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2020年8月18日火曜日

米トランプ政権の対中強硬路線―【私の論評】ポンペオ長官の楔は中共を震撼させ、北戴河会議で異変が(゚д゚)!

米トランプ政権の対中強硬路線

アジア太平洋交流学会会長 澁谷 司

昨年10月、ペンス米副大統領が、対中政策転換を示唆する演説を行った。それは、あたかも「現代版ハル・ノート」のようであった。

だが、今年7月、ポンペイオ米国務長官が習近平主席を名指しで非難する演説を行った。今、思えば、今度のポンペイオ長官の演説の方が、より「現代版ハル・ノート」に近いのかもしれない。


おそらく、米トランプ政権は、いつでも対中戦争を始められる準備をしているのではないか。よく知られているように、目下、米国の世論調査では、民主党のバイデン候補がトランプ大統領をリードしている。しかし、仮に、米軍が東シナ海・南シナ海で中国軍と開戦して勝利すれば、11月の大統領選挙でトランプ大統領の再選される可能性が高まるだろう。

一部の論者が指摘しているように、確かに、現在置かれている中国の状況は、戦前の大日本帝国のそれに似ているかもしれない。(ロシアや朝鮮半島を除き)中国は四面楚歌の状態である。

けれども、今の中国と昔の日本との最大の違いは、戦争のできる態勢にあるか否かではないか。現在、中国は、表向き「戦狼外交」を展開している。だが、それは国内の矛盾を隠すため、海外に強気な姿勢を見せているに過ぎないのではないだろうか。

1)経済の悪化、(2)「新型コロナ」の第2波・第3波の襲来、(3)長江・黄河流域の洪水(特に、前者の場合、三峡ダムを死守するために上下流の堤防を決壊させている)、(4)蝗害等、中国共産党が対米戦争を遂行するに当たっての障害には枚挙にいとまがない。

かつての大日本帝国は、戦争も辞さない「強硬派」と戦争を回避しようとする「融和派」に分かれていた。しかし、一旦、「大東亜戦争」が始まったら、国内は一致団結した。

だが、今日の中国は「習近平派」と「反習近平派」に分かれ、激しい党内闘争を行っている。例えば、今年の夏、非公式の北戴河会議が開催された。だが、その期間が非常に短かったのである(中国共産党ナンバー3の栗戦書<全国人民代表大会常務委員長>がすでに北京へ戻ったという情報もある)。

こんな状況下で、中国共産党が対米開戦に踏み切れるのか、甚だ疑問である。

さて、最近、トランプ政権は具体的にどんな対中強硬政策(「ウイグル人権法」及び「香港国家安全維持法」への報復措置を含む)を採ってきたのか、主な政策を列挙してみよう。
ファーウェイ(華為技術)と関連企業114社への輸出管理を強化した。 
米国人にファーウェイ(華為技術)の使用を禁じている(規制はTikTokやWeChatまで及ぶ)。 
米国では「クリーン・ネットワーク計画」と呼ばれる取り組みを拡充し、通信分野での中国企業を排除した。 
テキサス州ヒューストンの中国総領事館を閉鎖した。 
中国人記者に対し、駐米ビザの延長を厳格にする。 
米国への中国人留学生を厳しく規制する。 
中国高官の米国資産を凍結する。 
中国高官の米国へのビザ発給を厳格化する。 
米国は西太平洋に、2つ、ないしは、3つの空母打撃群を展開させた。トランプ政権は、いつでも中国軍を迎え撃つ準備が整っている。 
米政府は、台湾との関係強化、および台湾の国際的地位向上を目指し、今年8月9日、アレックス・アザール厚生長官を同国へ送り込んだ(2014年、マッカーシー環境保護局長官以来、6年ぶりの閣僚訪台となる)。 
米国上院は、2021年度「国防権限法(NDAA 2021)」を可決した。その中で、台湾を環太平洋軍事演習(リムパック)に招請することが提案された。
その他、トランプ政権の意向を受けてか、米戦略国際問題研究所(CSIS)は、日本の「親中派」の代表、自民党の二階俊博幹事長や今井尚哉首相補佐官を名指しして非難した。米国が日中間の緊密な関係を憂慮している証左ではないか。

ところで、米『ワシントン・タイムズ』紙は、今年6月15日付で、余茂春(Miles Yu、マイルズ・ユー)米海軍兵学校(USNA)教授との独占インタビュー記事を掲載した。

実は、余茂春は、ポンペイオ国務長官のアドバイザーであり、トランプ政権で対中政策を担う重要人物である。余は、重慶市で生まれ育ち、「文化大革命」を経験した。1979年に南開大学歴史学部に入学している。1983年、余茂春は同大学を卒業後、渡米し、1985年にペンシルバニア州のスワースモア大学(Swarthmore College)に入学した。そして、1994年、カリフォルニア大学バークレー校で歴史学博士号を取得した。

その後、余は、米海軍兵学校で近代中国と軍事史の教鞭を執る。現在、余茂春の教え子の中に、米国防省や国務省で要職についた人が少なくないという。

澁谷 司(しぶや つかさ)
1953年、東京生まれ。東京外国語大学中国語学科卒。元拓殖大学海外事情研究所教授。専門は、現代中国政治、中台関係論、東アジア国際関係論。主な著書に『戦略を持たない日本』『中国高官が祖国を捨てる日』(経済界)、『2017年から始まる!「砂上の中華帝国」大崩壊』(電波社)等。

【私の論評】ポンペオ長官の楔は中共を震撼させ、北戴河会議で異変が(゚д゚)!

ポンペオ氏の今回の演説は、まさにハル・ノートのようなものです。

    「ハル・ノート」(1ページ)
    (外務省外交史料館提供)
昭和16年(1941年)11月27日(木)6:45から8:45にかけて(米時間 26日 16:45から18:45にかけて)、野村吉三郎駐アメリカ大使と来栖三郎特命全権大使は、ハル米国務長官と会談します。ここでハルは「乙案」の拒否を示す「ハル・ノート」を提示しました。これによって、「乙案」を最終案とする第7回御前会議以来の日本の交渉は破綻しました。

今年の北戴河会議は、2年前と較べても、さらに強烈なアメリカ発の「津波」が押し寄せている中で開かれました。米国と対決するのか、妥協を図るのか。21世紀前半の中国の命運を左右する「大英断」を、習近平政権は迫られたのです。

日本でたとえるなら、太平洋戦争を決断した1941年(昭和16年)の御前会議のようなものです(無論実体は全く違います、あくまで単なるたとえです)。

御前会議

 習近平総書記は、2018年3月に国家主席の任期を撤廃し、「半永久政権」の道筋をつけました。来年7月に控えた中国共産党創建100周年で、「過去4000年でどの皇帝や王も成し得なかった貧困撲滅の達成」を宣言する予定です。 

その功績を掲げて、2022年秋の第20回中国共産党大会で、総書記再任を決めます。続いて、2023年3月の全国人民代表大会で国家主席を再任させるのです。これが習近平総書記が狙う半永久政権構想と思われます。 

ところが今回、米国はそこに大きな楔(くさび)を打ち込んでのです。「トップを替え、国家体制を替えなければ、戦争も辞さない」というわけです。

こうしたポンペオ氏の演説の直後に、北戴河会議は開催されたのです。この楔は相当に効いたようです。

国営新華社通信電子版は8月14日、中国共産党機関紙・人民日報の評論記事を転載しました。記事は「なぜ人民軍隊に対する党の絶対的な指導制度を揺るがしてはならないのか(中国語は、党対人民軍隊的絶対領導制度為何動揺不得?)」とのタイトルがつけられ、中国共産党による軍の支配権について持論を展開しました。

同記事は終始、中国の軍は共産党の軍であると主張しました。

「国家は、階級の矛盾による調和不可能の産物である。軍隊は階級統治の暴力的ツールだ。(中略)国家政権を奪取し、政権を強化していくにはまず、軍を掌握しなければならない」

「政権を奪取するため、必ず強い武装力量(軍)を持たなければならない。(政権奪取で)勝利した後、武装力量を借りて…自らの統治を維持していくべきだ」

「この軍隊は最初から最後まで、党の指示に従う。いかなる人がいかなる方法で、軍を党から離脱させようとしても、失敗に終わるだろう」

「(文化大革命の)四人組は常に軍権の掌握を狙っていた。しかし、軍は彼らの指令に従わなかった。四人組が失脚した際、軍権の掌握ができなかったと嘆いた」

中国国民にとって、人民解放軍が共産党の支配下にあることは言うに及ばないことである。北戴河会議の開催中に、官製メディアが軍権掌握に関する記事を発表したのは意味深長で、党内で軍権をめぐる激しい論争、または争奪戦が勃発した可能性があると推測できます。中国共産党の歴代最高指導者が自らの権力基盤を強固にするには、軍権の掌握を必須条件としてきたからです。

記事の中では、「(軍に対する)最高領導権と指揮権は、党中央にある。(中略)軍事委員会主席の責任制度を貫徹し、(軍の)すべての行動について、党中央、中央軍事員会および習近平主席の指揮に従うことを確実に守っていく」との内容があります。

この内容から、北戴河会議において、一部の人物が中央軍事委員会主席を務める習近平氏に異議を唱えたとみられます。または、軍への指導権を分権化すべきだという意見もあったと見て取れます。

しかし、習近平氏らはこれらの意見をすべて却下したようです。「絶対的な領導制度というのは、『絶対的な』要求に達するということだ。(中略)これは手抜きしてはいけないうえ、議論の余地もないということだ。いわゆる『絶対』とは、…唯一性、徹底的にかつ無条件に行うことを意味する。全軍の絶対的な忠誠心、絶対的な純粋さ、絶対に信頼できることを守っていく」

この記事は一部の内容にも関わらず、文脈から軍権をめぐって、会議中に習派閥とその反対勢力の間に生じた張りつめた気配が強く感じとれます。

さらに、記事が示唆した他の内情も多くあります。

例えば、「敵対勢力は、『軍の非党化、非政治化』と『軍隊の国家化』を大々的に宣伝しており、(中略)軍隊を党から分離させようとしている」

「いわゆる『政治的遺伝子組み換え』を行い、軍の『色』を変えようとする狙いがある。その下心ははっきりしている」

「『軍の非党化』という主張を持つ人は、西側国家の軍と政党の関係性の表面しか見ていない。政権を担う政党が変わる時、軍の指導権は資産階級の『左手』から『右手』に変わったに過ぎない」

これには、多少説明を要するかもしれません。中国人民解放軍は他国にみられるような軍隊ではありません。国に所属するのではなく、共産党に所属する共産党の私兵であり、さらに驚いたことには、様々な事業を展開する日本で言えば総合商社のような存在でもあるのです。いわば、武装した総合商社のような存在なのです。

「いわゆる『軍の非政治化』は、軍が政治問題に介入しないことを指すが、これも実際には、資産階級の嘘のスローガンである」などがあります。

これらの情報から、北戴河会議の一部の出席者が、人民解放軍を党の軍隊ではなく、国の軍隊にすべきだという異例の声があったことが読み取れます。しかしながら、党の指導者に軍への支配を放棄させることは、権力を放棄させることを意味します。党の最高指導者はこのような声を絶対に容認できません。習陣営は、この記事を通じて強く反論したのでしょう。

人民解放軍の実体は、中共の私兵である同時に、様々な事業を行う武装した総合商社である

党内の激しい対立を露呈したこの記事は、まもなく新華社通信電子版から取り下げられました。いずれにせよ、人民解放軍の所在は中国共産党の根幹にかかわる大問題です。ポンペオ長官の楔は相当に中共を揺るがしたとみるべきです。

中国共産党幹部は、厳しい選択を迫られているようです。習近平に従い続け、いずれ米国などにある個人資産を凍結されてしまい、家族がいる米国などに入国できなるどころか家族が米国から追い出されることを許容するのか、さらには米国による対中国冷戦により、経済が落ち込むだけではなく、あらゆる面で生活そのものが制約されるようになることを許容し続けるのか。

あるいは、習近平を失脚に追い込み、米国に親和的な体制に戻すのか?ただ一ついえることがあります。米国としては、まず習近平を失脚させることがすべての前提条件のようですが、その後に中共が根本的に体制を改めなければ、冷戦を継続するでしょう。

いずれにしても、中共幹部は、厳しい選択を迫られているのです。

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2018年10月8日月曜日

米トランプ政権、「人権問題」で中国制裁検討 貿易・軍事に続く「第3の矢」ウイグル問題 石平氏「習近平は全人類の敵になりかねない」―【私の論評】悪魔中共は全人類の敵、この地上から葬り去れ(゚д゚)!


 ドナルド・トランプ米政権が、中国に「人権問題」で圧力をかけようとしている。新疆ウイグル自治区で、イスラム教徒の少数民族ウイグル族が弾圧されている問題で、制裁を検討しているのだ。覇権を強める習近平政権を「安全保障上の脅威」とみなす米国は、対中貿易戦争に突入し、軍事面でも牽制(けんせい)を続けている。人権問題という「第3の矢」を放ち、中国を窮地に追い詰めようとしている。

 注目のニュースは、ロイター通信が2日報じた。

 ウィルバー・ロス商務長官が、共和党議員に宛てた書簡で、米政府として近く、中国当局による住民監視や多数のウイグル族が入れられた「再教育収容所」の運営に、使われる恐れのある米国の技術の移転を制限すると伝えたと報じたのだ。

ウィルバー・ロス商務長官

 ウイグル族の弾圧については、共和党のマルコ・ルビオ上院議員らが問題視し、トランプ政権に「制裁の実施」を求めてきた。ロス氏は、ルビオ氏らへの書簡で、数週間以内に輸出管理規則(EAR)を改定し、弾圧に関連する技術の導入に関わる企業や個人の取引を制限することを検討していることを明らかにした。

 新疆ウイグル自治区では、今も深刻な人権侵害が続いている。

 米政府系「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」は2日、20万~30万人のウイグル族ら少数民族住民が、強制的に自治区外などに移動させられていると伝えた。

 報道によると、当局は9月26日以降、拘束したウイグル族らを列車やバスで自治区北部に、北部の少数民族を隣接する甘粛省に移動させているという。RFAに対し、関係者は、強制移動の理由として、収容施設の不足のほか、「収容所の職員のなかには拘束者と近い関係にある者もいる。彼らが外に情報を漏らしている」と話した。

 中国によるウイグル民族への人権侵害について、評論家の石平氏は「一部のウイグル人に限定したものではなく、ウイグル民族全体に人権侵害が行われている。100万人単位もの人々が、再教育のための収容所に入れられ、自由を奪われている。収容所の外でも監視・検問を受けており、ウイグル地域全体が『青空刑務所』といっていい。ナチス・ドイツのユダヤ人政策と本質的に変わらない」と語る。

 トランプ政権は7月、対中貿易戦争を開始し、軍事面でも中国への牽制を強化している。人権問題による対中制裁が発動されれば、中国にどんなダメージを与えるのか。

 石平氏は「貿易戦争は、中国の国内経済に大きなダメージを与えるが、人権問題の提起は、中国の国際的イメージをさらに悪化させる。米国が人権を掲げて中国に圧力をかけると、『米国vs中国』ではなく『全人類vs中国共産党独裁政権』という問題となる。中国は国際社会で孤立し、習氏は全人類の敵になりかねない」と話した。

【私の論評】悪魔中共は全人類の敵、この地上から葬り去れ(゚д゚)!

中国によるウィグル人への弾圧は、目に余るものがあります。それについては、在日ウィグル人有識者会議か『中国のウィグル人への弾圧状況についてレポート』という報告書をまとめています。

この報告書を読めば、中国のウィグル人に対する弾圧は、弾圧など通り越して悪鬼か悪魔の所業ということが理解できます。以下にこの報告書の入手先のリンクを掲載します。


詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事が中国の悪鬼ぶりを示す部分を引用します。
2.中国当局はウイグル住民から DNA など生体データを採集 
2.1【検診名目で DNA 採集】 
中国国営の新華社通信は 2017 年 11 月、衛生当局の統計として、新疆の総人口の 9 割に相当する約 1900 万人がこの「検診」を受けたと伝えた。また、中国最大手インターネットポータルサイト「新浪(Sina)」が 2017 年 11 月 1 日、新疆ウイグル自治区衛生計画生育委員会から入手した情報として、ウイグル自治区は昨年 15.85 億元投資し、全自治区で 1884.48 万人、その中、南疆4地区・州(ウイグル密集地域)で 912.71 万人(100%)の検診を終えたと伝えた『参考資料19』。 
国際 NGO 人権組織の「ヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch)」は、このような大規模な強制収集は国際人権規約を踏みにじるものだと批判した。 
当局に「全民検診」と呼ばれたこの無料のプロジェクトは、12 歳から 65 歳までの住民を対象に DNA や血液のサンプル、指紋、虹彩、血液型などの生体データを集めている『参考資20-23』。 
2.2【臓器狩り】
中国新疆出身の在英の元外科医エンヴァー・トフティ(Enver Tohti)氏は、こうした不合理な新疆地区住民の DNA 採取について、中国移植権威で富裕層や外国人移植希望者のための移植用臓器となる「生きた臓器バンク」とし、住民を秘密裏に「ドナー登録」しているのではないかとの推測を述べた『参考資料19』。 
中国衛生部(厚生省)の前副部長・黄潔夫氏は 7 月 26 日、AP 通信のインタビューで、国内ドナー登録者は 21 万人を数え、2020 年には、中国は米国を抜いて世界一の移植大国になると主張した『参考資料24』。 
第一章でも述べたが、これまでの報道で各収容所から続々死者が出ていて、家族に返す・見せることなく、新しく設けられた一般人が入ることのできない遺体処理・安置所で処理されている。 
臓器売買のため、臓器が抜き取られた痕跡のある遺体もあったという噂がある。 
以下の写真 1,2 はその証拠である。これは観光でウイグルに行った日本人により今年 1 月にカシュガル空港で撮られた写真であり、空港では「人体器官運送通路」、「人体寄付、移植器官航空運送保障プロセス」標識の専用通路やスペースが用意され、国家ぐるみで監禁されている人から 強制的に臓器を摘出していることを示す徹底的証拠である。


写真1
写真2



中国での臓器売買は以前から行われていることが指摘されていました。このブログでも掲載したことがあります。この臓器売買などについては、過去においてもいくつものソースで明らかにされています。

たとえば、以下は2012年に公開された動画です。



これは米国の新唐人という中国語メディアの動画です。以下にその内容をまとめたものを掲載します。
中国政府の不法な臓器売買について、中国のある特殊警官はスイスの新聞ル・タンに対し内部告発しました。本日はこの話題に迫ります。 
ウイグル人のアブドゥ・レイムさんは1993年から1997年までウルムチの特殊警察部隊で勤務。死刑囚への射殺命令を出していました。彼らの臓器は売買されていたと述べるアブドゥさんは、これは決して珍しくないともらします。 
2011年の9月、アジア移植免疫フォーラムでは中国衛生省の黄潔夫副大臣が「中国の臓器移植は累計10万件を超え、毎年平均1万件余り」と発言。 
しかし今年(2012年)3月、南方週末の報道に寄ると、中国でドナーからの移植はこれまでわずか130件。 
2009年、中国日報も「中国の臓器移植の3分の2は死刑囚のものだ」と報道。
実は弁護士のディビット・タマス(David Matas)氏とカナダの元閣僚ディビット・キルガー(David Kilgour)氏は、2006年から臓器刈りについて独立した調査を実施。去年は「血まみれの臓器刈り」を出版し、本の中で52の例を挙げて、生きた法輪功学者から臓器を奪っていると示しています。 
しかし多くのヨーロッパの国はこの問題に関心を持たないため、内部告発しているアブドゥさんは難民申請をずっと拒まれています。 
法輪功学者の臓器がずっと利用されていると言われているものの多くは謎のままです。 
米国民主保護財団のイーサン・ガットマンさんは「アブドゥ氏こそ死刑囚の臓器売買の生き証人だ」と強調します。中国政府が不法に臓器売買をしているという確固たる証拠がまだ不足している中、アブドゥ氏の証言はその空白を埋められるからです。ル・タン紙に対しても「中国政府の当局者から出た証拠は極めて大切だ。特に新疆という特殊な地域だ。臓器売買という敏感な問題でもある。」と述べました。 
2007年、中国を離れたアブドゥさんは、2008年ヨーロッパに来たものの、ずっと合法的な身分を得られていません。スイスやノルウェーでは難民申請を拒まれ、イタリアへと流れ着きました。しかしイタリアには30万もの中国人がおり、アブドゥさんにとって危険です。実はノルウェーの首都オスロではウイグル人から脅しを受けたことがあります。しかもアブドゥさんの父は新疆で謎の死を遂げます。 
現在、イタリアの難民キャンプに身を寄せているアブドゥさん。しかしこのままではアブドゥさんの知る中国の闇は葬り去られます。これが公にされるかイタリア当局にかかっています。新唐人記者がお送りしました。
GoogleやYouTubeなどで調べると、いくらでもこのような臓器の奪取や、売買が行われているとするソースが見つかります。

生体から、臓器を取り出し、臓器を摘出された人が死亡というのは、中国では日常茶飯で行われていることがうかがえます。しかもこれは、ギャングなど金儲けのために散発的に行うというのではなく、国家ぐるみで組織的に体系的に行われている可能性が濃厚です。

この所業をナチスにたとえる人もいますが、それは間違いです。ナチスドイツにおいては、今でいう臓器移植をしなければならないような病気の人は、優生学的な見地から、処刑されました。これは、これで悪魔のような所業なのですが、中国の臓器ビジネスもかなり悪魔的です。

サングラスをかけた習近平

我が国も含めて過去においては、世界の多くの国々は中国のこの悪魔的所業については目をつむってきたところがあります。しかし、世界は変わりつつあります。

米国が知的財産権保護という大義により、中国に本格的に貿易戦争を仕掛けました。また、軍事的にはこれから、灰色戦争を本格的に仕掛けていくことでしょう。

その過程で、米トランプ政権は、以前このブログでも掲載した、米国議会の「米中経済安保調査委員会」にて、臓器摘出・売買ビジネスに中共が絡んでいることも含めて、中共によるウイグル人弾圧の詳細な内容を報告させ、それを世界中に公開することでしょう。

そうなると、米国内ではますます中国を擁護する声はなくなり、糾弾する声がますます大きくなることでしょう。これに関しては、ロシアも含めて、中国を擁護する国はいなくなるでしょう。

まさしく、米国が人権を掲げて中国に圧力をかけると、『米国vs中国』ではなく『全人類vs中国共産党独裁政権』という問題となるのです。中国共産党は国際社会で孤立し、習氏は全人類の敵になりかねないのです。

以下の動画をご覧いただけば、ご理解いただけるものと思いますが、中共はウイグル人を悪魔化しようとしていましたが、とんでもないです。自分たちこそか悪魔です。



悪魔中共は全人類の敵なのです。親中派、媚中派は悪魔の仲間ということになります。

日本でも、国会で中共の悪魔ぶりをどんどん暴くべきです。ここで、誤解のないように言っておきますが、悪魔は中共(中国共産党)です。悪魔中共は放置しておけば、必ず国内外で悪魔的所業を行い続けます。何が何でも、この地上から葬り去らなければならないのです。

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2017年8月9日水曜日

【北ミサイル】北朝鮮が「グアム周辺に火星12を発射」と米トランプ政権に警告 小野寺防衛相名指しで「日本列島を焦土化できる」とも―【私の論評】北朝鮮の脅威が顕著になると、円高になるのはなぜ(゚д゚)!


「火星14」発射の様子
北朝鮮の朝鮮人民軍戦略軍は、北朝鮮に対するトランプ米政権の軍事的圧迫を非難し、中長距離弾道ミサイルと称する「火星12」で「グアム島周辺への包囲射撃を断行する作戦案を慎重に検討している」と警告する報道官声明を発表した。朝鮮中央通信が9日、伝えた。

 声明は、作戦案が間もなく最高司令部に報告され、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が決断を下せば「任意の時刻に同時多発的、連発的に実行されるだろう」と主張。米国に「正しい選択」をし「軍事的挑発行為を直ちにやめるべきだ」と迫った。

 トランプ政権が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を行ったり、戦略爆撃機を韓国に飛来させたりしていることに反発したもので、爆撃機の出撃基地のあるグアムをけん制して警告を送るためだとしている。火星12は、5月に試射され、グアムに届く5千キロ前後の射程があると推測されている。

 朝鮮中央通信は9日、「敵基地攻撃能力」保有の検討に言及した小野寺五典防衛相や、安倍晋三首相を名指しで非難し、「日本列島ごときは一瞬で焦土化できる能力を備えて久しい」と威嚇する記事も報じた。

【私の論評】北朝鮮の脅威が顕著になると、円高になるのはなぜ(゚д゚)!

北朝鮮で有事が発生し、日本にミサイルが飛んでくるかもしれない事態になったと普通に考えるとこれは、日本にとってはマイナスな出来事ですので、ドルが買われて、円が売られる円安になるのではと思われます。

しかし、現実にはそうではありません。本日もブログ冒頭の記事のよう似、北朝鮮の危機が有るにも関わらず、円相場は上昇しました。

東日本大震災
東日本大震災の時には、日本は大きな打撃を受けたにもかかわらず、円高になり、G7の国際協調による為替介入を招く事態になりました。

実は、日本にマイナスな東日本大震災の時にも円高になったときの理由は、以前にもこのブログに掲載したように、震災からの復興のため、復興のための資材を購入したりするため、円の需要がかなり高まったためです。

そうして、このようなことは、先進国では良くあることです。実際、東日本大震災の少し前に、オーストラリアで大水害が発生したましたが、このときもいっときオーストラリア・ドルが高騰しました。

ご存知のように、その後も円高が続きましたが、それは、円の需要が高まって円高傾向になったにもかかわらず、当時の日銀が金融緩和をせず、引き締め状況を維持したからです。2013年からは、大規模な金融緩和に踏み切ったため、それまでの超円高は是正され、円安傾向となりました。

金融緩和すれば、通貨安傾向に、金融引締めをすれば、通貨高傾向になります。為替相場は、六割がたはこれで説明がつきます。

簡単に言うと、米国が金融緩和をして、日本が金融引締めをすれば、ドル安、円高傾向になります。米国が金融引締めをして、日本が金融緩和をすれば、ドル高、円安傾向になります。

米国も、日本も金融緩和をしていれば、より量的な金融緩和の度合いが高いほうの通貨が安くなります。

そうなると、金融緩和をどんどん実施すれば、自国通貨をかなり安くできて、有利になると思われる方もいらっしゃるかもしれまんせんが、これにも限度があります。

どこまでも、金融緩和を続ければ、いずれハイパーインフレを招き、良いことはありません。だから、緩和を続けて自国通貨を安くするという、通貨戦争なる幻想はなりたちません。

日本銀行
これで、為替は6割りがたが決まってしまいます。そうして、長期的には通貨高、通貨安はこれが原因でほとんどが決まります。ただし、短期的には、様々な要素があるので、後の4割は、他の要因で決まるわけです。

しかし、今回の北朝鮮の脅威に関しては、特に日銀が北朝鮮の脅威に対応して、金融政策を実行しているわけではないにもかかわらず、北朝鮮の脅威が顕著になったときには、実際には円高傾向になっています。これは、日銀の金融政策とは関係のない動きです。ではなぜ、このようなことが起こるのでしょうか。
それは、大きく3つの理由によると考えられます。

①機関投資家や海外投資家のポジション解消のため
②株価下落による海外投資家の為替ヘッジのため
③日本企業や投資家などのリパトリのため

1つずつ解説したいと思います。

円高理由その1 機関投資家や海外投資家のポジション解消
最初の円高になる理由は、リスク高まったときにおこる機関投資家や海外投資家のポジション解消の動きです。 
大きなリスクがあるときは、相場がどちらに振れるかわからないために投資家がポジションを解消してフラットにする動きが活発になります。 
トランプ政権下で円安ドル高の傾向が高かったためにドル買いのポジション持っている人が多くいて、その投資家たちがポジション解消するとドル売り円買いになり、円高になるということです。
円高理由その2 株価下落による海外投資家の為替ヘッジ
北朝鮮で有事が起こった場合は、まず間違いなく日本株が下落することが予想できます。 
その際に日本市場特有の海外投資家の取引割合が6~7割という特殊性で海外投資家の動きがドル円為替にも波及してきます。 
海外投資家が日本株を買う場合は、自国の通貨から日本円に両替して日本株を買います。 
その際に為替変動のリスクがあるために同時に日本円の売りを行います。いわゆる為替ヘッジと呼ばれるもので、日本円に両替する=日本円を買うという行為を行う場合に反対の注文の日本円を売るという取引をすることによって、為替リスクを避けるというものです。 
株価が下落した場合は、株を売る際に日本円を売るという注文を解消し、日本円を買うことになります。 
株が下落すると日本円を買う注文が入り、円高になるのです。 
さらに海外投資家が、日本株を買う場合は、レバレッジを利かせて日本円を売る注文を出します。 
株価が下落した場合は、証拠金を積み増して、ロスカットを防ぐために円買いを積み増すことも起こります。 
このように日本の株価が下落した場合に海外投資家の為替ヘッジの動きのために円高になるのです。
円高理由その3 日本企業や投資家などのリパトリ
リパトリとは、リパトリエーションの略で企業や投資家が海外から本国に資金を引き揚げることを指します。 
東日本大震災の際にも保険金の支払いなどで保険会社が海外資産の一部を日本円に買える動きが出ています。 
日本に打撃があった場合は、日本で必要なお金を集めるために海外の資産を日本円に変える動きが出てきます。 
その場合も日本円が買われて、円高傾向になります。 
東日本大震災の時には、先に述べたように、円の需要が高まったにもかかわらず、日銀が金融引締めの姿勢を崩さなかったことが、円高の主要因であったことを述べました。 
それと同時に、このリパトリを先読みしてのヘッジファンドなどの円買いが入り、さらに円高に拍車をかけました。 
北朝鮮の脅威が高まると、円高になる理由として上記の3つの動きがあると思われます。ただし、短期(1年以内)の為替はほとんどがランダムウォークであり、予測は困難です。

北朝鮮有事が起こる確率は極めて小さいと思いますので、1994年や2003年のように米国側が攻撃をあきらめるというシナリオが一番ありえそうですが、最悪のシナリオを想定しておくのも重要なことだと思います。

最後にアナリストでも意見が分かれていますので、北朝鮮有事の際に円高になるか円安になるか予想した記事を一覧にします。

私が調べた限りですので、抜け漏れ等はありますが、参考にしてください。

○円高予想

・ロイター:コラム:北朝鮮有事の円相場シミュレーション=佐々木融氏

・日経新聞:北朝鮮有事で円高どこまで 豊島逸夫の金のつぶやき

・Newsweek 「トランプ円高」が加速 朝鮮半島リスクとドル高けん制で

・MONEY VOICE 北朝鮮の隣なのに安全通貨?「無慈悲な日本円買い」はなぜ起こるのか=久保田博幸

○円安予想

・ロイター:コラム:朝鮮半島有事の「日本売り」シナリオ=斉藤洋二氏

・SnkeiBiz:最悪なら「円安」シナリオも…迫る「Xデー」 朝鮮半島有事で日本経済どうなる

・フィスコ:【市況】【フィスコ・コラム】:円:北朝鮮リスク、円はどちらに動くのか?

アナリストの記事では、円高のほうが若干多いようです。私も、その立場をとります。なぜなら、北朝鮮有事の場合でも日本が甚大な被害を受けなければ、上記で述べたようなことが繰り返されることになるからです。

さらに、このようなことはあってはならないことですが、実際に核ミサイルが日本の都市に落とされたとして、現状の北朝鮮の核では大都市の場合は、たとえ、北朝鮮が全部の核を打ち込んでも全部を破壊することは不可能であるため、かなり大きな被害にあったとしても、日本国のインフラなどの大部分は残り、いずれ復興に入るはずです。

そうなれば、東日本大震災のときと同じく、円の需要が増し、当然のことながら、円高となります。

その時に、日銀が金融緩和をすれば、円高を防ぐことができます。東日本大震災あたりまでの、日銀はしょっちゅう金融政策を間違えていましたが、13年頃からようやくまともになりました。北の脅威が顕著になれば、円高にふれることはわかりきっているので、今後はまともな政策を実行していただきたいものです。

それにしても、国家破綻に近かった、ロシア危機や韓国通貨危機、アルゼンチンのデフォルト時には、当然のことながら超通貨安に悩まされました。

日本の場合は、国家が破綻するほどの災厄に見舞われれば別ですが、そうでなければ、円高にみまわれるということですから、いかに日本が強固な基盤の上に成り立っているのか良くわかります。

北朝鮮ウォンなど、今でも価値が低いですが、北有事ということにでもなれば、国際的には紙くず同然になるものと思います。

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2017年4月11日火曜日

米トランプ政権が中国企業“制裁強化” 北の核兵器開発への関与、「単独行動」で資産凍結なども―【私の論評】これは、その後続く一連の中国制裁の序盤に過ぎない(゚д゚)!

米トランプ政権が中国企業“制裁強化” 北の核兵器開発への関与、「単独行動」で資産凍結なども

シリア攻撃の後、演壇に立つトランプ米大統領=6日、米フロリダ州パームビーチ
 米政府が日本政府に対し、北朝鮮の核兵器開発に関与する中国企業への制裁強化を検討していることを伝えていたことが10日、分かった。複数の日米外交筋が明らかにした。トランプ米政権は、北朝鮮に影響力がある中国に圧力を強めるよう求めており、中国が具体的な行動に出なければ「単独行動」として米国内の中国企業資産凍結などを行う意志を示したという。

 日米両首脳は2月に安倍晋三首相が訪米して以降、3回にわたり電話会談を実施。トランプ氏は対北朝鮮政策の見直しについても説明しており、中国企業を対象とした独自制裁の事前通告も、対北圧力を強める上で日米間の連携を確認する狙いがあるとみられる。

 日米外交筋によると、米側は対中国企業制裁について、北朝鮮と取引する第三国の企業などを制裁対象とする「セカンダリー・サンクション(二次的制裁)」の一環として説明。具体的な企業名は伝えなかったが、すでに実施している資産凍結などの対象企業を拡大する形で検討している。対象となるのは、核兵器開発関連物資の輸出元や、金融取引の相手企業などとなる見通し。

 トランプ氏は6、7両日に米南部フロリダ州パームビーチで中国の習近平国家主席と会談した際、北朝鮮の核開発阻止への取り組みを強化し、国連安全保障理事会決議の完全な履行を確認した。だが、2日付の英紙とのインタビューでは、中国が役割を果たさない場合は単独での対処行動に出る考えを表明している。

 米政府は昨年2月、北朝鮮の核・ミサイル開発や拡散などに関わった第三国を含む個人や団体に制裁を科す米独自の制裁強化法を制定。同年9月には米財務省が中国・遼寧省の貿易会社と個人4人を制裁対象に加え、米司法省は初めて経済制裁違反などで同社などを刑事訴追した。

 中国企業は北朝鮮の貿易総額の9割を占めているとされる。国連安保理・北朝鮮制裁委員会の専門家パネルは、北朝鮮の銀行が中国の大連、丹東、瀋陽で営業を継続していたケースなどを指摘している。

【私の論評】これは、その後続く一連の中国制裁の序盤に過ぎない(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事の一番最後の部分が、非常に重要です。

中国企業は北朝鮮の貿易総額の9割を占めている。これらの企業は輸出入にかかわっている企業であり、当然のことながら、米国とも取引をしている可能性も高いわけです。であれば、これらの企業の資産凍結をすれば、北朝鮮への制裁ということにもなり、さらには北朝鮮への制裁という大義名分で中国に対しても制裁をはじめるということで、中国に対しても制裁になります。

さらに、中国に対しては、北朝鮮に限らず、南シナ海やその他のことでも、米国の言い分を聞かなければさらなる中国に対する制裁も辞さないという、トランプ氏の硬い決意をみせつけることになります。

これは中国にとってはかなり、効き目があるものと思います。これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【スクープ最前線】トランプ氏「中国敵対」決断 台湾に急接近、習近平氏は大恥かかされ…―【私の論評】トランプ新大統領が中国を屈服させるのはこんなに簡単(゚д゚)!
台湾の蔡英文総統との電話会談で中国を牽制したトランプ次期米大統領
写真はブログ管理人挿入 以下同じ
現在の米国は、軍事的にはオバマ政権時代に軍事予算を大幅に減らしたので、従来よりはその力は低下しています。これをトランプ氏は補おうとはしていますが、さりとてすぐにそれが成就するわけではありません。人員を増やすにしても、訓練をしなくてはなりません。軍艦や航空機を増加させるにしても、今すぐにつくってそれを現場に投入するとうわけにもいかず、実際に軍備を増強するまでには時間がかかります。

しかし、アメリカには他にも大きな強みが2つあります。それは、金融と食料です。この記事より、これに関する部分を以下に引用します。
超大国といわれるアメリカの一番の強さは、軍事力でもなく、イノベーション力でもありません。それは、米国による世界の金融支配にあります。現在の世界の金融体制は、ブレトン・ウッズ体制に端を発しています。これは、第二次世界大戦末期の1944年にアメリカのブレトン・ウッズで連合国通貨金融会議が開かれ、国際通貨基金(IMF)や国際復興開発銀行(IBRD)の設立が決定されたものです。 
当時、世界の金の80%近くがアメリカに集中しており、アメリカは膨大な金保有国でした。その金と交換できるドルを基軸通貨とし、他国の通貨価値をドルと連動させるという仕組みで、金・ドル本位制ともいわれます。
さらに、現在の中国の食料自給率が85%以下という状況もあります。
世界各国、特に先進国の中で、食料や資源を100%自給できている国は少ないです。中国の食料自給率は85%以下といわれており、アメリカから穀物を買えない事態になれば、13億の人民は飢餓に苦しむことになります。

これに関しては、一昔前にある中国の高官が穀物の需要が増えたり、減ったりする中国の状況を「中国人の胃はゴムボールのようである」と語っていたことがあります。要するに、穀物需要がかなり減ったり、増えたりしても、中国は何とかなることを強調したかったのでしょう。

現実には、そんな馬鹿な話があるはずもなく、貧困層は穀物が手に入らず飢え死にしていたというのが実情でしょう。しかし、それは今から数十年も前のことで、今ではそのようなことはあり得ないでしょう。現状では、中国の貧困層でも何とか食欲を満たす穀物は手に入れられる状態になっていることでしょう。
実際最近では中国が突如、近年世界の穀物輸入国上位に躍り出てきました。2013年~14年期、中国の穀物輸入量は2,200万トンという膨大な量になりました。2006年の時点では、ま中国では穀物が余り、1,000万トンが輸出されていたというのに、何がこの激変をもたらしたのでしょうか?

2006年以来、中国の穀物消費量は年間1,700万トンの勢いで増大し続けている年間1,700万トンというと、大局的に見れば、オーストラリアの小麦年間収穫量2,400万トンに匹敵します。 
人口増加は鈍化しているにもかかわらず、穀物の消費量がこれほど増加しているのは、主に、膨大な数の中国人の食生活レベルが向上し、より多くの穀物が飼料として必要な肉や牛乳、卵を消費しているからです。

2013年、世界全体で推定1億700万トンの豚肉が消費されました。そのうちの半分を消費したのが中国でした。人口14億人の中国は現在、米国全体で消費される豚肉の6倍を消費しています。 
とはいえ、中国で近年、豚肉消費量が急増しているものの、中国人一人当たりの食肉全体の消費量は年間合計54キロ程度で、米国の約107キロの半分にすぎません。しかしながら、中国人も世界中の多くの人々と同じように、米国人のようなライフスタイルに憧れています。

中国人が米国人と同量の肉を消費するには、食肉の供給量を年間約8,000万トンから1億6,000万トンへとほぼ倍増させる必要があります。1キロの豚肉を作るにはその3倍から4倍の穀物が必要なので、豚肉をさらに8,000万トン供給するとなると、少なくとも2億4,000万トンの飼料用穀物が必要になります。 
それだけの穀物がどこから来るのでしょうか。中国では、帯水層が枯渇するにつれて、農業用の灌漑用水が失われつつあります。たとえば、中国の小麦生産量の半分とトウモロコシ生産量の1/3を産出する華北平原では、地下水の水位が急激に低下しており、年間約3メートル低下する地域もあるほどです。 
その一方で水は農業以外の目的に利用されるようになり、農耕地は減少して住宅用地や工業用地に姿を変えています。穀物生産高はすでに世界有数レベルに達しており、中国が国内生産高をこれ以上増やす潜在能力は限られています。
2013年に中国のコングロマリットが世界最大の養豚・豚肉加工企業、米国のスミスフィールド・フーズ社を買収したのは、まさに豚肉を確保する手段の一つでした。 
また、中国政府がトウモロコシと引き換えに30億ドル(約3,090億円)の融資契約をウクライナ政府と結んだのも、ウクライナ企業と土地利用の交渉を行ったのも、その一環です。こうした中国の動きは、私たち人類すべてに影響を与える食糧不足がもたらした新たな地政学を実証したものです。 
このようなときに、米国に金融制裁を実施されたら、食料事情は逼迫するでしょうし、食料以外にも様々な物資の供給に支障をきたすことになります。
そもそも、中国の人民元の信用は、中国がドルをかなり保有しているということで、保たれてきたものです。しかし、中国からは大量のドルが国外逃避 していましたし、これからもさらに逃避をすることになります。そうなると、元の信用は落ちます。

そのような中で、トランプ大統領により米国内の中国企業や中国企業の出先機関などに対して、金融制裁を課せられると、中国はとんでもない状況に陥ります。

それと、この記事では掲載しなかったのですが、何と中国の最大の農産物の輸入先は、米国であるという現実もあります。それは、以下のグラフをご覧いただければ、ご理解いただけるものと思います。

中国の食料品輸入先のシェア

米国は中国最大の農産物輸入先  中国の農産物(食料品)輸入額は1992年の 41.3億ドルから2001年の97.6億ドルへと倍 近く拡大しました。拡大した輸入食料品のうち では、大豆、植物油、トウモロコシ(94~95 年)など土地集約的なものが多いです。

こうした 食料品は米国が比較優位を 持つこともあり、中国の対 米輸入依存は高まってき ました。中国の対米食料品の輸 入額は97年の15.1億ド ルか ら2001年の22.9億ド ルへ、 全食料品輸入額に占める割 合は同20.2%から23.4%へ とトップシェアを占めています。

中国がまともに北朝鮮に対する制裁をしなければ、早急に北朝鮮と交易などをしている中国企業に対して資産凍結などの制裁措置を課すことでしょう。

それでも、中国がまともに動かなければ、次の段階では北朝鮮に対して軍事行動を起こすでしょう。具体的には、核施設の破壊ならびに金正恩斬首作戦です。

その後あるいは同時に、中国が南シナ海を中国戦略原潜の聖域にするという試みをやめなければ、中国企業に対して金融制裁を課すことになります。

制裁を課しても中国が南シナ海での活動をやめなければ、今度は米国は、中国に対する食料輸出をやめることになるでしょう。これに対してはすぐに実施すれば、トランプ大統領支持の保守派も多い米国の農家からの反発もまねく恐れもあるので、輸出代替地を探してそちらへの輸出を増やすか、あるいは政府が買い上げて、発展途上国への食料援助にまわすということも考えられます。この過程で、他国も中国に食料品を輸出することをとりやめるように協力を要請するかもしれません。

金融と、食料品で徹底的に制裁を課せられた、中国はかなり疲弊することになります。この時点で、習近平体制は完全に崩れるでしょう。ひよっとすると、それだけでは済まなくなるかもしれません。場合によっては、中国の現体制そのものが瓦解するかもしれません。

習近平体制は崩壊する?
それにしても、米軍によるシリア攻撃も、中国に対する牽制となったと思いますが、トランプ氏には、その後もこれだけ、打てる手があります。

これに対して、中国も決して手をこまねいて米国のなすがままにさせまいとは思うでしょうが、中国が米国に対してできることはかなり限られています。まずは、中国内の米国企業などに対して金融制裁を課することになるでしょう。

しかし、それは米国の中国に対する金融制裁と比較すれば、比較にならないほど、微々たるものでしょう。確かに、それで制裁を受ける米国企業にとっては、大変なことでしょうが、さりとてそれが、米国の経済においてどれほどの部分を占めるかといえば、微々たるものです。

さらに、中国は当然、米国に対して輸出入規制もするかもしれません。そうなれば、米国も多少は痛手を被るかもしれません。しかし、もともと米国のGDPに占める輸入も輸出も微々たるものです。そもそも、米国のGDPに占める輸出の割合は7%程度であり、その中に占める中国の割合はさらに低いです。

中国からの輸入がストップしたとしても、米国で困るようなことは一切ありません。自国で製造するか、他国から輸入すればそれですみます。

要するに、米国が中国に対して金融制裁や、輸出入規制をすれば、中国にとっては大打撃ですが、中国が米国に対してそれと同じ措置をとったにしても、米国にとっては全く打撃はないとはいえないものの、微々たるものです。

それでも、中国が南シナ海での活動をとりやめなければ、最終的に軍事的な手段を講じるかもしれません。しかし、その頃には、中国はかなり疲弊していて、米国と事を構えるななどできないかもしれません。それでも、事を構えるということになれば、米国は徹底的にこれを粉砕することになります。

要するに、中国には全く最初から勝ち目はないわけです。今回の米中首脳会談中での、米軍によるシリア攻撃は、その後に続くトランプ大統領の制裁の幕開けです。

トランプ大統領は、当然このような行動をとることでしょう。しかし、本来はこれはオバマ政権のときにでも実行すべきだったのです。そうすれば、北朝鮮や中国が今日のように身の程知らずに増長することはなかったはずです。

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