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2018年10月4日木曜日

政府の“プロパガンダ”も成果なし? 世界中で中国の「好感度」が上がらないワケ ―【私の論評】中国の行き詰まりは、日本のパブリック・ディプロマシーにとってまたとないチャンス(゚д゚)!

政府の“プロパガンダ”も成果なし? 世界中で中国の「好感度」が上がらないワケ 

 「残念なことに、中国が11月の中間選挙に介入しようと試みていることが分かった」

 9月26日、国連安全保障理事会でドナルド・トランプ米大統領がそう発言して話題になっている。トランプは続けて、「彼らは、私が貿易問題で中国に盾突いた初めての米大統領だから、私、あるいは共和党に勝利してほしくないのだ」とも述べている。

 この翌日には、その根拠となるような話を、写真入りでTwitterにアップ。中国国営英字紙チャイナ・デイリーの写真とともに「中国は実際に(アイオワ州の地方紙)デモイン・レジスター紙や他の新聞で、ニュース記事のように見せたプロパガンダ広告を入れている」というメッセージをポストした。

 こうしたトランプの発言は、11月の中間選挙に向けたアピール以外の何物でもない。また米国のテリー・ブランスタッド駐中国大使も9月28日、「中国政府は、プロパガンダを広めるために、米国が守る言論と報道の自由という伝統を利用している」と発言している。こちらは中国だけでなく、トランプを意識したアピールだと見ることができるだろう。

 もちろん、中国によるプロパガンダは実際に行われているし、そもそも今に始まったことではない。最近、中国が世界的にイメージ向上を狙ったプロパガンダを強化していることも確かだ。だが、実は中国のプロパガンダは、トランプが懸念するほどの力はなく、成果も出ていない、というのが実情だと言える。そこで、世界に対する中国の「プロパガンダ」の実態について探ってみたい。

世界で展開されている中国のプロパガンダ。その実態とは?

■「世界は中国をもっと知る必要がある」

 2016年末、中国の国営テレビ局である中国中央電視台(CCTV)の外国語放送を行う部門が、「CGTN」という新たな部門として再スタートすると発表された。CGTNの発足は、中国政府による対外的な情報発信の強化を意図しており、プロパガンダ強化の一環だとされる。

 最近のプロパガンダの強化は、習近平国家主席の肝いりだとみられている。習はこれまで「世界は中国についてもっとよく知る必要がある」と主張したり、「中国のストーリーをうまく伝える能力を高めなければならない」などとコメントし、やる気をアピールしている。

 さらに18年3月には、中国政府がCCTVと、対外向けラジオ局である中国国際放送局(CRI)、そして国内向けの中央人民広播電台(CNR)を統合し、「ヴォイス・オブ・チャイナ(中国の声)」という組織の発足を発表。ヴォイス・オブ・チャイナは世界最大規模の放送局になり、60以上の言語で放送を行うという。公式発表によると、ヴォイス・オブ・チャイナは「中国共産党の見解と指針、政策を広めること」を目的に、「国際的な放送の力を強化する」ことになる。

 米CNNは、戦時中からある米国営放送「ヴォイス・オブ・アメリカ」をまねたヴォイス・オブ・チャイナは、「中国政府の新たなプロパガンダ兵器」だと指摘している。

 こうした最近の動きは、プロパガンダを今以上に組織的に行うのが目的であり、今後、世界的に中国のポジティブな情報を浸透させたいという狙いがある。

 これまでも、中国が世界でプロパガンダ工作を行ってきたことは知られている。中国政府は、対外的なさまざまなプロパガンダ工作のために、年間100億ドル(約1兆1000億円)を費やしているとも言われている。

 例えば、有名なところでは、孔子学院が最たる例だろう。孔子学院は世界140カ国以上に施設を設置しており、日本でも私立大学との提携でいくつもの学院が開設されている。そこで中国政府の方針にのっとった「中国文化」が教えられている。ただ、FBI(米中央情報局)は18年2月、スパイ工作やプロパガンダ行為をしているとして孔子学院を捜査していると述べている。

 また、中国政府の裏工作も暴露されている。中国は、CRIやフロント企業を使って、米国など世界14カ国にある33のラジオ局で主要株主になるなどして、目立たないように裏でコンテンツを支配していることが明らかになっている。そうした局では、中国寄りの放送はするが、中国に都合の悪いニュースを排除しているという。

■好感度は上がっていない

 冒頭でトランプが批判した中国国営英字紙のチャイナ・デイリーの件も、いまさら驚くような話ではない。チャイナ・デイリーは、デモイン・レジスター紙に「チャイナ・ウォッチ」という4ページにわたる広告セクションを入れていた。ただこのやり方は、欧米メディアでは珍しい話ではなく、チャイナ・デイリーは広告セクションにページを入れてもらうために「広告費」を支払っている。日本などでも広く行われている、いわゆる「記事広」(編集記事のように見せた広告)のようなものである。

 またこんなケースもある。英国では、デイリー・メール紙がオンライン版に中国国営の人民日報の記事を週40本掲載するという契約で契約料を受け取っている。デイリー・メール紙から見れば単なるビジネスだが、中国側からすればプロパガンダ戦略の一環である。

 筆者が留学していた米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)でも、学内の掲示板のあるコーナーには、学校新聞「ザ・テック」に並んでチャイナ・デイリーがいつも山積みにされていた。学内のあちこちで、無料で手に取れるように置いてあったのである。他の大学でも同じように置かれているところが少なくなく、さらには国連関連の機関などにも配られているという。

 このように、中国はあの手この手でプロパガンダを実施してきた。ただ残念ながら、こうした取り組みの効果は、これまでのところ微妙だと言わざるを得ない。米調査機関のピュー研究所が世界38カ国で実施した調査では、09年に中国政府が対外プロパガンダの強化を始めたとき、中国を好意的に見ている人は50%ほどいた。だが17年にはそれが3ポイント低下。少なくとも、好感度アップにはつながっていなかった。

 また、米ジョージ・ワシントン大学国際関係大学院中国政策プログラムのディレクターで中国専門家のデイビッド・シャンボー教授は、「圧倒的にネガティブな見方が多く、好感度は時間をかけて落ちている。09年と15年を比べると好感度は20%も落ちている」と指摘している。

 少なくとも、イメージは以前と比べて大して良くなっていないということだろう。そんな背景から、中国は最近になって、あらためて強化策を行っていると考えられている。

プロパガンダを強化してきたが、中国のイメージは大して良くなっていない

■国内弾圧でイメージ悪化

 ただ残念ながら、世界に向けて大枚をはたいて実施しているプロパガンダも、国内での過剰な弾圧によって、一瞬にして全てが台無しになってしまうケースが相次いでいる。最近でも、18年8月に山東大学の中国人元教授が、山東省の自宅から米国のラジオ番組に電話で生出演している最中に、治安当局者が自宅になだれ込む事態が起きた。

 元教授は生放送で政府に批判的なコメントをしていたのだが、最後に「表現の自由があるのだ!」という言葉を残して中継は切られた。結局、元教授はその場で拘束されたのだが、この顛末(てんまつ)は欧米メディアで大きく報じられ、多くが中国の強権イメージを再認識することになった。

 またアフリカ東部のケニアでも18年9月、ケニア警察が不法移民取り締まりのためにCGTNのアフリカ本部を強制捜査して中国人記者らを一時拘束する騒動が起きている。また在ケニアの中国人実業家がケニア人を「みんな猿みたいだ」などと発言する動画が拡散され、この中国人は逮捕された。この1件も世界的に大きく報じられている。

 政府がどれだけ中国政府や文化のイメージを向上させようと画策しても、SNSなどが広く普及している現代では、中国当局の恐ろしさと一部の中国人らの素行の悪さは隠し切れない。

 まずは国内の現実に目を向け、そこから改善しないことには、プロパガンダもなんら意味を成さなくなる。中国は、対外的なPR活動なんかよりもまずは国内に目を向けるべきである。

 ちなみに、11月の米中間選挙までは、トランプの対中ネガティブキャンペーンは話半分で聞いておいたほうがいいだろう。

【私の論評】中国の行き詰まりは、日本のパブリック・ディプロマシーにとってまたとないチャンス(゚д゚)!

「残念なことに、中国が11月の中間選挙に介入しようと試みていることが分かった」というトランプ大統領の発言は単なるネガティブキャンペーンとはいえないでしょう。実際にあらゆる手段を講じて中国はこれに介入しようとしているに違いありません。

中国の真の姿を知ってしまえば、このように考えるのが当たり前です。これを単純にネガティブキャンペーンと受け取る人は、米国のリベラルメデイアによるキャンペーンによりかなり偏向した見方しかできなくなった人だと思います。とはいいながら、中国の対米国プロパガンダもしくは対中国パブリック・ディプロマシーは最近効果がなくなってきているのは事実です。


今日、海外の世論をめぐり、各国はパブリック・ディプロマシー(PD)(定義は後に掲載します)を活発に展開するようになりました。特に米国はPDの主戦場であり、米国世論をめぐる各国のPD合戦は凄まじいものがあります。

しかし、今、その環境が変容しつつあります。その原因が、中国の対米世論工作、つまりはPDの行き詰まりです。中国ではPDを「公共外交」と呼び、中国のソフトパワーを行使する手段として、これを重視してきました。

ただし、中国は自らの民主化されておらず、政治と経済が分離されおらず、法治国家化もされていない現状は表に出さず、自らの良い面を強調し、日本などは貶めるような工作をしてきたので、これはPDというよりは、やはり本質的には旧来のプロパガンダと変わりはないだけで、目先を変えただけのものが中国のPDということできると思います。

中国は、これまで米国においても活発にPDを展開してきましたが、ここに来て手詰まり感を見せ始めました。その一例が、全米に設置されている孔子学院の相次ぐ閉鎖です。例えば、フロリダ州北フロリダ大学は、学内に設置されている孔子学院を、2019年2月には閉鎖する方針を固めました。

孔子学院の設置は、中国のPDの中でも特に重視される手法の一つです。孔子学院は中国政府の非営利教育機構であり、中国語や文化の教育をはじめ、宣伝、中国との友好関係の醸成などの一環として世界中の教育機関に設置されています。特に米国における文化・教育の普及活動には熱心です。

孔子学院をめぐっては、最近になって、米国内で「中国政府の政治宣伝機関と化している」などとの批判が高まる傾向にあります。孔子学院は中国政府から資金を得ており、米国の教育機関から、「学問の自由に反する」と批判され、また、学内で中国に有利なプロパガンダを宣伝していると懸念されています。

米国では孔子学院に逆風が吹いている

このように、日本PDの最大のライバルともいうべき中国の米国に対する働きかけは難航しています。日本においても、PDの必要性が叫ばれる今日、こうした状況をどのように捉えるべきなのでしょうか。

PDとは、海外における自国の利益と目的達成のために、メディアでの対外情報発信や、海外の個人や組織との文化や教育に関する交流などの活動を通じ、海外における自国のプレゼンスやイメージの向上を目指す活動を指します。

大戦期に各国が戦略として用いた「プロパガンダ」が元々の形態であるとされます。しかし、戦後は「プロパガンダ」という言葉がネガティブなイメージとして想起されるようになり、PDという言葉が誕生しました。冷戦終結後には、ソフトパワーの重要性が増大したことや、世論が政府の政策決定において果たす役割が増大したことなどから、米国を中心に、各国がPDを重視する政策を採用していきました。


中国のPDは、日本がPDの重要性について着目するかなり以前から政治、経済、文化など、あらゆる分野において活発に展開してきました。その起源は天安門事件にあるといわれています。1989年6月4日に生起した天安門事件によって欧米諸国のメディアなどが作り上げた中国のマイナスイメージを払拭することが、当初の目的であったのです。

21世紀に入ると、中国は目覚ましく台頭していきます。中国の経済発展が急速に進行し、米国をはじめ、国際社会における中国のプレゼンスは格段に高まっていくこととなりました。

そして中国は、天安門事件以降の経験などから、PDが米国内の世論形成に大きな役割を持っていることを認識し、米国向けに積極的な活動を行ってきました。米国の政府機関などを通じた間接外交だけでなく、例えば、米国在住の華人を同胞として重視した地方都市における草の根レベルでの働きかけ、企業や市民団体との連携など、政府が前面に出ない形のPDを展開してきたのです。

とりわけ米国一般世論に働きかけるためには多彩なメディア戦略が必要だとの認識から、米国メディアへの働きかけをはじめ、中国中央電視台米国 (CCTV America)の発足や、China Watchの広告広報など、多大な努力を払ってきました。

特に2012年に米国に開局したCCTV Americaは、演出戦略などが卓越しているといわれます。多くの米国人をはじめとする外国人に視聴してもらうために、キャスターの人選や多言語化など、多様な演出の工夫を凝らしてきたことが功を奏したのでしょう。

文化・教育面では、孔子学院の拡大をはじめ、米国メトロポリタン・オペラで中国を舞台とした巨大オペラを上演するなどして、中国のイメージ向上に努力してきました。

メトロポリタン・おベラ

特に孔子学院については、中国の代表的なPDとしても有名で、海外の大学などの教育機関に設立しています。中国が米国に設置した孔子学院の数は110であり、世界全体における同学院の総数525(2018年9月時点)の約21%を占めます。これは、ほかの地域や国における数と比較して、群を抜いて多いです。

こうした中国の対米PDの影響は、米国世論にも表れ始めました。米国における対日世論調査(2016年度末まで外務省が実施)において、自国にとっての「アジアにおける最も重要なパートナー」を、「日本」ではなく「中国」と位置付ける見方が増え始めたのです。特に、日本がPD強化戦略をとる以前は、有識者の間にもこの考え方が浸透しており、2010年には「中国」が「日本」を20ポイントも追い抜き、調査開始以来最大の開きとなりました(中国56%、日本36%)。

そして、その後しばらくの間、「中国」が「日本」を上回る情況が続くこととなりました(下グラフ参照)。

外務省データより作成(以下同じ)

さらに中国は、日本を劣勢に立たせる形で、米国の対中政策に有利に作用させようとするPDも展開してきました。例えば、中国や韓国が国際社会において対日批判を激しく行う状況が多発し、その韓国の活動に中国が協力する形でPDを展開しています。その影響は、徐々に米国国内でも現れるようになりました。現地メディアが日本の慰安婦問題や靖国神社参拝問題に関し、日本を批判的に取り上げるようになっていたのです。

中国にとって都合が良いのは、日米関係が悪化することです。しかし、中国が単独で、米国の対日感情を悪化させたわけではないです。米国内でも中国のプレゼンスが増大しており、米国自身が日米同盟を維持しながら中国とも良好な関係を構築しようとしたこともその一因です。

そうしたなか、同盟国の日本が歴史認識をめぐる問題や領土問題などで中国と対立することに対して、米国内で不快感が広がっていきました。さらに、歴史認識をめぐる日本政府の強硬な姿勢が、中国の反日的なPDを後押しする形となり、米国が「失望」という声明を出すこととなってしまいました。こうした状況を背景として、米国世論のなかでも、日本より中国をアジア最大のパートナーと見なす考え方が増えていったのだと考えられます。

このように、中国の米国におけるPD戦略は、日本にとって不利に作用していました。安倍政権による2015年度のPD強化戦略も、こうした事態に対する強い危機感があったからだと考えられます。

しかし、冒頭の記事にもみられるように、中国のプロパガンダ(PD)は、効き目がないようです。日米関係を悪化させるかに見えた中国の対米PDが、行き詰っているように見受けられます。しかも、文化、経済、政治と、多岐にわたる分野で上手くいっていないようです。

文化面でいえば、先に紹介した、米国各州の教育機関における孔子学院の相次ぐ閉鎖です。米議会では、共和党のルビオ上院議員をはじめ複数の議員が、孔子学院の閉鎖を働きかける活動を展開しており、これまで、シカゴ大学やペンシルバニア大学をはじめ、最近では2017年9月にイリノイ大学の、2018年4月にテキサス農工大学の孔子学院が次々に閉鎖を決定しています。

さらに2018年2月には、米連邦捜査局(FBI)が孔子学院に対して、スパイ活動容疑やプロパガンダ活動容疑で捜査を開始しました。

また、経済面では、トランプ政権誕生後、米中の貿易摩擦が「貿易戦争」と呼ばれるまでに緊迫しており、中国の通信機器大手であるHuaweiなどの通信機器の販売を制限・禁止する動きを見せています。そのHuaweiは、2018年に入ってから、米国におけるロビー活動費を大幅に削減し始めました。米国議会に対するロビー活動を縮小させたのです。

同社は民間企業でありながら、中国人民解放軍の退役軍人が創業した「人民解放軍のスピンオフ企業」ともいわれており、米国では中国人民解放軍や情報機関との関係が疑われていた企業です。

一見すると、米中の貿易摩擦の一環とも受け取られるこの問題は、実はPDの問題でもあります。政府が関係するロビー活動がPDの手法の一つといわれることに鑑みても、Huaweiは中国のPDの担い手の一部であるといえるからです。

さらに、政治面では、中国政府がワシントン所在の有力シンクタンクに資金提供を行っているとされており、それが最近になって米国内で問題となっています。2018年8月25日までに米議会が発表した報告書によると、中央統一戦線工作部(統戦部)が主体となり、米国政府に影響力を持つシンクタンクに資金提供し、中国寄りの立場をとるよう働きかけを行っていたといいます。

統戦部は、海外におけるPDを実施する組織であり、プロパガンダ工作も行っているとされます。報告書によると、統戦部と深い関わりを持つ中国の非営利団体「中米交流基金」が、ジョンズ・ホプキンズ大高等国際問題研究大学院をはじめ、ブルッキングス研究所、戦略国際問題研究所(CSIS)、大西洋評議会、カーネギー国際平和基金など、米国の外交政策策定に影響力を持つ多数のシンクタンクと研究活動などを通して提携していたといいます。

さらに、同基金がワシントンにおいて数十万ドルもの予算を投じてロビー活動を行ったり、統戦部が全米の巨大留学生組織「中国学生学者連合会」と連携してスパイ活動に準ずる活動を行ったりしているともいわれています。共和党のクルーズ上院議員も、これを問題視し、今年1月にはテキサス大学に対して交流基金からの資金提供を受けないよう促しています。


中国のPDの強みは、共産党独裁体制のもと、予算や人員といった豊富な資源を状況に応じて自在に投与できることです。米国の議員や大手企業幹部に働きかけるために多額の予算を組み、ロビー活動を通じて親中派を増やしているともいわれます。

中国は、経済・文化交流を通じて世論を誘導あるいは分断し、敵の戦闘意思を削ぎ、戦わずして中国に屈服するよう仕向けることを目的とした「三戦:輿論戦(世論戦)、法律戦、心理戦」を掲げています。PDは中国にとって安全保障戦略の重要な一部でもあるのです。その中国の対米PDが、今、転換点を迎えています。この状況を受けて、日本はどうすべきでしょうか。日本のPDの今後のあり方について検討してみます。

以下に日本のPDのあり方について考える際に注意すべき3つの点を確認しておきます。

(1) 世論の変化に敏感に。中国の動向など外部要因を吟味。
二次安倍政権発足当初は日中間で揺れていた米国世論も、最近では再び日本寄りになってきています。前出の外務省の世論調査において、2014年以降は「日本」が逆転する一方、「中国」を「アジアにおける最も重要なパートナー」とする一般世論は、減少傾向にあります(下グラフ参照)。

しかし、こうした状況を楽観視して良いわけではないです。有識者に限っていえば、日本を「アジアにおける最も重要なパートナー」と見なす考え方が減少傾向にあるからです。2014年はこれまで最も多い58%が日本を「最も重要なパートナー」と見なしていたのですが、それ以降は年々減少し、2016年には前年より14ポイントも落としてしまいました(グラフ3参照)。


米国の有識者は、政府の政策決定に直接的な影響力を持ちます。アジア最大のパートナーとして「日本」を選ぶ有識者の割合は「中国」より上回っているものの、その考え方が減少傾向にあるのは望ましくないです。
2016年にネガティブな視点が出てきた背景には、2016年11月に行われた米大統領選で勝利したトランプ大統領の影響があります。トランプ氏が選挙中から日米同盟を軽視するような発言を繰り返したり、TPPからの離脱を表明したりしたことが、今後の日米関係に対する米国有識者の見方に影響したと考えることもできるでしょう。
ただし、トランプ氏は保守派であり、米国の保守派の歴史の見方は近年変わってきており、単純な「日本悪玉論」は忌避される傾向にあることは、以前のこのブログに掲載したことがあります。 
世論調査の結果と日本PDの関連についての判定は簡単ではないです。しかし、検証が困難だからといって、何もしなくて良い訳ではないです。日本は、米国におけるPD環境が変化しつつあることを認識し、中国の対米PDの行き詰まりを、自らのPDを一層推し進めるチャンスと捉えるべきです。PDの効果が表れるのには時間がかかります。中長期的な視点が必要とされるのです。
(2) PDに安全保障の視点を。日本主導で海外シンクタンクとのタイアップ。
日本のPDのあり方を考える時、PDを展開する国の関心を理解することが重要です。特に米国に対してPDを展開する際は、「中国の台頭」や日米同盟の存在を無視することはできず、安全保障の視点を交えてPD戦略を考えなければならないです。例えば、日本に対する米国社会の支持を得るべく、広報や宣伝活動に加えて、日本主導で米シンクタンクなどと共同研究や机上演習を行い、その成果物を、米国メディアを通じて米国内の一般世論に働きかけていくのも一案です。安全保障分野での、こうした双方向性を重視したPDは、新しい取り組みとなることでしょう。
(3) 感情的にならない。グローバル・スタンダードに沿った理知的な発信を。
歴史認識をめぐる問題については、中国や韓国が、海外(特に米国)において反日的ロビー活動を行ってきました。過去には、国際社会における中韓の反日ロビー活動は一定の「成果」を挙げており、当時は、日本もこうした海外の反応に抗議する形で発信してきました。
しかし、最近では、世界的に女性の権利擁護の意識が高まり、女性への性犯罪は厳しく断罪されています。そして慰安婦問題は、国際社会では今日の人権や女性の権利の問題として受け止られる傾向にあるのが現状です。
強硬な抗議を展開するだけでは、実情をよく理解しない国々に感情的な反応と捉えられかねないです。中韓に反発しているという印象を与えることは、かえって日本にとって不利になります。グローバル・スタンダードに沿った理知的な発信とするためには、間接的ではあっても、現在の日本がどのような国であるのかを発信することによって、日本の悪いイメージを植え付けようとする中韓の試みを無効化することができるでしょう。
中国は「日米離反」が中国の対米PDの主目的である。日本が歴史問題で中韓の挑発に乗ってしまえば、向こうの思う壺となってしまうのです。
対米PDの最終的な着地点は、日本に対するポジティブな米国世論が定着、拡大し、より幅広いグループや年代に日本に興味を持ってもらい、日米関係が発展することです。その鍵は、従来のPDが重視する広報や文化を通じた交流のみならず、政治や安全保障といった分野でも協力し、一般から有識者まで、幅広い米国の個人や団体などとの関係を発展させることにあります。

日本の多様な魅力の発信拠点であるジャパン・ハウスは、ロンドン、ロサンゼルス、サンパウロの世界の3大都市でオープンし、強力に発信し始めました。しかし、これらの都市が存在する国以外でも、中国をめぐる世論やPD環境が変化しているのです。そこには、日本にとって、有利な変化も不利な変化もあります。

ジャパンハウス・ロサンジェルス

日本におけるPDの考え方やその戦略は、未だ発展途上にあります。これからの時代の外交にあっては、周辺の国や地域の情勢や考え方の変化を敏感に受け止め、世界的な視野に立ち、独りよがりになることなく、相手から受け入れられるメッセージを発信ことが必要となってきます。また、PDの効果を左右させうる外部要因を上手く利用する形で、自らのPDの方途も柔軟に適応させていく能力が求められるでしょう。

特に「中国のPDの行き詰まり」は、日本のPDにとってまたとないチャンスであると考えられます。

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2018年1月17日水曜日

中国の米国債購入停止報道は外交カードにらむ観測気球か 日本は「利益」得るチャンスに―【私の論評】中国は米国の金融制裁を恐れている(゚д゚)!

中国の米国債購入停止報道は外交カードにらむ観測気球か 日本は「利益」得るチャンスに


 ブルームバーグが、中国の外貨準備の当局者の話として、米国債の購入を減らすか停止することを勧告したと報じた。これを受けて米国債が売られ、円高が進む場面もあった。

 筆者は旧大蔵官僚時代に国債の入札・買いオペなどの実務を経験したことがある。1日の大半を通称「ディーリングルーム」と呼ばれ、役所内で人の出入りを制限した隔離部屋で過ごしていた。

 その部屋では、さまざまな情報を見たり聞いたりするようになっていたが、多くの時間を、市場で自分のポジションに有利に働くような発言、いわゆる「ポジショントーク」の類いに費やさざるを得なかった。

 金融資本市場では、さまざまな発言が流布している。そのほとんどは、ポジショントークである。それらの発言がマスコミなどを通じて市場に流されている。

 金融商品取引法では「何人も(中略)相場の変動を図る目的をもつて、風説を流布」してはいけないとされている(第158条)。ここでいう「風説」とは、虚偽の情報である。事実に基づく市場予測は風説に当たらないので、ポジショントークでも事実に基づいていれば問題ない。しかし、事実に基づくかどうかの検証はかなり難しい。

 冒頭の「中国の外貨準備の当局者の話」というのを検証するのはかなり困難である。当局者がマスコミの取材に応じることは少なくない。その際、意図的にリークすることもある。これも広い意味で、ポジショントークである。今回の場合、中国当局者がポジショントークしたとみるのが自然だ。その目的は、影響力を測るため、つまり観測気球であろう。

 米国債を大量に保有している者が、その影響力に関心があるのは当然だ。日本政府も米国債を外国為替資金特別会計で保有している。保有有価証券の総額は120兆円程度あり、その内訳は公表されていないものの、多くが米国債といわれている。

 これは、文字通り米国への「貸し」なので、米国に対して優位に立てるのではないかと思うのが一般的な印象であろう。実際、そのことを対米交渉の際に口に出した政治家もいたようだ。しかし、それは外交としては最悪であった。

 したたかな中国外交では、表だって言わずに、裏からポジショントークとして流して影響力を見たのだろう。

 ただ、実際の影響力はしれている。いくら大量に米国債を保有しているからといって、世界での取引を考えると影響力は限定的だ。しかも、効果は持続しない。やるぞやるぞといううちが花である。そうした限界はあっても、中国の対米外交としてはカードになりうる。

 日本にとっては、中国に一定の影響力が出たとしても問題はない。むしろ日本の出番だといえる。外為特会で米国債購入と為券(政府短期証券)の日銀購入によって対応できる。これは金融緩和の口実となって日本の利益となりうるのだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】中国は米国の金融制裁を恐れている(゚д゚)!

米国債については、昨年の大晦日にとりあげました。その記事のリンクを以下に掲載します。
【お金は知っている】国連の対北制裁強化で追い込まれる習主席 「抜け穴」封じなければ米から制裁の恐れ―【私の論評】中国が米国の要求を飲むのは時間の問題(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして以下に米国債に関係するところだけ、掲載します。
超大国といわれるアメリカの一番の強さは、軍事力でもなく、イノベーション力でもありません。それは、米国による世界の金融支配にあります。現在の世界の金融体制は、ブレトン・ウッズ体制に端を発しています。これは、第二次世界大戦末期の1944年にアメリカのブレトン・ウッズで連合国通貨金融会議が開かれ、国際通貨基金(IMF)や国際復興開発銀行(IBRD)の設立が決定されたものです。 

当時、世界の金の80%近くがアメリカに集中しており、アメリカは膨大な金保有国でした。その金と交換できるドルを基軸通貨とし、他国の通貨価値をドルと連動させるという仕組みで、金・ドル本位制ともいわれます。

米国の金融街 ウォール・ストリート

米国に金融制裁を実施されたら、最近は輸入も多くなっている中国の食料事情は逼迫するでしょうし、食料以外にも様々な物資の供給に支障をきたすことになります。
 
だからこそ、中国はドル支配体制からの脱却を目指し、人民元の国際化を進めていました。IMFの特別引出権(SDR)の構成通貨入りも、そういった流れの中で推し進められたものです。人民元はSDR入りしましたが、ドル決済を禁じられてしまえば中国経済は破綻に追い込まれることになります。 
米国に本格的に金融制裁をされると、中国は資源を購入することもできず、戦闘機や軍艦を出動させることもできなくなります。これでは、最初から勝ち目はありません。 
それに、中国の米国債保有は6月に5カ月連続で増加し、外国勢で首位の座を取り戻したようです。米財務省が15日発表した6月の対米証券投資動向によると、中国の米国債保有額は1兆1500億ドル(約127兆円)で、前月比で443億ドル増加。日本は1兆900億ドルで、5月に比べて205億ドル減少しました。日本は昨年10月に外国勢の米国債保有で中国を抜いて首位となっていました。
これは米国の脅威になるなどドヤ顔で吹聴する人もいますが、これも中国の大きな弱みとなります。米国がこれを凍結すれば、一気に中国は127兆円を失うことになります。 
そもそも、元に信用があれば、中国は米ドルを大量に保有したり、米国債を保有する必要などもありません。逆のほうからみれば、中国元は中国が米ドルや米国債を大量に保有しているからこそ、一定の信用が保たれているのです。 
その原則が崩れれば、元の信用は一気に崩れ、中国の金融は崩壊します。
そもそも、米国債(ドル建て)はどんなに売られても米国中央銀行がドル札増し刷りして米国債を買えば良いだけのことで、米国は全く困りません。

日本や中国が保有していた米国債が米国中央銀行の金庫に溜まり、代わりにドル札が日銀や中国銀の金庫に置き変わるだけで市場には何ら影響はしません。

ただ、それ大変だと思う馬鹿な輩がいるので米国債に多少の値下がりはあり得るでしょうが直ちに元に戻るだけです、それでドル札には金利がつかないですから米国は大喜びするたげです。

そもそも日本や中国が米国債を大量に購入したのは輸出で得たドル札を持っていても金利がつかないから利殖のために米国債を買っただけの話です。それに輸出で得たドル札は既に元や円に交換しているので利殖の投資だけにしか使えません。国の財政赤字の補填などには使えないのす。

いずれの国の中央銀行でも市場に出回っている国債価格安定化のために自国債の売買は日常業務です。
一旦市場に出た国債に限ってですが(これが重要)買うためには自国通貨の増し刷りは日常業務の一つです。

ただし、ギリシャ国債が売られたらギリシャは破綻します。なぜなら、ギリシャではユーロを増し刷りできません。これは、夕張が破綻したのと同じ理屈です。夕張は勝手に円を擦り増しできません。

だからユーロ圏では日本のように安易に国債発行はできません。統一通貨の問題点です。特に為替レートにも関係ないので各国間の格差は拡大します。だからユーロ圏では特に「輸出額=輸入額」ということが必要になります。

米国、日本、中国のような国では、自国で自国通貨を擦り増しできるので、そのようなことはありません。本来、貿易黒字がどうの赤字がどうのと騒ぐ必要性など全くないです。

ところで、米国には「国際非常時経済権限法」(IEEPA)という法律があります。米国の安全保障や経済に重大な脅威が発生した場合、外国が保有する米国の資産については、その権利の破棄や無効化などができるという法律です。つまり、非常時には日中が持つ米国債も凍結されてしまう可能性もあるのです。

日本やASEAN諸国と領土紛争を抱える中国は、そのために最後の一線を越えることができないのです。もし中国が他国をあからさまに侵略すれば、IEEPAが発動され、中国が持つ1兆2732億ドル(約130兆円)もの米国債は紙くずになりかねないのです。

米国は、沖縄・尖閣諸島について「日米安全保障条約の適用対象」とされていますが、これは尖閣有事がIEEPAの対象となることを示唆したものです。そういうことから、中国は沖縄・尖閣諸島をなかなか奪取することはできません。


ブログ冒頭の、中国の外貨準備の当局者の話として、米国債の購入を減らすか停止することを勧告したとありますが、これは無論高橋洋一氏が主張するようにポジショントークに過ぎないです。

もしも中国が米国債の購入を停止したとしても、利殖のための米国債がなくなるだけの話であり、損をするのは中国です。さらに、中国元そのももの信用は著しく低いので、中国はこれからも大量のドルや米国債を保有しなければ、中国の金融が大混乱に陥るのは必至です。

このポジショントークやはり、米国の市場関係者などの様子をうかがっているのでしょう。その背後には、やはり中国は米国の金融制裁を恐れているという面があるでしょう。もし、今回の中国の北朝鮮への制裁がうまくいかなければ、米国は中国に金融制裁を課すということは多いにあり得ます。もし、市場関係者が大騒ぎして、様々な対策などに打って出れば、そこに付け入るすきを見出すことができると考えているのでしょう。

1997年6月23日、コロンビア大学での講演において聴衆から「日本が米国債を蓄積し続けることが長期的な利益」に関して質問が出た際、当時の橋本総理は「大量の米国債を売却しようとする誘惑にかられたことは、幾度かあります。」と返しました。


橋本龍太郎氏
そして、アメリカ経済が与える世界経済への影響などを理由に挙げた上で「米国債を売却し、外貨準備を金に替えようとしたい誘惑に、屈服することはない」と続けました。しかし、大量の米国債を保有する日本の首相が「米国債を売却」への言及をしたことが大きく注目され、ニューヨーク証券取引所の株価が一時下落しました。

しかし、今回はそうはならないでしょう。米国の市場はこのような中国の動きに惑わされることはないでしょう。何か影響があっても、一時的なことに過ぎないでしょう。

このように金融面からみても、中国が迂闊に戦争などできないことははっきりしています。日本のメデイアはこのあたりを報道すべきです。無論、中国が未来永劫戦争をしないと言っているわけではありません。ただ、当面は戦争しても全く良いことはないということです。

しかし、これは国際情勢が変われば、どうなるかはわかりません。実際、日米戦争では互いに相手国の資産を凍結しました。

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2017年11月5日日曜日

AIでできる銀行の融資業務、仕事は奪われるが人口減の日本にはチャンス―【私の論評】今後5年以内に政界、銀行、マスコミ再編成の嵐が吹き荒れる(゚д゚)!

AIでできる銀行の融資業務、仕事は奪われるが人口減の日本にはチャンス



説明を追加


 筆者は銀行の人員減というニュースを聞いても驚かない。というか、よくこれまでやってこられたと驚く。

 実は、筆者は旧大蔵省キャリア官僚としては珍しい経歴を持っている。金融検査官だ。検査官になるのは旧大蔵省キャリアの同期でも1人か2人しかいない。たまたま1990年代前半は銀行の不良債権問題が大変な時期だったので、あまり前例のなかった金融検査官を拝命し、同時に不良債権処理プログラムを企画立案した。

 そのためには実際に銀行の金融検査をしなければいけない。そこで、金融検査の現場をみっちり経験し、1日で100件以上の資産査定を行った。

 資産査定とは、銀行の支店の貸出をチェックするもので、ここで金融検査官に不良債権と指定されるかどうかは、銀行にとって死活問題になる。

 支店長や銀行幹部も必死になって不良債権を否定するが、筆者は財務諸表の数字と確率論で対抗した。

 多くの資産査定をやっているうちに、貸出先企業のバランスシートのどこに着目すれば、貸付金の健全度が示されるか、分かるようになった。要するに貸出先企業の財務状況の分析について、数量的に把握できたのだ。

 筆者のこの論法は新鮮だったようで、多くの銀行の人は面食らっていた。いくら情で訴えられても、データで不良債権、しかも、あと2年以内にどの程度のロスが出るかも予測できた。

 このときの経験から、融資業務をかなりの程度自動化、今の言葉でいえばAIにやらせることは可能だと思った。

 企業融資業務は、銀行の中では高度な業務だ。それすらAIでできるとなると、住宅ローンなどの定型融資も当然可能だ。預金や金融商品の販売はもっと容易にAIで代替できる。そうなると、人の塊であった銀行の支店には、ほとんど人が不要になると思ったのだ。

 銀行の本部でも、資産運用などは、下手に人間がやるよりは、ある条件になったら自動的に売買して、損益が一定以上になったらやめるというシステムの方がましだろう。

 筆者は、中央銀行の金融政策ですらAIで可能と思っているほどの論者である。

 よく銀行は、資産運用だけではなく、相続の相談にも乗るというが、税法なら、今や無料で正確なソフトもある。要するに、ほとんどの銀行業務は人がやる必要のないものだということもできる。

 銀行以外でも、単純・定型的な業務はどんどんAIに代わるだろう。ただし、日本は人口減少なのだからこれをチャンスとすべきだ。AIにはできない、人らしい仕事を少ない人でやっていけばいいと楽観的に考えよう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】今後5年以内に銀行、政界、マスコミ再編成の嵐が吹き荒れる(゚д゚)!

私は、「日本は人口減少なのだからこれをチャンスとすべきであり、AIにはできない、人らしい仕事を少ない人でやっていけば良い」という高橋洋一氏の意見には大賛成です。

ただし、AIに実施させる仕事も、少数ながらそれを実施できる人は温存して、実行できるようにすべきであるとは思っています。なぜなら、仕事の改善自体は人しかできないからです。全くAIに任せきりということは、考えられないからです。

それにマネジメントの主体は無論人間です。また、真のイノベーションとは、組織の内部ではなく、組織の外の社会(人間によって構成され)を変えるものだからです。

いくらAIにより、銀行の業務などを実行するようになったからとはいえ、そのことにより組織の外の社会が変わる、具体的には、たとえば、融資を受けるべき企業が融資を受けられるようになり、実際にそれらの企業が融資したことにより、成長し繁栄するようにならなければなりません。

だから、AIが融資業務を実施するにしても、やはり人が関わらなければまともな融資はできないでしょう。ただし、AIが融資の業務に関わることにより、より客観的で、正確な判断ができるということでは良いことであるのは間違いありません。

AIと人との共存は可能か?
ところで、2001年大蔵省がなくなるまでは、日本の銀行は金利から店舗数、預金高に至るまで大蔵省にコントロールされ、箸の上げ下ろし一つ自由にできませんでした。しかし、その代わりに互いに競争する必要もありませんでした。

その結果、新しいビジネスを創り出す必要に迫られなかった日本の銀行は、「土地専門の質屋」と呼ばれるような土地を担保に金を貸すだけのビジネスしかできなくなってしまいました。

不良債権の問題を解決する決断もできなかった日本の金融機関は、外国の金融機関のような差別化のための経営戦略もなく、優秀な人材を育てることもシステムに投資することもせず、結果的に、競争の激しいアメリカの金融業の労働生産性を大きく下回ることになりました。

こうした背景から、1999年に第一勧業銀行・富士銀行・日本興業銀行が事業統合で合意したのが引き金となり、2000年代初頭にかけて大手都市銀行どうしのグループ化、共同金融持株会社の設立が相次ぐこととなりました。

しかしその後日本経済は深刻なデフレに見舞われ、銀行はその対応に精一杯であり、日本の銀行に内在する諸問題はあまり解決されてきませんでした。

しかし、「三重銀行」と「第三銀行」の経営統合などにみられるように、最近銀行の再統合がまた、進む気配があります。最大の変化は、銀行の収益環境が厳しくなっていることです。銀行ビジネスの基本は、「預金を集めて、お金を必要としている企業や個人に貸し出す」ことです。


銀行は預金者に都合のよい、元本保証の預金商品を提供すると同時に、借り手の要望に応じて、預金商品よりも長い期間の資金も提供しています。

銀行の主な収益源は、預金金利と貸出金利の差(利ざや)です。通常の金利体系は、「期間が長いほど金利が高い」ので、銀行は、短期間の低い金利で預金を調達する一方で、期間の長い高い金利で貸出し、「長短金利差」によって利ざやを確保し、安定的な収益をあげてきました。

ところが長年続いた金融引締めの状況が銀行にとって当たり前になってしまった結果、現在の金融緩和で、長期の全ての期間で、金利が相対的にきわめて低くなり、金融引締めが続いた時代よりも利ざやの確保が困難になっているのです。

といより、従来からある銀行の遅れた体制が温存されている部分があり、現在のままでは体制を維持できなくなっているのです。おそらく、今後5年以内に銀行の再統合が進み、銀行の数は現在の1/5くらいになるものと考えられます。

銀行の歴史は「経営統合の歴史」といわれます。明治以降の銀行の歴史をみると、銀行どうしの経営統合は決して珍しい動きではありません。現在営業している銀行も、多くの銀行どうしが経営統合を繰り返しています。今後展開が予想される地方銀行の再編も、いわば「歴史の必然」ともいえるでしょう。

このような状況の中で、銀行の統合が進むだけではなく、AIに様々な業務を実行させるということが急速に進められていくものと考えられます。これが現在良く言われてる、AIも含めたIT技術を使った新たな金融サービス「FinTech(フィンテック)」というものです。


おそらく、今後5年以内に、現状の1/5に統合された銀行が、少ない人で、AIを用いて効率的な業務を実行していく体制が築かれることになります。

今後、銀行業界のリストラが加速します。銀行業界でも早期退職などの嵐が吹き荒れることになるでしょう。そうして、その後は人口減の時代が来ても、現状のような銀行サービスが十分維持できるどころか、それ以上のことができる体制に変わることでしょう。まさに、これから銀行業界は大変革期を迎えるのです。

大変革期を迎えるのは、銀行業界だけではありません。このブログでは、政界、マスコミ再編成がおこることも示唆しました。

今後5年以内に本格的な、政界再編成、銀行再編成、マスコミ再編成の嵐が吹き荒れることになります。銀行に限らず、弱い組織、異常な組織、非効率な組織はいずれ淘汰されるしかないのです。

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2017年8月14日月曜日

韓国火の海、日本人も命がけの半島脱出…米朝開戦の最悪シナリオ ネット上にあふれる「グアム旅行キャンセル」の声―【私の論評】朝鮮半島有事は拉致被害者奪還のチャンス(゚д゚)!

韓国火の海、日本人も命がけの半島脱出…米朝開戦の最悪シナリオ ネット上にあふれる「グアム旅行キャンセル」の声

金正恩
 金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長率いる北朝鮮が、弾道ミサイルによる米領グアムの「包囲射撃」計画をぶち上げ、世界に緊張が走っている。防衛省・自衛隊は12日、ミサイル通過が予想される島根、広島、愛媛、高知4県への地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の展開を完了。今後、最悪のシナリオとして米朝開戦となれば、韓国も火の海となる恐れもあり、日本人も命がけの半島脱出を余儀なくされる。

 朝鮮中央通信が、中距離弾道ミサイル「火星12」4発を同時にグアム沖30~40キロに撃ち込む計画案を伝えると、ネット上では「旅行はキャンセルかな」などの声があふれた。

軍事アナリストの黒井文太郎氏
 軍事アナリストの黒井文太郎氏は「(北朝鮮が)グアム本土を直接狙ってくる恐れは低いので、旅行を中止するほどのことはないだろう」というが、北朝鮮の計画自体については「米国の領土近くに撃ち込むというのは異例の展開だ。完全にケンカを売っていることになる」と驚く。

 「北朝鮮は何かを発表した際には、必ずアクションを起こしてきた。今回も何もしないということはないはずだ」

 計画が実行されれば、米国と上空をミサイルが通過する恐れがある日本はどう動くのか。

 黒井氏は「米国はミサイルを迎撃するだろう。日本の上空を通過する際、集団的自衛権に基づき、日本に迎撃を要請することも考えられる」と話す。

 領土付近をミサイルで脅かされたトランプ政権の対応は、迎撃だけでは収まらない。

 「平壌(ピョンヤン)の近海にミサイルを撃ち込んだり、朝鮮半島で大規模な軍事演習を行うなど、北と同じレベルの対抗措置を取るだろう。戦争が始まるのは、もっと段階を踏んでからだ」「現在の状況はすべて正恩氏1人の判断にかかっている。米国はそれに伴い、行動を起こす」と黒井氏は指摘する。

 本格的な戦争に発展する事態も想定すべきだ。その場合、まず北の標的となるのが韓国だ。

 「北朝鮮は38度線の近くで東西に掘られた塹壕(ざんごう)に、240ミリランチャーなどを数千発配備している。開戦から1~2時間のうちは、ソウルを標的に撃ちまくってくるだろう」

 外務省によると、韓国の在留邦人は昨年10月時点で3万8045人。同年、約230万人が訪韓しており、北が急に攻め込めば、日本人は帰国の手段を失う恐れがある。

 「その場合、海上自衛隊の護衛艦や空自の輸送機が救出に向かうはずだ。ただ、自衛隊が韓国内に入るには北朝鮮と交戦中の韓国政府の事前の許可が必要になる。開戦から1~2日で話をまとめて日本人を助け出すのは難しい」


 黒井氏は「最初の1~2時間」が過ぎれば、米韓両軍は圧倒的な軍事力で北朝鮮を押さえ込むと予想するが、「組織的戦闘が終わっても、数カ月はゲリラ戦が続くはずだ」「正恩氏は追い込まれて、核ミサイルを撃ってすべてを終わらせようと考えるかもしれない。指揮系統が崩れれば、正恩氏以外の誰かがボタンを押すこともあり得る」という。

 ミサイルの進路は日本はもちろん、米本土が含まれてもおかしくない。

 最悪のシナリオも絵空事ではなくなっている。

【私の論評】朝鮮半島有事は拉致被害者奪還のチャンス(゚д゚)!

朝鮮戦争は、休戦中なので、元々いつ戦争となっても少しも不思議ではありません。北朝鮮としては、ソウルを占領して、強引に南朝鮮を呑み込まないと、経済的にももたないかもしれません。

もっとも南北が合併しても力が増えるどころかマイナスになるしかない。1+1=2どころか1+1=1、下手をすると1+1=0.5になるかもしれません。とにかく、核ミサイルは金食い虫の貧乏神です。ただでさえ、貧乏な国が核ミサイル開発を行い、かなりの頻度で実際に発射しているわけですから、推して知るべしです。

アメリカのメディアは、北朝鮮がICBM=大陸間弾道ミサイルにも搭載できる小型化した核弾頭の製造に成功し、保有する核兵器の数は最大で60発に上る可能性があるとする新たな分析を国防総省がまとめたと伝えました。

アメリカの有力紙、ワシントン・ポストは8日の電子版で、複数のアメリカ政府当局者の話として、北朝鮮が小型化した核弾頭の製造に成功しているとする新たな分析を、先月、国防総省の国防情報局がまとめたと伝えました。

米国の核ミサイルミニットマンⅢに搭載されている核弾頭
それによりますと、アメリカの情報機関は、北朝鮮がICBM級の弾道ミサイルにも搭載できる核兵器を製造していると評価していて、保有する核兵器の数は最大で60発に上る可能性があると推定しているということです。

核弾頭の小型化をめぐっては、これまでは技術の獲得にはあと数年はかかるという見方が多く、核兵器の保有数の推定もはるかに少なかったということで、ワシントン・ポストは、北朝鮮の核・ミサイル開発が専門家の予測をこえて急速に進展していると指摘しています。

国防情報局は、先月、北朝鮮のICBMについて、来年にも実戦配備できるようになるとする分析もまとめたとされていて、アメリカ政府の北朝鮮への警戒感はこれまでになく強まっています。

トランプ大統領は8日、記者団に対し、「北朝鮮はこれ以上アメリカに対して脅しを見せるべきではない。さもなくば北朝鮮は世界がかつて見たことのないような炎と激しい怒りに直面することになるだろう」と述べ、核・ミサイル開発を進める北朝鮮を強い口調で非難しました。

このような状況ですから、米国としては北朝鮮が核ミサイルを実戦配備する前に、これを叩いてしまおうと考えるのは当然のことです。金正恩が、弾道ミサイルによる米領グアムの「包囲射撃」計画を実行に移すか、そ兆候をみせれば米国が何らかのの形で、北朝鮮を攻撃することは十分にあります。

日本政府は、正式に日本人の朝鮮半島への渡航を禁止し、在留邦人への半島外への移動を命じるべきです。韓国の日本人学校は無期休校として、未成年は優先的に半島外に出てもらうようにすべきです。

これらの措置の上で、日本政府は韓国政府に対して、朝鮮半島有事に関する話し合いを持つべきです。


話し合いとはいっても事実上の、最後通告です。韓国政府が在留邦人に対する保護義務を実行しない場合には、無政府状態と見なして、朝鮮半島に自衛隊を派兵すると宣言すべきです。

ただし、韓国の面子を立てて、国連軍として派遣すべきです。まず、釜山に連隊戦闘団程度を配備し、港湾、飛行場をも管理運用すべきです。そうして、ここを半島脱出の拠点とするのです。

国連軍の識別符号を付けた自衛隊機を半島に派遣して、在留邦人を積極的に救出します。必要があれば、護衛・保安要員も展開させるべきです。

韓国文在寅大統領代行は日本の自衛の受け入れを明確に拒絶するべきではない。黙認すべきです。

これを過剰反応だと韓国側が言うなら、いざというときに、韓国では反日感情が強い上に、救出のために自衛隊を派遣しようとしても韓国政府の同意を得られるか不安があるからだと説明すれば良いです。

もし、韓国政府が日本が突出した行動をとらないでくれというなら、自衛隊の派遣を受け入れることを確約させるべきです。

朝鮮半島有事は拉致被害者救出のチャンスでもあり得る
もちろん、ただちに、韓国から在韓邦人全員が引き上げる必要はないでしょう。しかし、このようなときに観光に行くべきでないし、アメリカ軍に助けてもらうにせよ、その人数はできるだけ少ない方がよいでしょう。

そうして、北朝鮮の現体制が事実上の崩壊することも念頭におき、そうなれば名称は何であれ暫定統治機構が出来上がるのは間違いありません。

そうして、政府は朝鮮半島有事発生時に北朝鮮による拉致被害者を救出するため、暫定統治機構の同意に基づき自衛隊機が輸送を担う案を検討しています。平成16(2004)年にフセイン政権崩壊後のイラクで自衛隊が邦人を輸送した先例を念頭に置いています。

ただ自衛隊の武器使用には制限があるため安全な任務遂行が難しく、米軍の協力が必要としています。

現行法では、自衛隊が拉致被害者を救出するためには「受け入れ国」である北朝鮮の同意が必要となり、実現は難しいです。しかし、朝鮮半島有事で北朝鮮の政権が崩壊すれば、国連決議に基づく暫定統治機構が設置される可能性があります。16年4月に航空自衛隊機がイラクからクウェートに邦人10人を輸送した際、暫定統治機構の同意を根拠としました。

いずれにしても、日本政府には、これを確実に実施し、一人でも多くの拉致被害者を日本に連れ帰っていただきたいです。

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2014年10月15日水曜日

クマラスワミ報告の反論書の公開検討 岸田外相―【私の論評】産経新聞元ソウル支局長が起訴され、拘留が延長されている今は韓国の異様さ、異質性が際立っている。この時を逃さず公開すべきだ(゚д゚)!

クマラスワミ報告の反論書の公開検討 岸田外相

国連に無責任な報告書を提出したラディカ・クマラスワミ
岸田文雄外相は15日の衆院外務委員会で、慰安婦を強制連行された「性奴隷」と認定した1996年の国連人権委員会の「クマラスワミ報告書」に対し、日本政府が作成した反論文書の公開も含めて検討していることを明らかにした。

日本政府は当時、報告書について「事実調査に対する姿勢は甚だ不誠実」などとする反論文書を作成し、国連に提出。その後、内容を差し替えて再提出していた。岸田氏は差し替えの経緯について「文書が(他国から)『詳細すぎる』と指摘を受け、多数の国の理解を得ることを目指して簡潔な文書を改めて作成した」と説明した。

反論文書が非公開となっていることについては「当時の状況を総合的に判断した」と言葉を濁した。ただ今後については「国際社会の理解を得るのに何が最善の方法か考えたい」と述べ、公開の可能性も含め、検討する考えを示した。

【私の論評】産経新聞元ソウル支局長が起訴され、拘留が延長されている今は韓国の異様さ、異質性が際立っている。この時を逃さず公開すべきだ(゚д゚)!

韓国の、元ソウル支局長が起訴するなど傍若無人ぶりについては、先日もこのブログに掲載したばかりです。
熊坂社長声明「言論の自由への明白な侵害」 産経前ソウル支局長起訴―【私の論評】今回のこの出来事で、「韓国に対しては反論すべきは反論し、水掛け論にもっていき、後は捨て置け」という措置が最も相応しい事が実証された(゚д゚)!
この記事では、あたり前のど真ん中で、あのようなことで、元支局長を起訴するなどとんでない非道であることを掲載しました。

結論としは、タイトルどおり、 「韓国に対しては反論すべきは反論し、水掛け論にもっていき、後は捨て置け」というものです。

韓国の非道ぶりに関しては、私だけではなく、多くの人々が憤っています。韓国批判で有名な竹田常厚氏は、以下のようなツイートをしています。
かなりご立腹のようですが、これは、当然といえば当然です。多くの人々がこのような憤りを感じていることでしょう。

韓国の今回の蛮行は、日本国内のみでなく、海外でもかなり問題視されています。

まず、アメリカは、先にあげたこのブログの記事の中にも掲載したように、以下のような対応をしています。

米国務省のサキ報道官は8日の会見で、「起訴されたとの報道は承知しているし、当初から捜査状況を見てきた。それ以上の詳細はわからない」と話したうえで、「我々は広く言論や表現の自由を支持しているし、韓国の法律への懸念もこれまで示してきた」と話した。国務省は2013年版の人権報告書の中で、韓国について「法律が名誉毀損(きそん)を幅広く定義して刑事罰の対象としており、取材活動を萎縮させる恐れがある」と指摘していた。

サキ報道官

当然といえば、当然の反応です。

そうして、本日は以下のような報道がありました。
韓国検察起訴「あぜんとした」…国境なき記者団
国境なき記者団代表ロベール・メナール氏
韓国の検察当局が産経新聞の加藤・前ソウル支局長を在宅起訴したことについて、ジャーナリストの国際団体「国境なき記者団」(本部パリ)は13日までに、「あぜんとした」と批判する声明を出した。

声明は、加藤氏のコラムのテーマとなった、朴槿恵パククネ大統領の旅客船沈没時の行動は「公益に関わる問題」と主張。その上で、有罪が確定すれば「韓国や外国メディアの自己検閲を促すことになる」と懸念を示した。 
 同団体は先月、検察当局が加藤氏を聴取した際にも批判声明を出した。
これも当然の反応です。

世界的視野からみても、今回の韓国の傍若無人の所業は、とてもじゃないですが、とても正当化できるものではないのです。

今まで慰安婦問題は、韓国側の情報戦によって、歴史が歪曲され国際的には日本にとってかなり不利な状況にあります。しかし、こと今回の事件に関しては、どう考えてみても、韓国に一方的に非があり、日本は断然有利な立場あります。

特に、慰安婦問題を世界に流布することになった、きっかけとして、 クマラスワミ報告書は大きな役割を果たしました。

しかし、この報告書は、あのとんでもない反日新聞の、朝日新聞ですらも間違いであることを認めた、吉田証言などをもとに作成されている全くの紛いものです。この報告書を国連に提出した、ラディカ・クマラスワミなる人物無責任のそしりを受けてもやむを得ないものと思います。

これに関しては、このブログでも掲載したことがありますので、その記事を以下に掲載します。
【歴史戦】「慰安婦=性奴隷」に対する日本の反論文書を入手 国連報告は「不当」「歪曲」と批判も撤回―【私の論評】エイプリル・フールなみの慰安婦問題に、そろそろ日本も決着をつけるべき時、本来史実としてあるものは、ないものより断然有利なはず(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事から、クワラスワミ報告書の要点をまとめた表を以下にコピペさせていただきます。


この要点をご覧いただければおわかりになるように、そもそも、性奴隷など事実無根であり、したがってクワラスワミ報告書も、すべて捏造です。

さて、この記事で、表題どおり、本来史実としてあるもの(日本のまともな朝鮮統治)は、ないもの(従軍慰安婦問題)より断然有利なはずという提言をしました。

しかし、今から思えば、確かに有利は有利なのですが、河野談話が発表されたり、クワラスワミ報告書が世界に流布してしまったため、一部の識者はこの問題を正しく認識するとは思いますが、あのままではなかなか無理であるとは、思いました。

しかし、今回の産経新聞元ソウル支局長の起訴が決まった現在では、韓国の異常ぶりがはっきりと、世界に認識されています。

しかも、本日は以下のような報道もされています。
韓国検察、3カ月の出国禁止延長を申請 産経前ソウル支局長起訴
これなど、本人も産経新聞の社長も、裁判を戦いぬく覚悟を示しているのですから、嫌がらせ以外の何ものでもありません。普通の日本人の感覚なら、無論起訴などしないでしょうが、もし裁判になったとしても、本人が逃亡する恐れなどがない場合はに、裁判の直前に一度帰国させるくらいのことはすると思います。

こういう異常さも、海外に伝わることと思います。

これは、日本が従軍慰安婦問題にけりをつけるのに、かなり好都合な事態です。絶好のタイミンクです。今は、韓国は先進国ではない、単なるアジアの片隅の独裁国との認識が強まっています。

今から、韓国でのおそらく十中八九韓国の茶番劇になる、裁判が終わって、さらに韓国の異常ぶりが際立つた頃までの間に、クワラスワミ報告書の反論書を公開すれば、かなり効果的であると考えます。場合によっては、一回提出するだけではなく、新たな事実も付け加え、何回かに分けて、公開するとさらに効果的かもしれません。

過去の日本では、たとえば、クワラスワミ報告書に関しても、この報告書が提出された直後に反論書を出せばよかったのでのでしょうが、時期を逸してしましいました。

今度こそ、日本政府もこの絶好のタイミングを逃さず、絶妙なやり方で公開し、従軍慰安婦問題にけりをつけていただきたいものです。そうして、これが終わったら鉄は熱いうちに打てということわざどおり、安倍首相から、河野談話を否定する新たな声明を発表していただきたいものです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2012年5月28日月曜日

チャンスを引き寄せる「味方づくり」の9箇条―【私の論評】自分のためではなく、人のために生きよ!!人のために生きることとは、大儀である!!

チャンスを引き寄せる「味方づくり」の9箇条:


画像をクリックすると拡大します。 常に自分が望むものが手に入るとは限りません。また、自分ひとりでは成し遂げられない望みを叶えるには味方の存在が必要です。信頼できる味方が増えれば、結果的に手に入れられるチャンスも増えるのです。しかし、自分の振る舞いや話し方で、他人は味方にも敵にもなります。そこでイラストレーターYumi Sakugawa氏のインフォコミックに描かれた9つの心構えが役に立ちそうです。


さて、9つの心構えとは、詳細は、Lifehackの元記事をご覧いただくものとして、柱は、以下の9つです。
1. 魅力的な人間になること 
2. 鏡のように相手と同じような行動をする 
3. 会話の最初に相手が賛同するようなことを言う 
4. 相手を尊重し大切に扱う 
5. 具体的なことより感覚的なことを言う 
6. 想像力に訴えかける 
7. 相手に親切にする 
8. あえて反対のことを言って挑発する 
9. 思いやりのある人間だと思わせる


【私の論評】自分のためではなく、人のために生きよ!!人のために生きることとは、大儀である!! 

さて、皆さん、上記の柱を見てどうお感じになったでしょうか?私は、非常に安っぽく感じました。かなり、浅薄な印象を受けました。アメリカ人は、上記のようなことで、本当に自分の味方ができると思っているのでしょうか?私には、にわかには信じがたいです。同じアメリカ人でも、Leader to Leader 財団(旧ドラッカー財団)の人なら、もっとまともなことを言うのではないかと思います。本日は、絆をイメージさせる画像とともに掲載させていただきます。


そうして、上記のような安っぽい考えは、確かに少し前のアメリカ人の価値観を体現していたのかもしれません。しかし、それが、911の頃から、そうして、リーマンショック以降から、随分変わってきたように思います。そのことに関しては、以前にもこのブログに掲載した。アメリカで普通に見られるようになってきた"スペンド・シフト"という動きです。
自分を飾るより ⇒ 自分を賢くするためにお金を使う。
ただ安く買うより ⇒ 地域が潤うようにお金を使う。
モノを手に入れるより ⇒ 絆を強めるためにお金を使う。
有名企業でなくても ⇒ 信頼できる企業から買う。
消費するだけでなく ⇒ 自ら創造する人になる。
これは、アメリカの消費傾向についての書籍『スペンドシフト』に掲載されていたことです。この書籍は、主に消費について語っているので、まとめると上の4本の柱のようになります。しかし、その根底には、「社会」「地域」というキーワードが浮かびあがってくることがわかります。 これはもとりもなおさず、「人のために生きる」ことを意味しています。


こんな、浅薄なことをいくつもするより、本当の意味での、自分にとっての味方を得たいと思えば、まずは、上の9本の柱などどうでも良く、その根本には、「人のために生きる」という精神が重要なはずです。


根底に、まずその考えがあって、上記の柱というのなら、まだわかりますが、最初から、上の柱では、味方というより、単なるその時々の利益を共にする集団しかつくれないと思います。今の政局と同じです。


「人のために生きる」とは、自分のために生きるのではなく、まずは、親や子供のために生きること。家族のために生きること、地域のために生きること、社会のために生きること、広くは、日本のため、世界のため生きるということです。人


社会に大きな影響を及ぼした、元アップルCEOの故スティーブ・ジョブズ氏は、生前「社会に、one more thing を付け加えよ」と力説していました。この"社会"という言葉に注目していただきたいです。この言葉の意味するところは、無論、「人のために生きる」ということです。ただし、人ためというとその範囲がはっきりしないので、敢えて人々の集まりである「社会」という言葉を使ったのだと思います。


そうして、日本では、古から、「人のために生きる」ことを「大儀」と呼んでいます。さて、大儀という言葉、以前にもこのブログに掲載したことがあります。それを下に画像、動画も含めてコピペしておきます。
そうして、この「大儀」という言葉は、41年前の、11月25日に自決された故三島由紀夫先生のことを思い起こさせます。無論、先生は、ご存知のように大儀に殉じたわけですが、先生は、生前からこの「大儀」という言葉をしばしば口にしておられました。 
しかし、三島先生が語っていた「大儀」は、無論ビジョナリーなども含むし、日本国とか、地域のためとか、会社のため、自分の属する組織のためということもありますが、私が最も印象に残っているの以下のような言葉です。 
「人間は、自分のことだけ考えて、生きて死んでいけるほど強くない。自分のこと以外を考えなければ、生きていけない。この自分のこと以外というものが、大儀であります」 
三島先生の語り口は、いつもこのような感じでした。一つも押し付けがましいことはいわず、真理をついている言葉だったと思います。 
この言葉の持つ意味、誤った個人主義が跋扈する今はほとんど忘れさられているようにも思われましたが、私は、あの東日本大震災で、そうではなかったことを思い知らされました。そうです。あの震災直後の被災地の人々の沈着冷静さです。それに、自分の命もかえりみず、地域の人々を助けようと奔走した人々です。食料や水の配給のときも、列を乱さずに、騒ぐこともなく、じっと耐えながら待っていた多くの人々です。 
 
そうして、あの状況の中本当に粉骨砕身して、生存者を救うばかりか、ご遺体の収集に奔走した自衛隊員たちです。これらは、まさに、自分自身のことだけを考えている人の所業ではありません。普段は、そうでもないように見えていても、いざというときに、出てきた、多くの人々の本当の姿だと思います。 
ちなみに、この言葉を語っている先生の生前のインタビューの動画がありますので、それを下に掲載します。 
結局、自分のために生きることばかり考える人は、どんなに意思が強かったとしても、すぐに、倒される弱い人間になるざるを得ないということです。人のために生きて初めて強くなれるし、本当の意味での味方もできるということてす。個人でも、組織でも、自らのために生きるだけでは、強くはなれません。なぜなら、人は、社会の中で生きる生物であり、組織は、社会の機関に他ならないからです。


皆さんは、どう思われますか?

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