2014年9月26日金曜日

コラム:さらなる円安が景気回復を後押しする訳=村上尚己―【私の論評】長い間デフレ風呂に浸かった、ゆでガエルたちは、お湯が多少ぬるくなったことは良いことなのに、危険と騒ぎたてる始末で正しく認識できない(゚д゚)!


村上尚己 アライアンス・バーンスタイン マーケット・ストラテジスト

「ドル高円安」は、日米の金融政策の違いを踏まえれば予想されたことであり、「急激な円安」にみえるのは、これまでファンダメンタルズがドル円の価格形成に必ずしも影響せず、かつ、この3カ月余り、歴史的な低ボラティリティでのこう着状況が続いたからだろう。

米経済が年初に一時的に減速したことに加えて、ユーロ圏でのデフレリスクが大きなテーマとなり、ドル円はこう着状態に陥った。ただ、上述の要因は永続しないので、年初110円前後へのドル高円安のコンセンサスがようやく実現しつつあるだけだ。

にもかかわらず、最近では「これ以上の円安は日本経済にとってあまり良くない」という説も増えてきた。ガソリンなど身の回りのモノの価格上昇という、「ミクロ視点」でしか経済現象を考えられない結果だろう。

ガソリン価格などの上昇は「相対価格の変化」であり、一般物価の上昇つまり「インフレ」とは異なる経済現象であることを理解していないためと考えられる。

ガソリン価格などだけが上昇する相対価格の変化が起きても、名目所得が変わらなければ、それ以外の財サービスへの需要が減る。このため、ガソリン価格などが上がっても、経済全体つまり一般物価の上昇は必ずしも起きない。そして、金融緩和強化の目的は、一般物価を押し上げることである。

アベノミクスで景気回復が実現していた2013年も、同様の誤解に基づく批判をよく耳にした。ガソリンや原材料価格が大きく動くのは、「相対価格の変化」で説明できる事象だが、為替市場がドル高円安方向へ動くたびに同じ議論がまた繰り返されているのだろう。

<日本はいまだ脱デフレの途上>

結論を言えば、1ドル110円前後の円安が、日本経済全体に悪影響を及ぼすとは到底考えられない。円安が進み、価格転嫁が難しい一部企業において原材料高の負担が強まる面はあるにしても、通常、川中・川下まで価格転嫁が及ぶには時間がかかる。

2000年代半ばに、円安に加えて国際商品市況が大きく上昇した。この時も、企業の価格転嫁に時間がかかる中で、「交易条件悪化で企業利益が停滞し景気後退が起きる」との懸念が高まった。しかし、実際には輸出や個人消費などが堅調に推移し、景気回復は続いた。

2014年度については、性急な消費増税によって個人消費が失速していることが懸念されるが、輸出、設備投資が増えており景気回復は何とか保たれている。また足元で、交易条件は、商品価格が落ち着いているのでほぼ横ばいで推移している。さらに円安が進んでも、それをきっかけに景気が腰折れするわけはなく、現在も2000年代半ばと同様に、緩慢ながらも景気回復は続いているとみられる。

現在多くの企業が抱えている価格転嫁が難しい、あるいは時間がかかることの本質的な原因は、経済全体では需給ギャップが依然残っているからである。現状では未だ、日銀が掲げる物価安定目標の2%を実現できていない状況、つまりいまだに脱デフレの途上にあり、「(デフレへ舞い戻るリスクを抱えた)脆弱な状況」にあるからだ。

現在の日本経済は未だにデフレでデフレ・ギャップが存在している

今後、総需要が一段と増えて、インフレ期待がプラス2%で安定するようになると、多くの企業が原材料上昇を、販売製品に価格転嫁できるようになる。それがまだ十分起きていない現在の状況であれば、日本における望ましい政策対応は、金融・財政政策をフル活用して総需要を刺激することだ。現状では、2014年4月からは大型増税による緊縮財政政策のブレーキで、日銀による金融緩和頼みの状況である。

こうした中で、金融緩和が続き自国通貨安になることは、日本経済全体にとってはプラスの効果が大きい。さらに円安が進むことによって、企業の利益が増え、株高・外貨建て資産が増えて民間部門のバランスシートが強固になり、そして設備投資や雇用拡大をもたらすメカニズムが一段と強まる。

「これ以上の円安は日本人にとって望ましくない」という的外れな議論は、日本経済がいまだに物価安定の目標である2%を実現できていないことを忘れているか、世界標準である2%の物価目標を日本だけ実現できないと勘違いしているかのどちらかだろう。あるいは、インフレ率はまだ低すぎるのに「インフレ加速」を心配していた2012年以前の日銀と同じ思考体系にはまっているのかもしれない。

*村上尚己氏は、米大手運用会社アライアンス・バーンスタインのマーケット・ストラテジスト。1994年第一生命保険入社、BNPパリバ、ゴールドマン・サックス、マネックス証券などを経て、2014年5月より現職。

この記事は要約記事です、詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】長い間デフレ風呂に浸かった、ゆでガエルたちは、お湯が多少ぬるくなったことは良いことなのに、危険と騒ぎたてる始末で正しく認識できない(゚д゚)!

昨年まで、「円高で大変だ」の大合唱のはずだったのに、今度は「円安で大変だ」と叫ぶ人たちが増えています。本当に困ったものです。

私自身は、村上氏の主張に概ね大賛成であり、何ら議論の余地はないものと思っています。

だから、上の村上氏の主張を論評するのではなく、なぜこのような的外れな議論がおこるのかを分析してみようと思います。

これは、いわゆる茹でガエル現象で十分に説明がつきます。

茹でガエル現象とは、『2匹のカエルを用意し、一方は熱湯に入れ、もう一方は緩やかに昇温する冷水に入れる。すると、前者は直ちに飛び跳ね脱出・生存するのに対し、後者は水温の上昇を知覚できずに死亡する』というものです。

この現象から、およそ人間は環境適応能力を持つがゆえに、暫時的な変化は万一それが致命的なものであっても、受け入れてしまう傾向が見られることのたとえに使われます。

例えば業績悪化が危機的レベルに迫りつつあるにもかかわらず、低すぎる営業目標達成を祝す経営幹部や、敗色濃厚にもかかわらず、なお好戦的な軍上層部などです。

経済政策に関する茹でガエル現象については、以前にもこのブログで掲載したことなので、その記事のURLを掲載します。
重要なのはアベノミクスの第1の矢だ:JBpress (日本ビジネスプレス)―【私の論評】第三の矢などずっと後回しで良い!そんなことよりも、デフレ脱却が最優先課題であり、そのために一番重要なのは金融緩和である!似非ケインジアンにだまされるな(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事ではデフレからの脱却には、金融緩和政策は効き目がないとか、それだけでは足りず、成長戦略や構造改革が必要だとする人々がなぜこのようになってしまうのかを解説しました。以下にその部分のみを掲載します。
このにような愚かな主張をする人々は、日本があまりにも長い間デフレスパイラルの泥沼に落ち込んでいるため、デフレが通常の状態だと思い込み、特に金融政策などまだ十分に効果をあげないうちから、あるいは金融緩和だけでは不十分として、成長戦略や構造改革が必須であると信じ込んでしまうのだと思います。この考えは全くの間違いです。デフレは経済の癌です。しかもインフレよりも始末が悪いです。インフレの場合は、とんでもないインフレで年率100%とか、とんでもないハイパーインフレになり、すぐに生活に大きな支障がでるため、誰もが度を超したインフレは大問題だといことがわかります。 
しかし、デフレは最大でも年率2%くらいのものにしかならず、ハイパー・デフレなどありません。2%くらいだと、1年くらいでは誰もその弊害に気づきませんが、3年、5年、10年となるとじわじわと雇用や消費に悪影響を及ぼします。そもそも、デフレは異常な経済であり、通常の経済循環の景気が良い、悪いという状況を逸脱したものです。これは、何をさておいても、デフレから脱却して、すくなくとも景気が悪いという状況にもどするのが王道中の王道です。特に変動相場制の国では、金融緩和が効き目が強いということもすでに、わかっていることです。 
しかも、その悪くなり方が少しずつのためであるため、まるで多くの人々が茹で蛙のようになり、悪化していること気づきません。現在の日本はまさに、その状況にあります。GDPデフレーターはここ20年右肩下がりに下がりっぱなしです。そうして、この状況を脱却するには、一番重要なのは、金融緩和です。アベノミクスの、三つの矢のうち、もっとも効果があるのは、金融緩和であり、その次は、財政政策であり、一番効果が薄いのは、成長戦略です。
デフレはゆでガエルを醸成する?
現在の日本では、デフレを脱却するだけで、かなりの経済成長が期待できます。
上の記事では、この当たり前の事実をもってわわって、グタグタと書いていますが、これは、マクロ経済学上の常識であり、当たり前のど真ん中です。
以上は、金融緩和策に関する、茹でガエル現象について説明したものですが、「円安が危険だー」と叫ぶ人たちも、この茹でガエル現象で十分説明がつきます。

こういう人たちは、あまりにも長い間デフレ風呂という風呂に浸かっていて、それがあたり前になった人たちなのだと思います。

デフレ風呂とは、お湯が緩慢にほんのすこしずつお湯が上がるようになっていて、お風呂にかなり長い開いた入っているので、温度もかなり上がっているにもかかわらず、このお風呂に入っている人は気付きません。本当は、すぐにでもお湯から上がったほうが良いのに、気持ちが良くてあがろうとはしません。

お風呂のお湯の温度が50度になっても、ゆっくりあがれば気づかない

ところが、この家の他の人が、お湯の温度があまりに高すぎなので、少し温度を低めに設定しようと、お湯の温度の変更をしました。設定変更をすると、当然お風呂場にもアラームが流れます。

「円安が大変だー」と叫ぶ人は、そのアラームを聴いただけで、お風呂場のバネルも見もせず、家の他の人がお湯を低めにしようとしていることも考慮にいれず、大騒ぎしているようなものです。

デフレ風呂に浸かった人は、本当は温度が高いのですぐにでもあがったほうが良いのにそうとは思わない。

結局自分が熱いお湯の中にいることも体感できずに、お湯の温度を下げるという本当は自分にとって良いことでも、アラームが鳴って危機を感じているのとほんど変わりありません。

結局、金融緩和策により、相対的には良い方向に向かている途上であるにもかかわらず、あまりにも長い間デフレで、円高・物価安に慣れきってしまい、一時的な円安や、相対価格の変化何も考えずに過敏に反応してしまうということなのだと思います。

過去20年近くも、日銀が金融引締め策を実施してきて、昨年ようやっと金融緩和に転じたわけです。今までとは、全く状況が違います。金融緩和による経済対策は、即効性はありません、そのためその途上ではいろいろなことが起こるのがあたり前です。

それに最近は、増税をしてしまったがために、金融緩和の効果が削がれ、良い方向への変化がかなり緩慢になっているため、ゆでガエルたちが、さらに勘違いをしやすい環境になっているのだと思います。

短期的な視点だけからみれば、金融緩和の途上で一見良くないことも発生します。しかし、だからといって、金融緩和をやめてしまえば、またデフレに戻るだけです。

熱すぎるデフレ風呂からは、はやくあがって、バス
ローブにでも着替えたほうが良いに決まっている

これは、企業に置き換えるとさらに良く理解できるかもしれません。

たとえば、ある大企業がいろいろな理由があって、業績がかなりおちたときに、本格的な変革に踏み切ったとします。本格的変革に踏み切った途端に会社がよくなるわけもありません。最低でも、三年から五年かかるのが普通でしょう。

変革の途上では、役員や社員の給料を下げたり、あるいは、当面雇用を打ち切ったり、それこそ、リストラをすることもあるかもしれません。それをしなければ、会社が倒産してしまうかもしれません。その一方で、様々な改革で、業績をあげられるように努力して、少しずつ業績があがりつつあったとします。

こうした改革の途中であるにもかかわらず、社員が目先のことばかりに注目して、やれ給料が下がったとか、人手が足りないとか騒いだとします。このような人を会社の他の人達はどのようにみることでしょうか。

まともな社員であれば、そういう人たちを「先も見えず、現状もわきまえない馬鹿な奴」と思うことでしょう。会社の上層部からみれば、そんな社員こそリストラ対象にするかもしれません。

まさに、今の日本で、「円安がー」と叫ぶ輩は、このように、このような会社の中で自己中心的に「給料が下がったとか、人手が足りない」と叫ぶ社員のようなものです。

いずれにしても、大局観がなく、目の前のほんの一時のことに左右されていることに変わりはありません。

このような連中に耳を傾ける必要はありません。まともに受ければ、幻惑されるだけです。

私達は、大局観を持って経済の問題を考えていくべきであって、短期の指標などで一喜一憂すべきではありません。ましてや、短期的な指標だけに惑わされている馬鹿どもの意見に振り回される必要などもうとうありません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思わまれますか?

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