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2019年1月11日金曜日

三人っ子政策を導入? 急速に高齢化する中国の大問題―【私の論評】先進国では人口減は経済の衰退に直接つながらないが、中国にその理屈は通用しない(゚д゚)!

三人っ子政策を導入? 急速に高齢化する中国の大問題

今年は「金豚年」、金運・出生率・景気拡大と願懸けに喧しい

金豚年にあやかって全身ゴールドのピカピカ豚の貯金箱。金運、子宝に恵まれるという
 「『金豚』の年は、経済だけでなく、金運もアップする!」

 春節が迫る中、中国やアジア圏の友人は、新年が待ち遠しくて仕方がないという。

 日本では新年は新暦(太陽暦)のため1月1日だが、中国をはじめ香港、韓国、台湾、シンガポール、べトナム、マレーシア、インドネシア、カンボジア、ネパールなど多くのアジア諸国(華人系)は、旧暦(太陰暦)のため、今年の新年(春節)は2月5日。

 特に中国では、1年で最も重要な行事の一つで、故郷を目指す帰省ラッシュは「春運」と呼ばれ、春節期間にのべ数十億人が大移動。全国で交通機関が麻痺することで知られる。

 中国では、1週間ほどの正月休みとなるが、イスラム圏のマレーシアやインドネシアでも華人系の正月として、2月5日は祝日だ。

 しかも、今年の干支は「豚」。日本の干支は「イノシシ」だが、西遊記の「猪八戒」を思い出してもらえればお分かりのように、中国語では「猪」とは「豚」のこと。ちなみにイノシシは、中国語で「野猪」という。

 なぜ日本だけイノシシになったか。定説はないが、「家畜のブタを飼う習慣がなかった日本は、野生のイノシシを捕獲し、タンパク源にしていたから」というのが有力な説のようだ。

 さておき、この「豚」。イスラム圏では不浄とされ、豚をあしらった縁起物を控える業者も一部あるが、中華圏では十二支の中でも豚は「金豚」「黄金豚」といわれ、「豚が夢に現れると大吉」とされるほど、経済上昇や金運アップの象徴と知られる。

 さらに、「黄金豚年生まれ」は、「大金持ちになる」とも伝えられ、師走真っ只中の中国やアジア圏では、黄金豚の置物や貯金箱が大人気で、売り切れ御免の店舗も続出しているようだ。

筆者も縁起を担ごうと、初めて「金豚」をゲットした。

 中国人などアジア圏の華人が信じてやまない風水では、今年の豚年のラッキーカラーはまさに、「金」「赤」「白」という。

 街中やスーパーなどには、例年にも増して金や赤色が眩いばかりに輝き、ギラギラの春節商戦を煽っている。

 豚は、子沢山でも知られ、「豚年の出生率は上がる」というジンクスもある。

子豚を授かる金色の親豚の縁起物。金豚年で一番人気だ

 赤ちゃん用品の関連企業株も上昇するとされ、まさに「金豚株」は注目株だ。

 特に中国では、米中貿易戦争勃発で今年の経済動向に暗雲が立ちはだかる。建国以来、70年ぶりの人口減が明らかになる中、国家の存続をかけ、「金豚年」に望みをかけている。

 春節を前に中国郵政が発行したその記念切手には、2匹の親豚と愛らしい「3匹の子豚」が描かれた。

 このことから、中国版ツイッターの微博(ウェイボー)などソーシャルメディアでは、将来的な労働人口減少による経済低迷、国力の後退を危惧し、「政府が二人っ子政策や産児制限を完全に撤廃し、『三人っ子政策』を新たに導入するのでは」と話題になっている。

 中国政府は2016年、40年近く続いた一人っ子政策を廃止し、夫婦に2人目の子供を容認した「二人っ子政策」を導入した。その際にも、事前に発表された申年の切手に、小猿2匹を描いていた。

 今回、3匹の子豚が描かれたことから、三人っ子政策が導入されるのではないかとみたわけだ。

 しかし、一人っ子政策の廃止による効果は政府の期待を裏切っている。

 2016年の中国の出生数は、前年比で130万人多い1790万人だったが、増加数は予想の半分以下にとどまった。2017年は2000万人を見込んだが、1700万人に減少してしまった。


 さらに、今年に入って米国のウィスコンシン大学の易富賢氏ら人口統計専門家が、「2018年の全土の出生数は前年比で79万人増加するとの政府予測を裏切り、250万人減少した」と香港メディアなどで発表。


 今月中に予想されている中国国家統計局の2018年の人口統計公式発表を前に、中国の昨年人口が、建国以来初めて70年ぶりに減少したことを明らかにしたのだ。

 その上で「少子高齢化の波は加速化し、中国経済の活力は弱体化し、人口動態上の危機でもある」と警鐘を鳴らした。

春節を象徴する深紅の提灯は、時代が変っても、正月に欠かせない飾り物だ

 また、中国の出生率は「2000年以降、日本より低い状態が続いている。中でも2010年から2016年の平均は『1.18』で日本の1.42をはるかに下回った」とも指摘した。

 そんな中、中国が「金豚年」にあやかり、二人っ子政策を廃止しても、その効果は望まれないのが現実ではないだろうか。

 中国だけではなく、韓国、シンガポール、タイ、台湾、最近では多産のイスラム圏のマレーシアでも少子高齢化の潮流が懸念されている。

 このように、中国でも高等教育を受けた大都市圏の女性は、仕事を最優先するだけでなく、若い夫婦にとって高騰する教育費や住宅費用が大きく家計を圧迫していることから多産に向かうのは難しいとみられる。

 さらに、心理的な作用として、「一人っ子が理想」だとする長年の概念を取り払うだけの大家族や子育てによるメリットより、デメリットが危惧されている現状がある。

 筆者の友人で、北京に住む共働き夫婦も、日頃、こうつぶやく。

 「住宅費の高騰だけでなく、保育施設不足に加え、将来的に高齢化する『4人の親』の面倒を見る資金に備え、2人の子供より、1人に経済的、精神的支えを集中したい」

 さらに、長年の「一人っ子男子優遇政策」が中国の男女比を狂わせた。

 男の子を持ちたいという伝統的な考え方から、作為的な中絶や流産で、出産可能な女性の絶対数が極端に少ないのだ。

下着から寝具にいたるまで、春節では「赤」に統一することで、その年の繁栄がもたらされるという
下着チェーン「古今」のディスプレイ

 そのため、最近では中国人男性とベトナム人女性の強制的な結婚が国際問題に発展しているほどだ。

 こうした状況に、出生率が最も低い遼寧省では昨夏、減税、教育費、さらには住宅費の補助や出産・育児休暇の延長など、助成策を打ち出した。

 また、江西省は、人工中絶規制を強化する指針を発表。女性が人工中絶を希望する場合、医療従事者3人の同意署名を義務づけた。

 男児の出産優遇阻止の策というが、「国家の人口計画達成が目的だ」「女性は、自分の卵巣の選択肢もないのか」などと、ウェイボーなどで批判が殺到、炎上した。

 そんな中、今年1月4日、中国の中国社会科学院は「中国の人口は、2029年の14億4000万人をピークに減少に転じ、労働力減少は中国経済に重大な影響を与える」と政府に異例に、国家の制度改革を求めた。

 こうした経済後退や国力低下の危機感から、国に頼らず独自に少子化対策を実施する企業も現れた。

 世界有数の中国のオンライン旅行企業、「シートリップ」はこのほど、社員の子供が学齢期を迎えた際、ボーナスを支給するほか、中国企業初の取組みとして、女性管理職の「卵子凍結」費用補助を決めたことを発表した。

 前述の在米の人口統計専門家、易氏は、「一人っ子政策が、中国の深刻化する少子高齢化の主要因」と指摘した上、「中国の人口減少傾向は、日本が20年前に直面した問題と類似し、中国の製造業界も将来的に、深刻な労働力不足に喘ぐだろう」と警告する。

 しかし、筆者は以前にも指摘したが(「悲惨極まりない中国人の老後 失踪死亡が多発」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51859)、特に中国と日本社会の高齢化の実態には大きな違いがある。

 中国では、「未富先老」。すなわち、「国民が裕福になる前に、高齢化が先に訪れる」。そのため先進国になって高齢化に突入した日本とはわけが違う。しかも、その規模が比較にならない。

 中国では2050年、日本の人口に相当する約1億2200万人が、「80歳以上の後期高齢者」で占められる。実に中国の人口の約9%にもなる。

 また、中国民生部傘下の研究機関、中民社会救助研究院によると、「中国では毎日1300人以上、年間で50万人が失踪する」と悲惨な実態が明らかになっている。

 行方不明の8割が65歳以上の高齢者という。

 今後、経済成長率が低下し、社会保障制度への不満や懸念が高まったときこそ、一党独裁の共産党体制の存続が危ぶまれるだろう。

(取材・文・撮影 末永 恵)

【私の論評】先進国では人口減は経済の衰退に直接つながらないが、中国にその理屈は通用しない(゚д゚)!

冒頭の記事では、人口の減少は経済の衰退につながると無意識に決めつけているようです。これは、日本でも「デフレ人口減少説」などという愚かなことがいわれていたこともあり、多くの人が無意識に正しいと信じているのではないでしょうか。

しかし、これは、真実ではありません。特に、日本においてはそうです。

人口減少と高齢化は、たしかに日本の経済・社会に深刻な問題を生み出しています。しかしその一方で、人口が減り働き手の数が減っていくのだから、日本経済のこれからの成長率はよくてゼロ、自然に考えればマイナス成長だろう、というような考えが広く共有されているようです。

しかし、こうした考えは誤りです。日本の1870(明治3)年から20世紀の終わりまで125年間の人口と実質GDP(国内総生産)の推移を比較した図を以下に掲げます。これをご覧になれば、マクロ経済の成長が決して人口によって決まるものではないということが、ご理解いただけるものと思います。

日本の人口と経済成長(1870年〜1994年)

この間、GDPと人口はほとんど関係ないほどに乖離しています。戦後の日本経済にとって最大のエピソードといってもよい高度成長期(1955~1970)には、経済は年々10%成長したのですが、人口の伸びは約1%程度でした。1%という数字は、全人口、生産年齢人口、労働力人口、どれをとっても大差はありません。毎年10%-1%=9%ずつ「1人当たりの所得」が上昇していたのです。

このグラフは20世紀末で終わっていますが、この図に描かれている125年間は人口が増えている時代でした。人口が減り始めたら、どうなるか分からない、と思った人もいるかもしれません。

これはもっともな疑問だと思います。人口減少はたしかにそれ自体としては経済成長にとってマイナス要因です。しかし、先進国の経済成長は人口要因よりも「1人当たりの所得」の上昇によってもたらされる部分のほうが大きい、という結論は、人口減少の時代にも人口増加の時代と同じように成立します。

百聞は一見に如かずといいます。人口が減り始めた現在の日本経済の実績を見ることにししましょう。厚生労働省社会保障審議会・年金財政における経済前提に関する専門委員会(2017年10月6日)の資料にある過去20年間(1996-2015)の「成長会計」の結果は以下の通りです。



「成長会計」とは、実質GDPの成長率を資本投入・労働投入と、それでは説明できない残差としての「全要素生産性」(Total Factor Productivity、頭文字をとりTFP、通常イノベーションないし技術進歩を表すものと解釈されています)、3つの要素それぞれの貢献に分解する手法です。

さて、結果をみると、1996年から2015年まで、この間には1997~1998年の金融危機、2008年のリーマン・ショック、2011年の東日本大震災などさまざまな出来事がありました。にもかかわらず、20年間の平均成長率は0.8%、そのうち資本投入の貢献分が0.2%、労働投入はマイナス0.3%であり、TFPの貢献が0.9%となっています。

注目されるのは、労働投入の貢献分マイナス0.3%です。この期間、人口は減り始め、それに先立ち労働力人口は減少してきましたから、労働の貢献は0.3%のマイナスになっています。

しかし、TFP(イノベーション)の貢献0.9%により日本経済は年々0.8%ずつ成長しました。人口が減っているから1人当たりに直せば、1%を超えます。人口減少それ自体はマイナス要因だが、先進国の経済成長にとっていちばん重要なのは、やはりイノベーションなのです。

ちなみに、1997年から日本は、マクロ経済政策のまずさからデフレに見舞われ、失われた20年という全く成長しない時代を迎えています。こうした期間があったにもかかわらず、日本経済はこの期間も含め1996年〜2015年まで、年平均で0.8%ずつ伸びてきたのです。

もし、この失われた20年がなければ、日本経済はもっと成長していたはずなのです。やはり、日本のような先進国では、人口がどうのこうのというより、TFP(イノベーション)が経済の発展に大きく寄与しているのです。

では、中国はどうなのかということになると思います。私自身は、中国が日本をはじめとする先進国のようにある完璧とはいえないまでも、ある程度まともな社会構造を持っていれば、日本と同じことがいえると思います。

しかし、中国はそうではありません。先進国と中国の社会構造の大きな差異は、民主化、経済と政治の分離、法治国家化です。これに関しては、先進国では完璧とか十分とはいえないまでも、中国よりははるかに進んでいます。

しかし、中国ではこれが、絶望的に遅れています。これらが整備されていない、遅れた社会ではどのようなことがおこるかといえば、先進国でみられたように、多数の中間層を輩出し、それらが自由な社会経済活動を実施して、多くの富を築くということが阻害されてしまうのです。

過去の中国は、社会構造の遅れから多数の中間層を輩出できませんでしたが、諸外国から様々な方法で莫大な資金を集め、国内の巨額のインフラに投資を実施し、成長してきました。

そのせいか、中国では先進国のように多数の中間層は生まれませんでしたが、少数の飛び抜けた富裕層が生まれました。そうして、遅れた社会構造は今でもそのまま温存されています。

中国が古い社会構造をある程度改革し、多数の中間層を輩出し、それらが自由に社会経済ができるように保証すれば、これからも中国経済は伸びていく可能性がありますし、人口減少になっても経済を伸ばし続けることも可能になるかもしれません。

しかし、今のままでは、それは不可能です。先進国でも、人口減少は様々な社会問題を生んでいますし、これからも生み続けるでしょう。しかしイノベーションによってこれを変えて新たな社会を作り出すこともできます。かつて、多数の中間層を輩出したように、何らかの手段でまた社会構造を転換することもできるでしょう。

しかし、現在の中国共産党は、社会構造は古いままで、国内のインフラ整備は一巡してめぼしいプロジェクがなくなったため、今度は一帯一路で外国に多額の資金して富を創造しようとしています。

さらに、国内では、古い社会はそのままにして、AIなどに多額の投資をして、政府が掛け声を掛け、「中国製造2025」や「高速通信5G」などを推進して、富を創造しようとしています。

本当は、社会の構造転換が重要なのに、それはなおざりにして、多額の資金を投下し、政府が掛け声をかけるという方式は最早通用しません。もうすでに制度疲労を起こしています。

こうしたことから、先進国では人口減少それ自体はマイナス要因ですが、先進国の経済成長にとっていちばん重要なのはイノベーションであるという構造は成り立たないのではないかと思います。

今のままであれば、中国は衰退していくばかりです。そうして、昨年から始まった米国による対中国冷戦Ⅱは、中国の衰退を加速させることになります。

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2017年11月5日日曜日

AIでできる銀行の融資業務、仕事は奪われるが人口減の日本にはチャンス―【私の論評】今後5年以内に政界、銀行、マスコミ再編成の嵐が吹き荒れる(゚д゚)!

AIでできる銀行の融資業務、仕事は奪われるが人口減の日本にはチャンス



説明を追加


 筆者は銀行の人員減というニュースを聞いても驚かない。というか、よくこれまでやってこられたと驚く。

 実は、筆者は旧大蔵省キャリア官僚としては珍しい経歴を持っている。金融検査官だ。検査官になるのは旧大蔵省キャリアの同期でも1人か2人しかいない。たまたま1990年代前半は銀行の不良債権問題が大変な時期だったので、あまり前例のなかった金融検査官を拝命し、同時に不良債権処理プログラムを企画立案した。

 そのためには実際に銀行の金融検査をしなければいけない。そこで、金融検査の現場をみっちり経験し、1日で100件以上の資産査定を行った。

 資産査定とは、銀行の支店の貸出をチェックするもので、ここで金融検査官に不良債権と指定されるかどうかは、銀行にとって死活問題になる。

 支店長や銀行幹部も必死になって不良債権を否定するが、筆者は財務諸表の数字と確率論で対抗した。

 多くの資産査定をやっているうちに、貸出先企業のバランスシートのどこに着目すれば、貸付金の健全度が示されるか、分かるようになった。要するに貸出先企業の財務状況の分析について、数量的に把握できたのだ。

 筆者のこの論法は新鮮だったようで、多くの銀行の人は面食らっていた。いくら情で訴えられても、データで不良債権、しかも、あと2年以内にどの程度のロスが出るかも予測できた。

 このときの経験から、融資業務をかなりの程度自動化、今の言葉でいえばAIにやらせることは可能だと思った。

 企業融資業務は、銀行の中では高度な業務だ。それすらAIでできるとなると、住宅ローンなどの定型融資も当然可能だ。預金や金融商品の販売はもっと容易にAIで代替できる。そうなると、人の塊であった銀行の支店には、ほとんど人が不要になると思ったのだ。

 銀行の本部でも、資産運用などは、下手に人間がやるよりは、ある条件になったら自動的に売買して、損益が一定以上になったらやめるというシステムの方がましだろう。

 筆者は、中央銀行の金融政策ですらAIで可能と思っているほどの論者である。

 よく銀行は、資産運用だけではなく、相続の相談にも乗るというが、税法なら、今や無料で正確なソフトもある。要するに、ほとんどの銀行業務は人がやる必要のないものだということもできる。

 銀行以外でも、単純・定型的な業務はどんどんAIに代わるだろう。ただし、日本は人口減少なのだからこれをチャンスとすべきだ。AIにはできない、人らしい仕事を少ない人でやっていけばいいと楽観的に考えよう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】今後5年以内に銀行、政界、マスコミ再編成の嵐が吹き荒れる(゚д゚)!

私は、「日本は人口減少なのだからこれをチャンスとすべきであり、AIにはできない、人らしい仕事を少ない人でやっていけば良い」という高橋洋一氏の意見には大賛成です。

ただし、AIに実施させる仕事も、少数ながらそれを実施できる人は温存して、実行できるようにすべきであるとは思っています。なぜなら、仕事の改善自体は人しかできないからです。全くAIに任せきりということは、考えられないからです。

それにマネジメントの主体は無論人間です。また、真のイノベーションとは、組織の内部ではなく、組織の外の社会(人間によって構成され)を変えるものだからです。

いくらAIにより、銀行の業務などを実行するようになったからとはいえ、そのことにより組織の外の社会が変わる、具体的には、たとえば、融資を受けるべき企業が融資を受けられるようになり、実際にそれらの企業が融資したことにより、成長し繁栄するようにならなければなりません。

だから、AIが融資業務を実施するにしても、やはり人が関わらなければまともな融資はできないでしょう。ただし、AIが融資の業務に関わることにより、より客観的で、正確な判断ができるということでは良いことであるのは間違いありません。

AIと人との共存は可能か?
ところで、2001年大蔵省がなくなるまでは、日本の銀行は金利から店舗数、預金高に至るまで大蔵省にコントロールされ、箸の上げ下ろし一つ自由にできませんでした。しかし、その代わりに互いに競争する必要もありませんでした。

その結果、新しいビジネスを創り出す必要に迫られなかった日本の銀行は、「土地専門の質屋」と呼ばれるような土地を担保に金を貸すだけのビジネスしかできなくなってしまいました。

不良債権の問題を解決する決断もできなかった日本の金融機関は、外国の金融機関のような差別化のための経営戦略もなく、優秀な人材を育てることもシステムに投資することもせず、結果的に、競争の激しいアメリカの金融業の労働生産性を大きく下回ることになりました。

こうした背景から、1999年に第一勧業銀行・富士銀行・日本興業銀行が事業統合で合意したのが引き金となり、2000年代初頭にかけて大手都市銀行どうしのグループ化、共同金融持株会社の設立が相次ぐこととなりました。

しかしその後日本経済は深刻なデフレに見舞われ、銀行はその対応に精一杯であり、日本の銀行に内在する諸問題はあまり解決されてきませんでした。

しかし、「三重銀行」と「第三銀行」の経営統合などにみられるように、最近銀行の再統合がまた、進む気配があります。最大の変化は、銀行の収益環境が厳しくなっていることです。銀行ビジネスの基本は、「預金を集めて、お金を必要としている企業や個人に貸し出す」ことです。


銀行は預金者に都合のよい、元本保証の預金商品を提供すると同時に、借り手の要望に応じて、預金商品よりも長い期間の資金も提供しています。

銀行の主な収益源は、預金金利と貸出金利の差(利ざや)です。通常の金利体系は、「期間が長いほど金利が高い」ので、銀行は、短期間の低い金利で預金を調達する一方で、期間の長い高い金利で貸出し、「長短金利差」によって利ざやを確保し、安定的な収益をあげてきました。

ところが長年続いた金融引締めの状況が銀行にとって当たり前になってしまった結果、現在の金融緩和で、長期の全ての期間で、金利が相対的にきわめて低くなり、金融引締めが続いた時代よりも利ざやの確保が困難になっているのです。

といより、従来からある銀行の遅れた体制が温存されている部分があり、現在のままでは体制を維持できなくなっているのです。おそらく、今後5年以内に銀行の再統合が進み、銀行の数は現在の1/5くらいになるものと考えられます。

銀行の歴史は「経営統合の歴史」といわれます。明治以降の銀行の歴史をみると、銀行どうしの経営統合は決して珍しい動きではありません。現在営業している銀行も、多くの銀行どうしが経営統合を繰り返しています。今後展開が予想される地方銀行の再編も、いわば「歴史の必然」ともいえるでしょう。

このような状況の中で、銀行の統合が進むだけではなく、AIに様々な業務を実行させるということが急速に進められていくものと考えられます。これが現在良く言われてる、AIも含めたIT技術を使った新たな金融サービス「FinTech(フィンテック)」というものです。


おそらく、今後5年以内に、現状の1/5に統合された銀行が、少ない人で、AIを用いて効率的な業務を実行していく体制が築かれることになります。

今後、銀行業界のリストラが加速します。銀行業界でも早期退職などの嵐が吹き荒れることになるでしょう。そうして、その後は人口減の時代が来ても、現状のような銀行サービスが十分維持できるどころか、それ以上のことができる体制に変わることでしょう。まさに、これから銀行業界は大変革期を迎えるのです。

大変革期を迎えるのは、銀行業界だけではありません。このブログでは、政界、マスコミ再編成がおこることも示唆しました。

今後5年以内に本格的な、政界再編成、銀行再編成、マスコミ再編成の嵐が吹き荒れることになります。銀行に限らず、弱い組織、異常な組織、非効率な組織はいずれ淘汰されるしかないのです。

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2014年1月15日水曜日

日本の低成長巡る大きな誤解 人口減っても1人当たりGDPは伸ばせる―【私の論評】デフレの原因も人口減少ではない!日本はまだまだ成長できる可能性があるどころか、今のままでもとてつもない!しかし、デフレからは是が非でも脱却しなければならない!

日本の低成長巡る大きな誤解 人口減っても1人当たりGDPは伸ばせる

今年の新成人 

新成人人口が過去最低を更新した。この1年間(2013年1~12月)に、新たに成人に達した人口(14年1月1日現在20歳の人口)は121万人と、前年と比べると1万人減少した。

こうした人口減少は、経済にとってどのような影響があるのだろうか。まず経済成長は実質GDP(国内総生産)成長率で見るが、これは給料(1人当たり実質GDPに相当)と人口の掛け算になるので、人口が減少すれば、1人当たり実質GDPが変わらなくても、実質GDPは減少するのは当然である。ここで問題なのは、人口が減少すると、1人当たり実質GDP成長率に影響があるかどうかである。

人口減少すると経済成長ができないというイメージは、過疎地域にある。たしかに、社会的な人口移動によって、働き手が都会に出てゆき、その結果、老人と子供が多く、生産年齢人口(15~64歳)が極端に少ない地域では、所得が発生しようがない。ただし、これは特定地域の話であり、国全体としてみれば、移民などの社会移動があっても、ここまで極端に生産年齢人口が減少することはない。

世界銀行のデータによれば、世界200以上の国・地域の00年以降の平均で生産年齢人口増加率を見ると、年率マイナス0・76が最低である。

ついでに、同じデータベースで、00年以降の平均で1人当たり実質GDP成長率と、生産年齢人口増加率との関係を見てみよう。すると、両者の相関係数はマイナス0・14である。これは、両者にはほとんど相関がないことを意味しており、生産年齢人口の減少は必ずしも経済成長に悪影響を与えるとは言いがたい。

ちなみに、生産年齢人口が減少している国・地域は日本を含めて13もある。その平均の1人当たり実質GDP成長率は3・6%であり、日本の0・8%は13カ国中12位である。要するに、日本の低成長は、生産年齢人口の減少国の中でも際立っているのだ。

人口増加率でみてもも、1人当たり実質GDP成長率との相関係数はマイナス0・21となって、人口減少が経済成長にマイナスとはいえない。また、00年以降の日本の人口増加率の平均はほぼゼロであるが、マイナスの国・地域は19ある。その平均の1人当たり実質GDP成長率は4・3%であり、日本の0・8%を大きく上回っている。

こうしたデータからいえることは、人口が減少しても、経済成長には影響はないということだであり、人口以外に原因があるわけだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

上の記事は要約したものでは、原文はこちらから!

【私の論評】デフレの原因も人口減少ではない!日本はまだまだ成長できる可能性があるどころか、今のままでもとてつもない!しかし、デフレからは是が非でも脱却しなければならない!

今年の新成人(左から)武井咲さん、能年玲奈さん、AKB48の渡辺麻友さん

人口が少なくなったからといって、経済が駄目になるという説は、単なる駄論に過ぎません。そんなことは、わかりきっています。ちなみに、GDPなど、一人あたりに換算すれば、中国は日本やアメリカに遠く及びません。未だに1/10の水準です。中国のGDPが大きいのは、世界一人口が多いというだけのことです。ということは、未だに中国は経済的みれば日本の1/10の後進国ということになります。

にもかかわらず、中国を世界第二の経済大国などというのは、人口の多さを無視して、国全体でまとめとそうなるというだけの話です。しかし、中国の経済統計は、ほとんど出鱈目であり、この事実も怪しいということが言われています。おそらく、今でも日本に及ばず、世界第三の経済大国というのが実体だとする識者も大勢います。

もっとわかりやすい例もあります。現在ロシアの人口は、1億4千万人であり、これは日本の1億2千万人よりもわずかに多い程度です。ロシアの国土は、旧ソ連邦と比較すれば、面積が減ったとはいえ、あの広大な領土に日本よりもほんのわずかに多い人しか住んでいないということが、驚きです。

AKB新成人26人

では、ロシアのGDPはいかほどかといえば、人口は似たようなものですが、日本の1/5です。これは、一人あたりでいえば、中国よりは良いです。それにしても、現状のロシアは、人口は日本とほぼ同じですが、国単位でのGDPは小さく、これは世界10位にも入っていない状況であり、インドよりも小さい状況です。こんなことから、ロシアはいかに取るに足りない小国に成り下がったかが、わかります。こんな事を知れば、日本はこれだけデフレが続いているのに、本当はとてつもない国であることが良く理解できます。これだけ、デフレが続けば、他の国ならとっくに経済が完璧に破綻しています。日本の潜在能力は、かなり高いです。

こういう、事実をつみあげて考えてみれば、上の高橋洋一氏の記事など読まなくても、人口が少なければ、経済は駄目などということは成り立たないということがわかります。それにしても、高橋陽一氏が指摘する数字も、有力なエビデンスです。この数字をみたあとで、人口が少ない国は経済が駄目だなどと決めつける人は、愚かです。

そうして、これは、デフレ・インフレも同じことです。人口が増えれば、インフレに、人口が減れば、デフレになどとまことしやかに言ったり、信じこんだりする人は愚かです。これは、上の高橋洋一氏の示すエビデンスだけでも明らかだと思いますが、これも、いろいろなことからすぐに類推がつきます。ちなみに、デフレは、日本語で通貨縮減と訳されています。インフレは、通貨膨張です。この言葉をみても、デフレ、インフレは、人口などとは関係なく貨幣現象であることがみてとれます。

それに、日本のように人口が減っている国は、世界にいくらでもあります。少子化傾向の国はたくさんあります。しかし、これらの国々で、日本ほど長期間にわたって、デフレに見舞われている国など一国もありません。現実には、人口が減少しているにもかかわらず、インフレに見舞われている国だってあります。これをもってしても、デフレと人口の増減は全く関係ないことがわかります。

それに、さらに極端な事例を考えてみれば、さらにわかりやすいです。非常に物騒な話ですが、たとえば、中性子爆弾を東京都に投下したとします。中性子爆弾は、中性子を用いた爆弾であり、生物は殺傷しますが、生物以外の物質は影響を受けないといわれています。

九州ではこんな衣装の新成人も? う! wwwww

これを東京に投下し、東京の人口が、ゼロになったとします。そうなると、日本人口の1/10の人口がいなくなることになります。中性子爆弾により、家屋やインフラなどはそのまま残ります、無論人いなくなっても、通貨は残ります。そうなる、日本には、1/10の人口が失われたにもかかわらず、通貨はそのまま残ることになります。

さて、この貨幣現象を何と呼ぶべきでしょうか?そうです、通貨膨張です、英語でいえば、いんふれーション、略してインフレです。

こんなことを考えれば、何も難しいことを考えなくても、結論は、デフレ・インフレは貨幣現象であって、人口増減とは全く関係ないことがはっきりします。今の日本、デフレも克服できないのに、経済成長がどうのこうの言っても始まらないです。まずはデフレから脱却すること。そうして、デフレは、貨幣現象にすぎないのですから、それは十分可能ということです。

それにても、こんなに明々白々なことでも、日本は人口が減りつつあるので、経済成長できないとか、デフレは人口減が原因だったと、真顔で言う愚かな人々が大勢います。そんなことの言うことは、全く聴く必要はありません。日本は、デフレを解消すれば、かならず経済的にも大復活します。それに、経済関連の学会では、経済成長やデフレ・インフレなどと関連付けて、論文を発表する人など一人もいません。それらは、全く関係ないということが、従来からまともな経済学者の中では、大昔から知れ渡っていることなので、そんな発表をしても、おかしなげな人間としか思われません。

今年4月からの増税は、残念ながら、これに水をさし、デフレ脱却から遠のかせるものです。残念です。しかし、追加経済対策を実施すれば、経済の悪化を緩和することは十分できます。そうして、次期の10%増税は、やめて、金融緩和と財政出動をすれば、デフレから十分脱却できます。

今年成人された方々は無論のこと、他の多くの人々も、日本は、このさきも人口減少するから、経済発展はしないとか、デフレから脱却できないなどという駄論に惑わされることなく、明るく力強い日本の大復活の日は近いことを信じてそれぞれの道で努力してたただきたいと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2013年3月13日水曜日

民主党・前原G 党資金を持って分党し維新と合流と噂される―【私の論評】民主党は自分たちの最大の敗因をまだわかっていない!!だから戦わずして、もうすでにお前は死んでいる!!

民主党・前原G 党資金を持って分党し維新と合流と噂される

凌雲会(りょううんかい)は、民主党のグループ。通称、前原グループ。

来る参院選で、このままでは暗澹たる結果が待ち受ける民主党。党職員の間では「今回は捨て選挙」という認識で一致しているという。 民主党ベテラン職員はこう語る。

「いっそ12月の総選挙の落選組に“落ちても衆院選に出戻りできない”というルールで出てもらえば、次の衆院選でその選挙区に新しい候補者が立てられて綺麗に世代交代できるという話まで出ている。たとえば仙谷(由人)さんや田中真紀子さんが出て落選すれば、衆院の徳島1区や新潟5区が空くから都合がいい」

こうなると、もっぱら党内の関心は、選挙戦よりも党の金庫にうなる167億円もの資金の行く先だ。

民主党という泥船から、いかにカネを持って脱出するか。参院選に前後して、このカネをめぐる分党工作が活発化する可能性がある。その仕掛け人として浮上しているのが、前原誠司氏だ。

党内では、前原グループが党資金を持って分党し、維新の会と連携するというシナリオが取り沙汰され、地元にも波及しているのだ。京都の民主党関係者はいう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

この記事の続きはこちらから!!

※週刊ポスト2013年3月22日号

【私の論評】民主党は自分たち最大の敗因をまだわかっていない!!だから戦わずして、もうすでにお前は死んでいる!!


このような噂が出るという事自体が、民主党の凋落を物語っています。おそらく、完璧に消えるようなことはないでしょうが、いずれ現在の社民党のようになることが十分予想されます。おそらく、すぐにはならないでしょうが、離党者が多くなり、必ずなります。そうなる前に、前原さんあたりはまだ若いですから、次の機会を狙うなら本当に離党したほうが良いと思います。

それにしても、自分の身の回りの変化について前原さんも、民主党もその本質を全く理解できていないようです。無論、それは、野田さんが解散のときの総理を努めていたからといって、野田さんが原因というわけではありません。

それに、党の体質がどうのとか、民主党が反日的だからとか、そんなことではありません。それに関しては、自民党がなぜ昨年の衆議院議員選挙で大勝したかということが参考になります。

それに関しては、以前のこのブログにも掲載したことがあります。これは、高橋洋一氏の書いた記事に私なりの解説を付け加えたものです。そのURLを以下に掲載します。

安倍自民の勝因は争点を金融政策にしたこと。3月の日銀人事までにインフレ目標・金融緩和が効果をあげないと国会運営は厳しくなる―【私の論評】安倍総裁の日銀に対する決戦の火蓋は切って落とされた!!


詳細は、上の記事をご覧いただくものとして、以下に特に高橋氏が自民党勝利の要因としてあげていた背景のみを掲載させていだたきます。
 自民大勝の原因について、マスコミでは、民主党の体たらく(普天間問題や原発事故対策の迷走、マニフェストに書いていない消費税増税の強行など)があった中で、第三極が一本化できなかったので、消去法として自民党に流れたという解説が多いだろう。

たしかに、小選挙区ではあり得る話だ。このストーリーを全面的に否定するわけでないが、自民党の仕掛けにも勝因があると思う。というのは、今回の総選挙では、前々回の郵政民営化、前回の政権交代というシングルイシューではなく、多くの争点があったからだ。

今回の争点は、当初、消費税増税、脱原発、TPP交渉参加といわれていた。これだと、民主、自民、公明の既存政党と第三極は対立図式になりやすい。

そこで自民党はうまい戦略をとった。金融政策で景気対策を仕掛けたのだ。本コラムで指摘したように、デフレ脱却には金融政策が効果的であるし、実は金融政策は雇用対策になるので、本来であれば民主党などの左派、リベラルの政党が言い出すべきものだ。それを、右派政党の自民党から言いだしたので、民主党などは完全にお株を奪われた格好だ。

あるテレビでは、国民の関心事項では約半数が景気・雇用と圧倒的多数だった。消費税増税、脱原発、TPP交渉参加はマスコミが言うほどに関心は高くなかった。そういう中で自民党は、景気・雇用対策を金融政策で対処するという、これまでなじみのない政策を打ち出した。

確かにこの論点は、絶対にずらすことは出来ないと思います。そうして、この論点は正しいと思います。日本を直近で良くすることといえば、まずは経済を良くすること、そのためにはデフレからの脱却をすること、そのためにはまずは日銀の金融政策を引き締めから、緩和に転換させることです。

これは、全く当たり前のど真ん中です。本当は、消費税増税のとりやめもしくは、条件付きで延期として、とりあえずは、借金をしてでも、政府による財政出動が必要ということも、大きな争点となり得たのですが、これは、民主、自民、公明の三党合意によって、増税法案が成立しているので、ほとんど争点にはなりませんでした。ただし、安倍自民党は、今年秋の経済の様子をみて増税するかしないかを決めると公表していました。

まさに、この景気・雇用対策を金融政策で対処するという、諸外国では全く当たり前の真ん中の政策を前面に打ち出したことは、かなり効果があったものと思います。これは、上の高橋氏の記事にもあるように本来ならば民主党が言い出してもおかしくはありませんでした。実際、民主党の中にも、金融緩和論者も多数存在しました。

このグラフをみても日銀はデフレ誘導していたとしか思えない!!


しかし、前原氏をはじめとする幹部のほとんどは、日銀の金融緩和には消極的でした。私は、麻生自民党政権の時に、麻生氏が日銀の金融政策の重要性を認知して、今の安倍総理のように、政権のはやい時期に日銀に対して金融緩和をせまったり、場合によっては日銀法改正などちらつかせて、徹底的に日銀をいたぶり、その頃に白川総裁を辞任に追い込むようなことでもしていれば、その後円安・株高傾向になり、さらに景気も上向き、当時の自民党は解散することなくまだ続いていた可能性すらあったと思います。

結局、自民党も民主党も肝心要のときに、金融緩和をせずに、八方塞がりになり、解散という事態に追い込まれてしまったというわけです。それだけ、金融緩和は、特に直近の日本にとって重要なことです。 これなしにデフレ脱却はあり得ないです。

しかし、前原氏など、民主党の特に幹部の面々は未だこの事実に気づいていません。特に、前原市は、以下のようなとんでもないことを語っています。

低劣番組『新報道2001』で前原氏がデフレ原因は人口減、円高原因は震災によるサプライチェーンの寸断だと発言−【私の論評】日本で横行する、財政も、金融も、日本自体もわからなくなくなる低劣番組は視聴に値しない!!


詳細は、上の記事をご覧いただくものとして、前原市は、『新報道2001』という低劣報道番組の中で、まずはデフレの原因は人口減だと語っていました。それから、円高は、震災によるサプライチェーンの分断によるものとも語っていました。

このグラフをみれば、人口減とインフレには関係のないことが一目瞭然


しかし、これはことごとく間違いです。結論からいうと、デフレも円高も日銀の金融引き締め策によるものです。そもそも、デフレは貨幣現象であって、人口とは何の関係もありません。日本は、歴史が始まって以来、おそらく、飢饉のときとか、大規模な戦とか、大自然災害を除き、人口は増え続けたと思います。その間にもデフレになったことはあると思います。一方的にインフレだけなどということなかったと思います。こんなことを考えれば、何も難しい経済理論などふりかざさなくても、中学生にもわかる理屈です。

それに、円高が震災によるサプライチェーンの寸断というのも間違いです。サプライチェーンが寸断してしまえば、確かに国内商取引は減りますが、商取引が減ったことによって、円高になるというのはあり得ません。もし、サプライチェーンの寸断が円高になるというのなら、自国通貨が安いことに悩む国は、自国サプライチェーンを大破壊すれば、自国通貨が高くなるはずで。そんな馬鹿な話はあり得ません。大東亜戦争直後の日本が焼け野原になった時期に、円高になったでしょうか?皆目そんな話は聴いたことがありません。

白川総裁は、在任中結局お札などが古くなってすり減って使えなくなって回収したぶんくらいは、紙幣の刷りましなどしましたが、それを超えてまで増刷などしたことは一回もありません。これは、何をいおうと、デフレの最中では異常中の異常です。デフレなら、通常どこの国でも、それを回避するため、金融緩和政策をするのが普通です。その一環として、増刷するのも当然のことです。

しかし、白川日銀は、金融緩和するどころか、結果として引き締めばかりするどころか、まともな増刷すらしたことすらありません。これでは、デフレ・円高基調になるのは当然のことです。

下の動画は、「日銀と財務省と我が国の行方」という名称の倉山満氏の講演会の内容です。


この動画では、歴史もさかのぼり、現在の日銀と財務省のあり方などを説明されています。この動画をご覧いただければ、私が、くどくどと文章で説明するよりも、日銀の金融政策は間違いであったことがわかると思います。特に日銀の金融引締め政策は、中国を世界第二の経済大国に押し上げるために寄与したことを語っていることに注目していただきたいです。

そうして、この動画で、倉山氏は、日銀の金融政策、財務省の財政政策などを含めて、すでに経済の論議は終わったとしています。それらは、すべて終わり、今後はこれを実現するための、政策問題だけであるとしています。そうして、今更、経済の問題をどうのこうのとあげつらう人たちは、馬鹿とスパイだけであるとしています。


ということは、民主党の幹部のほとんどは、馬鹿かスパイということになります。一体前原さんは、どちらなのでしょうか?私は、両方だと思います。先に、掲載した『新報道2001』での前原さんの発言からして、あの発言内容をまともに信じて発言しているというのなら、ただの馬鹿です。しかし、あれを裏の意図があって、語っているとすれば、スパイです。

いずれにせよ、馬鹿かスパイのどちらというのですから、どちらに転んでも駄目です。民主党の幹部は、ほとんどがこうですから、馬鹿にしても、スパイにしても、どのみち駄目です。

フログの冒頭のNEWSポストセブンでは、「民主党は、戦わずして負けている」と結んでいますが、まさに、その通りです。私は、そう思います。皆さんは、どう思いますか?

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2013年1月13日日曜日

低劣番組『新報道2001』で前原氏がデフレ原因は人口減、円高原因は震災によるサプライチェーンの寸断だと発言−【私の論評】日本で横行する、財政も、金融も、日本自体もわからなくなくなる低劣番組は視聴に値しない!!

低劣番組『新報道2001』で前原氏がデフレ原因は人口減、円高原因は震災によるサプライチェーンの寸断だと発言



本日テレビでなにげなく『新報道2001』をみていました。タイトルはなんだったのか、最初からみていなかったので、わかりませんが、私がみていたのは、とにかくアベノミックスに対する反対意見を野党議員が述べている部分でした。

いろいろな議員を意見を述べていて、多少参考になったものもありましたが、特にアベノミクスに対する批判は、論拠があいまいないい加減なものがほとんどでした。その中でも、民主党の前原氏の発言がもっともぶっ飛んだとんでもないものでした。

どういうことかといえば、まずはデフレの原因は人口減だというものです。それから、円高は、震災によるサプライチェーンの分断によるものというものです。(デフレ原因人口減の発言は、上の動画の16::29にでてきます)

こんなぶっ飛んだことを語っているのに、これに反対する議員も議員でない参加者もコメンテーターも誰一人反論も是正もしませんでした。

このこと、一つとっても、『新報道2001』は低劣番組であり、見る価値はまったくありません。この番組をみていたら、ますます、日本の政府の財政政策や日銀の金融政策、それに日本のこと自体がわからなくなってしまうことでしょう。このような番組見る価値がないので、皆さん視聴するのをやめましょう。

【私の論評】日本で横行する、財政も、金融も、日本自体もわからなくなくなる低劣番組は視聴に値しない!!

上の記事は、久々に私の直の論評です。いつもは、ここに他の人が書いた記事などを掲載するのですが、本日はひさびさに自分のオリジナルを掲載します。なにせ、本日は朝からあのテレビを見て、その低劣さに唖然としてしまったものですから・・・・・・・・・。

このグラフをみても、デフレと人口に相関関係はない


まずは、このブログにも過去に何度も掲載したように、前原さんがいうのは、まったく、間違いです。

まずは、デフレは純粋な貨幣の供給量の問題であって、人口とは全く関係ないです。この間違いを論破するのは全く簡単なことです。これについては、このブログの過去の記事にも掲載したことなので、そのURLを掲載します。

日本の人口増加率 過去最低に-【私の論評】人口減解釈への警鐘!!インフレ、デフレは、人口の増減とは全く関係がない!!デフレ人口減説は、都市伝説なみのヨタ話に過ぎない!!

詳細は、この記事をご覧いただければご理解いただけるものと思いますが、デフレと人口減など全く関係ないことは簡単に説明することができます。

簡単に説明します。少し物騒な話になりますが、この世の中に中性子爆弾なるものがあって、それが実用かされていたとします。そうして、この爆弾建物や機械などは壊すことなく、人間だけを殺傷するものとします。無論、紙幣は燃やすことなく、硬貨を溶かしたりしないものとします。



この爆弾が日本に落とされ、日本人の90%が殺害されて、10%のみが残ったとします。そうなるとどうなりますか、貨幣はどうなりますか?10%の人しか残っていないのに、100%の人たちがいたときの、貨幣が市場に流通していることになります。そうなると、どうなりますか、人口減で、大インフレになるのではないですか?

デフレ、インフレは、モノと通貨の関係であり人口とは何の関係もない


無論そんなことにならないように、日銀は、貨幣を回収して、必要な貨幣のみが流通するようにして、大インフレにはならなないうにすることでしょう。こんなことから考えて見みても、インフレとかデフレとかは、貨幣の市場での流通の問題であって、人口の増減とは全く簡単ないことがご理解いただけるものと思います。これは、マクロ経済学でも、十分説明されていることで、デフレ、インフレと人口の増減は、まったくもって関係ありません。

それから、円高についてですが、これについてもこのブログで掲載したことがあります。それにしても、円高の原因が、震災によるサプライチェーンの寸断によるものとは、考えもつきませんでした。しかし、どうしてそうなるのか、どなたか合理的な説明ができる方、是非コメントをお寄せください。

以下に、特に震災に関連した円高の要因について説明した過去の記事のURLを掲載させていただきます。

【日本の解き方】白川日銀総裁は“デフレ・円高大魔王” - 経済・マネー - ZAKZAK―【私の論評】財政ばかりでなく、金融政策にも目を向けよ!!

詳細は上記の記事をご覧いただくものとして、円高に関係する部分を以下にコピペしておきます。
こうした日銀の対応のまずさもあり、日本は、3.11から円高傾向であり。3.11後さに超円高傾向になったことは皆さんご存知だと思います。このとき何が起こったかといえば、当然震災・津波の被災者に対する応急措置のため、円の需要は平時の時よりもはるかに高まり、そのまま放置しておけば、円高が進行することはわかりきっているのに、またまた、日銀は、増刷拒否の姿勢を崩さず、いたずらに超円高の事態をまねいてしまいました。
為替レートの問題は、複雑な事象がからみあっていますから、何ともいえない部分があることかは確かですが、それにしても、震災直後の円高は、サプライチェーンの寸断にあるなどということは絶対にあり得ないです。これが事実だとすれば、通過安に悩む国は、サプライチェーンを徹底的に破壊すれば、すぐに通貨高になるということになります。そんなこと、にわかに信じることはできません。やはり、震災による円需要の高まりに応じて、日銀はありとあらゆる手段を講じて金融緩和をすべきであったものを、現実にはその反対をやっていたということが最大の原因です。円需要が増しているときに、金融引締めをすれば、円高になるのは、当たり前の真ん中で、疑う余地がありません。

サプライチェーンの寸断が通過高を招く?


それにしても、前原氏がこのような愚かな発言をしても、誰も反対も、指摘も是正もしない。それも、野党議員ならいざしらず自民党の議員もしない。こんな変な番組を見ていたら、頭がすっかりおかしくなり、日本の財政も、金融も、日本国自体もわからなくなってしまうと思います。しかし、今の日本では『新報道2001』に限らず、ほとんどのメディアがこのような有様です。こんなものは、視聴するに価値もないと思います。そう思うのは、私だけでしょうか?皆さんどう思われますか?

あっ、一つだけ視聴する価値があるかもしれません。それは、ありとあらゆる対日工作員とか、偽装転向コミンテルンが、政治家などにどのような影響を与えているを確認するためです。しかし、これは、ある程度マクロ財政や、マクロ金融政策がわかっている人の高等テクニックと認識すべきです。このあたりに自信のない人は、ただただ工作員に操られるだけですから、見ないほうが良いです。

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