2015年9月3日木曜日

習主席&朴大統領、安倍首相にすり寄り 背景に経済的苦境 日中韓首脳会談へ―【私の論評】安倍総理への擦り寄りと同時に、抗日70周年パレード挙行というこの矛盾の源は中共正当性の脆弱さにあり!


中韓首脳会談で、習主席(右)と握手する朴大統領。危険な一線を踏み越えた

 中国の習近平国家主席と、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が、安倍晋三首相に折れてきた。北京の人民大会堂で2日、中韓首脳会談を行い、来月末にも、ソウルで日中韓首脳会談を開催する方向で一致したのだ。背景には、安倍晋三首相の「米議会演説」や「戦後70年談話」が成功したうえ、中韓両国の経済的苦境もありそうだ。

 習氏「(中韓)両国人民は日本の侵略に対する抵抗と、民族解放の戦いにおける勝利を通じて団結し助け合ってきた」

 朴氏「両国がともに経験した苦しい歴史が、今日の友好の大切な土台となっている」

 首脳会談の冒頭、両首脳はこう強調したという。韓国は戦前、日本の一部であり、「両国人民は…抵抗」という歴史認識はやや疑問だが、中韓の蜜月関係を見せつけるシーンといえそうだ。

 会談では、安倍首相を批判するやりとりもなく、韓国が自国開催に向けて調整中だった日中韓首脳会談に中国側が出席の意向を示した。日本政府高官も同日夜、基本的に受け入れる考えを示し、2012年5月以来の3カ国首脳会談が開かれる見込みとなった。

 中韓首脳が軟化した背景は何なのか。

 ジャーナリストで東海大学教授の末延吉正氏は「安倍外交が成功したといえる」といい、続けた。

 「安倍首相は4月、米上下両院合同会議で演説して日米同盟を深化させた。安全保障関連法案も成立の一歩手前までこぎ着けている。日米同盟の抑止力を強めた意味は大きい。8月14日に発表した戦後70年談話はよく構造設計されていて、中韓だけでなく、国内からも文句のつけにくい内容だった。こうしたなか、中韓とも経済的に厳しくなり、日本に強硬姿勢を取り続けられない状況になってきた。日中韓で外交を前進させる環境が整った。ただ、これからが勝負だ。米国も含めて国益をかけた主導権争いが展開されるだろう」と語っている。

【私の論評】安倍総理への擦り寄りと同時に、抗日70周年パレード挙行というこの矛盾の源は中共正当性の脆弱さにあり!

中韓は、上のように安倍総理に擦り寄ってきているのですが、それとは裏腹に本日は盛大な「抗日70周年パレード」を実行しています。中国共産党と軍は本日3日、北京市中心部の天安門広場と目抜き通りの長安街で「抗日戦争勝利70周年」の記念行事を実施し、軍事パレードで国産弾道ミサイルなどの新兵器を初公開、軍事力を国内外にアピールしました。
抗日70周年パレード
この抗日戦争勝利のパレードは、習近平国家主席が2012年に就任してから最大の政治イベントであり、1949年の共産党政権発足以降、抗日戦争勝利をテーマに軍事パレードを実施するのは初めてのことです。

習主席は「中国人民は巨大な犠牲を強いられながら、世界の反ファシズム戦争勝利に大きな貢献をした」と述べ、「戦勝国」としての立場をアピールしました。また、「世界各国は協力を核心とする新たな国際関係を積極的に構築すべきだ」とも述べ、中国が国際秩序への関与を強めていくことに意欲を示しました。また、中国軍の人員を30万人削減すると発表しました。

抗日70周年記念パレード前に演説した習近平

会場となった天安門広場に集まった軍隊の人員数は12,000人、軍装備品は500種類にものぼりました。また、200あまりの戦闘機が色煙で上空をカラフルに彩りました。

天安門広場上空を色煙で華やかにいろどった航空機

日本と戦ったとされる、退役軍人が100人以上も参加しました。平均年齢は90歳で、最高齢は102歳でした。習近平国家主席はこのパレードの指揮をとり、世界中から訪れる外交関係者を歓迎しました。

中国共産党は、日本の非人道的な占領は、中国に深い傷を残し、地政学的な緊張の根底になっていると主張しています。

抗日闘争は、中国共産党草創期の根幹をなすものです。共産党は自分自身を、日本によって破滅寸前まで追い込まれた偉大な文明国家を、解放してよみがえらせた救世主だと位置づけているのです。

そうして、習近平国家主席はこのシナリオにのっとり、「中国の大復興」といったスローガンを掲げ、「チャイニーズドリーム」を唱えています。

今回の「70周年抗日パレード」は、この共産党の歴史物語の集大成となるものでした。

中国は世界中のリーダーをこのパレードに招待しましたが、日本の安倍総理はもとより、アメリカのオバマ大統領も参加を見送りました。また、ヨーロッパのリーダーたちは、チェコを除いて全部参加しませんでした。北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)第1書記も参加しませんでした。

参加したのは、以下の諸国です。

【首脳級】(30人)

ベラルーシ大統領、ボスニア・ヘルツェゴビナ大統領評議会議長、カンボジア国王、チェコ大統領、コンゴ民主共和国大統領、エジプト大統領、カザフスタン大統領、キルギス大統領、ラオス国家主席モンゴル大統領、ミャンマー大統領、パキスタン大統領、韓国大統領、ロシア大統領、セルビア大統領、南アフリカ大統領、スーダン大統領、タジキスタン大統領、東ティモール大統領、ウズベキスタン大統領、ベネズエラ大統領、ベトナム国家主席、エチオピア首相、バヌアツ首相、アルゼンチン副大統領、キューバ国家評議会第1副議長、アルジェリア下院議長、ポーランド下院議長、北朝鮮・朝鮮労働党書記、タイ副首相

【政府代表】(19人)

オーストラリア退役軍人相、ブラジル国防相、フランス外相、ハンガリー外相、インド外務副大臣、イタリア外相、リビア外相、マレーシア首相特使、オランダ国務相、チュニジア国防相、ニュージーランド元副首相、シンガポール元副首相、イギリス前司法相、カナダ駐中国大使ら大使館員、ドイツ(同)、ルクセンブルク(同)、パプアニューギニア(同)、米国(同)、EU(同)

【国際・地域組織】(10人)

国連事務総長世界保健機関(WHO)、国連教育科学文化機関(ユネスコ)、国連工業開発機関(UNIDO)、赤十字国際委員会(ICRC)、独立国家共同体(CIS)、上海協力機構上海協力機構地域対テロ執行委員会、集団安全保障条約機構、アジア相互協力信頼醸成措置会議

出席者は、習近平国家主席が期待していたより多くはありませんが、彼にとってそれは大きな問題ではないのかもしれません。一番重要な観客は、テレビでパレードを見る数億人の中国人民だからです。

そもそも、中国も韓国もこのブログ冒頭の記事のように、中韓は巧みな安倍外交により、国際的に孤立しつつあるなか、両国とも経済が低迷しています。だからこそ、日本に対して擦り寄りの姿勢を見せているわけです。

それに、そもそも、現在の中華人民共和国はの建国は1949年、韓国の建国は1948年です。日本の敗戦は、1945年です。本日開催された、現在の中国、すなわち中華人民共和国による「抗日70周年パレード」はここからすでに矛盾しています。

日本が敗北した後に独立した中国と韓国が、「抗日70周年記念パレード」を祝うなどということは、歴史的にみて全くあり得ないことです。

事実、日本が戦争をしたのは、現在の大陸中国ではなく、戦後台湾に逃れた中華民国が大陸中国にあったときに、この中華民国と戦っています。ブログ冒頭の記事では、パレードはに「日本と戦ったとされる、退役軍人が100人以上も参加しました。平均年齢は90歳で、最高齢は102歳でした」という記述がありますが、これはかなりの矛盾です。

この退役軍人とやらに、直接インタビューしてみれば、それはすぐに虚偽であるということがわかるでしょう。もし、彼らが本当に戦ったとすれば、その当時は、中華民国に属していた人がほとんどで、戦後に台湾に逃れずに大陸中国に残った人々であると考えられます。

そうでない人は、当時は、毛沢東の共産党ゲリラに属した人たちかもしれませんが、彼らが戦ったのは、中華民国であって、日本とは戦ってはいません。たとえ、戦ったとしても、本格的な戦争で戦ったというのではなく、ほんの小競り合い程度のものと考えられます。

国民党軍空爆を避け、延安から脱出する毛沢東
韓国に関しては、日本が大東亜戦争に敗北したときには、日本の統治下にありました。独立したのも、日本と戦って独立を勝ち取ったというわけではなく、大東亜戦争後にアメリカに統治され、その後に独立しました。

こんな歴史修正は明白なことなので、多くの国々が、「抗日70周年パレード」には参加しなかったのです。特に第二次世界大戦の真の戦勝国である、アメリカや、EUの国々は、そんなことは重々承知であり、そのような歴史を修正するパレードに参列してしまえば、中国の歴史修正を認めたことになるし、それを認めれば、中国を戦勝国として認めることになるからです。

このような歴史的事実があるからこそ、過去の中華人民共和国は、「抗日70周年パレード」など一度も行ったことはありませんでした。

しかし、今日それを行うにはそれなりの意味があります。これは、上で述べた中国共産党の、「日本の非人道的な占領は、中国に深い傷を残し、地政学的な緊張の根底になっているとの主張」に多いに関係があります。

先に述べたように、共産党は自分自身を、日本によって破滅寸前まで追い込まれた偉大な文明国家を、解放してよみがえらせた救世主だと位置づけています。

なぜこのような主張をするかといえば、そうしなければ、現中国共産党中央政府の正当性を主張できないからです。共産党中央政府は、建国当初とてつもない惨禍を中国人民にもたらしました。

これについては、以前のこのブログでも掲載したことがありますので、その記事のURLを掲載します。
陳腐すぎるアカ攻撃 菅や仙谷などタダの政権亡者―共産主義は良い思想ですか?
菅氏が総理大臣だった頃の民主党政権の管理総理と閣僚
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事はまだ日本が菅内閣による民主党政権だった頃の記事です。以下に、中国人民の惨禍の部分を掲載します。
20世紀は「戦争と革命の世紀」だったということができます。そして、革命はもちろん多くの戦争に関わって、多数の犠牲者を出したのが、共産主義でした。この共産主義の総括をすることなくして、21世紀の世界を語ることはできません。  
◆犠牲者は1億人
平成9年(1997)にフランスで『共産主義黒書』が刊行されました。本書は、共産主義の犯罪を厳しく検証しています。編者ステファン・クルトワによると、共産主義による犠牲者は、8,000万人から1億人にのぼるとされます。この数字は、ヒトラーのナチズムによる犠牲者数とされる2,500万人を軽く上回ります。(恵雅堂出版から一部翻訳あり) 
クルトワは同書において、共産主義体制により殺害された犠牲者数の国・地域別の一覧を提示しています。それによると、 
ソ連       2,000万人
中国       6,500万人
ベトナム       100万人
北朝鮮       200万人
カンボジア     200万人
東欧         100万人
ラテンアメリカ     15万人
アフリカ       170万人
アフガニスタン  150万人
コミンテルンと権力を握っていない共産党   約1万人
-----------------------------------------------------
総計         約1億人
となっています。 
ソ連と中国における犠牲者が圧倒的に多いわけですが、ソ連に関してはかなり控えめの数字です。次に書くように、6,200万人という数字も出されているからです。
・・・・・・・・・・・〈中略〉・・・・・・・・・・ 
◆中国の場合
 毛沢東は、昭和32年(1957)2月27日、「49年から54年までの間に80万人を処刑した」と自ら述べています。(ザ・ワールド・アルマナック1975年版)。周恩来は、同年6月、全国人民代表大会報告で、1949年以来「反革命」の罪で逮捕された者のうち、16%にあたる83万人を処刑したと報告しています。また、42%が労働改造所(労改、強制収容所)に送られ、32%が監視下に置かれたと述べています。 
毛沢東は、その後もさまざまな権力闘争や失政を続けましたが、丁抒らの研究によると、大躍進運動と文化大革命によって、2,000万人が死に追いやられたとされています。  
『共産主義黒書』では、ジャン・ルイ・マルゴランが、ほぼ信頼できる数値として、内戦期を除いた犠牲者の数を、次のように総括的に提示しています。 
・体制によって暴力的に死に至らしめられた人
 700万~1,000万人(うち数十万人はチベット人)
・「反革命派」としてラーゲリに収容され、そこで死亡した人
約2,000万人
・昭和34~36年(1959~61)の「大躍進期」に餓死した人
 2,000ないし4,300万人
このようなとんでもない惨禍をもたらした中国では、どの家庭でも、親戚などの身内や、その縁戚まで含めると、少なくとも誰か一人くらいは毛沢東などにより、命を失っているという状況です。ですから、本来建国の父である毛沢東を国家の英雄として祀り上げることができません。

そうして、建国の父がそのありさまでですから、現中国共産党中央政府の統治の正当性など、もともと希薄なわけです。こんな、中国ですから、建国以来毎年平均して、2万件もの暴動が発生したといわれています。それでも、中国は軍事力によって、人民をおさえつき、何とか治安を維持することができました。

しかし、2010年あたりからは、暴動の件数など発表しなくなり、おそらく毎年10万件以上あるのではと推測されているという状況です。

そんな状況の中で、習近平政権が登場したわけです。習近平としてして、自分を中心とする共産党政権の統治の正当化し、その存立基盤を盤石にしようとしました。

そのため、上にも掲載したように、習近平国家主席はこのシナリオにのっとり、「中国の大復興」といったスローガンを掲げ、「チャイニーズドリーム」を唱えたのです。

そうして、今回の「70周年抗日パレード」は、この共産党の歴史物語の集大成となるものだったのです。

習近平の掲げる中国夢、クリックすると拡大します。

要するに、今回のパレードは、中国共産党の正当性を盤石にするための、共産党の修正歴史物語の集大成であるということです。だからこそ、このパレードは、共産党政府の人民に対するデモンストレーションなのです。

 そのような嘘物語を人民にデモンストレーションしなければならない、中国の体制は決して盤石とはいえません。

実際、最近では、経済も落ち込み、さらに西側には、第二イスラム国の脅威も迫り、AIIB(アジアインフラ投資銀行)の失敗は確実のものとなり、外交的には安倍外交に完膚なきまでに打ちのめされ、そのため、習近平は国内では、日本を悪者にしたてて、中国内の求心力を高め、国外では日本に対する擦り寄り姿勢を示す、という苦しい状況に追い込まれているのです。

中韓の安倍総理への擦り寄りと、抗日70周年パレード挙行というこのあい矛盾した、出来事が、ほぼ同時に起こっているのは、こうした苦しい国内事情が中国にはあるからです。

韓国も同様です。韓国の場合も、日本から独立を勝ち取ったというわけでもなく、建国直後から独裁政治が行われました。民主化されたのは、1987年6月29日からであり、韓国の盧泰愚大統領候補(民主正義党代表委員)が発表した政治宣言で正式名称は「国民の大団結と偉大な国家への前進のための特別宣言」により民主化が行われました。そのため、韓国政府の正当性は元々希薄です。

韓国は共産主義国家ではなかったので、上で示した、共産主義黒書には、記載がありませんが、独裁政権のときには、中国ほどではありませんが、多くの国民を虐殺したという忌まわしい出来事がありました。

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民主化の進展によってそれまで隠されてきた数々の事件が明るみとなりましたが、その規模の大きさと、自分たちの政府・軍が国民を大量に殺戮したという歴史的事実の重みにより、韓国人自身が歴史から目を背け、真実を明らかとすることを拒んできた。

以下に主な事件を列挙します。

済州島四・三事件

1948年4月3日に済州島で起こった島民の蜂起にともない、韓国政府・韓国軍・韓国警察などが引き起こした島民の虐殺事件。島民の5人に1人にあたる6万人が虐殺され、済州島の村々の70%が焼き尽くされた。韓国軍は島民の住む村を襲うと、若者達を連れ出して殺害するとともに、少女達を連れ出しては数週間に渡って輪姦、虐待を繰り返し惨殺した。

麗水・順天事件 

1948年10月19日、済州島四・三事件鎮圧のため出動命令が下った国防警備隊第14連隊(約2,000名)が反乱を起こした。韓国政府は直ちに鎮圧部隊を投入し、1週間後の10月27日には反乱は鎮圧された。事件後、韓国政府の左翼勢力摘発は過酷を極め、反乱部隊に加えて、反乱共謀者として非武装の民間人8000名を殺害した。

聞慶虐殺事件

1949年12月24日に大韓民国慶尚北道聞慶郡(現:聞慶市)で、共産匪賊に協力したなどとして、韓国陸軍第2師団第25連隊の第7中隊第2小隊第3小隊が非武装の女性、子供、老人の88人を射殺した。事件は長らく共産匪賊による仕業とされていたが、2007年6月26日に韓国政府の犯行であったことが明らかにされた。

保導連盟事件 
1950年6月25日の朝鮮戦争勃発を受け、李承晩大統領の命令により、韓国軍や韓国警察が共産主義からの転向者やその家族を再教育するための統制組織「国民保導連盟」の加盟者や民間人など、少なくとも20万人以上を大量虐殺した事件。

江人道橋爆破事件

1950年6月28日午前2時30分頃、およそ4,000人の避難民が渡っていた漢江人道橋を、避難民もろとも韓国軍が爆破し、約500~800名が死亡した。
この橋梁の爆破によって、前線で北朝鮮軍と交戦中であった韓国軍主力の退路が断たれ、背後を遮断されたことを知った各部隊は雪崩を打ったように後退を開始し、戦線は瞬く間に崩壊することとなった。

国民防衛軍事件

中国義勇軍の参戦による戦局の悪化を打開するべく韓国政府は国民防衛軍を組織した。1951年初頭、韓国は北朝鮮・中国両軍の攻勢を受け、前線からの後退を決定し、およそ50万の将兵が大邱や釜山へと撤退することとなった。この撤退の際に、国民防衛軍司令部の幹部達が国民防衛軍に供給された軍事物資や兵糧米などを不正に処分・着服。

その結果、極寒の中を徒歩で撤退する将兵達に対する補給物資が不足し、9万名余りの韓国軍兵士が餓死・凍死する「死の行進」となった。

江華良民虐殺事件

1951年1月6日から1月9日にかけて、韓国軍、韓国警察、民兵は北朝鮮統治時代に北朝鮮に協力したなどとして島民212人から1,300人を虐殺した。この事件前の1950年には、保導連盟事件で、すでに140人の島民が虐殺されていた。

山清・咸陽良民虐殺事件

 1951年2月8日、韓国陸軍第11師団第9連隊第3大隊は
居昌郡に隣接する山清郡今西面、咸陽郡柳林面の一帯にある12の村々の住民705人を集め、パルチザン殲滅と称して殺害した。

居昌良民虐殺事件

1951年2月9日から2月11日にかけ、2月8日に山清・咸陽良民虐殺事件を引き起こした 韓国陸軍第11師団第9連隊第3大隊が共産匪賊のパルチザンを殲滅するためと称し、無実の市民を719名を虐殺した。犠牲者お内訳は、3歳以下100人、4~11歳未満191人、11歳~15歳未満68人、15歳~60歳未満294人、60歳以上66人であった。

韓国においても、建国後これだけ酷い虐殺が繰り返されたため、韓国政府自体の統治の正当性は希薄です。そのため、民主化された後の韓国政府も統治の基盤が脆弱であるため、過去の歴史を修正し、日本を悪者に仕立てて、統治の正当性を強化しようと努力し、「慰安婦問題」などもその過程ででてきたものです。

以上簡単にまとめると、中韓は、政府の統治の正当性が低いため、それを補うため日本を悪者に仕立てる歴史修正を行ってきたという過去の歴史があるということです。これがうまくいかなければ、政府の存在そのものが危険に晒されるのです。本来は、全く新たな政府をつくりだすとか、今の政府の統治の正当性を増すべく様々な努力をすべきものを、日本を悪者に仕立てるという安易な道を選んでしまったため、大きななつけが今日まわってきたということです。

日本としては、中韓の擦り寄り姿勢があったにしても、安易に資金援助などするべきではありません。安倍総理としては、すくなくとも、東シナ海の日中中間線の自国側海域で、海洋プラットホーム(軍事転用可)増設の軍事的脅威を取り除くことを約束させ、約束だけではなく、実行させることはもとより、南シナ海の脅威も取り除くことを約束させるべきです。


それにおよばず、現代中国共産党中央政府の国内問題である、民主化、政治と経済の分離、法治国家化に関しても、改善を要求し、その期限ももうけさせるべぎてす。

中国の日本に対する軍事的脅威を取り除いた後、上記の要求を期限付きで実行を開始しはじめたことをもって、中国とまともな交渉にはいり、援助するなり何をするなりの具体的な行動を起こすべきです。そうして、中国が約束をなかなか履行しないのなら、援助はすぐに中止すべきです。

そうして、国内において、憲法解釈変更にによる集団的自衛権の行使に関する安保法制を成立させ、中国に約束を履行させるための担保とすべきです。これがなければ、中国は過去もそうであったように、いつでも約束を反故にすることでしょう。

このようなことを中国が承諾しない限り、安倍総理は習近平にはにこやかに対応しつつも、こちら側からは何もしないという姿勢を堅持すべきです。

韓国に対しては、中国の出方に大きく左右されますから、日本としては、中国への対応を厳しく行い、韓国に対しては、歴史修正の部分に対しては厳しい対応をして、後は放置という方針を貫くべぎです。

私は、そう思います。私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年9月2日水曜日

五輪エンブレム撤回に追い詰めた「ネット捜査」の功罪 森元首相に責任論も… ―【私の論評】現代の高度知識社会に適応できない人々(゚д゚)!

五輪エンブレム撤回に追い詰めた「ネット捜査」の功罪 森元首相に責任論も… 

佐野氏デザインによる五輪エンブレムのポスターを剥がす自治体職員

新国立競技場に続く、五輪エンブレムの使用中止。公表から約1カ月で国家的事業の組織決定を覆したのは、ネット社会の徹底した疑惑追跡だった。ネット上には「ネット民大勝利!」との言葉が踊る一方、制作者の佐野研二郎氏(43)に対する個人攻撃も過熱し、ネットの功罪が浮き彫りに。決断を遅らせ傷を広げた運営側の責任は明確にされず、新国立問題とうり二つの玉虫色の決着となった。

「ネット民大勝利!」「ネットがマスメディアと大手広告代理店に勝利した」…。1日に使用中止が報じられると、ネット上のサイトには、歓喜ともいえるコメントが次々と書き込まれた。

新潟青陵大学大学院の碓井真史(まふみ)教授(社会心理学)は、「ネット上で、類似作品や写真の無断使用など次から次と発覚した。検証には相当多くの人が参加したとみられる。それなりの専門性を持った人もいたと思うが、素人でも力を合わせると、プロでも簡単にできないことができてしまうということ。ネットの集合知で、事実が明らかになったのはすごいことだ」と話す。

検索サイト「グーグル」では画像ファイルを入力すると、類似の画像が表示される機能があるなど技術の進歩もあった。「STAP細胞論文問題でもネットが先行した。リアルな世界では権威ある人を批判することはリスクを伴うが、ネット上は権威に関係なく自由に発言でき、その成果だ」と碓井氏は続ける。

一方で、個人攻撃がエスカレートしたことも事実だ。佐野氏は1日、メディアへの批判とともに「もうこれ以上は、人間として耐えられない限界状況」と深刻なネット被害を訴えた。個人の会社のメールアドレスが話題となり、連日中傷のメールが送られてきたほか、記憶にないショッピングサイトやSNSから入会確認のメールも届いたという。家族や無関係の親族の写真がさらされる事態にもなった。

佐野研二氏


碓井氏は「この人は悪い人となると、何を言っても構わないとリンチのような状況が起きる。リアルな場面では警察が介入して止めることができるが、ネット上ではある方向に動き出すと、止められない怖さがある」と指摘する。

佐野氏にはもちろん非はあるが、対応が後手に回った運営側の責任はうやむやのままだ。

「結局、誰に責任があるのか」。1日の大会組織委員会の会見ではたびたび質問が飛んだが、元財務次官で組織委の武藤敏郎事務総長は、「さまざまな人がかかわった。どこか一カ所に責任を負わせるべきではないと思うし適切ではない」と歯切れの悪い回答に終始。「選んだのは審査委員会。状況に対処して新しいものを作っていくのがわれわれの責任」と繰り返した。

遠藤利明五輪相は2日の衆院文科委員会で、「組織委、審査委員会、デザイナー、三者三様の立場で責任がある」との見解を示した。

そんな中“戦犯”にあげられているのは、元首相で組織委の森喜朗会長だ。関係者の間では、新国立問題に続き、エンブレムまで白紙撤回することで森氏に恥をかかせられないとの配慮が働いた、とする見方が少なくない。森氏は1日、取材陣に囲まれ「残念な結果になった」と問われると「何が残念なんだ」とムッとした表情で語った。

森氏の辞任を求める声は高まっており、スポーツ評論家の玉木正之氏は「遅きに失したが、新国立問題に続いて見直しの方向に進むのは評価できる。国家的プロジェクトで問題が相次いだのだから、森氏は責任をとるべきだ」と語る。

エンブレムのデザインは今後、公募をやり直して選考する。迷走を続ける東京五輪が再び国民の支持を得られる日はくるのか。

【私の論評】現代の高度知識社会に適応できない人々(゚д゚)!

今回の、この出来事は、現代がもうすでに知識社会に突入しているというのに、まだまだ多くの人々がそれに気づいていないことを象徴しているように思えます。

われわれの社会は、もうすでにかなり知識社会に突入しています。これについて、ドラッカーは、歴史の転換期であるとしています。彼は、『ポスト資本主義社会』(1993年)において、この転換期は、1965年から1970年の間のどこかで始まり、2020年頃まで続くと語っていました。

私たちは、そのまっただ中にいて、すでにかなり知識社会に移行わけです。知識社会とは、平たくいうと、富の源泉が、従来のようにモノや、カネ、情報ではなく、知識となる社会のことをいいます。



知識社会に入ってから、知識という言葉の意味も変わりました。従来の知識といわれていたものと、現在の知識といわれるものとの意味あいは異なります。従来の知識ある人とは、とにかくモノを知っている人という意味でした。だから本をたくさん読んで、その中にあるものを記憶しているだけでも、知識人といわれました。

しかし、知識社会における、知識とは、成果を生むための高度に専門化された知識のことです。書籍などに書かれている内容は、知識ではなく情報です。

そうして、この意味での知識は高度化するほど専門化し、専門化するほどに単独では役に立たなくなります。他の知識と連携してはじめて役に立つものになります。知識は、他の知識と結合したとき爆発します。

得意な知識で一流になると同時に、他の知識を知り、取り込み、組み合わせることで大きなパフォーマンスをあげられようになります。だからこそ、現代は必然的に組織社会ともなります。無論、組織とはいっても、従来の知識社会でなかった社会のそれとは随分異なったものになります。

しかしながら、知識社会においては、知識そのものを競争力要因とするわけにはいかないのです。今日の知識社会は、情報の伝達力飛躍的な向上が前提となっています。だから、知識そのものは瞬時に伝播するようになりました。

今日新たな知識であっても、従来と比較するととんでもない速さで陳腐化して、時代遅れとなります。だからこそ、この知識社会において30年、40年にわたって手にすることのできる競争力要因は知識労働者しかないのです。

そうです。知識そのものよりも、より高度な新たな知識を生み出す知識労働者を抱えているかいなかが、現代社会における企業などの組織間競争の中で、勝利を収め続けるための重要な要素となるのです。

このことに佐野研二郎氏はもとより、大会組織委員会の人々も気づいていないのだと思います。彼らは、まだ知識社会になる以前の社会常識で物事に対処しようとしているのです。だからこそ、五輪エンブレム撤回という事態を招いてしまったのです。

ここで、話をもっと具体的にしましょう。知識社会の前提となる、情報化は随分前から整うようになりました。この最初の革命は、印刷技術でしたが、前世紀においては、コンピュータならびにそのネットワークが発展して、今日はさらに高度になりました。

知識そのものが従来と比較すると、かなりのスピードで伝播するようになりました。この恩恵は素晴らしいもので、今日のわたしたちは、コンピュータの前に座っているか、タブレット端末や、スマートフォンであれば、どこにいても、世界中のありとあらゆる、デザインを見ることができます。

これによって、多くの人々が恩恵をうけました。佐野氏もその例外ではなかったことでしょう。デザインでも、その他のアートでも、他の分野でも、最初は先人のつくったものを参考にして、模倣したり、模倣するだけではなく、そのコンセプトを学んだり、その技能や技術を学び、自らの知識を高め、新たな知識を創造していくことが、かなりやりやすくなりました。

そうして、様々な分野の知識を模倣して、自らの素早く事業を展開する人々も現れました。たとえば、iPadやiPhoneを開発したあのスティーブ・ジョブズも模倣の天才した。

これに関しては、以前このブログでも、リミックスという言葉でこのことを掲載しました。ここで解説していると非常に長くなるので、以下にその記事のリンクを掲載します。


Remixの概念は音楽業界からきている
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、いわゆる世間一般でいわれている新しいものなど、実は大部分がリミックスという手法で作成されていることを掲載しました。リミックスに関する部分のみ以下に掲載します。 
家電の開発もそうですが、何か新しいものをつくることの近道、特に私を含めた凡人にとっての近道は、リミックス(REMIX)です。REMIXとは、copy(複写)、transform(変形)とcombine(結合)です。これらをそれぞれ、単独で行うこと、あるいはいくつかを組み合わせて行うことすべてを含みます。音楽の世界でも、テレビ番組でも、映画でも、政治の世界でも、文学でも、アートでも同じです。ただし、Remixということが良くいわれるようになったのは、音楽の世界からです。しかし、ここでは、本題ではないので、詳細はのべません。しかし、皆さんも、古いアーティストとの楽曲など、リミックス版として発売されいることもあることは、よくご存知だと思います。音楽界でいう、リミックスについては、wikipediaなどで調べていただけたら、幸いです。 
あの、アップルコンピュータのOSも、マイクロソフトのOS(ウインドウズ)も同じことです。これらには、ゼロックスが開発したOSがもとになっています。マイクロソフトのwindowsは、アップルからパクったという話しがありますが、そうではありません。あのiPhoneや、iPadもリミックスから成り立っています。これらには、市場に投入する時期に失敗した、ノキアのスマートフォン、タブレット端末の手本がありました。おどろくなかれ、これらは、iPhoneか発売される5年前に原型が完成しており、iPhoneや、iPadの持っているすべてまでとはいいませんが、特徴的な機能はすべて網羅していました。 
このremixの実態については、アメリカの高画質動画サイトvimeoに4回シリーズが投稿されている「Everyghing is a Remix」にあますところなく表現されています。これだけ、分かりやすく、豊富な事例で誰もが短時間で納得できるものを私はいまだかつて見たことがありません。まさに、秀逸な動画です。

以上で、リミックスが何を意味するかお分かりになったものと思います。

ただし、この動画に関しては、英語バージョンなので、日本語バージョンもしくは、日本語字幕のついているものはないかと探してみましたが、ありませんでした。

ただし、TEDには、この動画の作成者が、リミックスについて語っていて、字幕もついているものがありましたので、そのリンクを以下に掲載しておきます。
さて、知識社会である現在では、このようなリミックスがかなり広範にありとあらゆる分野で行われていて、様々なモノ・コトが素早く市場に投入されるようになっています。市場に投入するのが遅くなれば、携帯電話の雄であったねノキアのように昨日の、トップが敗者になってしまうということも頻繁にあります。

今やインターネットで、ありとあらゆるデザインを見ることができるし、そのコンセプトも容易に理解できることが多いですかから、これはデザイン業界の世界も例外ではありません。

上の記事では、「検索サイト「グーグル」では画像ファイルを入力すると、類似の画像が表示される機能がある」と掲載してありますが、これは本当です。

以下はGoolge画像検索の画面です。

検索のキーワードを入れても画像を探しますが、カメラのアイコンをクリックすると、自分のパソコンなどに保存してある写真もしくは、サイトで探した写真のURLを入れることによって、似たような画像を多数検索できます。

本日テレビをみていたら、佐野氏がエンブレム使用例として出した、他者の撮影した、成田空港の写真のことが話題になっていました。

成田氏のエンブレム使用例は、下の写真です。

クリックすると拡大します
上の写真の右の写真は、海外のブログの以下の写真を転用したものです。エンブレムの部分のみ、切り貼りしたものです。

クリックすると拡大します
現在なら、フォトショップという写真編集用のソフトがありますから、この程度のことはインターネットで写真をダウンロードして、それをもとに加工することはそんなに難しいことではありません。

これは、リミックスの初歩的なやりかたということができると思います。東京オリンピックエンブレムに関しても、佐野氏もしく佐野氏部下などが元々のデザインをインターネットで見て、それを元にして作成した可能性は十分にあります。

それにしても家電製品などでは、リミックスなど当然行われていますがの、部品は他の製造業者から仕入れたり、ただたんに模倣するだけではなく、他の様々な要素をとりいれたりして差別化をはかっています。

また、差別化を図らないと、すぐに陳腐化してしまいます。スマートフォンの場合などは、アンドロイド端末と、iPhoneを比較すると圧倒的にiPhoneのシェアが高いそうで、やはり様々機能や、デザインが独自路線でかなり差別化されているからでしょう。それに比較すると、アンドロイドフォンは最初からGoogleに規格など決められていますから、このような結果になっているのかもしれません。

iPhoneのシェアは日本でも60%近いとする調査もある

このリミックスという考えから言うと、デザインの世界でもリミックスは当然のこととして行われているでしょうから、佐野氏を盗作だとして一概に非難することもできないと思います。

ではなぜこのようなことが起こってしまったのでしょうか。それは、このブログの冒頭の記事のようなことも無論あると思います。ただし、私はこれは本質ではないと思います。

やはり、本質は上で述べたように、佐野氏や大会組織委員会の人々が、現在が高度な知識社会になりつつあることに気づいてないことが本質なのだと思います。

知識社会の現在は、誰もが知識を得ることがたやすくなっています。インターネットをみれば、誰もが簡単に世界中の類似デザインを見ることができます。

昔なら、デザイン見比べるにしても、かなり費用と時間がかかりましたが、今では本当に簡単に瞬時でできます。

デザインなども、リミックスするにしても、ただ単純に模倣するだけでは、すぐに多くの人が知ることになってしまいます。インターネットに何らかの形で掲載されてしまえば、あっという間です。

今では、デザイナーの卵のような人や、デザインを学ぶ学生なども、当然のこととして、インターネットで普段から様々なデザインを検索して見ていることでしょう。一般の人も、ネット検索は無論のこと、ピンタレストなどのSNSで普段から様々なデザインを見ている人は珍しくありません。

ピンタレストの画面 ありとあらゆる写真を関連付けてピンすることができる

最終的に出来上がったデザインも、これを知識とみなせば、知識社会の現在、従来と異なり情報として、様々なデザインが頭の中に入っている人は質、量とも段違いです。

そんな環境の中で、簡素なリミックスをするのでは、とてもプロとはいえません。簡素なリミックスなら、現在では素人でもできるようになっています。たとえば、映像技術など今では、10年、20年前と比較すると、かなり高度な知識をネットからほとんど無償で得ることができます。それを活用して、特にそのための学校にも行かず、ブロの仕事場に弟子入りすることもなく、自分で学んで短期間でブロになっている人も大勢います。

そうして、若いときにプロになった人でも、時がたつと過去の技能はすぐに陳腐化してしまい、自ら新たな知識を獲得して、活用できるようにしなければなりません。

そんな時代には、どんな仕事も過度に競争的にならざるをえません。一昔前の時代とは競争環境が全く異なるのです。

そんな時代には、デザインの技法もかなり高度にならざるをえません。コンセプト形成にはじまり、そのコンセプトを実現すべく、色、形、配置様々な要素の高度な知識に基づいて、高度なデザインを仕上げる必要があります。

その過程でむろん、リミックスが適用されることはあると思いますが、それにしても、佐野氏のリミックスは低次元でした。この低次元なリミックスのため、佐野氏のデザインは、ネットで公開されるや、あっという間に多くの人たちに見透かされ、あっと言う間に陳腐化してしまったのだと思います。

そうして、このデザインを選定した大会組織委員会もそのような認識はなかったと思います。おそらく、佐野氏から提出されたデザインで、似たようなものがないかどうか、画像検索もあまりしていなかったと思います。

このようなことから、私は大会組織委員会のメンバーも現代の高度な知識社会に適合しているとは思えないので、メンバーを差し替えた上で、新たなデザインを選定すべきものと思います。そうしなければ、これからも似たような事例が頻繁に起こることになると思います。

それに、過去の日本はデフレのどまんなかにあったので、デフレ圧力により過度に競争することにあまり意味がなくなってしまっていましたが、今後デフレが解消されるにおよび、ふたたびインフレ圧力により、どのような分野でも商品やサービスに付加価値をつけることが求められ、さらに競争は激烈になることを忘れるべきではありません。

私はそう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年9月1日火曜日

【覚醒せよ日本】国際情勢を無視する安保反対派の異常性 空理空論で審議妨害する余裕はない ―【私の論評】安保法制賛成・反対は馬鹿を見分けるリトマス試験紙になる(゚д゚)!


国会前で行われた安保法案反対デモ=30日 (日曜日)東京都千代田区

 安全保障関連法案の国会審議を見ていると、反対派の極端な異常性を思い知らされる。安全保障に関する世界の常識と正反対のことを、彼らは主張しているのだ。

日本周辺の現状を考えると、安保法案は即座に国会を通さなければならない。空理・空論で国会審議を妨害している余裕などまったくない。

まず、朝鮮半島の状況を見てみよう。

北朝鮮は8月20日、韓国に2発の砲弾を撃ち込んだ。その後、南北会談で一時的な緊張緩和をみたが、北朝鮮は依然、周辺諸国への軍事的優位の政策を追及する構えである。日本に対する拉致問題調査の回答も先延ばしにした。拉致問題解決の道は遠のいている。

北朝鮮が3回の核実験を行い、核爆発装置を開発したことは確実だ。日本全土を射程に入れたミサイルも持っている。北朝鮮が世界で最も危険な軍事挑発国家であることに変わりはない。

一方の韓国はどうか。最近の韓国は、米韓同盟を空洞化させて、中国の引力権に入りつつある。朴槿恵(パク・クネ)大統領は、中国が3日に北京で行う「抗日戦争勝利70周年記念行事」の軍事パレードを参観する。米国が再三発した警告を無視した。米中新冷戦が現実化するなか、米中「二股外交」から「親中路線」に踏み込んだ。

韓国はそもそも、日本固有の領土である島根県・竹島を現在進行形で侵略している国家である。極端な「反日教育」もあり、実は、韓国国民の多くは「わが国の主敵は北朝鮮ではなく、日本だ」と認識している。最近の兵器調達にも、「対日本」という国防姿勢は露骨に表れている。

たとえ、韓国と北朝鮮が和解しても、朝鮮半島の日本に対する脅威は高まりこそすれ、低下することはない。見逃してならないのは、現在の韓国では、反日運動と同時に、反米運動も広がっていることだ。


そして、何といっても、日本への一番の脅威は、習近平国家主席率いる中国である。

東シナ海の日中中間線に沿って、中国はこの1年間で、新たに12カ所の海洋プラットホームを建設し、計18カ所となった。完成したプラットホームはヘリポートを備えており、事実上の海上軍事要塞である。

中国が南シナ海の岩礁を埋め立て軍事基地化していることは、周知の事実である。国際法を無視し、公海である南シナ海を領海化しようとしている。東シナ海でも同様のことを狙っている。今や、中国こそ、核兵器を持った世界一の軍国主義国家である。

中国は7月1日、自由な言動を取り締まり、戦力を確保・集中させる「国家安全法」を施行し、国内のファシズム体制を確立した。この直後、約250人の人権派弁護士や活動家が逮捕、行方不明となっている。

北方では、ロシアが日本の北方領土を占領し続けており、その固定化はますます進行している。

日本を取り囲む現状を見れば、安保法案に反対する一部野党やメディアの言動が、いかに国益に反し、世界の常識に反しているかがよく分かる。

 藤井厳喜(ふじい・げんき)

藤井厳喜氏 写真はすべてブログ管理人挿入 以下同じ


【私の論評】安保法制賛成・反対は馬鹿を見分けるリトマス試験紙になる(゚д゚)!


上の藤井厳喜氏の記事の主張は、全く正しくこれに対して反論の余地など全くありません。ただし、上の記事は短いこともあり、中国の脅威に関しては語り尽くされていません。

特に中国では、尖閣問題も、反日も実は権力闘争のツールであるが掲載されていません。これについては、以前このブログにも掲載したことがありますので、その記事のリンクを以下に掲載します。
天津の大爆発は江沢民派の反撃か!? 習近平vs江沢民の仁義なき戦い、いよいよ最終局面へ―【私の論評】株価、尖閣、反日デモ、天津市大爆発など、何でも権力闘争のツールにする崩壊間近の中国はかなり危ない(゚д゚)!
天津の大爆発事故
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、天津の大爆発事故が権力闘争の一環であった可能性を指摘しました。これ以外にも様々な事柄が、権力闘争のツールとして使われていることも述べました。

そもそも、習近平の推進する半腐敗キャンペーンそのものが、権力闘争のツールです。そうして、2012年あたりに相当苛烈になった、反日デモは習近平によるものである可能性を指摘しました。また、尖閣問題がより加熱したのも、習近平の差金である可能性も指摘しました。さらに、上海株式市場の株式暴落は、江沢民派が仕組んだことも指摘しました。

このように、中国では、他国では及びもつかない様々な事柄が権力闘争に用いられます。このようなことはどこの国でもあるのですが、日本をはじめまともな先進国では、権力闘争も法の定める範囲内で行うのが当たり前ですが、中国はそうではありません。

そもそも、中国は民主化も、政治と経済の分離も、法治国家化も十分になされていません。だから、ありとあらゆるものが、権力闘争のツールになるのです。

天津と、その後続いた二つの大爆発事故に関しては、様々な憶測が飛び交ってはいますが、真相は明らかにはなっておらず、何とも言えない部分がありますが、大事件であることには変わりなく、これに関しては、習近平派も江沢民派も、自分に有利になるように、これを最大限に利用しようと考えているはずです。

さて、このような中国に関して、この記事では、以下のように締めくくりました。

中国は、日本国などとは比較できないほどに異質な組織です。まともな国であるとは、とてもじゃないですが、言えません。中国共産党の幹部は習近平も含めて、全員をマフィアの親分ととらえるのが、まともなとらえかただと思います。政治家や官僚などと捉えると本質を見失います。

ドラマ 『ザ・ソプラノ 哀愁のマフィア』より
中国の崩壊が迫っている現状では、中国国内はもとより、海外でも何がおこるかわかりません。今回の天津爆破のようなことが、世界各地で起こるなどということもありえます。考えようによっては、中国はISISよりも始末に悪いかもしれません。何でも、権力闘争の道具にしてしまう中国のマフィアの親分たちは、崩壊直前には何をやらかすかわかったものではありません。 
何やら、今国会では、憲法解釈による集団的自衛権を含む安保法制の審議が、とろとろと行われていますが、隣に何でも権力闘争のツールにする中国という国があるわけですから、これを抑止するための、戦争抑止法案を「戦争法案」などと呼ぶことはやめにして、一日も早く成立させてほしいものです。 
野党は、低次元の国会論戦で認知症めいた戯れ言を言うのはやめて、反対なら反対で、きちんと対案を出して、戦争抑止の具体的な方法を提示していただきたいものです。中国を相手に、寝言を並べてみても何も解決しないということを自覚すべきです。
私達の国、日本の隣にはこんなとんでもない組織があるということです。国内の権力闘争が、いつ国外にまで飛び火するかはわかったものではありません。こういうとんでもない国が、核武装をしていることを忘れるべきではありません。

今のところ、中国の軍事力は、核兵器を除けば、特に海戦、空戦レベルでは、まだまだ自衛隊に勝てるレベルではありません。だからこそ、中国は尖閣で領海侵犯などしても、中国の公船には、武器は搭載していません。

彼らは、武器を搭載すれば、攻撃された場合勝ち目がないことを良く知っているのだと思います。これが、一定の歯止めとなっているので、彼らは領海侵犯以上の冒険はあえて、今のところはしていません。

しかし、これもいつまで今のまま継続するかどうかなどわかりません。いよいよになったら、核兵器も使うかもしません。それも、権力闘争の最終段階になった場合、そのようなことも考えられます。

なにしろ、中国の権力闘争は、日本や他の先進国などのそれとは、全く異なります。選挙もない国ですから、一度失脚すれば、再び日の目を見るチャンスは皆無です。それどころか、命の危険すらあります。

江沢民派、習近平派も、もし自分が失脚しそうになれば、どんな冒険をしだすかわかったものではありません。

そんな時には、まずは日本あたりにでも、核ミサイルを発射し、権力闘争の相手側を威嚇するという最悪のシナリオも考えられます。

今そこにある危機 中国の核ミサイルは日本に照準を合わせている

そこまでいかなくても、権力闘争の過程で何をしだすか余談は許しません。

こんなときに、世界の常識に反して、成立したとしてもまだまだ詰めの甘い「戦争抑止法案」を「戦争法案」と言い換えてみたり、あまつさえ「徴兵制」がどうのこうのと無意味なことを訴えたりする輩はすべて、はっきりいえば馬鹿です。

これは、政治家、官僚、一般人を問わず全員馬鹿です。安全法案に手ぬるいというならまだしも、これに真っ向から反対する輩は、藤井氏のように世界の常識と正反対のことを、主張しているわけですから、これを馬鹿と呼ばずして誰を馬鹿と呼べば良いのでしょうか。

私は、安保法制賛成・反対は馬鹿を見分ける非常にわかりやすいリスマス試験紙になったと思います。そうして、これは非常に役立つものと思います。


リトマス試験紙と判定用色見本

安保法案に関しては、よくわからないと判断を保留するならまだしも、上記ような事実があるにも関わらず、真っ向からはっきり反対する輩は、ただの馬鹿です。

馬鹿に将来の日本を託すことはできません。とはいっても、こういう馬鹿はマスコミなどが報道で印象操作をしているので、多数存在するようにも見えますが、PKOのときや、60年代、70年代安保のときのように少数派であると思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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天津の大爆発は江沢民派の反撃か!? 習近平vs江沢民の仁義なき戦い、いよいよ最終局面へ―【私の論評】株価、尖閣、反日デモ、天津市大爆発など、何でも権力闘争のツールにする崩壊間近の中国はかなり危ない(゚д゚)!






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リトマス試験紙にかかるまえに、読んでおいていただきたい、書籍三冊以下に掲載させていただきました。

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ヘンリー・ストークス 藤井 厳喜
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日本人が知らない集団的自衛権 (文春新書)
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2015年8月31日月曜日

財務省・日銀はまた同じ「愚」を繰り返すのか? 消費増税がもたらす深刻な「負のインパクト」をはっきりさせよう 必要なのは景気対策だ!―【私の論評】中国の経済危機を日本経済悪化や再増税の根拠にさせるな(゚д゚)!

財務省・日銀はまた同じ「愚」を繰り返すのか? 消費増税がもたらす深刻な「負のインパクト」をはっきりさせよう 必要なのは景気対策だ!



GDPギャップを算出するには、潜在GDPの求め方が重要になるが、ここでは内閣府の方法に準じて筆者が推計したもので考える。日銀が算出している潜在GDPは、内閣府や筆者のものより小さい数字となっている。

ただし、潜在GDPが完全雇用に対応するGDP水準ではなく、現実GDPの上限ではない。実際のGDPがこれを超えることもしばしばある。

潜在GDPそのものは過去のGDP水準から傾向的な水準として算出され、潜在GDP水準を超えられないものと見るべきではない。ここで見られるGDPと洗剤GDPとの乖離はその水準ではなく、変化方向を見るべきものだ。


この図は、上に述べた方法で筆者がGDPギャップを試算したものだ。2014年4月からの消費増税のために、最近ではGDPギャップが拡大していることがわかる。

次に、このGDPギャップと、半年先の失業率の関係を見てみよう。2000年以降四半期ベースで見たGDPギャップと半年先の失業率の関係を示すと、下の図になる。右軸にGDPギャップ率、左軸に失業率をとっている。図をわかりやすくするために、左軸は反転させて表示しているが、GDPギャップはやはり半年後(2四半期後)の失業率ともかなりの逆相関関係がある。

この図でも最近ではGDPギャップと失業率の間で乖離が目立つ。GDPギャップが拡大しているので、失業率は下げ止まりか、そろそろ反転するかもしれない。

あの消費増税がなければインフレ率は今頃……?

ついでに、GDPギャップと半年先の失業率を見るときには、GDPギャップと半年先のインフレ率(消費者物価総合指数の対前年同期比)も同時に見ることにしている。

失業率とインフレ率は逆相関の関係になっていることが知られている(フィリップス曲線)。これを子細に見ていくと、両者の間は、GDPギャップを介在して、逆相関なのだ。例えば、GDPギャップがマイナスで大きいと将来の物価が下がり、将来の失業率が高くなる。逆にGDPギャップがプラスで大きいと将来の物価が上がり、将来失業率が低くなる。


上の図は、2000年以降四半期ベースで見たGDPギャップと半年先のインフレ率の関係である。右軸にGDPギャップ率、左軸にインフレ率(消費者物価総合対前年比)をとっている。GDPギャップは半年後のインフレ率とかなりの相関関係がある。

この関係に、マネタリーベースの伸び率を加えて、インフレ率を予測したものが、下図である。その際、消費増税の影響を入れたものと入れないものを示している。消費増税なかりせば、今頃のインフレ率は1~1.5%程度になっていたものと思われる。



消費増税は、GDPを減少させ、GDPギャップを拡大させ、同時にインフレ率を低下させたようだ。

中国経済の統計こそが大問題!

いずれにしても、前週の本コラムに書いたように、今景気が減速しているのは、消費増税と中国経済の影響である。その際、中国経済については、過度に楽観視するのは危険である。

日銀の黒田総裁は、26日、ニューヨークで講演し、中国経済について「市場は悲観的になり過ぎている。中国経済は今年から来年にかけて6-7%の高い成長が見込まれる」と語り、日本への輸出についても「甚大な影響はない」と語ったと伝えられている。

しかし、中国経済については、その統計が信頼できないことが最大の不透明要因である。もし、中国政府の言うことが信用できるならば問題ないが、それが問題の本質なのだ。

統計の問題は、かつての社会主義体制のソ連と同じく、国家が経済活動に当事者として関与しすぎると、統計作成の主体にふさわしくなくなる。経済活動の当事者と客観的な統計調査者の間には大きな利益相反がある。

しかも、中国の場合、GDP統計の発表が早すぎるし、その改定はまずない。

1997年、アジア危機の教訓

日銀の黒田総裁は、財務省の言うままに、消費増税の影響も見誤った。今度も、中国政府を鵜呑みにして、政策運営を間違って欲しくない。

金融政策としては、就業者数が増加、失業率が低下などの雇用環境が良く、物価がそれほど上がらないというのは、結果としてはそれほど悪くない。ただし、物価が上がっていないのは、消費増税によるGDP低下のためであり、そのGDPギャップの拡大は、将来の雇用を悪化させる可能性が高い。

今のままのGDPギャップであれば、遅かれ早かれ、雇用は悪化し出す可能性が高い。その際、もし中国経済が統計どおりでなく日本だけが悪いことにされたら、目も当てられない状況になる。

消費増税による影響と海外経済低迷による影響がダブルパンチできたら、日本経済は大変だ。1997年からアジア危機である。1997年4月から3%から5%への消費増税があり、アジア危機でダブルパンチだった。

1998年の経済成長率は、日本を含めたアジア各国でマイナスであった。このマイナス成長について、現時点での日本の学界での通説はアジア危機の影響である。

実は、その当時、筆者は大蔵省官僚として検討作業に少し参加した、当時の役所内の雰囲気は、消費増税の影響ではなく「アジア危機の影響にしよう」というものだった。

筆者は、その雰囲気に違和感を覚えた。そして、その時に着目したのは、アジア諸国の経済変動だった。

もし、アジア危機のために、経済苦境になるのであれば、震源地のタイや韓国と関係の深い国のほうが影響は大きいはずだ。しかし、日本の影響は、他のアジア諸国より大きかった。

ちなみに、1998年の経済落ち込みは、日本も含めてアジア諸国で起こったが、翌1999年も日本だけはマイナス成長であったが、他のアジア諸国は回復している(下図)。


しかも、この図を見ればわかるが、アメリカ、中国、台湾は、タイや韓国との関係において日本と同じような状況でありながら、経済落ち込みになっていない。

さらに言えば、1998年の経済落ち込みを経験した国で、1999年の回復度合いについて、(1998→1999の経済成長率アップ)/(1997→1998の経済成長率ダウン)という指標で見ると、香港76%、インドネシア78%、韓国147%、マレーシア92%、フィリピン64%、タイ164%なのに対して、日本はわずか50%で最低である。

これは日本にアジア危機という外的要因以外に固有なものが存在することを示しているが、1997年4月からの消費増税以外にはなかった。

今回の中国ショックが同じような危機になるかについて、正直に言えば誰にもわからないが、万が一に備えて準備すべきだ。

先週のコラムで書いたように、外為特会の含み益を活用して、補正予算を今国会中に組むことがベストだ。この場合、即効性があり有効需要を作りやすい、減税・給付金などの政策が望ましい。

補正予算は、政府に歳出権限を与えるだけなので、もし実際に使わなくてもまったく問題はない。それにあわせて追加金融緩和に検討したらいい。備えあれば憂いなしだ。

この記事の詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】中国の経済危機を日本経済悪化や再増税の根拠にさせるな(゚д゚)!

上の高橋洋一氏の提言に関しては、非常に鋭い分析であり、これに対して何か批判したり、何かを付加したりする必要性などありません。とはいいながら、多少誤解されやすいところがあることのみ本日は付け加えたいと思います。

ただし私の言いたいことなど、察しの鋭い方はもう了解されているとは思いますが、それでも、この内容はほとんど報道されていないので、このブログに掲載する価値があるものと思います。

まずは、高橋氏の上の記事には、リーマン・ショックのことが掲載されていませんでしたので、それを掲載したいと思います。

当時のリーマン・ブラザーズの破綻を伝える日経新聞


さて、リーマン・ショックといえば、2007年のサブプライムローンサブプライム住宅ローン危機)問題に端を発した米国バブル崩壊を動機に(サブプライムローンという債権をあたかも資本と思い込ませた借金の転売による多重債務)、多分野の資産価格の暴落が起こっていました。

リーマン・ブラザーズも例外ではなく多大な損失を抱えており、2008年9月15日(月)に、リーマン・ブラザーズは連邦倒産法第11章の適用を連邦裁判所に申請するに至りました。この申請により、同社が発行している社債や投信を保有している企業への影響、取引先への波及と連鎖などの恐れ、及びそれに対する議会政府の対策の遅れからアメリカ経済に対する不安が広がり、世界的な金融危機へと連鎖しました。

日経平均株価も大暴落を起こし、9月12日(金)の終値は12214円でしたが、10月28日には一時は6000円台(6994.90円)まで下落し、1982年10月以来26年ぶりの安値を記録しました。

さて、本題はここからです。リーマン・ショックで経済が悪化した各国は、すぐに中央銀行が金融緩和を行いました。しかし、日本の中央銀行である、日銀は、そうではありませんでした。

これについては、最近もこのブログに掲載したことがあるので、その記事のリンクを以下に掲載します。
景気減速に中国政府は焦りと弱音 日中関係改善へ共産党幹部の姿勢に変化―【私の論評】日銀がまともになった今中国がどうなっても、日本には影響は少ない!そんなことより、日本は一刻もはやくデフレからの脱却を急げ(゚д゚)!
景気刺激策は取らないと強調する李克強首相


詳細は、この記事をご覧いただくものとして、リーマン・ショックに関する記述のみ以下にコピペさせていただきます。
しかし、多くの人は大きな見逃しをしています。本当は、当時の経済財政担当相がリーマンショックを「蜂がさした程度」と表現したことは正しかったかもしれません。ただ一つ、ある一つの条件さえ満たしていれば・・・・・・・・・・。 
その条件とは、日本銀行による金融政策です。リーマン・ショック後直接影響を大きく受けた国などの中央銀行は、景気を素早く回復させるため大金融緩和を行いました。しかし、日本銀行は、日本国内がデフレ・円高傾向にありしかも他国が大金融緩和を行ったにも関わらず、頑なに金融引締め政策を行いました。 
本来はリーマン・ショックなど日本にとっては「蜂の一刺し」に過ぎなかったものを日銀が金融緩和政策をしなかったために、さらなる超円高、さらなるデフレの深刻化を真似いてしまい、結果として戦後の日本で最大級の経済危機になりました。
日銀はリーマン・ショック後も金融緩和をしなかった
リーマン・ショックはアメリカやEUにとって、サブプライムローンなどのつけを支払うという形で直接的に経済に悪影響を及ぼしました。しかし、日本の場合はサブプライムローンに関しては、ほんど関係がなかったにもかかわらず、他国中央銀行が大金融緩和をしたにもかかわらず、日本銀行が何もしなかったため、超円高・デフレの深刻化を招いてしまったというわけです。だから、日本においては、リーマンショックなどという呼び方は正しくありません。「日銀ショック」とでも呼ぶべきだったでしょう。
このように、私はリーマン・ショックそれも、こと日本におけるそれに関しては、本来サブプライムローンの影響など日本にはほんどとなく、本来は悪影響はあまりなかったはでした。日本においては、そんなことよりも、他国が大規模な金融緩和を行う中、日銀が何もしなかったことが、その後の日本経済に甚大な悪影響をおよばしました。

だから、日本経済は、酷い低迷からなかなか抜け出せなかったのです。まさに、「日銀大ショック」とも呼ぶべき、日銀の怠慢により、リーマン・ショックからの立ち直りが世界でも最も遅く、サブプライムローンの震源地であるアメリカや、それを大量に運用したEUよりも、被害が大きくなってしまったのです。

上記を頭に入れていただいた上で、今回の中国経済の悪化と日本経済の関係について述べてみます。

現状は、中国の経済が悪化しており、それもいつ回復するかも目処が立たない状況です。だから、ブログ冒頭の高橋氏の記事のように、確かに中国の経済悪化は、中止して、いざというときのために、対策をとっておくべきです。

しかし、中国の経済危機だけを強調しすぎると、それこそ、日本の経済が本来8%増税で悪くなっているにもかかわらず、増税が真の原因とはされずに、中国の低迷だけがその原因とされるようになってしまかねません。

一番避けるべきシナリオは、中国経済が長期間かけて、ある程度回復する過程や、その後にまで、日本の経済が悪化したことの原因は、消費税ではなく中国経済の悪化のみがその原因とされ、増税の失敗が、カムフラージュされそのまま放置され、日本経済の低迷が長期にわたって続くことです。

そんな馬鹿なと考える人もいるかもしれまんせんが、上に述べたように、日本には前例があります。そうです、「日銀ショック」という前例です。

過去においては、リーマン・ショックという日本の国内事情とは直接関係のない外的要因があまりにも強調されすぎ、日銀の不手際はほとんど指摘されることはありませんでした。

私自身は、本来中国の景気低迷は、日本にはあまり関係ないと思っています。それは、中国に直接・間接投資を莫大に行っている企業や、現在中国に大規模に進出している企業は当然のことながら大きな影響があるのは必至です。しかし、中国の経済の悪化のみが、日本の実体経済に、甚大な悪影響を与え、とんでもない状況になるとは考えていません。

その根拠については、先日このブログにも掲載しました。そのリンクを以下に掲載ます。
衝撃!中国経済はすでに「マイナス成長」に入っている〜データが語る「第二のリーマン・ショック」―【私の論評】中国経済の悪化をだしに、日本の積極財政を推進せよ(゚д゚)!
この記事は、今月の8月24日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、中国経済の低迷が日本経済に甚大に影響を及ぼすことはないという根拠の部分にのみ以下に掲載します。
日本の貿易依存度はG20の中で18番目。先進国で日本より貿易依存度が低いのは米国だけです。以下に世界の国々の直近の輸出依存度などの数字を掲載します。

G20諸国の輸出依存度と輸入依存度(GDP比)は下記の通り。
●輸出依存度(GDP比)
韓国  :43.4%
ドイツ :33.6%
メキシコ:26.2%
中国  :24.5%
ロシア :24.4%
日本  :11.4%
アメリカ: 7.5%
●輸入依存度(GDP比)
韓国  :38.8%
ドイツ :28.0%
カナダ :24.6%
アメリカ:11.4%
日本  :10.8%
日本ははたして輸出依存国ではないことははっきりしています。そして、日本の対中依存度は下記の通りです。
対中輸出依存度(GDP比):2.79%
対中輸入依存度(GDP比):2.44%
日本の輸出依存度(GDP比)11.4%のうちの2.79%、輸入依存度(GDP比)10.8%のうちの2.44%が中国依存です。特に日本が中国に依存しているとは、考えられません。

さらに、にこの輸出入は日本で生産した資本財を中国に輸出、現地の日系企業がその資本財で工業製品を生産し日本に逆輸入している場合も多く、日本からみると、中国が輸出入の相手でなければならないなどということはありません。
さらに、中国への直接・間接投資も最近ではかなり減少していて、この状況では、中国経済の低迷そのものがすぐに日本にかなりの悪影響を及ぼすとは考えられません。

私自身は、本来中国経済の日本への影響は軽微であるはずなのに、それがこれからもありえる日本経済低迷の主な原因とされ、かつて日本の8%増税、そうして10%増税を強力に推進した、マスコミや政治家、官僚の責任が全く追求されなくなってしまうことのほうがはるかに脅威であると思います。

最近テレビで視聴したのですが、あの8%増税を強力に推進した、熊谷亮丸氏も、中国の経済悪化については、日本も対策をたてる必要があると自信たっぷりに提言していました。これは、彼のような増税をすべきと主張してきた人々にとってろは好機到来かもしれません。

かつて8%増税の日本経済への影響は軽微としていた熊谷氏

かつて、増税を推進し、増税しても日本経済への影響は軽微などと語っていた人々は、増税が日本経済の悪化の主要因ではなく、中国経済の悪化がその主原因であるとの、大キャンペーンをはじめるかもしれません。

彼らは、今は様子見をしていて、いずれ、時がきて、日本経済が低迷しだしたら、日本経済は8%増税ではなく、ずっと前から中国の経済統計が不透明なためあまり認識されてこなかったが、悪影響を受けていて、それが真の原因であるとのキャンペーンをするかもしれません。

そんな馬鹿なと思われるかもしれませんが、日本には金融緩和をするとハイパーインフレになるとか、国債が暴落するとか、摩訶不思議、奇妙奇天烈な論理で、金融緩和に反対した人々が大勢いたことを忘れるべきではありません。

日本では奇妙奇天烈・摩訶不思議な経済論が巷を賑わした

さらに、これに財務省の官僚や、政治家などが加担して、もともと日本経済は、中国経済の低迷の悪影響を被っているので、8%増税や、10%増税などして、経済が悪化しても、それは増税に問題があるのではなくて、中国経済の悪化に原因があるとして、10%増税をゴリ押しして、またまた日本は失われた20年に突入してしまうかもしれません。

中国経済の悪化による日本経済の悪化により、財政赤字はさらに増え、増税もやむなしという、増税キャンペーンの大嵐が吹き荒れることになるかもしれません。

このような「日銀ショック」のような状況を再び招かないためにも、まともな経済政策を今から打っていく必要があります。

しかし、このような危機も回避できる可能性もでてきました。それは、昨日もこのブログに掲載した次世代の党の動きです。以下にそのリンクを掲載します。
【倉山満の砦】次世代の党の経済政策を紹介―【私の論評】次世代の党はすべてのマクロ政策が個々の企業の業績や、個々人の生活にどうかかわるのかを明確に訴えよ(゚д゚)!
これも、詳細はこの記事をご覧いただくものとて、次世代の党の経済政策のあらましを以下に掲載します。
次世代の党は、デフレ脱却まで徹底した金融緩和・消費増税10%の延期・外為特会の含み益20兆円を活用した補正予算を組み景気対策を行うことを経済政策とする。さらに、新たに就任した和田幹事長が名目経済成長率5%のインタゲを明言しました。 
また、次世代の党新幹事長の和田政宗さんが「金融緩和で名目成長率5%をめざす」と街頭で演説。
次世代の党新幹事長の和田政宗
このようなまともな経済政策を打ち出す野党がでてきたことは、まことに頼もしいことです。

このような経済政策を打ち出す次世代の党は、少なくとも、中国の経済の悪化だけを日本の経済悪化の理由するなどという、とんでもないことは言い出すことはないでしょう。

従来は、安倍総理とそのブレーンという極少数の人々だけが、まともな経済政策について論議していて、野党は全く頓珍漢な経済認識しかしていませんでした。

いずれにしても、中国の経済が悪化しても、それをあまり軽くとらえると、そもそも、経済対策そのものが必要なしという論調が高まる可能性がありますし、逆に悪化を重大にとらえると、そもそも日本の経済の悪化は、増税など関係なく中国の経済の悪化が主原因であるとして、増税の根拠にされてしまう可能性があります。

中国経済の状況については、とくかく増税派に利用されることがないように、注視していく必要があります。

このような論調が出てきた場合には、このブログで徹底的に批判していきます。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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