「Chrome」が持つウェブ新興企業への可能性(この内容をご存知の方はこの項を読み飛ばしてください)
文:Bob Walsh(CNET News.com)
翻訳校正:ラテックス・インターナショナル
2008/09/05 17:07
Googleの「Chrome」がMicrosoft、Firefox、現在のインターネットの運命にとって何を意味するのかを取り上げている記事は多い。しかし、ウェブ新興企業にはどのような意味があるのだろうか。わたしが考える新興企業にとっての6つの意味は以下の通り。これらは、 Chromeが宣伝通りならばのことであり、本当にもしもの話である。
1. Chromeは現行のブラウザにとって、「DOS」に対する「Windows」のような存在だ。23年前、 Microsoftは、ばらばらの世界に秩序を提供することで、単なるソフトウェア会社の1つからMicrosoftに向けて歩み始めた。当時は、パーソナルコンピュータでアプリケーションを実行することすらできなかった。基本的には同じことを実行するが、少しだけ異なるOSが多数存在していた。アプリケーションを作成した場合、OSに合わせるだけではく、場合によってはOSの各バージョンにも合わせる必要があった。聞き覚えのある話ではないだろうか。
Googleは、金銭とイデオロギーの両方の理由で、Chromeをウェブアプリケーションの標準化されたオペレーティングシステムにすること、ウェブアプリケーションとネイティブなデスクトップアプリケーションとの区別をなくすことを目指している。つまり、Chromeがウェブアプリケーションをスタートメニュー、Dock、デスクトップから呼び出せるアプリケーションのような存在に変えるということだ。要するに、Chromeは、メモリのパーティショニング、アプリケーションプロセスの管理などのOSの主要ジョブを引き受けることになる。Chromeをプラットフォームとして使用すれば、ウェブを主な感染手段として利用するウイルス、マルウェアに関する不安が解消されるなど、著しい利点があると、Googleは述べている。
今日、ウェブアプリケーションにとっての最大の障害は、ブラウザをクラッシュさせるほかのウェブアプリケーションだ。Googleはこれに終止符を打とうとしており、Chromeの機能、優先順位はこの目的に沿っている。
2. ChromeはJavaScriptをゼロから再構築している。現在のウェブアプリケーションの主な難関は JavaScriptだ。当初、かわいらしい小さな音を奏でる手段程度にすぎなかったJavaScriptは、「Ajax」プログラミング、そして prototype、script.aculo.us、extjsのようなすばらしいJavaScriptライブラリによって、その能力を最大限に発揮するようになった。
しかし、13年後の現在、ブラウザに組み込まれたJavaScriptインタープリタは下り坂だ。負荷を担うことができず、ざるのようにメモリリークを発生させる。Googleは、米国から離れたデンマークで、まったく新しいJavaScriptインタープリタである「V8」を構築した。V8は Chromeに組み込まれ、Googleのオープンソースライセンスで提供されている。
このことは何を意味するのか。広告主が注目しているオンラインビデオの革新を例にとってみる。ビデオを表示するブラウザ、アクセスするメインのインターフェースの言語が、1992年の最先端ではなく、現在のコンピュータ科学に基づいているとしたら、有用かもしれない。
3. 町にGoogleという新しい保安官がやってきた。今まで何度、お粗末なJavaScript機能、プラグイン、巨大な画像によって、ブラウザが停止したことだろうか。Chromeは、不正な処理を行ったコードのサンドボックスの役割を果たすだけでなく、ユーザーが簡単に原因を特定できる。Chromeにはタスクマネージャが組み込まれており、帯域幅の問題が明確になる。Chromeはとてつもなく高い期待を抱かせる。 Chromeを使えば、ウイルス、スパイウェア、マルウェア、キーロガー、フィッシングがサンドボックスで捕らえられるようになると、Googleは明言している。ネットが今日の主な感染源だとすれば、Googleはネットの悪人と戦うことになる。現在の警察と同様、Chromeは、あっという間に、すべてのウイルス対策ソフトウェアベンダーのビジネスに影響を及ぼすようになるかもしれない。
4. Googleが閉鎖されたソーシャルネットワークに引導を渡す。GoogleがChromeを拡張し、ネットサーフィン中に同じサイトを同時に見ている友だちと連絡を取り合えるようになるには、あとどれくらいだろうか。いつか、Googleが自社のソーシャルネットワークイニシアティブ(「Google Share」から「OpenID」のサポートの強化、「Gmail」で使える「Google Talk」のインスタントメッセージング機能などすべて)をまとめ、誰もが使える統合されたChrome対応のサービスを提供するようになるのだろうか。
5. ChromeのエクステンションAPIがまもなく登場する。準備を整えておこう。Firefoxの巨大なエクステンション APIの「エコシステム」は、Firefoxの導入に大きく貢献している。今日リリースされているChromeのベータ版ではエクステンションAPIはサポートされていないが、間違いなく、計画されている。Chromeを生み出すオープンソースプロジェクトのホームページであるChromiumからは今後も目が離せない。
まだまだ、潜在能力を発揮していない?(ここもウザイと思う方は読み飛ばしてください)
さて、Chrome(クロム)を私もダウンロードしてみました。まだほんの少ししか使っていないので、そのよさはまだわかりませんが、画面はいたってシンプルです。
以下からダウンロードできます。皆さん是非お試しくだい。
でも、このブラウザ潜在可能性はすごいと思います。丁度、DOSからOSに切り替わったときのような感じがします。DOSとは言っても、MSDOSの他にCP/Mやその発展系のDR-DOS(※1)なんてものがあった時代もありましたね。windowsのはるか前から、OS2というIBMが開発したOSもありましたね。このへんの話題を知っている人はいまでは少ないと思います。あのあたりの、PCMやOS2がなぜ普及しなくて、MSDOSやwindowsが普及したのかなどを考えれば、今後どのようなブラウザが普及していくかわかるような気がします。若い開発者の皆々様方には、この文書のしたの方に、CP/Mなど入手先を掲載しましたので、これを機会に是非MSDOSなどとの比較をしてみてはいかがでしょうか?
私は、以前からweb2.0の定義については「ブラウザをOSのように使って提供する様々なサービス群」としていました。実はこのブログができるずっと前、それこそ10年くらい前から、このようなサービスが主流になるであろうことはわかっていました。
そうして、社内のレポートではそのころ、このことを書いていました。そうして、このレポートの結果として、私たちの会社のコンピュータシステムは、サーバーをデータ ウェアハウスに設置してあります。あの当時としては、画期的なことだったと思います。
自分のところにデータをおかずに、データハウスウエアにインターネッ ト経由でアクセスする形になっています。ところが、私の予想で外れていたのは、ほとんどのサービスが法人向けで、いわゆる法人は、様々なサービスをパッケージソフトで実現するのではなく、多くのサービス提供会社からweb経由で受けることになるだろうと予測しました。
これは、まさしくweb2.0的な発想だったのですが、一ついえることは、一般ユーザーがこのように無料で今のようなweb2.0的なサービスを受けられるようになっているとは思いませんでした。
そうです、googleのように広告収入を得て、ユーザーに無料で様々なサービスを提供するようになるビジネスモデルに関しては、予測できませんでした。もし、これが予測できれば、素晴らしいことになっていたかもしれませんね。
Googleの目指しているのは単なるブラウザの提供ではない、IT業界のアンラーニングであり、革新だ!!
さて、それでもおそれず私の予測をまただしてみます。近い将来に、ChromeとGoogle gearsのコラボレーションがおこります。Chromeが素晴らしいブラウザであっても、現状のようにブラウザ内だけで完結する機能には限界があります。
Google Documentが MS Officeのように普及しないのもこに原因があると思います。Google GearsがChromeと共に普及すると、以下のようなことが起こります。
まず、WindowsといったOSは、重要でなくなります。全てはブラウザとそれを支えるgearsで完結できるようになります。要するに、OSに変わって、ブラウザOSとでも呼べるようなものができあがり、その中には機能が拡張されたgearが内包されるようになると思います。ユーザーは、インターネットを使っていようが使っていまいが、シームレスに使えるようになります。
どうでしょう。Winsows今からすれば、相当昔に開発されたものです。その根底にあるのは、MSDOSです。インターネットなど普及する以前に全くインターネットとは関係なしに作られたものです。だから、ここにきて少しガタが来ているのだと思います。新しいOSを発表するたびに、大量のバグが発生しています。
ここで、いわゆるアンラーニング(学習棄却)をして、インターネットがあること、これからも爆発的な普及をしていくことを前提としたOS。そうです、ブラウザOSを創出してユーザーインターフェースとしても、開発をするにしてももっとシンプルでわかり易い直感的なシステムを作り出すことが、Google長期戦略なのだと思います。そうしてGoogleの強さは、この開発に失敗したとてもそれは、それで良いことであり、次世代ブラウザOSに対して一石を投じて、インターネットの世界、自分たちのビジネスモデルの強化を狙っているのだと思います。
Micro Softもぼんやりしていると、Googleの戦略により、潰されてしまうかもしれません。しかし、Micro Softにもチャンスはあります。それは、上記で述べたアンラーニングを行うことです。いままで、DOSのWindowsなどの過去の資産は、捨て去り、Googleとは立場が違うもののやはりブラウザOSをつくるのです。
これは、一般IT企業にもいえると思います。いまや、OSがどうのこうのより、ブラウザOSを手がけるか、次世代ブラウザOSに載る新機能、新サービスを考えるべきです。
過去にweb2.0、ITに関して掲載した記事は下から見ることができます。以下の反転文字をクリックしてください。意外なものが含まれています。こちらも是非ご覧になってください。
(※1)
CP/M
Digital Research社は滅ぶとも、CP/Mファンは今でも健在です。
なんと、CP/Mはソースコードが無料で公開されています。
http://www.mathcs.emory.edu/~cfs/cpm/で、CP/M80, CP/M86, CP/M68K, GEM, MP/M, CP/NETなどが得られます。
CP/Mは各CPUに対応したDOSのようなOSです。
というよりも、MS-DOSがCP/Mを真似したのですが。
CP/M68Kには、68K用のCコンパイラ まで含まれており、非常にお徳です。:-)
GEMはDOSの管理下で動作するGUIで、Windows1.Xよりも前に、Macintoshライク な環境を実現していました。
Atari-STシリーズのGUIと言えば、分かる方もある でしょう。最初は画面上に「ゴミ缶」があったのですが、Apple社に訴えられて、 ゴミ缶は消えました。
MP/Mは時分割で動作するマルチユーザのOSです。
8bitの8080で動作し、完全プリエンプティブなOSです。
1970年代末期に、すでに8080に大型計算機と同じような環境があったのです。
これは是非、ゲットして試してみたいものです。
CP/NETはMP/Mをサーバとしてネットワーク環境を実現するものです。CP/NETは MP/M IIと同時にリリースされました。
これらのOSのソースが得られるのですから、世の中、進んだものです。
これらのソースを得て、先達のコードを味わうのは、楽しいことでしょう。
DR-DOS
DR-DOSはCP/Mを源とするMS-DOSコンパチブルなOSです。
CP/MはDigitalResearch社が8bitの8080用に開発し、8086へ移植してCP/M86、そ の後DR-DOSとなりました。
DR-DOSは、Novell社に買われて、現在はCaldera社が権利を所有してい ます。
そのCalderaはDR-DOSを無料で配っています。
http://www.caldera.com/でDR-DOSの最新版やlong file name対応のβ版が入手できます。
世の中には本当にフリーなFreeDOS( http://www.freedos.org/ )などもあるようですが、いにしえのDigital Research社を偲ぶのも一興でしょ う。
(※2)OS2
正式名称は「IBM Operating System/2(IBM オペレーティングシステム/2)」および「Microsoft Operating System/2(マイクロソフト オペレーティングシステム/2)」である。「2」は次世代のOSという意味とされる。
略称は「IBM OS/2」「Microsoft OS/2」である(「MS-DOS」のように、「MS-OS/2」と略される場合が非常に多いが正式名称ではない)。
PC DOSとMS-DOSの際と同様に、IBMからは「IBM OS/2」が、マイクロソフトからIBM以外のメーカーへのOEM供給版は「Microsoft OS/2」とされた(ベースは同一だが、IBM版のみに拡張版(EE)が存在した)。
バージョン2以降はIBM版のみである。「OS/2 Warp」はバージョン3から付けられた名称である。
- DOS互換環境
- バージョン1は、1つのみ。メモリ制約が多く、特に日本で不評であった。
- バージョン2以降は、複数(マルチ仮想DOSマシン、MVDM)。複数のDOS環境同士でプリエンプティブ・マルチタスクに稼動する。WindowsのDOSコマンドプロンプトや、更にはDOS自体と比較しても、DOSアプリケーションが使用できるコンベンショナルメモリが広く安定している場合があり、注目された。
- Windows互換環境(WIN-OS/2)。エミュレートではなく、マイクロソフトのライセンスを含むWindows本体のモジュールをOS/2のMVDM上で稼動させたため、互換性が高く、複数のWIN-OS/2同士でプリエンプティブ・マルチタスクにも設定できた。
- バージョン2は、Windows3.0相当
- バージョン2.1以降は、Windows 3.1相当
日本では日本電気、東芝、富士通、AX各社などにより採用され、DOS/Vに続きOADGの標準化にも採用された。しかしWindows 95およびWindows NTとの競争に敗北し、サーバやネットワーク端末の組み込みOSとして継続された後、現在は販売されておらずサポートも終了している。
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