2017年4月11日火曜日

米トランプ政権が中国企業“制裁強化” 北の核兵器開発への関与、「単独行動」で資産凍結なども―【私の論評】これは、その後続く一連の中国制裁の序盤に過ぎない(゚д゚)!

米トランプ政権が中国企業“制裁強化” 北の核兵器開発への関与、「単独行動」で資産凍結なども

シリア攻撃の後、演壇に立つトランプ米大統領=6日、米フロリダ州パームビーチ
 米政府が日本政府に対し、北朝鮮の核兵器開発に関与する中国企業への制裁強化を検討していることを伝えていたことが10日、分かった。複数の日米外交筋が明らかにした。トランプ米政権は、北朝鮮に影響力がある中国に圧力を強めるよう求めており、中国が具体的な行動に出なければ「単独行動」として米国内の中国企業資産凍結などを行う意志を示したという。

 日米両首脳は2月に安倍晋三首相が訪米して以降、3回にわたり電話会談を実施。トランプ氏は対北朝鮮政策の見直しについても説明しており、中国企業を対象とした独自制裁の事前通告も、対北圧力を強める上で日米間の連携を確認する狙いがあるとみられる。

 日米外交筋によると、米側は対中国企業制裁について、北朝鮮と取引する第三国の企業などを制裁対象とする「セカンダリー・サンクション(二次的制裁)」の一環として説明。具体的な企業名は伝えなかったが、すでに実施している資産凍結などの対象企業を拡大する形で検討している。対象となるのは、核兵器開発関連物資の輸出元や、金融取引の相手企業などとなる見通し。

 トランプ氏は6、7両日に米南部フロリダ州パームビーチで中国の習近平国家主席と会談した際、北朝鮮の核開発阻止への取り組みを強化し、国連安全保障理事会決議の完全な履行を確認した。だが、2日付の英紙とのインタビューでは、中国が役割を果たさない場合は単独での対処行動に出る考えを表明している。

 米政府は昨年2月、北朝鮮の核・ミサイル開発や拡散などに関わった第三国を含む個人や団体に制裁を科す米独自の制裁強化法を制定。同年9月には米財務省が中国・遼寧省の貿易会社と個人4人を制裁対象に加え、米司法省は初めて経済制裁違反などで同社などを刑事訴追した。

 中国企業は北朝鮮の貿易総額の9割を占めているとされる。国連安保理・北朝鮮制裁委員会の専門家パネルは、北朝鮮の銀行が中国の大連、丹東、瀋陽で営業を継続していたケースなどを指摘している。

【私の論評】これは、その後続く一連の中国制裁の序盤に過ぎない(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事の一番最後の部分が、非常に重要です。

中国企業は北朝鮮の貿易総額の9割を占めている。これらの企業は輸出入にかかわっている企業であり、当然のことながら、米国とも取引をしている可能性も高いわけです。であれば、これらの企業の資産凍結をすれば、北朝鮮への制裁ということにもなり、さらには北朝鮮への制裁という大義名分で中国に対しても制裁をはじめるということで、中国に対しても制裁になります。

さらに、中国に対しては、北朝鮮に限らず、南シナ海やその他のことでも、米国の言い分を聞かなければさらなる中国に対する制裁も辞さないという、トランプ氏の硬い決意をみせつけることになります。

これは中国にとってはかなり、効き目があるものと思います。これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【スクープ最前線】トランプ氏「中国敵対」決断 台湾に急接近、習近平氏は大恥かかされ…―【私の論評】トランプ新大統領が中国を屈服させるのはこんなに簡単(゚д゚)!
台湾の蔡英文総統との電話会談で中国を牽制したトランプ次期米大統領
写真はブログ管理人挿入 以下同じ
現在の米国は、軍事的にはオバマ政権時代に軍事予算を大幅に減らしたので、従来よりはその力は低下しています。これをトランプ氏は補おうとはしていますが、さりとてすぐにそれが成就するわけではありません。人員を増やすにしても、訓練をしなくてはなりません。軍艦や航空機を増加させるにしても、今すぐにつくってそれを現場に投入するとうわけにもいかず、実際に軍備を増強するまでには時間がかかります。

しかし、アメリカには他にも大きな強みが2つあります。それは、金融と食料です。この記事より、これに関する部分を以下に引用します。
超大国といわれるアメリカの一番の強さは、軍事力でもなく、イノベーション力でもありません。それは、米国による世界の金融支配にあります。現在の世界の金融体制は、ブレトン・ウッズ体制に端を発しています。これは、第二次世界大戦末期の1944年にアメリカのブレトン・ウッズで連合国通貨金融会議が開かれ、国際通貨基金(IMF)や国際復興開発銀行(IBRD)の設立が決定されたものです。 
当時、世界の金の80%近くがアメリカに集中しており、アメリカは膨大な金保有国でした。その金と交換できるドルを基軸通貨とし、他国の通貨価値をドルと連動させるという仕組みで、金・ドル本位制ともいわれます。
さらに、現在の中国の食料自給率が85%以下という状況もあります。
世界各国、特に先進国の中で、食料や資源を100%自給できている国は少ないです。中国の食料自給率は85%以下といわれており、アメリカから穀物を買えない事態になれば、13億の人民は飢餓に苦しむことになります。

これに関しては、一昔前にある中国の高官が穀物の需要が増えたり、減ったりする中国の状況を「中国人の胃はゴムボールのようである」と語っていたことがあります。要するに、穀物需要がかなり減ったり、増えたりしても、中国は何とかなることを強調したかったのでしょう。

現実には、そんな馬鹿な話があるはずもなく、貧困層は穀物が手に入らず飢え死にしていたというのが実情でしょう。しかし、それは今から数十年も前のことで、今ではそのようなことはあり得ないでしょう。現状では、中国の貧困層でも何とか食欲を満たす穀物は手に入れられる状態になっていることでしょう。
実際最近では中国が突如、近年世界の穀物輸入国上位に躍り出てきました。2013年~14年期、中国の穀物輸入量は2,200万トンという膨大な量になりました。2006年の時点では、ま中国では穀物が余り、1,000万トンが輸出されていたというのに、何がこの激変をもたらしたのでしょうか?

2006年以来、中国の穀物消費量は年間1,700万トンの勢いで増大し続けている年間1,700万トンというと、大局的に見れば、オーストラリアの小麦年間収穫量2,400万トンに匹敵します。 
人口増加は鈍化しているにもかかわらず、穀物の消費量がこれほど増加しているのは、主に、膨大な数の中国人の食生活レベルが向上し、より多くの穀物が飼料として必要な肉や牛乳、卵を消費しているからです。

2013年、世界全体で推定1億700万トンの豚肉が消費されました。そのうちの半分を消費したのが中国でした。人口14億人の中国は現在、米国全体で消費される豚肉の6倍を消費しています。 
とはいえ、中国で近年、豚肉消費量が急増しているものの、中国人一人当たりの食肉全体の消費量は年間合計54キロ程度で、米国の約107キロの半分にすぎません。しかしながら、中国人も世界中の多くの人々と同じように、米国人のようなライフスタイルに憧れています。

中国人が米国人と同量の肉を消費するには、食肉の供給量を年間約8,000万トンから1億6,000万トンへとほぼ倍増させる必要があります。1キロの豚肉を作るにはその3倍から4倍の穀物が必要なので、豚肉をさらに8,000万トン供給するとなると、少なくとも2億4,000万トンの飼料用穀物が必要になります。 
それだけの穀物がどこから来るのでしょうか。中国では、帯水層が枯渇するにつれて、農業用の灌漑用水が失われつつあります。たとえば、中国の小麦生産量の半分とトウモロコシ生産量の1/3を産出する華北平原では、地下水の水位が急激に低下しており、年間約3メートル低下する地域もあるほどです。 
その一方で水は農業以外の目的に利用されるようになり、農耕地は減少して住宅用地や工業用地に姿を変えています。穀物生産高はすでに世界有数レベルに達しており、中国が国内生産高をこれ以上増やす潜在能力は限られています。
2013年に中国のコングロマリットが世界最大の養豚・豚肉加工企業、米国のスミスフィールド・フーズ社を買収したのは、まさに豚肉を確保する手段の一つでした。 
また、中国政府がトウモロコシと引き換えに30億ドル(約3,090億円)の融資契約をウクライナ政府と結んだのも、ウクライナ企業と土地利用の交渉を行ったのも、その一環です。こうした中国の動きは、私たち人類すべてに影響を与える食糧不足がもたらした新たな地政学を実証したものです。 
このようなときに、米国に金融制裁を実施されたら、食料事情は逼迫するでしょうし、食料以外にも様々な物資の供給に支障をきたすことになります。
そもそも、中国の人民元の信用は、中国がドルをかなり保有しているということで、保たれてきたものです。しかし、中国からは大量のドルが国外逃避 していましたし、これからもさらに逃避をすることになります。そうなると、元の信用は落ちます。

そのような中で、トランプ大統領により米国内の中国企業や中国企業の出先機関などに対して、金融制裁を課せられると、中国はとんでもない状況に陥ります。

それと、この記事では掲載しなかったのですが、何と中国の最大の農産物の輸入先は、米国であるという現実もあります。それは、以下のグラフをご覧いただければ、ご理解いただけるものと思います。

中国の食料品輸入先のシェア

米国は中国最大の農産物輸入先  中国の農産物(食料品)輸入額は1992年の 41.3億ドルから2001年の97.6億ドルへと倍 近く拡大しました。拡大した輸入食料品のうち では、大豆、植物油、トウモロコシ(94~95 年)など土地集約的なものが多いです。

こうした 食料品は米国が比較優位を 持つこともあり、中国の対 米輸入依存は高まってき ました。中国の対米食料品の輸 入額は97年の15.1億ド ルか ら2001年の22.9億ド ルへ、 全食料品輸入額に占める割 合は同20.2%から23.4%へ とトップシェアを占めています。

中国がまともに北朝鮮に対する制裁をしなければ、早急に北朝鮮と交易などをしている中国企業に対して資産凍結などの制裁措置を課すことでしょう。

それでも、中国がまともに動かなければ、次の段階では北朝鮮に対して軍事行動を起こすでしょう。具体的には、核施設の破壊ならびに金正恩斬首作戦です。

その後あるいは同時に、中国が南シナ海を中国戦略原潜の聖域にするという試みをやめなければ、中国企業に対して金融制裁を課すことになります。

制裁を課しても中国が南シナ海での活動をやめなければ、今度は米国は、中国に対する食料輸出をやめることになるでしょう。これに対してはすぐに実施すれば、トランプ大統領支持の保守派も多い米国の農家からの反発もまねく恐れもあるので、輸出代替地を探してそちらへの輸出を増やすか、あるいは政府が買い上げて、発展途上国への食料援助にまわすということも考えられます。この過程で、他国も中国に食料品を輸出することをとりやめるように協力を要請するかもしれません。

金融と、食料品で徹底的に制裁を課せられた、中国はかなり疲弊することになります。この時点で、習近平体制は完全に崩れるでしょう。ひよっとすると、それだけでは済まなくなるかもしれません。場合によっては、中国の現体制そのものが瓦解するかもしれません。

習近平体制は崩壊する?
それにしても、米軍によるシリア攻撃も、中国に対する牽制となったと思いますが、トランプ氏には、その後もこれだけ、打てる手があります。

これに対して、中国も決して手をこまねいて米国のなすがままにさせまいとは思うでしょうが、中国が米国に対してできることはかなり限られています。まずは、中国内の米国企業などに対して金融制裁を課することになるでしょう。

しかし、それは米国の中国に対する金融制裁と比較すれば、比較にならないほど、微々たるものでしょう。確かに、それで制裁を受ける米国企業にとっては、大変なことでしょうが、さりとてそれが、米国の経済においてどれほどの部分を占めるかといえば、微々たるものです。

さらに、中国は当然、米国に対して輸出入規制もするかもしれません。そうなれば、米国も多少は痛手を被るかもしれません。しかし、もともと米国のGDPに占める輸入も輸出も微々たるものです。そもそも、米国のGDPに占める輸出の割合は7%程度であり、その中に占める中国の割合はさらに低いです。

中国からの輸入がストップしたとしても、米国で困るようなことは一切ありません。自国で製造するか、他国から輸入すればそれですみます。

要するに、米国が中国に対して金融制裁や、輸出入規制をすれば、中国にとっては大打撃ですが、中国が米国に対してそれと同じ措置をとったにしても、米国にとっては全く打撃はないとはいえないものの、微々たるものです。

それでも、中国が南シナ海での活動をとりやめなければ、最終的に軍事的な手段を講じるかもしれません。しかし、その頃には、中国はかなり疲弊していて、米国と事を構えるななどできないかもしれません。それでも、事を構えるということになれば、米国は徹底的にこれを粉砕することになります。

要するに、中国には全く最初から勝ち目はないわけです。今回の米中首脳会談中での、米軍によるシリア攻撃は、その後に続くトランプ大統領の制裁の幕開けです。

トランプ大統領は、当然このような行動をとることでしょう。しかし、本来はこれはオバマ政権のときにでも実行すべきだったのです。そうすれば、北朝鮮や中国が今日のように身の程知らずに増長することはなかったはずです。

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