2016年7月15日金曜日

小池百合子氏「拾う神もある」支援拡大アピール―【私の論評】安倍総理を誕生させたファショニスタ石原、小池東京都知事誕生にまた一役買うか?

小池百合子氏「拾う神もある」支援拡大アピール

都内で第一声をあげる小池百合子氏
東京都知事選は14日、告示された。自民党の推薦を得られず無所属となった小池百合子元防衛相(63)はJR池袋駅前で第一声を行った。

「これまで9回、選挙を戦ったが、いちばん厳しい戦いです」としながらも「拾う神もある。東京のあちこちから、区議さんや都議さんが、小池を応援しようと、毎日あふれるように出てきてくださる」と、草の根で支援が拡大していることをアピールした。

小池氏が「たった1人の戦い」と話すと、「1人じゃない!」と声援が飛んだ。小池氏は気を取り直して「私は1人じゃない。小さい頃バイオリンを習っていたが、私が第1バイオリンとなり、皆さまの力でオーケストラにしたい」と宣言した。

その上で、「都政を、もっと『見える化』して、透明化する。たった一握りの人が、どこで何を決めているか分からないような都政をもうやめる」と指摘。これまで「ブラックボックス」と指摘してきた、都議
会自民党や都連への対決姿勢を、あらためて示した。

小池氏は都知事選出馬をもって、92年の参院初当選以来、24年間つとめた国会議員を自動失職した。

【私の論評】安倍総理を誕生させたファショニスタ石原、小池東京都知事誕生にまた一役買うか?

いよいよ、昨日から都知事選が始まっています。すべての候補者の名称を以下に掲載します。

小池百合子氏の該当第一声の動画を以下に掲載します。



小池氏の政策を手っ取り早く聴きたいかたは、44分40秒過ぎからまとめて語られていますので、そのあたりから御覧ください。

以下のような主張をされています。

・韓国人学校予定地は介護育児のための施設にしていく 

・外国人への地方参政権には反対している 

・秩序なき移民に反対 (治安の関係から有耶無耶に外国人労働者を増やすのは問題) 

この他、第一声に先立つ、記者会見などでは、「都政の透明化」、「五輪予算見直し」、「女性政策推進」も訴えておられます。

さらに、ネット上で「ださい」とかなり不評だった観光ボランティア「おもてなし東京」のユニホームについても「みんながかっこいいと思えるデザインに変えるべきだ」とも述べました。

さらに、東京都でもある小笠原諸島における中国漁船による珊瑚の乱獲についても、中国漁船によるサンゴ密漁問題には毅然として当たる考え強調していました。

2014年11月 小笠原諸島沖の海域で珊瑚を密漁する中国漁船群
他の候補者たちは、俄仕立てのようで、あまりはっきりとした政策がないとか、あっても少ないとかなどとは異なり、かなり明瞭で、多くの主張をされています。

さて、この小池百合子氏による、第一声には、自民党の議員も駆けつけていました。昨日、東京・池袋駅西口で行われた小池百合子元防衛相の第一声に、自民党の若狭勝衆院議員(比例東京ブロック)が駆けつけ「小池氏が都知事になれば、都政の利権追及を行う。東京地検特捜部の副部長をやっていた私も、チームができたら間違いなく関与する」と述べ、支持を訴えました。

自民党は増田寛也元総務相を推薦し、都連は党が推薦していない候補者を応援した場合、親族も含めて「除名などの処分対象となる」との文書を所属国会議員や地方議員に配布。この日の小池氏の演説にも、若狭氏や一部区議を除き、自民党都連所属の議員の姿はみられませんでした。

若狭氏は応援演説後、記者団に「党が除名するというならしようがない。親族を含むというが、例えば、小泉純一郎元首相が応援に来たら、小泉進次郎さんが対象になる。ブーメランにならないか」と指摘。小池氏は「私を応援すると、一族郎党を罰するということだが、それを乗り越えてきてくれた(若狭氏の)覚悟と信念に心から感謝する」と語っていました。

これについては、ちょっとしたハプニングが起こっています。"都連は党が推薦していない候補者を応援した場合、親族も含めて「除名などの処分対象となる」との文書を所属国会議員や地方議員に配布"となっていますが、その文書そのものを以下に掲載します。

この文書の発信者をご覧下さい。「自由民主党東京都支部連合会 会長 石原伸晃 幹事長 内田茂 党紀委員長 野沢太三」となっています。

そうして、あろうことか、最近石原伸晃氏の実弟でもある、石原良純氏が、13日放送のフジテレビ「バイキング」にて鳥越氏支持の発言をしてしまったのです。

フジテレビ「バイキング」にて鳥越氏支持の発言をした石原良純氏

上の記事て、若狭氏が語った「ブーメランにならないか」という発言が、実現して、まさにこの文書を発信した最高責任者である、石原伸晃氏に帰ってきたという図式になってしまいました。

さて、石原伸晃氏というと、はっきり言うと、自らの失言で、総理大臣になれたかもしれない機会を不意にしてしまった人です。

それについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
民主が社会保障「3党協議」離脱へ―【私の論評】安倍総理には、自分では意図せずに、協力にサポートする二人のファンタジスタがついている!これで鬼に金棒だぁ-(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事は、2013年8月4日のものです。この時は、民主党(現在の民進党)の代表は、海江田さんでした。
それにしても、安倍総理、素晴らしいファンタジスタに恵まれています。それも、二人もいます。一人は、石原伸晃氏です。彼も、自民党総裁選の前に、華々しい失言の連続で、本来かなり有利であったにも関わらず、安倍総裁登場という素晴らしいファンタジーを演じました。
そうして、二人目はもちろん、アングラータ・カイエーダです。これには、反日マスコミもびっくり仰天でしょう。反日マスコミは、カイエーダの、牛事件があっても、あまり追求しませんでした。それは、無論、安倍たたき、安倍潰しのためには、カイエーダは重要人物だとみなしていたからだと思います。そうして、安倍潰しのために、何とか、増税でアベノミクス潰しを確かなものにしようと、大増税キャンペーンをやりはじめていた矢先に、このカイエーダの華麗なプレイです。 
もう、これ以降、反日マスコミは、「三党合意」を盾として、増税キャンペーンをやっても、その効果は半減することになるでしょう。 
それにしても、意図せず意識せず、安倍総理のために動くこの二人、他では関心しないこともありますが、これらの件についてだけは、称賛してあげようではありませんか(゚д゚)!ひよっとしたら、あなたがたが、日本の未来を変える原動力になるかもしれません。
石原伸晃氏は、期せずして、自らの失言で、本来ならば自ら総理大臣になる機会を不意にし、かなり望み薄であった、安倍総理の誕生に大きく貢献したということで、ファンタジスタなどと揶揄されていました。


この状況だと、誰か他の議員が小池百合子氏を応援したとしても、石原伸晃氏もあまり強くものが言えないことでしょう。

この様子だと、石原伸晃さんは今度は、期せずして、小池百合子東京都知事誕生の強力なファショニスタになるかもしれません。

候補者らの主張を聴いたり過去の行動をみて、ざっくり言うと、鳥越俊太郎氏は昨日このブログにも掲載したように現状の知的水準にはかなり問題ありです。そうして、自民党推薦ではあるものの、反日、外国人地方参政権推進(自民党改憲草案は地方参政権禁止)、親韓、親朝鮮総連、小沢一郎の子分、土建屋の親玉、東京の予算を地方に分配して東京弱体化を公言している増田寛也氏だけは当選させてはいけないと思います。

候補者としては、小池氏が一番まともですし、腹も座っています。

私は、東京都民ではないので、残念ながら知事選に票を投じることはできませんが、小池氏を応援したいです。そうして、石原伸晃氏が、ファッショニスタの面目を躍如させて、過去に安倍総理を誕生させたように、また小池東京都知事の誕生に大きな役割を果たしていただきいたいものと思います。

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2016年7月14日木曜日

鳥越氏はいまも「中国と北朝鮮の脅威はない」と言い切れるのか―【私の論評】なぜかメディアで指摘されない、鳥越氏の知的水準(゚д゚)!

鳥越氏はいまも「中国と北朝鮮の脅威はない」と言い切れるのか

政治的な信念は語るが、都政に関する公約は出てこなかった鳥越氏=12日午後
東京都知事選(31日投開票)が14日、告示される。政党の支援なしで出馬する小池百合子元防衛相(63)に対し、自民、公明与党は増田寛也元総務相(64)を推薦し、民進党と共産党など野党4党は「憲法改正反対」を掲げるジャーナリストの鳥越俊太郎氏(76)を支援する。後出しジャンケンで目立った鳥越氏だが、中国の軍事的脅威などがあらわになるなか、特異な発言を連発していた。

「参院選の結果を受けて、昨日(11日)夕方ごろに決めた。改憲の流れを変えたい」

鳥越氏は出馬の動機について、12日の記者会見でこう語った。都政がテーマになるべき都知事選だが、具体的な政策や公約は語られなかった。ただ、「国政の代理戦争」といえる動きを、メディアは大きく取り上げた。

ジャーナリストとして著名な鳥越氏だが、最近は、安倍晋三政権が進めた安全保障法制などを厳しく批判してきた。

2014年8月に放送されたNHKスペシャル「シリーズ日本新生 『戦後69年 日本の平和を考える』」では、日本を取り巻く東アジアの安全保障情勢について、次のように語った。

「(日本は)安全でなくなったとか、日本の国が攻められるような感じになってきたという声がある(中略)。みなさん、日本の平和が侵されるような状況になっているという大前提でお話になっているが、そんなことは虚構です。そんなの、ありませんよ。どこの国が攻めるんですか」

「確かに空気として、尖閣諸島(沖縄県)が何となく危ないなとか、中国が近くまで来ているとか、北朝鮮がミサイル打っているというのはあります。しかし、それはすぐ、日本がそれで攻められるのか。日本の国民の命が危ないのか。そんなことはないですよ」


動画はブログ管理人挿入

中国は南シナ海の岩礁を埋め立てて軍事基地化し、周辺諸国と衝突している。東シナ海の日中中間線付近にも、軍事転用可能な海洋プラットホームを多数建設している。中国メディアは尖閣だけでなく、沖縄全体を「中国のもの」と公言している。中国漁船は、東京・小笠原諸島周辺でサンゴを強奪している。北朝鮮は弾道ミサイルの開発を続けている…。

テレビ発言は2年前だが、鳥越氏は今でも「中国や北朝鮮の脅威はない」と言い切るのか。

世界で評価されている自衛隊のPKO(国連平和維持活動)にも、特異な持論を持っている。

鳥越氏は同じ番組で、「カンボジアに自衛隊がPKOで行ったとき、道路をつくったが、1年後に取材に行ったら完全に道路は消えてしまっていた。雨が降って。(PKO活動は)無駄です」と言い放ったのだ。

昨年6月には、鳥越氏は安保法制の反対集会に駆け付け、「国民が反対をしていることを無視して進むのは独裁以外の何者でもない。あのアドルフ・ヒトラーがやろうとしていることと同じだ。安倍政権ではなく『アベドルフ政権』だ」などと、安倍首相を激しく罵っている。

なるほど、鳥越氏は「民共勢力」との強い親和性を持った候補といえそうだ。ただ、都知事には1300万都民の生命と財産を預かる責任がある。鳥越氏の現状認識で大丈夫なのか。

【私の論評】なぜかメディアで指摘されない、鳥越氏の知的水準(゚д゚)!

上の記事には、"NHKスペシャル「シリーズ日本新生 『戦後69年 日本の平和を考える』」"の動画を掲載しました。しかし、この動画はいずれ削除されてしまう可能性も大きいので、以下にこの動画の一部、特に鳥越氏の発言の部分を切り取った動画を以下に掲載しておきます。



とにかく、上の記事でも指摘する通り、日本には攻め込む国などないの一点張りであり、攻めこむ国があるなどと思い込むのは妄想だといわんばかりです。これは、最近問題になっている、高所平気症と似たような症状です。

さらに、鳥越市氏は他の番組で、日本の都道府県数が55であると発言したことがあります。

これについて、ツイートをしたところ、都道府県に関しては興味深い反応がありました。

そのツイートの内容を以下に掲載しておきます。
もしかして鳥越さんは1都9道2府43県として、朝鮮八道を加えているのでは?だと55で合ってるwいつの時代の話だか。時を越える老人の発言だから気にしない方がいいと思います。
確かに、朝鮮八道を加えると、55にはなります。

ちなみに、朝鮮八道(ちょうせんはちどう)は、李氏朝鮮(朝鮮王朝)が朝鮮半島に置いた8つの道(行政区画)のことです。


400年以上にわたって同一の区分が用いられたため、「八道」は転じて「朝鮮全土」のことも指しました。鶏林八道(けいりんはちどう)と呼ぶ事もあります。8つに区分された道は、現在も地域的なまとまりとして捉えられています(朝鮮の地方)。また、現在の韓国と北朝鮮の行政区画の基礎にもなっています。

朝鮮八道とは、具体的には、以下の8つの道です。「首都近郊」を意味する京畿道を除く7つの道の名は、主要な2つの都市の名を並べたものです。
八道語源
京畿道(キョンギド)首都近郊を意味する
忠清道(チュンチョンド)忠州+清州
慶尚道(キョンサンド)慶州+尚州
全羅道(チョルラド)全州+羅州
江原道(カンウォンド)江陵+原州
平安道(ピョンアンド)平壌+安州
黄海道(ファンヘド)黄州+海州
咸鏡道(ハムギョンド)咸興+鏡城

少し話がずれてしまいました。さて、もう一度12日の出馬の記者会見に話を戻します。以下に、その動画を掲載します。



この動画をご覧いただければ、例えば先にも指摘したように、「私はみなさんご承知の通り、現在76歳です、昭和15年生まれです、終戦時(昭和20年)に二十歳でした」という発言は、2つの意味でジャーナリスト鳥越俊太郎を象徴していると思います。

まず第一点、この人は、昔から数字にはかなり弱いです。上での述べたように、昭和15年生まれなら終戦時昭和20年は五歳です。二十歳では、全く計算が合いません。

そして第二点、この人昔から物言いが不遜であり、思いあがっているか、言葉遣いを知らないということです。これは、多くの人が指摘しています。

自分の年齢76歳を表明するのに前置きして、「みなさんご承知の通り」などよく言えまるものだと思います。彼は、年齢も広く世間に知れ渡っているほどに有名なジャーナリストではありません。「みなさんご承知の通り」という言葉の使い方を、間違えています。

そうして、東京都の出生率を「他府県に比べて高いが」と言った後で、裏方からメモで「東京都の出生率は47都道府県で最低」と訂正を余儀なくされています。

ここでも、どのような文脈で東京都の出生率を用いたのか、具体的に発言を遡(さかのぼ)り、訂正しながらも、主張したいことの骨組みはぶれてはいないことを説明すればよいのに、メモを見て恥ずかしげもなく訂正するだけでした。

他にもご本人も「準備不足」を認めてはいるのですが、それにしても以下のような発言は気になります。

「都政の問題点は時間がなかったので良く分からない」

「政策はまだ考えてない、後で選挙公約にしてお渡しします」 

「五輪にどれくらいの金が掛かるか具体的な数字は今押さえていない」

「他の候補者の公約は関心がなかったから知らない、これから勉強する」

ほとんど、すべてがこれからなのです。準備不足もたいがいにしろと言いたくなります。自分で調べられなかったら、誰かに調べさせ、俄勉強するか、覚えられないならメモを持ってくるくらいのことはすべきでした。

準備不足を認めた上でも、記者会見をつぶさに拝聴して、私が感じた素直な感想は、準備不足で片づけられないであろう発言の不確かさです。この方は、知的に大丈夫なのかということです。

たしかに、普通に生活するならあれでも良いと思います。しかし、都知事になるには知的水準に問題があるのではないかと思います。

知事候補者としての主義主張以前に、公の場所である記者会見で話す内容としては、あまりに話がまとまりがないですし、あまりにも発言内容にミスが目立つ上、肝心なところはすべて堂々と「準備不足なのでこれから勉強します」です。

しかし、東京都の出生率が最低なのことも、オリンピックの概算予算も押さえていないというのはいかがなものかと思います。それくらい、俄勉強もしないで、東京都の知事に立候補して記者会見を開催しても良いものなのでしょうか。

民主党の岡田代表が、「大変な実績」があるジャーナリストと評する、鳥越氏がこのような初歩的なことを間違えたり、答えられないというのは、はたして「準備不足」の問題として片付けられるのでしょうか。

会見全体のまとまりのないダラダラ感ともあわせて、知的な意味で候補者としては、とても相応しいとは思えません。

しかし、このことについて、どのメディアも伝えていません。鳥越氏には、誰の目にも明々白々な重要なファクトとして、知事候補者としては知的に問題があるというこの事実について、どのメディアも報道していません。

以上は、主に、先日の記者会見を見た上で私が、抱いた感想です。

他にも最近は、鳥越氏の日々の発言にかなり問題があるようです。それに関しては、産経新聞で阿比留瑠比氏が指摘していました。その記事のリンクを以下に掲載します。
阿比留瑠比の極言御免】都知事選、野党候補は大丈夫か?
野党4党幹部らと団結する鳥越俊太郎氏(中央)。左から社民党・又市征治幹事長、民進党・
枝野幸男幹事長、鳥越氏、共産党・小池晃書記局長、生活の党・川島智太郎事務総長=12日、
東京都千代田区・衆議院第二議員会館
この記事では、上で述べたきたことの他に、高市早苗総務相の米議会勤務歴、日本会議、安倍晋三政権はテレビ報道の監視チームなどについて、すべて憶測で間違って語っていたことが掲載されています。

上記のような、数々の言い間違い、準備不足、憶測でものを語る性癖など、これはジャーナリストの流儀にも背くものですし、無論とても東京都知事としても相応しいとは思えません。現状では、都知事候補者として、知的水準に問題があります。

私は、東京都民ではないので、知事選挙に投票することはありませんが、都民は最低限上のような事実を知った上で投票すべきです。

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2016年7月13日水曜日

完勝の安倍首相、今こそ「お金バラマキ」政策を実行すべきである…財政悪化せず―【私の論評】ヘリマネは、新しい概念でもなんでもない!2014年4月以前のアベノミクスに原点復帰すること(゚д゚)!

完勝の安倍首相、今こそ「お金バラマキ」政策を実行すべきである…財政悪化せず

2016参院選で改選過半数を獲得し、喜ぶ安倍晋三首相
アベノミクスの是非が問われた参院選は、自民・公明の与党が勝った。獲得議席は自民56、公明14、民進32、共産6、おおさか維新7、共産はやや期待外れ。そして、改憲に賛成する4党の議席数が参議院の3分の2を超えた。

野党がダメなのは、アベノミクスの第一の矢である金融政策をわかっていないところに根本原因がある。金融政策として重要なのは雇用政策だというのは、世界標準である。欧州の左派政党が最も重視する政策であるが、日本の左派政党はここがわからない。理解できていない人ばかりが日本の左派政党の幹部になっている。

もちろん民進党のなかにも、金融政策が雇用政策であることをよくわかっている人もいる。金子洋一氏である。彼は元内閣府官僚であり、国際経験も豊かなエコノミストだ。左派政党に必要な希有な人材を、今回の選挙で失ってしまった。ますます民進党が復活する可能性は少なくなったにちがいない。

安倍晋三政権は早速動き出した。安倍首相は12日、参院選で訴えた経済対策の準備に入るよう石原伸晃経済再生担当相に指示した。財源を心配するマスコミ報道もあるが、実はヘリコプターマネーの手法を使うと、それほど心配することもない。欧州などでヘリコプターマネーをめぐる議論が浮上しているが、これは中央銀行がカネを刷ってヘリコプターから人々にばらまくようなものだ。

ただし、実際にこれを行うのは難しい。「いつどこにヘリコプターがお金を撒くのか教えてほしい」というジョークすらある。現在のように中央銀行と政府が役割分担している世界では、中央銀行が新発国債を直接引き受けることで財政赤字を賄うことを指す場合が多い。

このアイデアはかつてノーベル賞経済学者のミルトン・フリードマン氏によって論じられ、2003年にベン・バーナンキ氏(当時FRB<米連邦準備制度理事会>理事、その後同議長)によって再び取り上げられたものである。

バーナンキ氏は名目金利ゼロに直面していた日本経済再生のためのアドバイスとして取り上げたのだが、具体的には国民への給付金支給や企業に対する減税を国債発行で賄い、同時に中央銀行がその国債の買い入れることを提案している。中央銀行が国債を買い入れると通貨が発行されるので、中央銀行と政府のそれぞれの行動を合わせてみれば、中央銀行の発行した通貨が給付金や減税を通じて国民や企業にばら撒かれることになる。その意味で、バーナンキ氏の日本経済に対する提案はヘリコプターマネーというわけだ。

  財政赤字悪化を伴わない

この方法は、実質的な政府の債務残高を増加させないし、家計・企業は減税に伴う将来の増税懸念がないというメリットがあるため消費が増加する。金融政策と財政政策は名目消費を押し上げ、それが一般物価を押し上げる。

もちろん、この政策は国債の貨幣化であり、過度に行えばインフレを招くだけであるが、デフレによって悩まされているのであれば、経済回復を促進することになる。しかも先進国ではインフレ目標という歯止めもあるので、インフレが過度に加熱しコントロールできなくなる恐れもない。

もっとも日本では、政府が国債発行によって補正予算をつくるとともに、日銀が国債買いオペによって量的緩和を行えばいい。今の国内GDPギャップが10兆円程度であることを考慮すれば、20兆円の国債発行による補正予算と同額の量的緩和であれば、今後の経済を活性化するはずだ。

しかも、ひどいインフレにもなりにくい。この財政政策と金融政策の合わせ技は、実質的な債務残高の増加にならず、財政赤字悪化にならない。日銀保有国債については、利払い費や償還負担が発生しないからだ。この方法は、インフレ率が低い時には弊害がないのがいい。

(文=高橋洋一/政策工房代表取締役会長、嘉悦大学教授)

【私の論評】ヘリマネは、新しい概念でもなんでもない!2014年4月以前のアベノミクスに原点復帰すること(゚д゚)!

ヘリコプターマネーについては、上の記事でも解説していましたが、再度説明します。 

ヘリコプターマネーは、ノーベル経済学賞受賞の米経済学者、ミルトン・フリードマン氏(故人)が1969年に提唱しました。中央銀行はお札を刷って市中銀行に供給します。デフレ圧力が強いと、カネは銀行から家計や企業に細々としか流れないのでデフレが慢性化します。そこで中央銀行資金を政府財政に回せば迅速に家計や企業に行き渡らせられるので景気がよくなる-というもので、ヘリコプターからカネを大量に散布する寓話(ぐうわ)に例えました。バーナンキ前FRB議長はフリードマン氏の弟子でもあります。

ミルトン・フリードマン氏ー
安倍晋三首相周辺で、「ヘリコプターマネー」政策の導入が検討課題に浮上してきたようです。

前内閣官房参与の本田悦朗駐スイス大使が最近、首相に「今がヘリマネーに踏み切るチャンスだ」と進言しました。

首相は本田氏らの勧めに応じて12日に官邸でバーナンキ前米連邦準備制度理事会(FRB)議長と会談。菅義偉官房長官は記者会見で、ヘリマネーに関して「特段の言及があったとは承知していない」と述べましたた。一方で、バーナンキ氏が「金融緩和の手段はいろいろ存在する」と指摘したことを明らかにしました。

バーナンキ前FRB議長
バーナンキ氏は、2008年のリーマン・ショックでは、ただちにドル資金の大量発行に踏み切り、金融恐慌を終わらせ、米景気を回復させた実績を持ちます。

8%増税により、デフレ傾向で消費が萎縮する中で金融緩和しても、民間の借り入れ意欲は乏しいです。日銀は今年2月にマイナス金利政策を導入したのですが円高は止まりません。財政を活用しない限り、アベノミクスは効果を発揮できそうにありません。

ヘリコプターマネーには、異論も多いです。日銀が財政資金を直接賄うようだと財政規律がないと市場にみられ、円や国債への信認が失われる恐れがあるとするものです。しかしながら、国債の金利がかなり低い現状で、しかも円高傾向が止まらない現状であれば、そうした心配はほとんどあてはまりません。

黒田東彦日銀総裁も消極的ですが、日銀が金融機関保有の国債を買い上げる現行方式で、もヘリマネーと言って良いものです。アベノミクスの第一と第二を真面目にやればヘリコプターマネーです。つまり、2014年4月の前までアベノミクスは、ヘリマネと同意語と言っても良いです。ただし、2014年4月からは、消費税増税という緊縮財政をしてしまったということで、ヘリマネではなくなってしまいました。

黒田東彦日銀総裁
いまさらヘリマネというのは、従来のアベノミクスを真面目にやれということであって、決して新しい政策ではないということに注意すべきです。

日銀は市場で買い取った国債を再売却せず、インフレが加速しないかぎり半永久的に保有するようにします。そうなると、政府の債務増加分は日銀の資産増加で相殺されるので、政府の債務は実質的に増えません。

そうして、インフレ率が一定程度上昇すれば、日銀は国債購入を打ち切り、政府が消費税率を引き上げるようにすれば、財政規律にも沿うことになります。

上記のことを理解できない、エコノミストや、野党の政治家や、マスコミなどが、ヘリマネなどというと、またまた頓珍漢で奇妙奇天烈なことを言い出し、財政破綻するとか、国債が暴落するとか騒ぎ出すことも十分考えられるので、菅義偉官房長官は記者会見で、ヘリマネーに関して「特段の言及があったとは承知していない」と述べたのは、そうした誤解によって国民が惑わされることを避けるためであると考えられます。

このようなこともあるので、政府としては、馬鹿で経済が理解できないエコノミストや、野党の政治家、マスコミなど騒がせないようにするため、アベノミクスの金融緩和を再度しっかりするということで、「ヘリマネ」などということば使わないほうが良いでしょう。

ヘリマネは結局最初のアベノミクスの第一の矢と、第二の矢を真面目にやるということ

この言葉を使うのは、マクロ経済を正しく理解できる人たちの間だけで、馬鹿で愚かで、自分が経済を理解できていないことすら自覚していない人たちに邪魔されないようにすべきです。

そうして、実際に大成功し誰の目にもうまくいったと認識されたときに、「ヘリコプターマネー」という言葉を大々的に流布して、浸透させ、次に「ヘリコプターマネー」を実行しなければならない時がきたときに、やりやすいようにすべきと思います。

しかし、それでも、経済を理解できないエコノミストや、野党の政治家、マスコミなどの人たちは、理解できないかもしれません。彼らは、それを理解しないまま、棺桶に片足を突っ込むことになると思います。その時には、時代遅れの旧い人ということで、影響力も何もなくなったただのボケ老人として見られることになると思います。

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2016年7月12日火曜日

【緊迫・南シナ海】中国の南シナ海支配を否定 仲裁裁判所「歴史的権利なし」と判断―【私の論評】南シナ海の本当の危機は、中国の核戦略による聖域化だ(゚д゚)!



南シナ海をめぐる中国の主張や行動は国連海洋法条約違反などとしてフィリピンが申し立てた仲裁手続きで、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は12日、中国が「歴史的権利」として主張する「九段線」について国際法上の根拠は認められないとの裁定を公表した。南シナ海のほぼ全域の主権を主張して強引に進出する中国に対し、初めて国際法に基づく判断が下された。

裁定は、南シナ海で実効支配の拡大を目指す中国側の主張を退ける内容。中国は一貫して裁定を無視する姿勢だ。罰則など強制的に裁定に従わせる手段はないが、国際社会が司法判断の尊重を求める圧力を高めるのは必至。中国の立場は苦しくなる一方、南シナ海情勢は一段と緊迫化する可能性がある。

中国が「歴史的権利」として南シナ海のほぼ全域を取り囲む形で主張する「九段線」については、仲裁裁判所は管轄権を留保していたが、今回の裁定で中国の主張を退けた。

今回の仲裁は2013年1月、フィリピンの申し立てを受けて開始。中国は参加を拒否したが、仲裁裁判所は昨年10月、15項目の訴えのうち7項目で管轄を認め、同11月に中国抜きで口頭弁論を開いていた。

仲裁は海洋法条約で海洋紛争を解決する手段の一つとして指定されており、全当事者が受け入れなくても手続きを進めることができる。裁定は最終的な判断のため、上訴はできない。

【私の論評】南シナ海の本当の危機は、中国の核戦略による聖域化だ(゚д゚)!

この裁定、先ほど出たばかりなので、いろいろな報道が乱れ飛んでいます。その典型的なものを以下に掲載します。
 仲裁裁判所は12日、南シナ海をめぐる裁定で、「中国は、スプラトリー(中国名・南沙)諸島の珊瑚礁の生態系に恒久的かつ取り返しの付かない害を与えた」と指摘した。ロイター通信が伝えた。
この裁定は当然といえば、当然です。中国はこの海域の珊瑚礁を徹底的に破壊しつくしました。こんな傍若無人なことが許されて良いはずがあります。

それにしても、このような自然破壊に対しては、シーシェパードもグリーンピースもなぜか反対運動をしません。日本の捕鯨に対して行う妨害活動まではしなくても、少なくとも抗議声明くらい出すべきだと思うのですが、一切そのようなことはしていません。

これに対して、金にならないからやっていないと言う人がいます。しかし、私はそうではないと思います。シーシェパードや、グリーンピースなどは、おそらく中国から金をもらっているのだと思います。だから、抗議活動など一切しないのだと思います。

環礁を埋め立てるには、まずはダイナマイトで大量のサンゴ礁を破壊するという、想像するだけでも恐ろしい、信じられないようなことが行われていました。しかし、グリーンピース・ジャパンのHPで「南シナ海」と検索しても、何もヒットしません。シーシェパードも同じです。特にグリーンピースは、辺野古で自然破壊だと大騒ぎしている同じ人たちとは思えません。

米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対を訴えるため、那覇新港に
到着した環境保護団体グリーンピースの帆船=昨年11月2日
所詮、ダブルスタンダード・二枚舌の偽善者団体と思われて仕方ないと思います。
そうして、日本の環境保護団体なども右へならえで、金か何らかの便益を供与されているとしか思えません。もし、私のこの推理が外れているのだとすれば、シーシェパードやグリンピース、それに日本の環境保護団体も、中国に対して抗議声明くらいは発表すべきです。
南シナ海の南沙諸島で警備する中国人民解放軍の海軍兵士=1月
 ロイター通信は12日、南シナ海をめぐる仲裁裁判所の裁定について、中国国営新華社通信が「事実に基づかない決定だ」と報じたと伝えた。
2月、南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島を巡回する中国軍の兵士。
手前の柱には「南沙は我が国土。神聖にして侵すべからず」と書かれている

さらに、中国国営新華社は以下のように伝えています。
 南シナ海をめぐる仲裁裁判所の裁定について、中国外務省は12日、「この裁定は無効で、拘束力がない。中国は受け入れないし、承認しない」とする声明を発表した。 
 声明は、「中国は南シナ海の領土主権と海洋権益はいかなる状況においても仲裁裁の裁定の影響を受けない」と強調。「中国は、この裁定に基づくいかなる主張や行動にも反対し、受け入れない」と裁定を無視する姿勢を示した。(新華社)
中国が今回の仲裁裁判所の裁定を無視することは、前々から公表していました。そのため、今回の中国の態度には、驚きも何もしませんが、それにしても、この裁定がくだされた後でも、中国はこれを無視するのですから、国際社会からの風当たりはますます強くなるばかりです。

それにしても、中国がなぜここまで、南シナ海にこだわるかということについては、未だ日本のマスコミなどでは納得のいく報道がなされていません。

日本のマスコミなどが報道するのは、南シナ海がエネルギーの生命線であるということと、この地域の海洋資源についてのみです。

エネルギーの生命線であるとは、南シナ海は原油や天然ガスの海上輸送路(シーレーン)であるということです。

米エネルギー情報局(EIA)によると、2011年時点で南シナ海とタイランド湾を通る原油は1日平均約1400万バレル。世界の原油輸送量の約3分の1を占めます。このうち90%以上がアフリカや湾岸諸国からアジア市場への最短コースであるマラッカ海峡を経由しています。まさに南シナ海は原油輸送の戦略的に重要となる海上水路(チョークポイント)なのです。
出典:米エネルギー情報局
日本へは日量320万バレル、韓国への同240万バレル、台湾や香港へは540万バレルとなっています。日本は原油の99.7%を輸入しており、その約83%を中東に依存しています。南シナ海で有事が発生した場合、マラッカ海峡を迂回してインドネシア中部のロンボク海峡を抜けなければならなくなります。


液化天然ガス(LNG)は11年に、世界のLNG輸送量の半分以上に相当する6兆立法フィートが南シナ海を通過しました。このうち56%が日本へ、24%が韓国へ、19%が中国や台湾に運ばれました。東日本大震災の福島第1原発事故で日本のLNG輸入量が増え、12年上半期には世界のLNG輸送量の58%が南シナ海を通過しました。

日本にとって南シナ海はまさに生命線になっているのです。

次に、南シナ海の海洋資源というと、南シナ海の原油埋蔵量は推定で112億バレル、天然ガスの埋蔵量は推定で190兆立法フィートです。中国は「九段線」で囲った南シナ海ほぼ全域の島嶼部や人工島の領有権、その周囲の「排他的権利」を主張、南シナ海の海底資源を独占する野望を隠していません。


日本のマスコミが報道する中国の南シナ海進出の理由は以上の二つくらいです。

しかし、中国にとって南シナ海に進出する理由は他にあります。そうして、この二つよりもはるかに、重大理由です。

それについては、以前このブログにも詳細を掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国の膨張路線は止まらないが国際社会から強い逆風 南シナ海のハーグ裁定―【私の論評】通常戦力で勝ち目のない中国は、南シナ海に戦術核を配備する(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、結局のところ、中国による南シナ海での人工島造成の狙いは、南シナ海から米軍を追い払うことです。

南シナ海の平均深度は1200メートル以上。海盆の平均水深は3500メートル、最深部は約5600メートルに及びます。中国は戦略ミサイル原潜を4隻配備し、潜水艦発弾道ミサイル(SLBM)を核抑止力の重要な柱にしています。

中国の戦略型原潜については、以下の動画をご覧下さい。



台湾南部から南沙へ掛けての広大な南シナ海の海域は、深さ3000メートル級の、戦略原潜が潜むには絶好の海域です。戦略ミサイル原潜の整備を急ぐ中国は、実はそれを隠す深い海を自国周辺に持っていません。

黄海は、それこそ潜航すら危険ほど浅すぎ、東シナ海も浅い大陸棚のため、ミサイル原潜が潜むには適しません。巨大なミサイル原潜が浅い海を航行すると、様々な痕跡を水面に残し、それは軍事衛星から丸見えになります。南シナ海の広大で深い海は、アメリカ本土を狙うミサイル原潜を潜ませるために、中国がどうしても内海化したい場所なのです。その遠大な計画の第一歩として、中国は長年、南シナ海に突き出た海南島の海軍基地を整備してきました。


南シナ海から米軍を追い払えば、冷戦時にソ連が戦略ミサイル原潜をオホーツク海に潜ませてソ連のSLBMの聖域にしたのと同じように、中国は南シナ海に戦略ミサイル原潜を自由に展開し、南シナ海を戦略型原潜の聖域にすることができます。海南島を出発した最新型の戦略型原子力潜水艦が深く潜航し、台湾とフィリピンの間のバシー海峡を通って西太平洋に抜けることが可能になります。

中国のSLBMは現状では、南シナ海からは米国全土を射程に収めることはできません。しかし、南シナ海から西太平洋に抜け、アメリカ本土に近づけば、アメリカ全土を射程に収めることができます。

それから、いうまでもないことですが、日本は現状でも射程距離内に入っています。

日本のマスコミが報じる資源問題等は、こうした中国の核戦略の隠れミノに過ぎません。この戦略を成就するためには、中国は今回の仲裁裁判所の裁定に従うはずもありません。

そうなると、中国と米国、南シナ海周辺諸国との対立が激しくなるのは当然のことです。対立が激しくなれば、中国は通常兵力、特に海軍力では日本よりも低いといわているくらいですから、到底米軍には勝てません。

日米印豪などの連合軍には、到底勝つどころか、守備することもままなりません。しかし、これらの国々の軍隊が南シナ海を自由往来されると、中国は、南シナ海を戦略型原潜の聖域にはできなくなります。

それでは、中国の核戦略は成就できません。そうなると、通常戦力の劣勢を補うために、いずれこの海域に戦術核を装備することも考えられます。埋め立てた島に、戦術核ミサイルを配備するとか、南シナ海に戦略型原潜の他に、戦術核を装備した攻撃型原潜を配備するようになるかもしれません。

なぜ中国がそこまでするかといえば、中国は本気で冷戦時代のソ連のようになろうとしているからです。この世界を米中二つの国で覇権の及ぶ範囲を分け合おうとしているのです。まさに、身の程知らずとはこのことです。

このような危機があるからこそ、米国は、「航行の自由作戦」を展開し、この海域に艦艇を派遣したりしているのです。艦艇を派遣して、必要なときにこの海域にいつでも自由に米軍の艦艇等派遣する用意があることを中国に見せつけているのです。

その目的は、中国の戦略型原潜がこの海域を自由に航行することを阻止することです。中国がそれでも、戦略型原潜をこの海域で航行させるというなら、米国もいずれは武力を行使することもあり得ます。

この事態が進行すれば、いますぐどうこうのということはないにしても、いずれPoint of No Return (帰還不能点、もはや後に引けない段階)は、いずれ必ずやってきます。これについては、日本も関係ないなどとはいえません。それなりの覚悟を決めておく必要があります。

このような、事実を政府も公表しません。そうして、マスコミも報道しません。くだらないスキャンダルなど報道するくらいなら、このような南シナ海での本当の危機について報道すべきです。政府もこれを国民に直截に知らせるべきです。すべての国民には、「知る権利」があるはずです。

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2016年7月11日月曜日

参院選で民進党が犯した「二つの致命的なミス」―【私の論評】経済も、改憲も岡田民進党代表は安倍首相の強力な助っ人で在り続ける(゚д゚)!

参院選で民進党が犯した「二つの致命的なミス」

参院選で大勝利を収めた安倍首相 満面の笑み
 民進党が失った貴重な人材

おおかたの予想どおり、参院選は自民が勝った。

選挙直前の各紙の予想は、自民56~60、公明14、民進27~30、共産7~10、おおさか維新6~8というところだったが、実際には自民55、公明14、民進32、共産6、おおさか維新7。共産はやや期待外れ。そして、改憲4党の議席数が参議院の3分の2を超えた。

野党はアベノミクス失敗と叫んだが、説得力を持てなかった。多少景気はよくないが、それでも民主党政権時代には、いまよりもっと円高、株安だったことを国民はよく覚えている。

そして、自公政権になってから雇用がよくなったことも事実である。野党が「アベノミクス失敗」といっても、民主党政権の時にはもっと悪かった。どれだけ失敗といい立てても、野党の経済政策には自公よりも信頼が置けないということだった。

本コラムで何回も強調してきたように、野党がダメなのは、アベノミクスの第一の矢である金融政策をわかっていないところに、根本原因がある。

世界標準の金融政策は、雇用政策である。欧州の左派政党が最も重視する政策であるが、日本の左派政党はここがわからない。海外から著名人を招いて講演してもらっても、わからない人ばかりが今の日本の左派政党の幹部になっている。

もちろん民進の中にも、金融政策が雇用政策であることをよくわかっている人もいる。神奈川の金子洋一氏である。彼は元内閣府官僚であり、国際経験も豊かなエコノミストだ。左派政党に必要な希有な人材を、今回の選挙で失ってしまった。ますます民進が復活する可能性は少なくなったにちがいない。

 さっそく経済立て直しに臨む安倍首相

一方、安倍政権はアベノミクス第一の矢(金融政策)を放つことで、左派政党よりまともな雇用環境を創りだした。全国の都道府県で有効求人倍率が1を超える成果だったと安倍首相に言われて、民進党は「雇用政策」というお株を奪われてしまった。

ただ、安倍政権は、アベノミクスが不十分であることも認識している。第一の矢の金融政策でも、まだ失業率の底といえる構造失業率(筆者の試算では2.7%程度)まで失業率は下がっていない。

第二の矢の財政政策では、2014年4月からの消費増税が大失敗であった。このため、消費は低迷し、現在でも需要不足になってGDPギャップ(潜在GDPと現実のGDPの差)はまだ10兆円ほどもあり、景気不透明感がある。こうした現状認識は、5月30日の本コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48779)を参照してほしい。

世界経済の不透明感を含めて考えると、アベノミクスをさらに進めるモノとして、筆者は政府が行うべき金融緩和と積極財政を含む5つの経済対策を、6月27日付けの本コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49016)で示している。これらのいくつかは、これから実現するだろう。

なお、安倍首相は野党党首とは異なり、海外の著名な学者の意見をよく聞き、それを経済政策にうまく生かしている。今週も、バーナンキ氏が来日する予定である。同氏は、筆者のプリンストン大時代の恩師であるが、ヘリコプターマネーの理論化などを、象牙の塔にこもらずに実践的な経済政策として打ち出してきた。

アメリカをリーマンショックから救った氏だが、かつては日本のデフレ対策でも優れたアイディアを出してくれた。おそらく今回も日本経済にとってベストなアドバイスをするのではないだろうか。

 「改憲」ホントのところ

経済政策のところで、野党はダメだった。金融政策は雇用政策を理解しないと、何回選挙をやっても勝てないだろう。これに加えて、今回はさらにミスをした。

それは野党共闘だ。共産は自衛隊が違憲という主張だ。これは時代錯誤も甚だしい。今の若者に聞いたらわかるが、自衛隊を違憲という意見はまったく少数意見である。共産と共闘した野党も同類と見なされて困った。

共産は、与党から「自衛隊は違憲」姿勢をつかれて防戦一方だった。それに、選挙戦の最中に、共産の藤野政策委員長が、NHK全国放送で「防衛予算は人殺し予算」と失言してしまった。その後、発言取り消しで政策委員長は更迭されたが、駟も舌に及ばずである。共産が予想外に不振だったことの原因は、自衛隊違憲と選挙期間中の失言だろう。

改憲勢力が3分の2をとるかという論点も、マスコミから流された。改憲勢力が3分の2以上になると、あたかも改憲が実現するような言いぶりだった、実際に筆者が出演したテレビでマスコミの人に聞いたが、多くの場合、憲法改正に必要な、国民投票制度を知らなかった。

この制度は、日本国憲法の改正手続に関する法律に基づいて行われる。同法は2007年に成立している(筆者は当時官邸勤務だったのでよく覚えている)。同法では、憲法改正原案について、両院それぞれの本会議にて3分の2以上の賛成で可決した場合、国会が憲法改正の発議を行い、国民に提案するものとされる。

その上で、憲法改正案に対する賛成の投票の数が投票総数(賛成の投票数と反対の投票数を合計した数)の2分の1を超えた場合、国民の承認があったものとなる。

ここでポイントは、国会では発議、国民投票で改憲、という二つのステップが必要、ということだ。しかも、憲法改正原案は、内容において関連する事項ごとに区分して個別に発議するものとするとされている。

例えば、安全保障に関わる条文改正案と、環境権を新しく創設するという条文案が、一括して投票に付された場合、一方につき賛成、他方には反対という意思を、一つの記号で示すことはできないので、別々にやらなければいけないのだ。

今回、「改憲勢力」とひとくくりにされているが、憲法改正内容はまったく各党で異なっている。公明党は(新たに条項をくわえる)「加憲」を主張しており、おおさか維新は教育無償化、憲法裁判所、地方分権の3点を改憲項目とし、第9条は対象でないとしている。

改憲については、憲法審査会で審査されるだろうが、なかなかハードルは高いだろうし、その改正項目では、公明とおおさか維新がキャスティングボートを握るだろうから、憲法9条の改正にはなりそうもない。

 都知事選。増田氏の「評判」

さて、参院選は予想どおり自民が勝ったので、東京都知事選(告示14日、31日投開票)に話題が移るだろう。10日夜に増田寛也氏が出馬表明した。

自民都連は増田氏を推薦するので、小池氏は推薦願いを取り下げた。自民は、増田氏と小池百合子氏の間で1999年以来の分裂選挙になった。

増田氏は、岩手県知事、総務大臣と歴任してきた。もともと建設省官僚であったので手堅い。ただし、リーダーシップを発揮するというより、官僚の提案に乗るタイプだ。総務大臣時代、地方法人税という地方税を国税化する政策を進めた。これは地方税を中央集権で配分する仕組みだ。

地方への再配分が必要として、地方間で行うのが地方分権であるが、総務省官僚はそれが嫌いで、地方法人税を好む。それを進めた増田氏は総務省官僚の評判がよかった。ただし、東京都は地方分権に反すると反対であった。こういう感じなので、思い切った都議会改革などは決して行わないだろう。

一方、小池氏はどうだろうか。

 ここでも野党は存在感ナシ

小池氏が掲げた公約は三つ。①冒頭解散、②利権追及チーム創設、③舛添問題の第三者委員会設置。なかでも度肝を抜いたのが、都議会の冒頭解散だ。

今の制度では、総理には国会の解散権があるが、都知事には都議会の解散権はない。都議会の解散は、都民からのリコール、自主解散、都知事不信任に対する対抗としての都知事によるものの3つしかない。都知事としてできるのは、都民にリコールを起こさせること、都議会改革をして都議会を締め上げること、都知事支持の都議会議員をつくって議会解散への流れを作ることだ。

もちろん、小池氏も都知事に都議会の解散権がないことは承知していると、会見で明言している。無理筋を承知で、先手を撃つために、意図的に話題になるような言い方をしたのだろう。このあたりは、かつて小泉純一郎元総理が「自民党をぶっ壊せ」といったのによく似ている。

都知事選は、これまで知名度を生かした後出しが有利とされてきたが、知名度のある小池氏はそれと違う「先手」できた。相当の勝負師である。しかも、環境大臣や防衛大臣を経験しているので、政策実務にも精通している。

注目はこの二人となるのだろうか。自民党が分裂したというのに、野党候補がかすんでいるとはもの悲しい。野党の存在感が、ここでも薄くなっている。

民進党の行方だが、獲得議席は30を超えたし、岡田代表のお膝元である三重県でも民進党候補が勝った。岡田代表の辞任問題はただちには発生せず、9月の代表戦までは代表を務めるだろう。

おそらく安倍政権にとっては、岡田代表が辞めないほうが、今回やらなかった次の総選挙を戦いやすいので、代表継続を望んでいるだろう。情けない限りだ。

■高橋洋一

【私の論評】経済も、改憲も岡田民進党代表は安倍首相の強力な助っ人で在り続ける(゚д゚)!

上の記事で、金子洋一参議院議員が落選したということが掲載されていました。これは、民進党の幹部連中はほとんど意識していないでしょうが、民進党にとってかなりの痛手です。
金子洋一氏 自身のツイッターのプロフィー写真
上の記事でも高橋洋一氏が「民進の中にも、金融政策が雇用政策であることをよくわかっている人もいる。神奈川の金子洋一氏である。彼は元内閣府官僚であり、国際経験も豊かなエコノミストだ。左派政党に必要な希有な人材を、今回の選挙で失ってしまった。指摘しているように、金子洋一氏は、おそらく現在の民進党内では、マクロ経済に関して一番まともな考えを持った人だと思います。

このブログでは、何度か金子洋一氏について掲載しています。その代表的なもののリンクを以下に掲載します。
【日本の解き方】経済予測をことごとく外してきた面々は合理的な推測をしているのか―【私の論評】奴らは論評をしているのではない!論病に過ぎない(゚д゚)!
この記事は、昨年の4月28日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとしして、この記事から一部以下に引用します。

 民主党の金子洋一参院議員はツイッターで、「日経平均、続伸し15年ぶり2万円乗せ。わが国経済のためにまずは喜ばしいこと。やはり債券を主に買い入れ、株式を含む実物資産に民間資金をシフトさせる日銀による金融緩和の力は大きかった。われわれが提言したとおり、民主党政権でこれをやっていれば、経済の回復はより早かった。残念だ」とつぶやいた。彼の行動を知る筆者としても同感だ。
民進党幹部は、この優秀な議員の落選をあまり重要なものと捉えていないようです。岡田代表は、三重で「ここで負けたら、代表戦に出馬しない」などとして、三重にかなり力をいれていましたが、本来なら三重など放置して、金子氏が出馬していた神奈川で金子氏を徹底的に応援すべきでした。

民進党では、馬淵澄夫氏も経済には詳しいです。私としては、民進党幹部は、一度で良いから、この二人に、経済に関してはフリーハンドでやらせみるくらいの度量が欲しかったです。特に政権を担っているときに、そうしたらその後の民進党も随分変わったものになったものと思います。


このような人材をむざむざと落選させてしまうのですから、やはり民進党はもう二度と政権を担う機会は訪れないことでしょう。これを機に、さらに没落していくことになるでしょう。それに、金子洋一氏ほどの経済政策の理解者が世間ではいまいち評価されないことに、いまの日本の限界を見る思いがします。

こんなことでは、安倍総理の経済政策である"アベノミクス"が多くの人々になかなか理解されないのも、無理はないです。とはいいながら、今回の選挙は国民による"アベノミクス"の審判でもあつたわけですから、意外と国民は理解しているのかもしれません。

さて、上の記事では、高橋洋一氏が、これから政府の実行すべき政策について、リンクを掲載していました。そのリンクを見ると、以下の政策が提言されていしました。

1. 消費増税は延期ではなく、凍結にすべき。 
2. 日銀の政策決定会合を臨時で開催して、量的緩和30兆円 
3. 参院選後の補正予算で、財政支出 60兆円(20兆円×3年)。財源は、埋蔵金、財投債、国債。支出対象はインフラ整備、減税+給付金。 
4. 事実上無制限の為替介入。そのために、今の介入枠を参院選後の補正予算で引き上げる。 
5. 1と2、1と3はセット。前者がヘリコプターマネー、後者は非不胎化介入となって効果がある。
これを政府が実行すれば、英国のEU離脱の悪影響や、中国の経済の低迷が深刻になったにしても、日本経済はさほど影響を受けることなく、ふたたび成長軌道にのるものと思います。そうして、上で掲載した金子洋一氏の頭の中にも、これと似たような経済対策があるものと思います。

この政策については、以前このブログでも解説をしたことがありますので、それを以下に再掲します。

"
以下の2つの政策を合わせて、高橋洋一氏はヘリコプターマネーとしています。

1. 消費増税は延期ではなく、凍結にすべき。
2. 日銀の政策決定会合を臨時で開催して、量的緩和30兆円

ヘリコプターマネーとは、あたかもヘリコプターから現金をばらまくように、中央銀行あるいは政府が、対価を取らずに大量の貨幣を市中に供給する政策のことをいいます。米国の経済学者フリードマンが著書「貨幣の悪戯」で用いた寓話に由来しています。中央銀行による国債の引き受けや政府紙幣の発行などがこれにあります。


中央銀行は通常、市場に資金を供給する際、対価として民間金融機関が保有する国債や手形などの資産を買い入れます(買いオペレーション)。ヘリコプターマネーの場合、そうした対価を取らずに貨幣を発行するため、中央銀行のバランスシートは債務だけが増え、それに見合う資産は計上されず、債務超過の状態になります。その結果、中央銀行や貨幣に対する信認が損なわれる可能性があるため、平時には行われません。

ただし、現在の日本は8%増税の悪影響で、個人消費が落ち込み、GDPの伸び率が低い状況にあります。インフレ率もかなり低いです。さらに、英国のEU離脱などの悪影響も見込まれるため、とても平時といえるような状況ではありません。であれば、当然のことながら、ヘリコプターマネーを実施すべきです。

日本がデフレから完全脱却を目指し、しかももう20年近くデフレ傾向なのですから、そこから完璧にしかも素早く脱却することを目指すなら、今こそがヘリコプターマネーの実施どきです。しかも、国債の信任はあつく、ほとんど金利がゼロです。今をのがして一体いつ実行するというのでしょうか。

以下の2つの政策を高橋洋一氏は、"非不胎化介入となって効果がある"としていますが、これについての説明がないので以下に解説しておきます。

1. 消費増税は延期ではなく、凍結にすべき。
3. 参院選後の補正予算で、財政支出 60兆円(20兆円×3年)。財源は、埋蔵金、財投債、国債。支出対象はインフラ整備、減税+給付金。

そもそも「非不胎化」という日本語は、「非」と「不」の二重否定が「胎化」に被さっており、こなれていません。もともと「不胎化」は、sterilizeの経済学での訳語です。sterilizeとは、無力化するとか無効化するという意味である。「非不胎化」は、その否定でunsterilizeの訳です。

これらの英語で議論されていたころは、固定相場制が当たり前であり、いずこの政府も中央銀行の資金を使って、為替介入をしていました。




何やらこの解説だと消化不良をおこしてしまう方もいらっしゃるかもしれません、結局どういうことかといえば、ざっくり言えば1.3.の政策を実行することにより、政府や日銀は特段為替介入など何もしなくても、円安傾向にもっていけるということです。

"
高橋洋一氏は、政府はこれらのうちいくつかを実行することになるだろうとしていましたが、これを全部実行していただきたいものです。これをすべて実行すれば、"アベノミクスは失敗"などという批判を跳ね除け、"アベノミクスはまだ途上にある"という政府の主張が正しかったことが早期に実証されることになるでしょう。

参院選で、改憲勢力が3分の2をう回ったことを伝えた報道番組
改憲についてですが、これはいくら改憲勢力が2/3を上回ったからといって、すぐに憲法9条や、憲法自体を根本的に作りなおすなどということにはなりません。それは、上の高橋洋一氏の述べています。私も、そう思います。

それに憲法改正を実施するというなら、まずやるべきことがあります。それに関しても、以前このブログに掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
自民、27年ぶり単独過半数獲得も 参院選議席予測 浅川博忠氏 ―【私の論評】実は、岡田民進党代表こそ安倍政権の真の救世主だ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事から改憲をするなら、七条四もしくは、五十三条からすべきという内容を引用します。


"
《その一》

まずは、七条の誤植は改正する。

七条四  
国会議員の総選挙の施行を公示すること。
 
国会議員の選挙の施行を公示すること。

天皇の国事行為を列挙した七条の四号には、誤植があります。「国会議員の総選挙」など日本国憲法下では存在しません。今回は夏に衆参同日選挙があるかもしれないといわれいましたが、そうなった時でも参議院の半分は非改選なので、「国会議員の総選挙」ではありません。

この「総」の一文字が誤植なのです。まず憲法改正でこの一文字を削れなくて何ができるでしょうか。そのようなことを言い出すと、また岡田さんには反対することでしょう「安倍首相は、戦争をする気だ」だとまた声高に叫ぶに違いありません。

誤植一文字を削れば戦争になると絶叫する護憲派を見て、まともな日本人がどう思うことでしょうか。岡田さんの絶叫は、護憲派の正体を国民の前に炙り出すことになり、岡田さんがまた安倍首相に大きな味方をすることになります。

《その二》

五十三条の不備を修正する
五十三条

内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。 いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。 
     自民党案に変える。
 自民党改憲案五十三条
内閣は、臨時国会の召集を決定することができる。 いずれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があったときは、要求があった日から二十日以内に臨時国会が召集されなければならない。
昨年、野党が日本国憲法五十三条の規定に従って臨時国会の召集を要求したにもかかわらず、政府は外交日程を理由に開催しませんでした。日本国憲法では、日程の制限がないので憲法違反にはならないとの解釈が有権解釈になっています。

これに対し先の国会で、民主党の岡田克也代表が「なぜ臨時国会を開かなかったのだ!憲法を無視するな」と要求しています。しかもご丁寧に「自民党案では二十日以内と謳っているではないか」とまで付け加えていました。


それでは、岡田さんの要求に従い、五十三条改正を訴えればいかがでしょうか。これには、岡田さんは反対のしようもないわけです。なぜ最初に、七条四号と五十三条を変えるべきなのか。その理由の一つが、変えても誰も困らないし誰も影響を受けないということです。九条にしろ他の条にしても、野党と対立的な条文を変えると、改正どころか改悪になる可能性が大きいです。そもそも、国会の三分の二と国民の過半数の支持を得るのは難しいです。

いきなり対立的な条文を変えようとして、玉砕して二度と変えられないより、明らかな誤植と、野党第一党の代表である岡田氏が与党に不備の改正を要求している条文から入るべきではないかと思います。

とくに、五十三条では、またまた岡田氏が強力な助っ人になることは間違いありません。本当に、岡田さんは安倍政権の力強い助っ人ですから、参院選にたとえ惨敗しても、是非とも代表を続けていただきたいものです。たとえ、代表を辞めたにしても、民進党の幹部であり続け、引き続き安倍政権の強力な助っ人であり続けて欲しいです。
"
こう考えると、参院選では金子洋一参議院議員という、実務的マクロ経済のブレーンを失い、民進党をさらに経済オンチに追い込み、どう考えても与党には全く及ばない状況に追い込み、改憲でも、安倍総理に格好の憲法改正の緒を提供するということで、岡田代表は与党にとって強力な助っ人です。

代表今回の、参院選で敗北の責任をとるつもりはさらさらないようで、続投するということです。9月の民進党代表選にも出馬するかもしれません。また、代表に再選されて、安倍総理を助けて、日本のために貢献して頂きたいです。

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