所さんのニッポンの出番」「世界が驚いたニッポン!スゴ~イデスネ!!視察団」など外国人に日本を褒めてもらう番組がいっぱいだ。

ブームの「火付け役」の一つは、47万部売れた2010年12月出版の「日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか」(竹田恒泰著、PHP新書)。担当編集者、藤岡岳哉さんは「当時、正面切って自国を褒める本はほとんどなかった。自国を褒めていいというメッセージが読者に待ち望まれていた」と分析する。

出版の3カ月後、東日本大震災が発生。整然と助け合う日本人の姿が世界から称賛を浴びた。「『日本は素晴らしい』と口に出す人が増え、部数は大きく伸びた」。シリーズ3冊で累計約81万部。3冊目「日本人はいつ日本が好きになったのか」の表紙のキャッチフレーズはこうだ。

<「自分の国がいちばん」とやっと素直に僕らは言えた>

実際、NHKの「日本人の意識」調査(13年)で「日本人はすぐれた素質をもっている」「日本は一流国だ」と答えた人はそれぞれ68%、54%。03年の51%、36%を底にU字回復し、1983年の最高値レベルまで戻している。やはりこのブーム、日本を好きな人が増えたせいなのか。

一方、斬新な書名が話題の「住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ち」と「住んでみたヨーロッパ 9勝1敗で日本の勝ち」(川口マーン恵美著、講談社+α新書)。前者は16万部、後者が14万部。いかにも日本礼賛といった題名だが、中身は日本をベタ褒めしているわけではない。教育面を中心に日本にも苦言を呈しており、読後の印象はせいぜい「6勝4敗」だ。

担当編集者、間渕隆さんは「日本を誇る本は売れるので著者と相談の上、少々盛って『7勝3敗』とする予定だったが、ゴロが悪いので『8勝2敗』にした」と種明かしする。「00年代半ばまでは欧米人と結婚した日本人女性が日本の情けないところを指摘する本が売れていた。07年、デュラン・れい子さんの『一度も植民地になったことがない日本』が20万部を超えたあたりで潮目が変わった。震災がその傾向に拍車をかけた」

昨年は「呆韓論」など韓国や中国をたたく書籍が多くベストセラーに入り、「嫌韓・嫌中本ブーム」として注目された。「読者も飽きてきた」(間渕さん)ところで盛り上がったのが、今回の「日本礼賛本ブーム」だ。ネット上では「ヘイト本ブームと表裏一体」「まるで“愛国ポルノ”」などの批判の声もある。

もっとも間渕さんは「日本礼賛本=嫌韓・嫌中本の裏返し」という図式には懐疑的だ。「愛国心を動機に読む人だけなら数万部止まり。16万部も売れません。確かに1冊目は最初、産経新聞の読者層や嫌韓・嫌中本を読む50、60代男性に売れた。しかし読者層は広がり、2冊目は女性にもよく読まれている」

多くの読者を引きつけるには、もっと別の理由があるということか。

過去にも、日本や日本人をたたえる本が売れた時代はあった。「『日本人論』再考」の著者で東大名誉教授(文化人類学)の船曳建夫(ふなびきたけお)さんは、その手の書籍がブームになる背景には常に「不安」があったと指摘する。「明治維新以来、国が苦境にある時も右肩上がりの時にも、日本人論は日本人がアイデンティティーに不安を抱えた時代に流行し、不安を癒やす『安定剤』の役目を果たしてきました」

船曳さんによると、日本人論ブームの第1期は日清・日露戦争の富国強兵の時期の「武士道」(新渡戸稲造著)や「代表的日本人」(内村鑑三著)など。西洋の先進国と比較し、日本をポジティブに評価しようとした外向きの時代だ。第2期は29年世界恐慌から開戦ごろまで。九鬼周造の「『いき』の構造」など「日本は非西洋である」を前提に日本の伝統に価値を求めた内向的な時代。

◇出版側「自主規制」も

第3期は敗戦から経済復興までの半世紀。「『菊と刀』から『ジャパン・アズ・ナンバーワン』まで、右肩上がりでも『これでいいのか』という不安を背景に、長く日本人論が読まれてきた」と船曳さんは言う。「今回は第2期に似ている。第2期の不安の相手は西洋だったが、今は中国や韓国を意識している点が特徴。人口減など将来に不安を抱えた日本人が未来に明るいものが見えないゆえに、古来の伝統や西洋人からの評価に価値や癒やしを求め、日本人、ひいては自分自身のアイデンティティーを守ろうとしているのでは」と分析する。

一方、このブームは出版現場に影を落としているようだ。

中堅出版社の編集者は「売れる売れないだけでなくイデオロギー面でも自粛ムードが漂う。安倍晋三政権批判や、中国や韓国に好意的な本の企画が『反日』出版社というレッテル貼りを恐れて通らない。ジワジワと自主規制が広がっている」。

サブカルチャーをけん引する太田出版の前社長で、今は生活クラブ運動系シンクタンク「市民セクター政策機構」で隔月雑誌「社会運動」を編集する高瀬幸途さんは、「批判的な知性こそが90年ごろまでの出版文化の背骨を支えてきた。しかし今は自国に批判的な言説は読者に嫌われる。編集者は広告代理店のようにデータ分析し、手を替え品を替え売れ筋を狙う。結果、肯定的言説の本があふれ、編集者も読者もそこに溺れている」と語る。

日本礼賛本を「自己啓発本の変種。不安な時代に自己否定的にならず、自己肯定するための実用ツール」と見る高瀬さん、「本は本来、内面の反省を迫る存在だったはずなのに」と懸念する。

船曳さんからはこんな一言も。「適度なお国自慢は望ましいが、『いいことだらけ』とか『世界で一番』とか、他国を見下すところまで行くと、排他的になり、社会は劣化する。自国の首を絞めます」

日本を礼賛し過ぎて、自国の足を引っ張ったのでは笑えない。

【私の論評】日本礼賛は日本の真の強みを見出し、それを伸ばし再び大きく成長させ世界のトップランナーになるきっかけを作り出すことになるだろう(゚д゚)!

図書館には今でも大量の左翼本があるが・・・・・・・

上の記事、魚拓にする意味も含めて、全文掲載させていただきました。実際、ウェブ魚拓にも登録させていただきました。これは、確かに潮目の変化かもしれません。

それにしても、上の文章の最後の結論「日本を礼賛し過ぎて、自国の足を引っ張ったのでは笑えない」はいただけません。現実は、「日本を"批判"し過ぎて、自国の足を引っ張ったのでは笑えない」状況にあったというべきです。特に毎日新聞は・・・・・・・・。

わずか2~3年前までは、いわゆる「日本ダメ論」というか、日本エレキテル連合の台詞ではありませんが、「日本ダメよダメよダメダメ」論といっても良いくらいの言説が巷にあふれていました。

日本エレキテル連合

その潮目は2013年頃から変わりはじめたように思います。それについては、このブログに掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
政権批判ばかりのメディアや「ダメダメ」論の学者はもういらない! いま、国民が知りたいのは「どうしたら暮らしが良くなるのか」である!―【私の論評】これからは、「良くなる」「良くできる」論が幅を効かせて行く時代!!潮目の変化を見れない政治家やマスコミは没落していくのみだし、没落したほうが世のため人のため!!

この記事は、2013年の3月のものです。ブログ冒頭の記事のように、2011年には東日本大震災が発生しており、そこから日本礼賛の兆しがみえはじめていましたが、まだまだの水準でした。しかし、2012年年末の衆院選挙あたりから、日本礼賛ブームが始まったように思います。

ただし、まだ本格的なブームになっておらず、13年には、いわゆる「日本ダメ論」か影を潜めるようになったのだと思います。それとともに、嫌韓本や、嫌中本が隆盛を極めたのだと思います。それとともに、リフレ本も良く売れていました。

このリフレ本が、実は日本礼賛本の前ブームだったのではないかと思います。日本はまだまだ経済的にも捨てたものではない、「日本は駄目」ではなく、経済的にもまだまだ成長する見込みがあるということで、流行ったのだと思います。あからさまに、日本を礼賛するというよりは、まずは日本の経済を見直すというところから、日本礼賛ブームが始まったように思います。



そうして、14年には、嫌韓本・嫌中本もピークを迎えたようです。とにかく、このピークを逃すまいと、評論家やジャーナリストが嫌韓・嫌中国の稼ぎどきの最後と見定めたのでしょうか、これでもか、これでもかという具合に出版していました。こうなると、消費者も飽きてしまい、おそらく、今年はこのブームは去ることでしょう。

そうして、日本エレキテル連合「ダメよダメよダメダメ」のブームは、やはりこの時期であればこそだったと思います。人々の潜在意識の中に、「日本ダメ論」への反発があり、あの「ダメよ」のフレーズや彼女らの態度などが、まるで「日本ダメ論」を揶揄しているようで、多くの人々の琴線に触れたからこそ、ブームになったのだと思います。おそらく、昨年より前とか、後であのようなブームはみなかったと思います。

嫌韓・嫌中本のブームが去るもう一つの原因としては、現代韓国や現代中国の歴史は、日本などと比較するとかなり短いことがあげられると思います。両国とも、その歴史は100年未満しかありません。過去の中国などの歴史は、現代の中国や韓国などとは何のつながりもないわけですから、現状の韓国や中国のある程度ドキュメントが出てくれば、それ以上は中身がなくなってしまいます。これだけの書籍が出版されていますから、いまさら何か新しいことを書くにしても、書きようがないわけです。これから、中韓で今までにない全く新たな出来事が起こらなければ、新たなブームは起こらないでしょう。

おそらく、宮崎正弘氏のように、実際に何回も中国に出向いて歩きまわり、そこから様々な現象を読み解くというような書籍は、これからも売れ続けるでしょうが、その他のものはなかなか売れなくなるでしょう。

宮崎正弘氏

それに比較すると、日本の場合は日本という国の概念ができあがってから、1000年以上になります。この歴史はさらに古くて、2000年前はどうなのか良くわからないというのが実体だと思います。さらなる歴史研究が待たれるところです。

とにかく、建国の歴史なども神話等に残っているということで、あまりにも古くて判然としないというのが、日本の現実です。しかし、1000年以上の歴史(何かしらの事物が時間的に変遷したありさま、あるいはそれに関する文書や記録)があるということ、そうしてそれが現代日本にも継続されている伝統・文化があるということで、これは書いても書いても、書ききれないくらい豊富な史実があります。

しかも、戦後の長きにわたってこれらの史実の中には、葬り去れたように表に出てこなかったものが多数存在します。多くの読者の興味をそそりそうな話や、意外な話が山のように存在します。

まずは、日本礼賛という形でも良いですから、これを契機に多くの人々が日本の特異性、特殊性を知っていただければ、このブームも良い事だと思います。

ブログ冒頭の記事では、日本礼賛をネガティブに見ていますが、私はそうではないと思います。そもそも、組織でも人でも悪いところばかり見ていていては、何にもなりません。そのわかりやすい事例を以下にあげてみようと思います。

最近はiPone用のストアコンパリゾン用アプリも提供されるように
なり格段にやりやすくなっが、その本質を知らない人も多い。

私はかつて、ストア・コンパリゾン(直訳:店舗比較)といって、多くの競合店を調査し、自店の改善を行うということを実施していたことがあります。これは、自分の店の近くにある競合店を調べて、個々の競合店が本当に競合しているのか、していないのか調べる手法です。自分の店と似たような商品を近くの店で販売しているからといって、必ずしも競合しているとは限りません。また、競合していたとしても、全部が競合するとは限りません。それを明らかにする手法です。

その一環として、部下を競合店に派遣して調べさせたのですが、この調査では実施する人によって、調査内容にかなりの差異がありました。結論からいうと、駄目な人は、競合店の悪いところばかり報告します。「あれが駄目だった。これも駄目だった。あそこが汚く汚れていた」という具合に、悪い点ばかり目につき、それを中心に報告をします。しかし、これほとんど役にたたないし、それに競合店の悪いところの列挙など簡単で、極論すると小学生にだってできることです。たとえ、それを知ったにしても、もう自分の店は、他店よりその部分では優れているのですから、対応のしようがありません。

優秀な人は、競合店の良いところを見つけてきました。これは、本当に役にたちます。たとえば、「競合店の食料品売り場では、このようなことが行われていて、それが非常に良い効果を産み出している」とか、「競合店の靴売り場は、来店者の靴とグレードが一致していて、良く売れている」、「女性もの衣料品売場の商品回転率は非常に高く、それはこういう工夫があるためである」などと具体的にしかも、良い点を報告をします。

こういう報告ですと、相手の良いところと自分の店を比較し、その良い部分を競合店よりもさらに伸ばすとか、とてもその部分では勝てそうにもないということになれば、自分の店の他の良い部分を伸ばし、その店との差別化を図ることができます。競合店の本当の強さを見極めることができ、対策も容易になります。しかし、競合店の悪いところばかり知っても、良い対策などできません。

これは、人を見る場合でも同じことです。人を見る場合に、その人の悪い点ばかり、あげつらねるというのは、小学生にもできる簡単なことです。そうして、そのような態度で人を見ていては、その人を育てることもままならなくなります。



人を見る場合でも、その人の良いところを見いだすという視線でみるのが、優秀な管理者のすることです。良いところをみいだせば、その良いところをさらに伸ばすということで、その人を育てることができます。悪いところばかりみていて、それを注意するだけでは、人は育ちません。

会社という組織は、学校とは違います。学校なら、習う教科はすべて決まっていて、本人の得意・不得意は別として、すべての教科を学ばさなければなりません。しかし、会社は、経済的な主体であり、何をさておきまず経済的な利益を得るのが目的の組織です。

そういうところで、学校のようにすべての教科を学ばせるように、何でもできるようにする必要などありません。業績を出すために、自分の出来ないこと、不得手なことをもってしてしなければならないなどという規則はありません。

自分のできる方法、自分の得意な方法で業績をあげ、成果を出せは良いのです。それに会社に入るほどの年齢の人の場合は、義務教育は終えて高校もしくは大学以上を卒業した人ですから、こういう人たちは、家では躾けられ、学校である程度を教育を受けてきて、その中ですでに得手・不得手は決まっていて、不得手なことを会社に入ってから直すということは非常に難しいです。

そんなことからも、会社では、不得意なことを直すのに時間をかけるよりは、得意なところをより伸ばしすみやかに成果をあげさせることが重要です。ただし、業務に支障がでるような、基本的な事柄については、これは当然是正すべきです。



日本という国を見る場合も同じことです。普通の人は、日本の悪い点ばかり目につきがちです。
いずれの国にも欠点があり、完璧な国などのこの世に存在しません。悪いところをあげれば切りがありません。しかし今まで、日本が存続し、成長してこれたのには、良いこともあったからです。

その良いところを見いだし、それをさらに伸ばすことができるようにならなければなりません。悪いところに関しては、単に現在の延長線上でものを考えで、その悪い部分を政府や安倍総理などの特定の人のせいだけにするようでは発展はありません。仕組みや、制度を変えるとか、新たに作り出すという姿勢が重要です。それなしの批判は、不毛です。

今までの日本は、日本のメディアも、識者もこぞって、これでもか、これでもかと、とにかく日本の弱みに着目して、日本を貶めるだけで無意味なことを繰り返すか、確信犯的に日本の弱体化を図ってきました。

しかし、いくらメディアや、似非識者どもや、中華スパイなどが、日本ダメ論をぶちあげようとも、そんな馬鹿話に多くの国民は惑わされなくなるどころか、嫌気がさし今のところは、日本礼賛本がブームになりかけているのだと思います。

日本礼賛論は、日本の真の強みを見出すきっかけを作り出すかもしれません。そうなれば、日本の真の強みをさらに伸ばし、また日本は大きく成長することになり、世界のトップランナーとなることができるかもしれません。

これだけ長い間にわたり、「日本ダメ論」や「自虐的歴史観」などに、苛まされ続け、さらには民主党政権が3年も続いてもこれだの経済力や、国体を維持できているということ、この事自体が日本の強みです。日本人がこの強みに気付き、それを伸ばすことに努力するようになれば、とてつもないことになります。

このブログは、これからも単に日本を礼賛するというのではなく、日本の真の強みを見出していくつもりです。それが、長年「日本駄目論」に翻弄されてきた、今の日本と日本人にとって、一番良いことだと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年2月23日月曜日

高橋洋一「ニュースの深層」「ピケティ格差解説」TV番組に出たら、出演者がみんな「所得トップ1%に入る年収」だった―【私の論評】ピケティ氏の理論を精査せず鵜呑みにすれば、ただブームにのる脳味噌のうっすいバカの展覧会の展示物になるだけと心得よ(゚д゚)!

高橋洋一「ニュースの深層」「ピケティ格差解説」TV番組に出たら、出演者がみんな「所得トップ1%に入る年収」だった


先週土曜日(21日)、面白い体験をした。その日は、たまたま2件、テレビとラジオの出演があった。ともに、格差問題で、ピケティ本に関する話だった。筆者が、ピケティ本の解説本(『【図解】ピケティ入門 たった21枚の図で『21世紀の資本』は読める! 』http://www.amazon.co.jp/dp/4860637402/)を書いているから、お呼びがあったのだろう。

テレビはBS朝日『Live Nippon』(18:54~20:52)でテーマは「景気回復は本当か?格差問題は?」、ラジオはJ-WAVE『Prime Facto』(21:00-24:00)でテーマは「もしアイドルがピケティを読んだら?」だった。

BS朝日では、最近の格差拡大を意味する以下の図がでてきた。



これをベースにして、トップ1%の人のシェアが最近拡大しているという話だ。実は、ピケティ本の各国の格差のデータは、上の図の引用元のWorld Top Incomes Database(http://topincomes.parisschoolofeconomics.eu/#Database:)からのモノが多い。

土曜日のBS朝日では、おそらく出演者どころか、番組関係者の誰もピケティ本をきちんと読んでいなかったようだ。

それにもかかわらず、上の図で、まあいいたいことをみんな言っていた。

時間が許せば、ピケティ本でのトップ所得のシェアというのは、トップ所得者の所得が国民所得に占める比率であること、例えば、トップ1%は20歳以上の人口の中で所得が上位1%に相当する個人だ、といいたかった。しかし、そうした時間はテレビでないので、日本でトップ1%とは年収いくらなのかについて、年収1300万円とだけ言った。

そうしたら、出演者すべて、さらにはスタジオの多くの人が自分はトップ1%だと認識したようだ。

トップ10%に入る年収は576万円

男性の解説者が何か関係のない話にふったので、そのままスルーした。ただし、事前の進行では、富裕税の話が強調される感じだが、その勢いがそがれたみたいだった。

ラジオでも同じ話をした。ところが、ラジオでは担当者もトップ1%に入っていないといい、スタジオでは「へー、そーなんだ」という驚きはあったが、テレビとは違う反応だった。

トップ1%が年収1300万円というのを、正確に言おう。先のWorld Top Incomes DatabaseのJapanのところをみれば簡単に数字は出てくる。トップ1%の年収は1280万円。ついでに、トップ10%、トップ0.1%、トップ0.01%の年収はそれぞれ576万円、3261万円、8057万円だ(いずれも2010年)。

BS朝日の出演者は、トップ1%を3000万円くらいと思っていたのかもしれない。マスコミが高給取りというだけではなく、ピケティ本という学術書の性格を知らないことも理由かもしれない。というのは、トップ1%は20歳以上の人口の中で所得が上位1%に相当する個人だ、とテレビではいえなかったことを書いたが、働かないで所得のない人も含めた上で、その1%なのだ。給料をもらっている人の中での1%ではないのだ。

ピケティ本のように、すべての人の所得分布を表す日本の統計もある。厚労省による所得再配分調査は、世帯の所得分布と等価所得という個人ベースの所得分布について所得再分配前後のデータがある。以下の図は、等価所得の所得再配分前の所得分布だ。



最高税率は先進国で最高水準

他の統計では、給与をもらっている人の中でトップ何%なのかというデータが多い。例えば、国税庁の民間給与実態統計調査は、毎年出されている統計でしばしば利用されるが、これは給与をもらっている人しか調べていない(下図)



これによれば、トップ1%は年収1500万円、トップ4%で年収1000万円である。ただし、いずれの統計でも、マスコミやそこに出演する多くの人はトップ1%に入っているだろう。

格差問題について、マスコミで議論すると、ほぼ格差を是正すべきという論調になる。もちろん、筆者も所得再分配をある程度は行うべきと考えている。ただし、それはあくまで海外と比較しながらである。日本の格差は、米英のアングロサクソン国に比べれば、たいしたことなく、高齢化でも説明出来る程度だ。

ピケティ本を見ると、格差是正のための所得税や相続税について、それぞれ最高税率の推移について各国のものが出ているが、日本は図に書かれていない。そこで、筆者の解説本では、日本の最高税率推移を書いておいた。特に、2015年から所得税と相続税の最高税率は先進国の中では最高水準である。

こうした海外事情にもかかわらず、所得税や相続税の最高税率をさらに引き上げるのは、あまり賢い選択ではない。

テレビでは格差問題の議論は綺麗事すぎてつまらない。何しろ議論している人のすべてがトップ1%なのに、そろいもそろって金持ちから増税、格差是正といったら、テレビ視聴者から見れば片腹痛しだ。しかも、自分が増税対象だとわかると、ひるむようでは視聴者に見透かされるだろう。

この記事の詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】ピケティ氏の理論を精査せず鵜呑みにすれば、ただブームにのる脳味噌のうっすいバカの展覧会の展示物になるだけと心得よ(゚д゚)!

この番組私もたまたま視聴しました。この番組を視聴した私にとっては、上の内容はかなり理解しやすいのですが、視聴しなかった人にとっては、理解しにくい面もあるかと思いますので、以下に若干説明したいと思います。

要するに、ピケティのいう年収トップ1%とは、20歳以上の人で、働いていなくて所得がない人、たとえば大学生や、定年退職した人も含めての20歳以上の人口の中で所得が上位1%に相当する個人ということです。さらに、それを職業としている人は別にして、株式投資とか、他の間接投資などで儲けたお金は所得とはいいません。

ということは、年収一千万を超えれば、上位1%に入る可能性が非常に高いわけです。

しかし、一般の人そうして、この番組に出演していた人たちも、そのことを理解せず、自分たちはピケティのいう所得上位1%にはあてはまっていないと誤って認識して、当然のこととして格差是正のため富裕税などをもうけるべきと主張しがちであることを諌めているわけです。

そもそも、欧米ではこのことは十分理解されていて、それでかなりの物議をかもしたわけです。そうして、反対する人もかなり多かったのです。

しかし、日本ではなぜかあまり物議が醸されることもなく、何やらピケティの理論がすんなりというか、当たり前であり、あっさり何の吟味もされず受けいられられ、それをもとにして格差問題が議論されていることに警鐘を鳴らしているのです。

私も、これに関してはこのブログで、結構はやい時期に警鐘を鳴らしました。その記事のURLを以下に掲載します。
ピケティ氏の陰鬱な「資本論」 ウォール街に警戒―【私の論評】日本はピケティ氏からみれば、理想の国! 余計なことをせず、デフレから脱却しさえすれば日本が世界で一番繁栄する国となるだろう(゚д゚)!
トマス・ピケティ氏

高橋洋一氏も述べているように、日本の格差は、一般にマスコミや左派勢力が喧伝しているように、とんでもない酷い格差というほどではく、米英のアングロサクソン国に比べれば、たいしたことなく、高齢化でも説明出来る程度のものです。要するに、高齢化すれば、資産は増えるのが当たり前で、資産を持たない若者と高齢者の間で格差を生じるのはある程度は、当然といえば当然です。

また、左派系などの語る格差問題で大きく見逃されているのは、デフレです。デフレを放置しておけば、そもそも雇用が悪化して格差が大きくなるのは当たり前であり、まずはデフレを解消しないことには、格差がどうのこうの語ってもはじまらないわけです。

そうして、高橋洋一氏も所得再分配をある程度は行うべきとしています。私もそう思います。

特に、デフレの真っ最中や、現状のように昨年4月の8%増税の悪影響があり、追加金融緩和の時期があまに遅すぎて本格的に効果があらわれるにはもうすこしたってからという状況で、しかも公共工事の供給制約がある現状においては、減税や、給付金政策、それも再配分的な政策が必要不可欠であることをこのブログにおいてもかねて主張してきました。

しかし、このような問題と、ピケティ本に影響されて、日本の状況を良く考えもしないで、富裕税をすぐに導入すべきなどいう主張は間違いです。特に、2015年からは、所得税と相続税の最高税率は先進国の中では最高水準にあります。にもかかわらず、格差是正のために所得税や相続税の最高税率をさらに引き上げよと単純に主張するのは間違いです。

そんなことをすれば、年収1千万を少し超えた程度の人にも、税金がさらに賦課され、富裕層は海外に国籍を移し、相続税の減税をしようとし、お金が海外に逃げるだけです。

それにしても、マスコミや評論家など、このあたりをほとんど理解しないで経済を語っています。それに左派など、ピケティ氏の理論を変な方向にもっていき、それで安倍総理を非難しようした動きもありました。

さらに、反リフレ派など、ピケティ氏の理論を変な方向に展開させ、アベノミクスが無効であるとの主張の根拠にしようとした動きさえあります。

増税派も、何とかこのピケティ氏の理論をあらぬ方向に展開させ、増税の正当化を図ろうとしました。

それに関しは、以前のこのブログにも掲載したことがあります。
ピケティ氏、消費増税に「ノー」 都内の討論会で発言―【私の論評】ピケティ氏の理論を利用して増税推進を正当化してみたり、イスラーム国人質事件で政府批判をする輩は、私達の生活を実質的に脅かす者共であると自覚せよ(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとしして。このような危惧は、経済学者の田中秀臣氏も、ピケティ氏の理論のおかしげな展開に関する危惧を先月ツイートしていて、この記事にも掲載したのですが、以下に再掲させていただきます。


まったく田中秀臣氏の言うとおりです。

テレビなどても、高橋氏や田中氏が指摘するように、浅薄な論議がなされています。この浅薄さが、マスコミを増税キャンペーンなどに駆り立てさせたのかもしれません。

そもそも、給料が高ければ、多少税金があがったとしても、痛くも痒くもありません。マスコミは、自分たちが富裕層であると認識しなければ、これからどんどん衰退し敗退し、いずれ、テレビも新聞もラジオ程度のメディアになると思います。その危機は、もう迫っています。気づかないのは当のマスコミの人間だけかもしれません。これについては、以前このブログにも掲載した事があるので、以下にその記事のURLを掲載します。
“テレビ画面“を奪い合う、戦争が始まる ネットフリックスの衝撃。テレビ局の猶予はあと5年だ テレビの「今、目の前にある危機」―【私の論評】どんなメディアであっても、ユーザーからそっぽを向かれれば、存立の基盤がなくなるという危機感がなければ、容易に腐敗する!その一旦は間違いなく、私達も担っていると心得よ(゚д゚)!


詳細はこの記事をご覧いただくものとして、ネトフリックスが日本に進出してくれば、テレビ局はとんでもないことです。

いずれにしても、テレビは、高給をもらって、浅薄な判断で反日、増税キャンペーンを繰り返しています。このような、メディアがいつまでも隆盛を極めることなどないと思います。私は、おそらく今のままのテレビ局も、ある程度残るには、残るとは思いますが、現状のラジオ局並みのメディアになると思います。その日は案外近いと思います。

それにしても、テレビ局にかぎらず、ピケティ氏の理論はきっちり精査すべきと思います。外国と日本との違いなど無視して、!鵜呑みにすれば、田中氏が指摘しているように、ただブームにのるだけの脳味噌のうっすいバカの展覧会の展示物になるだけと心得るべきです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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