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2015年1月8日木曜日

日本経済は再び高成長できる 90年以降の低成長、元凶は金融引き締め―【私の論評】円安は、輸出競争力を増すだけではなく内需も拡大するというあまりにもあたり前のことを忘れていては、現実を見誤ることを肝に命ぜよ(゚д゚)!

日本経済は再び高成長できる 90年以降の低成長、元凶は金融引き締め

2015年は第2次世界大戦後70年にあたる。この間、日本経済はどう成長してきたのだろうか。

まず、データで確認しておく。戦後の混乱期を経て、1960年代から10%の高度成長に入った。70年代と80年代も5%成長を維持してきた。その成長路線に急ブレーキがかかったのが、バブル崩壊以降の90年代からだ。90年代、そして2000年代以降は1%程度の低成長に甘んじている。

高度成長期の日本

1990年を境として、日本経済はまったく異なっている。この成長率の段差をどのように説明できるだろうか。

90年以前の日本の高度成長について、かつては「優秀な官僚が民間を適切に誘導・指導したためだ」という俗説がはびこっていた。しかし、実際には官僚が市場経済を理解していなかったという事実から、こうした俗説は間違いとされている。

「民間の技術力の賜(たまもの)だった」という見方もあるが、90年から急に技術力がなくなったというのも、にわかには信じがたい。

民間の技術力も一つの要因ではあっただろうが、それを生かすような環境があったことが重要だ。筆者の仮説は、為替レートが円安に設定されたことで輸出競争力が高まり、日本の高度成長の原動力になったというものだ。

71年8月、米国が金とドルの交換停止を発表した「ニクソン・ショック」以前は1ドル=360円。それ以降も80年代後半まで、管理された「変動相場制」だった。通貨供給量や金利差を重視するマネタリー・アプローチ理論から計算される理論為替レートより、実際はかなり円安だった。

 海外競争においては価格が重要な要素であるのは否定できず、さらに、技術が90年代以降急速に劣化したというのも考えにくいことから、この仮説は、日本の高度経済成長をうまく説明していると思う。また、その後の経済停滞とも整合的だ。
バブル期のファッション
本コラムで書いてきたが、80年代後半のバブルつぶしに金融引き締めを行ったのが間違いだった。当時、株式と土地の取引規制に抜け穴があり、そこでバブルが発生し、銀行融資がそれを助長したのだ。

いま設定されている「インフレ目標2%」の水準からみても正当化できないにもかかわらず、金融引き締めを行い、バブルをつぶそうとしたのは、日銀の失敗である。それはバブルだけでなく、日本経済全体をつぶしてしまった。そして、90年以降も日銀は間違いを認めず、金融引き締めを続けてしまった。これは、デフレ経済を招くと同時に、過度な円高の原因ともなった。

90年以降、日本だけが過度な金融引き締めを20年以上も続けたのは、世界各国のマネー伸び率などのデータで日本だけが伸び率を激減させていることからも明らかだ。

90年以前は高成長国、90年以降は低成長国。これほど成長率に格差があるのは、日本以外ではみられない珍しい現象だ。円安で高成長、金融引き締めで低成長という筆者の仮説は、これをうまく説明できる。そこから導かれるのは、適切な金融政策で日本は再び成長できるということだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】円安は、輸出競争力を増すだけではなく内需も拡大するというあまりにもあたり前のことを忘れていては、現実を見誤ることを肝に命ぜよ(゚д゚)!

上の記事概ね書かれてある内容について、賛成なのですが、これを読むと誤解する人もいるかもしれないので、少し補っておきたいと思います。

高橋洋一氏が上の記事述べている、仮説「為替レートが円安に設定されたことで輸出競争力が高まり、日本の高度成長の原動力になった」というのは正しいですが、これだけだと誤解を招きそうです。

日本の輸出は約70兆円で、GDPが約500兆円なのでGDPに占める輸出の割合は約14%です。割合から言えば、それほど大きくないかもしれません。しかも、この指標は過去十数年で倍になったもので、十数年前は8%に過ぎませんでした。

高度成長のときも、この水準以下でした。高橋氏は、無論このことは十分理解していて、あまりにあたり前になりすぎているので、特にはこの事実に触れなかったのだと思います。

しかし、この事実を知らずにただ上の記事を読み流すと、高度成長のときに日本は輸出大国であり、GDPの数十パーセンもの部分、50%も輸出が占めていて、それが国の富になって高度経済成長したなどとの誤解してしまう人もでてしまいそうです。

高度成長期の映画のポスター

確かに、そういう部分は否定できませんが、何やらこうした側面ばかりが強調され過ぎているような気がします。

現実には、高度成長期ですら、輸出がGDPに占める割合は、8%以下でした。現状は14%程度ですが、それでもこれは他国に比較すると少ないです。中国やドイツなどこの割合は40%を超えます。アメリカは数%に過ぎません。

円安だと、外国の製品は割高になります。たとえば、車にしても、同じような性能の車であれば、外車より国産車のほうが低価格ということになります。そうして、多くの人々は、日本車を購入するようになります。

それは、車におよばず、すべての製品でそのようなことがいえます。高度成長期には、こうして内需がかなり拡大して、日本経済の成長を牽引したのです。

ゴーゴー 昭和47年、バンド演奏をバックにゴーゴーを踊る水着姿の女子学生

では、輸出は日本経済に貢献しなかったのかといえば、そんなことはありません。実は、内需にも貢献しています。

これも、車を例にとって述べます。車産業のピラミットを想像して下さい。トヨタ、日産、ホンダは輸出企業でピラミットの上層部を占めます。その下には無数の下請け企業が連なっているのです。いわゆる輸出関連企業群がありGDPに寄与しているのです。そして、そこに働く労働者数も相当な数でしょうから所得、消費まで入れると具体的数字はわかりませんが、GDPの3割合以上はあると思います。

円安ということで、そもそも内需が伸び、輸出によって、直接利益を得ている企業は少ないですが、それでも、企業に対して原材料や、部品を提供する会社が多数あり、これも内需を拡大することに寄与したのです。

円安により、日本国内では、外国製品よりも日本製品を購入するということにより、内需拡大がすすみ、輸出によっても、それに対して原材料や部品を供給する会社により、日本国内の内需拡大ということで、好循環をつくりだし、それがあの高度経済成長の原動力となったのです。

しかし、過去20年程度は、円高なので、海外に製品が売れない、売れないから、輸出産業に対して原材料や、部品を提供してきた企業も疲弊したし、国内でもデフレで物が売れないという状況で、さら内需がしぼむということで、これが悪循環をつくりだし、日本はデフレ・スパイラルのどん底に沈んでしまったということです。

円安というと、昔は、外国製品が割高となり、国内製品を売りやすくするためという政策であるというのが、あたり前でしたが、現在ではそうではないようです。

だから、そういう認識のない人にとっては、円安を脅威と受け取ることが多いようです。要するに、海外から原材料を輸入しているから、原材料が高騰して大変だと、円安のデメリットばかりを強調します。

高度成長期のポスター

しかし、円安には国内においては、相対的に国産品を低価格にし、海外製品が高くなり、多くの人は国産品を求めるようになり、国内産業を育成し、内需を拡大するという大きなメリットがあるということがすっかり忘れ去られています。

いずれにしても、極端な円安、極端な円高、あるいは為替相場の急激な変動は、良いことではありません。しかし、過去においては、あまりにも長い間の円高・デフレで疲弊してきたわけですから、かつてのように、円安・インフレ傾向になることは何も悪いことではないどころか、それによって日本経済はまた必ず伸びるということです。

円高・デフレを念頭におき、この状況をスタンダートと考え、日本経済はもう伸びないなどと考えるのは間違いです。円安・インフレ傾向になりきっていない状況で、デフレ・円高スタンダードでものごとを考えていては、これからの変化を見誤ります。

上の記事も、これを前提として読めば、正しく認識できると思いますが、こうした基本的な認識が欠ととんでもない誤解をすることになりかねないと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年10月11日土曜日

日銀総裁「経済状況反映した円安はプラス」、財務相は為替に沈黙―【私の論評】今の水準で"円安ガー"、"円安でも輸出ガー"と叫ぶ人は現実を見ていないただの馬鹿か、あるいはスパイかのいずれかである(゚д゚)!

日銀総裁「経済状況反映した円安はプラス」、財務相は為替に沈黙

黒田総裁
麻生太郎財務相と黒田東彦日銀総裁は10日、ワシントンで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の閉幕後に記者会見した。麻生財務相は為替についてはコメントを避け、沈黙した。

一方、黒田日銀総裁はファンダメンタルズを反映した円安はプラスとの見解を示した上で、日銀と政府の間に円安の影響について温度差はないことを強調した。

<為替発言はもっぱら黒田総裁、「政府と温度差なし」>

麻生財務相は「為替については話さない」と述べたきり、円安に関して一切発言しなかった。

これに対し、黒田総裁は饒舌(じょうぜつ)だった。「経済・金融のファンダメンタルズを反映した円安であれば全体として経済にはプラス」と述べたほか、相場変動の大きさやスピードについても「ボラティリティーが低いところから若干上がったことについて、特に大きな問題とはみていない」、「中期的にみて、市場のボラティリティーは依然かなり低い」と述べるなど、問題視しない姿勢を示した。

金融市場では日銀と政府の円安に対する姿勢の違いを懸念する声もあるが、黒田総裁は「円安が日本経済に及ぼす影響について、政府・日銀の見方に温度差があるとは思わない」と述べ、そうした見方を否定。「為替の動き含め、市場の動きの経済・物価への影響は引き続き注意深くみていきたい」と慎重な姿勢も見せた。

麻生財務相
<日本経済、緩やかに回復>

日本経済について、麻生財務相は「緩やかに回復しているとみている」と発言。世界経済についてユーロ圏を中心に懸念が強まっている状況もあるが、「世界経済については楽観も悲観もしていない」と特定の見方を明示しなかった。

黒田総裁は、世界景気の停滞感やさまざまな要因で原油価格など国際商品が下落傾向にあるなか、「日本は巨額の石油輸入国であり、原油価格の下落は日本経済にとってプラス」との認識を示した。

ただ、今回のG20では米国のルー財務長官が日本について「日銀がデフレサイクルを解消しつつあり、日本は慎重に財政健全化のペースを調整する必要がある」との見解を表明。これに対し麻生財務相は「金融政策だけではデフレを脱却できない。財政刺激も必要というのは日本は経験済み」と述べた。

【私の論評】今の水準で"円安ガー"、"円安でも輸出ガー"と叫ぶ人は現実を見ていないただの馬鹿か、あるいはスパイかのいずれかである(゚д゚)!

この黒田総裁の円安に関する発言、全く正しいと思います。現状の円安水準で「円安ガー」と叫んでいる人、頭がおかしいのではないかと思います。

たとえば、小泉政権のときは、どうだったかといえば、平均で116円でした。野田政権のときはどうだったかといえば、平均で79円でした。

これは、あくまで平均ですが、小泉政権のときは、最高で120円台までいったと記憶しています。これとは、対照的に野田政権のときは、最低で70円台までいきました。

小泉政権のときの円水準で特段何か良くないことがあったかといえば、そんなことはありません。これに対して、野田政権のときはかなりの円高で多くの企業が苦しんでいました。そうして、企業の海外展開が加速された時期でもあります。

どちらが良かったかといえば、小泉政権のときです。150円とか、200円などになれば、「円安ガー」などと叫ぶのはわかりますが、今の水準ならさほどのことではありません。

それにしても、「円安ガー」と叫ぶ人たちは、本当に目の前のことしか見ていないのだと思います。愚かです。

そもそも、現状では包括的な金融緩和をしているわけですから、相対的に以前よりは市場における円が増えているわけですから、円が少ないときよりは、円安に振れるのはあたり前のど真ん中です。

何でも、数の多いほうが価値が落ちるのは当然のことです。円も、従来よりは市場に流通する量が増えているのですから、その分価値が落ちる、だから円安になるというのは当然の成り行きです。今はこの成り行きによって、円安になっているだけです。こんなのは、小学生でもわかる理屈です。

上の記事で、黒田総裁が、難しい言葉で語っている「ファンダメンタルズを反映した円安はプラスとの見解」はこのことを指しています。

さらに、円安でも輸出が伸びないということについて、危機を煽る人もいますが、その原因はあまりにもはっきりし過ぎています。

その原因を簡単に言うと、過去において、日本政府があまりにも円高を放置しすぎたため、たとえば、日本国内で部品を組み立てて海外に輸出するよりも、中国や韓国などの海外で組み立てたり、場合によっては、部品まで製造して組みたてて、日本に逆輸入したほうが安いなどという異常事態になったため、多くの企業が製造拠点を海外に移転したからです。

これは、異常な円高のためにそうせざるをえなくなったからですが、今度は円安になったからといって、すぐに日本生産拠点を移すことはできないからです。日本の企業が円安になっても、輸出を拡大できないような、不都合なことが発生しているというわけでも、突然日本企業の競争力がなくなったわけでもありません。

中国の工場

これについては、私などの拙い解説よりも、このブログにも頻繁に掲載している、高橋洋一氏の記事などご覧いただければ、十分ご理解いただけると思いますので、その記事のURLを以下に掲載します。
円安でも輸出が伸びない真相 5年間の円高放置の罪は重い
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、高橋氏が以下のように締めくくっています。
 円高放置は、福田政権以降の責任であるが、雇用重視のはずの民主党政権下でも円高を大きく加速させたのは情けない。本コラムの読者であれば、2国間の通貨の交換比率である為替レートは、双方の金融政策の差によって決まることをご存じだろう。 
 つまり、円高放置は、各国が金融緩和する中で、日本のみが怠ったことが原因だ。金融緩和は雇用確保にもなるのに、民主党は金融政策に無理解で、雇用重視は言葉だけになっていた。 
 率直にいえば、いったん海外に出て行った企業はなかなか戻らない。企業は円高傾向が確信された時点で海外に出て行く判断をしたように、円安傾向が一定期間定着しないと国内回帰は難しいだろう。ざっくりといえば、5年間の円高傾向があったので、5年間の円安傾向があってトントンだ。いまのところ円安の反転は2年弱なので、あと3年くらいの時間は欲しい。 
実は、小泉政権のときには、海外に生産拠点を移していた企業が、日本に生産拠点を移すということがみられるようになったときもありました。なぜそのようなことになったかといえば、現代の製造業に占める人件費の割合は、製造原価でみると、それに占める人件費(直接労務費と間接労務費の和)の割合は、平均で10%前後に過ぎません。

そのため、従来のように人件費を安くするためという理由だけで、海外に製造拠点を移すことはあまり意味がなくなってきたため、海外に移した製造拠点を日本に戻す企業もでてきたわけです。

しかし、この流れは、日銀が金融引締めに転じたため、そこで終焉し、現在に至っています

ですから、表面上や統計上は、輸出が減っているようにみえますが、海外に拠点を移したとはいっても、日本の企業ということには変わりありません。

だから、こうした日本企業による海外直接投資は収益として返ってきます。しかも、円安になったので円建てで見れば海外投資収益は大きくなるのも事実です。だからこそ、企業は、一旦海外に移した生産拠点をすぐに戻すということはないのです。

しかし、こうして海外拠点が海外に移ったことにより、本来日本国内にあれば、国内の労働者によって製造されていたはずで、その分の雇用は海外に移ったということです。

日本の工場

だから、やはり日本に生産拠点があることのほうが、日本にとっては望ましいことです。しかし、この円安水準が継続し、誰の目にも明らかになった場合、先ほども述べたように、製造業に占める人件費の割合は従来からみれば、格段に低くなったため、日本のような先進的な市場に生産拠点を構えているほうが、有利に働くので、拠点を国内に戻すことになります。

いずれにせよ、冒頭の記事で、黒田総裁が述べていたように、ファンダメンタルズを反映した円安はプラスとの見解は正しいです。今更、金融緩和をやめて、円高水準にもっていく必要性など全くありませんし、そんなことは百害あって一利なしです。

今のこの水準で、"円高ガー"、"円高でも輸出ガー"と叫ぶ人は、過去の推移もみることができないし、企業の製造拠点の海外移転も考慮いれない馬鹿なのか、あるいは知っていても、裏に海外の勢力がついていて、その意向に沿っているスパイなのかもしれません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年9月26日金曜日

コラム:さらなる円安が景気回復を後押しする訳=村上尚己―【私の論評】長い間デフレ風呂に浸かった、ゆでガエルたちは、お湯が多少ぬるくなったことは良いことなのに、危険と騒ぎたてる始末で正しく認識できない(゚д゚)!


村上尚己 アライアンス・バーンスタイン マーケット・ストラテジスト

「ドル高円安」は、日米の金融政策の違いを踏まえれば予想されたことであり、「急激な円安」にみえるのは、これまでファンダメンタルズがドル円の価格形成に必ずしも影響せず、かつ、この3カ月余り、歴史的な低ボラティリティでのこう着状況が続いたからだろう。

米経済が年初に一時的に減速したことに加えて、ユーロ圏でのデフレリスクが大きなテーマとなり、ドル円はこう着状態に陥った。ただ、上述の要因は永続しないので、年初110円前後へのドル高円安のコンセンサスがようやく実現しつつあるだけだ。

にもかかわらず、最近では「これ以上の円安は日本経済にとってあまり良くない」という説も増えてきた。ガソリンなど身の回りのモノの価格上昇という、「ミクロ視点」でしか経済現象を考えられない結果だろう。

ガソリン価格などの上昇は「相対価格の変化」であり、一般物価の上昇つまり「インフレ」とは異なる経済現象であることを理解していないためと考えられる。

ガソリン価格などだけが上昇する相対価格の変化が起きても、名目所得が変わらなければ、それ以外の財サービスへの需要が減る。このため、ガソリン価格などが上がっても、経済全体つまり一般物価の上昇は必ずしも起きない。そして、金融緩和強化の目的は、一般物価を押し上げることである。

アベノミクスで景気回復が実現していた2013年も、同様の誤解に基づく批判をよく耳にした。ガソリンや原材料価格が大きく動くのは、「相対価格の変化」で説明できる事象だが、為替市場がドル高円安方向へ動くたびに同じ議論がまた繰り返されているのだろう。

<日本はいまだ脱デフレの途上>

結論を言えば、1ドル110円前後の円安が、日本経済全体に悪影響を及ぼすとは到底考えられない。円安が進み、価格転嫁が難しい一部企業において原材料高の負担が強まる面はあるにしても、通常、川中・川下まで価格転嫁が及ぶには時間がかかる。

2000年代半ばに、円安に加えて国際商品市況が大きく上昇した。この時も、企業の価格転嫁に時間がかかる中で、「交易条件悪化で企業利益が停滞し景気後退が起きる」との懸念が高まった。しかし、実際には輸出や個人消費などが堅調に推移し、景気回復は続いた。

2014年度については、性急な消費増税によって個人消費が失速していることが懸念されるが、輸出、設備投資が増えており景気回復は何とか保たれている。また足元で、交易条件は、商品価格が落ち着いているのでほぼ横ばいで推移している。さらに円安が進んでも、それをきっかけに景気が腰折れするわけはなく、現在も2000年代半ばと同様に、緩慢ながらも景気回復は続いているとみられる。

現在多くの企業が抱えている価格転嫁が難しい、あるいは時間がかかることの本質的な原因は、経済全体では需給ギャップが依然残っているからである。現状では未だ、日銀が掲げる物価安定目標の2%を実現できていない状況、つまりいまだに脱デフレの途上にあり、「(デフレへ舞い戻るリスクを抱えた)脆弱な状況」にあるからだ。

現在の日本経済は未だにデフレでデフレ・ギャップが存在している

今後、総需要が一段と増えて、インフレ期待がプラス2%で安定するようになると、多くの企業が原材料上昇を、販売製品に価格転嫁できるようになる。それがまだ十分起きていない現在の状況であれば、日本における望ましい政策対応は、金融・財政政策をフル活用して総需要を刺激することだ。現状では、2014年4月からは大型増税による緊縮財政政策のブレーキで、日銀による金融緩和頼みの状況である。

こうした中で、金融緩和が続き自国通貨安になることは、日本経済全体にとってはプラスの効果が大きい。さらに円安が進むことによって、企業の利益が増え、株高・外貨建て資産が増えて民間部門のバランスシートが強固になり、そして設備投資や雇用拡大をもたらすメカニズムが一段と強まる。

「これ以上の円安は日本人にとって望ましくない」という的外れな議論は、日本経済がいまだに物価安定の目標である2%を実現できていないことを忘れているか、世界標準である2%の物価目標を日本だけ実現できないと勘違いしているかのどちらかだろう。あるいは、インフレ率はまだ低すぎるのに「インフレ加速」を心配していた2012年以前の日銀と同じ思考体系にはまっているのかもしれない。

*村上尚己氏は、米大手運用会社アライアンス・バーンスタインのマーケット・ストラテジスト。1994年第一生命保険入社、BNPパリバ、ゴールドマン・サックス、マネックス証券などを経て、2014年5月より現職。

この記事は要約記事です、詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】長い間デフレ風呂に浸かった、ゆでガエルたちは、お湯が多少ぬるくなったことは良いことなのに、危険と騒ぎたてる始末で正しく認識できない(゚д゚)!

昨年まで、「円高で大変だ」の大合唱のはずだったのに、今度は「円安で大変だ」と叫ぶ人たちが増えています。本当に困ったものです。

私自身は、村上氏の主張に概ね大賛成であり、何ら議論の余地はないものと思っています。

だから、上の村上氏の主張を論評するのではなく、なぜこのような的外れな議論がおこるのかを分析してみようと思います。

これは、いわゆる茹でガエル現象で十分に説明がつきます。

茹でガエル現象とは、『2匹のカエルを用意し、一方は熱湯に入れ、もう一方は緩やかに昇温する冷水に入れる。すると、前者は直ちに飛び跳ね脱出・生存するのに対し、後者は水温の上昇を知覚できずに死亡する』というものです。

この現象から、およそ人間は環境適応能力を持つがゆえに、暫時的な変化は万一それが致命的なものであっても、受け入れてしまう傾向が見られることのたとえに使われます。

例えば業績悪化が危機的レベルに迫りつつあるにもかかわらず、低すぎる営業目標達成を祝す経営幹部や、敗色濃厚にもかかわらず、なお好戦的な軍上層部などです。

経済政策に関する茹でガエル現象については、以前にもこのブログで掲載したことなので、その記事のURLを掲載します。
重要なのはアベノミクスの第1の矢だ:JBpress (日本ビジネスプレス)―【私の論評】第三の矢などずっと後回しで良い!そんなことよりも、デフレ脱却が最優先課題であり、そのために一番重要なのは金融緩和である!似非ケインジアンにだまされるな(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事ではデフレからの脱却には、金融緩和政策は効き目がないとか、それだけでは足りず、成長戦略や構造改革が必要だとする人々がなぜこのようになってしまうのかを解説しました。以下にその部分のみを掲載します。
このにような愚かな主張をする人々は、日本があまりにも長い間デフレスパイラルの泥沼に落ち込んでいるため、デフレが通常の状態だと思い込み、特に金融政策などまだ十分に効果をあげないうちから、あるいは金融緩和だけでは不十分として、成長戦略や構造改革が必須であると信じ込んでしまうのだと思います。この考えは全くの間違いです。デフレは経済の癌です。しかもインフレよりも始末が悪いです。インフレの場合は、とんでもないインフレで年率100%とか、とんでもないハイパーインフレになり、すぐに生活に大きな支障がでるため、誰もが度を超したインフレは大問題だといことがわかります。 
しかし、デフレは最大でも年率2%くらいのものにしかならず、ハイパー・デフレなどありません。2%くらいだと、1年くらいでは誰もその弊害に気づきませんが、3年、5年、10年となるとじわじわと雇用や消費に悪影響を及ぼします。そもそも、デフレは異常な経済であり、通常の経済循環の景気が良い、悪いという状況を逸脱したものです。これは、何をさておいても、デフレから脱却して、すくなくとも景気が悪いという状況にもどするのが王道中の王道です。特に変動相場制の国では、金融緩和が効き目が強いということもすでに、わかっていることです。 
しかも、その悪くなり方が少しずつのためであるため、まるで多くの人々が茹で蛙のようになり、悪化していること気づきません。現在の日本はまさに、その状況にあります。GDPデフレーターはここ20年右肩下がりに下がりっぱなしです。そうして、この状況を脱却するには、一番重要なのは、金融緩和です。アベノミクスの、三つの矢のうち、もっとも効果があるのは、金融緩和であり、その次は、財政政策であり、一番効果が薄いのは、成長戦略です。
デフレはゆでガエルを醸成する?
現在の日本では、デフレを脱却するだけで、かなりの経済成長が期待できます。
上の記事では、この当たり前の事実をもってわわって、グタグタと書いていますが、これは、マクロ経済学上の常識であり、当たり前のど真ん中です。
以上は、金融緩和策に関する、茹でガエル現象について説明したものですが、「円安が危険だー」と叫ぶ人たちも、この茹でガエル現象で十分説明がつきます。

こういう人たちは、あまりにも長い間デフレ風呂という風呂に浸かっていて、それがあたり前になった人たちなのだと思います。

デフレ風呂とは、お湯が緩慢にほんのすこしずつお湯が上がるようになっていて、お風呂にかなり長い開いた入っているので、温度もかなり上がっているにもかかわらず、このお風呂に入っている人は気付きません。本当は、すぐにでもお湯から上がったほうが良いのに、気持ちが良くてあがろうとはしません。

お風呂のお湯の温度が50度になっても、ゆっくりあがれば気づかない

ところが、この家の他の人が、お湯の温度があまりに高すぎなので、少し温度を低めに設定しようと、お湯の温度の変更をしました。設定変更をすると、当然お風呂場にもアラームが流れます。

「円安が大変だー」と叫ぶ人は、そのアラームを聴いただけで、お風呂場のバネルも見もせず、家の他の人がお湯を低めにしようとしていることも考慮にいれず、大騒ぎしているようなものです。

デフレ風呂に浸かった人は、本当は温度が高いのですぐにでもあがったほうが良いのにそうとは思わない。

結局自分が熱いお湯の中にいることも体感できずに、お湯の温度を下げるという本当は自分にとって良いことでも、アラームが鳴って危機を感じているのとほんど変わりありません。

結局、金融緩和策により、相対的には良い方向に向かている途上であるにもかかわらず、あまりにも長い間デフレで、円高・物価安に慣れきってしまい、一時的な円安や、相対価格の変化何も考えずに過敏に反応してしまうということなのだと思います。

過去20年近くも、日銀が金融引締め策を実施してきて、昨年ようやっと金融緩和に転じたわけです。今までとは、全く状況が違います。金融緩和による経済対策は、即効性はありません、そのためその途上ではいろいろなことが起こるのがあたり前です。

それに最近は、増税をしてしまったがために、金融緩和の効果が削がれ、良い方向への変化がかなり緩慢になっているため、ゆでガエルたちが、さらに勘違いをしやすい環境になっているのだと思います。

短期的な視点だけからみれば、金融緩和の途上で一見良くないことも発生します。しかし、だからといって、金融緩和をやめてしまえば、またデフレに戻るだけです。

熱すぎるデフレ風呂からは、はやくあがって、バス
ローブにでも着替えたほうが良いに決まっている

これは、企業に置き換えるとさらに良く理解できるかもしれません。

たとえば、ある大企業がいろいろな理由があって、業績がかなりおちたときに、本格的な変革に踏み切ったとします。本格的変革に踏み切った途端に会社がよくなるわけもありません。最低でも、三年から五年かかるのが普通でしょう。

変革の途上では、役員や社員の給料を下げたり、あるいは、当面雇用を打ち切ったり、それこそ、リストラをすることもあるかもしれません。それをしなければ、会社が倒産してしまうかもしれません。その一方で、様々な改革で、業績をあげられるように努力して、少しずつ業績があがりつつあったとします。

こうした改革の途中であるにもかかわらず、社員が目先のことばかりに注目して、やれ給料が下がったとか、人手が足りないとか騒いだとします。このような人を会社の他の人達はどのようにみることでしょうか。

まともな社員であれば、そういう人たちを「先も見えず、現状もわきまえない馬鹿な奴」と思うことでしょう。会社の上層部からみれば、そんな社員こそリストラ対象にするかもしれません。

まさに、今の日本で、「円安がー」と叫ぶ輩は、このように、このような会社の中で自己中心的に「給料が下がったとか、人手が足りない」と叫ぶ社員のようなものです。

いずれにしても、大局観がなく、目の前のほんの一時のことに左右されていることに変わりはありません。

このような連中に耳を傾ける必要はありません。まともに受ければ、幻惑されるだけです。

私達は、大局観を持って経済の問題を考えていくべきであって、短期の指標などで一喜一憂すべきではありません。ましてや、短期的な指標だけに惑わされている馬鹿どもの意見に振り回される必要などもうとうありません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思わまれますか?

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2013年4月11日木曜日

日の丸家電、大復活! ソニー、パナ、シャープ軒並み増益―【私の論評】ちょっと待ってくれ!!20年もデフレが続いたことを忘れていないかい?デフレは家電メーカーの大敵であることを!!

日の丸家電、大復活! ソニー、パナ、シャープ軒並み増益


日銀の大規模金融緩和を受けた円安が止まらない。これにより、民主党政権下での超円高で業績が低迷してきた日本の電機メーカーも復調。対ドルで1ドル=100円台、対ユーロで1ドル=130円台突破も時間の問題となったことで、ソニー、パナソニック、シャープの3社合計では営業利益を年間約1970億円も上乗せすることになる。

9日午前の円相場は一時、3年11カ月ぶりに1ドル=99円台後半に。午前10時現在は前日比39銭円安ドル高の1ドル=99円22~23銭。ユーロは1円15銭円安ユーロ高の1ユーロ=129円57~60銭。

円安は業績が深刻な日本の家電メーカーにとって恵みの雨となる。

ソニーは円高対策として、対ドルの変動の影響をほぼゼロにしたが、対ユーロでは1円の円安による影響(為替感応度)をみると、営業利益が60億円上乗せされる。同社は対ユーロの想定レートを15円引き上げて115円にしたが、それでも現状と比べてかなりの円高水準だ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

もちろん円安だけですべてが解決するわけではないが、日の丸家電復活へ環境が整ってきたのは事実だ。

この記事の詳細はこちらから!!

【私の論評】ちょっと待ってくれ!!20年もデフレが続いたことを忘れていないかい?デフレは家電メーカーの大敵であることを!!


さて本日は、タイトル通りに、デフレは日本の家電メーカーの大敵であったことを掲載します。上の記事では単に、日本の家電メーカーが円安によって、業績が回復しつつあることを掲載しています。当たり前といえば、当たり前です。

しかし、わずか数ヶ月前までは、日本の家電メーカーの業績の悪さを様々に批判するような記事が巷にあふれていました。その最たるものをこのブログにも掲載したことがあります。

「存在に値する」会社の必要条件は何か? それは過去を健全に否定し、世の中に新しい価値を送り出し続ける「起業家精神」だ!―【私の論評】顧客価値の創造をすることが「存在に値する」会社の必要条件であることは、間違いないが、今の経済状況は、十分条件を満たしてはいない!!

この記事の元記事となったもの、今読み返してみと、酷い内容です。デフレと円高で手枷足枷常態にある、日本家電メーカーを徹底的に糾弾しています。まるで、存在価値がないかのようないいようです。弱っている企業をさらに、追い詰めるような内容です。人が弱っているとき、たとえば、病気になったとか、会社をくびになったとかいうときには、励ますというのが、元来の日本人の惻隠の情というものだったと思います。しかし、この記事にはそのような配慮が全く感じられません。

詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事に対する私の論評の結びのほうの部分のみ以下に掲載させていただきます。(注:この記事は、安倍氏民党政権成立前のものです)
私は、日本の企業が、古今東西に例をみない、デフレ・円高の中では、不平もいわず、頑張っているほうだと思います。そうして、現在業績を落としている企業の中にも、次の飛躍に向かって、身をかがめている企業も相当数あると思います。それは、人間が跳躍するときに、一旦身をかがめないと、大きな跳躍ができないのと同じことだと思います。このデフレ状況は、次の選挙で新たな政党が、政権の座につき、新たな経済対策をすれば、克服される確率が高いです。実際為替市場は、安倍総裁が、日銀インフレ目標3%、日銀法を改正について、言及した直後野田首相が、解散の旨を党首討論で発表した直後から円安傾向にあります。私は、デフレ状況が克服されれば、多くの企業が大きな跳躍して、世界に範を示すことになると思います。そうして、日本そのものが、再起動して、世界のトップリーダーになると確信しています。為替市場は、そのような期待感だけで、円安に振れているのだと思います。


日本の家電メーカーが苦境にあったときには、韓国メーカー礼賛論も巷にあふれていました。私は、これに反論する記事を掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。

「日本企業に足向けられない」 巨人サムスンの“強み”と“弱み”−【私の論評】韓国企業礼賛論を語る人は、視野が狭いか、売国奴か、それらに扇動された愚か者!!


この記事で、私は日本では韓国企業礼賛論が巷にあふれているなか、サムスンの経営者などが、日本企業の技術力を高く評価しつつ、警戒していることを強調しました。そうして、以下のように結びました。
旧態依然としたとした製造業はどのみちあまり先に良いことはありません。しかし、最近は、このブログにも掲載したように、メイカーズ・ムーブメントがあります。このムーブメントを発展させてるためには、一方では、メイカーズの素晴らしいアイディアが必要ですし、このことばかりが強調されますが、もう一方ては、このメイカーズの要望に答えて柔軟な生産体制をとることができる工場を経営することのできる製造業が必要不可欠です。これらの、両方を満たすことができるのは、韓国ではなくもともとモノづくの伝統があり、部品づくりから取り組む日本だと思います。

サムソンや日本企業の実力など、もう少しすれば、はっきりすると思います。今すぐではなくても来年あたりにははっきりすると思います。私は、その時を待てばはっきりはしますが、待たなくてもメイカーズの動向や日本企業の本来の力を見極めれば、自ずと、日本のほうがはるかに優れていることが多くの人に周知されるようになると思います。来年になれば、間違っても、韓国企業礼賛論などはでではこないでしょう。現在韓国礼賛論のたまう人は、視野が狭いか、売国者か、それらに扇動された愚か者だと思います。私は、そう思います。皆さんはどう思われますか?
 これらの過去の記事で述べたように、日本の家電メーカーは、確かに一時業績を落としましたが、これはこれらのメーカーが20年にも及ぶ、デフレに翻弄された結果であり、もしデフレでなければ、これほどまで業績を落とすことはなく、存在意義を問われたり、韓国企業に比較して劣っているなどと論評されることはなかったと思います。


いずれにせよ、日本と日本企業が、未曾有のデフレで弱体化していたときに、その真相を見極めることなく、日本企業の存在価値を問うてみたり、いたずらに外国企業礼賛をしたりする輩は、 視野が狭いか、売国奴か、それらに扇動された愚か者だったということです。

これが真実かどうかは、このブログの冒頭の記事が雄弁に語っていると思います。そうして、アベノミクスが進展してくにつれて、ますます明らかになっていくと思います。私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2013年4月8日月曜日

大企業100社の内部留保99兆円に! “異次元の給与増額”は可能か―【私の論評】ちょっと待ってくれ!!20年もデフレが続いたことを忘れていないかい?デフレは、雇用・給与の最大の敵であることを!!

大企業100社の内部留保99兆円に! “異次元の給与増額”は可能か


大手企業100社が、利益のうち人件費などに回さずに社内にため込んだ「内部留保」の総額は2012年3月末(一部2月末なども含む)時点で総額約99兆円に上ることが7日、共同通信の調査で分かった。

リーマン・ショック直後の09年3月末からの3年間で10%増。労働者の賃金は下落傾向が続く中、企業が経営環境の変化に備え、利益を温存する姿勢を強めている実態が浮き彫りになった。

今春闘では円安も背景に一時金(ボーナス)を増額した大手もあるが、もっとサラリーマンの給料に回せるはずだ。

内部留保は、企業利益のうち投資や人件費などに使わずに内部に蓄積した現預金など。決算では「利益剰余金」として計上される。調査は100社の有価証券報告書に記載されたこの剰余金を集計した。

100社の内部留保はリーマン・ショック後の09年に約90兆円に落ち込んだが徐々に増加。直近の12年には100兆円に迫る勢いとなった。リーマン・ショック後の不安が払拭されない中、手元資金を確保し危機に備える意識がうかがえる。


この記事詳細はこちらから!!

【私の論評】ちょっと待ってくれ!!20年もデフレが続いたことを忘れていないかい?デフレは、雇用・給与の最大の敵であることを!!

就活が今のように過酷なものでなく、普通になれば、給料もあがる!!

今回は、昨日の続きのような内容です。昨日は、ベンチャー企業の起業家が日本には、少ないことに対して大企業に対する批判の記事がありましたので、起業家が少ないのは、大企業が悪いということではなく、あまりにも長い間続いたデフレのせいであることを掲載しました。この記事、ご覧になっていない方は、以下にその記事のURLを以下に゛掲載しますので、是非ご覧になってください。

従来の説はほとんどウソだった。日本でベンチャー企業が発達しない本当の理由。―【私の論評】ちょっと待ってくれ!!20年もデフレが続いたことを忘れていないかい?デフレは、ベンチャーの最大の敵であることを!!


この記事では、完璧にベンチャー企業の起業家が少ないことを大企業のせいにしていました。詳細は、この記事をごらんいただくものとして、結論からいえば、そんなことは全くないわけで、本当の犯人はデフレです。

さて、今回の冒頭の記事においては、締めくくりに、「 アベノミクスで円安や株高が生じ、大手企業のフトコロは潤っているはず。「2年で2倍」とまではいかなくても、「異次元の給与増額」を決断してほしいものだ」ということが掲載されています。

昨日の記事と異なり、本日の冒頭の記事は、大企業を直接悪者扱いしているわけではありませんが、これだけ読んでいると、やはり、大企業が潤っているのに、賃金をあげないと非難しているように見受けられます。

就活の厳しさは、デフレのせいです!!

これも、はっきりと間違いなので、以下にその理由と背景を示します。まずは、このブログでも掲載したのですが、日本ではほとんど理解されていませんが、雇用・賃金と、金融政策との間には密接な関係があります。これに関しては、このブログでも以前掲載したことがあります。そのURLを以下に掲載します。

若者雇用戦略のウソ―【私の論評】雇用と中央銀行の金融政策の間には密接な関係があることを知らない日本人?!

 

詳細は、上の記事をご覧いただくものとして、金融政策と、雇用に関する部分だけ、下にコピペさせていただきます。 

 

アメリカでは、雇用問題というと、まずは、FRBの舵取りにより、大きく影響を受けるということは、あたりまえの常識として受け取られていますし。雇用対策は、FRBの数ある大きな仕事のうちの一つであることははっきり認識されており、雇用が悪化すれば、FRBの金融政策の失敗であるとみなされます。改善すれば、成功とみなされます。

この中央銀行の金融政策による雇用調整は、世界ではあたりまえの事実と受け取られていますが、日本だけが、違うようです。日本で雇用というと、最初に論じられるのは、冒頭の記事のように、なぜか厚生労働省です。

このブログでも、前に掲載したと思いますが、一国の雇用の趨勢を決めるのは、何をさておいても、まずは中央銀行による金融政策です。たとえば、中央銀行が、インフレ率を2〜3%現状より、高めたとしたら、他に何をせずとも、日本やアメリカのような国であれば、一夜にして、数百万の雇用が生まれます。これに関しては、まともなマクロ経済学者であれば、これを否定する人は誰もいないでしょう。無論、日本に存在するマクロ経済学と全く無関係な学者とか、マルクス経済学の学者には、否定する人もいるかもしれませんが、そんなものは、ごく少数であり、グローバルな視点からすれば、無視しても良いです。

日銀が、やるつもりもないインフレ目処1%など無視して、インフレ率を本当に2〜3%上昇させたとします。そうすれば、日本でも、一夜にして、数百万の雇用が生まれます。これは、マクロ経済学上で昔から知られているし、経験則としても成り立っている法則です。

無論、雇用対策のため、のべつまくなく、インフレにするというわけにはいきません。ある程度以上、インフレになれば、ハイパーインフレとなり大変なことになる場合もあります。そういうときは、中央銀行は、すぐにはインフレ率を高めるわけにはいきませんから、これは、打ち出の小槌のようにいつもできるというわけではありません。雇用枠が増えても、ハイパーインフレということにでもなれば、雇用が増えたという経済に対するブラス要因が、ハイパーインフレというマイナス要因によってかき消されるどころか、経済が悪化してしまいます。

それに、経済のその時々の状況で、インフレ率を高める方法もいろいろあります。いろいろある方策のうち、雇用に悪影響を及ぼす方策もあります。同じ二つ三つの金融政策を実施するにしても、順番があります。順番を間違えると、かえって、雇用に悪影響を与える場合もあります。こうしたことを認識しながら、雇用調整を行うことは、本当に難しいことです。だからこそ、アメリカではFRBの金融政策の専門家が専門家的立場から、これを調整して、雇用対策を行います。

雇用を直接生み出すのは、日本でも、本来日銀であるはずです。しかし、日本では雇用対策といえば、厚生労働省の管轄とかたく信じて疑わない人が多いようです。しかし、厚生労働省は、雇用枠を増やすことはできません。一定の雇用枠の中で、雇用対策ができるのみです。できることは限られていて、雇用のミスマッチを改善することくらいのものです。

日銀と、厚生労働省の二つの雇用対策がマッチしてはじめて、若者の雇用なども含むまともな雇用対策ができます。日銀が、金融政策で雇用枠を増やしたとしても、それは、枠を増やしたというだけであって、現実には、雇用のミスマッチがあれば、雇用問題は解消しないわけです。ここで、厚生労働省が、実効的な雇用のミスマッチを是正する政策を行えば、雇用問題が解消するわけです。

さて、雇用と給与は密接な関係にあります。雇用が増えれば、賃金も増えます。なぜなら、雇用が増えると、雇用市場で何がおこるかといえば、働き口がたくさんできるので、求職者はより給料の高い方に勤めようとします。そうなると、給与が安い企業では、人を雇うことができなくなるので、必然的に給与を上げざるを得なくなります。そうして、給与が全体的にあがっていくわけです。

大企業が肥えるために、雇用を削減しているという見方は間違いです。

しかし、現実には、円安などで、大企業は潤ってるではないかと反論される方もいるかもしれません。確かに、そうです。トヨタのような企業などは、海外に多く輸出しているので、少しでも円安になれば、業績があがります。しかし、すべての企業がそうではありません。全く輸出していない、企業、輸出していたといしても、国内向けがはるかに大きい企業など、円高になったからといって、すぐに業績が上向くわけではありません。

そうして、一般に認識されているのとは違い、日本では、輸出産業は圧倒的に少数派です。どのくらい少数派かといえば、日本のGDPに占める輸出の割合は、15%に過ぎません。後は、内需産業です。輸出とは関係ない内需産業が日本では圧倒的に多いのです。これらの企業の業績が回復しない限りは、いくらアベノミックスで、円安傾向になったからといって、すぐに、賃金が上がるなどということはあり得ないことが良くお分かりになるでしょう。

そうして、なぜ、このように企業の内部留保が、99兆円にもなってしまったかといえば、その原因も、企業がケチだからなどという単純な理由ではなく、デフレだったからです。デフレとは、モノ価値が下がり、お金の価値があがっていくということです。そうして、デフレであれば、モノが売れず、企業としては、モノを売るために、設備投資もせず、雇用もせずということになります。そうして、お金をためこみ、次に景気が良くなったときに備えるということになります。

だから、アベノミクスで円安・株高になったからといって、すべての企業がすぐに給与をあげるというわけにはいかないのです。それができるのはあくまで一部の企業ということです。

海外でも、景気が悪くなれば真っ先に若者の雇用が犠牲になります

では、給与が上がり、多くの人がアベノミクスの恩恵を受けることができるようになるのは、いつになるかといえば、まず、はっきりしているのは、今年の秋に増税することを決め、来年の春に増税してしまえば、さらにデフレが継続し、賃金があがることはないでしょう。

もし、増税しないことが決まり、来年の春に増税しなければ、来年度末(平成15年3月)あたりには、そろそろ、多くの人がある程度実感できるくらいの賃金の上昇がみられるようになると思います。この流れは、まずはパート・アルバイトから始まり、次に正社員、正社員でも一般職から総合職へ、そうして最後に役員という具合に、デフレで最初に影響を受けるのとは全く反対のほうからみられるようになります。増税してしまえば、今後またデフレが続き、いくら金融緩和しても、雇用は上向かず、したがって、賃金もしばらく上昇しないことでしょう。

就活が報道されなくなったとき、賃金は上昇している?

そんなことにはならないように、金融緩和の次は、アベノミクスの第二の矢でもある大幅な積極財政をすることが必須です。私は、安倍自民党政権が、今年夏の参院選に勝つことができれば、増税は阻止されるものと思います。もし、負ければ、参院の捩れ状況が解消できず、増税される確率がかなり高まります。ちなみに、増税という政策は、積極財政ではなく、緊縮財政です。

それにしても、デフレは、本当に給料の敵です。日本では、この20年デフレだったので、給料が下がることはあっても、なかなか上がることはありませんでした。この間、デフレでなかった国がどうであったかといえば、20年で同じ企業で、同じ職位で働いていたとしても、少なくとも給料は2倍になりました。インフレ分を差し引いても、少なくとも1.5倍にはなっていました。

これが、デフレでない国の経済の当たり前のあり方です。こんなことから、給与が上がらないのは、企業のせいではなく、あくまで、デフレのせいであること、日銀の金融引き締め、政府による緊縮財政であったことを再認識していただきたいと思います。それに、デフレから脱却するためには、当面の増税はさけるべきであることも、再認識していただきたいと思います。そのために、安倍自民党政権には夏の参院選には勝っていただく以外にないということです。私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2013年2月1日金曜日

1ドル=95円はもうすぐそこに!? 懸念表明がないということは米国もある程度の円安水準を了解済みか―【私の論評】通貨安懸念をするドイツと、しない米国との間には明らかに異なる訳がある!!

1ドル=95円はもうすぐそこに!? 懸念表明がないということは米国もある程度の円安水準を了解済みか:

1月25日時点のドル円レート

[真壁 昭夫]
最近、アベノミクスの金融緩和策に伴う円安傾向が鮮明化していることについて、ドイツや英国などから批判の声が上がり始めている。特に、ドイツのメルケル首相は、「日本の円安政策は、通貨引き下げ競争につながる」として明確に批判した。
…続きを読む

【私の論評】通貨安懸念をするドイツと、しない米国との間には明らかに異なる訳がある!!

上の記事、「米国もある程度の円安水準を了解済みか」とする一方で、ドイツは通貨安競争を懸念していることを掲載していますが、なぜそうなのか踏み込んでまで掲載してませんので、このブログで掲載します。


そもそも、通過安に関して米国とドイツとではどこがどう違うかといえば、それは、はっきりしています。米国は、貿易大国ではないですが、ドイツは貿易大国だということです。どういうことかといえば、アメリカは、貿易がGDPに占める割合は、数パーセントにすぎないのです。アメリカは、まごうかたなき、内需大国です。

それに比較すると、ドイツは何と40%以上を占めています。ドイツはまごうかたなき、貿易大国であり、外需依存の国ということになります。



そのため、アメリカは日本が円安になったからといって、さほど影響は受けないのです。外需よりも、内需のほうがはるかに大きいので、外国のことよりも、アメリカ国内のことのほうが、経済的にははるかに重要なのです。

それに比較すると、ドイツは日本が円安になれぱ、かなり影響を受けます。内需よりも、外需のほうがはるかに大きので、国内のことようりも、ドイツ国外のほうが、経済的にはるかに重要なのです。

だからこそ、米国は、日本の円高に寛容だし、それに、自分の国でも、QE3という金融緩和を大々的にやっているため、日本にいちゃもんをつけるような状況にはないというわけです。こういったことから、日本の円安について、両国で受け止め方が違うのは、当然のことといえます。

それにしても、円安だからといって、通貨安戦争になるなどのことはありません。それは、以前のこのブログに掲載しました。そのURLを以下に掲載します。

「円安で近隣窮乏化」という誤解 デフレ対策の緩和、堂々主張を―【私の論評】まともな国にとっては、まずは国民経済をきちんと運営することが、世界経済もうまく運営していく前提となる!!


詳細は、上の記事をご覧いただくものとして、以下に要点だけ記しておきます。

日本やドイツそうして、アメリカのようなまともな国々では、どこかの国が通貨切り下げをすると、短期的に外国はマイナスの影響を受けますが、外国も金融緩和をします。両国ともにインフレ率が高くなりますが、それぞれ許容できるインフレ率に限界があるので、金融緩和競争はいつまでも続きません。だから、通貨安競争が苛烈になり、とんでもないことになるというようなことは、ないのです。

ただし、中国や韓国のようなまともでない国々においては、国民生活をインフレで犠牲にしてまで、自国通貨を安くします。しかし、これらの国々はすで金融緩和をかなり実施して、すでにかなりのインフレ水準になっています。

ドイツが非難するのであれば、日本やアメリカではなく、中国、韓国を非難すべきです。

さて、アメリカは輸出が、GDPに占める割合は、数パーセントにすぎないという話をしました。世界で、次にこれが少ない国は、日本です。日本では、15から16%内外です。日本も輸出大国ではなく、内需大国です。輸出企業は、日本では少数派です。最近、円安で輸出企業が潤っていという話をよく聞きますが、まだまだ、少数派の企業が潤っているだけの話です。

輸出といえば、輸出ばかりに目が向いていますが、日本では、輸出がGDPに占める割合は確かに低いですが、所得収支が莫大です。所得収支とは、日本から海外に投資した結果のあがりのことです。これが莫大なので、日本は輸出少なくて十分やっていけるどころか、ドイツのような輸出の多い国から比較すると、世界経済に影響される割合は低いです。非常に利口なやり方だと思います。

このようになっていないドイツや、中国、韓国のような国々は、世界経済の変化にかなり翻弄されやすいです。だからこそ、ドイツ、中国、韓国ともに、日本の円安傾向を警戒するのです。

さて、日本では、あまりに酷い円高水準でしたから、工場や人が中国などに移転が進み、空洞化が心配されたため、円安傾向に傾いているのは、歓迎すべきことです。しかし、アメリカや、日本のような国では、内需が拡大しない限り、国民の大多数の人びとが、景気の良さを実感できません。

アベノミクス、次の段階では、大規模な財政出動をして、内需を拡大する必要があります。この内需拡大に関して、まだまだ、心許ない状況にあります。それに関しては、以下の動画をご覧になって下さい。




日本の政治家の中には、このような実体を知らず、全く足りない財政支出に対して、「バラマキ」などと評してアベノミクスを非判しているものも多いです。全く、マクロ経済音痴としかいいようがありません。

このようなマクロ経済音痴の言うことを真に受けて、アベノミクスがバラマキなどと信じてしまい、そのような人が大勢を占めれば、またまたデフレから脱却できずに、失われた20年が30年になりかねません。そんなことになって良いはずがありません。

安倍総理としては、参院選までは、非判をかわしながら安全運転をしようという腹だと思います。是非とも、参院選でも大勝利を納めて、その後からまともな財政政策に着手していただきたいものです。来年、再来年としばらく続けていく必要があります。そう思うのは、私だけでしょうか?皆さんは、どう思われますか?

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2012年12月22日土曜日

願わくは1ドル=120円の円安政策、首相再登板の安倍氏に期待−【私の論評】総選挙のずっと前から自民党を非難しつづけ今後も煽り続けるマスコミは、世界最低の非常識で、次世代には生き残れない!!

願わくは1ドル=120円の円安政策、首相再登板の安倍氏に期待

ブルームバーク本社内

12月21日(ブルームバーグ):自民党の安倍晋三総裁が前回首相の座にあった5年余り前よりも日本経済は約10%縮小した。円相場の急騰で製造業の空洞化が進んだからだ。安倍氏が12月26日の特別国会で首相の座に返り咲く見通しとなったことは、輸出業者にとって円高の打撃を抑える絶好のチャンスとなる可能性がある。

安倍総裁が日銀に無制限の流動性供給を要請したことから、円相場は11月半ば以降、ドルに対して約5%下落した。選挙前の世論調査でリードしていた自民党は今月16日の衆院選挙で圧勝した。21日の円相場は84円前後だが、先物トレーダーの間では円の下落を見込むポジション(持ち高)が120円付近にあった2007年7月以来の高水準に達している。

・・・・・・・<中略 >・・・・・・・

11月の貿易赤字は過去3番目の規模で、同月の輸出は中国や欧州連合(EU)の需要の弱さが響き6カ月連続の減少だった。

バークレイズ銀行チーフFXストラテジストの山本雅文氏は「円高の期間は終わった」として円売りを勧める考えを示した。

この記事の詳細は、こちらから!!

【私の論評】総選挙のずっと前から自民党を非難しつづけ今後も煽り続けるマスコミは、世界最低の非常識で、次世代には生き残れない!!

上のブルームバーグの記事、淡々として事実を語っています。そうして、タイトルも『首相再登板の安倍氏に期待』として、期待感を前面に打ち出しています。ブルームバーグといえば、ソロモン・ブラザーズの元幹部で、現在のニューヨーク市長であるマイケル・ブルームバーグ(以下「マイケル」)が1980年代に設立しました。当初は債券取引の情報を専用端末に配信するサービスを提供していましたが、その後、通信社をはじめ、テレビ、ラジオ、雑誌などメディア事業を展開。世界に185の拠点を持ち、社員数は約1万3000人。東京支局でも記者100人超える、社員約600名を抱えて、事業を展開しています。

ブルームバーグの端末
ブルームバーグが提供しているサービスで最も普及しているのは独自アプリケーションを用いた情報端末です。どこからでもインターネット接続があれば利用できる「ブルームバーグ・エニウェア」と主に社内利用用の固定端末の「ブルームバーグ・プロフェッショナル」サービスがあります。一部にバグなどの問題の指摘もありますが、常にユーザーのフィードバックを元に新しい機能や改良などが頻繁に行われサービス向上に努めています。ロイターのシェアを過去十年以上に渡って奪い続けていることからも、企業戦略としては成功を収めていることがわかります。

ブルームバークのテレビの女子アナ
ブルームバーグの報道は、あまり偏向していないので、定評があります。アメリカでも、比較的偏向が少ないです。その姿勢は、日本のブルームバーグにも引き継がれているようで、偏向は少ないようです。ただし、アメリカの国益を重視していると思いますが、それは、アメリカの会社として当然と思いますし、一定の許容の範囲の中に収まっているようなので、安心して読むことができます。

この報道姿勢は、上の記事でも発揮されています。淡々と安部政権への期待を掲載するとともに、他者の見方を掲載しているだけです。選挙で大勝したとしても、まだ発足もしていない政権に対する報道としては、これで十分だと思います。

ブルームバーグ 女子アナ
これと比較すると、日本のメディアは、選挙前から安部総裁叩きを実施していました。これについては、このブログにも何回か掲載しました。自民が圧勝した選挙後もすでに安部たたき、自民党たたきが始まっています。これに関しては、最近も以下のような記事がありました。

「将来が怖い」と不安がる声が続々自民党政権誕生に脅える人々の叫び

この記事の内容は、私からいわせると、問題外です。今のままだと、確実に将来が不安だからこそ、安部自民党政権は、まずは経済を良くしようということで、これに関しても公約に掲げているのです。やりも、しないうちから、不安を煽る完璧な、コミンテルン的な記事です。

「竹島の日」式典を見送り 安倍自民、日韓関係改善に現実路線

これも、産経新聞はもとより、大手新聞各社が、報道したものです。これに関しては、自民党のFBページで以下のような声明が発表されています。


さて、上の記事などで驚いていては、まだまだ生ぬるいです。新聞などのマスコミは、民主党がも次の選挙では、大敗することが明らかになった今年4月の時点ですでに、自民党叩きを実施しています。


公 開日: 2012/04/11

上の動画は、sakurasoTVのものです。これも消費増税実現の為なのであろうか?読売新聞は自民党が発表した公約原案の一部を切り取って報じ、与党に協力しない自民党の姿勢を厳しく批判しました。しかしながら、読売新聞に限らず、新聞各紙は公約原案の全体像を報じぬままに批判に終始していました。上の動画では改めて三橋貴明から自民党公約原案の全体像を御説明しながら、新聞報道の問題点を明らかにしていました。

私は、民主党が政権交代をしたときには、はなから民主党は何もできないだろうし、ますます日本の国が悪くなるだろうと最初から確信していましたが、このブログ記事ではすぐには、民主党政権批判はしませんでした。なぜなら、発足したばかりのときに何か悪いことがあったとしても、それは、前政権の不手際によるものであるかもしれないからです。このことは、このブログにも二大政党制に関して何回か述べたことがあります。その最新のものにつき、以下にURLを掲載します。

【きょうの名言】スポーツのいいところ−【私の論評】日本人は、自分の国の「身の丈」を知らなすぎる!!韓国も、中国も!!

なぜ、こんなことを言えたかというと、過去の私のブログにも書いたように、イギリスやアメリカなどの二大政党制をみれば、わかりきっていました。 最近では、両国とも結構せっかちになりましたが、かつては、これらの国々では、政権交代しても、すぐに前政権のやってきたことをすぐに改めることはなく、政権をとってから、半年くらいで徐々に変え、1年経過してから本格的に変えるというのが当たり前でした。その間、マスコミも、現政権のことをあまり批判しませんでした。なぜなら、その時の政治が悪くで問題がおこったとしても、それは、現政権に問題があるのではなく、前の政権に問題があったかもしれないかです。
それに、極めつけは、二大政党のこれらの国では、かつては、政権交代したとしても、現政権と前の政権との違いは、わずか、3割から多くても、4割くらいなもので、あとの7割から6割はほぼ同じでした。このようにして、政権が交代したとしても、いきなり政策が180度転換することもなく、政治の継続性を図っていたのです。
民主党は、こんなことを知ってか知らずが、最初から自民党政権との違いを鮮明にうちだし、どんどん突き進んで、失敗を繰り返し、今日に至っています。まさに、「身の丈知らず」の所業だったと思います。政治家といえば、ある程度以上年齢がいっているのが、普通ですから、現在の若者が、「身の丈知らず」であっても、仕方ない面もあると思います。
とにかく、政権交代したとしても、二大政党制の場合は、政権交代直後はしばらくは、マスコミは政府を批判しないということが世界の常識です。 米英では、この期間を結婚になぞらえて、ハニームーンと称したりします。できれば、半年くらいは、ハニームーン期間が欲しいものです。少なくとも100日くらいは、その期間を設けるべきでしょう。

それにしても、民主党が政権交代をしたときは、しばらくは、マスコミも批判はしていなかったと思いますし。かなり批判するようになったのは、鳩山さんの普天間基地移設問題あたりからだったと思います。自民党は、確かに政権与党の時代が長かったですが、それにしても、空白期間が3年もあるわけですから、この間に民主党の度重なる不手際がたくさんありました。この不手際まで、自民党のせいにされてはたまったものではありません。


自民党に対しては、マスコミは、最初から批判の大合唱で進む腹のようです。しかし、これは、世界の常識からみれば全くの世界最低の非常識であると思います。このような非常識、このブログでも、これからもどんどん摘発していきます。

さて、上で述べたように、ブルームバーグは、比較的まともな報道姿勢で、ロイターのシェアを過去十年以上に渡って奪い続けていることからも、企業戦略としては成功を収めていることがわかります。日本のマスコミのように明らかに日本弱体化という姿勢で偏向報道を行うような機関は、ブルームバーグのような存在がでてきたら、あっという間に駆逐されてしまうと思います。私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?



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