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2018年9月21日金曜日

北方領土問題は今度こそ動くのか 「2島返還論」のタブーを解禁するとき―【私の論評】GDPが東京都より若干小さい小国ロシアを文字通り小国にすれば、北方領土はすぐ返還される(゚д゚)!

「2島返還論」のタブーを解禁するとき

北方領土の国後島を訪問したロシアのドミトリー・メドベージェフ大統領
(当時、2010年11月1日撮影、資料写真)

 自民党総裁選挙で、安倍首相が3選された。3期目に積み残した課題は多いが、その1つは北方領土問題だ。9月12日にウラジオストクで開かれた東方経済フォーラムで、ロシアのプーチン大統領は、突然「前提条件なしで年末までに平和条約を結ぼう」と提案したが、安倍首相はその場では答えなかった。

 これについて総裁選挙では、石破茂氏が「領土交渉が振り出しに戻った」と批判したのに対して、安倍首相は「ロシアはいろんな変化球を投げてくるが、ただ恐れていてはだめだ」と否定的ではなかった。1956年の日ソ共同宣言から動かなかった北方領土問題は、今度は動くのだろうか。

北方領土は「日本固有の領土」か

 多くの日本人は「歯舞・色丹・国後・択捉の北方4島は日本固有の領土だ」という政府見解を信じているだろうが、問題はそれほど自明ではない。歴史的には、この4島に日本人が住んでいたことは事実だが、国境線は動いた。

 外務省ホームページによると、1855年、日魯通好条約で、択捉島とウルップ島の間の国境が確認された。1875年の樺太千島交換条約では、千島列島をロシアから譲り受ける代わりに樺太全島を放棄したが、1905年のポーツマス条約では日本が南樺太を譲り受けた。

 1945年2月のヤルタ会談で南樺太と千島列島をソ連の領土にするという密約が結ばれたが、これには法的根拠がない。1945年7月のポツダム宣言では、日本の主権が「本州、北海道、九州及び四国並びに連合国の決定する諸島」に限定されると規定したが、この宣言にソ連は署名していない。

 日ソ中立条約に違反して1945年8月に参戦したソ連は、北方4島を武力で占領したが、その後も日本とは平和条約を結んでいない。1951年のサンフランシスコ平和条約で日本は「千島列島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄」したが、この条約にソ連は参加していない。

 1956年の日ソ交渉では、領土問題について日ソ間で意見が一致する見通しが立たないため、戦争状態の終了と外交関係の回復を定めた日ソ共同宣言を締結した。このとき「歯舞群島及び色丹島は平和条約の締結後、日本に引き渡す」と明記されたが、国後・択捉については何も決まっていない。いつまでも日ロ関係を混乱させている北方領土問題とは、この2島の問題に過ぎないのだ。

2島返還論という「変化球」

 プーチン大統領の提案は「平和条約を結んでから領土問題を話し合おう」というものだが、2島を「平和条約の締結後、日本に引き渡す」という約束を実行するなら検討に値する。彼は「いま思いついた」と言ったが、このように重要な問題について思いつきで発言するとは考えにくい。おそらく日ロの事務レベルでは合意できなかったので、彼の独断で提案したのだろう。

 その真意は分からないが、最近のロシア経済の苦境から推定すると、平和条約を結んで経済を回復しようということかもしれない。ロシアはずっと「クリル諸島(千島列島)はすべてロシアの領土だ」と主張しており、クリル諸島には北方4島がすべて含まれているので、歯舞・色丹を返還するだけでも彼らにとっては譲歩だ。

 だが日本政府の定義では、4島は千島列島に含まれないので、2島だけ返還すると「固有の領土」である国後・択捉を放棄することになる。2島返還論は外務省がずっと否定してきたもので、自民党も反対してきた。ところが今回、自民党でも右派と見られていた安倍首相が、これに前向きともとれる態度を取ったのは意外だ。

 日本政府が4島返還の原則を変えない限り平和条約は締結できないが、国後・択捉を返還されても日本人が移住することは困難で、経済的メリットはほとんどない。割り切って考えると、安全保障と2島の領有権のどっちが重要かというバランスの問題だろう。

「4島か2島か」より大事な問題

 2島返還論は、この62年間タブーだった。「それは戦後のドサクサにまぎれてソ連が不法占拠した主権侵害を事後承認するものだ」という主張は、筋論としては正しいが、それが日本政府の一貫した方針だったわけではない。

 サンフランシスコ条約で「千島列島」の領有権を放棄したとき、国会で吉田茂首相は南千島(国後・択捉)は千島列島に含まれると答弁した。日本も一時は、2島返還で平和条約を結ぼうとしたという説もある。

 2016年の日ロ首脳会談のときプーチン大統領は、1956年の日ソ交渉のとき、アメリカのダレス国務長官が重光外相に「もし日本がアメリカの利益を損なうようなこと(2島返還)をすれば、沖縄は完全にアメリカの一部となる」と述べたと記者会見で語った。つまりアメリカは2島返還で平和条約を結ばないよう、日本に圧力をかけたというのだ。

 これが「ダレスの恫喝」といわれる話で、プーチン大統領がそれを引き合いに出したのは、「日本も本当は2島返還を考えていた」と言いたいのだろうが、そういうアメリカ政府の方針は外交文書で確認できない。そういう経緯があったとしても、2島返還を正当化する根拠にはならない。

 それより大事な問題は、もし歯舞・色丹が返還されたら、そこに自衛隊や米軍の基地を設置するのかということだ。これはロシアにとっては脅威になるが、日本にとっては2島返還でも基地を置くことができれば重要な意味がある。領土問題は国家主権の問題であるとともに、日米同盟の問題である。

 原則論としては、4島返還が正しい。ここで日本が妥協すると、今後ロシアとの外交交渉でなめられるという懸念もあるだろう。だが日本とロシアのような大国間で平和条約が締結されていない状況は異常であり、安全保障の上で問題がある。

 平和条約では領土を確定するので、そこに2島返還を書けばいい。かつて日ソ中立条約を破って参戦したロシア人だから約束を守らないかもしれないという不信感もあるが、そういうことを言い出したら外交交渉はできない。このへんは外交テクニックの問題だろう。むしろ障害は、これまで固く2島返還を拒否してきた外務省にある。

 北方領土は、プーチン大統領と信頼関係を築いた長期政権の安倍首相にしか解決できない厄介な問題だ。そろそろタブーは解禁し、2島返還論を議論してもいいのではないか。

【私の論評】GDPが東京都より若干小さい小国ロシアを文字通り小国にすれば、北方領土はすぐ返還される(゚д゚)!

上の記事を書かいた方、なぜロシアがあそこまで北方領土の返還を渋るのかその理由がわかっていないようです。それがわかり、それに対象する方法を実行すれば、意外と北方四島はすんなりと返ってくるかもしれません。

ロシアがかたくなに北方領土返還を拒む理由筆頭は、軍事的理由を挙げることができます。

ロシアの核戦略上、北方領土が接するオホーツク海が極めて重要な位置を占めているのだ。これが、北方領土返還を嫌がる隠された理由です。

オホーツク海に潜むロシア太平洋艦隊所属の弾道ミサイル搭載原子力潜水艦(SSBN)は、米本土を核攻撃できます。ロシアにしてみれば、北方領土、とりわけ、オホーツク海に面する択捉島、国後島の2島を日本に返還することは、ロシアの戦略原潜の安全にとってマイナスになってしまうのです。これが北方領土問題をややこしくしているのです。
 
この問題は冷戦時代に遡ることらができます。SSBNは、潜水艦の特性から海面下に潜むことができ、核戦争の最後まで生き残りを図ることができます。

そのため、冷戦時には、米ソ戦の決をつけるべく両国は相手国が最終的な核攻撃を行うか、この残存を梃子に戦争終結交渉に持ち込むかするだろうとみていました。まさに、最終的な核攻撃の前に、SSBNは、最後の切り札の役割を担うと考えられていたのです。
 
ソ連の海軍戦略は、このSSBNの安全確保を最重要の柱として組み立てられました。この作戦構想は、その区域には何ものも入れない、いわゆる『聖域化(たとえばオホーツク海の聖域化)』であり、専門用語では『海洋要塞戦略』と呼ばれました。

極東においても『海洋要塞戦略』の登場により、オホーツク海およびその周辺海域が、核戦略上の中核地域となるに至ったのです。

地上戦に敗れるようなことがあっても、SSBNの安全が確保されるかぎり、第二次大戦のドイツや日本のように無条件降伏を押し付けられることはない。そのような要求には『相互自殺』の脅しをもって応えることができるからです。

ソ連のアメリカに対する核戦略上の「最後の切り札」が、オホーツク海に潜む戦略原潜(SSBN)だったのです。そして、ソ連が崩壊してロシアになった今でも、この構図は基本的に変わりません。だからこそ、ロシアは今でも北方領土を返還することを渋るのです。

このあたりを認識した上で、産経新聞の論説副委員長・榊原智が四島返還の決め手について現実的な提案をしています。その記事のリンクを以下に掲載します。
【風を読む】四島返還の決め手はこれだ 論説副委員長・榊原智
北海道・根室半島の納沙布岬(左下)沖に浮かぶ
北方領土の歯舞群島=2016年12月、北海道根室市

この記事比較的短いので全文以下に引用します。
 安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領が22回目の会談をしたが、北方領土問題の進展はなかった。それどころかプーチン氏は、領土問題棚上げの平和条約締結という身勝手な提案をする始末である。 
 中立条約を破って侵攻し、不法占拠を続ける旧ソ連・ロシアが悪いに決まっているが、憤っているだけでは始まらない。そこで北方四島返還につながる秘策の一端を披露してみたい。 
 戦後日本の対露交渉上の問題点を、安倍政権も抱え込んでいる。ロシアにとっての北方領土の軍事的価値を十分に意識せず、その価値を突き崩す努力をしてこなかったという点だ。 
 ロシア人は日本人の想像以上に軍事を重視する。北方四島の広さの93%を占める択捉、国後両島はオホーツク海に面しており、この海にはロシアの核ミサイル搭載原子力潜水艦(SSBN、戦略原潜)が潜んでいる。北欧のバレンツ海に配備された戦略原潜と並ぶ、対米核攻撃用の虎の子だ。 
 米国がロシアに先制核攻撃をしても戦略原潜は生き残って米本土に報復核攻撃を行う。この死活的に重要な戦略原潜があればこそ、ロシアは米国の核攻撃を抑止でき、最悪でも無条件降伏を免れると考え、自国を米中両国と並ぶ「大国」と見なすこともできる。 
 択捉、国後両島の返還が実現すれば自衛隊や米軍がオホーツク海で潜水艦狩りをしやすくなる。日本がそれはしない、北方領土に基地も置かないという約束を持ちかけても、自国の国防の根幹と世界的地位に関わるためロシアは決して同意することはないだろう。 
 では、日本はどうすべきか。防衛省自衛隊の知見を対露外交に取り込むべきだ。知恵を絞って先端の科学技術で自衛隊の能力を高め、有事には北方領土を利用せずともオホーツク海に潜むロシアの戦略原潜とそこから発射される核ミサイルを迅速に無力化できる態勢を黙って整えればいい。これは専守防衛に反しない。共同経済活動よりも有効な返還促進策であり、対露交渉が進むこと請け合いだ。
これは、かなり現実的です。 確かに、有事には北方領土を利用せずともオホーツク海に潜むロシアの戦略原潜とそこから発射される核ミサイルを迅速に無力化できる態勢を整えれば、ロシアが北方領土にこだわる理由はないし、これと北欧のバレンツ海に配備された戦略原潜も無効化できようになれば、ロシアは名実ともに小国になり果てるからです。

ロシアが小国というと、怪訝に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、現在のロシアは経済的にみても、科学技術や国の体制や人口をみてもとても大国とはいえません。小国と呼ぶのがふさわしいです。

なぜなら、まずはGDPは日本の東京都よりも若干小さいです。韓国と東京都はだいたい同じくらいのGDPです。現在のロシアのGDPはなんと韓国よりも若干小さなくらいの規模なのです。

そうして、産業構造は過渡に石油や天然ガスに頼る状況であり、その他は軍事技術は別にして、さしたる技術などありません。その意味ではまさしく発展途上国と言っても良いくらいです。

さらに、人口は1億4千万人であり、日本の1億2千万人より若干多いくらいです。あの広大な領土にこの人口です。これは、中国には遠く及ばないですし、インドにも及びませんし、米国にも及びません。

これでは、とてもロシアを大国などとよぶわけにはいきませんが、ただし上の記事にもあように、米国がロシアに先制核攻撃をしても戦略原潜は生き残って米本土に報復核攻撃を行います。この死活的に重要な戦略原潜があればこそ、ロシアは米国の核攻撃を抑止でき、最悪でも無条件降伏を免れると考え、自国を米中両国と並ぶ「大国」と見なすことができているのです。

このことだけが、かろうじて現在にのロシアが「大国」扱いされるわけですが、それを除けば、ロシアの実体は小国と呼ぶにふさわしいです。

ロシアの戦略原潜

そうして、ロシアの原潜の潜むバレンツ海とオホーツク海の聖域を完璧に無効化してしまえば、ロシアは名実ともに小国になるわけです。そうなれば、経済大国日本が交渉すれば、ロシアは4島返還にも応ずることでしょう。

そのような状況になれば、なんといっても一番の脅威は中国です。ロシアは世界でもっとも長く中国と国境を接している国でもあります。中国もロシアのように一人あたりのGDPでは米国はおろか日本にも及ばないですが、それでも人口が13億79百万人と桁違いに多いです。

さらに、最近では経済力を伸ばし軍事力も伸ばしています。現在のロシアにとって、最大の軍事的な脅威は、中国です。

今のところは、ロシアは「大国」扱いで、中国がロシアの領土等に対して野心を抱いたにしても、かなり簡単に屈服させることができます。しかし、将来はどうなるかはわかりません。現状でも、ロシアと中国の国境があいまいになり、多数の中国人がロシア領に越境して、様々な活動や事業を実施しています。この状況は国境溶解として、このブログでも以前紹介したことがあります。

日日中国の脅威が増しつつあるロシアでは、いずれ中ロ関係を大事にするより、日米英同盟に接近することも十分考えらます。

さて、ロシアのオホーツク海の戦略原潜の聖域無効化する方法ですが、これについては榊原智氏も明らかにはしていません。

まず最初に考えられるのが、潜水艦です。南シナ化では、すでに日米の潜水艦がチョークポイントに潜み、中国の原潜等の監視にあたるほか、訓練なども行い、中国の喉元にあいくちを突きつけたような状況にあることこのブロクでも解説しました。

このように、日米がオホーツク海に多数の潜水艦艦を配置するというやり方もあると思います。ただし、中国は未だに南シナ海を中国の戦略原潜の聖域には未だしていません、というか出来ない状態にあります。

未だ中国が聖域化していない海域に、日米が潜水艦を配置したとしても、軍事的な対立は起こりにくいですが、すでにロシアが聖域化しているところに日米が潜水艦隊を常駐させるようなことをすれば、軍事的な緊張が極度に高まることになります。ただし、ロシアの対潜哨戒能力は日米と比較してかなり低いですし、ロシアの経済規模からすれば、これに対応することは限られています。実際に潜水艦を配置されてしまうと、ロシアは太刀打ちできなく亡くなるのは事実です。

これに変わる方法はないかと考えてみましたが、あります。それについては、以前もこのブログで紹介したことがあります。その記事のリンクを掲載します。
潜水艦の時代は終わる? 英国議会報告書が警告―【私の論評】水中ドローンが海戦を根底から覆す(゚д゚)!
海上自衛隊の潜水艦「そうりゅう」

 これまでの「対潜水艦戦」(以下、ASW)は、少数の艦艇および有人機によって実行されていた。これらの仕事は、広大な荒野で逃亡者を探す少人数の警察のようなものだった。最も可能性の高い逃走ルートや隠れ家に戦力を集中させて、幸運を祈るだけであった。
 
 しかし、安価な無人機の登場によって、逃亡者の逃走は不可能になる。一人ひとりの探知能力は低いものの何千人もの応援が警察の側につき、隅から隅まで全域を探索するようになるからだ。 
 小型偵察ドローンが米軍を中心に増加している。精密攻撃が可能な小型無人機もイスラエルなどで登場してきている。
 しかも最近の米国防総省は、大量の小型ドローンを「群れ」として使う研究を進めている。例えば、米海軍は「コヨーテ小型偵察無人機」というASW対応の小型無人機を開発した。コヨーテ小型偵察無人機は哨戒機から投下されるや飛行形態に変形し、熱センサーで水温を測定し、風速・圧力などの様々なデータを収集可能する。 
 そもそも偵察機を飛ばす必要はなくなるかもしれない。米海軍が開発した小型水上無人機「フリマ―」は、今までASWの主力であったソノブイ(対潜水艦用音響捜索機器)の代替になる可能性がある。
 また、やはり米海軍が開発した「セイル・ア・プレーン」は、飛行機であると同時に偵察時は水上で帆を使って帆走し、太陽発電と波力発電で充電できる偵察機である。
 水中グライダー式の小型無人機もある(水中グライダーは推進機を持たず、浮力を調整することで水中を上下しながら移動する)。大阪大学の有馬正和教授が開発した「ALEX」は低コストの水中グライダーである。有馬教授は、1000ものALEXのような無人機の群れで構成される巨大な共同ネットワークで海洋研究調査を行うことを提唱している。
このような空中、海上、水中のドローンを開発して、 自衛隊の能力を高め、有事には北方領土を利用せずともオホーツク海に潜むロシアの戦略原潜とそこから発射される核ミサイルを迅速に無力化できる態勢を整えるのです。

分解したシーグライダー(水中ドローンの一種) ワシントン大学応用物理研究室が、
地球温暖化による氷河の変化を観察するため開発したもの  軍事転用もすすみつつある

無論最初は潜水艦等とドローンの混成であっても良いと思います。聖域から比較的離れたところに日米潜水艦隊が潜み、多数のドローンが隠密裏に聖域を常時監視し、何かあればすぐにドローンが潜水艦に連絡し、潜水艦や艦艇、航空機がすぐに攻撃をするという方式でも良いと思います。

ただし、将来は監視から攻撃までドローンがすべて行うという方式が望ましいと思います。これによって、ロシアの潜水艦は誰から攻撃されているかも、いつ攻撃されたのかもわからないうちに、海の藻屑と消えているような方式が望ましいと思います。

監視型、攻撃型のドローンを数百から数千もオホーツク海のロシアの戦略原潜の聖域に常時設置して、普段から哨戒任務にあたらせ、もしものことがあればすぐに原潜とミサイルを攻撃して無力化できるようにするのです。

そうして、実際にオホーツク海で多数のドローンを用いた演習をして、ロシア側にみせつけるのです。

これは、「はやぶさ」で惑星探査ができる技術力を持つ日本ならば、短期間のうちにできるはずです。

これにより、ロシアを文字通り小国化することができます。小国化したロシアは、日米と対立するよりは、日米に接近し、中国の脅威を払拭したいと考えるに違いありません。そのときに、日本がロシアと北方領土交渉すれば、かなり有利に交渉できるのは間違いありませんし、おそらく北方四島は日本に返還されるでしょう。

しかし、こうしたことをしないで、返還交渉をしたとしても、二島返還ですら相当難しいと思います。今こそ、発想の転換が必要です。

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2016年10月19日水曜日

【日本の解き方】輸出も輸入も不振の中国経済 GDPが伸びるのは無理がある 習体制は持ちこたえられるか―【私の論評】長期の調整期に突入した中国でいずれ大規模な政変が(゚д゚)!

【日本の解き方】輸出も輸入も不振の中国経済 GDPが伸びるのは無理がある 習体制は持ちこたえられるか

中国の2016年9月の輸出入 輸出は6ヶ月連続で前年割れ、輸入も再度、前年割れに
中国の9月の貿易統計は、輸出が前年同月比10%減と、6カ月連続で前年割れし、輸入も同1・9%減と2カ月ぶりに前年割れとなった。これらの数字は、中国経済が内需、外需ともに不振であることを示している。

 共産党の一党独裁で社会主義国の中国では、統計はあてにならないと筆者はかねてより主張している。国営企業が経済の中心である社会主義国では、経済統計が産業を所管する役人の成績に関わるので、改竄(かいざん)がしばしば行われる。

 だが、貿易統計はその中でも信頼できる統計である。というのは、貿易は相手国があり、中国で貿易統計を改竄すると、相手国の統計からばれる確率が高まるからだ。

 輸出減の中身をみると、地域別では欧州や東南アジア向けが中心である、品目では衣料品や半導体、自動車部品などだ。輸出減の原因は、世界経済の低迷によって中国製品の需要が落ち込んだことであるが、従来型の輸出では競争力が弱まっているという見方もできる。

 ここで2008年のリーマン・ショック以降の人民元のレートを見よう。人民元は管理されており、基本的にはドルにペッグ(連動)している。リーマン・ショック以降2年間はほぼ完全にドルペッグしたが、その後3年間はやや人民元高に誘導、その後3年間逆に人民元安に誘導し、現在はほぼリーマン・ショック時と同じ水準に戻っている。

 円に対しては、リーマン・ショック後の円独歩高の結果、大幅な人民元安となったが、アベノミクスの金融緩和で円安になったため今度は人民元高になった。ここ1年では再び人民元安となって、ドルと同じようにリーマン・ショック時の水準に戻っている。

 対ユーロでは、ユーロ安なので、結果として人民元高傾向である。リーマン・ショック時と比べて、人民元はユーロに対し25%高くなっている。このため、中国のユーロ向け輸出は、欧州経済の低迷もあって減少した。

 輸入は、基本的には可処分所得の動向で決まるので、その動向は国内総生産(GDP)の動きと連動している。輸入が対前年同月比でマイナスというのは、中国のGDPが伸び悩んでいることをまさに示している。

 輸出が外需、輸入が内需の動きを示すので、輸出、輸入ともに減少しているのに、GDPが伸びているというのは、どこかに無理がある説明だ。

 外需が芳しくない要因は、短期的には改善しない。また内需も中国国内の過剰生産が解消されない限り解消しないだろう。こうした意味で、中国貿易は当分の間、低迷するだろう。

 中国の統計で貿易統計だけが信頼できるものである以上、貿易の低迷はまさに中国経済そのものの低迷を意味していると筆者は見ている。

 中国経済不振の中で、習近平体制がどこまで持ちこたえ得るか、不満のはけ口として日本たたきに走る恐れもあり、注意深く見守る必要がある。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】長期の調整期に突入した中国でいずれ大規模な政変が(゚д゚)!

上の記事で、高橋洋一氏が指摘するように、比較的信用に足る、貿易統計からみても中国の経済はかなり危険な状況にあるのは間違いないようです。

他のソースからも、中国経済の危険な兆候を読み取ることができます。

国際決済銀行(BIS)
国際決済銀行(BIS)は9月18日、GDP(国内総生産)の2.5倍に膨れあがった中国の債務総額が、「今後3年間で深刻な問題を引き起こす兆候である」との警告を発しいますた。

7月にもIMFが同様の警鐘を鳴らし、中国政府に企業債務に対処するよう要請しているものの、中国経済の崩壊への懸念はますます高まるばかりです。

中国社会科学院は歯止めがきかなくなった中国の負債総額が、2015年末にGDPの249%に値する25兆6000億ドル(約2602兆2400億円)に達したと発表しました。

BISの統計からも、発行債券額が2015年第4四半期から2016年第1四半期のわずか半年間で7兆8929億ドル(約802兆3132億円)と、1475億ドル(約14兆9933億円)増えていることが判明しています。

またゴールドマン・サックスを含む欧米の金融機関も、シャドーバンキング(正規の融資システムを通さない影の融資)の実態などを根拠に、実際の数字がさらに巨大化している可能性を指摘しています。

最近では中国人民銀行による景気刺激策が、結果的には企業負債と個人負債を押しあげるきっかけとなったという見方が強いのですが、その根本には他国の経済危機の影響を最小限にとどめる意図で、中国政府が与信を拡大しすぎたという背景があるようです。

総与信とGDPの差を算出した場合、一般的な経済危機レベルが10%であるのに対し、中国が30.1%に達している点にBISは強い懸念を示しているのです。

米国では総与信対GDP比率の差が10%を突破した後、サブプライム住宅ローン危機が訪れました。

サブプライム住宅ローン危機が起こり、住宅ローンが
払えなくなった住民の強制差し押さえを執行中の武装警官。
しかし中国自体は、周囲の懸念もまったく他人ごとといった様子という印象を受けます。

今年8月の銀行による融資は7月の2倍。その多くが住宅ローンの借り入れだったといいます。中国の銀行は2008年の金融危機以来最高の気前のよさで住宅ローンの申請に応じており、不良債権問題の影は微塵も感じられません。

またUBSも今年上旬、中国経済の行く末に関して、国内貯蓄率の高さや資本市場の成長の可能性を理由に、比較的楽観的な見解を示すレポートを発表しています。

ただし中国はあくまで「短期負債で長期負債資金を回転させている」との指摘もあり、経済市場自体が景気刺激策に依存しきっているリスクは打ち消せません。

銀行による不良債権比率が政府の発表している2%をはるかに上回っていた場合、中国には銀行システムの資本再編が必須と予想されているのですが、中国政府がどこまで現実を受けいれすみやかに対処するかにすべてがかかっています。

「借金で国を豊かにする」という発想はけっして中国にかぎったことではありません。経済成長が鈍化し、借金とともに国民の資産が増えるという悪循環は、多くの先進国が経験しています。

中国の統計は出鱈目なので、結局ところこのような当て推量をするしかないのですが、やはり高橋洋一氏がブログ冒頭の記事で指摘しているように、輸出入は相手があることから、あまりごまかしもしにくいし、たとえ中国が貿易統計をごまかしたにしても、中国の輸出入の相手国の統計から、現実にかなり近い数字を類推できます。

その輸出入からの数字でみても、特に輸入が著しく減っているということは、常識的に家は、中国はすでにデフレに陥っている可能性が高いということです。

この状態だと、雇用状況も悪くなっている可能性があります。中国では、ずい分前から大学の新卒の就職率などかなり落ちていましたから、若者の就職率の悪さだけでは特に悪くなったかどうかは推定することはできません。しかし、最近このブログでも掲載したように、退役軍人が中国国防省の前でデモをしたという珍事が発生しています。おそらく、退役軍人の雇用状況は最悪なのでしょう。

さらに、1-6月期の中国の投資において、民間投資はわずかに対前年同期比2・8%の増加に過ぎませんでした。代わりに、国有企業が対前年同期比23・5%と、投資全体を下支えしています。

要するに、現在の中国は民間が投資意欲を喪失し、政府の公共投資を国有企業が受注することで、何とかGDPが維持されている状況になっているのです。

投資ではなく、消費を見ても、やはり「政府」の影響力が強まっています。1-6月期の中国の個人消費は対前年同期比10・3%と、GDP成長に貢献しました。しかし、消費の主役が何かといえば、自動車購入でした。

長期の調整期に入った中国経済

実は、中国共産党政府は景気の急激な失速を受け、自動車販売を下支えすべく、小型車やエコカー向けの減税や補助金といった政策を打ったのです。結果的に、自動車販売が増え、消費総額が拡大したわけなのですが、投資同様に「政府の政策主導」になってしまっているのです。

このような状況のなかで、今回の貿易統計の結果です。これだけ輸入が激減したということはは、もう完璧にデフレに入ったとみなすべきでしょう。

デフレに入ったのであれば、金融緩和をすれば良いということになりそうですが、そのような常識的な判断は中国には当てはまらないです。中国経済のより本質的な問題は、設備投資が盛り上がらないことではなく、逆に設備が過剰であることにあるからです。

中国の場合、他国にない優れた技術力を保有しているという訳でもない訳ですし、それに賃金も上がり続けているので、安い労働力を武器とした輸出に頼るのも限界です。

ということで、中国の経済は調整期に突入したと言えるのです。そして、その調整のためには相当の時間を要すると考えるべきでしょう。

このような長期の調整期に入るのは、中国としては初めての経験です。そのため、習近平政権に対する風当たりもかつてないほど強くなります。おそらく、習近平体制は近いうちに崩れることでしょう。

しかし、ポスト習近平の後の体制も経済をすぐには好転させることはできないでしょう。しばらく、政権交代が比較的短期におこる可能性があります。そうして、それが繰り返されることになる可能性があります。かつての中国なら考えられないことですが、今後の中国では多いにあり得ることです。そうなると、中国共産党の統治の正当性は地に堕ちることになり、いずれ大規模な政変に結びついていく可能性が大きくなりそうです。

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2016年1月26日火曜日

やはり正常ではない中国経済 GDPと輸入統計に食い違い ―【私の論評】政治的メッセージである中国の統計や戦争犠牲者数は、人民の感情に比例する?

やはり正常ではない中国経済 GDPと輸入統計に食い違い 

グラフ、動画、写真は、ブログ管理人挿入 以下同じ

中国は2015年の実質国内総生産(GDP)成長率が前年比6・9%になったと発表した。中国の統計で成長率が7%を割り込むのは25年ぶり。不動産投資などが伸び悩んだのが原因だと説明している。

資本主義国であれば、目標が7%で実績が6・9%なら何の問題もない。目標達成であり、この程度の差は統計誤差の範囲だといえる。

ただし、社会主義国では経済統計の「捏造(ねつぞう)」は日常茶飯事である。中国のほか、日本、香港、韓国、シンガポール、台湾における最近20年間の経済成長率を統計分析すると、中国の統計数字は突出して動きが少ない。

中国の統計の問題を指摘するのは、中国政府と何ら関わりのない独立系の人たちだ。どこの国の金融機関であっても、政府ににらまれると、中国国内での金融活動に支障が出るので、中国の経済統計が怪しいとはめったにいわない。

ただし、最近ではあまりの統計数字と実態の乖離(かいり)が激しくなっているので、統計問題は徐々に表面化しつつある。

中国の経済統計は実体経済の正しい姿と言うより、政治的なメッセージと受け止めるべきものだ。中国政府の意図は、対外的には「中国経済は良くないが心配しないでほしい」という願望、対内的には「7%成長は政治的な強い意志だ」との表明である。


中国の経済統計は、軍事パレードと同じような、政治的メッセージと同列とみるべき

GDP発表の1週間ほど前に発表された貿易統計は、外国との関係があるので、捏造しにくい。それによれば、15年の輸入は14・1%の減少である。輸入減の原因は資源価格の低下によるものと説明されているが、中国が発表した経済成長率が正しいなら、猛烈なデフレ経済になっていないとおかしい。

要するに、貿易統計が正しい場合、経済成長率が正しくないか、デフレ経済かということになってしまう。どちらにしても、中国経済は正常ではないというわけだ。

中国当局は、これまでの投資中心の成長から消費中心へソフトランディング(軟着陸)していくと説明しているが、経済成長論から見れば、まさに1人当たりGDPが1万ドル近辺で停滞する「中進国の壁」にぶち当たっている感じだ。

この壁を破るのはかなり難しく、政治体制も含めた構造改革のようなものが必要だろう。特に社会主義国が中進国の壁を破るのは並大抵ではない。目先を考えても、資本の自由化や国有企業改革が必要であるが、これらは中国の一党独裁主義の政治体制を揺るがすものだ。

最終的には、民主化して一党独裁を打ち破る政治的な自由が必要になるが、それがどこまでできるだろうか。最近の中国政府は逆に、人権活動に対する締め付けを強化している。

習近平指導部は体制維持に必死であるので、経済的自由につながる政治的な自由を許すような環境にはない。中国の株式市場は、社会主義の中での資本主義という「木に竹を接ぐ」ようなもので、そこにひずみが生じているようだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】政治的メッセージである中国の統計や戦争犠牲者数は、人民の感情に比例する?

ブログ冒頭の、高橋洋一氏の記事には、中国の貿易統計が正しい場合、経済成長率が正しくないか、デフレ経済かということになってしまう。どちらにしても、中国経済は正常ではないと述べています。

まさに、その通りです、ブログ冒頭に掲げたグラフは、マネックス証券が作成したものです。輸出入の統計は、中国政府が出す統計などを参照しなくても、中国以外の各国の対中国輸出・輸入統計を調べてそれを合計すれば、おおよそ正しい数字が出ます。

このグラフをみると、高橋洋一氏が指摘したように、昨年はマイナスです。貿易収支は、プラスですが、それは輸出に比較すると輸入が相対的に減少しているので、プラスになっているだけです。

このグラフは、日本のマスコミの記者の方々も良く勉強されると良いと思います。何やら、日本の新聞の経済記事を読むと、貿易収支はプラスであることが無条件でその国の経済にとって良いことの良いような記事を良く見かけます。しかし、そうではないことをこのグラフは見事に示しています。

貿易収支が真っ赤であっても、その国の経済にとって悪いどころか、良いこともあります。たとえば、ある国がそれまで景気が良くなくてデフレだったのが、緩やかなインフレに転じて良くなった場合、一時的に輸入が突出して増えて、貿易収支が赤になることがあります。

だから、貿易収支黒=経済が良い、貿易収支赤=経済が悪いなどということは、断定できません。赤字、黒字などというのはそれだけでは、何を表しているわけでもありません。その背景を知ることにより、はじめてその意味するところがわかります。

それては、さておき、上のグラフと、中国GDP統計を比較すれば、確かに中国のGDPの統計には問題があります。

上の記事でも指摘している通り、"中国の経済統計は実体経済の正しい姿と言うより、政治的なメッセージと受け止めるべきもの"なのです。

これに関しては、経済統計ばかりではありません。中国の主張する歴史もそのように解釈すべきです。抗日70周年記念軍事パレードもそのような「政治的メッセージ」の一環であると受け止めるべきです。

抗日70周年軍事パレードに参加した女性兵士は平均年齢20歳、
平均身長1メートル78センチのモデル並みのスタイルだった
中国の「政治的メッセージ」は、官僚(中国には選挙がないので政治家は存在しません、政治に関与するのはすべて官僚です)だけに及ばず、学者も発信します。

「諸君!」(2006年)2月号の大特集『もし中国にああ言われたらこう言い返せ』の中の櫻井よしこさんの論文に、「中国社会科学院」の研究所員であ学者が登場しますが、これがおよそ学者とは思えないとんでもない「政治的メッセージ」を発信しています。

戦後60年(ブログ管理人注:この記事の内容は戦後60年のものだった)の間に中国政府が日中戦争の犠牲者の数字をどんどん水増ししてきたことについて、櫻井さんと中国社会科学院の研究所員とのやりとりの箇所から引用します。

 中国人による“数字”について、私は2005年夏、興味深い体験をした。 
 「文藝春秋」の企画で杏林大学客員教授の田久保忠衛氏と共に北京を訪れ、中国を代表する学者2名と共に日中歴史問題について論じたときのことだ。 
 中国側の学者両氏は、歴史問題では日本が悪いとの主張を、表現を変えて繰り返した。 
 私は彼らに、320万人から570万人、2168万人、さらに3500万人へと被害者数が増加した根拠について問うた。 
 さらに、たった一種類しかない中国の国定教科書で、日中戦争の犠牲者は1960年までは1000万人と教えられ、85年には2100万人と改訂され、95年には3500万人と、なんの説明もなく増えていったのはなぜかとも問うた。 
 彼らは当初、右の問いには全く答えようとせず、話題を他の点に移そうとした。 
 しかし、中国流の事実の歪曲を知るにはどうしても答えてもらわなければならない。 
 三度目に問い質したとき、中国社会科学院研究所研究員の歩平氏が次のように答えたのだ。 
 「戦争の犠牲者についてですが、歴史の事実というのは孤立して存在するのではなく、それは感情というものに直接関係してくるということを申し上げたいと思います」 
 馬脚を露すとはまさにこうしたことだ。 
 日中戦争の犠牲者の数の理不尽な増加が国民感情に直結していると言うのであれば、その数は日本への恨みと憎しみの感情表現に他ならず、歴史事実とはなんの関係もない。 
 しかもその恨みと憎しみを愛国主義教育によって植えつけ、増幅させるのが中国の国策である限り、反日感情も、犠牲者数も、その主な部分は中国政府自らが創作したものだと言われても弁明できないだろう。 
 右のくだりで歩平氏はこうも述べた。 
「たとえば南京大虐殺の30万人という数字について、当然、根拠はありますが、これはたんに一人ひとりの犠牲者を足していった結果の数字ではありません。被害者の気持ちを考慮する必要もあります」 
 中国を代表する立場で、社会科学院の学者が、事実上、南京事件の犠牲者、30万人という数も、事実ではないと言っているのだ。 
 中国国民の感情の反映であれば、この数字もいつの日か、日中戦争全体の犠牲者の数が根拠もなく増加したのと同じく、増えていく可能性はゼロではないだろう。
要するに、一言で言ってしまえば、「中国の大東亜戦争時の犠牲者数は、人民の感情に比例する」ということであり、 これは政治的メッセージであるということです。

中国政府による発表は、このように多くの場合、真実や歴史とは関係なく、「政治的メッセージ」と受け取るべきなのです。

南京虐殺記念館に掲げられた政治的メッセージ「犠牲者数30万人」

そうして、この「政治的メッセージ」は、対外的だけではなく、中国国内でも広く流布されています。

たとえば、中国の首相である李克強が、かつて「中国の統計はあてにならない」と自ら述べています。中国の幹部ですら、中国のGDPの本当の値を知らないようです。

このような状況で、彼らは中国経済をコントロールしなければならないのです。これをたとえると、まるで夜中のハイウェイを車のライトもつけず、スピードメーターなしで走っているようなものです。いつどこで、事故が起こるかわかったものではありません。

歴史に関しても、南京虐殺は本来ファンタジーに過ぎないのですが、中国では30万人も虐殺されたとて歴史教科書などに掲載し、それで多くの人民が教育を受けます。それで、多くの人民が怒りを覚えて、反日デモなども政府演出による官製デモ以外の人民による自発的なデモを繰り広げました。

しかし、最近ではそれも下火になっています。なぜなら、反日デモをそのまま放置しておくと、いつの間にか反政府デモにすりかわってしまうので、最近では中国政府が反日デモを規制しているという有様だからです。

経済でも、歴史でも、真実を公表しないで、いつも「政治的メッセージ」を発信するという繰り返しを行っていれば、経済も破綻し、歴史観も破綻し、いずれとんでないことになるのは明らかです。

何よりも、政府は真実を知ろうとする人民を愚弄しているということになります。政府の力量不足で、経済があまりパッとしなくても、人は何とか生活できれば、たとえ貧乏であっても、それには耐えます。しかし、どんなに豊かであろうが、なかろうが、「政治的メッセージ」などの真摯さの欠如には耐えられません。

中国では、建国以来選挙はありません。だから中国には、私達が想定するような政治家など存在しません。存在するのは、官僚だけです。しかし、そんな中国でも、リーダーは選出されます。そうして、その中国のリーダーたちが、真摯であるかどうかは人民は、1〜2年でわかります。リーダーたちの、無知や無能、態度の悪さや頼りなさには、人民も寛大たりえます。しかし、真摯さの欠如は許しません。決して許しません。人民はそのような者をに選ぶことを許しません。

中国が発信するメッセージはほぼ「政治的メッセージ」とみなすべき、そこに人民の声はない
今のところ、人民が反発しても、中国のリーダーたちは人民を弾圧して、仮初(かりそめ)の平穏を演出しています。そうして、国内外に自分たちの「政治的メッセージ」を発信して、何とか中国共産党の正当性を保持しています。

「政治的メッセージ」とは、自分たちの正当性をアビールするために発信するものです。正当性がはっきりしていれば、このようなメッセージを発信する必要などありません。

日本でも無論「政治的メッセージ」が皆無とはいいません。しかし、もともと選挙という民主的手段で選ばれる日本の政治家は、中国のリーダーたちのように、「政治的メッセージ」をあまり必要とはしません。

とはいいながら、日本でも政治家ではない財務省の官僚による「政治的メッセージ」が新聞などでよく見られます。先に示した、貿易収支の意味をあまり理解しないようなマクロ経済に疎い経済記者が、財務省の「政治メッセージ」である観測記事など、あまり吟味もしないままそのまま掲載したりしています。

そうして、政治家や政党も、「政治的メッセージ」を発信することもあります。しかし、中国と比較すれば、日本などの先進国では「政治的メッセージ」はかなり少ないほうです。これは、政治的メッセージの有無というよりも程度問題であると思います。

私達も、中国のメッセージは多分に「政治的メッセージ」が含まれていることを理解すべきです。そうして、中国の「政治的メッセージ」とはあたかも中国人民の感情を表すように装いながら、中国政府の正当性を主張するものです。それを理解せずに、中国と接すれば、真の中国が理解できなくなります。

しかし、このようなことは長続きするはずがありません。いずれ、中国の現体制は崩壊するものとみなすべきです。なぜなら、「政治的メッセージ」を頻発しなければ、成り立たない政府とはかなり脆弱だからです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年3月24日火曜日

GDPで日本の2倍の中国だがいまだ日本抜きで経済成り立たない―【私の論評】張り子の虎の実体はもう明らか、日本は本物の虎に対する投資を増やすなど正しい資源配分をするべき(゚д゚)!


中国の経済は張り子の虎(゚д゚)!
 中国のGDP(国内総生産)はすでにドルベースで日本の約2倍となった。しかし、実態は「張り子の虎」。いまだ日本抜きで中国経済は成り立たない。中国の製造業は日本企業の製品や技術が支えているといっても過言ではない。企業のコンサルティングを行なうなど中国ビジネスに詳しい高田拓氏が語る。

「例えば、白物家電でトップクラスの世界シェアを誇る中国の家電メーカー・ハイアールの冷蔵庫を分解してみると、特に上位機種ほど、コンプレッサーなどの基幹部品はパナソニックなど日本製が使われています」

ハイアールの基幹部品は、日本製(゚д゚)!

他にも、2008年にノンインバーターエアコンで世界市場1位だった中国メーカー・珠海格力電器(グリー・エレクトリック)と業務提携した空調大手のダイキン工業は、同社に独自の「インバーター技術」を供与。代わりにグリーのコスト競争力を得ることで、かつてはゼロに近かった中国国内のインバーター機普及率を6割近くまで高めた。

「最近では中国市場に数多くあった日本ブランドの家電製品、携帯電話の影が薄くなっているが、ハイアールやダイキンの例に見られるように、基幹部品や技術で多くの“日本製”が内蔵されている。つまり、日本企業は『BtoB』に構造転換しているのだ。一見して見えにくいが、実は日本が中国企業の躍進を下支えしているといえる」(高田氏)

自動車でも同じことが言え、サプライチェーンの上流部、付加価値の高い分野で日本企業の製品は大きな存在感を発揮している。中国で組み立てられるスマートフォン「iPhone6」は、部品の半数が日本製で構成されている。

中国のiPhone6組み立て現場

日本の技術力がなければ、世界第2位の中国経済もまた、なかった。『日本経済がなければ中国・韓国は成り立たない』(海竜社刊)を上梓した真壁昭夫・信州大学教授が語る。

「輸出入を合わせた中国の貿易量では、日本が3位の相手国(香港を除く)。日本より上位の欧州と米国はどちらもGDP16兆ドル前後、人口も3億人を超える。日本はそれらに比べて人口も経済規模も小さいが、中国経済に占める存在感は大きい。

中国への直接投資でも、2014年は前年比38.8%減と大きく落ち込んだが、それでも2位を占めている。数字に表われない技術移転も多いから、総合的に見れば、中国の日本への依存度が高いことがわかる」

※SAPIO2015年3月号

【私の論評】張り子の虎の実体はもう明らか、日本は本物の虎に対する投資を増やすなど正しい資源配分をするべき(゚д゚)!

中国のGDPと日本のGDPを比較してみます。

中国のほうが、はるかに上を行っているようですが、これが本当であるかどうかは、甚だ疑問です。まずは、ドル換算していることにより、最近の円安傾向で、従来よりは日本のGDPが低くなっています。さらに、胡散臭いところもあります。なぜなら、過去に李克強現首相自身が中国の統計はあてにならないと述べているからです。

それについては、このブログでも掲載したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。
【大前研一のニュース時評】中国の経済統計、信用できず!副首相“発言”が示唆−【私の論評】大前研一氏が今更指摘するまでもなく、中国の統計はデタラメ!!気をつけなければならないのは、それだけではない!

この記事は2012年5月のものです。詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では、英フィナンシャル・タイムズ紙が、李克強(り・こくきょう)第1副首相が、かつて経済成長を評価する際に「GDPではなく、電力消費量、鉄道貨物輸送量、銀行融資の実行という3つの統計を重視する」と語っていたことを紹介したうえで、最近発表されたこれらの数値がいずれも落ち込んでいる指摘したことを掲載しました。

アメリカなどの経済学者の中には、こうした中国の統計の出鱈目ぶりを指摘して、中国は未だに世界第二の経済大国にはなっていない可能性があることを指摘しています。

こうしたことから、アメリカでは中国の経済を正しく測るための指標として、夜間の電気などにより推計する方法を開発中ともいわれていました。

それだけ中国の統計は出鱈目だということです。この出鱈目ぶりからも、中国の経済は張子の虎であるといえると思います。

さて、以下は比較のために掲載しましたが、日本と中国との一人あたりのGDPの比較です。総体では、中国の人口は日本の10倍近くありますから、日本よりGDPが大きいということもあり得なくはないです。





しかし、一人あたりに換算すると、まだまだ日本に及ぶどころではないことがわかります。それに、日本と比較すると、貧富の差がかなりありますから、ごく一部の富裕層と、その他大勢の低所得層とに分かれます。その他大勢の低所得層に関しては、未だに日本の1/10程度以下と見て間違いないです。

さて、最近では中国経済成長がかなり鈍化していることはこのブログでも何度か掲載しました。その記事の典型的なもののURLを以下に掲載します。
中国、成長目標下げへ 15年7%前後 安定軌道狙う ―【私の論評】保八を捨てるのではなく、捨てざるをえなくなった中国に将来はないものと心得よ!体制の崩壊と、それに伴う天下の大乱は必定(゚д゚)!


詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に保八に関する記述のみ引用します。
中国には、昔からこの保八という言葉があり、「8%以上の成長率を保とう」という意味合いですが、2009年の全国人民代表大会(全人代)においては、当時の温家宝首相は「保八」への決意を高らかに宣言し、政府の経済運営の最大の数値目標として設定しました。
2009年の全人代で高らかに保八を宣言した当時の温家宝首相
過去15年間に、中国では求職者人口がピークに達し、都市部の急速な発展期を迎えていました。そのため、雇用機会を創出するため、政府当局は経済成長率8%を目標にしなければならなかったのです。
経済の成長率が8%以下に落ちると、失業率が拡大して社会的不安が広がり、体制安定の基盤が根本から脅かされかねない状況なのです。日米独のような先進国とは異なり、8%以上の成長をしなければ、雇用情勢が悪化するのです。
そのため、「保八」は中国当局最大の政治保証で、または中国の経済成長を判断する分岐点となり、人々が中国経済への信頼感を測る最低水準とされていました。この「保八」方針を取りやめた中国政府はやはり国内の経済発展に自信を喪失したのでしょう。
もともと、出鱈目の経済成長率ですから、保八なども簡単に出来そうですが、出鱈目であっても、何とかその出鱈目を粉飾できる範囲というものがあります。おそらく、これから、雇用情勢も悪化することも予想されるのだと思います。その時に保八を実行したなどと言っても、現実の雇用情勢の悪化など隠しおおせない程度に悪化していて、隠しおおせる状況にないのだと思います。

さて、中国は保八も確保できない状況に追い込まれました。ではアジア全体ではどうなのか、以下アジア開発銀行のレポートを掲載します。
 アジア開発銀行(ADB、本部・マニラ)が24日に発表した経済見通しで、日本など先進国を除くアジア太平洋地域45か国・地域の2015年の経済成長率は、14年と同じ6・3%となった。

中国経済がやや減速する中で、インドや東南アジア諸国連合(ASEAN)の成長が補うとみている。 
 中国は14年の7・4%から、15年は7・2%、16年には7・0%になると予測した。中国政府は15年は「7・0%前後」の成長率目標を掲げており、その範囲内で緩やかな減速が続くとみている。 
 一方、14年度(15年3月末までの1年間)は7・4%だったインドは、政府の改革路線が投資増につながっているとして、15年度は7・8%に成長率が高まり、中国を上回ると予想した。 
 タイは、政情が落ち着いたことなどから14年の0・7%から、15年に3・6%になるとみている。 
 ADBは、中国が安定成長路線にうまく転換できない場合や、インドの改革が市場の期待を下回った場合、アジア経済に悪影響が出る可能性があると指摘した。
中国に関しては、今後何らかの形で中国の体制が変わらない限り、経済は停滞し続けることが予想されます。

インドは、中国成長率を追い抜きそうです。成長率だけみているとインドが良いようにもみえますが、ASEAN諸国も伸びそうです。

日本は、中国のような張り子の虎を相手にするのではなく、中身も充実した本当の虎を相手にすべき(゚д゚)!

アジアはまだまだ、経済が伸びます。中国などの張り子の虎、それも反日の虎を相手にしてばかりでは日本もあまり良い目はみません。当面は、日本の経済を立て直し、デフレから完璧に脱却して、その後はまともなアジアの他のパートナーとつきあいを強化すべきです。

張り子の虎の実体はもう明らかになりました。日本は今まで張り子の虎に投資などしてきた分のマネーや、時間、技術などアジアの他の本物の虎に振り向け正しい資源配分をするべきです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年11月4日火曜日

日銀の資金供給量、FRBに迫る GDP比7割に―【私の論評】日経新聞を読めば読むほど、日本経済がわからなくなるというのは本当だった!いっそのこと、社名から「経済」を外して『日本新聞』としてはいかがか(゚д゚)!

2014/11/3 0:45日本経済新聞 電子版

日銀のハロウィーン緩和は、様々な憶測や観測を
生んでいるが中にはとんでもないものも・・・・・・・・

日銀が市場へ供給するお金の量が米連邦準備理事会(FRB)に急接近している。日銀が10月31日に決めた追加金融緩和で、2015年末時点のマネタリーベース(資金供給量)は350兆円を突破し、約450兆円(約4兆ドル)の米国に迫る。国内総生産(GDP)に占める比率は日米欧で断トツの7割に達し、世界的にも異例の領域に入る。

資金供給量が多いほど、中央銀行の金融緩和の度合いが大きいことを示す。日銀は今回の…

この記事の詳細ははこちらから(゚д゚)!

【注意】ただし、この記事自体は、これ以上読む価値はないので、この記事自体を読むために、有料登録する価値はないので、おすすめしません。

【私の論評】日経新聞を読めば読むほど、日本経済がわからなくなるというのは本当だった!いっそのこと、社名から「経済」を外して『日本新聞』としてはいかがか(゚д゚)!

さて、上の記事NewsPicsにも掲載されていたので、それを読んでいると、とんでもない内容であることがわかりました。

そこで、さっそく、批判のコメントを書こうとして、いくつかのコメントを見ていると、経済評論家上念氏のコメントがあり、的を射たものだっので、以下に掲載させていただきます。

上念司氏
マネタリーベースとGDPを比較するという極めて無意味な記事。マネーの絶対量ではなく変化率が問題だということはリーマンショック以来の各国の金融政策とその結果を見れば説明不要なぐらいだし、実際に相関係数を求めてみれば反論できないぐらい強い相関がある。未だに日経新聞がマネーの絶対量と変化率を区別できず、しかもGDPと比較するという旧日銀理論丸出しの記事を掲載し続けることに驚きを隠せない。やはり、間違いを認められない日本的エリートの弱さなのか。 
ちなみに、現金決済が主流の日本において、マネタリーベースの絶対額が欧米より多いのは当たり前の話。なので、絶対額そのものや対GDPを比較すれば、日本は常に欧米よりマネーがたくさん出ているような錯覚に陥る。しかし、市場はそんなもの全く気にしていなくて、中長期的な金融政策のスタンスの変化を見ている。つまり、絶対量ではくてその変化率にこそ反応するということ。日経新聞は何でも数字を出して比較すればいいと思っているのかもしれないが、ゴミのような数字をいくら出してもしょせんゴミはゴミなんです。
これに関して、特に付け加えることもないですが、過去のWBSというテレビ番組で、今回の日経新聞と同じような主張をしたきに用いられたフリップの写真を以下に掲載します。


この写真は、このブログに掲載したものです。掲載記事のURLを以下に掲載します。
日本銀行・白川方明総裁 辞任発表緊急会見 全文文字起こし(2013/2/5)―【私の論評】どこまでも日本を弱体化させたいマスコミ白川総裁の悪行を報道せず!!国民を塗炭の苦しみに陥れた白川への恨み忘れまじ!!
このフリップの写真で、緑色は日本のマネタリーベースをあらわしています。これは、縦軸はGDP比です。こうして比較すると、日本のほうが、アメリカやEUよりも、はるかに金融緩和をしているようにみえます。しかし、現実はそうではありません。

欧米と比較すると、現金取引が多い日本では、そもそもマネーの絶対量は、欧米よりも多いのがあたり前です。しかし、変化率でみると以下のようなグラフになります。

クリックすると拡大します
このグラフは、2007年1月を100として変化率をみたものです。このグラフでみると、日銀が一番下にきます。特にリーマン・ショックのときに日銀は対策を何もしなかったということが、ひと目でわかります。

日経新聞のブログ冒頭の記事は、この頃の日銀の考えから一歩でていないことを、上念氏は指摘しているのです。昨日の、日経新聞のこの記事は、結局過去の日銀の金融政策を正当化し、今日の日銀の金融政策をとんでもないものであるかのような幻惑をしています。

実際に、こうした幻惑にとらわれている、読者もいます。NewsPicsの読者コメントを見ていれば、それが良くわかります。とんでもないことです。

さて、私も、これに対してコメントしようと思いましたが、同じようなことを掲載すれば、単なる繰り返しになるので、私はまた別の角度から、掲載しました。

そのコメントを以下に掲載します。
私の言いたいことのほとんどは、上念氏が言いつくしてしまったどころか、そのはるか上をいっているので、私は、別の側面から日経新聞を批判します。 
はっきりいえば、日経新聞を読んでいると日本経済がわからなくなるということです。この記事でも、日経新聞は、意味のないマネーの絶対量とGDPを比較するということで、読者を幻惑しています。 
こんなことは、日常茶飯事です。最近の酷い例をあげると、『短期国債入札で初のマイナス金利 10月25日 Web版』という記事において、「政府は発行金利の分だけお金を受け取って借金することになる」と掲載していました。 
この表現だと、あたかも政府が借金をするように受け取れますが、事実は、銀行が借金をするということです。 
日経新聞は、このようなことがあまりに多すぎです。おそらく、財務省や日銀などによる観測記事を鵜呑みで掲載するからこのようになってしまうのだと思います。日経新聞を読むときには、なせこのような書き方がされているのか、その裏読みをするくらいのつもりで読まないと、何が何だかわからなくなってしまいます。気をつけましょう。
http://goo.gl/QiIQiF 日本国債に関するデータなど掲載しました。
それにしても、日経新聞、経済記事以外だと、素晴らしい記事がかなりあるのに、経済記事となると途端に質が落ちてしまいます。

日経新聞は、「経済」というワードを外してはいかがでしょうか。いっそのこと「日本新聞」と名称を変えてはいかがでしょうか。そうして、名前に負けないように日本の国益に立脚した、記事を掲載するようにするのです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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日銀 追加の金融緩和を決定―【私の論評】日銀が、追加金融緩和を実行し、政府が積極財政に踏み切れば、数十年ぶりの快挙になるのは間違いない。そうなれば、安倍政権支持率はかつてないほどに上昇することだろう(@@)

日銀総裁「経済状況反映した円安はプラス」、財務相は為替に沈黙―【私の論評】今の水準で"円安ガー"、"円安でも輸出ガー"と叫ぶ人は現実を見ていないただの馬鹿か、あるいはスパイかのいずれかである(゚д゚)!

元エース記者が解説する「アベノミクス 日経新聞は何を考えているのか」―【私の論評】日経新聞を読むと日本経済がわからなくなるというのは、本当だった!!新聞が劣化した三つの要因とは?

【村上尚己氏ツイート】こういう低品質の戯言を展開するメディアこそ競争力に欠ける―【私の論評】鳥頭の日経新聞はおしまいか?これは、バミューダトライアングルとパンの危険性と同じ程度のヨタ話ですぐにバレる内容ではないか(゚д゚)!

「日本の新聞テレビにはほとほと愛想が尽きた!」(総力大特集)という『月刊WiLL』3月号が雑誌部門販売数トップに立った件!―【私の論評】日本の新聞とテレビの怒りを通り越した馬鹿さ加減が、こうしたヒットを生み出した(゚д゚)!

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2014年8月23日土曜日

GDP予想をまったくはずした熊谷亮丸氏・木下智夫氏「今度こそ当たる!年末までは絶対V字回復!なにがなんでも増税だ!」WBS-TL不満大爆発!―【私の論評】無責任民間エコノミストの戯言は、捨て置け!とはいっても多くの人々が幻惑されないよう反論はしておくべし(゚д゚)!

GDP予想をまったくはずした熊谷亮丸氏・木下智夫氏「今度こそ当たる!年末までは絶対V字回復!なにがなんでも増税だ!」WBS-TL不満大爆発!

本日は、以下のような経済評論家上念氏のリツイートがありました。
このWBSの放送が、YouTubeに掲載されていないかどうか調べてみましたが、それはありませんでした。しかし、熊谷氏の本年度の経済見通しに関する動画を見つけましたので、それを以下に掲載します。以下の動画に、熊谷氏がでています。



残念ながら、私自身はWBSの番組は見なかったのですが、おそらくこの動画と同じような内容のことを語っていたのたと思います。この動画の中で、櫻井よしこさんは、熊谷氏の解説にツッコミをいれるでもなく、そのまま淡々として聴いていました。あいかわらず、経済オンチであることが再確認できました。

その他、WBSのサイトを見てみると、番組の説明がありましたので、それを以下に掲載しまする
2014年8月20日放送 23:00 - 23:58 テレビ東京ワールドビジネスサテライト (マーケット) 
SMBC日興証券の牧野チーフエコノミストは0.4%の下方修正、大和総研の熊谷チーフエコノミストは14年度の見通しは下方修正、野村証券の木下チーフエコノミストは0.9%まで引き下げたと3社とも揃って下方修正した。 
理由は増税前の駆け込み需要の反動減が予想を上回ったためという。7-9月期経済成長率予想では野村証券が5.9%増予想と強気であった。野村証券の木下エコノミストは余裕を持って10%への増税決定につながると思うと話した。大和総研の熊谷エコノミストは今の財政状況を考えると増税しなくてはならないと話した。 
SMBC日興証券の牧野チーフエコノミストはまだ完全にデフレから脱却していないので、増税の先延ばしも十分考えられる等話した。
WBSのツイッターのタイムラインは、これに関して、不満が大爆発しているそうです。当然といえば、当然です。

【私の論評】無責任民間エコノミストの戯言は、捨て置け!とはいっても多くの人々が幻惑されないよう反論はしておくべし(゚д゚)!

この反応当然でしょう。年末にかけて、この予測が大幅に外れた場合熊谷氏はどうするのでしょうか。無論責任などとらないです。

熊谷氏の経済見通しの中で、唯一の拠り所は、4-6月期に経済が低迷したのは、3月の駆け込み需要の反動というだけでした。他に何の根拠もありません。

しかし、今回の増税が非常にまずいのは最初からわかっていることです。どうしてまずいのか、いかにその理由をあげておきます。

まずは、第一に日本は未だデフレから解消しておらず、デフレ下の増税は日本でははじめてのことです。これは、良くいわれていることで、いまさらという感じもしますが、以下にまとめておきます。

第一回目の3%増税のときは、日本はインフレでした。

第二回目の97年の5%増税のときも、日本はデフレ気味ではありましたが、あくまで気味というだけで少ともデフレではありませんでした。その後日銀法が改正され、98年からは、完璧にデフレのどツボにはまりました。

完璧にデフレ基調(要するに一部の例外を除き、全体では給料が下がり続ける最中)のときの増税は、今回が初めてということです。

第二に、過去2回の増税のときは、今回のようなネット増税ではありませんでした。

89年消費税創設時には、物品税が廃止され、ネット(全体)で減税でした。97年増税時には、先行減税があり、実質的には増税でも減税てもない中行われまた。しかし、今回の増税はネット(正味の)増税です。

これの悪影響がないはずはありません。唯一の救いは、昨年の4月より、日銀が異次元の包括的金融緩和に転じたことです。

しかし、それにブレーキをかけるような増税です。増税しなければ、2年から3年で日本はデフレから脱却できて、税収もあがり財政再建のめどもたったかもしれませんが、上記のような理由により、デフレからの脱却はかなり遠のくことが考えられます。

来年の10%増税もそのまま実行してしまえば、デフレ脱却のめどはたたなくなります。

それにしても、熊谷氏や、木下氏は無責任だと思います。

熊谷氏に関しては、過去にこのブログで紹介したことがあります。

その記事のURLを掲載します。
消費増税の影響軽視は危険 エコノミストの根拠なき楽観―【私の論評】民間エコノミストには日本の過去の経済史も、イギリスの先行事例も知らない人が多数存在。そもそも、こんな人たちに先の見通しがたつのか、直近の動向だけで判断して本質は理解していないのではないか(゚д゚)!



詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事の熊谷氏に関わる部分のみ、掲載しておきます。
熊谷氏は2009年04月06日に、日本が経済の回復が、遅れるのは、なぜでしょうかと問われて? 
「産業構造の問題だと思います。 
 日本は中国に資本財を輸出し、中国がその資本財で組み立てた製品を米国に輸出する。こうした「三角貿易」的な経済構造なので、日本と最終需要地である米国との間には距離があります。景気回復のタイムラグが生じるのはこのためです。 
 また、内需にインパクトを与えるハイエンドな消費は景気の本格回復に遅れてブレイクします。テクニカルな意味での景気後退は09年末に鎮静化するものの、本格回復には、さらに1年近くを要すると考える理由はここにあります」。 
と答えています。2009年といえば、日本は、日銀の破茶目茶な、金融政策により、デフレのどん底を這いずりまわっていた時です。普通の常識ある人であれば、日本の経済の回復が遅れるのはななぜ、と言われれば何をさておいても、「日本はデフレだから」と間髪を入れずに答えるのが当たり前だったと思います。まあ、熊谷氏や大和総研の皆さん、もしこの指摘に不服があるなら、このブログにでも、堂々とコメントでもいただけましたら、受けてたちます。かかってきなさい。とにかく、信用第一の金融機関の頭脳がこのような愚かなことを言っていたというのは、本当に残念なことです。発言するときには、マクロ経済を踏まえたまともなことを言うべきと思います。 
これは、たまたま、サイトを検索したところ、熊谷氏がでてきたから掲載したのですが、他のいわゆるエコノミストなどと言われる人たちでも、このような的外れなことを言っていた人たちはいくらでもいます。熊谷氏に対する、個人攻撃ではないことをはじめに断っておきます。いわゆる、高橋洋一氏のいう、エコノミストと呼ばれる人たちの、先の見通しというのは、全く信じられないことが多々あります。過去にもあいた口の塞がらない、とんでもない発言をしていた、エコノミストと言われる人々が大勢います。
上の記事を少しだけ捕捉しておきます。熊谷氏が2008年のリーマン・ショックを原因にあげていれば、私はこのような反論など掲載しなかったかもしれません。

しかし、現実にはリーマン・ショックによって、日本の経済が低迷したのは事実です。ただし、私は、リーマン・ショック自体が、日本に直接悪影響を与えたとは思っていません。

本来、日本はあまり影響を受けるはずはありませんでした。しかし、リーマン・ショックの後にアメリカ、EUなどほとんどの先進国において、このショックから立ち直るたけめに、大規模な金融緩和策を実行したにもかかわらず、当時の日銀は何もしませんでした。

リーマン・ショックを伝える新聞。しかし、日銀の不手際を伝えたものはほんどなかった

他国が、こぞって金融緩和をしているにもかかわらず、日本だけが、しなければどういうことになるかといえば、円の流通量が相対的に減って、デフレ状況がさらに進みます。相対的に円が少なくなるのですから、円高になるのも当然の帰結です。

日銀の金融政策の失敗により、日本はさらにデフレ・スパイラの泥沼に落ち込み、円高傾向になったのが、景気低迷と低迷から日本がなかなか抜け出せなかった真の理由です。

こういう背景から、私自身は、リーマン・ショック後の日本の経済の落ち込みをリーマン・ショックではなく、日銀ショックと呼んでいます。

一応、エコノミストと名乗っているのなら、このくらいの論評をして欲しいとも思いますが、リーマン‥ショックのことは一言もいわず、日本が経済の回復が、遅れるのは、なぜでしょうかと問われて、産業構造の問題などと答えるのは、まさに頓珍漢といわざるをえないです。

しかも、直近でも、GDPの予測を全く外しています。

このような人が、なにがなんでも増税だと叫んでも、説得力が全くありません。

このような、無責任民間エコノミストの戯言は、捨て置けといいたいです。

しかし、そうは言っても、この戯事に櫻井よし子さんも、何のツッコミも入れず、インタビューしているわけですから、櫻井さんは少なくとも、熊谷氏に反対しているとは思えません。

櫻井さんといえば、結構影響力がありますから、このような動画を多くの人がみれば、戯事とは見抜けず、信じこんでしまうかもしれません。

ベルリンで、ウクライナ問題にトップレスで訴える女の子たち。こんな批判の仕方もある・・・・

だからこそ、それを防ぐためにも敢えて、本日は反証をあげつつ、反論させていただきました。

今後、増税を巡ってこのような戯事が巷を賑わすことになるでしょう。本来、こんな戯事には関わる必要もないはずなのですが、皆さんも、もしこのようなことに気づく事があった場合、あまりに頓珍漢であいた口がふさがらず、本当に馬鹿馬鹿しいと思っても、他の多くの人々が幻惑されないよう反論はしておくべきと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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