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2017年11月5日日曜日

AIでできる銀行の融資業務、仕事は奪われるが人口減の日本にはチャンス―【私の論評】今後5年以内に政界、銀行、マスコミ再編成の嵐が吹き荒れる(゚д゚)!

AIでできる銀行の融資業務、仕事は奪われるが人口減の日本にはチャンス



説明を追加


 筆者は銀行の人員減というニュースを聞いても驚かない。というか、よくこれまでやってこられたと驚く。

 実は、筆者は旧大蔵省キャリア官僚としては珍しい経歴を持っている。金融検査官だ。検査官になるのは旧大蔵省キャリアの同期でも1人か2人しかいない。たまたま1990年代前半は銀行の不良債権問題が大変な時期だったので、あまり前例のなかった金融検査官を拝命し、同時に不良債権処理プログラムを企画立案した。

 そのためには実際に銀行の金融検査をしなければいけない。そこで、金融検査の現場をみっちり経験し、1日で100件以上の資産査定を行った。

 資産査定とは、銀行の支店の貸出をチェックするもので、ここで金融検査官に不良債権と指定されるかどうかは、銀行にとって死活問題になる。

 支店長や銀行幹部も必死になって不良債権を否定するが、筆者は財務諸表の数字と確率論で対抗した。

 多くの資産査定をやっているうちに、貸出先企業のバランスシートのどこに着目すれば、貸付金の健全度が示されるか、分かるようになった。要するに貸出先企業の財務状況の分析について、数量的に把握できたのだ。

 筆者のこの論法は新鮮だったようで、多くの銀行の人は面食らっていた。いくら情で訴えられても、データで不良債権、しかも、あと2年以内にどの程度のロスが出るかも予測できた。

 このときの経験から、融資業務をかなりの程度自動化、今の言葉でいえばAIにやらせることは可能だと思った。

 企業融資業務は、銀行の中では高度な業務だ。それすらAIでできるとなると、住宅ローンなどの定型融資も当然可能だ。預金や金融商品の販売はもっと容易にAIで代替できる。そうなると、人の塊であった銀行の支店には、ほとんど人が不要になると思ったのだ。

 銀行の本部でも、資産運用などは、下手に人間がやるよりは、ある条件になったら自動的に売買して、損益が一定以上になったらやめるというシステムの方がましだろう。

 筆者は、中央銀行の金融政策ですらAIで可能と思っているほどの論者である。

 よく銀行は、資産運用だけではなく、相続の相談にも乗るというが、税法なら、今や無料で正確なソフトもある。要するに、ほとんどの銀行業務は人がやる必要のないものだということもできる。

 銀行以外でも、単純・定型的な業務はどんどんAIに代わるだろう。ただし、日本は人口減少なのだからこれをチャンスとすべきだ。AIにはできない、人らしい仕事を少ない人でやっていけばいいと楽観的に考えよう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】今後5年以内に銀行、政界、マスコミ再編成の嵐が吹き荒れる(゚д゚)!

私は、「日本は人口減少なのだからこれをチャンスとすべきであり、AIにはできない、人らしい仕事を少ない人でやっていけば良い」という高橋洋一氏の意見には大賛成です。

ただし、AIに実施させる仕事も、少数ながらそれを実施できる人は温存して、実行できるようにすべきであるとは思っています。なぜなら、仕事の改善自体は人しかできないからです。全くAIに任せきりということは、考えられないからです。

それにマネジメントの主体は無論人間です。また、真のイノベーションとは、組織の内部ではなく、組織の外の社会(人間によって構成され)を変えるものだからです。

いくらAIにより、銀行の業務などを実行するようになったからとはいえ、そのことにより組織の外の社会が変わる、具体的には、たとえば、融資を受けるべき企業が融資を受けられるようになり、実際にそれらの企業が融資したことにより、成長し繁栄するようにならなければなりません。

だから、AIが融資業務を実施するにしても、やはり人が関わらなければまともな融資はできないでしょう。ただし、AIが融資の業務に関わることにより、より客観的で、正確な判断ができるということでは良いことであるのは間違いありません。

AIと人との共存は可能か?
ところで、2001年大蔵省がなくなるまでは、日本の銀行は金利から店舗数、預金高に至るまで大蔵省にコントロールされ、箸の上げ下ろし一つ自由にできませんでした。しかし、その代わりに互いに競争する必要もありませんでした。

その結果、新しいビジネスを創り出す必要に迫られなかった日本の銀行は、「土地専門の質屋」と呼ばれるような土地を担保に金を貸すだけのビジネスしかできなくなってしまいました。

不良債権の問題を解決する決断もできなかった日本の金融機関は、外国の金融機関のような差別化のための経営戦略もなく、優秀な人材を育てることもシステムに投資することもせず、結果的に、競争の激しいアメリカの金融業の労働生産性を大きく下回ることになりました。

こうした背景から、1999年に第一勧業銀行・富士銀行・日本興業銀行が事業統合で合意したのが引き金となり、2000年代初頭にかけて大手都市銀行どうしのグループ化、共同金融持株会社の設立が相次ぐこととなりました。

しかしその後日本経済は深刻なデフレに見舞われ、銀行はその対応に精一杯であり、日本の銀行に内在する諸問題はあまり解決されてきませんでした。

しかし、「三重銀行」と「第三銀行」の経営統合などにみられるように、最近銀行の再統合がまた、進む気配があります。最大の変化は、銀行の収益環境が厳しくなっていることです。銀行ビジネスの基本は、「預金を集めて、お金を必要としている企業や個人に貸し出す」ことです。


銀行は預金者に都合のよい、元本保証の預金商品を提供すると同時に、借り手の要望に応じて、預金商品よりも長い期間の資金も提供しています。

銀行の主な収益源は、預金金利と貸出金利の差(利ざや)です。通常の金利体系は、「期間が長いほど金利が高い」ので、銀行は、短期間の低い金利で預金を調達する一方で、期間の長い高い金利で貸出し、「長短金利差」によって利ざやを確保し、安定的な収益をあげてきました。

ところが長年続いた金融引締めの状況が銀行にとって当たり前になってしまった結果、現在の金融緩和で、長期の全ての期間で、金利が相対的にきわめて低くなり、金融引締めが続いた時代よりも利ざやの確保が困難になっているのです。

といより、従来からある銀行の遅れた体制が温存されている部分があり、現在のままでは体制を維持できなくなっているのです。おそらく、今後5年以内に銀行の再統合が進み、銀行の数は現在の1/5くらいになるものと考えられます。

銀行の歴史は「経営統合の歴史」といわれます。明治以降の銀行の歴史をみると、銀行どうしの経営統合は決して珍しい動きではありません。現在営業している銀行も、多くの銀行どうしが経営統合を繰り返しています。今後展開が予想される地方銀行の再編も、いわば「歴史の必然」ともいえるでしょう。

このような状況の中で、銀行の統合が進むだけではなく、AIに様々な業務を実行させるということが急速に進められていくものと考えられます。これが現在良く言われてる、AIも含めたIT技術を使った新たな金融サービス「FinTech(フィンテック)」というものです。


おそらく、今後5年以内に、現状の1/5に統合された銀行が、少ない人で、AIを用いて効率的な業務を実行していく体制が築かれることになります。

今後、銀行業界のリストラが加速します。銀行業界でも早期退職などの嵐が吹き荒れることになるでしょう。そうして、その後は人口減の時代が来ても、現状のような銀行サービスが十分維持できるどころか、それ以上のことができる体制に変わることでしょう。まさに、これから銀行業界は大変革期を迎えるのです。

大変革期を迎えるのは、銀行業界だけではありません。このブログでは、政界、マスコミ再編成がおこることも示唆しました。

今後5年以内に本格的な、政界再編成、銀行再編成、マスコミ再編成の嵐が吹き荒れることになります。銀行に限らず、弱い組織、異常な組織、非効率な組織はいずれ淘汰されるしかないのです。

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