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2015年6月18日木曜日

「おにぎりを1万円で売る方法を答えよ」 採用面接での奇問にどう答えればいい??―【私の論評】この質問への模範解答はこれだ!しかしあまり必要なくなるかも(゚д゚)!

「おにぎりを1万円で売る方法を答えよ」 採用面接での奇問にどう答えればいい??

就活女子
新卒採用の面接では、学生の思考力を見るために突飛な質問をすることがある。その最たる例が「〇〇を1万円で売るにはどうすればいいですか?」というものだろう。

〇〇に入るのは、ボールペンだったり1杯の水道水だったりと様々だが、2ちゃんねるに5月23日に登場したスレッドでは「普通のおにぎり1個」をいかにして1万円で売るか、というテーマで議論が行われている。

まず出てくるのが、おにぎりに付加価値をつけて特定の層に売る、という作戦だ。

「アイドルに握らせて、ファンに売りつける」

という回答は、もはやこの手の質問では定番。ほかにも「高級食材を使う」「おにぎりに嵐のライブチケットをつける」といった回答がある。

ただ、アイドルに握らせたり高級食材を使ったりすれば、「それはもう『普通のおにぎり』と呼べないのでは」という指摘も。そこで次に出てくるのが、需要が極めて高い状況を作って売る、という回答だ。

ネットには、「食料の尽きた山小屋で売ります」「一万払ってでも、お腹がすきすぎてとにかく食べたい状況をつくる」といった意見が出る。生死を分けるような極限状態では、背に腹は代えられない。ただのおにぎりでも1万円で売れる、というわけだ。

より大きな観点から経済にアプローチする作戦もあった。「周りのおにぎりを全部買い占めて、おにぎりの価値を上げる」というアイデアのほか、「インフレにして1万円の価値を落とす」という回答も。ここまで行くともう日銀レベルだ。

「10万円の文字を横線で消して90%OFFのロゴをドーンとつける」というアイデアも。詐欺まがいであるが、何とかして売り上げを生んでくれる人材なら、会社はノドから手が出るほど欲しいのではないだろうか。

この記事の詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】この質問への模範解答はこれだ!しかしあまり必要なくなるかも(゚д゚)!

おにぎりを1万円で売るには?

「〇〇を1万円で売るにはどうすればいいですか?」という質問を、突飛な質問ととらえた人は、デフレ脳である可能性が高く、面接試験ではねられる可能性が高いです。

この質問は、現状の日本を考えると決して突飛な質問ではないと思います。私は、人事担当をしていたこともありますから、こうした質問をする人事担当者あるいはその背後にある企業の考えが手に取るようにわかります。

今の日本は、20年ぶりくらいの大転換期にあたっています。それは何かといえば、無論過去20年のデフレから脱却して、インフレ状況に突入しようとしているということです。

ただし、8%増税が昨年4月より実施されたので、金融緩和による景気回復が削がれた形になったので、実際にはなかなか金融緩和の実態を実感しにくい状況にあります。しかし、金融緩和による景気の上向き傾向はじんわりとながらも、確実に進んでいます。それは、各種統計数値をみても明らかです。

この変化に気づいていない人は多いです。言葉としては、気づいていても、実行動に移せる人は少ないです。多くの人にとっては、大きな経済環境の変化はなかなか理解できないようです。

これについては、以前このブログでも解説したことがあるので、その記事のリンクを以下に掲載します。
【世界の議論】中国企業「爆社員旅行」フランスを“占拠”…6400人、ブランド品買い漁り経済効果「40億円超」―【私の論評】爆社員旅行は、中国でジュリアナ東京シンドロームが発生したという証なのか!?
ジュリアナ東京のお立ち台で踊る女の子たち
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事ではあのバブルの象徴ともいわれた「ジュリアナ東京」が、実はバブル崩壊後にできたことを紹介しました。この事例をみれば、多くの人にとって、経済の大変化は直後に気付くことはなく、ずいぶんたってから気付くことになります。私はこれを「ジュリアナ東京シンドローム」と命名しました。

それに関する部分のみを以下に引用します。

日本では、バブルが崩壊した後も、多くの人々はその実感がなく、バブル絶頂期の気質をそのまま受け継いだような、ジュリアナ東京が創立され、しばらくの間営業を続けていました。多くの人は、バブルが崩壊しても、このような狂乱状態を続けていたのです。
日本では、1990年にバブルが崩壊してから、本格的デフレに突入したのは1997年になってからです。
経済の大きな変動に関しては、それに直接関与している人などはすぐに実感するのでしょうが、そうではない人たちには、なかなか実感できないものなのだと思います。
日本の最近の状況でいえば、増税はしたものの、金融緩和を継続している現在、統計数値などみていれば、明らかに景気が良くなっているにもかかわらず、まだまだそれを実感できない人が多いようです。
このように、経済の大きな変動があっても、多くの人がそれを実感できない状況を私は、ジュリアナ東京シンドロームと命名したいと思います。
今日の日本はまさに当時とは真逆の状況で、大きな変化が起こりつつあります。この大きな変化についてあまり認識していない人も多いようです。

しかし、企業としてはこの大変化に気づいている人や、気づいているだけではなくそれに対応できる人を入社させたいので、このような一見突飛とも見えるような質問をしているのだと思います。

デフレの時期にはモノやサービスが売れないので、企業としてはなるべく新規採用を控えて、採用するにしても、デフレ対応型の無難な人材を採用する傾向が強かったものです。

デフレ対応型の無難な人材とは、どういう人材かといえば、「コミュニケーション能力に長けた人材」です。だから、採用の面談においても突飛な質問をするにしても、過去のデフレ期には「コミュニケーション能力」に関するものが多かったものです。

結局のところ、デフレという厳しい環境の中で、会社や会社の中で働く人々に共感でき、苦難をともに乗り越えて行く人材が重視されたのです。創造性などは、あったほうが良いということで、最優先の資質ではありませんでした。

しかし、世の中は過去のデフレの悪影響は色濃くは残ってはいるものの、もうインフレ傾向です。物価は下がり続け、賃金も下がり続け、モノ・サービスがなかなか売れないことを前提で物事を考えたり、判断する、デフレ脳の人はこれからの社会にはなかなか対応できないです。

これからは、物価が上がり続け、賃金も上がり続け、モノ・サービスが売れやすいことを前提で物事を考えることができる、インフレ脳の人がこれからの社会にかなり対応しやすいです。

一番良い人材は、デフレになっても、インフレになっても柔軟に対応できる人材です。しかし、デフレへの対応と、インフレへの対応は180度異なります。その両方を兼ね備えた柔軟な人材は滅多にいません。

だから、企業としては、これからの時代に備えるため、インフレ脳である人材を採用したいと考え「おにぎりを1万円で売る方法を答えよ」という質問をなげかてけインフレ脳の人材を探しているのだと思います。

上の質問「おにぎりを1万円で売る方法を答えよ」の答えで、「アイドルに握らせて、ファンに売りつける」という答えはなかなかセンスの良いものだと思います。

しかし、「アイドル」と言った場合、たとえばAKB48などと答えてしまえば、あまり良い結果は得られないと思います。なぜなら、AKB48はこのブログでも掲載したように、不況型アイドルだからです。その記事のリンクを以下に掲載します。
指原莉乃 噂の「中国票」は本当だったのか?本人がコメント―【私の論評】AKB48は不況型ビジネスモデル、中国経済が落ち込む今後ますます総選挙では中国票が幅をきかすようになる(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、いろいろ反論もあることでしょうが、AKB48は不況型ビジネスモデルの典型と言っても良いと思います。景気が良くなるにつれて、このビジネスはなかなか成り立たなくなると思います。

であれば、「アイドルに握らせて、ファンに売りつける」という答えの「アイドル」とは誰にすれば良いのでしょうか。

残念ながら、私はあまりアイドル界には、詳しくないので今のアイドルに関しては、これにすべきということはいえません。

頭に思い浮かんだのは、最近ベビーシッター問題で話題となった「神田うの」さんです。彼女の場合は、不況型ビジネスモデルのアイドルでないことだけは確かだと思います。

だから、上の答えでは、「神田うのさんにおにぎりを握らせて、ファンに販売する」という答えが模範解答かもしれません。無論、神田うのさんの部分は、不況型ビジネスモデルのアイドル以外のアイドルにすれば、誰であっても構わないと思います。この模範解答とともに、上記で述べたような背景を説明できれば、完璧だと思います。


こんなことから、デフレ脳じゃ就職戦線突破できないぞと言いたいところですが、そうでもなくなる可能性も高いです。

なぜなら、デフレが克服され、インフレ傾向になれば、雇用状況もかなり緩和され、人材不足となり、企業もインフレ脳でないと採用しないなどと呑気なことを言ってはいられなくなるからです。

おそらく、企業にとっても、今年は将来のリーダ格の人材を採用する最後のチャンスなのかもしれません。来年、再来年になればそれどころではなくなります。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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【関連図書】

面接では、この記事を読んでいただきその背景まで十分に頭に叩き込んでいただれば、一見突飛にみられるような質問にも十分答えられると思います。その上で、以下の就活関連本を読んでいただければ、就活には鬼に金棒になると思われる以下書籍をチョイスさせていただきました。

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2014年9月10日水曜日

年収と幸せは比例しない!? 年収600万円でも不幸だと嘆くサラリーマンの実像-【私の論評】ちょっと待ってくれ、高収入でも幸せになれなくなっのは、長引くデフレのせいではないのかい(゚д゚)!

年収と幸せは比例しない!? 年収600万円でも不幸だと嘆くサラリーマンの実像

苦悩するサラリーマン

まったく増える気配のないボクらの年収。吐き気がするほどの薄給に嫌気がさしている人も多いだろうが、一方で、「年収が高ければ高いほど幸せというわけではない」という考え方もある。

身を粉にして働き、やっと手にした「そこそこな年収」が、なぜ幸せと直結しないのか? 経済ジャーナリストの木暮太一氏はこう解説する。

「商品に原価があるように労働にもコストがあり、『商品=利益』ではありません。あくまでも所得は売り上げ、それを得るためにかけた『肉体的・精神的コスト』をマイナスにしなくてはならない。いくら高年収でも激務でコストが甚大になった結果、それが赤字ならば、幸せになれるはずがありません」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

9/9に発売された週刊SPA!に掲載されている特集『[年収400万円の幸せ]と[年収600万円の不幸]の境界線』では、上記のような「そこそこな年収でも不幸だと嘆く人々」だけでなく、「年収400万円でも幸せと断言する人々」が多数登場。決して強がりではない「年収400万円」の幸せも克明にリポートしている。

また、「最も幸福度の高い年収はいくらなのか?」「年収400万円でも幸せに生きる方法」にも言及。ボクらの年収にまつわる悲喜こもごもを大特集している。 <取材・文・撮影/週刊SPA!編集部>

【私の論評】ちょっと待ってくれ、高収入でも幸せになれなくなっのは、長引くデフレのせいではないのかい(゚д゚)!

どの機関が調査したのか、また詳しい内容も忘れてしまいました。数年前に、あるアメリカの機関が、年収が増えると幸福感が増すのは、どのくらいの水準までか、という調査を行っていました。

その結果わかったのが、年収600万くらいまでは、大多数の人が年収が増えると、それに比例して幸福感を感じるのだそうですが、それを超えるとそうではなくなるということでした。

それを思うと上の記事で、600万円を境にしてものを語っているのは、それなりに信憑性があると思います。

最盛期には、アメリカをも上まわっていた時期もあったのですが、今や、日本は年収がそれほど高い国ではなくなりました。

年々下がり続けるサラリーマンの年収。だが、600万を超えても幸福感を感じられない人もいる。


しかし、それにしても、世界水準では、600万円以上では、年収が増えても、それに比例して幸福感を感じないというだけで、不幸だと感じるわけではないと思います。

上の記事では、以下のようなことが言われています。

「商品に原価があるように労働にもコストがあり、『商品=利益』ではありません。あくまでも所得は売り上げ、それを得るためにかけた『肉体的・精神的コスト』をマイナスにしなくてはならない。いくら高年収でも激務でコストが甚大になった結果、それが赤字ならば、幸せになれるはずがありません」

要するに、所得が600万円を超えても、『肉体的・精神的コスト』があまりに大きく、これが所得があったとしも正味ではマイナスにならなければ、幸せとはいえないということです。

別の言い方をすると、年収が少なくとも、『肉体的・精神的コスト』があまりに大きくなければ、正味ではプラスになり、幸せを感じるということだと思います。

年収が高くても、肉体的・精神的コストを計算に入れると・・・・

日本の場合は、このコストが大きく、所得が600万円を超えても、幸せに感じられないどころか、不幸に感じるということだと思います。これに関しては、現実にそうなのかは、先の調査結果くらいしかないので、本当に大多数の人がそうなのかということはわかりません。

しかし、これが仮に正しいものとして推論を進めます。

では、なぜこのようなことになっているのでしょう。

個々人の心がけが悪いのでしょうか。会社が悪いのでしょうか。上の記事では、その答えはありません。



私は、ここで、マクロ的な観点からこれに答えを出していこうと思います。結論からいえば、やはりデフレがその根本原因です。

実体経済と、人々の幸福感にはある程度の相関関係があります。それが全部とはいいませんが、やはりデフレという異常状態は、社会に悪影響を与えるのは、はっきりしていまます。

私がなぜ、そのような結論を出したのか、その元となる情報を以下に示します。それは、過去のこのブログの記事です。そのURLを以下に掲載します。
インフレのある暮らし - 15年ぶりの1ドル80円時代に思うこと―【私の論評】「インフレっていいものですよ!!」は、本当だ!!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事は、2012年8月16日のものであり、約2年前のものです。この頃は、白川体制であった、日銀の金融政策が良くなかったため、日本は超円高であり、デフレスパイラルの泥沼に深くはまっていました。

米国はゆるやかな3%程度の、インフレ状況でした。この論評記事の元記事となった、ブログを書いている人は、アメリカのシリコンバレーに長らく生活している邦人女性です。

この方は、あまり経済にも詳しくない方のようですが、実体験から当時のアメリカと日本の違いを述べているため、日本の怪しげな、似非識者などより、よほど真実に迫っています。

アメリカン・ドリームもゆるやかなインフレでは、成立するが、デフレ下では全く無理

この記事では、もともと論評のもとになる記事の引用部分がほとんどないので、インフレに関する部分のみ以下に引用させていただきます。
さて、アメリカの方のインフレも年間3%くらいでしかないのだが、それでも15年たつとモノの値段が5割高になる。これはつまり、去年と今年の値段の差は誤差の範囲だが、10年、20年たつと目に見えて高くなる、というレベル。 
経済の教科書的に、インフレとデフレの消費者行動の違いは、
・インフレ=借金してでも買おう(将来買おうと思ったらもっと高くなる)
・デフレ=買い控えて現金で持っていよう(将来もっと安くなるから)
ということなのだが、いや、これ、自分個人の心理的に見て本当。
インフレというと響きが嫌な感じだが、中にいる実感としては 
「パイが大きくなっていく」 
という感じ。減少していくパイを奪い合わなくても、平均的なことをしていれば15年で5割増なわけです。心証的には「将来は高くなるから今のうちに買っておこう」という打算的な感じより、「この先もっとよくなるから安心して今買いましょう」という感じが強い。
「幻想だ!勘違いだ!」 
と思う人もいるかもしれない。 
でも、住んでいる人の多くが「今後も価値が上がっていく」と信じれば、消費行動が促進され景気が良くなる。そういう幻想を与えるのも政治の役目。(もちろん、ハイパーインフレは駄目ですが)。
これを読んでも、デフレ脳におかされている人たちは、ピンとこないと思いまます。

だから、私が注釈をいれておきます。この著者は、「アメリカの方のインフレも年間3%くらいでしかないのだが、それでも15年たつとモノの値段が5割高になる。これはつまり、去年と今年の値段の差は誤差の範囲だが、10年、20年たつと目に見えて高くなる、というレベル」と書いています。

これは、物価のみしか書かれていません。そうです。給料の話が書かれていません。

では、給料はどうなっていたかといえば、5割以上伸びていたわけで、5割よりも伸びた分は、経済成長によるものです。

この時期のアメリカは、無論リーマン・ショックなどがあったりして、一様ではありませんでしたが、長いスパンでみると、物価は倍、給料も倍以上になっていました。倍以上どころか、インフレ分を差し引いても、給料は1.5倍くらいになっていました。

いや、これはアメリカだけではなく、EUも国や期間によって、多少凸凹はありますが、総じて平均してならしてしまえば、そのようなものでした。

緩やかなインフレの時期には、物価は上がるものの、給料もそれ以上に上がっていくというのが普通です。

しかし、日本は、主に日銀の金融政策がまずすぎて、どんな時にも、金融引締めを実行するという愚かな真似をしていたので、デフレに陥り、物価は下がり、給料も下がるという事態が続いていました。

これを聴くとデフレ脳に侵された人々は、なかなか信じないでしょうが、事実です。日本以外のデフレ以外の国々では、過去20年間は、物価は2倍、賃金はインフレ部分を相殺して実質で1.5倍になっていました。

デフレ脳におかされた人には、この賃金が実質1.5倍の意味も良くわからなくなっている可能性があるので、これも説明させていただきます。

実質1.5倍とは、仮にある会社に就職したとして、なかなか能力が伴わなくて、職位があがらず、そのまま同じ地位にいたとしても、15年から20年で給料が1.5倍になったということです。

ということは、職位が上がれば、さらに給料が上がるということです。

自分が、同じ職位についていたとしても、余程のことが無い限り、15年から20年もすれば、給料が倍になると見込める社会と、そうではないない社会とでは、どちらが幸福感を感じやすいかといえば、はっきりしています。同じ職位についていて、実質1.5倍になる社会のほうが良いに決まっています。

その差は、どこから出てきているかといえば、緩やかなインフレと、デフレの違いです。

これは、日本でもある程度の年配の方々に聴いてみればすぐにわかることです。バブル崩壊以前に退職した方などは、緩やかなインフレ時代に職業人として生きていたので、まさに物価が上がるのはあたり前で、15年もすれば物価は倍、給料は1.5倍以上だったでしょう。

それに、日本では、10年で所得が倍増などという時期もありました。それは、池田総理大臣のときに、実施された所得倍増計画が実施されたときです。

国会で演説する池田勇人氏

池田勇人氏について、倉山満氏は以下のようなツイートをしています。
この時は、おおまかにいうと、インフレ政策と、積極財政により、10年を待たずして、本当に国民の所得は倍増しました。デフレであっては、絶対にできない計画でした。

たとえ、貧乏だったにしても、将来は余程のことが無い限り、給料が上がり続けることを無邪気に信じられる社会と、今のような賃金が変わらないか下手をすれば下がるかもしれないということで、八方塞がりになる社会とどちらが良いのでしょうか。

それは、前者が良いに決まっています。今は、デフレで後者のような事態に陥っているからこそ、このブログ冒頭記事にもあるように、年収600万円でも不幸だと嘆くサラリーマンが増えているのです。

それだけに及ばず、デフレで経済が疲弊しているからこそ、せっかく上記のように池田隼人政権により、ソ連の間接侵略の芽を摘むことが出来たのですが、今度はそれに変わって、中韓が間接侵略をしかけてきているのです。

デフレという魔物は、単なるマクロ経済学上の現象というだけではなく、人々の日々の生活に影を落とし、安全保障上の問題もひきおこすなど、私達の日々の生活に悪影響を着実に及ぼしています。

これを考えると、まずは、デフレ脱却が日本における最優先課題であることが良く理解できます。

ある程度年収があっても幸福感がないのは、すべてデフレのためというわけではありませんが、かなり大きな影響を与えているということは否定できない現実です。

それに、これを理解すれば、自分や自分の周りの人たちが、不幸なのは自分だけの責任ではないということを知れば、心理的にはかなり楽になると思います。

貧しい国々で、貧乏な人たちが意外と幸せなのは、少なとくも貧困の原因が自分たちではないことを知っているからです。しかし、日本だと、貧困や仕事上のストレスなど、自己責任にしてしまう人が増えているようで、これでは、とても辛いことだと思います。

そうして、幸福感を感じられない、サラリーマン諸兄もただ投げているばかりではなく、少しは経済・政治・社会にも関心をもって、選挙のときなどは、デフレ脳の政治家には投票しないなどの実行動をしていくべきです。また、世論形成などにも踏み込んでいくべきとも思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年5月12日月曜日

インフレで、日本の起業精神は復活する なぜ日本では、いままで起業者が減少していたのか―【私の論評】ちょっと待ってくれ、日本で最大の問題はデフレではないのかい?そう思わない、馬鹿な政治家・識者・専門家があまりにも多くないかい(゚д゚)!

インフレで、日本の起業精神は復活する なぜ日本では、いままで起業者が減少していたのか

村上 尚己 氏

4月下旬に公表された最近の中小企業白書では、2012年時点の「起業希望者」は約84万人と、1997年の約167万人から約半分にまで大きく減少した、と分析されている(下表)。「起業希望者半減」と、センセーショナルに伝えたメディアもあった。

実際に起業して成功している、あるいは将来の起業を目指している人々は、日本での起業精神の冷え込みを嘆いたり、「日本経済の停滞の象徴」と喝破している。

では、なぜ、日本人は起業しなくなったのだろうか。過去10数年余りで、日本人が臆病になったのか?日本人の意識が大きく変わったのか?日本の教育が大きく変わったのか?それとも起業を支援する制度が、かつては充実していたのか? 

いずれも筆者は違うと思う。日本で起業活動が衰え始めた時期と、物価に責任を持つ日本銀行の政策でデフレという異常な経済状況が始まった時期はほぼ同じだ。デフレが長期化して、起業というリスクをとる行動に、経済合理性を見出すことが難しかったから、と考えるのがもっとも自然である。

戦後は、正しいマクロ安定化政策が続き、このため経済が安定的に成長した。だから、既存企業が切磋琢磨し、あるいは起業による新たなプレーヤーによる技術革新が経済活動を活性化させ、日本の経済発展を支えた。

バブル崩壊後の経済安定化政策を誤り、「デフレでも仕方がない」と考える中央銀行の政策により、日本経済は常に抑制されてしまった。このため、低成長が続き、起業というリスクをとるコストが、多くの合理的な日本人にとって極めて大きくなっていたのだ。

日本で起業が停滞した理由は、「日本人は起業が苦手だから」ではなく、起業という行動の本質を、多くの日本人が良く理解しているから、というのが本当の理由である。だからこそ、実質金利が極めて高いという経済環境に直面し、起業に慎重になるという、合理的な行動が広がったということなのだ。

こうした認識が正しく、今後2%の物価安定と脱デフレが定着する経済正常化が進めば、日本における起業活動は再び正常化するだろう。

1990年代半ばのような経済状況になれば、2012年段階で落ち込んでいる「起業する人の数」は再び20%くらいは増えるだろう。そして、起業で成功する人が増え、それが魅力的な選択であると認識されれば、起業を考える人(起業希望者)も、倍増してもおかしくない。

アベノミクスがもたらすインフレ時代の到来は、日本の起業精神を復活させるのである。なお、この統計は5年に1回しか発表されないため、アベノミクス発動で景気回復が始まった2013年の起業者数の動きは残念ながら把握することができない。5年後が楽しみである。

村上 尚己 :アライアンス・バーンスタイン マーケット・ストラテジスト兼エコノミスト

上の記事は、要約です。詳細をご覧になりたい方はこちらを御覧ください(゚д゚)!

【私の論評】ちょっと待ってくれ、日本で最大の問題はデフレではないのかい?そう思わない、馬鹿な政治家・識者・専門家があまりにも多くないかい(゚д゚)!

上の、村上 尚己氏の記事、まったくこの通りです。あたり前のど真ん中です。とにかく、デフレの最中の起業は、余程のことがない限り控えるというのが、経済合理的な行動です。

しかし、日本では、なぜかこのデフレということを全く忘れたか、存在しないかのごとく、様々な経済問題や社会問題を考える人が多すぎです。特に多くの分野の専門家といわれる人々が、デフレなどなきがごとくに、様々な論議をしています。こういう人たちの頭の構造はどうなっているのか、私は理解できません。

日本は、過去15年間デフレでした。このことを忘れて、あたかもデフレがあたり前、通常の状態であるかのように、それを前提として日本の起業率が低いことを嘆いても意味がなく、まずはデフレ解消が喫緊の課題です。



デフレであることを前提として、起業率の問題を考えるのはもとより、社会福祉、医療、雇用の問題いや、もっと大きく社会問題を考えたとしても、すぐに行き詰まり、閉塞感にさいなまれるのは当然のことです。

そもそも、日本ではデフレがあまりにも長く続いたせいか、デフレを軽く考え、あたかも通常の経済循環の好景気、不景気のうちの不景気くらいに考えてものを語る頭の軽い政治家、識者、専門家といわれる人が多すぎです。

私は、デフレそのものよりも、こういう頭の軽い政治家、識者、専門家が日本にあまりにも多いということのほうが、よほど危険なことだと思います。

デフレ下では、税収の拡大は見込めない


デフレは、正常な景気循環の範疇には収まらないそこから逸脱した異常事態です。デフレは、実体経済の癌です。すぐにでも直さなけれはならないものです。

このことは、このブログでも、何回かタイトルに「ちょっと待ってくれ」というフレーズを入れた、シリーズで掲載してきました。

そのうちで、まずは起業に関係ある記事のURLを以下に掲載します。
従来の説はほとんどウソだった。日本でベンチャー企業が発達しない本当の理由。―【私の論評】ちょっと待ってくれ!!20年もデフレが続いたことを忘れていないかい?デフレは、ベンチャーの最大の敵であることを!!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、ある方が日本のベンチャー企業が発達しない本当の理由を以下のように記述していることを掲載しました。
ベンチャーと大企業との関係でいえば、手塩にかけて作り上げた技術を、ベンチャー企業が大手企業の前でプレゼンテーションするとします。その時に、いつも決まって返ってくる答は「既存技術の価格より安くしてくれないと取引できない」だったのです。大手企業は、技術の価値は認めるものの、それ以上は、踏み込めません。
日本のベンチャー企業は良いモノを作ることはできます。しかし規模が大きくはないため、「安売り競争」には耐えられません。そのために、優秀なベンチャー企業は、幾度も臍(ほぞ)をかんできたのです。
しかし、私はこれに対して、「大手企業の担当者も忸怩(じくじ)たる思いであったと思います。デフレというマクロ環境がすべての企業行動にマイナスの影響を与えていたことを指摘したいだけです」ととして、デフレの最中では、大企業の担当者だって、新たな技術を取り入れるよりは、すでに定評のあるものをより低価格でと考えるのは当然のことであり、問題は大企業のスタンスではなく、デフレであることを強調しました。

その上で、古いタイプの企業から、新興企業への労働力人口の移動の事実にもとづき以下のように掲載しました。
古い企業から新興企業への労働人口の移動があるということは、起業家予備軍も相当いるはずです。今後アベノミクスで、経済がまともになれば、ベンチャー起業も増え、ベンチャキャピタルを活用してくる人も増えてきます。 
そうして、デフレ脱却により、人々の選好がお金からモノに移行するということは、購入する時の判断のウエイトが、モノの値段からモノの機能・価値にシフトするということです。そうなれ ばベンチャー企業が持つ技術力に目が向けられるようになります。彼らは自らの得意分野で「相撲」を取ることができるようになります。 
そうして、デフレ解消は目前です。そうなれば、どんどんベンチャー起業がおこり、ベンチャーもモノの機能・価値を提供しつつ、発展していけるようになります。そんな時代はもう少しで来ます。最近中国の特許件数が伸びているかのような誤った印象操作がありますが、良く調べてみると、中国は特許の出願数が世界一なのであり、特許取得数は未だに日本が世界一です。そんな国日本で、デフレ以外にベンチャー企業が、起業できない、成長できないという理由はないと思います。
ベンチャーの起業が少ないことを大企業が新しい技術を導入しないということを原因とするのは、ミクロ的な見方であり、マクロ的にいえば、大企業がこのような購買傾向になるのは、デフレのせいです。大局的にみれば、大企業の購買傾向を責めても何の解決にもなりません。まずは、デフレを解消しなければなりません。

大企業の購買行動を責めているだけで、デフレを解消しなければ、モグラ叩きに終始するだけで、いつまでたっても、問題は解消されず、閉塞感に苛まされるだけとなります。その果てには、包括的大金融緩和の以前見られた、日本駄目論、日本人駄目論です。

日本がデフレであることを前提として、それが永遠に改善も改革もされないという考えで、物事を考えれば、結論はこうなるしかありません。しかし、それは違うでしょう! 全くの間違えでしょう!

デフレが解消されれば、日本も起業家が増える(゚д゚)!
(社)日本女性起業家支援協会 代表理事 近藤洋子さん

どこかで、水道のパイプに亀裂が入り、水が漏れだしたとして、それに対する対処として、皆で水を汲み出したとしても、根本的な解決にはなりません。まずは、どこかで元栓を止めて、亀裂の入ったバイブを取り替えるべきです。

しかし、ことデフレとなると、多くの政治家、識者、専門家などが、亀裂のはいったパイプを取り替えるのではなく、水を汲み出す方法の論議しかしません。これは、全く異常です。

このデフレ、実は日本国内で10の大きな問題があったとして、デフレを解消すれば、10のうち、6くらいは芋づる式に解消します。残りの4つも、解消飲めどが立つ可能性が高いです。しかし、デフレが解消しなければ、10の問題全部を解消できません。

上では、ベンチャー起業について取り上げましたが、 実は様々な問題の源はデフレです。

その典型的なものは、雇用の問題です。

大企業100社の内部留保99兆円に! “異次元の給与増額”は可能か―【私の論評】ちょっと待ってくれ!!20年もデフレが続いたことを忘れていないかい?デフレは、雇用・給与の最大の敵であることを!!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、デフレであれば、雇用環境が悪くなる、賃金も下がるというのはあたり前のど真ん中です。しかし、日本ではなぜか、雇用問題となると、雇用のミスマッチばかり強調され、企業側の問題点や、学生側の問題点ばかり指摘する専門家などがほとんどで、デフレのことを言う人は少ないです。

日本の以外の国では、雇用の問題となると、中央銀行の金融政策が問題という認識です。しかし、日本では、これがほとんど問題にされてきませんでした。今でも、その傾向があります。雇用というと、金融政策によって雇用枠を増やすことは論議されず、もともとある雇用枠を巡って、その中で企業側や、求職者側の問題などを指摘するにとどまる専門家があまりに多すぎます。

こういう専門家は、専門家ではなくただの馬鹿ではないかと私は思います。雇用問題の専門家と称する馬鹿の皆さんは、大反省すべきです。

デフレが解消されれば、雇用も良くなる(゚д゚)!

これは、起業とか、雇用に限らず他の問題でも同じことです。日本人は、優秀なのに、ことデフレに関しては、未だに正しい認識を持つことができない人々が多いです。この原因は、やはり、デフレを軽く認識する頭の軽い、政治家、識者、専門家が、御託を並べて論議をするというとこが間違えているのだと思います。

だから、デフレ下であるにもかかわらず、財務省主導の増税となどという馬鹿げたことが実施されてしまうのです。

私は、そう思います。皆さんはどう思われますか?

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2013年11月3日日曜日

米中通貨戦争、敗者は中国―【私の論評】中国を敗者に追い込んだのは、米国だけではない!寧ろ日本のほうが大きな役割を果たした!!

米中通貨戦争、敗者は中国

米中通貨戦争の勝者はアメリカ?

米中が通貨戦争で火花を散らしている。人民元切り上げを拒む中国に対して米国がドルの大量増刷で元高誘導を仕掛ける一方、中国は「脱米国化」を唱えて戦後のドル基軸通貨体制を崩そうとの動きを強めている。両国の攻防は先鋭化の一途だが、敗者は中国となるだろう。中国の2008年秋からの異常なまでの公共事業拡大と、米国の量的金融緩和政策(QE)で流入した巨額のドル資金がバブル経済を破裂寸前にまで追い込んでいるからだ。来年から本格化する量的緩和の縮小がその口火を切る可能性が高まっている。

「米国は超大国の地位を乱用して世界を混乱させている。他国の命運をこの偽善国家に委ねる時代を終わらせ、新世界秩序を築くために『脱米国化』を進め、ドルに代わる新たな基軸通貨を設けるべき時だ」

米議会が連邦債務上限引き上げ問題で紛糾していた10月半ば、中国国営通信社、新華社はこんな要旨の英文論評を世界に発信した。

窮地の敵に塩を送った日本の戦国武将とは対照的に、中国は大店のもめ事を利用して米国に取って代わる野心をのぞかせた。

これには「政府が銀行や企業を操り、企業家精神も育たず、独自開発の製品もない中国が世界経済をリードできるわけがない」(米フォーブス誌ネット版)。「3兆6600億ドル(約358兆円)の外貨準備を持つ中国は米国債を買い続けるしかない」(タイム誌ネット版)などと、米メディアの反発も強い。

ホワイトハウスのカーニー大統領報道官は「数百年来、債務を正確に返済してきた米国の信用と原則は揺らがない」とコメントしたが、心穏やかであるわけがない。

だが実は米国がリーマン・ショック後の08年秋から始めたQEがすでに中国をインフレ・バブルの醸成からその崩壊へと、じりじり追い込んでいるのである。

中国政府統計によると、QE開始からこの10月までの5年間に増加した外貨資金は約1兆8千億ドル(約176兆円)にのぼる。米連邦準備制度理事会(FRB)がQE1~2を通じて増刷したドルの約8割に相当する巨資の流入が、中国全土で不動産バブルを膨張させている。

「全国不動産値の総額は国内総生産(GDP)の4倍を超え」(著名経済評論家の牛刀氏)、「日本のバブル時を上回った」との日本側推計もある。

その一方「北京、上海の空室マンションはそれぞれ380万戸、400万戸にのぼり、暴落を恐れる地方政府が土地の供給を絞り、開発業者に高値で落札させることでバブル崩壊を防いでいる」(同)という。

加えて、リーマン・ショック後の経済失速を恐れた胡錦濤前政権の4兆元(約64兆円)景気対策に悪乗りした地方政府の無謀な公共事業が不良債務の山を築き、「総額は20兆元(約320兆円)を超えた」(項懐誠・元財政相)とされる。

さらに鉄鋼、アルミ、造船などの構造不況産業がひしめく企業部門の総債務は「昨年で65兆元(約1040兆円)」(米金融大手モルガン・スタンレー推計)にのぼる。

仮にバブル崩壊が地方財政や国有企業の破綻と相まって、4大国有銀行を直撃する事態になれば国家の重大危機を迎える。

その引き金となりそうなのが、米国の金融緩和縮小から利上げへのプロセスだ。これを機に巨額のドル資金が一斉に本国に還流し始めるのを誰よりも恐れているのは、習近平政権だろう。米国の債務騒動を冷笑している場合ではあるまい。(北京・山本勲)

【私の論評】中国を敗者に追い込んだのは、米国だけではない!寧ろ日本のほうがはるかに大きな役割を果たした!!

上の記事、重要だと思ったので、アーカイブ的な意味あいでも、全文掲載させていただきました。

昨日も、機軸通過の話でしたが、本日もさらにその話を掲載しました。上の記事では米中通貨戦争においては、中国を敗者に追い込んだのが、米国一国のみで日本などは全く念頭にないようですが、結論から言ってしまうと、最近の中国を敗者に追い込んだのは、むしろ日本であり、日本が最大の役割を担ったことは否めないと思います。

確かに、米国がリーマン・ショック後の08年秋から始めたQE(量的緩和)がすでに中国をインフレ・バブルの醸成からその崩壊へと、じりじり追い込んでいるのは事実です。量的緩和によって、中国に巨額のマネーが転がり込んだことは事実です。そうして、これが中国にとって旧体制を温存したまま経済発展を継続することができたということは事実です。

リーマンショック後の日米マネタリーベースの比較

しかし、日本はその前からこれに近いことを実施しています。1987年増税、日銀法の改正により、1988年を境に日本は完璧に国内はデフレ、対外的にはかなりの円高となりました。円高で国内はデフレ、そうして、親中・媚中派の政治家や、マスコミが中国の大躍進をもてはやす中、デフレでなければ、日本国内に向けられたであろう資金が、中国に投資されるようになりました。

固定相場制でしかも、低い元相場と日本の超円高で、国内で生産するよりも、中国で生産して逆輸入したほうが低価格になるという状況になったため、多くの日本製造業などが、中国に進出して日本国内は空洞化しました。そうして、資金や技術が日本から中国に移動しました。

中国を世界第ニの経済大国に押し上げた縁の下の力持ち日銀元総裁白川氏
その後、今年の4月まで、日銀は基本的に金融引き締め策を実施してきたことは、周知の事実です。特に、白川体制では何がなんでも金融引き締めさえやれば、良いというのが実体でした。おかしげな基金を設立して、短期の債権を買い取るなどのことをして、あたかも金融緩和をしているようにみせかけ、実質は金融引きめを続けたというのが真相です。

短期の債権など、もともと現金・預金に近い性格のものであり、結局これを日銀が買い取ったとしても、金融緩和したことにはなりません。しかし、そうまでして、白川は日銀の金融引き締め策を継続し、結局デフレ・円高の守護神となっていました。

日本が統計上誰が見ても否定できないほどのデフレ状況になったのは、1998年からですが、それ以前からデフレ傾向はみられ、デフレ傾向になってからは、20年以上の年月が経過しています。

これが、中国にとっては、アメリカのQEなど金額的にも、期間的に比較しても比較の対象にならないほど資金を日本から調達できたということで、中国の経済発展にかなり寄与しました。

これについては、私はこのブログで、日銀による中国麻薬漬け政策と呼んでいました。その記事のURLを以下に掲載します。
中国は世界で最もストレスの大きい国に―【私の論評】日本の円高・デフレを終わらせ、中国麻薬漬け政策を終わらせ、中国に新社会秩序を打ちたてよ!!
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では、慢性的な円高に苦しんだ日本企業は、過度な「元安」政策をとる中国に生産拠点を移し、出来上がった製品の一部を逆輸入していることを掲載しました。金融緩和する前までの日本は、国内で一貫生産するより、わざわざ中国を経由した方がもうかる構造になっていました。つまり日銀は、「デフレ政策で日本の産業空洞化を促進し、雇用と技術を中国に貢ぎ続けた」ことになていました。そうして、無論、日本企業が中国で生産するために、中国に直接投資をしました。

それに日本国内はデフレですから、どの企業も設備投資を控えていたため、新たな動きもなく、もしデフレでなければ、日本国内に投資されていたはずの投資が、海外に流れました。その結果として、日本国の対外金融資産額(要するに日本が外国に貸しつけているお金)は、昨年度末で、260兆円を超え、これは無論世界一の水準です。これは、昨年度末に限らず、過去20年間世界一でした。これらは、米国やEUにも流れていましたが、当然中国にもかなり流れていました。

衝撃的な中国の麻薬中毒の娼婦の写真。現代中国も現実はこれに近いものがあり崩壊間近。
こういう観点から見ると、日本が20年前から始めた日銀による円高・デフレ政策がすでに中国をインフレ・バブルの醸成からその崩壊へと、じりじり追い込んでいたということであり、この事実を私は日銀による中国麻薬漬け政策と呼んだことです。

それにもう一つはっきりしているのは、アメリカのQE(金融緩和策)はまだ終焉していませんが、日本ではすでに、日銀人事を通じて、金融引き締めから金融緩和に転じています。日銀黒田総裁が、すでに今年の4月より、異次元の包括的金融政策を開始しています。

黒田バズーカといわれる、異次元の包括的金融緩和を実施した日銀黒田総裁

その結果、わずか2~3ヶ月ほどして、中国の経済は大混乱となりました。日本は、すでに中国をインフレ・バブルの崩壊へと、じりじり追い込んでいるということです。これに対して、アメリカQEの取りやめはまだ、行っていません。

中国敗退の道筋をつけたのは、日本であり、アメリカのQE中止は、すでに日本が道筋をつけた中国敗退のシナリオに最後の追い討ちをかけるだけものです。

日本の円高・デフレ政策は、日本の富を中国に移転したということです。日本では、日本ダメ論などが蔓延していますが、日本が、本質的に経済的に豊な国でなければ、このようなことは起こりえません。これがなければ、中国の経済成長もままならず、中国は2010年の段階で、世界第二の経済大国になったなどと、豪語ばできなかったでしょう。

実際は中国の統計は出鱈目なので、その当時も、現在でも、世界第二の大国にはなっていません。しかし、出鱈目でもあまりかけ離れていれば、世界第二経済大国などとは吹聴できないですが、日本の圧倒的な支援があったがために、彼らは自信を持って世界第二の経済大国になったと世界に向かって公表することができました。その当時は、今は出鱈目でも、あと数年もすれば真実になると心底思っていたことでしょう。

人間も国も健康が一番。中国は、社会構造改革でまともになる必要がある!

このようなことから、米中通貨戦争に米国が勝利したのは、米国によるものではなく、日本のほうがはるかに大きな役割を果たしたということがいえます。

そうして、この結果に導いた日銀元白川総裁は、このようなことは全く意識していませんでした。おそらく、彼の頭では、中国に良かれと思ってしたことなのでしょうが、あまりに長い間続ければ、それが当たり前となり、これがまるで麻薬漬けのような効果を奏し、中国をおごり高ぶらせ、その当たり前の結果がバブル崩壊です。皮肉なものです。

そうして、アメリカ側のQEも、何も中国との通貨戦争勝利のために行ったものではありません。あくまで、国内の景気問題や、雇用問題に対処する目的で行ったものです。QEの継続は、中国などとは全く関係なく、自国の雇用情勢がある水準以上になるまで継続するというものです。

そもそも、通貨戦争など本来あまり成り立ちにくいものです。ある国がどこまでも金融緩和を続ければ、確かに当面の通貨戦争には勝つかもしれませんが、そのまま続けていれば、国内がインフレになってしまいます。それでも続けていれば、ハイパーインフレになってしまいます。そうなれば、金融緩和策はやめざるを得なくなります。こういうことから、通貨戦争をやり続けることは現実には無理です。

かつての日銀による、中国支援策、アメリカによる国内経済対策によるQEが期せずして、中国をインフレ・バブルの醸成からその崩壊へと、じりじり追い込んでいるのです。アメリカのQEのとりやめ、もしくは、日本のデフレからの脱却のいずれかが、中国のバブル大崩壊の最後の駄目押しとなることでしょう。これは、どちらが早くても・遅くてもこれから中国で確実に起こることです。

中国がまともになるためには、海外からの大量の資金をあてにするだけではなく、かつての日本が数十年で、西欧が数百年かけて実施したような社会構造改革が必須です。具体的には、まずは民主化、政治と経済の分離、法治国家化が必要不可欠です。

女性の体も出ているところは出ている引っ込んでいるとこ引っ込んでいなければ美しくはない。国も同じである。
最低限民主化、経済と政治の分離、法治国家化等がある程度実践されていなければ美しい国とはなり得ない。

これを実施し、中間層を育ててこれからの人々が富裕層から比較すると規模は小さいものの、数の多いこれらの層が、経済・社会活動を行うことによって、国を栄えさせるという体制を構築することが必須です。今のままでは、どうにもなりません。どんどん衰えていくだけです。

そもそも、比較的安定した米ドルがあるこの世界で、中国の元が世界の基軸通貨になるなど考えられません。元を取引に用いる国とは、その国の貨幣がよほど信用力のないところしかありません。元基軸通貨構想も、いくつもある中国の妄想の典型的な一つでもあります。妄想は現実ではありません。中国政府はこの事実にはやく気づいていただきたいものです。いつまでも気づかなければ、いずれ必ず中国は分裂します。それは過去の離合、分散の中国の歴史が雄弁に物語っています。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2013年8月6日火曜日

消費増税に言及したがらない安倍首相 財政再建には黄信号が点灯―【私の論評】今の日本で、増税しないととんでもないことになるという言説はすべてまやかしで問題外!そんなことを主張する輩は全員ど変態だ(゚д゚)!

消費増税に言及したがらない安倍首相 財政再建には黄信号が点灯

町田 徹

永田町・霞が関で、国際公約である日本の財政再建の行方に黄色信号が点滅し始めた。
 内閣府が今月2日、経済財政諮問会議に諮った「中期財政計画」で、財政再建に不可欠な消費増税について、実施すると明記せず「経済状況等を総合的に勘案して判断する」と表現するにとどめたうえ、各省庁が今月末に提出する2014年度予算の概算要求も消費増税がない前提で行うように内々の指示が出されているというのだ。

 背景にあるのは、安倍晋三首相が消費増税反対を唱えるリフレ派の重用を続ける一方で、自身は昨年8月に可決・成立した「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律案」(消費増税法案)を予定通り実施するかどうかについて頑なに沈黙を守っていることだ。

決められない事態に陥った安倍首相

 参院選で絶対安定多数を獲得して「ねじれの解消」に成功、「決められる政治」を標榜したはずの安倍首相が、早くも「決められない」事態になっている。

 納税者の誰もが、復興増税を強いて集めた予算が復興に活かされず剰余金となっている状況や、消費増税を円滑に進めるには財政支出による経済のテコ入れが不可欠だという屁理屈でばら撒きが続いている状況に苛立ちを感じていることだろう。

 このまま消費増税が実現しても有効に使われるかどうか懐疑的にならざるを得ない状況だ。
 しかし、それでも、2015年度にプライマリーバランス(基礎的財政収支)の赤字を半減し、2020年度に黒字化するという財政再建の中期目標は、国際公約だ。消費増税法案も、昨年、当時野党の自民、公明両党と与党の民主党の3党合意に基づいて、国会で可決・成立したものである。

執筆:町田 徹         このニュースの続きはこちらから(゚д゚)!

【私の論評】今の日本で増税しないととんでもないことになるという言説は、すべてまやかしであることがすでに完璧に論破されているこれからも論破される!!

町田徹、またおかしげなことを掲載しています。安倍総裁に対する批判もおかしいです。安倍総裁は、元々秋に決定すると言っていました。今は8月で、まだ秋ではありません。町田は、夏と秋の区別もつかないようです。町田徹の変態ぶりは、このブログでも以前紹介しました。その記事のURLを以下に掲載します。
官邸周辺でくすぶる「消費税増税延期論議」!参院選に向けた「人気取り策」の代償はいかに?―【私の論評】 次の決戦は、増税阻止!!増税延期はメリットだけでデメリットなし!馬鹿の言動に騙されるな!!惑わされるな!!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この方何が何でも増税を推進して、日本をまたデフレスパイラルの泥沼に落としこみたいと考えているようです。参院選では、この記事のように消費税はほとんど争点になりませんでした。それよりも、アベノミクスの第一段である、金融緩和が国民に信任されるという結果でした。

この型、マクロ経済学では、景気が悪い時、それもデフレのときには、積極財政をやるべきという理論を完全に無視して、どこまでも増税しようと躍起です。昨日は、増税の3党合意から、民主党が抜けたので、かなり危機感を感じて本日の上の記事を掲載したのだと思います。もう民主党が抜けたのですから、3党合意をもって、増税阻止をするなどという理屈も通らなくなったと思います。


最近、増税しないと○○でヤバイことになるという、変態町田と同じことを言うど変態どもが増えています。はっきりいいます、この論はすべて間違いです。

まずは、この町田が語っている、財政再建のための増税というのは真っ赤な嘘です。これは、先日の経済財政白書の瑕疵について掲載したときに十分に説明しました。その記事のURLを掲載します。
【メディアの嘘を見抜け】酷すぎ、今年の経済白書はバカか工作員の未来日記なのか―【私の論評】マスコミがその巣窟になつている現在、せめて役所それも内閣府だけは馬鹿とスパイはお断りにしていただきたい!
詳細は、この記事をご覧いただくものとて、EUでは、景気が悪くて財政赤字だから、その赤字を解消するちために最近増税したイギリス、スペイン、イタリア、ポルトガルの国々はことごとく、失敗して景気が落ち込み、税収が減り、財政赤字の解消の目処はたっていません。日本過去の増税では、結局増税しても、消費税収は増えても、所得税、法人税が大幅に減り、結局税収全体では、増税前よりも大幅に減少しています。その結果財政赤字がさらに増えています。


イギリスでは、増税して税収が大幅に減り、財政赤字の削減もままならない

こんなに明らかなのに、財政赤字を減らすため、増税するなどと主張するのは、明らかにおかしいです。町田は、瑕疵のある経済白書しか読んでいないのでしょうか。そうだとしたら、明らかにバランスを欠いています。

町田は、このようなおかしな論拠で、主張していますから、この記事はほんど読むに値しないです。だから、私自身も、この記事最初2ページを読んで読む価値がないと判断して、そこから先は読みませんでした。

町田は、「増税しないと、財政赤字が増えるからヤバイ」としか言っていないようですが、「増税しない○○だから、ヤバイ」という論調は他にもあります。

週刊誌のトンデモ記事

その典型的なものは、「増税しないと国債が暴落する」というものです。この言説も非常に変です。もともと、日本の国債は、他国とは違いそのほとんどが日本国内の機関投資家や個人が全部円建てで購入しているものですから、もともと暴落などしにくいのです。

どういうことかといえば、たとえ日本政府の信用が凋落しても、日本銀行が金融市場の国債を「買い占める」と、銀行は手元の日本円を政府に貸し出さざるを得ません。すなわち、日本国債が買われることになり、国債金利は低下します。

というわけで、日本政府が過去に発行した国債が100%日本円建てであり、かつ「子会社」の日本銀行が国債を買い入れることができるため、我が国は「政府の財政破綻」「政府の債務不履行」に陥りたくても陥れないのです。

国民の安全や生命を守るインフラ防災などの公共投資の財源を、日本銀行の建設国債買入に求めている安倍自民党の政策は、現在の日本に適したソリューションです。ただ、日本銀行の国債買入に代償が一つもないわけではない。それは、インフレ率の上昇です。でも、良く考えてみて下さい、今はデフレで、金融緩和をしてインフレ傾向にしようとしているわけですが、インフレ率の向上は、願ったりかなったりで、何も障害になりません。

このほかにも、「増税しないと〇〇になる」という脅しが世の中に蔓延しています。しかし、これらにも合理性は全くありません。

たとえば、「消費増税しないと国際公約違反になる」という話もありますが、政府の国際会議での発言をよく聞けば、無条件で消費増税するというわけではなく「景気回復などの環境が整えば」といっています。今年の秋に環境が整わず増税しないといっても、何の問題もありません。

「増税しないと社会保障ができなくなる」も怪しいです。過去の増税ではことごとく税収が減っているわけですから、今回ももし増税ししまえば、税収が減るわけです、今よりも税収が減ればますます社会保障ができなくなります。そんなことよりも、金融緩和をして、増税を見送り、積極財政をしたほうが、はるかに税収が増え、社会保障がやりやすくなるはずです。

すでにそのような予兆が出ていることは、このブログでも以前掲載したことがあります。そのブログのURLを以下に掲載します。
厚労相「年金に大変な運用益」 アベノミクス効果―【私の論評】デフレを前提としてものごとを考えることはもうやめにしませんか?!!もうルールが変わっていますよ!!インフレルールで動かなければ、おいてきぼり喰いますよ!!
私は、前から、年金は民間の日本生命のような大手金融機関により、運用されていることを知っていましたから、デフレのままででは運用益が出るはずもなく、デフレを前提で年金問題や、社会保障を考えるのは、おかしいと思っていました。この運用益は、今年の1月~3月期のことですから、これが、本格的に景気が回復すれば、どれほど運用益が出るのかは想像もつきません。このようなことを無視して異常なデフレの状況を当たり前として、社会保障も考えられないと思います。

だんだん面積が小さくなる水着。デフレのときは税金もそうあって欲しい(゚д゚)!

ましてや、デフレの最中に増税してしまえば、元も子もなくなります。問題外です。やるなら、増税ではなく減税です。

とにかく、町田をはじめとする、「増税すると○○だからヤバイ」という言説は、すべて間違いであり、まやかしです。

本日は、町田の説も含めて、4つ「増税すると○○だからヤバイ」という言説がすべて間違いであることを論破しました。私は、こういう言説に関しては、この4タイプしかしりません。他にも、あれば、ぜひ教えていただきたいです。そういう説も、このブログに掲載して論破したいです。私ができなくても、知っている経済学者などに聞けば、おそらく完璧に論破できると思います。そういう説がありましたら、ぜひお知らせ下さい。よろしくお願いします。

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民主、3党協議離脱を決定 社会保障制度改革―【私の論評】とうとう本決まり民主増税3党合意正式に離脱、本日は日本に神風が再び吹いた日か(゚д゚)!

消費税増税すれば「ショックはかつての比ではない」 浜田宏一氏が経団連で講演―【私の論評】三党合意したからなどとして、増税などすべきではない、すればすぐに株価も落ち、円高となり、若者雇用も悪化し大失敗はすぐ明らかになる(゚д゚)!

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2013年3月4日月曜日

インフレで給料があがるのはどの産業か?―【私の論評】インフレで給料があがることを全否定する輩には、「ノー」を突きつけよう!!

インフレで給料があがるのはどの産業か?

安倍総理の金融緩和策に疑問を呈する人も多い


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[ 高橋洋一「ニュースの深層」 ]
インフレで給料があがるのはどの産業か? 
[高橋 洋一]
アベノミスク、特にインフレ目標をいろいろな人に話していると、若い人がきょとんとしていることがある。筆者が社会人になったのは1980年だが、その年より後の生まれた人だ


【私の論評】インフレで給料があがることを全否定する輩には、「ノー」を突きつけよう!!

詳細は、上の記事をご覧いただくものとして、結論としては、千差万別とはいいながら、だいたい以下のような傾向がみられるということです。
 要するに、雇用形態で見ればフルタイムよりパートタイム、業種で見れば鉱業、建設業、運輸業、卸売・小売業が相対的に賃金の上昇スピードが高いだろう。労働集約的な業界が並ぶ。

大手コンビニチェーンのローソンが平均3%の賃上げを表明して話題になっているが、先をみれば合理的な発言だ。人手不足なってからでは遅いので、今から手を打っていると考えたほうがいい。なお、もちろん、同じ業界でも企業によって千差万別であることはいうまでもない。
デフレのときの常識は、パートタイムの派遣社員などが低賃金ということですが、インフレのときで景気が良いときには、まずは、これらの人たちからあがるということです。パートタイムですから、他にも働き口が多くできれば、少しでも賃金が良ければ、そちらに移る人も増えるため、企業側でも、人を確保するためますば、フルタイムではなく、パートタイムの給料をあげるということです。

なんとなく、常識的に考えれば理解できます。ただし、これは、私たちのようなある程度の年齢以上の人なら理解できますが、なにしろ20年以上もデフレが続いてきたので、20歳台の若者にはなかなか理解できないことだと思います。

これは、 以下のような、CPI(消費者物価し指数)と、給与上昇率との関係を示す以下のグラフみると良く理解できることです。


なお、賃金に関しては、下の記事もわかりやすいです。何しろ、20年もデフレで、同一職場で、同一技能の同一の仕事をやっていれば、賃金は下がる、ある程度年齢がいくと、役職を解かれて平社員になりかなり下がるというような状況がかなり続いていたので、ある程度年齢がいった人でも、賃金があがるということが理科出来ない、わからなくなっている人もいるくらいですから、にわかに信じられない人も多いのは当然のことと思います。、

アベノミクスで給料は本当に上がるのか

こうしたことを目指すアベノミックスには、賃金が上がる前に、物価が上がったらどうするのだという非判もありますが、たとえそのようなことになったとしても、いずれ賃金はあがります。そんなバカなという人もいるかもしれませんが、インフレになったらどういうことになるかという人間心理を理解すれば、簡単に理解できます。

緩やかなインフレは経済にとって良いこと
現在あなたがどうしても欲しいものがあったとします。賃金が上がらす、インフレで物価だけが上がっていったとします。半年後になれば、さらに上がると予想された場合、どのような行動をとりますか。やはり、どうしても欲しくて、半年後とか、さらに後に購入すれば、価格が上がり続けるということになれば、どうするでしょう。どうしても欲しければ、さっさと買ってしまうか、極端なことをいえば、借金をしてでも買ってしまうかもしれません。


インフレと、こんなことがあなた自身にも、あなたの以外の多くのひとにも、ありとあらゆる多くの商品・製品でおこるということです。インフレが進めば、モノだけではなく、土地や、建物などでもそういうことがおきます。では、土地や、建物がどうしても欲しい人はどうするかといえば、値上する前にさっさと買ってしまえということになります。

デフレに良いことはひとつもない


インフレになるといは、そういうことです。そうなると、物価が上がっても、すぐに給料が上がらなかったにしても、インフレでないときよりは人々は消費を活発化させます。消費が活発化すれば、企業も売上があがり、そうなると、給料も上がるというわけです。

だから、多少タイムラグがあったにしても、いずれ賃金はあがっていきます。しかし、物価が上がっても、賃金はすぐにあがらないからといって、インフレ政策を最初からやらなかった場合はどうなるかといえば、賃金は永遠に上がらず、デフレのままということになります。

こんなことから、デフレのときに、少しの間給料があがらなくても、インフレ政策をとって物価を上がり気味にすることが正しい金融政策です。

大竹まことさん

インフレになっても、デフレのままの考えでインフレ政策に反対する人も結構います。このようなことを言う人が、政治家の中や、有名人や、結構社会的地位が高い人もいることには驚きます。本日もテレビタックルで、大竹まことさんが、まさしくこのことを言っていました。しかし、上記で説明したように、大竹さんの「物価が上がるだけで、賃金があがらないかったらどうする」という考えで、インフレ政策をしなければ、賃金はいつまでたっても上がることもなく、デフレから脱却できなくなります。

それにしても、大竹さんあたりは、ただ疑問をぶつけていだけですから、そんなに害はないですし、上記のような説明をしてあげれば、すぐに理解すると思います。

しかし、そうではない人も大勢います。上では、デフレからインフレに変わるときの事例ですが、インフレから、デフレに変わるときにも、そのような人々が大勢いました。それは、バブル崩壊後、デフレに突入しても、デフレに突入したとは、にわかに理解できずに、すぐに戻るとか、またまだ、インフレで給料は上がり続けると信じ込んでいた人々が大勢いました。

そのわかりやすい事例が、あのジュリアナ東京で す。あのバブルの象徴のように言われるジュリアナ東京は実は、バブル崩壊後の1991年5月15日に総合商社・日商岩井(当時)とイギリスのレジャー企 業・ウェンブリーの共同出資により設立され、同年5月31日にオープンしました。正式名称は「JULIANA'S TOKYO British discotheque in 芝浦」。所在地は東京都港区芝浦1-13-10。総面積は1200m²で、最大3,000人以上を収容できる規模だった。ワンレン・ボディコンの女性が集 まり人気を集めました。

ジュリアナ東京に集う人々(以下同じ)

私は、バブル崩壊後にこのような店ができたことに、違和感を覚えましたが、一度だけ実際に足を運んだことがあります。あの熱狂には、正直いってひきました。「この人たち、もうバブルが崩壊したというのに、どうなっているのだろう」と不思議に思いました。案の定それから、2年くらいしてから閉店しました。

これらに集っていた人の大半は、バブルが崩壊したなどとは思っていなかったです。株や土地の売買を、それもかなり手広くやっていた人などは、崩壊するとすぐに影響を受けたので、理解していいたでしょうが、普通に会社に勤めている人とか、商売をやっていた人たちは、バブルが崩壊したからといって、すぐに給料が下がったり、会社が潰れたり、賃金カットされたりはしないので、気付かなったのです。

バブル崩壊のように、インフレからデフレになり、過熱気味の景気から、停滞気味の景気になったり、その逆に、デフレからインフレ政策に転じてこれから景気が良くなるときの過程の期間など、理解できないとか、理解しない人が結構多いのです。多くの人が周知するのは、数年たってから、実感して、「あああの時ばバブルが崩壊していたんだ」とか、「あああのときにデフレは終息」していたんだと理解する人が多いです。

ものごとには、どんなことでも、ある程度タイムラグがあるということを意外と多くの人が理解できないことが多いのです。株価が上がって2秒後にコンビニの時給が上がらないと格差拡大などと、極端な反応は、慎むべきと思います。そういう人は、、経済はそんなに単純じゃないということを理解すべきです。

それにしても、上記のように小学生でも理解できるような理屈を理解しないどころか、異常としかいえないような反応を示す人々もいます。

それは、リベラル21というサイトに掲載されていた、盛田常夫 (在ブダペスト、経済学者)  という人が書いた「政治経済コラム」です。

盛田常夫

この内容、安倍首相の金融緩和政策の、完全否定です。ようするに、上で示した、小学生にもわかるような理屈の全否定です。

これから、比較すると、大竹さんや、ジュリアナ東京に集っていた人たちなどかわいいものですし、罪がないです。

このリベラル21の記事、全く、リベラルではありません。新自由主義的な内容そのものです。これでは、完璧に日本を滅ぼすための指令文書のようです。貨幣現象であることがはっきりしている、デフレの原因は少子化と実体経済であると断じています。デフレの原因が人口減というのなら、古代から近代まで、日本はインフレ続きで、ただの一度もデフレに陥ったてことはないことになります。そんなバカな話があるはずはありません。まるで世迷い事の異常な文書です。

くれぐれも、このような文書に扇動されたり、騙されたりするべきではありません。しかし、ここまで酷くなくても、近いようなことを言って、人々を惑わす輩これからも、出没すると思います。こんな連中には、惑わされるべきではありません。私はそう思います。皆さんは、どう思われますか?

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