2013年4月8日月曜日

大企業100社の内部留保99兆円に! “異次元の給与増額”は可能か―【私の論評】ちょっと待ってくれ!!20年もデフレが続いたことを忘れていないかい?デフレは、雇用・給与の最大の敵であることを!!

大企業100社の内部留保99兆円に! “異次元の給与増額”は可能か


大手企業100社が、利益のうち人件費などに回さずに社内にため込んだ「内部留保」の総額は2012年3月末(一部2月末なども含む)時点で総額約99兆円に上ることが7日、共同通信の調査で分かった。

リーマン・ショック直後の09年3月末からの3年間で10%増。労働者の賃金は下落傾向が続く中、企業が経営環境の変化に備え、利益を温存する姿勢を強めている実態が浮き彫りになった。

今春闘では円安も背景に一時金(ボーナス)を増額した大手もあるが、もっとサラリーマンの給料に回せるはずだ。

内部留保は、企業利益のうち投資や人件費などに使わずに内部に蓄積した現預金など。決算では「利益剰余金」として計上される。調査は100社の有価証券報告書に記載されたこの剰余金を集計した。

100社の内部留保はリーマン・ショック後の09年に約90兆円に落ち込んだが徐々に増加。直近の12年には100兆円に迫る勢いとなった。リーマン・ショック後の不安が払拭されない中、手元資金を確保し危機に備える意識がうかがえる。


この記事詳細はこちらから!!

【私の論評】ちょっと待ってくれ!!20年もデフレが続いたことを忘れていないかい?デフレは、雇用・給与の最大の敵であることを!!

就活が今のように過酷なものでなく、普通になれば、給料もあがる!!

今回は、昨日の続きのような内容です。昨日は、ベンチャー企業の起業家が日本には、少ないことに対して大企業に対する批判の記事がありましたので、起業家が少ないのは、大企業が悪いということではなく、あまりにも長い間続いたデフレのせいであることを掲載しました。この記事、ご覧になっていない方は、以下にその記事のURLを以下に゛掲載しますので、是非ご覧になってください。

従来の説はほとんどウソだった。日本でベンチャー企業が発達しない本当の理由。―【私の論評】ちょっと待ってくれ!!20年もデフレが続いたことを忘れていないかい?デフレは、ベンチャーの最大の敵であることを!!


この記事では、完璧にベンチャー企業の起業家が少ないことを大企業のせいにしていました。詳細は、この記事をごらんいただくものとして、結論からいえば、そんなことは全くないわけで、本当の犯人はデフレです。

さて、今回の冒頭の記事においては、締めくくりに、「 アベノミクスで円安や株高が生じ、大手企業のフトコロは潤っているはず。「2年で2倍」とまではいかなくても、「異次元の給与増額」を決断してほしいものだ」ということが掲載されています。

昨日の記事と異なり、本日の冒頭の記事は、大企業を直接悪者扱いしているわけではありませんが、これだけ読んでいると、やはり、大企業が潤っているのに、賃金をあげないと非難しているように見受けられます。

就活の厳しさは、デフレのせいです!!

これも、はっきりと間違いなので、以下にその理由と背景を示します。まずは、このブログでも掲載したのですが、日本ではほとんど理解されていませんが、雇用・賃金と、金融政策との間には密接な関係があります。これに関しては、このブログでも以前掲載したことがあります。そのURLを以下に掲載します。

若者雇用戦略のウソ―【私の論評】雇用と中央銀行の金融政策の間には密接な関係があることを知らない日本人?!

 

詳細は、上の記事をご覧いただくものとして、金融政策と、雇用に関する部分だけ、下にコピペさせていただきます。 

 

アメリカでは、雇用問題というと、まずは、FRBの舵取りにより、大きく影響を受けるということは、あたりまえの常識として受け取られていますし。雇用対策は、FRBの数ある大きな仕事のうちの一つであることははっきり認識されており、雇用が悪化すれば、FRBの金融政策の失敗であるとみなされます。改善すれば、成功とみなされます。

この中央銀行の金融政策による雇用調整は、世界ではあたりまえの事実と受け取られていますが、日本だけが、違うようです。日本で雇用というと、最初に論じられるのは、冒頭の記事のように、なぜか厚生労働省です。

このブログでも、前に掲載したと思いますが、一国の雇用の趨勢を決めるのは、何をさておいても、まずは中央銀行による金融政策です。たとえば、中央銀行が、インフレ率を2〜3%現状より、高めたとしたら、他に何をせずとも、日本やアメリカのような国であれば、一夜にして、数百万の雇用が生まれます。これに関しては、まともなマクロ経済学者であれば、これを否定する人は誰もいないでしょう。無論、日本に存在するマクロ経済学と全く無関係な学者とか、マルクス経済学の学者には、否定する人もいるかもしれませんが、そんなものは、ごく少数であり、グローバルな視点からすれば、無視しても良いです。

日銀が、やるつもりもないインフレ目処1%など無視して、インフレ率を本当に2〜3%上昇させたとします。そうすれば、日本でも、一夜にして、数百万の雇用が生まれます。これは、マクロ経済学上で昔から知られているし、経験則としても成り立っている法則です。

無論、雇用対策のため、のべつまくなく、インフレにするというわけにはいきません。ある程度以上、インフレになれば、ハイパーインフレとなり大変なことになる場合もあります。そういうときは、中央銀行は、すぐにはインフレ率を高めるわけにはいきませんから、これは、打ち出の小槌のようにいつもできるというわけではありません。雇用枠が増えても、ハイパーインフレということにでもなれば、雇用が増えたという経済に対するブラス要因が、ハイパーインフレというマイナス要因によってかき消されるどころか、経済が悪化してしまいます。

それに、経済のその時々の状況で、インフレ率を高める方法もいろいろあります。いろいろある方策のうち、雇用に悪影響を及ぼす方策もあります。同じ二つ三つの金融政策を実施するにしても、順番があります。順番を間違えると、かえって、雇用に悪影響を与える場合もあります。こうしたことを認識しながら、雇用調整を行うことは、本当に難しいことです。だからこそ、アメリカではFRBの金融政策の専門家が専門家的立場から、これを調整して、雇用対策を行います。

雇用を直接生み出すのは、日本でも、本来日銀であるはずです。しかし、日本では雇用対策といえば、厚生労働省の管轄とかたく信じて疑わない人が多いようです。しかし、厚生労働省は、雇用枠を増やすことはできません。一定の雇用枠の中で、雇用対策ができるのみです。できることは限られていて、雇用のミスマッチを改善することくらいのものです。

日銀と、厚生労働省の二つの雇用対策がマッチしてはじめて、若者の雇用なども含むまともな雇用対策ができます。日銀が、金融政策で雇用枠を増やしたとしても、それは、枠を増やしたというだけであって、現実には、雇用のミスマッチがあれば、雇用問題は解消しないわけです。ここで、厚生労働省が、実効的な雇用のミスマッチを是正する政策を行えば、雇用問題が解消するわけです。

さて、雇用と給与は密接な関係にあります。雇用が増えれば、賃金も増えます。なぜなら、雇用が増えると、雇用市場で何がおこるかといえば、働き口がたくさんできるので、求職者はより給料の高い方に勤めようとします。そうなると、給与が安い企業では、人を雇うことができなくなるので、必然的に給与を上げざるを得なくなります。そうして、給与が全体的にあがっていくわけです。

大企業が肥えるために、雇用を削減しているという見方は間違いです。

しかし、現実には、円安などで、大企業は潤ってるではないかと反論される方もいるかもしれません。確かに、そうです。トヨタのような企業などは、海外に多く輸出しているので、少しでも円安になれば、業績があがります。しかし、すべての企業がそうではありません。全く輸出していない、企業、輸出していたといしても、国内向けがはるかに大きい企業など、円高になったからといって、すぐに業績が上向くわけではありません。

そうして、一般に認識されているのとは違い、日本では、輸出産業は圧倒的に少数派です。どのくらい少数派かといえば、日本のGDPに占める輸出の割合は、15%に過ぎません。後は、内需産業です。輸出とは関係ない内需産業が日本では圧倒的に多いのです。これらの企業の業績が回復しない限りは、いくらアベノミックスで、円安傾向になったからといって、すぐに、賃金が上がるなどということはあり得ないことが良くお分かりになるでしょう。

そうして、なぜ、このように企業の内部留保が、99兆円にもなってしまったかといえば、その原因も、企業がケチだからなどという単純な理由ではなく、デフレだったからです。デフレとは、モノ価値が下がり、お金の価値があがっていくということです。そうして、デフレであれば、モノが売れず、企業としては、モノを売るために、設備投資もせず、雇用もせずということになります。そうして、お金をためこみ、次に景気が良くなったときに備えるということになります。

だから、アベノミクスで円安・株高になったからといって、すべての企業がすぐに給与をあげるというわけにはいかないのです。それができるのはあくまで一部の企業ということです。

海外でも、景気が悪くなれば真っ先に若者の雇用が犠牲になります

では、給与が上がり、多くの人がアベノミクスの恩恵を受けることができるようになるのは、いつになるかといえば、まず、はっきりしているのは、今年の秋に増税することを決め、来年の春に増税してしまえば、さらにデフレが継続し、賃金があがることはないでしょう。

もし、増税しないことが決まり、来年の春に増税しなければ、来年度末(平成15年3月)あたりには、そろそろ、多くの人がある程度実感できるくらいの賃金の上昇がみられるようになると思います。この流れは、まずはパート・アルバイトから始まり、次に正社員、正社員でも一般職から総合職へ、そうして最後に役員という具合に、デフレで最初に影響を受けるのとは全く反対のほうからみられるようになります。増税してしまえば、今後またデフレが続き、いくら金融緩和しても、雇用は上向かず、したがって、賃金もしばらく上昇しないことでしょう。

就活が報道されなくなったとき、賃金は上昇している?

そんなことにはならないように、金融緩和の次は、アベノミクスの第二の矢でもある大幅な積極財政をすることが必須です。私は、安倍自民党政権が、今年夏の参院選に勝つことができれば、増税は阻止されるものと思います。もし、負ければ、参院の捩れ状況が解消できず、増税される確率がかなり高まります。ちなみに、増税という政策は、積極財政ではなく、緊縮財政です。

それにしても、デフレは、本当に給料の敵です。日本では、この20年デフレだったので、給料が下がることはあっても、なかなか上がることはありませんでした。この間、デフレでなかった国がどうであったかといえば、20年で同じ企業で、同じ職位で働いていたとしても、少なくとも給料は2倍になりました。インフレ分を差し引いても、少なくとも1.5倍にはなっていました。

これが、デフレでない国の経済の当たり前のあり方です。こんなことから、給与が上がらないのは、企業のせいではなく、あくまで、デフレのせいであること、日銀の金融引き締め、政府による緊縮財政であったことを再認識していただきたいと思います。それに、デフレから脱却するためには、当面の増税はさけるべきであることも、再認識していただきたいと思います。そのために、安倍自民党政権には夏の参院選には勝っていただく以外にないということです。私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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