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2020年3月10日火曜日

FRBの利下げと米大統領選、日銀が動かなければ円高に 実質金利下げる量的緩和を ―【私の論評】緩和に踏み切らなければ、日本は雇用が悪化、韓国は奈落の底に落ちこの世の生き地獄状態に(゚д゚)!


高橋洋一 日本の解き方

緊急利下げについて記者会見するFRBのパウエル議長=3日、ワシント

 米連邦準備制度理事会(FRB)は3日、金融政策を決めるFOMC(連邦公開市場委員会)を定例会合の17、18日を待たずに緊急開催し、政策金利0・5%の引き下げを行った。

 しかし、3日の株式市場は反応せず、ダウ工業株30種平均は785ドル安だった。それほど、新型コロナウイルス・ショックは米国人に脅威なのだろう。

 米市場では、今後30日間の株式市場の予想変動範囲を算出し、恐怖指数と呼んでいる。過去にはリーマン・ショック時に90近くまで上昇し、米中枢同時テロやアジア経済危機、ギリシャ危機などの際には50近くまで上昇した。

 今回の新型コロナウイルス騒ぎでも、2月末に50近くまで上昇した。この意味で、リーマン・ショックほどではないが、これまでの大きな経済危機並みに、米国の投資家を恐怖に陥れているといえるだろう。

 トランプ大統領は、コロナウイルスを過度に心配している。11月に大統領選を控え、対応に不手際があると再選が危うくなるからだ。国民の生命に関わる話なので、こうした危機管理に政治家はより細心の注意を払うのだ。

 FRBもそうした政治家の機微に触れる話で躊躇(ちゅうちょ)はなく、今回の緊急利下げを行った。さらなる利下げもあり得る状況だ。

 これが日本に与える影響は、為替だ。今回のFRBの利下げは、日銀が金融政策を変更しなければ円高要因になる。

 本コラムでは、為替決定理論を繰り返し説明してきた。大ざっぱにいえば、円相場は長期的には日米のマネタリーベース(中央銀行が供給するお金)の比率でだいたい説明できるということだ。もちろん、この動きを中期的には日米の実質金利差を使って説明することもできるが、これはともに矛盾しないばかりか、理論的には同じことの言い換えである。

 この理論は、為替の動きをかなりうまく説明できる。日銀は白川方明(まさあき)総裁時代、リーマン・ショックの際に金融政策を変更しなかったが、FRBは量的緩和を行った結果、円高になった。2013年に黒田東彦(はるひこ)総裁になってから、「黒田バズーカ」と呼ばれる量的緩和を行ったので、円安になった。

 しかし、16年9月から黒田日銀は量的緩和からイールドカーブコントロール(長短金利操作)に移行し事実上、金融緩和をやめた。一方、FRBも出口戦略で金融緩和から脱しつつある。このため為替相場は安定してきた。

 しかし、今後FRBが再び金融緩和基調になるのであれば、日銀も為替を動かさないように、金融緩和して同一歩調を取らなければならない。

 もちろん、日本は名目金利はゼロまたはマイナス金利なので、実質金利を下げるように、日銀は再度量的緩和を行う必要がある。

 ここで日銀が名目金利に言及し、「金融緩和の余地がない」という言い訳をしたら、失望だ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】緩和に踏み切らなければ、日本は雇用が悪化、韓国は奈落の底に落ちこの世の生き地獄状態に(゚д゚)!

このブログでは、円相場というか為替についても何度か掲載してきました。簡単に言ってしまうと、米国が金融緩和をして、市場に出回るドルが増えたにもかかわらず、日銀が金融緩和をしなければ、相対的に円高になります。日銀も金融緩和をすれば、相対的にドルと円の価値は変わりなくなるので、円高にはなりません。

円高になるのは、相対的にドルが多くなり、円が少なくなるからです。物の値段も、相対的に物が多くなれば、安くなり、少なくなれば、高くなります。通貨も同じことです。これは、常識を働かせれば、小学生でもわかる理屈です。

しかし、驚いたことに、金融機関の人でもこのような簡単なことがわからない金融アナリストなるが人が日本には、大勢います。円相場に関して、そのような人は、日米の金融政策のことなどおかまいなしに、様々な世界情勢の変化、しかも数ヶ月単位のことしかいわず、もっともらしいことをしたり顔で言うのですが、まるで意味をなしません。情けない限りです。それどころか、日銀の官僚も理解していない人が多いのではないでしょうか。

そうでなければ、日銀が白川方明(まさあき)総裁時代、リーマン・ショックの際にFRBなどはじめ、世界中の中央銀行が、量的緩和を行ったにもかかわらず、金融政策を変更しなかったことの説明がつきません。理解してやっているとしたら、どこかの外国の回し者であったのかもしれません。

中央銀行の資産は金融緩和の度合いに比例する、リーマン・ショック後日銀は緩和しなかったことがわかる

それどころか、日本では金融政策=雇用政策であるということも、一般社会人の常識になっていないようです。そのためでしょうか、枝野氏など金融緩和などはせずに、再配分をすべきということを語っています。これでは、金融緩和せずに最低賃金だけをあげた韓国の文政権のように、雇用を劇的に悪くするだけです。

今回のように、FRBが利下げしても、日銀が何もしなければ、景気が悪化するだけではなく、雇用も悪くなります。それに現状では、物価目標すら達成できていません。日銀は、従来の異次元の金融緩和に戻すべきなのです。

ここは、武漢肺炎がどうのこうのということとは、別にして、とにかくFBRが利下げするというのですから、ゼロ、もしくはマイナス金利の日本としては、量的緩和をするしかないのです。

そうしないと、日本は確実に、円高・デフレにまい戻ることになります。平成年間のほとんどを日銀は、金融引締政策を取り続け、日本をデフレ・超円高の状況に陥れてしまいました。せめて、令和年間には、まともな金融政策で日本を少なくとも、デフレ・円高状況に陥れないようにしていただきたいです。

金融に関しては、この状況ですが、財政に関しては本日は以下のようなニュースが舞い込んできています。

麻生太郎財務相は10日の参院財務金融委員会で、新型コロナウイルス感染拡大で国内の景気が悪化していることに関し「景気対策としての減税は1つの案だ。反対するつもりはない」と述べ、景気対策の一環で、今後何らかの減税に踏み切ることに含みを残しました。

質問した日本維新の会の音喜多駿議員は、昨年10月に消費税率が10%になって以降「日本の景気は悪化局面に入っている」と指摘し、消費税の減税を求めましたが、麻生氏は「消費税(減税)の話をしたのではない」と、くぎをさしました。

新型コロナウイルス対策で米国などが緊急経済対策に着手する中、日本も同様の措置を取るよう求められた麻生氏は「他国のように急にやるのとは違う。我々は細かくやっている」と理解を求めまし。音喜多氏は「リーマン・ショックかそれ以上になるかもしれない、国家の一大事だ」として、早急な対応を求めました。


麻生財務大臣は、消費税については釘をさした形ですが、それでも減税に反対するつもりはないとしています。武漢肺炎であろうが、増税のせいであろうが、景気が悪くなれば、減税の一つの方法であり、これを実行すれば、景気対策になります。その意味で期待できます。

しかも、以前このブログで述べたように8%に減税することは、軽減税率を全品対象にするということですぐに実現できます。8%未満にするには、法律を改定するか、新たに作成する必要があり、ある程度の時間がかかりますが、これも必要とあれば、時間が多少かかっても実行していただきたいものです。

もし、財務省が減税に踏み込めば、日本の景気を悪くしているのは、日銀だけということになります。日銀は、リーマン・ショック時の過ちを二度と繰り返すべきではありません。

さて、FRBの利下げに、日本以外の国々はどう対処するのでしょうか。おそらく大部分の国は、利下げができるところは利下げをし、ゼロ金利に近い国は量的緩和に踏み切るでしょう。

日本は、今のところどうなるかは、わかりませんが、FRBが利下げをしても、絶対に金融緩和しない国が一つあります。それは、韓国です。

韓国は、なぜかひところの日本のように、不正行為撲滅のような構造改革にばかり着目し、なぜか金融緩和、特に量的緩和はしません。ここ数年は、金融緩和せずに、最低賃金を下げるという愚行をしてしまい、雇用が激減するという致命的な大失敗をしでかしました。

韓国は、まもなく奈落の底に落ちこの世の生き地獄状態に。映画『パラサイト』より

おそらく、韓国は今回FRBが利下げをしても、金融緩和策はとらないでしょう。何らかの財政措置はとるものの、金融緩和をせず、雇用は確実に悪化するでしょう。そうなると、どうなるかといえば、現在ですら雇用がかなり悪化しているのに、雇用がさらに悪化して、しかも武漢肺炎がかなり蔓延しているので、とてつもないことになり、奈落の底に落ち、この世の生き地獄状態になるでしょう。

日本の場合は、現状でも控えめながらも緩和策を続けているので、韓国のように酷いことにはならないでしょうが、それにしても、量的緩和を拡大しないと、雇用がかなり悪化するのは必定です。

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2017年8月9日水曜日

【北ミサイル】北朝鮮が「グアム周辺に火星12を発射」と米トランプ政権に警告 小野寺防衛相名指しで「日本列島を焦土化できる」とも―【私の論評】北朝鮮の脅威が顕著になると、円高になるのはなぜ(゚д゚)!


「火星14」発射の様子
北朝鮮の朝鮮人民軍戦略軍は、北朝鮮に対するトランプ米政権の軍事的圧迫を非難し、中長距離弾道ミサイルと称する「火星12」で「グアム島周辺への包囲射撃を断行する作戦案を慎重に検討している」と警告する報道官声明を発表した。朝鮮中央通信が9日、伝えた。

 声明は、作戦案が間もなく最高司令部に報告され、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が決断を下せば「任意の時刻に同時多発的、連発的に実行されるだろう」と主張。米国に「正しい選択」をし「軍事的挑発行為を直ちにやめるべきだ」と迫った。

 トランプ政権が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を行ったり、戦略爆撃機を韓国に飛来させたりしていることに反発したもので、爆撃機の出撃基地のあるグアムをけん制して警告を送るためだとしている。火星12は、5月に試射され、グアムに届く5千キロ前後の射程があると推測されている。

 朝鮮中央通信は9日、「敵基地攻撃能力」保有の検討に言及した小野寺五典防衛相や、安倍晋三首相を名指しで非難し、「日本列島ごときは一瞬で焦土化できる能力を備えて久しい」と威嚇する記事も報じた。

【私の論評】北朝鮮の脅威が顕著になると、円高になるのはなぜ(゚д゚)!

北朝鮮で有事が発生し、日本にミサイルが飛んでくるかもしれない事態になったと普通に考えるとこれは、日本にとってはマイナスな出来事ですので、ドルが買われて、円が売られる円安になるのではと思われます。

しかし、現実にはそうではありません。本日もブログ冒頭の記事のよう似、北朝鮮の危機が有るにも関わらず、円相場は上昇しました。

東日本大震災
東日本大震災の時には、日本は大きな打撃を受けたにもかかわらず、円高になり、G7の国際協調による為替介入を招く事態になりました。

実は、日本にマイナスな東日本大震災の時にも円高になったときの理由は、以前にもこのブログに掲載したように、震災からの復興のため、復興のための資材を購入したりするため、円の需要がかなり高まったためです。

そうして、このようなことは、先進国では良くあることです。実際、東日本大震災の少し前に、オーストラリアで大水害が発生したましたが、このときもいっときオーストラリア・ドルが高騰しました。

ご存知のように、その後も円高が続きましたが、それは、円の需要が高まって円高傾向になったにもかかわらず、当時の日銀が金融緩和をせず、引き締め状況を維持したからです。2013年からは、大規模な金融緩和に踏み切ったため、それまでの超円高は是正され、円安傾向となりました。

金融緩和すれば、通貨安傾向に、金融引締めをすれば、通貨高傾向になります。為替相場は、六割がたはこれで説明がつきます。

簡単に言うと、米国が金融緩和をして、日本が金融引締めをすれば、ドル安、円高傾向になります。米国が金融引締めをして、日本が金融緩和をすれば、ドル高、円安傾向になります。

米国も、日本も金融緩和をしていれば、より量的な金融緩和の度合いが高いほうの通貨が安くなります。

そうなると、金融緩和をどんどん実施すれば、自国通貨をかなり安くできて、有利になると思われる方もいらっしゃるかもしれまんせんが、これにも限度があります。

どこまでも、金融緩和を続ければ、いずれハイパーインフレを招き、良いことはありません。だから、緩和を続けて自国通貨を安くするという、通貨戦争なる幻想はなりたちません。

日本銀行
これで、為替は6割りがたが決まってしまいます。そうして、長期的には通貨高、通貨安はこれが原因でほとんどが決まります。ただし、短期的には、様々な要素があるので、後の4割は、他の要因で決まるわけです。

しかし、今回の北朝鮮の脅威に関しては、特に日銀が北朝鮮の脅威に対応して、金融政策を実行しているわけではないにもかかわらず、北朝鮮の脅威が顕著になったときには、実際には円高傾向になっています。これは、日銀の金融政策とは関係のない動きです。ではなぜ、このようなことが起こるのでしょうか。
それは、大きく3つの理由によると考えられます。

①機関投資家や海外投資家のポジション解消のため
②株価下落による海外投資家の為替ヘッジのため
③日本企業や投資家などのリパトリのため

1つずつ解説したいと思います。

円高理由その1 機関投資家や海外投資家のポジション解消
最初の円高になる理由は、リスク高まったときにおこる機関投資家や海外投資家のポジション解消の動きです。 
大きなリスクがあるときは、相場がどちらに振れるかわからないために投資家がポジションを解消してフラットにする動きが活発になります。 
トランプ政権下で円安ドル高の傾向が高かったためにドル買いのポジション持っている人が多くいて、その投資家たちがポジション解消するとドル売り円買いになり、円高になるということです。
円高理由その2 株価下落による海外投資家の為替ヘッジ
北朝鮮で有事が起こった場合は、まず間違いなく日本株が下落することが予想できます。 
その際に日本市場特有の海外投資家の取引割合が6~7割という特殊性で海外投資家の動きがドル円為替にも波及してきます。 
海外投資家が日本株を買う場合は、自国の通貨から日本円に両替して日本株を買います。 
その際に為替変動のリスクがあるために同時に日本円の売りを行います。いわゆる為替ヘッジと呼ばれるもので、日本円に両替する=日本円を買うという行為を行う場合に反対の注文の日本円を売るという取引をすることによって、為替リスクを避けるというものです。 
株価が下落した場合は、株を売る際に日本円を売るという注文を解消し、日本円を買うことになります。 
株が下落すると日本円を買う注文が入り、円高になるのです。 
さらに海外投資家が、日本株を買う場合は、レバレッジを利かせて日本円を売る注文を出します。 
株価が下落した場合は、証拠金を積み増して、ロスカットを防ぐために円買いを積み増すことも起こります。 
このように日本の株価が下落した場合に海外投資家の為替ヘッジの動きのために円高になるのです。
円高理由その3 日本企業や投資家などのリパトリ
リパトリとは、リパトリエーションの略で企業や投資家が海外から本国に資金を引き揚げることを指します。 
東日本大震災の際にも保険金の支払いなどで保険会社が海外資産の一部を日本円に買える動きが出ています。 
日本に打撃があった場合は、日本で必要なお金を集めるために海外の資産を日本円に変える動きが出てきます。 
その場合も日本円が買われて、円高傾向になります。 
東日本大震災の時には、先に述べたように、円の需要が高まったにもかかわらず、日銀が金融引締めの姿勢を崩さなかったことが、円高の主要因であったことを述べました。 
それと同時に、このリパトリを先読みしてのヘッジファンドなどの円買いが入り、さらに円高に拍車をかけました。 
北朝鮮の脅威が高まると、円高になる理由として上記の3つの動きがあると思われます。ただし、短期(1年以内)の為替はほとんどがランダムウォークであり、予測は困難です。

北朝鮮有事が起こる確率は極めて小さいと思いますので、1994年や2003年のように米国側が攻撃をあきらめるというシナリオが一番ありえそうですが、最悪のシナリオを想定しておくのも重要なことだと思います。

最後にアナリストでも意見が分かれていますので、北朝鮮有事の際に円高になるか円安になるか予想した記事を一覧にします。

私が調べた限りですので、抜け漏れ等はありますが、参考にしてください。

○円高予想

・ロイター:コラム:北朝鮮有事の円相場シミュレーション=佐々木融氏

・日経新聞:北朝鮮有事で円高どこまで 豊島逸夫の金のつぶやき

・Newsweek 「トランプ円高」が加速 朝鮮半島リスクとドル高けん制で

・MONEY VOICE 北朝鮮の隣なのに安全通貨?「無慈悲な日本円買い」はなぜ起こるのか=久保田博幸

○円安予想

・ロイター:コラム:朝鮮半島有事の「日本売り」シナリオ=斉藤洋二氏

・SnkeiBiz:最悪なら「円安」シナリオも…迫る「Xデー」 朝鮮半島有事で日本経済どうなる

・フィスコ:【市況】【フィスコ・コラム】:円:北朝鮮リスク、円はどちらに動くのか?

アナリストの記事では、円高のほうが若干多いようです。私も、その立場をとります。なぜなら、北朝鮮有事の場合でも日本が甚大な被害を受けなければ、上記で述べたようなことが繰り返されることになるからです。

さらに、このようなことはあってはならないことですが、実際に核ミサイルが日本の都市に落とされたとして、現状の北朝鮮の核では大都市の場合は、たとえ、北朝鮮が全部の核を打ち込んでも全部を破壊することは不可能であるため、かなり大きな被害にあったとしても、日本国のインフラなどの大部分は残り、いずれ復興に入るはずです。

そうなれば、東日本大震災のときと同じく、円の需要が増し、当然のことながら、円高となります。

その時に、日銀が金融緩和をすれば、円高を防ぐことができます。東日本大震災あたりまでの、日銀はしょっちゅう金融政策を間違えていましたが、13年頃からようやくまともになりました。北の脅威が顕著になれば、円高にふれることはわかりきっているので、今後はまともな政策を実行していただきたいものです。

それにしても、国家破綻に近かった、ロシア危機や韓国通貨危機、アルゼンチンのデフォルト時には、当然のことながら超通貨安に悩まされました。

日本の場合は、国家が破綻するほどの災厄に見舞われれば別ですが、そうでなければ、円高にみまわれるということですから、いかに日本が強固な基盤の上に成り立っているのか良くわかります。

北朝鮮ウォンなど、今でも価値が低いですが、北有事ということにでもなれば、国際的には紙くず同然になるものと思います。

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2015年12月29日火曜日

2016年、円高に転じるリスクは低下している 金融緩和継続 日銀の補完措置―【私の論評】財務省敗退?来年以降の日本経済は10%増税さえ見送られれば、悪いことなしだ(゚д゚)!


村上 尚己 :アライアンス・バーンスタイン(AB) マーケット・ストラテジスト

来年のドル円見通しは円高派と円安派に分かれている。
日銀が金融緩和継続の方向を示したことで、どう動くのか
12月18日に日本銀行から、予想外の量的金融緩和に関する補完措置が発表された。これは、声明文あるいは黒田総裁の記者会見でも明らかになったように、従来の量的金融緩和政策の補完措置として位置付けられ、政策目標であるベースマネーの増加幅が維持されているという意味では、景気・インフレ率に働きかける追加金融緩和ではない。

マイナーとはいえ予想外の政策変更であり、かつ上場投資信託(ETF)の買取り拡大がメニューとして入ったことで追加金融緩和に踏み出したかのような報じられ方をしたため、発表当日、金融市場は乱高下した。ただ、追加のETF買取り措置は、日銀が保有する株式売却に備えた対応であり、株式需給への影響はほぼ中立であることが理解されたこともあり、最終的に金融市場は株安・円高で反応した。

市場がネガティブに反応を示した理由の一つは、「ぬか喜び」に終わったことに加えて、今回の補完措置に対して「日銀の金融緩和が限界に近づいている」ことを示唆しているという見方がある。「購入国債の年限変更なしに、国債買入れによるベースマネー拡大が難しくなっている」という解釈だ。ただ、日銀による国債購入に限界が近づいているとする議論について、説得力がある見解を筆者は聞いたことがない。たとえば「出口に伴うコスト」が大きい故に限界という議論は、何らかの理由で量的金融緩和を強化したくないだけの理屈にしか筆者には聞こえない。

■株式購入の政策メニューには疑問

実際には黒田総裁などの発言を踏まえると、長期国債買入れ拡大などの追加的な量的金融緩和は常に念頭にあるし、そして18日の対応は、大規模な国債購入を継続することに備えて必要な措置を講じた意味合いが大きいだろう。当社を含め市場の一部では、2016年前半にも日銀による量的金融緩和のテーパリング(縮小)が意識され、それが円高要因になるシナリオが警戒されていた。こうした疑念をぬぐうために、補完措置を講じることで金融緩和強化の方向性をあえて示したのかもしれない。

発表当日の株式市場などの初期反応は芳しくなかったが、実際に債券市場では10年満期ゾーン以降の長期金利が低下するなど、補完措置によってQQEの効果は狙いどおりに強まったと言える。

ただ、今回の政策メニューには、筆者が首をかしげざるをえないメニューも入っている。それは、3000億円の規模で、JPX日経400や新たなETFの購入を通じて、「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業」を支援するという政策メニューである。

中央銀行による株式購入について評価はさまざまだが、脱デフレ・マクロ安定化政策の手段として肯定されうるという見解が多い。ただ「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業」がETF購入を通じて選別されるかという実務上の問題に加えて、個別企業に対する選別する領域に中央銀行が関与するデメリットは小さくないのではないか。脱デフレの後押しと成長率を高めるために、これまでの政策枠組みを粘り強く続けることが必要だと思われる。

こうした問題点を除いて考えると、日銀による補完措置に対する筆者の評価が妥当なら、日銀の政策転換を理由に2016年に円高に転じるリスク可能性が低下した、と推論できる。

2016年にドル円に対する市場の見通しは、円高派と円安派に分かれている。3年続いた円安ももう続かないという経験則が、円高予想の理由になっている側面もあるだろう。ただ、2016年にはFRBが緩やかながらも継続的な利上げを目指し、一方で日銀が国債購入など金融緩和を継続する政策の方向性の違いを踏まえれば、当面円高に向かう可能性は低いだろう。当社では2016年央までは、120-125円のレンジで推移するとみている。

■経常収支がドル円に与える影響はほとんどない
日銀の政策スタンス変更はドル円のトレンドを変える重要な要因だが、2016年の円高シナリオを唱える見解の中には、筆者には説得力に乏しい議論が散見される。一つは、貿易赤字縮小(あるいは経常収支黒字拡大)が円高をもたらすという説である。

ただ実際に、貿易収支の変化→ドル円の変化という因果関係が作用し、資本移動が活発な先進国通貨であるドル円は動くのだろうか。2005年以降は経常収支黒字が拡大する中で円安が続いたし、2011年の東日本大震災で貿易赤字に転じた後も超円高が続いた。これらを踏まえれば、経常収支などの変化がドル円に影響した形跡はほぼないし、また貿易収支がラグを伴って為替レートに影響するメカニズムは納得しがたい。1990年代に貿易収支が日米で政治問題化しドル円相場を左右したが、経済的なロジックが働いたというよりも、当時は経済現象を超越した政治要因が市場参加者の期待を決定したということだろう。

過去10年余りの例を挙げると、2006年の日銀の利上げ開始以降円安に歯止めがかかり、2012年末以降の日銀の政策大転換への期待で超円高修正が始まった。つまり、ドル円の方向には、経常収支の動きはほとんど関係なく、日米の金融政策スタンスがより大きく影響する。2013年の日銀の金融政策の大転換が、超円高修正や脱デフレの始まりと冷静に認識できない論者は、古典的な説明変数である貿易収支などの変化によってドル円相場のすう勢を論じていると筆者は考えている。

【私の論評】来年は財政再建実質完了!日本経済は10%増税さえ見送られば、悪いことなしだ(゚д゚)!

村上 尚己 氏
民間には様々な経済アナリストがいますが、ブログ冒頭の元記事を書いている村上尚己氏は、そのなかでもまともなことを言う一人です。民間経済アナリストというと、特に2013年日銀が金融緩和に転じてから、予想を外しまくる人がほとんどなのですが、この方の予測はいつもあたっています。

他のアナリストがせいぜい半年からひどい場合は、2〜3ヶ月以内のことで判断し、しかもマクロ経済を無視したような、予測をする人が多いですが、この方の場合は、長期にわたる分析で、その背景にはマクロ経済的な知見があります。

そういうことから、このブログでもこの方の記事は何度か取り上げさせていただいています。そうして、来年はこの方の言うとおり、円安傾向が維持されることでしょう。きちんと論理的な道筋をたてて予測していますので、まずは間違いないでしょう。

さて、来年のこととなると、このブログにも度々登場する、高橋洋一氏も興味深い予測をしています。それについては、以下の高橋洋一「ニュースの深層」というコラム記事をご覧になってください。

い。

「日本の借金1000兆円」はやっぱりウソでした~それどころか…なんと2016年、財政再建は実質完了してしまう! この国のバランスシートを徹底分析

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より、まずは以下に「日本の借金1000兆円」はやっぱりウソであることを示す部分を引用します。
借金1000兆円というが、政府内にある(ブログ管理人注以下同じ:金融)資産を考慮すれば500兆円。政府の関係会社(日銀を含む)も考慮して連結してみると200兆円になる。これは先進国と比較してもたいした数字ではない。
これは、全くのこの通りであり、このブログにも過去に何度か掲載してきたことです。ちなみに、政府と政府の関係会社をも含めたものを「統合政府」と呼びます。政府の金融資産を考慮し、さらに統合政府としての連結決算をしてみると正味の政府の借金200兆円です。

300兆円というと、私達個人からすれば、目もくらむような天文学的な金額ですが、それでも日本のGDPそのものが巨大であるため、この200兆円がGDP(約500兆円)に占める割合は、40%です。

確かに、実数だけみると、多額の借金があるように思えますが、それにしても、この水準だと他の先進国の水準とあまり変わりありません。これをもって、日本政府の借金だけが過大でどうにもならない水準とはいえません。

さて、次に2016年に財政再建がほぼ終了してしまうという事実について、以下に引用します。
■今の国債市場は「品不足」状態 
2016年度の国債発行計画(http://www.mof.go.jp/jgbs/issuance_plan/fy2016/gaiyou151224.pdf)を見ると、総発行額162.2兆円、その内訳は市中消化分152.2兆円、個人向け販売分2兆円、日銀乗換8兆円である。 
要するに、今の国債市場は、国債の品不足なのだ。カレンダーベース市中発行額は147兆円であるが、短国25兆円を除くと、122兆円しかない。ここで、日銀の買いオペは新規80兆円、償還分40兆円なので、合計で120兆円。となると、市中消化分は、最終的にはほぼ日銀が買い尽くすことになる。 
民間金融機関は、国債投資から貸付に向かわざるを得ない。これは日本経済にとっては望ましいことだ。と同時に、市中には実質的に国債が出回らないので、これは財政再建ができたのと同じ効果になる。日銀が国債を保有した場合、その利払いは直ちに政府の納付金となって財政負担なしになる。償還も乗換をすればいいので、償還負担もない。それが、政府と日銀を連結してみれば、国債はないに等しいというわけだ。 
こういう状態で国債金利はどうなるだろうか。市中に出回れば瞬間蒸発状態で、国債暴落なんてあり得ない。なにしろ必ず日銀が買うのだから。 
こうした見方から見れば、2016年度予算(http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2016/seifuan28/01.pdf)の国債費23.6兆円の計上には笑えてしまう。23.6兆円は、債務償還費13.7兆円、利払費9.9兆円に分けられる。 
諸外国では減債基金は存在しない。借金するのに、その償還のために基金を設けてさらに借金するのは不合理だからだ。なので、先進国では債務償還費は計上しない。この分は、国債発行額を膨らせるだけで無意味となり、償還分は借換債を発行すればいいからだ。 
利払費9.9兆円で、その積算金利は1.6%という。市中分がほぼなく国債は品不足なのに、そんなに高い金利になるはずない。実は、この高い積算金利は、予算の空積(架空計上)であり、年度の後半になると、そんなに金利が高くならないので、不用が出る。それを補正予算の財源にするのだ。
■マスコミはいつまで財務省のポチでいるのか
このような空積は過去から行われていたが、その分、国債発行額を膨らませるので、財政危機を煽りたい財務省にとって好都合なのだ。債務償還費と利払費の空積で、国債発行額は15兆円程度過大になっている。 
こうしたからくりは、予算資料をもらって、それを記事にするので手一杯のマスコミには決してわからないだろうから、今コラムで書いておく。 
いずれにしても、政府と日銀を連結したバランスシートというストック面、来年度の国債発行計画から見たフロー面で、ともに日本の財政は、財務省やそのポチになっているマスコミ・学者が言うほどには悪くないことがわかるだろう。 
にもかかわらず、日本の財政は大変だ、財政再建が急務、それには増税というワンパターンの報道ばかりである。軽減税率のアメをもらったからといって、財務省のポチになるのはもうやめにしてほしい。
金融緩和をすると、ハイパーインフレになるとか、国債が暴落するなどという識者もいましたが、そんなことにはなりませんでしたし、国債に至っては、短期国債の金利が一時マイナスになったこともありました。金利がマイナスということは、どういうことかおわかりでしょう。国債を買おうと思ったら、国債に利子がついてくるのでなく、買う方が売る方に利子分を払わなければならないということです。それだけ、短期国債が、市場で品薄になったということです。

さて、こうしてみてくると、日本経済は10%増税さえなければ、来年以降悪くなることはなさそうです。

それにしても、 本当にマスコミや、いわゆる識者などいつまで、財務省のポチであり続けるのでしょうか。

もう日本の政界においては、すでに財務省は敗残者であり、官邸から追撃戦を受けるひ弱な対象でしかありません。それは、先日もこのブログに掲載したばかりです。

増税など全くする必要性がないことと、安倍政権の支持率が戻りつつあること、財務省が軽減税率との攻防で官邸に完敗した事実からみて、来年の参院選は衆院も解散し、衆参同時選挙になる可能性がかなり高まってきました。

そうして、この衆参両院の選挙で安倍自民党が「10%増税見送り」も公約として、大勝利した場合、財務省は完敗します。財務省にとっては、それこそ、日本が大東亜戦争に負けたのに匹敵するような大敗北です。

財務省側では、敗北した場合、誰が玉音放送をするのでしょうか。やはり、財務次官でしょうか?

その後には、日本の政治主導がはじまると思いますが、マスコミや識者などは、それでも財務省のポチであり続けるのでしょうか。期を見るに敏な人は、もうそろそろ財務省には見切りをつけていることでしょう。

それにしても、そんな人が、今更政府の借金は軽微とか、増税する必要なしなどと語りだしても、耳を傾ける人はいないかもしれません。

経済政策に関しては、マクロ経済も踏まえたまともなことで論議をするべきであって、いかに過去の財務省の権力が強かったからといって、財務省のポチをするようなマスコミや識者は信用がおけません。

それにしても、来年以降は日本経済は少なくとも悪いことなしということは言えそうです。もし、10%増税が決まっても、実際に増税されるのは、17年からなので、来年にはあまり大きな悪影響は及ぼすことはありません。

しかし、10%増税を強行すれば、17年以降は経済がかなり悪化するのは必至です。しかし、10%増税を経済が回復して、過熱気味になったときに実行するという条件つきで、延期した場合、来年以降の日本経済は、しばらく悪くなるということはないと思います。

これには、無論のこと、日銀がその金融政策の姿勢を現状と大きく変えさえしなければという条件はともないますが・・・。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年1月8日木曜日

日本経済は再び高成長できる 90年以降の低成長、元凶は金融引き締め―【私の論評】円安は、輸出競争力を増すだけではなく内需も拡大するというあまりにもあたり前のことを忘れていては、現実を見誤ることを肝に命ぜよ(゚д゚)!

日本経済は再び高成長できる 90年以降の低成長、元凶は金融引き締め

2015年は第2次世界大戦後70年にあたる。この間、日本経済はどう成長してきたのだろうか。

まず、データで確認しておく。戦後の混乱期を経て、1960年代から10%の高度成長に入った。70年代と80年代も5%成長を維持してきた。その成長路線に急ブレーキがかかったのが、バブル崩壊以降の90年代からだ。90年代、そして2000年代以降は1%程度の低成長に甘んじている。

高度成長期の日本

1990年を境として、日本経済はまったく異なっている。この成長率の段差をどのように説明できるだろうか。

90年以前の日本の高度成長について、かつては「優秀な官僚が民間を適切に誘導・指導したためだ」という俗説がはびこっていた。しかし、実際には官僚が市場経済を理解していなかったという事実から、こうした俗説は間違いとされている。

「民間の技術力の賜(たまもの)だった」という見方もあるが、90年から急に技術力がなくなったというのも、にわかには信じがたい。

民間の技術力も一つの要因ではあっただろうが、それを生かすような環境があったことが重要だ。筆者の仮説は、為替レートが円安に設定されたことで輸出競争力が高まり、日本の高度成長の原動力になったというものだ。

71年8月、米国が金とドルの交換停止を発表した「ニクソン・ショック」以前は1ドル=360円。それ以降も80年代後半まで、管理された「変動相場制」だった。通貨供給量や金利差を重視するマネタリー・アプローチ理論から計算される理論為替レートより、実際はかなり円安だった。

 海外競争においては価格が重要な要素であるのは否定できず、さらに、技術が90年代以降急速に劣化したというのも考えにくいことから、この仮説は、日本の高度経済成長をうまく説明していると思う。また、その後の経済停滞とも整合的だ。
バブル期のファッション
本コラムで書いてきたが、80年代後半のバブルつぶしに金融引き締めを行ったのが間違いだった。当時、株式と土地の取引規制に抜け穴があり、そこでバブルが発生し、銀行融資がそれを助長したのだ。

いま設定されている「インフレ目標2%」の水準からみても正当化できないにもかかわらず、金融引き締めを行い、バブルをつぶそうとしたのは、日銀の失敗である。それはバブルだけでなく、日本経済全体をつぶしてしまった。そして、90年以降も日銀は間違いを認めず、金融引き締めを続けてしまった。これは、デフレ経済を招くと同時に、過度な円高の原因ともなった。

90年以降、日本だけが過度な金融引き締めを20年以上も続けたのは、世界各国のマネー伸び率などのデータで日本だけが伸び率を激減させていることからも明らかだ。

90年以前は高成長国、90年以降は低成長国。これほど成長率に格差があるのは、日本以外ではみられない珍しい現象だ。円安で高成長、金融引き締めで低成長という筆者の仮説は、これをうまく説明できる。そこから導かれるのは、適切な金融政策で日本は再び成長できるということだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】円安は、輸出競争力を増すだけではなく内需も拡大するというあまりにもあたり前のことを忘れていては、現実を見誤ることを肝に命ぜよ(゚д゚)!

上の記事概ね書かれてある内容について、賛成なのですが、これを読むと誤解する人もいるかもしれないので、少し補っておきたいと思います。

高橋洋一氏が上の記事述べている、仮説「為替レートが円安に設定されたことで輸出競争力が高まり、日本の高度成長の原動力になった」というのは正しいですが、これだけだと誤解を招きそうです。

日本の輸出は約70兆円で、GDPが約500兆円なのでGDPに占める輸出の割合は約14%です。割合から言えば、それほど大きくないかもしれません。しかも、この指標は過去十数年で倍になったもので、十数年前は8%に過ぎませんでした。

高度成長のときも、この水準以下でした。高橋氏は、無論このことは十分理解していて、あまりにあたり前になりすぎているので、特にはこの事実に触れなかったのだと思います。

しかし、この事実を知らずにただ上の記事を読み流すと、高度成長のときに日本は輸出大国であり、GDPの数十パーセンもの部分、50%も輸出が占めていて、それが国の富になって高度経済成長したなどとの誤解してしまう人もでてしまいそうです。

高度成長期の映画のポスター

確かに、そういう部分は否定できませんが、何やらこうした側面ばかりが強調され過ぎているような気がします。

現実には、高度成長期ですら、輸出がGDPに占める割合は、8%以下でした。現状は14%程度ですが、それでもこれは他国に比較すると少ないです。中国やドイツなどこの割合は40%を超えます。アメリカは数%に過ぎません。

円安だと、外国の製品は割高になります。たとえば、車にしても、同じような性能の車であれば、外車より国産車のほうが低価格ということになります。そうして、多くの人々は、日本車を購入するようになります。

それは、車におよばず、すべての製品でそのようなことがいえます。高度成長期には、こうして内需がかなり拡大して、日本経済の成長を牽引したのです。

ゴーゴー 昭和47年、バンド演奏をバックにゴーゴーを踊る水着姿の女子学生

では、輸出は日本経済に貢献しなかったのかといえば、そんなことはありません。実は、内需にも貢献しています。

これも、車を例にとって述べます。車産業のピラミットを想像して下さい。トヨタ、日産、ホンダは輸出企業でピラミットの上層部を占めます。その下には無数の下請け企業が連なっているのです。いわゆる輸出関連企業群がありGDPに寄与しているのです。そして、そこに働く労働者数も相当な数でしょうから所得、消費まで入れると具体的数字はわかりませんが、GDPの3割合以上はあると思います。

円安ということで、そもそも内需が伸び、輸出によって、直接利益を得ている企業は少ないですが、それでも、企業に対して原材料や、部品を提供する会社が多数あり、これも内需を拡大することに寄与したのです。

円安により、日本国内では、外国製品よりも日本製品を購入するということにより、内需拡大がすすみ、輸出によっても、それに対して原材料や部品を供給する会社により、日本国内の内需拡大ということで、好循環をつくりだし、それがあの高度経済成長の原動力となったのです。

しかし、過去20年程度は、円高なので、海外に製品が売れない、売れないから、輸出産業に対して原材料や、部品を提供してきた企業も疲弊したし、国内でもデフレで物が売れないという状況で、さら内需がしぼむということで、これが悪循環をつくりだし、日本はデフレ・スパイラルのどん底に沈んでしまったということです。

円安というと、昔は、外国製品が割高となり、国内製品を売りやすくするためという政策であるというのが、あたり前でしたが、現在ではそうではないようです。

だから、そういう認識のない人にとっては、円安を脅威と受け取ることが多いようです。要するに、海外から原材料を輸入しているから、原材料が高騰して大変だと、円安のデメリットばかりを強調します。

高度成長期のポスター

しかし、円安には国内においては、相対的に国産品を低価格にし、海外製品が高くなり、多くの人は国産品を求めるようになり、国内産業を育成し、内需を拡大するという大きなメリットがあるということがすっかり忘れ去られています。

いずれにしても、極端な円安、極端な円高、あるいは為替相場の急激な変動は、良いことではありません。しかし、過去においては、あまりにも長い間の円高・デフレで疲弊してきたわけですから、かつてのように、円安・インフレ傾向になることは何も悪いことではないどころか、それによって日本経済はまた必ず伸びるということです。

円高・デフレを念頭におき、この状況をスタンダートと考え、日本経済はもう伸びないなどと考えるのは間違いです。円安・インフレ傾向になりきっていない状況で、デフレ・円高スタンダードでものごとを考えていては、これからの変化を見誤ります。

上の記事も、これを前提として読めば、正しく認識できると思いますが、こうした基本的な認識が欠ととんでもない誤解をすることになりかねないと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年1月28日火曜日

人民元の上昇で「立ち食い蕎麦」が大幅値上げに!?―【私の論評】蕎麦で幻惑するコミンテルン発見!蕎麦ごときで円高、デフレに戻れるはずもない日本なのに?

人民元の上昇で「立ち食い蕎麦」が大幅値上げに!?



人民元の上昇が止まらない。対ドルでは、管理変動相場制導入以来の最高値を更新し続けている。さらにアベノミクス効果で円安が進むなか、対円ではこの1年で20%以上も上昇した。

そんななか、「年内に1元=20円もありえる」と話すのは、中国経済に詳しいエコノミストの田代尚機氏だ。

「人民元上昇は中国や諸外国の思惑と合致したものだからです。輸出産業保護のため、人民元相場をコントロールしてきた中国当局ですが、時代は変わり、中国人民銀行が人民元の変動幅を拡大していく方針を明らかにするなど、段階的な自由化を進めている。狙いは、人民元を国際基軸通貨に格上げし、国際金融システムの主導権を握ること。昨年9月に上海に設立された自由貿易試験区で、人民元の取引規制緩和や金利の自由化が行われたのもその一環です。こうした動きに欧米も歓迎している。また人民元高といっても中国の貿易収支はまだまだ黒字。赤字になる寸前までは伸びしろがあるのです」

もはや人民元は「上昇しない理由が見つからない」といっても過言ではない状況にあるのだ。そうしたなか、日本人の生活にも大きな影響が出始めている。

バブル崩壊以降の「失われた20年」で、日本は生活防衛策として安価な中国製品を大量に輸入してきた。ところが、昨年上半期の貿易統計をもとに、日本貿易振興機構(JETRO)がドル建換算した中国からの輸入額は、前年同期比10.8%の減少。上半期ベースでは、リーマン・ショックの影響で輸入総額全体が大きく低迷した’09年上半期以来、4年ぶりの減少となっている。この背景には、人民元上昇の影響も少なからずあると考えられる。

しかし、「中国製の割合が高く、国産品や第三国製に代替することが容易でないものに関しては、今後、値上げラッシュが予想されます」と指摘するのは、前出の田代氏だ。その一例が中国産シェアが8割を占めるソバ。玄蕎麦流通協は「製粉メーカーは春先には値上げに踏み切るのでは」(役員談)と述べた。さらに小売業界大手イオンも「従来と同じ取引を続ければ」と前置きした上で、「為替によって受ける影響を商品に転嫁せざるをえない場合もある」(広報担当)と答えた。4月に控える消費増税や日銀のインフレターゲットに加え、消費者にとってのさらなる負担要因となる可能性があるのだ。

週刊SPA!1/28発売号「[人民元高]で日本の庶民生活は崩壊する」では、この他にも、庶民生活を圧迫するであろう人民元高の影響をさまざまな事例を挙げて徹底的に検証。消費増税や年金保険料の引き上げなどに続いて、庶民生活を崩壊させそうな「地雷」、人民元高についてリポートしている。 <取材・文/週刊SPA!編集部>

【私の論評】蕎麦で幻惑するコミンテルン発見(゚д゚)!蕎麦ごときで円高、デフレに戻れるはずもない日本なのに?

蕎麦打ちの蕎麦が値上がり? それがどうした!

上の記事どこかが狂っています。まるで、蕎麦が値上がりするから、日本は金融緩和政策をやめよと言っているようなとんでもない記事です。

そもそも、蕎麦が値上がりしたくらいで、金融緩和政策をやめれば、一番喜ぶのは中国です。日本が金融引き締め政策をやっていたころは、どうだったかといえば、円高・デフレでとんでもない状況でした。

それがどのような状況であったかということは、このブログでも以前紹介したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。
中国は世界で最もストレスの大きい国に―【私の論評】日本の円高・デフレを終わらせ、中国麻薬漬け政策を終わらせ、中国に新社会秩序を打ちたてよ!!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では日本が金融引き締め政策をやっていたときに、円安、デフレで中国にとって、これは打ち出の小槌のような有利なことだったことを掲載しました。以下にその部分だけ抜粋して、コピペさせててただきます。
中国を支えているのは為替操作によるキャッチアップ型の経済成長であり、円高とデフレを放置する日本銀行によるものだ。からくりはこうだ。 
慢性的な円高に苦しむ日本企業は、過度な「元安」政策をとる中国に生産拠点を移し、出来上がった製品の一部を逆輸入している。国内で一貫生産するより、わざわざ中国を経由した方がもうかる構造になっているのだ。つまり日銀は、「デフレ政策で日本の産業空洞化を促進し、雇用と技術を中国に貢ぎ続けた」ことになる。

これ以上、日本経済が中国に振り回されないで済むにはどうしたらいいか。答えは簡単だ。日銀にデフレ政策をいますぐやめさせることである。
さて、日銀が金融引き締め政策をやっていた頃には、確かに蕎麦は安くなったかもしれませんが、日本の輸出はふるわず、国内はデフレスパイラルの底に沈んでいました。デフレスパイラルの底に沈んだ結果、消費はふるわず、雇用も最悪でした。特に、若者雇用は、最悪でした。

このように考えると、蕎麦などどうでも良いから、円安、デフレ脱却の傾向に向かっているほうが良いに決まっています。

そりゃ、デフレが完全に脱却する前に、物価が値上がりしたりして、大変な時期もありますが、それにしても、円高・デフレではどうしようもありません。それに、デフレ脱却の過程で、値上がりするのは、何も蕎麦だけではありません。ありとあらゆるモノやサービスの価格が上昇した後から賃金などがあがっていきます。



それに、現在蕎麦が値上がりしているということになれば、今まで蕎麦の価格が安くて、栽培をあきらめていた農家がまた栽培をはじめるかもしれません。あるいは、中国から輸入をやめて、ロシアなどからも輸入もできます。

蕎麦は暖かいところでは、栽培できません。ですから、東南アジアなどからは輸入できませんが、中国からでなくても、世界中の寒冷な地方なら栽培しているところ、できるところなどいくらでもあります。そもそも、蕎麦は、日本でも北の寒冷な地方で、米などの凶作に備えて、栽培していたものです。特に、肥沃な土地でないと栽培できないということもありません。

蕎麦が高くなりすぎたからといって、食べなくても他のモノは食べられるし、何とかなります。蕎麦が高くて食べられないといのなら、最近の美味しくて安い、讃岐うどんを食べれは良いのです。実は、私は蕎麦好きで、最近も近所に手打ちの美味しい蕎麦屋ができたので、良かったと思っているくらいです。でも蕎麦が高くなっても、デフレから脱去して欲しいです。たとえ、安い蕎麦が食べられても、デフレが続けばとんでもないことになると思います。こんなことを考えてみると、上の雑誌の記事は本当におかしいでし、無責任です。こういうのを、コミンテルンというのかもしれません。それこそ、前白川日銀総裁のようにデフレ・円高守護神なのかもしれません。

デフレで国民を途端の苦しみに陥れた円高・デフレ守護神の前白川日銀総裁

本年は、4月から消費税増税がなされます。そうなると、せっかく異次元の包括的な金融緩和の効果がそがれ、景気の腰折れがするのは必然です。たとえ、5兆円の経済対策の他に、大規模な財政対策を行っても、景気の悪化はある程度抑えられるものの、昨年のように伸びることはあり得ません。

そうなると、上の記事のようなおかしぎな論評がいろいろ出てくると思います。特に、アベノミクスは失敗だったなどの珍説がいろいろい出てくるとと思います。そのような、珍説・駄論に惑わされるべきではありません。不景気、ましてやデフレのときに増税すれば、経済が停滞するのは、最初からわかりきったことです。

やるべきは、包括的異次元の金融緩和は継続し、平成15年からの10%増税は取りやめて、大規模な財政出動をすることです。これを間違いなく数年間も実施すれば、日本は間違いなく、デフレから脱却できます。これをやらずに、経済成長戦略や、その他珍説・駄論にもとづいた、対策などやっても、全く無駄です。

私は、そう思います。皆さんは、どう思わますか?

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2013年11月3日日曜日

米中通貨戦争、敗者は中国―【私の論評】中国を敗者に追い込んだのは、米国だけではない!寧ろ日本のほうが大きな役割を果たした!!

米中通貨戦争、敗者は中国

米中通貨戦争の勝者はアメリカ?

米中が通貨戦争で火花を散らしている。人民元切り上げを拒む中国に対して米国がドルの大量増刷で元高誘導を仕掛ける一方、中国は「脱米国化」を唱えて戦後のドル基軸通貨体制を崩そうとの動きを強めている。両国の攻防は先鋭化の一途だが、敗者は中国となるだろう。中国の2008年秋からの異常なまでの公共事業拡大と、米国の量的金融緩和政策(QE)で流入した巨額のドル資金がバブル経済を破裂寸前にまで追い込んでいるからだ。来年から本格化する量的緩和の縮小がその口火を切る可能性が高まっている。

「米国は超大国の地位を乱用して世界を混乱させている。他国の命運をこの偽善国家に委ねる時代を終わらせ、新世界秩序を築くために『脱米国化』を進め、ドルに代わる新たな基軸通貨を設けるべき時だ」

米議会が連邦債務上限引き上げ問題で紛糾していた10月半ば、中国国営通信社、新華社はこんな要旨の英文論評を世界に発信した。

窮地の敵に塩を送った日本の戦国武将とは対照的に、中国は大店のもめ事を利用して米国に取って代わる野心をのぞかせた。

これには「政府が銀行や企業を操り、企業家精神も育たず、独自開発の製品もない中国が世界経済をリードできるわけがない」(米フォーブス誌ネット版)。「3兆6600億ドル(約358兆円)の外貨準備を持つ中国は米国債を買い続けるしかない」(タイム誌ネット版)などと、米メディアの反発も強い。

ホワイトハウスのカーニー大統領報道官は「数百年来、債務を正確に返済してきた米国の信用と原則は揺らがない」とコメントしたが、心穏やかであるわけがない。

だが実は米国がリーマン・ショック後の08年秋から始めたQEがすでに中国をインフレ・バブルの醸成からその崩壊へと、じりじり追い込んでいるのである。

中国政府統計によると、QE開始からこの10月までの5年間に増加した外貨資金は約1兆8千億ドル(約176兆円)にのぼる。米連邦準備制度理事会(FRB)がQE1~2を通じて増刷したドルの約8割に相当する巨資の流入が、中国全土で不動産バブルを膨張させている。

「全国不動産値の総額は国内総生産(GDP)の4倍を超え」(著名経済評論家の牛刀氏)、「日本のバブル時を上回った」との日本側推計もある。

その一方「北京、上海の空室マンションはそれぞれ380万戸、400万戸にのぼり、暴落を恐れる地方政府が土地の供給を絞り、開発業者に高値で落札させることでバブル崩壊を防いでいる」(同)という。

加えて、リーマン・ショック後の経済失速を恐れた胡錦濤前政権の4兆元(約64兆円)景気対策に悪乗りした地方政府の無謀な公共事業が不良債務の山を築き、「総額は20兆元(約320兆円)を超えた」(項懐誠・元財政相)とされる。

さらに鉄鋼、アルミ、造船などの構造不況産業がひしめく企業部門の総債務は「昨年で65兆元(約1040兆円)」(米金融大手モルガン・スタンレー推計)にのぼる。

仮にバブル崩壊が地方財政や国有企業の破綻と相まって、4大国有銀行を直撃する事態になれば国家の重大危機を迎える。

その引き金となりそうなのが、米国の金融緩和縮小から利上げへのプロセスだ。これを機に巨額のドル資金が一斉に本国に還流し始めるのを誰よりも恐れているのは、習近平政権だろう。米国の債務騒動を冷笑している場合ではあるまい。(北京・山本勲)

【私の論評】中国を敗者に追い込んだのは、米国だけではない!寧ろ日本のほうがはるかに大きな役割を果たした!!

上の記事、重要だと思ったので、アーカイブ的な意味あいでも、全文掲載させていただきました。

昨日も、機軸通過の話でしたが、本日もさらにその話を掲載しました。上の記事では米中通貨戦争においては、中国を敗者に追い込んだのが、米国一国のみで日本などは全く念頭にないようですが、結論から言ってしまうと、最近の中国を敗者に追い込んだのは、むしろ日本であり、日本が最大の役割を担ったことは否めないと思います。

確かに、米国がリーマン・ショック後の08年秋から始めたQE(量的緩和)がすでに中国をインフレ・バブルの醸成からその崩壊へと、じりじり追い込んでいるのは事実です。量的緩和によって、中国に巨額のマネーが転がり込んだことは事実です。そうして、これが中国にとって旧体制を温存したまま経済発展を継続することができたということは事実です。

リーマンショック後の日米マネタリーベースの比較

しかし、日本はその前からこれに近いことを実施しています。1987年増税、日銀法の改正により、1988年を境に日本は完璧に国内はデフレ、対外的にはかなりの円高となりました。円高で国内はデフレ、そうして、親中・媚中派の政治家や、マスコミが中国の大躍進をもてはやす中、デフレでなければ、日本国内に向けられたであろう資金が、中国に投資されるようになりました。

固定相場制でしかも、低い元相場と日本の超円高で、国内で生産するよりも、中国で生産して逆輸入したほうが低価格になるという状況になったため、多くの日本製造業などが、中国に進出して日本国内は空洞化しました。そうして、資金や技術が日本から中国に移動しました。

中国を世界第ニの経済大国に押し上げた縁の下の力持ち日銀元総裁白川氏
その後、今年の4月まで、日銀は基本的に金融引き締め策を実施してきたことは、周知の事実です。特に、白川体制では何がなんでも金融引き締めさえやれば、良いというのが実体でした。おかしげな基金を設立して、短期の債権を買い取るなどのことをして、あたかも金融緩和をしているようにみせかけ、実質は金融引きめを続けたというのが真相です。

短期の債権など、もともと現金・預金に近い性格のものであり、結局これを日銀が買い取ったとしても、金融緩和したことにはなりません。しかし、そうまでして、白川は日銀の金融引き締め策を継続し、結局デフレ・円高の守護神となっていました。

日本が統計上誰が見ても否定できないほどのデフレ状況になったのは、1998年からですが、それ以前からデフレ傾向はみられ、デフレ傾向になってからは、20年以上の年月が経過しています。

これが、中国にとっては、アメリカのQEなど金額的にも、期間的に比較しても比較の対象にならないほど資金を日本から調達できたということで、中国の経済発展にかなり寄与しました。

これについては、私はこのブログで、日銀による中国麻薬漬け政策と呼んでいました。その記事のURLを以下に掲載します。
中国は世界で最もストレスの大きい国に―【私の論評】日本の円高・デフレを終わらせ、中国麻薬漬け政策を終わらせ、中国に新社会秩序を打ちたてよ!!
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では、慢性的な円高に苦しんだ日本企業は、過度な「元安」政策をとる中国に生産拠点を移し、出来上がった製品の一部を逆輸入していることを掲載しました。金融緩和する前までの日本は、国内で一貫生産するより、わざわざ中国を経由した方がもうかる構造になっていました。つまり日銀は、「デフレ政策で日本の産業空洞化を促進し、雇用と技術を中国に貢ぎ続けた」ことになていました。そうして、無論、日本企業が中国で生産するために、中国に直接投資をしました。

それに日本国内はデフレですから、どの企業も設備投資を控えていたため、新たな動きもなく、もしデフレでなければ、日本国内に投資されていたはずの投資が、海外に流れました。その結果として、日本国の対外金融資産額(要するに日本が外国に貸しつけているお金)は、昨年度末で、260兆円を超え、これは無論世界一の水準です。これは、昨年度末に限らず、過去20年間世界一でした。これらは、米国やEUにも流れていましたが、当然中国にもかなり流れていました。

衝撃的な中国の麻薬中毒の娼婦の写真。現代中国も現実はこれに近いものがあり崩壊間近。
こういう観点から見ると、日本が20年前から始めた日銀による円高・デフレ政策がすでに中国をインフレ・バブルの醸成からその崩壊へと、じりじり追い込んでいたということであり、この事実を私は日銀による中国麻薬漬け政策と呼んだことです。

それにもう一つはっきりしているのは、アメリカのQE(金融緩和策)はまだ終焉していませんが、日本ではすでに、日銀人事を通じて、金融引き締めから金融緩和に転じています。日銀黒田総裁が、すでに今年の4月より、異次元の包括的金融政策を開始しています。

黒田バズーカといわれる、異次元の包括的金融緩和を実施した日銀黒田総裁

その結果、わずか2~3ヶ月ほどして、中国の経済は大混乱となりました。日本は、すでに中国をインフレ・バブルの崩壊へと、じりじり追い込んでいるということです。これに対して、アメリカQEの取りやめはまだ、行っていません。

中国敗退の道筋をつけたのは、日本であり、アメリカのQE中止は、すでに日本が道筋をつけた中国敗退のシナリオに最後の追い討ちをかけるだけものです。

日本の円高・デフレ政策は、日本の富を中国に移転したということです。日本では、日本ダメ論などが蔓延していますが、日本が、本質的に経済的に豊な国でなければ、このようなことは起こりえません。これがなければ、中国の経済成長もままならず、中国は2010年の段階で、世界第二の経済大国になったなどと、豪語ばできなかったでしょう。

実際は中国の統計は出鱈目なので、その当時も、現在でも、世界第二の大国にはなっていません。しかし、出鱈目でもあまりかけ離れていれば、世界第二経済大国などとは吹聴できないですが、日本の圧倒的な支援があったがために、彼らは自信を持って世界第二の経済大国になったと世界に向かって公表することができました。その当時は、今は出鱈目でも、あと数年もすれば真実になると心底思っていたことでしょう。

人間も国も健康が一番。中国は、社会構造改革でまともになる必要がある!

このようなことから、米中通貨戦争に米国が勝利したのは、米国によるものではなく、日本のほうがはるかに大きな役割を果たしたということがいえます。

そうして、この結果に導いた日銀元白川総裁は、このようなことは全く意識していませんでした。おそらく、彼の頭では、中国に良かれと思ってしたことなのでしょうが、あまりに長い間続ければ、それが当たり前となり、これがまるで麻薬漬けのような効果を奏し、中国をおごり高ぶらせ、その当たり前の結果がバブル崩壊です。皮肉なものです。

そうして、アメリカ側のQEも、何も中国との通貨戦争勝利のために行ったものではありません。あくまで、国内の景気問題や、雇用問題に対処する目的で行ったものです。QEの継続は、中国などとは全く関係なく、自国の雇用情勢がある水準以上になるまで継続するというものです。

そもそも、通貨戦争など本来あまり成り立ちにくいものです。ある国がどこまでも金融緩和を続ければ、確かに当面の通貨戦争には勝つかもしれませんが、そのまま続けていれば、国内がインフレになってしまいます。それでも続けていれば、ハイパーインフレになってしまいます。そうなれば、金融緩和策はやめざるを得なくなります。こういうことから、通貨戦争をやり続けることは現実には無理です。

かつての日銀による、中国支援策、アメリカによる国内経済対策によるQEが期せずして、中国をインフレ・バブルの醸成からその崩壊へと、じりじり追い込んでいるのです。アメリカのQEのとりやめ、もしくは、日本のデフレからの脱却のいずれかが、中国のバブル大崩壊の最後の駄目押しとなることでしょう。これは、どちらが早くても・遅くてもこれから中国で確実に起こることです。

中国がまともになるためには、海外からの大量の資金をあてにするだけではなく、かつての日本が数十年で、西欧が数百年かけて実施したような社会構造改革が必須です。具体的には、まずは民主化、政治と経済の分離、法治国家化が必要不可欠です。

女性の体も出ているところは出ている引っ込んでいるとこ引っ込んでいなければ美しくはない。国も同じである。
最低限民主化、経済と政治の分離、法治国家化等がある程度実践されていなければ美しい国とはなり得ない。

これを実施し、中間層を育ててこれからの人々が富裕層から比較すると規模は小さいものの、数の多いこれらの層が、経済・社会活動を行うことによって、国を栄えさせるという体制を構築することが必須です。今のままでは、どうにもなりません。どんどん衰えていくだけです。

そもそも、比較的安定した米ドルがあるこの世界で、中国の元が世界の基軸通貨になるなど考えられません。元を取引に用いる国とは、その国の貨幣がよほど信用力のないところしかありません。元基軸通貨構想も、いくつもある中国の妄想の典型的な一つでもあります。妄想は現実ではありません。中国政府はこの事実にはやく気づいていただきたいものです。いつまでも気づかなければ、いずれ必ず中国は分裂します。それは過去の離合、分散の中国の歴史が雄弁に物語っています。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2013年8月9日金曜日

韓国の国内銀行、深刻な破綻リスク リーマン・ショック以上の危機―【私の論評】アメリカ、韓国からの刈り取り終了か?韓国もう終わりました!かなり危ない韓国の大手銀行のお寒い実体(゚д゚)!

韓国の国内銀行、深刻な破綻リスク リーマン・ショック以上の危機 

にぎわうソウル市内の繁華街、明洞(ミョンドン)。しかし、韓国には経済危機の影が忍び寄っている
経済の低迷を背景に、韓国の国内銀行が重大な経営問題を抱えている。その深刻度は1997年のアジア通貨危機や2008年のリーマン・ショックを超え、金融関係者は「今まで一度も体験したことのない危機的状況」と悲鳴を上げる。企業の業績不振や家計の過剰債務によって、経済の血液とされる金融が停滞する事態が続けば、複数の銀行が「突然死」しかねないリスクをはらんでいる。

この記事の詳細はこちらから!!

私の論評】アメリカ、韓国からの刈り取り終了か?韓国もう終わりました!かなり危ない韓国の大手銀行のお寒い実体(゚д゚)!


韓国の経済以前から異常であったのが、もうそろそろ断末魔のようです。韓国の経済がアジア金融危機以来異様だったのは、このブログにも掲載したことがあります。
要するに、IMF管理下で、韓国の銀行はほとんどが外資の傘下に入ったということは、よく知られていますが、その度合いとなると詳しく知る人は少ないでしょう。実は、韓国の主要銀行7行のうち6行が外資比率は50%以上となっているのです。ゴールドマンサックス、ローン・スター、シティグループといった投資ファンドや銀行が大株主としてズラリと並んでいるのです。
KB国民銀行
要するに上の韓国のKB国民銀行、新韓銀行、ウリ銀行、ハナ銀行、韓国産業銀行、農協銀行のほとんどにかなりのアメリカ金融機関の金を入れて、何とか銀行の破綻を免れていたということです。要するに、アメリカ金融機関からかなりの借金をしたということです。そうして、驚くことに、以下のような状況になっています。
また、通貨危機以降、韓国の大手企業は外資系銀行や、外資ファンドの資本の支配の元にあり、毎年莫大な配当金をこれら外国人に貢ぎ続けているというのが実情です。06年12月決算の韓国上場企業204社が支払った配当総額は8兆5000億円。このうち、外国人に払われた配当金は4兆4000億円。つまり、半分以上が韓国人ではなく外国人に支払われています。これでは、まるで、韓国は、アメリカの経済植民地のようではありませんか。
これは、大手銀行も同じことです。韓国大手銀行のほとんどが、外資ファンドの資本の支配の下にあります。要するに、アメリカ金融機関は、韓国の大手銀行の配当の半分をいただいていたし今でもそうだし、これからもそうだということです。そうて、韓国は日本などとは全く異なり、韓国自体が外国からの借金塗れだということです。本日テレビをみていたら、日本の国の借金が1000兆を超えており、それは、国民一人あたり、700万円を超えるなどという古典的な詐欺まがいの報道をしていました。

日本の場合、国が借金をしているわけではありません。国=政府ではありません。日本の経済の主体は政府だけではありません。日本国には、政府、家計、企業、その他の経済主体があります。日本の場合は、政府は大借金ですが、家計、企業などはプラスであり、さらに、海外に貸し付けているお金もあります。これを全部合わせて、プラスマイナスを計算すると、プラスです。このプラス幅、260兆円であり、これは日本の対外金融純資産と同額になります。そうして、これは過去20年間世界第一位です。このような国を借金まみれと錯誤することなど到底許されるものではありません。

韓国の場合、この対外金融純資産は、2010年の数字で日本と逆に480億ドルのマイナスです。要するに、対外金融純負債を480億ドルも抱えているというわけです。要するに、日本は海外に一杯お金を貸しているし、韓国は海外からお金を一杯借りているということです。

お金を貸している国と、お金を借りている国とでは、経済対策もおのずから違ってきます。日本の場合、経済の落ち込みは、あまりに長い間政府は緊縮財政を、日銀は金融引き締めをやってきたことが原因であり、政府が財政出動、日銀が金融緩和をすれば、経済は回復し、デフレからも脱却できます。

こんな状況ですから、韓国の銀行の収益率が悪いのも頷けます。上の記事にもあるよう、世界100大銀行のうち、欧米と日本を除く新興国の銀行は33行で、韓国の銀行はKB国民銀行、新韓銀行、ウリ銀行、ハナ銀行、韓国産業銀行、農協銀行が含まれます。ただ、収益性の指標となる総資産利益率(ROA)はいずれも1%以下と最下位圏内です。こんな状況ですから、韓国の銀行なんとか、収益をあげようと躍起になっていたことも理解できます。

ただし、収益性をあげようという手段が悪すぎました。個人に融資をして、要するに個人に借金をさせて、収益をあげようとしました。しかしそんなことではうまくいくはずもなく、上の記事でにもあるように、現在個人も借金漬けです。韓国の家計の負債は今年3月時点で約961兆ウォン(約85兆円)と、2012年の名目GDPの約75%相当まで膨れあがっています。

年々増加した韓国家計の借金
韓国の商業銀行はもともと、企業向け融資が大半でしたが、1997年の通貨危機の後、新たな収益源としてクレジットカードや教育ローン、住宅ローン家計向けの貸し出しを増やしていきました。しかし不動産価格の下落などで家計の債務も大きくなり、新たに貸し出しを増やすのは難しいです。企業向け、家計向けともに資金需要が閉塞(へいそく)しており、厳しいのは間違いありません。

このような状況を打開するのは、かなり難しいです。こう聴くと、つい最近てまで、韓国は経済が伸びていたのに、と怪訝に思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これは見せかけだけのことだったのです。

なぜつい最近まで、韓国が経済発展しているように見えたかといえば、それは、日銀の金融引締めによる円高・デフレ政策によるものです。日銀による、超円高政策と、韓国政府による超ウォン安政策により、韓国は、韓国で部品を調達して、ものを作って売るよりも、日本から部品を仕入れて、国内で作成し、日本を始めとする海外にモノを低価格で販売することができました。韓国の経済発展の本質はこれだけです。

韓国では整形は当たり前ですが、経済も整形して良く見せていたようなものです
だから、日本が金融緩和をして、円安に振れれば、優位性がすっかり崩れ、現在の有様となったのです。まあ、これはもともと駄目だったのが、日本の金融政策に助けられ、一時発展していたというのが正しいです。日本がまともな金融政策をやりはじめ、韓国経済の実力が明るみに出たということです。

それにしても、腹立たしいのは、こんな経済の脆弱性を解消する努力もせずに、政府の無能を隠蔽するために、国家レベルで、反日活動をして、政府から国民の憤怒をそらし、日本に向けているということです。

このようなことをしても、何にもなりません。近いうちに、韓国経済は必ず大破綻します。日本としては、韓国が反日を続けるなら黙って無視をすれば良いです。ざまを見ろと言いたいです。

それに、日本人も反省すべきと思います。韓国の銀行にアメリカの金が注入され、アメリカに配当金を取られていたということは、韓国が日本から儲けた金が、アメリカにも配当という形で送金されていたということです。

日本銀行が、デフレ円高政策を継続したことにより、韓国が儲かり、それにより、アメリカも間接的にもうけていたということです。何のことはない、経済的に脆弱な韓国では、いくら頑張ってもアメリカにそんなに儲けさせることはできなかったのですが、日本からの富があったということです。アメリカにとっては、ここしばらくは、韓国は日本からの富略奪装置であったということです。

しかし、さすがの日本も、金融引締め政策を続けるということは、韓国・中国に貢ぐことになるだけということは、誰の目からもはっきりしつつありました。いつまでも、続けるべきではないと、多くの人々が気づき、そうして、結局総理大臣もそのことに気づき、円高・デフレ政策をやめました。やめた途端にこの韓国の経済の停滞です。これほど理解しやす経済現象は、滅多にありません。

もう、アメリカの金融機関も、韓国経由ではそう儲けられなくなりましたが、今まで十分貢いでくれだので、満足でしょう。そうして、草刈りが終わった韓国、あろうことか、今度中国に接近です。その中国も日本の金融政策によってガタガタです。それにしても、日本は凄いです。韓国や中国に富をかすめとられても、対外金融純資産が、世界一で、これはバブルの頃より増えています。どこまで、強い日本の金融、本当に驚いてしまいます。そうして相変わらず、マスコミはこうした日本の真の強さは無視して、政府の借金ばかり強調します。政府の借金がかくも増えたのは、デフレだったからです。デフレの状況では、黙っていれば、家計も、企業も借金などほとんどしなくなります。しかし、こんなことでは、国の経済は回りません。だから、政府が借金をして回していたというのが事実です。要するにデフレが収束すれば、政府が借金をする必要性もなくなるわけです。

政府の借金を減らすためには、増税ではなく、まずはデフレ脱却が必要です。デフレから脱却しないうちに、増税してしまえば、政府の借金がまた増えることになります。いずれにしても、日本国の場合は、外国から借金があるわけではないので、経済対策も非常にやりやすいです。韓国などとは根本的に違います。

さて、破綻寸前の中韓経済ですが、私たちの日本は、中国・韓国がどうなっても、黙って静観していれば良いのです、どちらの国見も反日をやめないとか、尖閣や竹島が自分の領土あると主張し続けるとか、何か交渉するにしても、たとえば、尖閣問題の棚上げを条件をつけるくるというのであれば、黙って静観すれば良いのです。実際、安倍総理はそのような態度で臨んでいます。一言でいえば、「ざまを見ろ」です。私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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