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2013年6月9日日曜日

「株安でアベノミクスは頓挫した」と、1割の可能性にBETする危ない橋を渡る人たち―【私の論評】 危ない橋を渡りたい人たちは、どうぞお渡り下さい。ただし余計なことをくっちゃべって、安倍内閣を頓挫させ、日銀の政策を頓挫させるようなバカ真似はしないでくれ(゚д゚)!

「株安でアベノミクスは頓挫した」と、1割の可能性にBETする危ない橋を渡る人たち

高橋洋一氏

株安によってアベノミクスが頓挫するのではないか? という不安が高まるなか、5月23日、『リフレが正しい。FRB議長ベン・バーナンキの言葉』(中経出版)が発売された。この本は、FRB議長であるベン・S・バーナンキの過去の講演のうち、とくに「日本のデフレの問題」と、「リフレ政策の是非」について語られている講演をセレクト、翻訳したものである。

本インタビューでは、この本の監訳・解説を務め、プリンストン大学客員研究員時代には直接バーナンキ教授(当時)の薫陶を受けた、嘉悦大学教授で政策工房会長の高橋洋一氏に、「今回の株安がもたらすアベノミクスへの影響」を聞いた。はたして株安でアベノミクスは頓挫したのか?(聞き手・構成/編集集団WawW ! Publishing 乙丸益伸)

新生日銀(黒田・岩田日銀)は何をしようとしているのか?

―― 新生日本銀行の黒田総裁・岩田副総裁による金融緩和は、リーマン・ショック後にバーナンキが行ったことを辿っているだけと言われますが、その理解は正しいですか?

まったくその通りです。アメリカでもリーマン・ショック以降、予想インフレ率が急激に下がってしまいました。だから2%にまで予想インフレ率を上げるために、バーナンキが大規模金融緩和を行ったわけです。

予想インフレ率というのは、「今後どの程度物価が上昇すると予想しているか?」を測ることのできる数値です。いろいろな計測方法がありますが、その一例としてBEI(ブレークイーブンインフレ率)という数字を見ることで、その国の予想インフレ率を見ることができます。

なぜ目標インフレ率が2%なのかは、正に今回の本『リフレが正しい。FRB議長ベン・バーナンキの言葉』(中経出版)の第2章「デフレーション――「あれ」をここで起こさないために」という講演のなかで、バーナンキがすでに2002年11月の段階で言っていたことです。

今回の黒田・岩田日銀の大規模金融緩和は、目標インフレ率も2%だし、緩和のペースもバーナンキがリーマン・ショック後に行ったものと似ています。どころか、黒田・岩田コンビは、リーマン・ショック後のバーナンキの金融緩和よりも、もう少し早くやろうとしているのかなという風には見えます。

―― リーマン・ショック後にバーナンキが行ったQE1・QE2・QE3とは何だったんですか?

QEというのは「量的緩和」のことで、量的緩和第1弾~第3弾のことを指しています。本質的にはQE1もQE2もQE3も同じことです。量的緩和とは、中央銀行が市場から、長期国債など何らかの資産を買い入れる対価として、市場にマネー(=マネタリーベース=中央銀行が市場に供給するマネー)を供給するというかたちでの金融緩和策のことを言います。

量的緩和策が目指す最初の達成目標は、何らかの経済ショックがあり下がってしまった予想インフレ率を、+2%程度まで引き戻そうというものです。バーナンキはリーマン・ショック後にこれを行い、みごとアメリカの予想インフレ率を回復させることに成功しました。

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黒田・岩田日銀の政策は効かないのか?

―― 日本では、黒・岩コンビによる量的緩和に対し、インフレ率を上げるための具体的な波及経路がないという批判が寄せられていますが?

それは単なる誤解です。わたしは10数年前から言っていますが、「日銀がマネタリーベースを増やしたら、半年のラグはあるものの予想インフレ率は高まりますし、これまでも高くなってきました」。その事実をもって本来は終わりなだけの話です。

その先の話で言えば、予想インフレ率が高まると実質金利が下がるから、そこからさまざまな経路を通して実体経済に正の影響を及ぼします。実質金利とは、「実質金利=名目金利-予想インフレ率」という式であらわされるものです。少しのタイムラグを経て、景気もよくなるし、実際のインフレ率が上がるということです。

実際、バーナンキがリーマン・ショック後にQEを行った際、日本でも多くの論者が「量的緩和がインフレ率に波及するドライブ(経路)がない」ということを言っていました。当時のさまざまな論者の発言は、検索してもらえば今でも出てくるでしょう。でも、アメリカでは、バーナンキのQEにより、実際に予想インフレ率は高まり、ちゃんとタイムラグを経て、実際のインフレ率も上がってきています。それはアメリカに限らずイギリスなどでも見られた現象です。

その現実まで見た上で、わたしは当時、「波及経路がないなんていう話は、アメリカやイギリスなどで起こらなかったので、この話は終わりですね」という話をしました。そしたらまた、日本で黒・岩コンビが量的緩和を行うと、また同じ論者の人たちが「量的緩和には波及経路がない」と言い出した。それを見て、どうしてなんだろう? と不思議な思いが去来するばかりです。まったくわたしには理解できません。

黒田・岩田緩和の成功確率はおよそ9

わたしは、6月3日(月)の現代ビジネスの連載『高橋洋一「ニュースの真相」』の「自民党は参議院選挙の争点から外すのはせこい!「消費税増税スキップ」の判断は10月では遅すぎる」という記事のなかで、「現実に、現在の日本で日銀がマネタリーベースを増やすと、実際に予想インフレ率(=BEI)は連動する形で上がっていることが明確にわかるグラフ」を、回帰式つきで示しています。それが下のグラグです。


「自民党は参議院選挙の争点から外すのはせこい!「消費税増税スキップ」の判断は10月では遅すぎる」より転載
「自民党は参議院選挙の争点から外すのはせこい!「消費税増税スキップ」の判断は10月では遅すぎる」より転載

このグラフから導き出される相関係数は+0.91。相関係数というのは、2つのデータがどれだけ関連性があるのかを示す係数で、-1から+1までの間の数値を取るものです。この相関係数が+0.91ということは、現実の、現在の日本では、マネタリーベースの増加率と予想インフレ率の上昇率のあいだには、かなり強い関連性があるということです。

最近、予想インフレ率が少し下がってきていますが、黒田緩和は4月に始まったばかりです。はじめる前から市場は先取りしてきたので、ちょっとSPEEDING(速度違反)でした。調整は少しあるでしょう。

これを見た上で、なんで「日本のマネタリーベースを増やしても、波及経路がないので予想インフレ率は上がらない」なんていうようなことを言うのでしょうか? わたしは逆に聞きたいですよ。

危ない橋をわたる車




・・・・・・・・・・・・・<中略> ・・・・・・・・・・・・・・・・


『リフレが正しい。』(中経出版)は、バーナンキの講演のなかでも、とくにバーナンキが「リフレ」についての考えを披露している講演をセレクトして 翻訳したものです。興味深いことに、読みなおしてみると、バーナンキがほぼ一度も、どの講演でも株価の話について触れていないことがわかります。これは、 バーナンキもちゃんと予想インフレ率の動向を見ながら金融政策運営を行なっていることの証左になるのではないでしょうか。

最終章の「日本の金融政策、わたしはこう考える」には、日本でのリフレの達成のために、日本銀行が何をしなければいけないか? が明確に書かれてい ます。そのなかでバーナンキは、「リフレが正しい」と言い切り、そして、何度も何度も「予想を転換することの重要性」を説いているのです。

世界第一級の経済学者であり、金融政策の実務家による、贅沢なアベノミクスの解説書にもなっているこの本は、まさにこういった「株安などが起こり、 リフレの実現への信頼にゆらぎが生じているとき」にこそ読んでいただきたい本です。「バーナンキなら、こういった(突然の株安のような)事態に対して、ど う対応しただろうか?」という視点で読み進めていただいても面白いと思います。

【私の論評】 危ない橋を渡りたい人たちは、どうぞお渡り下さい。ただし余計なことをくっちゃべって、安倍内閣を頓挫させ、日銀の政策を頓挫させるようなバカ真似はしないでくれ(゚д゚)!

詳細は、上の記事をご覧いただければ、何も説明を必要としないくらい理解しやすく書かれていますので、これに対して私自身がさらに説明を加えるというようなことはしません。

それにしても、アベノミクスは、株価を上げたり、円安にするために実行しているのではなく、あくまでもデフレ・スパイラルから抜け出すために実行しているということで、株価が上がったり、円安になったりというのは、その副産物でしかないということを多くの人々にきっちり理解していただきたいものです。

高橋洋一氏は、以下のような5段階を上の記事でしています。
1.日銀がマネタリーベースを増やす
2.予想インフレ率が約半年かけて徐々に上昇し、実質金利が下がる
3.消費と投資が徐々に増える
4.外為市場で円安が起こり、徐々に輸出が増える
5.約2年~をかけて、徐々にGDPが増え、失業率が下がり、賃金が上がり、インフレ率も上昇する。その過程で株価も上がる。

この5段階とは少し違うのですが、上念司氏が、国会の公聴会であげていてたデフレ脱却に向けた5段階というのがあります。それを以下に掲載します。 ちなみに、この資料は、現在副総裁の岩田氏が大学の教授をしていたときにまとめたものだそうです。
現在上の表の四段階まできているわけです。そうして、5段階まで行って、これが終了してはじめてデフレから脱却できるというわけです。いずれにしても、高橋洋一氏の5段階でも、この5段階でも、ある程度時間がかかるのは、間違いないです。現在株価が暴落したなどと騒いでいる人もいますが、これは、アベノミクス始動後、市場の期待があまりに大きく、かなりの勢いで株価が上がったため、調整局面にあるということであり、昨年の安倍総理誕生以前と比較すれば、現在下がったとはいえ、そのときと比べれば、かなり高水準であることには変わりはありません。

いずれにしても、デフレ脱却をするにも、株価があがりきるにしても、それなりに時間がかかるということです。バーナンキの経済対策もそうでしたが、いかなる経済対策もそれなりにある程度の時間がかかるのは、当然のことです。こんな理屈を無視して、アベノミクスを今の段階で批判する人もいますが、そんな人に私はこう言いたいです「そんなにすぐに効果がでる経済対策があるというのなら、提案して下さい」と。1年もしないうちに、あっという間に株価が鰻上に上がったり、デフレからすぐ脱却できて、一般国民も潤うような経済対策などこの世に存在しないです。

そうして、私が最も危惧するのは、高橋洋一氏が指摘するように、1割の可能性にBETする危ない橋を渡る人たちに翻弄される人たちが、大勢でてくることです。そうして、そのような人たちが翻弄されるだけなら別にその人達が株で損するだけですから、何も問題はないわけで、大勢には影響がないから良いのですが、このような人たちのうち、発言力の強い人などか、アベノミクス大失敗を煽りまくり、それに輪をかけて日本の経済が良くなると、自国の経済がズタボロになる中国や韓国のスパイの尻馬にのる、馬鹿な親中・親韓の政治家たちが、力を増し、最悪の場合は、またぞろ安倍おろしが再燃して、安倍内閣が退陣に追い込まれ、アベノミクスが途中で頓挫することです。

そんなことになって、また日本経済がデフレから脱却できなければ、失われた20年どころか、失われた30年になってしまいます。そんなことにならなければ良いと思います。

しかし、私は多くの日本国民は、まともな感覚を持っているので、今回ばかりはバカ者どもに煽動されるということはないと信じています。

そうして、これは、あながち根拠なしに言っているわけではありません。たとえば、全く根拠のない政府の財政破綻の話を話としては、信じた人たちもいるかもしれませんが、さりとて、それに対して準備をして、大損をしたという人の話は、全くといって聴いたことがありません。

もし日本政府が財政破綻するというのなら、これは、大儲け確実です。それは、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)をすれば、大儲けできます。これは、クレジットデリバティブの一種で、債権自体を移転することなく信用リスクのみを移転する取引です。最も取引が盛んなクレジットデリバティブのひとつ。銀行の自己資本比率を高める対策の一環としても利用されます。

詳細は、以下のURLをご覧になって下さい。

クレジット・デフォルト・スワップ

それにしても、私は、この取引を大々的にやって、大儲けしたとか、大損したという話を、財政破綻ということがクローズアップしてから一度も聴いたことがありません。ということは、財政破綻を吹聴した人々はこれをやらなかったということです。それしても、変です。日本が財政破綻することが確実であれば、CDSを大々的にやって、大儲けすべきです。しかし、そうしないということは、煽るだけ煽っても、自らは信じていないということです。というこは、なぜ煽るかといえば、日本国をそうして、日本人を煽り、馬鹿な投資などに誘いこみ、日本経済を弱まらせるために、煽ったということです。

MRIインターナショナルの会報に登場した有名人たち

しかし、そんなことをして煽りまくっても、字面では信じたような人でも、実行動に出た人はいなかったということです。本当に煽られてしまえば、日本は、金満家も大勢いるはずですし、実際に随分前から、「オレオレ詐欺」などがあって、大金をだまし取られた人もいますし、最近ではMRIインターナショナルによる詐欺(アメリカ医療機関への投資詐欺)もあって、かなりの人が騙されています。

しかし、日本政府の財政破綻は、あれだけテレビで大騒ぎ、新聞でも大騒ぎ、野田元総理なども、国民一人の借金七百万円(正しくは国民ひとりあたりが政府に貸しているお金の額)ともっともらしく大騒ぎしたにもかかわらず、CDSで大損した人の話は聴いたことがありませんし、それに、財政破綻詐欺というのもありませんでした。

野田元総理は、かつて国会で国民一人あたり赤ん坊まで含めて七百万円もの借金があると語った
ということは、意外と日本国民は、まともだということで、財政破綻を本当に真に受けて、実行動に出た人はいなかったということです。そうして、いろいろな詐欺やだましをする犯罪者たちも、財政破綻はネタにできないと判断したということです。

ですから、今回のアベノミクス失敗論なども、字面では信じたとしても、実行動に出る人はいないと思います。いずれにしても、デフレから脱却する前に増税するなんてバカ真似も絶対するべきではありません。してしまえば、それこそ、アベノミクスは頓挫してしまいます。

いずれにせよ、目先の株価の上下や為替レートの上下に一喜一憂したりするだけならそれは、個々人の自己責任だからかまわないのですが、アベノミクスを失敗だと吹聴したり、それだだけではなく、安倍おろしに加担するなどというような行為は、あまりにも時期尚早だし、軽率・軽薄だと心得るべきだと思います。 私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2013年2月1日金曜日

1ドル=95円はもうすぐそこに!? 懸念表明がないということは米国もある程度の円安水準を了解済みか―【私の論評】通貨安懸念をするドイツと、しない米国との間には明らかに異なる訳がある!!

1ドル=95円はもうすぐそこに!? 懸念表明がないということは米国もある程度の円安水準を了解済みか:

1月25日時点のドル円レート

[真壁 昭夫]
最近、アベノミクスの金融緩和策に伴う円安傾向が鮮明化していることについて、ドイツや英国などから批判の声が上がり始めている。特に、ドイツのメルケル首相は、「日本の円安政策は、通貨引き下げ競争につながる」として明確に批判した。
…続きを読む

【私の論評】通貨安懸念をするドイツと、しない米国との間には明らかに異なる訳がある!!

上の記事、「米国もある程度の円安水準を了解済みか」とする一方で、ドイツは通貨安競争を懸念していることを掲載していますが、なぜそうなのか踏み込んでまで掲載してませんので、このブログで掲載します。


そもそも、通過安に関して米国とドイツとではどこがどう違うかといえば、それは、はっきりしています。米国は、貿易大国ではないですが、ドイツは貿易大国だということです。どういうことかといえば、アメリカは、貿易がGDPに占める割合は、数パーセントにすぎないのです。アメリカは、まごうかたなき、内需大国です。

それに比較すると、ドイツは何と40%以上を占めています。ドイツはまごうかたなき、貿易大国であり、外需依存の国ということになります。



そのため、アメリカは日本が円安になったからといって、さほど影響は受けないのです。外需よりも、内需のほうがはるかに大きいので、外国のことよりも、アメリカ国内のことのほうが、経済的にははるかに重要なのです。

それに比較すると、ドイツは日本が円安になれぱ、かなり影響を受けます。内需よりも、外需のほうがはるかに大きので、国内のことようりも、ドイツ国外のほうが、経済的にはるかに重要なのです。

だからこそ、米国は、日本の円高に寛容だし、それに、自分の国でも、QE3という金融緩和を大々的にやっているため、日本にいちゃもんをつけるような状況にはないというわけです。こういったことから、日本の円安について、両国で受け止め方が違うのは、当然のことといえます。

それにしても、円安だからといって、通貨安戦争になるなどのことはありません。それは、以前のこのブログに掲載しました。そのURLを以下に掲載します。

「円安で近隣窮乏化」という誤解 デフレ対策の緩和、堂々主張を―【私の論評】まともな国にとっては、まずは国民経済をきちんと運営することが、世界経済もうまく運営していく前提となる!!


詳細は、上の記事をご覧いただくものとして、以下に要点だけ記しておきます。

日本やドイツそうして、アメリカのようなまともな国々では、どこかの国が通貨切り下げをすると、短期的に外国はマイナスの影響を受けますが、外国も金融緩和をします。両国ともにインフレ率が高くなりますが、それぞれ許容できるインフレ率に限界があるので、金融緩和競争はいつまでも続きません。だから、通貨安競争が苛烈になり、とんでもないことになるというようなことは、ないのです。

ただし、中国や韓国のようなまともでない国々においては、国民生活をインフレで犠牲にしてまで、自国通貨を安くします。しかし、これらの国々はすで金融緩和をかなり実施して、すでにかなりのインフレ水準になっています。

ドイツが非難するのであれば、日本やアメリカではなく、中国、韓国を非難すべきです。

さて、アメリカは輸出が、GDPに占める割合は、数パーセントにすぎないという話をしました。世界で、次にこれが少ない国は、日本です。日本では、15から16%内外です。日本も輸出大国ではなく、内需大国です。輸出企業は、日本では少数派です。最近、円安で輸出企業が潤っていという話をよく聞きますが、まだまだ、少数派の企業が潤っているだけの話です。

輸出といえば、輸出ばかりに目が向いていますが、日本では、輸出がGDPに占める割合は確かに低いですが、所得収支が莫大です。所得収支とは、日本から海外に投資した結果のあがりのことです。これが莫大なので、日本は輸出少なくて十分やっていけるどころか、ドイツのような輸出の多い国から比較すると、世界経済に影響される割合は低いです。非常に利口なやり方だと思います。

このようになっていないドイツや、中国、韓国のような国々は、世界経済の変化にかなり翻弄されやすいです。だからこそ、ドイツ、中国、韓国ともに、日本の円安傾向を警戒するのです。

さて、日本では、あまりに酷い円高水準でしたから、工場や人が中国などに移転が進み、空洞化が心配されたため、円安傾向に傾いているのは、歓迎すべきことです。しかし、アメリカや、日本のような国では、内需が拡大しない限り、国民の大多数の人びとが、景気の良さを実感できません。

アベノミクス、次の段階では、大規模な財政出動をして、内需を拡大する必要があります。この内需拡大に関して、まだまだ、心許ない状況にあります。それに関しては、以下の動画をご覧になって下さい。




日本の政治家の中には、このような実体を知らず、全く足りない財政支出に対して、「バラマキ」などと評してアベノミクスを非判しているものも多いです。全く、マクロ経済音痴としかいいようがありません。

このようなマクロ経済音痴の言うことを真に受けて、アベノミクスがバラマキなどと信じてしまい、そのような人が大勢を占めれば、またまたデフレから脱却できずに、失われた20年が30年になりかねません。そんなことになって良いはずがありません。

安倍総理としては、参院選までは、非判をかわしながら安全運転をしようという腹だと思います。是非とも、参院選でも大勝利を納めて、その後からまともな財政政策に着手していただきたいものです。来年、再来年としばらく続けていく必要があります。そう思うのは、私だけでしょうか?皆さんは、どう思われますか?

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2013年1月28日月曜日

「断固たる決意で強い経済を取り戻す」――安倍首相所信表明演説全文―【私の論評】経済主体の演説は、「戦後体制からの脱却」の一里塚!!まずは、この一里塚を着実に歩むことが一番!!

「断固たる決意で強い経済を取り戻す」――安倍首相所信表明演説全文



まず、アルジェリアで発生したテロ事件について、ひと言、申し上げます。

事件発生以来、政府としては、総力を挙げて情報収集と人命救出に取り組んでまいりました。しかしながら、世界の最前線で活躍する、何の罪もない日本人が犠牲となったことは、痛恨の極みです。残された御家族の方々のお気持ちを思うと、悲痛の念に堪えません。

無辜(むこ)の市民を巻き込んだ卑劣なテロ行為は、決して許されるものではなく、断固として非難します。私たちは、今般の事件の検証を行い、国民の生命・財産を守り抜きます。国際社会と引き続き連携し、テロと戦い続けます。冒頭、その決意を申し上げます。

昨年末の総選挙による国民の審判を経て、自由民主党と公明党の連立政権を発足させ、第96代内閣総理大臣を拝命いたしました。


私は、かつて病のために職を辞し、大きな政治的挫折を経験した人間です。国家のかじ取りをつかさどる重責を改めてお引き受けするからには、過去の反省を教訓として心に刻み、丁寧な対応を心掛けながら、真摯(しんし)に国政運営に当たっていくことを誓います。

国家国民のために再び我が身を捧げんとする私の決意の源は、深き憂国の念にあります。危機的な状況にある我が国の現状を正していくために、なさなければならない使命があると信じるからです。

デフレと円高の泥沼から抜け出せず、50兆円とも言われる莫大な国民の所得と産業の競争力が失われ、どれだけ真面目に働いても暮らしが良くならない、日本経済の危機。

32万人近くにもおよぶ方々が住み慣れた故郷に戻れないまま、遅々として進んでいない、東日本大震災からの復興の危機。

外交政策の基軸が揺らぎ、その足元を見透かすかのように、我が国固有の領土・領海・領空や主権に対する挑発が続く、外交・安全保障の危機。


そして、国の未来を担う子どもたちの中で陰湿ないじめが相次ぎ、この国の歴史や伝統への誇りを失い、世界にごしていくべき学力の低下が危惧(きぐ)される、教育の危機。

このまま、手をこまねいているわけにはいきません。みなさん。今こそ、額に汗して働けば必ず報われ、未来に夢と希望を抱くことができる、真っ当な社会を築いていこうではありませんか。そのためには、日本の未来をおびやかしている数々の危機を何としても突破していかなければなりません。

野党として過ごした3年余り、全国津々浦々で現場の声を丹念に拾い集め、政策のあるべき姿を考え抜いてまいりました。政権与党に復帰した今こそ、温めてきた政策を具体的に実現させ、国民とともに、現下の危機突破に邁進(まいしん)します。

内閣発足に当たって、私はすべての閣僚に「経済再生」「震災復興」「危機管理」に全力を挙げるよう一斉に指示をいたしました。危機の突破は、全閣僚が一丸となって取り組むべき仕事です。同時に、与野党の別を問わず、国政に携わるすべての国会議員が担うべき責任でもあるはずです。

この議場に集うすべての国会議員諸氏に訴えます。危機を突破せんとする国家の確固たる意思を示すため、与野党の叡智(えいち)を結集させ、国力を最大限に発揮させようではありませんか。各党各会派のご理解とご協力を切に求めてやみません。


我が国にとって最大かつ喫緊(きっきん)の課題は、経済の再生です。

私がなぜ、数ある課題のうち経済の再生に最もこだわるのか。それは、長引くデフレや円高が、「頑張る人は報われる」という社会の信頼の基盤を根底から揺るがしていると考えるからです。

政府がどれだけ所得の分配を繰り返しても、持続的な経済成長を通じて富を生み出すことができなければ、経済全体のパイは縮んでいってしまいます。そうなれば、ひとりひとりがどんなに頑張ってみても、個人の手元に残る所得は減っていくばかりです。私たちの安心を支える社会保障の基盤も揺らぎかねません。

これまでの延長線上にある対応では、デフレや円高から抜け出すことはできません。だからこそ、私は、これまでとは次元の違う大胆な政策パッケージを提示します。断固たる決意を持って、強い経済を取り戻していこうではありませんか。

すでに、経済再生の司令塔として日本経済再生本部を設置し、経済財政諮問会議も再起動させました。この布陣をフル回転させ、「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」、そして「民間投資を喚起する成長戦略」という“三本の矢”で、経済再生を推し進めます。

金融政策については、従来の政策枠組みを大胆に見直す共同声明を、日本銀行との間で取りまとめました。日本銀行において2%の物価安定目標をできるだけ早期に実現することを含め、政府と日本銀行がそれぞれの責任において、共同声明の内容をきちんと実行していくことが重要であり、政府と日本銀行の一層の緊密な連携を図ってまいります。

加えて、先にまとめた緊急経済対策で、景気を下支えし、成長力を強化します。これから提出する補正予算は、その裏付けとなるものです。「復興・防災対策」「成長による富の創出」「暮らしの安心・地域活性化」という3つを重点分野として、大胆な予算措置を講じます。速やかに成立させ、実行に移せるよう、各党各会派の格別のご理解とご協力をお願い申し上げます。

他方、財政出動をいつまでも続けるわけにはいきません。民間の投資と消費が持続的に拡大する成長戦略を策定し、実行してまいります。

iPS細胞という世紀の大発明は、新しい薬や治療法を開発するための臨床試験の段階が見えています。実用化されれば、健康で長生きできる社会の実現に貢献するのみならず、新たな富と雇用も生み出します。イノベーションと制度改革は、社会的課題の解決に結び付くことによって、暮らしに新しい価値をもたらし、経済再生の原動力となります。

最も大切なのは、未知の領域に果敢に挑戦をしていく精神です。みなさん。今こそ、世界一を目指していこうではありませんか。

世界中から投資や人材をひきつけ、若者もお年寄りも、年齢や障害の有無にかかわらず、すべての人々が生きがいを感じ、何度でもチャンスを与えられる社会。働く女性が自らのキャリアを築き、男女がともに仕事と子育てを容易に両立できる社会。中小企業・小規模事業者が躍動し、農山漁村の豊かな資源が成長の糧となる、地域の魅力があふれる社会。そうした、あるべき社会像を、確かな成長戦略に結び付けることによって、必ずや強い経済を取り戻してまいります。

同時に、中長期の財政健全化に向けてプライマリーバランス※の黒字化を目指します。

※プライマリーバランス……政府会計において、過去の債務に関わる元利払い以外の支出と、公債発行などを除いた収入との収支。これが黒字であれば、毎年の政策的な経費が税収などの毎年の収入でまかなわれていることになる。
震災復興では行政の縦割りを排す

安倍 東日本大震災の被災地は、2度目の厳しい冬を迎えています。私は、昨年末に総理に就任した直後に、最初の訪問地として迷うことなく福島を選びました。そして、先日は宮城を訪れ、これからも、可能な限り現地に足を運ぶつもりです。
ah_abe3.jpg 宮城県亘理町の仮設住宅を訪れた安倍首相(出典:首相官邸Webサイト)

被災地のことを思う時、私は、ある少女とその家族の物語を思い出さずにはいられません。東日本大震災で、小学校3年生だった彼女は、ひいおばあさんとお母さんを亡くしました。悲しみに暮れる家族のもとに、被災から2カ月後のある日、一通の手紙が届きます。それは、2年前、少女が小学校に入学した後に、お母さんが少女に内緒で書いた“未来へあてた手紙”でした。

手紙には、入学当初の苦労話の後に、こうつづられていました。

「げんきに学校にいってくれるだけで、とてもあんしんしていました。このてがみを みんなでよんでいるところを たのしみにして、これから おかあさんは がんばっていきます」

この手紙を受け取ったのは、私がかつて被災地で出会い、先般、再会を果たした少女です。その際、彼女は、私の目をじっと見つめ、「小学校を建ててほしい」と言いました。過去を振り返るのではなく、将来への希望を伝えてくれたことに、私は強く心を打たれました。

故郷の復興は、被災地のみなさんが生きる希望を取り戻す作業です。今を懸命に生きる人々の笑顔を取り戻す。それは、その笑顔をただ願いながら天国で私たちを見守っている犠牲者の御霊に報いる道でもあるはずです。

復興という言葉を唱えるだけでは、何も変わりません。まずは、政府の体制を大転換します。これまでの行政の縦割りを排し、復興庁がワンストップで要望を吸い上げ、現場主義を貫きます。今般の補正予算においても思い切った予算措置を講じ、被災地の復興と福島の再生を必ずや加速してまいります。

【私の論評】経済主体の演説は、「戦後体制からの脱却」の一里塚!!まずは、この一里塚を着実に歩むことが一番!!

上の演説をぐっと縮めて要旨だけを掲載すると以下のようなものになると思います。
経済再生では大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を「三本の矢」として「強い経済」を取り戻すと宣言。2%の物価目標を明記した日銀との共同声明について「できるだけ早期に実現することを含め、それぞれの責任で実行していくことが重要だ」と日銀に奮起を促した。中長期の財政健全化に向けて、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を目指すことも明言しました。

震災復興では被災地の要望を復興庁が一元的に吸い上げる現場主義に転換し、「被災地の復興と福島の再生を必ずや加速する」と約束。「危機管理」の柱に外交・安全保障を据え、「日米同盟を強化し、日米の絆を取り戻す」と表明しました。
沖縄県・尖閣諸島をめぐる中国との対立などを踏まえ、「国民の生命・財産と領土・領海は断固として守り抜く」と強調し、拉致問題について(1)全ての被害者の即時帰国(2)真相究明(3)実行犯の引き渡し-に全力を尽くす意向を示しました。

結びでは、敗戦後の日本再建に向けて国民の協力と奮起を促した芦田均元首相の言葉を引用、「今ここにある危機を突破し、未来を切り開いていく覚悟を分かち合おう」と訴えた。
 結局のところ、経済の立て直しが最も大きな比重を占めていましたし、演説の時間は、比較的短いものでした。私は、これは意図して、意思きしてこのような演説にしたのだと思います。 評論家の中には、経済対策を中心にした演説に対して参院までの安全運転だとして、原発やエネルギー問題、TPP参加などの問題についても語るべきであったことを主張する人もイましたが、私自身は、まずは経済対策ということで、非常にわかりやすいものだッタと思います。



「経済再生」、「震災復興」、「沖縄県・尖閣諸島をめぐる中国との対立」が大きな主題であり、この後に、結びで締めています。プレゼンテーションとみても、参考になる素晴らしいものだったと思います。

さて、こうしたいわゆるアベノミックスと呼ばれる、安倍総裁の経済対策に対して、大方の人は、賛同しているし、期待感を持っているようですが、なかには、アベノミックスに対して、経済が復活しないうちに、物価があがり大変なことになると、大騒ぎしている人がいます。


しかし、このような人は、経済などのほかに、企業の仕事がわかっていないからこのような妄言をはいているのだと思います。

ご存知メガマック

これに関連して、マクドナルドは、「為替予約をしているので、円安の影響はすぐに出ません」と説明しています。為替予約とは1年後、3年後など一定期間後に、あらかじめ決められた為替レートで金融機関と外貨の売買取引を行なうことで、企業は為替リスクを回避できるというものです。ただし、円安が長期にわたれば、ハンバーガーが値上がりする可能性は大きいです。


海外との取引きをするということになれば、急激な円高・円安ということなることはいくらでもありうることであり、それに備えるために、為替ヘッジというシステムがあります。

たとえば、低金利の円ではなく高金利通貨で1年間運用しようとします。1年間為替変動がない、もしくは円安になっていればよいのですが、円高になってしまう恐れもあります。


そこで、1年後にある一定の為替レートで円に戻す予約をします。そうすれば為替差損を被るリスクを回避できます。これを為替ヘッジと言います。

この為替ヘッジを行うためには、現時点で将来の為替レートを予約しておく、つまり一定期間後の高金利通貨を売り、円を買う取引を予約しておく(為替予約)ことが必要になります。そして、為替ヘッジコストは一般的に、円とヘッジ対象通貨の短期金利の差になります。

前述の例で言うと、高金利通貨を売って低金利の円を買うわけですから、為替ヘッジコストになります。

一方、人気の通貨選択型投資信託では、高金利通貨で金利の低い通貨をヘッジします。将来のために、金利の低い通貨を売って高金利通貨を買うわけですから、その金利差が為替ヘッジプレミアムとなり、儲けとなるのです。

外貨のままで償還金や利息を受け取る場合には、為替変動の影響を受けることはありません。しかし、外貨ベースで儲かっていても円で受け取る際に、為替の変動で損失を被ることがあります。為替リスクや為替ヘッジについてはしっかりと理解しておくことが大切です。

以上は、個人ベースの取引をおこなうのでさえ、考慮しなければならない事項です。ましてや、企業レベルでは当然考えるべきものです。

それが、円安になったからといって、すぐに、価格に転嫁するような会社があったとすれば、上記のような備えをしていないか、していても危ない会社と考えたほうが良さそうです。

円高や円安になったとしても、これは単なる為替のレートですから、長期的は大きな問題ではありません。しかし、急激な変化があった場合には、甚大な影響を被る危険もあります。

最近の日本は、円高基調であったし、それに震災などの復興などがありましたし、アベノミクスなどとは関係なく、普段よりも、円の需要が高まることから、日銀もマネタリーベースを増やすほうに動くことは、十分に予測の範囲であったと思います。しかし、日銀はこの常識を裏切ったために、震災直後に円高が進みました。

しかし、これは、日銀が常識外れだからであって、まともであれば、マネタリーベースをかなり増やすのが当たり前です。そうなれば、円安方向に振れる可能性もかなりの率でありえると認識するのが当たり前です。

このような背景から、アベノミクスで円高だからという理由ですぐに、価格をあげるような会社は、馬鹿か危ない会社か、騙しているとみるべきだと思います。理想的には、1年くらいでは多少の値上げ、円安が継続するなら、3年後くらいから本格的値上げというやりかたが望ましいです。

戦後体制を決定したポツダム会談

ましてや、アベノミクスで、円安になり、国民経済が回復しないうちに、物価があがり、大変なことになると騒ぐ人は、為替リスクヘッジも念頭に浮かばない大バカか、このブログにも、以前から述べているいわゆる、戦後体制擁護派もしくは、戦後利得者でありいずにせよ、偽装転向コミンテルンである可能性が高いです。

本日の演説には、前回総理であっ頃の、所信表明演説いわゆる「美しい国」発言、要するに、「戦後体制からの脱却」は含まれてはいませんでした。しかし、安倍総理はこのことを忘れているわけではありません。あくまで、目指しているのはこれです。

しかし、以前のこのブログにも掲載したように、この大目標を実現するためにも、いくつか一里塚を定めてあり、その最初の一里塚が、経済再生です。経済再生ができないようでは、この大目標も達成できないということです。安倍総理には、まずは演説の通り、経済再生に専念していただきたいものです。その他のことは、参院選後とか、もっと後でもいっこうに構わいないと思います。皆さんは、どう思われますか?

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