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2017年1月18日水曜日

「賃金上昇でも消費伸びない」 経団連見解は消費増税スルー…財務省路線に乗り続けるのか―【私の論評】スロートレードの現状では企業にとって内需拡大が望ましいはず(゚д゚)!

「賃金上昇でも消費伸びない」 経団連見解は消費増税スルー…財務省路線に乗り続けるのか

経団連の榊原定征会長 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 経団連の榊原定征会長は5日の記者会見で、「過去3年、賃金引き上げを続けているにもかかわらず、個人消費が伸びていない」と話したという。

 経団連は、今年の春季労使交渉における経営側の基本姿勢として、将来不安を解消するため、社会保障制度改革の推進や教育費の負担軽減策などを盛り込んだ「経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)」を17日に正式決定、政府に要望する。

 これまで経団連は、法人税の減税などを政府に働きかけ、実現させている。法人税減税と同時に消費税増税も主張してきた。大企業中心の圧力団体として自己の利益に沿った提言を行っており、法人減税と規制緩和が提言の柱である。

 ここで残念なのは、法人減税に関する理論武装がまったくないことだ。理論的には、法人税は二重課税の典型なので、個人段階で税の捕捉が十分にできれば、法人税は不要であるという基本から提言すればいい。そうなると、個人所得の捕捉のために、マイナンバー制や歳入庁創設が必要だということにつながるだろう。

 ところが、経団連傘下の大企業は、租税特別措置による恩恵も大きく、財務省には頭が上がらないようだ。そのためか、こうした「王道」の提言にはあまり積極的ではなく、財務省が唱える財源論に乗っかり、消費増税を主張してきた。ただし、法人減税と消費増税がバーターというのではさすがに国民の批判を浴びるので、社会保障改革として消費増税を主張してきたようにみえる。

 そうした経団連の「努力」もあってか、2014年4月から消費増税は実施された。ところが、「消費増税しても景気は悪くならない」という財務省の主張はウソであり、実際に14年4月以降、景気は落ち込んでいる。

経団連ビル
 「賃上げをしても消費が伸びない」というのは、経団連も主張してきた消費増税には触れずに、消費低迷に言及したもので、なかなか滑稽な話だ。標準的な経済理論によれば、消費が伸びていないのは可処分所得が伸びていないからであり、可処分所得が伸びないのは、消費増税に加えて、賃金の上昇が不十分なためだ。

 そうであれば、消費を伸ばすために消費減税や消費増税の凍結を主張してもいいはずだが、「民僚」ともいわれる経団連は自らの政策提言の失敗を認めず、消費増税路線のままだろう。経労委報告の提言でも社会保障制度改革の推進が掲げられているからだ。

 経団連は、賃金の上昇を恐れており、これ以上の金融緩和も望まないのだろう。追加緩和で完全雇用が実現すれば賃金上昇が本格化するからだ。一方で財務省の路線に乗って緊縮財政と消費増税の旗も降ろさない。

 となると、残るのは規制緩和、構造改革によって消費増加という、ちょっと不可解な方向性だ。未来への投資として、教育・科学技術を国債発行で賄う案でも出せばいいと思うのだが…。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】スロートレードの現状では企業にとって内需拡大が望ましいはず(゚д゚)!

上の高橋洋一氏の記事で解説していたように、経団連は、結局のところ自分たちに都合が良い政策をしてもらうための、圧力団体であるという側面があることは否めません。つい最近までは、日本の一番強力な圧力団体というと、農協と創価学会体でした。しかし、農協は自民党との不和によってその地位を失いました。

そうして、経団連や日本医師会もそれに次ぐ圧力団体といえると思います。現実には、法人減税と消費増税がバーターということで、消費増税を主張してきたのが事実です。

8%消費税を導入して消費が伸びなくなるのは当たり前です。そうして、増税後に消費が低迷しているのは、明確な事実です。それについては、以前もこのブログに何度か掲載しています。その記事の典型的なものを以下に掲載します。
日本の景気は良くなったのか 消費弱くデフレ突入の瀬戸際 財政と金融の再稼働が必要だ―【私の論評】何としてでも、個人消費を改善しなければ、景気は良くならない(゚д゚)!
この記事より、消費税増税の悪影響に関する部分を以下に掲載します。
消費増税の悪影響を如実に示すグラフを以下に掲載します。

この統計は、総務省「家計調査」のなかの一つです。この統計は、全国約9000世帯を対象に、家計簿と同じように購入した品目、値段を詳細に記入させ、毎月集めて集計したものです。


増税から一年半以上たっても消費税引き上げ直後の“反動減”の時期に当たる4月95.5、5月92.5とほとんど変わらない数字です。特に2015年11月は91.8と増税後最悪を更新しました。 
増税前後のグラフを見ていただければ、L字型となっていて、数値が底ばい状態であることが判ります。これは反動減などではなく、構造的な減少です。現時点でも、2015年の平均を100とした指数で90台の後半をさまよい続けています。データでみれば一向に個人の消費が上向く兆しはありません。 
この構造的な個人消費の低下は、当然のことながら平成14年4月からの消費税増税によるのです。 
平成14年3月までは、105円出して買えていたものが増税で108円出さなければ買えなくなりました。その一方で、多くの消費者の給料は消費税増税分をまかなえるほど上昇していません。それは以下のグラフをみてもわかります。
名目賃金は、2013年あたりで下げ止まり、若干上昇傾向です。実質賃金は、2015年あたりで下げ止まり16年からは上昇傾向にはあります。ただし、実質賃金は日銀の金融緩和政策によって、雇用状況が改善して、パート・アルバイトや正社員であっても、比較的賃金の低い若年層が多く雇用されると、一時的に下がります。このグラフだけ見ていていては、現実を認識できません。

そこで、例を挙げると、たとえば昨年2015年の春闘で、日産自動車は大手製造業最高の賃上げを記録しました。そのベースアップ(基本給の賃上げ分)を含む1人当たり平均賃金改定額は1万1千円、年収増加率は3・6%。しかしベースアップ分だけなら、月5千円で、2%を切ります。他にも物価上昇が起きている中で、これでは消費増税増加分すらまかなえません。日産という自動車大手最高の賃上げでもこういう状況でした。

日本中のサラリーマンの給料が実質的に目減りをしたのです。これが2014年4月から続く「消費不況」の大きな原因です。
上の消費支出のグラフは2015年までしか掲載されていないので、以下にその続きも含んだグラフを掲載します。


消費税増税直後よりは、良いですが、それでも2016年の8月は前年同月比で-4.6%ですから、どうみても悪いとしか言いようがありません。この傾向は、現在も続いています。

やはり、2014年4月からの消費増税の影響はかなりなくなってきているのですが、消費の力強さがないために、景気回復はまだしっかりしていない。そうなってくると、企業の設備投資にも慎重になるのはやむをえず、昨年はGDPの伸びが横ばいにとどまったのです。

これは、日本のGDPに占める個人消費の割合が60%であり、最大であるということを考えると当然といえば当然です。消費が伸びていないのは可処分所得が伸びていないからであり、可処分所得が伸びないのは、消費増税に加えて、賃金の上昇が不十分なためです。これは、上のグラフにより、明白です。

これらの事実があるにもかかわらず、「賃上げをしても消費が伸びない」という榊原定征氏の発言は、経団連も主張してきた消費増税には触れずに、消費低迷に言及したものであり、ブログ冒頭の記事で、高橋氏が言及しているように、滑稽といわざるをえません。

経団連(日本経済団体連合会)は昨年6月2日、定時総会を開催しました。2期3年目となる榊原定征会長はその総会で挨拶に立ち、「首相の決定を尊重したい」と安倍政権による消費増税延期を支持していました。さらに、「政権と経済界は車の両輪」と発言し、安倍政権との「蜜月」をアピールして見せました。

しかし、今年の5日の記者会見での榊原定征会長の「過去3年、賃金引き上げを続けているにもかかわらず、個人消費が伸びていない」という発言は、やはり財務省を意識したものでしょう。

やはり、財務省があの手この手で、攻勢をかけた結果として、榊原会長は再度財務省側についたか、官邸と、財務省の間で揺り動いているのかもしれません。

ちなみに、経団連の他の商工会議所も経済同友会も財務省よりです。これらの団体も消費増税すべきとの考えです。

経団連に所属する企業は、大企業であり、輸出をしている企業も多いです。そうして、この「輸出」をめぐっては、過去にはなかった大きな世界的な変化があります。それは、現在の世界が「スロー・トレード」の時代に突入しているという現実です。

スロー・トレードとは、「実質GDPが成長しても貿易量が増えない」現象のことです。IMF(国際通貨基金)のデータによると、1990年代は世界の実質GDP成長率が平均3.1%だったのに対し、貿易量は6.6%も拡大した。貿易の成長率が、実質GDPの2倍以上に達していたのです。

それが、2000年から2011年までは、GDP4%成長に対し、貿易量が5.8%成長と倍率が下がりました。そして、2012年から2015年を見ると、GDP3.3%成長に対し、貿易量は3.2%となっているのです。ついに貿易量の成長率が、GDP成長率を下回ってしまったのです。


この原因は様々な要因があるとは思いますが、まずは世界貿易を牽引する役割を担ってきた新興国の自立ということがあると思います。

少し前までの新興国では資源などを先進国に輸出し、それで得た外貨で先進国から製造品を輸入する構図がありました。成長著しい新興国は、こうして経済を発展させました。しかし経済規模が大きくなると、製造品を自国で作り、自国で消費する方が効率的となります。

自動車やスマホなどを見ても、中国や台湾、インドなどの新興国メーカーが台頭してきている背景はそれが理由です。
こうして新興国が自立し、「自国生産・自国消費」を進めることが貿易量の低下の原因となっている面は否めません。

そうして、もう一つは、反グローバル主義の台頭あります。これまで世界は、貿易量の増加でグローバル化が進みました。

先進国ではこのグローバル化によって、雇用や生産を新興国に奪われていると考えています。
そこで台頭してきたのが、反グローバル主義です。アメリカでは反グローバル主義のトランプ氏が大統領選に勝利し、国内での製造への転換を図ろうとしています。

WTOの発表でも08年以降G20で導入された関税引き上げなどの措置は1671件にのぼり、撤廃は408件を大きく上回っています。

このスロートレード、長引くのか、あるいは収束するのか、今のところは判断が難しいです。

スロートレードが長引くと、世界経済の減速につながるのは確かです。なぜなら、各国得意分野と不得意分野があるからです。人間と同じように、不得意分野を補い合うことで効率が高まり、世界規模で生産性が上がる。それに歯止めがかかるということです。
このスロートレードが長引かないことを祈るばかりですが、これからも続くことも考えられるし、景気循環的に定期的にやってくるようになるのかもしれません。

これを前提とすれば、やはり日本も含めて、世界中の国々がまずは自国の内需を高めることが望ましいはずです。

日本は、貿易立国だなどとする人々もいますが、それは事実ではありません。実際、20年ほど前までは、日本のGDPに占める割合は8%に過ぎませんでした。現在は、11%程度です。

日本は、昔から内需大国だったのです。スロートレードの現在、大企業は輸出の伸びはあまり期待できないわけですから、日本の内需が拡大したほうが良いはずです。

中小企業も、財務省からの補助金があったにせよ、まずは内需が伸びないようでは死活問題です。補助金があっても、内需が低迷すれば、中小企業は成り立ちません。

増税すれば、個人消費が低迷して内需は低迷します。これは、決してすべての企業にとって良いはずはありません。

これを考えれば、経団連などの企業の団体こそ、消費税延期、消費税減税、さらなる量的金融緩和を主張すべきです。とにかく、日本国内の内需を拡大する方向にもっていくべきであると主張するのが当然です。ましてや、デフレを放置したり、デフレスパラルにどっぷりと再びはまることになる消費税増税などとんでもないです。

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2015年1月8日木曜日

日本経済は再び高成長できる 90年以降の低成長、元凶は金融引き締め―【私の論評】円安は、輸出競争力を増すだけではなく内需も拡大するというあまりにもあたり前のことを忘れていては、現実を見誤ることを肝に命ぜよ(゚д゚)!

日本経済は再び高成長できる 90年以降の低成長、元凶は金融引き締め

2015年は第2次世界大戦後70年にあたる。この間、日本経済はどう成長してきたのだろうか。

まず、データで確認しておく。戦後の混乱期を経て、1960年代から10%の高度成長に入った。70年代と80年代も5%成長を維持してきた。その成長路線に急ブレーキがかかったのが、バブル崩壊以降の90年代からだ。90年代、そして2000年代以降は1%程度の低成長に甘んじている。

高度成長期の日本

1990年を境として、日本経済はまったく異なっている。この成長率の段差をどのように説明できるだろうか。

90年以前の日本の高度成長について、かつては「優秀な官僚が民間を適切に誘導・指導したためだ」という俗説がはびこっていた。しかし、実際には官僚が市場経済を理解していなかったという事実から、こうした俗説は間違いとされている。

「民間の技術力の賜(たまもの)だった」という見方もあるが、90年から急に技術力がなくなったというのも、にわかには信じがたい。

民間の技術力も一つの要因ではあっただろうが、それを生かすような環境があったことが重要だ。筆者の仮説は、為替レートが円安に設定されたことで輸出競争力が高まり、日本の高度成長の原動力になったというものだ。

71年8月、米国が金とドルの交換停止を発表した「ニクソン・ショック」以前は1ドル=360円。それ以降も80年代後半まで、管理された「変動相場制」だった。通貨供給量や金利差を重視するマネタリー・アプローチ理論から計算される理論為替レートより、実際はかなり円安だった。

 海外競争においては価格が重要な要素であるのは否定できず、さらに、技術が90年代以降急速に劣化したというのも考えにくいことから、この仮説は、日本の高度経済成長をうまく説明していると思う。また、その後の経済停滞とも整合的だ。
バブル期のファッション
本コラムで書いてきたが、80年代後半のバブルつぶしに金融引き締めを行ったのが間違いだった。当時、株式と土地の取引規制に抜け穴があり、そこでバブルが発生し、銀行融資がそれを助長したのだ。

いま設定されている「インフレ目標2%」の水準からみても正当化できないにもかかわらず、金融引き締めを行い、バブルをつぶそうとしたのは、日銀の失敗である。それはバブルだけでなく、日本経済全体をつぶしてしまった。そして、90年以降も日銀は間違いを認めず、金融引き締めを続けてしまった。これは、デフレ経済を招くと同時に、過度な円高の原因ともなった。

90年以降、日本だけが過度な金融引き締めを20年以上も続けたのは、世界各国のマネー伸び率などのデータで日本だけが伸び率を激減させていることからも明らかだ。

90年以前は高成長国、90年以降は低成長国。これほど成長率に格差があるのは、日本以外ではみられない珍しい現象だ。円安で高成長、金融引き締めで低成長という筆者の仮説は、これをうまく説明できる。そこから導かれるのは、適切な金融政策で日本は再び成長できるということだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】円安は、輸出競争力を増すだけではなく内需も拡大するというあまりにもあたり前のことを忘れていては、現実を見誤ることを肝に命ぜよ(゚д゚)!

上の記事概ね書かれてある内容について、賛成なのですが、これを読むと誤解する人もいるかもしれないので、少し補っておきたいと思います。

高橋洋一氏が上の記事述べている、仮説「為替レートが円安に設定されたことで輸出競争力が高まり、日本の高度成長の原動力になった」というのは正しいですが、これだけだと誤解を招きそうです。

日本の輸出は約70兆円で、GDPが約500兆円なのでGDPに占める輸出の割合は約14%です。割合から言えば、それほど大きくないかもしれません。しかも、この指標は過去十数年で倍になったもので、十数年前は8%に過ぎませんでした。

高度成長のときも、この水準以下でした。高橋氏は、無論このことは十分理解していて、あまりにあたり前になりすぎているので、特にはこの事実に触れなかったのだと思います。

しかし、この事実を知らずにただ上の記事を読み流すと、高度成長のときに日本は輸出大国であり、GDPの数十パーセンもの部分、50%も輸出が占めていて、それが国の富になって高度経済成長したなどとの誤解してしまう人もでてしまいそうです。

高度成長期の映画のポスター

確かに、そういう部分は否定できませんが、何やらこうした側面ばかりが強調され過ぎているような気がします。

現実には、高度成長期ですら、輸出がGDPに占める割合は、8%以下でした。現状は14%程度ですが、それでもこれは他国に比較すると少ないです。中国やドイツなどこの割合は40%を超えます。アメリカは数%に過ぎません。

円安だと、外国の製品は割高になります。たとえば、車にしても、同じような性能の車であれば、外車より国産車のほうが低価格ということになります。そうして、多くの人々は、日本車を購入するようになります。

それは、車におよばず、すべての製品でそのようなことがいえます。高度成長期には、こうして内需がかなり拡大して、日本経済の成長を牽引したのです。

ゴーゴー 昭和47年、バンド演奏をバックにゴーゴーを踊る水着姿の女子学生

では、輸出は日本経済に貢献しなかったのかといえば、そんなことはありません。実は、内需にも貢献しています。

これも、車を例にとって述べます。車産業のピラミットを想像して下さい。トヨタ、日産、ホンダは輸出企業でピラミットの上層部を占めます。その下には無数の下請け企業が連なっているのです。いわゆる輸出関連企業群がありGDPに寄与しているのです。そして、そこに働く労働者数も相当な数でしょうから所得、消費まで入れると具体的数字はわかりませんが、GDPの3割合以上はあると思います。

円安ということで、そもそも内需が伸び、輸出によって、直接利益を得ている企業は少ないですが、それでも、企業に対して原材料や、部品を提供する会社が多数あり、これも内需を拡大することに寄与したのです。

円安により、日本国内では、外国製品よりも日本製品を購入するということにより、内需拡大がすすみ、輸出によっても、それに対して原材料や部品を供給する会社により、日本国内の内需拡大ということで、好循環をつくりだし、それがあの高度経済成長の原動力となったのです。

しかし、過去20年程度は、円高なので、海外に製品が売れない、売れないから、輸出産業に対して原材料や、部品を提供してきた企業も疲弊したし、国内でもデフレで物が売れないという状況で、さら内需がしぼむということで、これが悪循環をつくりだし、日本はデフレ・スパイラルのどん底に沈んでしまったということです。

円安というと、昔は、外国製品が割高となり、国内製品を売りやすくするためという政策であるというのが、あたり前でしたが、現在ではそうではないようです。

だから、そういう認識のない人にとっては、円安を脅威と受け取ることが多いようです。要するに、海外から原材料を輸入しているから、原材料が高騰して大変だと、円安のデメリットばかりを強調します。

高度成長期のポスター

しかし、円安には国内においては、相対的に国産品を低価格にし、海外製品が高くなり、多くの人は国産品を求めるようになり、国内産業を育成し、内需を拡大するという大きなメリットがあるということがすっかり忘れ去られています。

いずれにしても、極端な円安、極端な円高、あるいは為替相場の急激な変動は、良いことではありません。しかし、過去においては、あまりにも長い間の円高・デフレで疲弊してきたわけですから、かつてのように、円安・インフレ傾向になることは何も悪いことではないどころか、それによって日本経済はまた必ず伸びるということです。

円高・デフレを念頭におき、この状況をスタンダートと考え、日本経済はもう伸びないなどと考えるのは間違いです。円安・インフレ傾向になりきっていない状況で、デフレ・円高スタンダードでものごとを考えていては、これからの変化を見誤ります。

上の記事も、これを前提として読めば、正しく認識できると思いますが、こうした基本的な認識が欠ととんでもない誤解をすることになりかねないと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年6月28日土曜日

米、「親中離米」の韓国に不信感 米韓同盟に暗い影も…―【私の論評】親中、反日、離米は中国・北朝鮮を利するだけ! 韓国をまともにする方法が一つだけあるが、朴槿恵はそんなことに耳を傾けることはないだろう(゚д゚)!


朴大統領(左)の「親中・離米」姿勢に、オバマ大統領もブチ切れ寸前のようだ

韓国の朴槿恵(パク・クネ)政権の、対中傾斜に拍車がかかっている。中国の反対に配慮してか、

米国主導のミサイル防衛(MD)システム導入に慎重姿勢を崩さないのだ。中国の習近平国家主席は来月初旬、北朝鮮より先に韓国に訪問して「中韓蜜月」をアピールする。こうしたなか、韓国で元米軍慰安婦が集団訴訟に踏み切った。米国が一連の動きに不信感を深めるのは確実で、在韓米軍の縮小・撤退までをもチラつかせている。

「国家が『米軍慰安婦制度』を作り、徹底的に管理してきた」

元米軍慰安婦は、提訴にあたっての声明書でこう指摘した。

訴訟は、韓国への国家賠償訴訟だが、裁判が進み歴史的事実が公開されれば、朝鮮戦争を戦った米軍兵士の名誉を傷付けることになりかねない。朴大統領が、旧日本軍の慰安婦問題を批判してきたことが、元米軍慰安婦らを刺激し、パンドラの箱を開けたともいえる。

中国の習主席は来月3、4日、韓国を国賓として初訪問する。朴政権は、旅客船「セウォル号」沈没事故の逆風を挽回するためのチャンスと位置付けるが、米政府は「日米韓協調への逆行」ともいえる動きに警告を発してきた。

バイデン米副大統領は昨年12月に訪韓した際、「米国の反対側に賭けるのは良い賭けではない」と外交方針の見直しを求めた。オバマ米大統領も今年4月、韓国紙のインタビューに「韓国の安全保障と繁栄の基礎は米国だ」と述べ、米韓同盟を無視するような対中接近を戒めた。

ところが、朴氏は恋の病にかかったかのように対中接近を続けており、肝心の米韓同盟にも暗い影を落としている。その象徴が、北朝鮮のミサイルから韓国を守るMDの中核となる地上発射型「高高度防衛ミサイル」(THAAD)問題だ。


韓国紙・中央日報によると、スカパロッティ米韓連合司令官は「韓国をもう少し成功裏に防御するための方法を考える必要がある」として、韓国のMDにTHAADを組み込むよう要請してきたが、韓国の金寛鎮(キム・グァンジン)国防相は先週18日の国会で「米国で協議中だが、韓国が購入し配備する計画はないことは明確にした」と完全否定したのだ。

同盟国でありながら、なぜ、かたくなに防衛協力を拒むのか。THAADが高額予算というだけではない。答えのカギは中国にある。

「朝鮮半島にMDを配備するのは、地域の安定と戦略的均衡に役立たない」

中国の秦剛報道官は先月28日の記者会見で、韓国へのMD導入について、明確に反対した。

つまり、THAAD導入に対する韓国の慎重姿勢は、中国の意に沿う形だったといえる。習氏は5月に「第三国を想定した軍事同盟の強化は地域の安全維持のためにならない」とも述べており、日米韓3カ国の防衛協力を切り崩すため、韓国をターゲットにしているのは確実だ。

習氏の訪韓について、米国は表面上、「重要な節目だ。北朝鮮問題など必要な協力を促進すると信じている」(リッパート次期駐韓米大使)と、平静を装っている。

このニュースの詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】親中、反日、離米は中国・北朝鮮を利するだけ! 韓国をまともにする方法が一つだけあるが、朴槿恵はそんなことに耳を傾けることはないだろう(゚д゚)!

朴槿恵大統領の"親中、反日、離米"の外交3原則の行き着き先はどうなるのでしょうか?上の記事には、掲載されていませんが、韓国が離米的態度をとるのには、それなりにわけもあります。それに関しては、このブログでも以前掲載したことがあります。そのURLを以下に掲載します。
【参院選公示】石原都知事が激怒、演説中の「白真勲コール」に「日本人ならルールを守れ!!」 -経済植民地韓国の現状から最悪のシナリオを考えてみた?
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事、2010年6月のものです。しかしながら、韓国の米国の経済植民地のような有り様は、この頃と今も変わりません。韓国がなぜ米国の経済植民地のようになっているのか、その部分のみ以下にコピペさせていただきます。
「脱南者」というと、多くの人には、聞き慣れない言葉ですが、「脱北者」に対するものです。北朝鮮から逃げ出した人を「脱北者」と言うのはほとんどの人はお分かりになるでしょう。これに対して「脱南者」とは韓国を捨て海外に逃げる人のことだといいます。 
その数が年間8万人。多くの日本人のほとんどはこのような状況に気がついていません。ですが、これは韓国政府も発表している事実なのです。日本でも、人口統計などみれば、この数字を見ることができますが、これにはとうてい及びません。 
この事実に限らず、韓国の経済・社会は何かが変です。韓国の国際収支は経常収支が赤字にも関わらず、資本収支(外国からの借り入れなど)の黒字によるウォン安が止まらないという不思議な構造になっています。 
韓国の大手都市銀行
IMF管理下で、韓国の銀行はほとんどが外資の傘下に入ったということは、よく知られていますが、その度合いとなると詳しく知る人は少ないでしょう。実は、韓国の主要銀行7行のうち6行が外資比率は50%以上となっているのです。ゴールドマンサックス、ローン・スター、シティグループといった投資ファンドや銀行が大株主としてズラリと並んでいるのです。 
また、通貨危機以降、韓国の大手企業は外資系銀行や、外資ファンドの資本の支配の元にあり、毎年莫大な配当金をこれら外国人に貢ぎ続けているというのが実情です。06年12月決算の韓国上場企業204社が支払った配当総額は8兆5000億円。このうち、外国人に払われた配当金は4兆4000億円。つまり、半分以上が韓国人ではなく外国人に支払われています。これでは、まるで、韓国は、アメリカの経済植民地のようではありませんか。これに関しては、このブログでも以前掲載したことがあります。 
韓国がIMFの管理下に入ったのは、アジア通貨危機のときです。このとき、東南アジアの国々は、日本に助けをこうたので、日本も積極的に支援したため、IMFの管理下に入ることはありませんでした。さらに、現在東南アジアの国々が日本の経済植民地になったなどのことはありません。このときに、日本に支援をこわなかった韓国は、IMFの管理下に入り、さらに、国内銀行も実質上外資系にとられてしまったということです。 
韓国を代表する現代自動車の価格も変です。現代の主力車、グレンジャー3・8は、米国での価格は約305万円、これが韓国国内では487万円で売られているのです。ソナタ2・4という車種では、米国価格193万円に対し、韓国国内での価格は308万円といいます。 
あまりにも酷い内外価格差です。韓国企業は国内の韓国国民から利益を搾取し、海外で極端なダンピングを行いシェアを拡大している図式を端的に指摘しています。 
そして、衝撃的なのが、冒頭の「脱南者」。北朝鮮から韓国に入国した「脱北者」の数昨年9月末には1万7134でした。ところが、「脱南者」の数はその比ではありません。2002年に1万3000人だった脱南者は2005年には8万1000人、それ以降毎年8万人を上回っています。しかも、韓国統計庁の調査ではその85%が30歳未満の若者といいます。 
年間に8万人も若者が消えていく社会など戦争中の国でしかあり得ない現象です。この理由は若者の就職先不足や格差問題のようです。韓国の大卒の有効求人倍率は最近では0・25に過ぎません。4人に1人しか就職できない状況です。 
しかも、韓国の大企業の初任給は、日本の大企業の初任給を超えるところも多いです。しかし、それは極一部の人に過ぎません。大多数は、就職すらできないのです。さらに、韓国社会は格差が日本のそれを数段上回ります。日本の大企業なみの高収入を得る人と時給300円、月給5万円で働く人々の2つ階級の分化が極端に進んでいます。
それに、韓国では、「あなたはどこの大学を卒業したのですか」という日本的な感覚で人に聴くことは非常に失礼なこととされています。なぜなら、韓国では、完全に学歴だけで、その後の大企業にはいれるかどうかが決まってしまい、その後這い上がる道はほとんどないからです。だからこそ、毎年のように日本のテレビなどでも、韓国の大学入試の加熱ぶりが報道されるのです。 
こんな韓国社会に絶望した若者たちは脱南者となってアメリカなどに続々移民しているのです。それに、一昔前、韓国人は一般に日本人なみに英語が不得意でした。しかし、最近はかなり英語のできる人、特に若年層にそのような人が増えているといいます。そうです。韓国の上記のようなことに絶望し、親が子供に早期に英語教育などを施すようにして、さらには、海外に留学させたりしているのです。 
06年アメリカ連邦人口統計局が発表した韓国人の合法的移民者数は、ついに100万人に迫りました。アメリカにはほぼ同数の韓国人不法滞在者が居住しているといいます。かくして、脱南者はアメリカ以外にもカナダ、オーストラリア、欧州へと合法、不合法を問わず続々と増え続けていいます。 
このような状況におかれている韓国人、何か上記のように国際線で騒ぎを起こしてしまうというのもわからなくもない気がします。日本では新聞などのマスコミで格差社会などとして派遣村の人々など、いろいろ報道されていますが、経済一つとっても、韓国のような状況にはありません。数からいえば、派遣村の人々など極一部に過ぎません。韓国から比較すれば、私たちの日本の国民は、幸せです。この幸せが、空気のように当たり前になってしまって、多くの人が気づきません。昔から、衣食足りて礼節を知るという言葉もあります。だから、多少のことがあっても、空港で集団で悶着を起こすということもないし、フランスなどでも、高く評価されるのだと思います。この幸せ、いつまで続くものか?
韓国は、いわゆるグローバリズムの優等生ですが、徹底的にグローバル化をすすめたのですが、そのおかげで、サムソンなどの国際的な企業が生まれはしましたが、これはもう韓国の企業とはいえません。韓国とは関係のない、世界企業になっています。極端なことをいうと、サムソンが儲けても韓国にはほとんど益になりません。

このブログでも何度か掲載してきましたが、韓国は特にリーマン・ショック移行は、超円高と、超ウォン安で安逸を貪ってきたにすぎません。徹底的にグローバル化を推進してきた挙句の果てが、最近の韓国の凋落ぶりです。昨日は以下のようなニュースも報道されていました。
6年ぶりのウォン高…韓国経済が危険水域に
27日のソウル外国為替市場で、韓国の通貨ウォンが1ドル=1013ウォン台まで上昇する場面があり、2008年7月以来、ほぼ6年ぶりの高値水準となった。
・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・
 韓国の多くの輸出型企業は、これ以上ウォン高が進むと、欧米市場での低価格販売により収益を伸ばすビジネスモデルが成り立たなくなると警戒している。いよいよ1000ウォン割れに近づいてきたが、すでに危険水域に入ったとの見方もある。
さて、上で掲載した図式は今でも変わっておらず、韓国はまるで米国の植民地です。だから、韓国がこれに反発して、離米政策を打ち出すことも理解できなくはありません。

しかし、これは本当に韓国にとって良いことなのかは、はなはだ疑問です。

それに、韓国が米国の経済植民地のようになったのは、何も米政府が植民地化を進めたというわけではなく、新自由主義やグローバリズム的な考え方を自分たちに都合の良いように解釈して、世界中の富を強欲にあさっていた、米国の投資銀行などによるものです。

中国の官僚なども、根本的には世界中の富を漁るグローバリストであり、彼らは米国の金融機関などと、考え方は似ています。韓国が中国の傘下に収まったとしても、今度は国家ぐるみのグローバリストに漁られるだけです。米国金融機関から漁られ、中国からも漁られるようなってしまっては韓国にとって良いことは一つもないと思います。

グローバリズムに関しては、EUでの壮大な実験が失敗しつつあります。もともと、イギリス、ドイツなどの先進国の経済と、ポルトガル、スペインのような経済とはあまりにも異なります。経済基盤、構造の国々が経済的にも一つにまとまるというのはそもそも最初からかなり無理がありました。

最近では、様々な方面でEUの綻びが目立ちはじめました。その綻びの中でもっとも目立つのが、いわゆる国家主権の弱体化です。EUでは、ある国が経済的に落ち込んだ場合でも、その国独自の経済対策はできません。

韓国人労働者が手に持つのはウォン紙幣。
韓国財閥は円安ウォン高で苦境に陥っている
たとえば、ギリシャなど経済が破綻しましたが、EUに加盟していなければ、経済が破綻しそうになる前に、ギリシャ政府がギリシャ国内で、早急に金融緩和政策や積極財政を実行すれば、あれほどまでに酷くはならなかったと考えられます。しかし、現実には、ギリシャ独自の経済対策を打つことはできないため、あのような結果になりました。このような例は、EU域内にゴマンとあります。

こういう経緯からみてみると、韓国の進むべき道は、いわゆるグローバル化は当面控えるべきです。韓国の都市銀行より、アメリカなどの金融機関から手をひいてもらい、韓国の国民国家の経済を第一に考え、独自の金融緩和政策、積極財政を打つべきです。

中国の指導層もグローバリスト

それとともに、社会構造改革を打ち出し、いわゆる中間層を増やし、これらが積極的に社会活動・経済活動を行えるようにすべぎてす。そうして、そのことにより、内需を拡大すべきです。中国はもとより、米国などにも振り回されることがないように、まずは韓国内を固めるべきです。反日などやっている暇などないはずです。

おそらく、韓国がこれからまともになろうとするには、この道が一番の近道です。これは、確かにかなり困難な道のりかもしれませんし、方法としてはいくつもの方法がありどれがベストか一概にはいえないですが、方向的には間違ってはいないです。

米国政府も、その方向性で援助などすべきです。いよいよのときは、IMFもその方向性で支援すべきでしょう。

しかし、当の韓国は、このようなことに聞く耳はないようです。 「親中、反日、離米」が外交3原則となりつつある朴氏は、このような考え方とは対局にあるようです。このままでは、中国の属国になり、中国のグローバリストからも富を漁られ、富が簒奪された後は、南北朝鮮とも近代の李朝のような朝鮮になり、歴史の表舞台からはすっかり姿を消すことになるでしょう。

韓国がその道を選ぶというのなら、それに関して日本がとやかく言うことはありません。静かに、韓国の没落への道を見守りましょう。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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