2011年10月28日金曜日

元いいとも青年隊・岸田健作、ホームレスになっていた―【私の論評】すべての組織には、コミュニケーションの原則がある!!

元いいとも青年隊・岸田健作、ホームレスになっていた

フジテレビの番組「笑っていいとも!」に「いいとも青年隊」として出演し、その後も「おバカキャラ」として活躍したタレントの岸田健作さんがホームレスになっていたと、2011年10月28日発売の芸能スクープ誌「フライデー」が報じている。

「元『いいとも』青年隊が再起をかけて、衝撃の過去を告白!」と題して本件を報じた「フライデー」によると、岸田さんは「芸能界で働くのが突然怖くなった」ことを理由に「自分から芸能界を去りました」といい、家賃の支払いができなくなったことからホームレスになったとしている。

「財布を無くしたと言って通行人に小銭をもらい、体は公園内のトイレで洗った。コンビニの外に捨てられた弁当を漁り、口に入れることもあった」

そのような生活を代々木公園で2ヶ月ほど続けていたとき、公園内で練習するダンサーたちに出会ったという。彼らに刺激を受け、再び「表現をしたい」いう気持ちが芽生えたことで、派遣会社に登録して公園と仕事現場を往復しながら働き、「再起」を目指したとされる。現在はロックバンド「Kensaku Kishida en V」のボーカルやスプレーアート・アパレルブランド「B★ROP」のデザイナー、11月12日公開の映画「COOL BLUE」での主演を務めるなどしている。

岸田さんは、同じく芸能界を引退して「ハイパーメディア”フリーター”」となった元俳優・黒田勇樹さんのインターネット番組に出演した翌日のブログ(2011年6月24日)で、ホームレス生活から脱したことを以下のように振り返っている。

「(ホームレスの)経験があったから今があるし、今スゲー充実してるし。(中略)多分自分の人生の中で一番貴重な時間だったと思う。だって、100円おにぎりの美味しさがわかって、自分にやりたい事がある事を知れて、本当に大切な人達がわかって、、、もーこんな贅沢な経験出来たんだよ?(中略)今は毎日大切な仲間や大切な人達に囲まれて1日1日大事に生きれるようになった」

【私の論評】すべての組織には、コミュニケーションの原則がある!!



岸田健作さんといえば、あの「笑っていいとも」が印象に残っています。いいとも青年隊で活躍していたのはまだ記憶に新しいところです。以下に岸田さんの来歴など書いておきます。
岸田 健作(きしだ けんさく、1978年11月8日 - )(行現在で32歳)は、東京都足立区出身のタレント。東京都立江北高等学校卒業。現在の所属事務所は株式会社GFエンタープライズ(専属契約)。 
1997年3月にオーディションに合格し、『笑っていいとも!』の10代目いいとも青年隊として、小笠原秀春と共にWith Tとして、2000年3月まで活動。その後も『笑っていいとも!』の月曜レギュラーの他、数々のテレビドラマ、バラエティ番組にも出演していた。2009年12月からミクスチャーロックバンド「Atomic Seven」のヴォーカルとして、自ら作詞作曲を手掛け音楽活動をしていたが、2010年5月に活動休止。現在はヴィジュアル系ロックバンド「Kensaku Kishida en V」を新たに発足し、ヴォーカルとして2011年1月から活動中である。実家はケーキ屋であり、得意料理はショートケーキ。なお、オープニングを歌って踊る青年隊は彼と小笠原が現在最後の代となっている。 一時期、芸能界の怖さを感じて身を引き、2か月ほどホームレス生活を送ったこともある。
 ブレイクダンス
2002年、ガレッジセールのゴリがブレイクダンスで世界一とされる全韓国大会に出場するため、体操オリンピック選手の池谷幸雄、Panicrewの植木豪、HIPHOPダンサーの岸田健作、新体操インターハイ選手の山田千鶴率いるダンスクルー、「ユンソナ」を結成しブレイクダンス大会決勝進出を果たしている。この時の監督は日本人で初めてブレイクダンス世界大会優勝を果たしたTHE SPARTANIC ROCKERSの宮田健男であった。
http://ameblo.jp/kishida-kensaku/(岸田さんのブログ) 

公園内で練習するダンサーたちに出会ったということが、再起のきっかけになったようですが、そのようなことがなけば、どのようになっていたか、分かりません。詳しい前後関係は、わかりませんが、やはり、岸田さんにもいわゆるコミュニケーション能力、それも、特に、組織におけるコミュニケーション能力が低かったのではないかと思います。


やはり、組織におけるコミュニケーション能力がなければ、岸田さんのようにドロップアウトまでしなくても、しなくても良い苦労をしなくてはならないこともあるものと思います。だから、以下に、ドラッカー氏が提唱している組織におけるコミュニケーションの定義や原則など掲載しておきます。これは、学校などでは、なぜか教えませんが、本当に大切なことです。

■コミュニケーションの定義
ドラッカーによれば、コミュニケーションとは「思想、意見、情報を伝達しあい、心を通じ合わせるプロセス」のことを指すそうです。 
情報とコミュニケーションは違うもので、「情報は感情、価値、期待などの人間的属性を除去すればするほど、有効となり、信頼性が高くなる」と述べています。 
コミュニケーションは情報伝達と混同せず、共通認識ができるまでやっていくという姿勢が必要なのです。 
ではどうすれば共通認識ができるのでしょうか?それには、まず以下ドラッカーの4つの原則を知る必要があります。
■コミュニケーションの原則

1.コミュニケーションは知覚である
受け手の分かる言葉で話す。立場を考える。例えば日本語が苦手な外人に話す時を考えましょう。その相手の立場に立ったスタンスが重要です。ソクラテスは、「大工には、大工の言葉で話せ」と言っています。
2.コミュニケーションは期待である
人間は自分が知覚しようと期待するものだけを知覚できます。例えば街で薬屋を探しているとき、八百屋の存在は目に入らないものです。ラーメン屋を探しているときは、蕎麦屋は目にはいりません。相手の期待を知ってはじめて、コミュニケーションができます。

3.コミュニケーションは要求である
伝える方には要求があります。伝えられる方も要求が強ければ深く伝わるでしょうし、弱ければ(もしくは聞く気がなければ)伝わりません。 
それには、その人の人生観、倫理観、包容力、愛情、使命感など、多くの精神の力を借りて、相手と会話していくことが必要になるのです。
4.コミュニケーションは情報とは違う

前述のとおりです。コミュニケーションは人間的です。情報と大きく違うことを理解してください。

さて、上の原則を知っておくだけでも、組織でのコミュニケーションは格段に違ってくると思いますが、上の原則をふまえつつ、現在の企業などの、組織のコミュニケーションのとりかたを以下にまとめておきます。コミュニケーションにもいろいろあります。たとえば、家族や友人同士のコミュニケーションにも上記の原則は、あてはまります。無論、企業などの組織にも当てはまりますが、特に、企業の場合は、仕事をしたり、仕事を円滑にすすめるために、仕事としてのコミュニケーションも求められます。これに関しては、最近の人は、若者に限らす、上司といわれる人々もかなり弱くなっています。以下に、その要因も復命、組織内コミュニケーションについてまとめておきます。

■組織内コミュニケーションの取り方

1.「集団」の力から「個人」のレベルアップ
成果主義人事制度の浸透、ITの発展により、より個人的な成果を重視する傾向が90年代の後半から続き、終身雇用、年功序列が批判にさらされるようになってきました。もともと、日本企業の特徴は、(1)終身雇用、(2)年功序列、(3)企業別労働組合であったと言われています。しかし、集団の中に安住してはいけない、「強い個人」が必要である、などとされ、そのため給与制度では年齢給の世界から一足飛びに年俸制が議論されるようになってきました。「寄らば大樹」といった働き方が認められなくなってきたのです。3つの特徴に代表される日本企業の強みのひとつは、社員が安定した組織に長くいることで、様々なノウハウが蓄積され、それを長い年月をかけて伝承していくことにありました。 
また、一つの組織に比較的長くいることで、コミュニケーションにかかるコストが少なく済んでいました。つまり、共通の文化を背景に持つことで言葉の一つひとつ?をとっても、よくわかりあえる部分が多く存在しました。そのことが、また社員の満足感(そこまでいかなくとも安定感)を生んでいたと考えられます。ところが、日本企業に改革・革新の必要性が生じてくると、集団に適合する人材から「強い個人」が求められるようになったのです。「強い個人」を期待人材像におくことで日本企業は新たな境地を切り開いていったのですが、最近では同じ組織に属しながら、わかりあえない関係というものが目立つようになりまし。

2.組織の問題とは、すなわちコミュニケーション不全である
「強い個人」が求められた結果として組織内のコミュニケーションが寸断され、組織力・総合力の弱体化が顕著になってきました。一方、「強い個人」は、わがままだ、勝手だ、、教育がなっていない、などいろいろな批判にさらされました。そこで最近改めて行われていることが、「報連相」を強化しようという動きす。もともとコミュニケーション不全の問題とは、組織内の意思疎通をうまくしなければならない、との極めて日本的な企業組織の事情から発生してきたと考えられます。 
組織内コミュニケーションを円滑にするとは、タテ(報告)・ヨコ(連絡)・まわりへの伝達(相談)をうまくすることと理解されてきました。確かにベースとして「報連相」を徹底することは大事なことでありますが、問題はうまく解決できていません。考えてみれば、「報連相」とは情報の出し手の問題であって受け手は問題にされていません。そこで最近では、情報の受け手である管理者側にも問題があるのではないかと、コーチングをはじめとする傾聴のテクニックが重視されるようになりました。コーチングとは、個人の持つ力を引き出す手法で、支援・質問をベースにしたコミュニケーションスキルです。その中でも傾聴(相手の話を感情の部分まで理解する)はコミュニケーションのために必要とされています。
3.人と人とのつながり(ネットワーク)が組織を保つ
このところ、復古主義的といわれながらも運動会や社歌の唱和、社内SNSなどを行う会社が増えてきています。会社組織が昔ながらのタテ(上司-部下)とヨコ(同僚)だけで形成されているわけではなくなっている状況が背景にあると考えられます。世代、性別、役職を超えた、ランダムなつながり、まさしくネットワークの形成こそが、現在の組織における最重要課題となっているものと思われます。 
このようにして見てくると組織におけるコミュニケーション問題は、タテ(上司-部下)的な発想によるアプローチだけでは足りないようでです。組織内メンバーが確かに組織に属していて、他の人と繋がっているという感覚を持つことによってコミュニケーションギャップを減らし、組織をうまく保つことができる。コミュニケーションの欠如は、人と人とのつながりが希薄になったことが大きな原因です。つながり合っているということこそが人を支え合うのです。そのためには、自己開示と相互の価値観の交流を通じた打ち解けた関係作りが必要となるのでしょう。
ドラッカー氏は、コミュニケーションとは、彼からの私へ、私から彼に一方的につたわるのではないとしています。コミュニケーションとは、「私たちの中の一人から、他の私たちの一人」に伝わるものとしています。だから、普段から、「私たち」という関係を築いておかなけば、ならないということです。ミーティングや、会合を頻繁に開催して、その中て、情報をいっぱいだせば、それで済むものではないのです。

また、ドラッカー氏は、目標管理を導入せずして組織の円滑なコミュニケーションはない 「耳を傾けることはコミュニケーションの前提である。だが、耳を傾けるだけでは、効果的なコミュニケーションは実現しない」(『マネジメント[エッセンシャル版]』) と語っています。

耳を傾けることは、上の者が下の者の言うことを理解できて初めて有効となります。ところがドラッカーは、下の者は当然のことながら、上の者であってもコミュニケーション能力を持ち合わせているとは限らないといいます。

そこでドラッカーは、組織におけるコミュニケーションの近道を教えています。しかも、近道であって王道です。それはドラッカーが開発した目標管理(MBO)です。 

ドラッカーは目標管理を導入して初めて組織の円滑なコミュニケーションが成り立つといいます。なぜなら部下は、会社もしくは自らの部門において、いかなる貢献ができるのかを明らかにすることが求められるからです。

部下の考えが上司の期待どおりであることは稀です。事実、目標管理の最大の副産物は、上司と部下のものの見方の違いを明らかにすることにあります。

同じ事実を違ったように見ていることを互いに知ることこそが、コミュニケーションの第一歩なのです。 

なかなか、小難しいことを書いてしまいましたが、組織のコミュニケーションは、たとえば、世間で思われているように、しょっちゅう語り合ったり、顔をあわせばそれですむとか、話しているから良いとか、そういう次元の簡単な問題ではないということです。そう思っているだけでも、全く考えないよりも数段良いことと思いす。とにかく、こうした原則を知らなければ、岸田さんのつらい体験も、他人ごとではなくなってしまいます。

上記では、企業の例などを主にだしましたが、これは、芸能界でも、どこでも、組織といわれるものには、あてはまる原則です。これをないがしろにすれば、仕事ができなくなるばかりか、組織の中で完璧に浮いてしまい、それでも、この原則を振り返ることなしに、やりすごせば、やがで、組織そのものから、ドロップアウトせざるをえなくなります。だから、本当は、重要だし、知らないことは本当にこわいことです。

今後、上記のような原則を学んで、多くの人々に岸田さんのような不幸な経験をしなてもすむようにしていただきたいですしそれに岸田さんも、もうこれで失敗しないようになっていただければと思います、会社で上のほうの地位にある人も、部下が岸田さんのような若者を辛い目にあわせることがないよう、部下と真の意味でコミュニケーションを深めていただきたいと思います。

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2011年10月27日木曜日

個人の買い物や掃除を請け負って小遣い稼ぎ、アメリカで人気の仕事入札サイト「TaskRabbit」とは―【私の論評】ぞくぞくと、何か新しいビジネスが生まれる予感?

個人の買い物や掃除を請け負って小遣い稼ぎ、アメリカで人気の仕事入札サイト「TaskRabbit」とは


アメリカでは現在、食料品の買い出しや家具の組み立てなど、ちょっとした仕事を頼みたい人がその内容を掲載し、それを見た個人の登録会員が入札し、金額が最も低かった人がその仕事を請け負うという仲介サイト「TaskRabbit」が静かな広がりを見せている。

仕組みはこうだ。依頼者がTaskRabbitのサイトに仕事を掲載。この費用は無料で、誰でも仕事を依頼することができる。するとその内容や条件、希望する時間帯などを見て、自分ができると思ったTaskRabbit(登録者をこう呼ぶ)が、いくらで仕事をしたいかをオファー。依頼者はオファーしてきたTaskRabbitのなかから、自分の条件に合った人を選ぶことができる。




支払いは、仕事を掲載するときにTaskRabbitにクレジットカード情報を登録、仕事が終了した時点でそのカードにチャージされる仕組み。TaskRabbit社が約15%のサービス料を差し引いた残りの金額が、仕事を請け負った人に支払われる。

依頼するほうは誰でもいいが、請け負うほうはまず登録申請書を提出し、ビデオによる面接と身元調査を受け、さらにオンラインでのトレーニングを受けなければならない。こうしたプロセスは全て、仕事を依頼する顧客の安全を守ると共に、TaskRabbitの信用を維持するためだ。

どんな人々がTaskRabbitとして登録しているかというと、全体の25%は仕事を引退した男性、15%は母親、12%は仕事を持つ若い女性、10%は大学生だという(38%はその他)。

様々な経歴をもつtaskrabbit
では、どのような仕事が依頼されているのだろうか? 買い物代行、スリフティーショップ(寄付された中古品を店舗で販売、慈善事業に充てている。アメリカでは不要物をこうした店へ寄付するのが一般的だ)へ寄付するものの運搬、ピックアップと配達、引越し手伝い、掃除などの家事全般、家具の組み立てなど。その他車の修理やデータエントリー、ガーデニング、大工仕事、家庭教師など、おおよそ思いつく限りの多種多様な仕事の依頼がある。

仕事が完了したら、依頼主はTaskRabbitを評価することができ、その評価はサイトで確認できる。依頼する側はその評価やプロフィールを見て、任意のTaskRabbitに直接仕事をオファーすることも可能だ。

今年7月には、iPhoneおよびiPod Touch用アプリも完成し、これら端末からも仕事を掲載したり、入札したりすることが可能になった。

taskrabbitのiPhoneアプリの画面
TaskRabbitの創業者は31歳のリア・バスクさん。バスクさんはボストンに住んでいた2008年のある雪の夜、誰かが代わりに犬のエサを買いに行ってくれないだろうか……と思ったのが、創業のきっかけだという。

創業者のリア・バスクさん
TaskRabbitのなかには、月に5000ドルも稼いでいる人もいるという。現在では、ボストン、サンフランシスコ、ニューヨーク市、シカゴ、ロサンゼルス、オレンジ郡(カリフォルニア州)に、TaskRabbitのネットワークが構築されている。

【私の論評】続々と、何か新しいビジネスが生まれる予感?


このサービス、日本でも少し前まであった、いわゆる「便利屋」とも似ています。しかし、ITを駆使していることと、複数の人々を結びつけるということで、全く新しいビジネスになっています。

日本でも昔からある便利屋さん
アメリカにもいわゆる、handymanと呼ばれる、日本の便利屋に似たサービスが昔からありました。


こちらのほうは、どちらかというと、配管とか、簡単な大工作業とか、配線その他、工具を用いて行う仕事が多いようです。それに比較すると、日本の便利屋のほうが、柔軟性があって、様々な業務をてがていたようです。

しかし、このtaskrabbitは、それだけにとどまらず、本当に誰でもできるような、買い物、掃除、洗濯から、家庭教師のようなものまで、様々な業務に対応しているようです。これは、従来のような便利屋スタイルでは、実行可能な業務も、人員も限られていたものを多くの人々を結びつけることによって、その限界を突破し、従来よりは、はるかにビジネスチャンスを増やしたものと思います。

誰だって、誰だって、買い物などいつでも、行けると思いますが、時と場合によって、「これを誰かが今すぐ買ってきてくれれば、本当に助かるのだが・・・・」という事態に一度や二度くらいぶちあたったことは、あると思います。そんなときには、従来のウエブサービスではどうしようもないことがほとんどでした。何か頼んだとしても、商品が届くのは、数日後とか、結局その欲求は満たされません。

従来なら、それは、諦めるしかなかったのですが、このサービスをつかえば、その欲求を満たすことができるわけです。それに、それを専門にしている便利屋のような人がやることにでもなれば、単なる買い物にしては、法外な料金を支払わなくてはならなくなります。しかし、たまたま、そのときそう願った人の近くに、手のあいた人がいれば、それをその人が実行すれば、対価も低く抑えられ、もっとも合理的なはずです。

私は、このサービスこのままの便利屋的なもので済むことはないと思います。これから、他の業者もどんどん出きて、競争がはじまるでしょう。それに、このサービスを実施していれば、顧客の様々なニーズを発見できると思います。ある特定のサービスが格段に多いか、あるいはそれを提供している従来のサービス業者のやり方を少し変えて提供すれば、非常に顧客にとって良く利用客が増えようなサービスに生まれ変わり、しかも、それが、市場として成り立つのなら、そのサービスを独立させても良いと思います。

特に、サービスとしては、医療や学問に関わるような専門的なものは、病院や学校に行ったほうが良いと考える人が多いと思いますので、多くの人ができるものではあっても、時間や、地理的な制限に関係するようなものが適していると思います。

いままでの、eコマースを考えてみると、情報提供と、物販に関しては、もう随分前から取り組まれており、かなりレベルもあがってきたと思います。特に書籍販売のアマゾンは、最近、電子書籍でもかなり勢いがあります。しかし、人の手を介してでないと提供できないサービスに関しては、まだまだというところだと思います。サービスという性格からして、完璧なオンデマンドはほとんど不可能ですが、それに近い提供の仕方は工夫次第でできると思いますが、現実には、まだまだ手付かずといっても過言ではないと思います。この、"taskrabbit"のようなサービス提供サイトは、このあたりの新しい需要を探すのに最適だと思います。

今後、Googleなどのような検索エンジンの運用会社も、これから、トラフィックを増加させるために、このようなサービスに注目するに違いありません。自社で開発していくか、あるいは、このような会社を買収するかもしれません。私は、こちらのほうが、Grooponのようなクーポン発行よりもよほど、大きなチャンスがあるのではないかと思います。皆さんは、どう思われますか?

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2011年10月26日水曜日

日本の人口増加率 過去最低に-【私の論評】人口減解釈への警鐘!!インフレ、デフレは、人口の増減とは全く関係がない!!デフレ人口減説は、都市伝説なみのヨタ話に過ぎない!!

日本の人口増加率 過去最低に 


去年10月に行われた国勢調査の結果が確定し、日本の総人口は1億2805万7352人と、前回5年前の調査に比べて増加率は0.2%にとどまり、これまでで最も低い伸びとなりました。

 それによりますと、去年10月1日現在の日本の総人口は1億2805万7352人で、前回5年前の調査に比べておよそ28万9000人増えました。しかし、増加率は0.2%にとどまり、国勢調査が始まった大正9年以来、最も低い伸びとなりました。また、日本の世帯数は、前回に比べておよそ238万4000世帯多い、5195万504世帯で、初めて5000万世帯を超えました。1世帯当たりの人数では、4人以上の世帯が減少する一方、1人の世帯が全体の32.4%と最も多くを占めています。

一方、都道府県別の人口で、人口が増加したのは、増加率の高い順に、東京、神奈川、千葉など9つの都府県。人口が減少したのは、減少率の高い順に、秋田、青森、高知など38の道府県となっており、今回増加から減少に転じたのは、栃木、静岡、三重、京都、兵庫、岡山の6つの府県でした。

【私の論評】人口減解釈への警鐘!! インフレ、デフレは、人口の増減とは全く関係がない!! デフレ人口減説は、都市伝説なみのヨタ話に過ぎない!!
さて、このニュース朝日新聞は、どのように伝えているかといえば、以下のようなものです。
日本人の人口1億2535万人、減少に転じる 国勢調査

2010年10月1日現在の国勢調査の確定結果で、日本人の人口は1億2535万8854人になり、05年の前回調査より37万1294人(0.3%)減った。国勢調査は5年に1度実施している。日本人と外国人で分けた統計を取り始めた1970年の調査以降で、減少に転じたのは初めて。総務省が26日に発表した。 
外国人を加えた総人口は1億2805万7352人で、前回調査から0.2%にあたる28万9358人増えた。
http://www.asahi.com/national/update/1026/TKY201110260392.html 
一体どうなっているのでしょうか?なぜ、朝日新聞の報道はこうなるのでしょうか?全く理解できません。何か仕掛けがあるのだと思います。何が何でも、日本の力を弱めたいと思う朝日新聞の魂胆が良く見えるような記事だと思います。

そうは、いっても、少子高齢化傾向であるのは、間違いないことであり、いずれ、本格的に人口減になるときがやってきます。その時になって、人口減の解釈をめぐって、ますます、異常な経済論議ともいえないような、経済論議がなされる可能性があるので、ここに警鐘を鳴らしておきます。

それは、デフレ人口減説というトンデモ説です。これは、経済学を無視したとんでもない理論ですが、そのようなトンでも理論であるばかりではなく、世界中を探しまわっても、これを裏づけるようなデータは存在しません。おそらく、これから、正統派マクロ経済学とは、無縁のトンデモない衒学者どもが、日本のデフレは、人口減が原因であるから、いたしかたないという説を吹聴しまくると思います。そうして、新聞もその尻馬にのって、馬鹿な説を流布しまくることになると思います。そんなことになる前に、この馬鹿な説を論破しておきます。

インフレ・デフレというのは純粋な貨幣現象です。人口減、人口増など全く関係ありません。マネタリストのミルトン・フリードマンも「インフレデフレはすべて貨幣現象である」と語っています。というより、これは、どの経済学者も認める当たり前の事実です。これを認めない人は、経済学者とも、呼べない輩です。これは、経済学では当たり前の真ん中の、普通の経済学のテキストにも掲載されているようなことです。これが、崩れたら、経済学など最初から成り立ちません。



少し難しくなりますが、経済学の話をします。

一般に、貨幣を増やすインセンティブを起こせば需要が大きくなります。貨幣を減らすインセンティブを起こせば需要は小さくなります。当たり前のことですね。

貨幣供給力は、capital(K)  labor (L) 、A を技術によって変わる変数として、F(K.L)は、関数とすれば、供給力はY=AF(K.L)として表記できます。

その時点での供給力に対して貨幣量が大きくなり需要が大きくなればインフレになり、貨幣量が少なければ需要が小さくなってデフレになるだけです。本当にそれだけの話です。






上の話、少し小難しくなってしまいましたが、何も、こんな難しいことで、表わすまでも、なく、常識で考えれば、わかります。人口減になり、それに比例して、生産活動などが、減少すれば、当然経済は小さくなりますが、それをもってデフレなどとは、言わないことは、中学生でもわかる理屈だと思います。それに、かつての、中国のように、人口ががどんどん伸びていくと、経済は、成長しますが、それをもってインフレとはいいません。全く、別次元の問題です。人口減が、デフレの原因とのたまう輩は、結局いろいろな策をろうしてこれを否定しているだけです。これは、鶏が先か、卵が先かの議論にもなりません。もともと、関係ないわけですから。

人口減や、人口増になっても、貨幣の流通のバランスが崩れなければ、デフレにもインフレにもなりません。人口減のときに、人口減とは全く関係なく、何らかのことにより、貨幣の流通のバランスが崩れれば、そのときは、デフレになったり、インフレになったりします。人口にみあった貨幣の供給量が少なければ、デフレになるし、多ければインフレになるだけの話です。

現在の日本では、政府が緊縮財政をしたり、日銀が増刷拒否をしているため、ここしばらく、デフレ状況が続いています。そんなときにたまたま、人口減の傾向にあるからといって、人口減がデフレの原因であるとはいえません。デフレ人口減説を唱える連中は、最近の日本のこの状況のごく一部のデータをきりとってきて、デフレ人口減説を唱えているだけです。日本でも、過去には、人口増であるにもかかわらず、デフレ傾向になったことはあります。これは、無視して、最近のデータばかりとりあげて、このような説を唱えることは合理的ではないし、科学的な態度でもありません。

それに、たとえば、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ニュージーランドのような、もともと、人口が少ない国は、この説に従えば、人口の多い国に比較すれば、デフレになりやすいということでしょうか、それに、人口の伸びが今でも著しいインドや、東南アジアの国々などでは、インフレになりやすいということでしょうか。そんな馬鹿な話はないです。人口増になろうが、デフレになったり、人口減になろうが、インフレになっているなどいう事例はゴマンとあります。そもそも、関係ないわけですから、最近の日本の状況のみをデータとして取り出して、デフレ人口言説を唱えることは、全くの不見識であるどころか、見当違いもはなはだしいです。

日本がここしばらく、デフレなのは日銀が貨幣量を供給に対して増やそうとしないからです。貨幣量が増えると国民が予想すれば需要は必ず大きくなります。それがインフレ予想というものです。需要の構成要素は消費、投資、政府支出、純輸出です。

消費は所得の増加関数で実質金利の減少関数です。日銀が貨幣を市場にばら撒けば名目所得の上昇期待が生まれ、実質金利は名目金利ー期待インフレ率ですから実質金利が下がれば貯蓄するより消費した方が得です。よって消費は増えます。

設備投資は実質金利の減少関数ですから、企業がおカネを借りやすくなります。インフレ期待があれば収益の名目値が上がる予想ができますので企業は積極的に設備投資するでしょう。純輸出はインフレ期待があれば通貨安になりますから、純輸出は上がります。よって、日銀がマネーを増やせば需要は増えます。

日本のデフレの原因は人口減少とは、全く関係ありません。日銀がマネーを出さない(増刷拒否の姿勢を崩さいない)ことと、それに、政府が緊縮財政をしていることです。そして日銀がインフレそのものを許容しないことが原因です。まるで、インフレにさえならなければ、自分達の責務を果たしていると思い込んでいるようです。

最近、円高傾向ですが、円高なるものは、いろいろな要素があって、予測することは難しいですが、少なくとも6割型は、予測のつくものです。その6割とは、要するに、もともと、デフレであり、日本国内外を含めて、円の流通量が少なかったところに、震災が発生し、その震災からの復興のため、大規模な円の需要が増えているにもかかわらず、日銀が、増刷拒否の姿勢を崩さないからです。それに、無論、政府も緊縮財政をしているからです。全く愚かなことです。

このブログでは、過去に、世界一金融資産を外国に貸し付けていて、政府の金融資産も他国にはみられないほど、膨大であり、さらには、国民の家計における、現金・預金も膨大であり、しかも、政府の借金のほとんどが、国外からではなく、日本国内からであるようなこの日本国が財政破綻などするはずがないことに関しては、何回も掲載してきました。

しかし、デフレ人口減説の間違いについては、掲載してきませんでした。しかし、人口減が顕著になりつつある、現在いずれ、このような説を多くの政治家や、官僚、偽経済学者や、マスコミが言い立てることを懸念しています。それに、すでに、そのような説を掲載する書籍なども出回っています。しかし、デフレの原因が人口減であるという説は、どのような立場にある人間の発言にせよ、全く間違いであり、このような人間が発する言葉を真に受けるべきではありません。これは、都市伝説や、錬金術、永久機関と同じようなヨタ話にすぎません。

そうして、このような発言の源流をたどれば、財政破綻説と同じく、財務省の高級官僚あたりということになると思います。彼らは、省益どころか、自分のことしか考えていないのだと思います。とにかく、税金でもなんでも、あまり頭をつかわず、簡単にむしりとれるところからとって、自らの保身や、老後の贅沢三昧に備えることしか頭にないのだと思います。これに同調する輩も、すべて、そのおこぼれにあずかりたいとか、単に騙されている連中ばかりだと思います。困ったものです。わたしたちは、このような者たちの、言説に惑わされないにすべきです。

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2011年10月25日火曜日

スティーブ・ジョブズ氏:すし職人が明かすサービスへのこだわり 「おいしかった。またね」が最後に―【私の論評】あなたなら、明日死ぬということなったら、何を食べたいですか?

スティーブ・ジョブズ氏:すし職人が明かすサービスへのこだわり 「おいしかった。またね」が最後に


ジョブズ氏が最後に注文した握りずし。(すしゲタの左上から時計まわりで)しめサバ、穴子、タイ、ウミマス=2011年10月18日、パロアルト(米カリフォルニア州)の陣匠で堀山明子撮影



米アップルの共同創業者、故スティーブ・ジョブズ氏(5日死去、享年56)が死期を予感し、ごく親しい友人を招いて“お別れ会”を繰り返したすし屋が米カリフォルニア州シリコンバレーのスタンフォード大近くにある。2人のすし職人、金子典民さん(46)と高橋一郎さん(39)が共同経営する「陣匠(じんしょう)だ。高橋さんが取材に応じ「決して泣き言を言わない人だった」と病と闘う姿を語った。すし職人が見たジョブズ氏とは。


【私の論評】あなたなら、明日死ぬということなったら、何を食べたいですか?
本日は、ここしばらく、何回か、ジョブズ氏関連のことをこのブログに掲載してきたので、掲載するのは、ためらわれたのですが、結局掲載することにしました。
陣匠内部
最近、アメリカでも、本当に和食が食べられる店が増えてきたようです。今から20年ほど前までは、和食といって、結構もてはやされていても、実際は、ごく一部のインテリ層しか食べていないという感じて、一般人からは程遠いような感じでしたが、最近ではそうでもないようです。だからこそ、ジョブズもこのように足しげく通ったのだと思います。

ちなみに、陣匠のランチの写真を以下に掲載しておきます。




2品選ぶランチセットは$16です。庶民には結構厳しい価格かもしれません。

大きな地図で見る

454 S. California Avenue, Palo Alto, CA 94306
  650-321-3454

上の記事を読んで思い出したのが、昔、雑誌に掲載してあった記事のことです。どの雑誌かいまでは忘れてしまいましたが、死刑囚が最後に食べる食事というものです。その記事の細かい内容は、忘れしまいましたが、何でも、アメリカでは、死刑囚の最後の食事は、本人が食べたいものを食べられるようにしているという話です。ただし、最近では、テキサス州では、この最後の食事が廃止されたそうですが、いまだに他の州では、これを死刑囚の特権として認めているようです。

そうして、その記者は、その記事の最後のほうで、やっぱり、日本人なら、寿司だろうが、アメリカ人ならステーキということになるだろうと、書いていました。

死刑囚だと、大抵は、健康に支障はないので、食べたいものを食べたいという欲求があるのだと思います。ジョブズ氏は、病気だったので、本当の意味での最後の食事はなかったかもしれません。実質上の食事がほとんど、最後の食事だったのではないかと思います。日本人としては、そうであって欲しいと思ってしまいますし、本当にそうだったら、本当に嬉しいです。

アメリカ人も和食を最後の食事に選んでくれる人もでてきたということかもしれません。ジョブズは、日本に対する造詣も深い人でしたから、こんなこともアリかなと思います。

死刑囚の最後の食事といえば、私の記憶では、10年ほどまえに、ハーゲンダッツのアイスクリームを食べたいといった囚人がいたということがなんとなく記憶に残っています。

それから、あの映画グリーンマイルでは、映画で出てくる黒人の最後ののぞみは、フレッド・アステアと、ジンジャー・ロジャースのでてくるミュージカル映画をみることでした。この黒人この映画をみて「二人は天使だ!!」と叫びながら、涙を流していたのが印象的でした。以下に、その映画にでてきた、実際の映画のシーンを掲載しておきます。


本当に、人間の最後ののぞみには、いろいろなものがあるようです。

それから、2年くらい前に、イギリスで囚人の最後の食事を再現したものがサイトに掲載されていたのを思い出しました。それは、今もあるかどうか、確認してみましたら、ありました!!説明は、ともかく、その写真だけ以下に掲載します。

フライドチキン、ポテト、スープなどアメリカンな食事です。

そのほか、いいろいろと、とても風変わりな食事が掲載されていました。それについては、もしご覧になりたければ、以下のURLでごらんになっください。

http://rocketnews24.com/2009/08/13/%E6%AD%BB%E5%88%91%E5%9B%9A%E3%81%8C%E6%9C%80%E5%BE%8C%E3%81%AB%E9%A3%9F%E3%81%B9%E3%82%8B%E9%A3%9F%E4%BA%8B%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F/

最後の食事にしては、少ししょぽすぎますね。中には、ほとんど食事らしい食事でないものもありますが、明日死ぬと思えば、食欲もわかないからかもしれません。もともと、イギリスなどは、普段から食生活がイタリアなどと比較すれば、お粗末ですから、いたとかたないのかもしれません。これに関しては、実話をもとにして製作された映画"Letters of Dead men"(第二次世界大戦中のイタリアの山中の模様を描いたもの)で、銃殺刑をいいわたされたイタリア人が、最後に、ワインとパンを所望していて、それを銃殺を実施する側のドイツ軍将校が認めてやってたのを思い出します。こちらのほうが、余程ましです。

しかし、いずれにしても、こんなのは、私なら、絶対に嫌です。やはり、最後の食事ともなれば、ジョブス氏のように寿司あたりが良いとおもいます。それに、一合で良いですから、本当に美味しいお酒がついていれば、いうことはありません。それよりも、何よりも、これは、囚人には許されないことなのでしょうが、やはり、親族や、友人知人と最後の食事をともにしたいです。そういう暇(いとま)を人生の最後にもつことができる、それが人として最高の幸せだと思います。ジョブズ氏もそうであったと信じたいです。だからこそ、最後の食事を摂るときには、囚人であってはないらないと思います。

ジョブズ氏は、一般にはあまり知られていないですが、仏教徒です。そうして、このブログにも掲載しましたが、ジョブズ氏は、日本の武士道の精神でもある、「武士道とは死ぬこととみつけたり」といういわゆる「葉隠」の精神ともいえるような、精神を持っていたようです。そのような、ジョブズ氏であったからこそ、最後の食事は寿司だったのだと思います。

ジョブズ氏は、生前に「死を意識した生き方」を語っていました。それは、決して、消極的なものではなく、日本の武士道精神のような、積極的な生き方でした。明日死ぬと思えば、囚人でさえなければ、やることは山のようにあると思います。

まずは、世界を変えること、あるいはそこまでいかなくとも、社会やコミュニティーや、もっと些細なことについてもとにかく良いほうに変えることを、見込みのある人にそのエッセンスを伝え、自分の遣り残したことをやってもらいたいと思うに違いありません。しかし、見込みのある人が考え違いをしていれば、それを是正しようとして、多くのマスコミや、伝記の作者さえも指摘したような、ジョブズ氏のように辛らつな言葉になることもあるかもしれません。

あるいは、世話になった人たちに、今生の別れの言葉を伝えたいと思うにちがいありません。そうして、短い時間の中でも、できることは、すべてやっておきたいと思うに違いありません。また、明日死ぬとおもえば、それまで、悩んでいたような事柄がほんの些細なことに見えてくるに違いありません。これこそが、ジョブズ氏の「死を意識した生き方」を意味するものです。そうして、ジョブズ氏は文字通りこれを実践したと思います。

私たち日本人は、武士道的な生き方を忘れがちですが、やはり、ジョブズ氏のように、「死を意識した生き方」を実践して、"one more thing"を追求していくべきです。

以下は、以前のブログにも似たような内容を掲載したものですが、ここにもう一度、ジョブズ氏に敬意を評して掲載します。

時代の歩みは止まりませんし、テクノロジーであれ、どんな分野であれ、世界をよりよいものにする One more thing は生み出される時を待っています。

次の One more thing を作るのは私でありあなたであり、志のある多くの人々です。

それは iPhone や iPad のような発明かもしれませんし、新たな商品の開発かもしれないです。新しい著作、人を感動させる音楽、誰かの人生を変える小さな一言かもしれません。あるいは、日々わたしたちが取り組んでいるいる仕事かもしれません。しかし志のある人たちが全員がそれを追い求めることで、世界はちょっとだけ良い場所になるはず。そうして、多くの人がそう信じて行動すれば、より良い社会になるはずです。私は、そう信じています。

Thanks you Steve Jobs for making the world a better place. We will continue in your footsteps to make insanely great stuff. May you rest in peace.

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2011年10月24日月曜日

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消費者が不信感を持つほど高額な日本版ジョブズ伝記本3990円 / 北米では940~1370円



先日、iPhone4SのSIMフリー版が、定価の倍以上の価格でオークションやショップで売られているという記事をお伝えした。アップル社が正規に売っているものではなく転売されているものなので、いくらボッタクリ価格だったとしても消費者は文句は言えない。

しかし、今回に限っては消費者から文句の「も」の字くらいは言ってもいいのではないだろうか? 2011年10月5日に亡くなったスティーブ・ジョブズ氏のオフィシャル伝記本が北米で10月24日に発売されるのだが、それの日本語訳版(講談社)が驚くほど高額なのである。なんと北米版の約3倍の価格である。

【スティーブ・ジョブズ伝記本のAmazon価格】
北米  17.88ドル(約1370円)
英国  12.50ポンド(約1520円)
伊国  22.99ユーロ(2440円)
独国  24.99ユーロ(約2600円)
日本  1995円×上下2冊=3990円
※2011年10月23日の為替相場で計算

翻訳と権利購入にお金がかかっているとはいえ、北米版の3倍の価格って尋常ではない気がするのだが……。また、この本は確実にミリオンヒットすると言われており「確実に売れる」とされている。もちろんジョブズ氏は注目の人だし、購入したいと考えている人も多いはず。

それならば薄利多売とまではいかなくても、もっと購入しやすい価格設定にしてほしいものだが、消費者からするとファンの足元を見たような価格設定に思えるのも確かである。同書は電子版も発売されるのだが、日本だけ電子版が書籍版と同等の価格なのも批判されている。以下は、この価格設定に対するインターネットユーザーの声である。

・日本版ジョブズ伝記本3990円に対するインターネット上の声
「ジョブズの死を冒涜する価格設定だな。潰れろ」
「日本人は高くても流行に飛びつくからな」
「どこの中間搾取のせいで電子と紙媒体が同じ値段になってるのよ」
「うまいわー。海外有名人の追悼伝記おいしすぎて、死の商人だわー」
「信者は文句言いながらも喜んで買うから問題ないだろ」
「俺達は英語版で読むから関係ないけどな」
「翻訳は言い訳にならん。ドイツ版と同じぐらいの値段ならわかる」
「これ買う奴は自分は馬鹿ですって公言するようなもんだよね」
「米語の勉強にもなるから、未翻訳のかっとけ」
「日本だけ電子書籍がハードカバーとほぼ同額。予想通りの展開だわ」
「日本のボッタクリは世界でも最悪なレベルだろ。俺はkindleで買うから関係ないけど」
「この手の絶対売れる本はおいしいよな」
「日本はバカが多いから搾取され続ける。歴史的円高でもこれ」
「上下巻商法多すぎ」
「こういうベストセラーはすぐブックオフで買える」

ちなみに北米で売られる電子版の価格は11.99ドルなので、日本円にして約940円。日本では電子版が書籍と同等の値段で売られるといわれているので、ほぼ3990円で売られることになる。940円と3990円、およそ4倍の価格差がある。出版社にも言い分があると思われるが、どうしてそんなに高額なのか説明がない限り、消費者からボッタクリと言われてもおかしくない価格差だ。

この件に関して出版業界に詳しいA氏に話を聞いたところ「絶対に売れる本は出版社にとってまたとないチャンスです。できるだけ高額で売りたいものの、1冊で数千円もする本は消費者の反感をかう可能性がある。なので上下巻に分けて購入しやすいように思わせるやり方はよくやることですよ。内情を知らないので今回の講談社がそうとは言いませんが」と語っていた。



【私の論評】この現象は、ジョブズだけではない!!日本では、欧米の名の通った著者の書籍は、目ん玉が飛び出るくらい高い!!たとえば、ドラッカーも例外ではない!
それにしても、ジョブズの伝記本が日本だけが、こんなに高いのは異常です。それに、上の写真は、アメリカの本屋のでの写真と思いますが、もともと、安いだけではなく、本屋さんの裁量で、30%オフの値引き販売しています。日本では見られない風景です。

本屋で、値引き販売できないのは、日本には、再販売価格維持(さいはんばいかかくいじ、英語: resale price maintenance)という制度があるからです。これは、ある商品の生産者または供給者が卸・小売業者に対し商品の販売価格を指示し、それを遵守させる行為である。再販売価格維持行為(再販行為)、再販売価格の拘束とも呼びます。

要はメーカーが小売業者に対し商品の小売価格の値段変更を許さずに定価で販売させることをいいます。

再販売価格維持は、流通段階での自由で公正な競争を阻害し、需要と供給の原則に基づく正常な価格形成を妨げて消費者利益を損なうため、資本主義経済を取る国の多くでは、独占禁止法上原則違法とされています。但し例外的に一部商品については一定の要件の元に再販行為を容認している場合があり、それを再販制度と通称しています。

書籍に限らず、日本では、様々なものが値引き販売できないようになっています。これを他国と比較したのが、以下の表です。

主要各国の概況
書籍雑誌新聞音楽備考
フランス時限再販(2年)、値幅再販(5%)
ドイツ時限再販
ノルウェー
オランダ
デンマーク
オーストリア
日本
(※=詳細不明)
上記の通り書籍は7ヶ国、雑誌は5ヶ国、新聞は3ヶ国で再販行為が容認されています。ただし、ドイツやフランスでは時限再販や部分再販で弾力的運用を図っています。音楽ソフトの再販行為を容認している国は日本だけです。
とにかく、日本では、著作権にからむ商品に関しは、実質上値引きして販売することはできないということです。こういうことが、まかり通っているので、上の記事のジョブズ氏の伝記本も法外な価格になるのだと思います。おそらく、この手の本は、時間の経過とともに、すぐに売れなくなってしまい、儲けがすくなくなってしまうという事情があるだと思います。それにしても、こうした、今となっては、不可思議な慣習としかいえないようなことまでして、出版社などや著者を守る必要はどこにあるのでしょうか?
さて、上記で話題なった書籍の表紙を以下に掲載します。



海外では、ほとんどが、分冊にしていないというのに、日本では、わざわさ゜分冊にしています。これは、もう、高く売らんがための、方策としかいえないと思います。


下の写真は、英語版です。表紙に余計なことがかかれていなくて、非常にシンプルで、分冊でもなく、日本語版よりはるかに良いと思います。



それにしても、このような書籍の販売方法は、日本では珍しくありません。特に、海外の世界的に名の通った著者によるものや、著者がそうではなくても、ジョブズのような超有名人を題材とした、伝記などは、大抵そうです。
ドラッカーの書籍もその傾向があります。たとえば、ドラッカーの『マネジメント』はその典型ですz90;これは、何と、三分冊です。一冊2,250円ですから、三冊合計で、6,750円です。








































これは、高すぎだと思うのは、私だけではないと思います。 それに下の写真をみていただければ、おわかりいただけるように、日本の書籍だと帯がついています。この帯も無駄といえば、無駄だと思います。海外では書籍や、CDに帯をつけてうるところなどありません。日本独特の慣習です。この帯は、販促費などに含まれているのでしょうが、いずれにせよ、無駄です。これは、各書店で工夫して、店内ポップでもだせばそれですむことだと思います。 この『マネジメント』私が、学生の頃は、確か、2分冊で、一冊5,000円くらいだったと思います。そのため、両方あわせて、1万円前後だったと思います。だから、おいそれと、購入することはできませんでした。

やはり、あまりにも高いせいでしようか、当時からあまり売れなかったとみえて、その当時から、いわゆる、「エッセンシャル版」というのが販売されていました。これは、今でも販売されています。その表紙の写真が下です。


これは、価格は、2,100円です。これは、無論、内容を要約したものです。現在、『もしドラ』ブームに牽引されたせいでしょうが、この『マネジメント』も売れていますが、売れているのは、ほとんどがこちらの「エッセンシャル版」です。この要約は、無論、『マネジメント』を翻訳した人が実施して、その要約の内容も、無論、ドラッカー氏が認可したものです。しかし、かといって、あくまで、要約版は要約版です。このエッセンシャル版を読んでいて、良く判らないことがありましたが、最初は、自分の読みが浅いとか、あるいは、内容が経営に関するものだったので、自分には経験がないので理解できないのだろうと思っています。

ところが、学生時代に、丸善で、ドラッカーの英語の書籍が、三冊まとめて、ハードボックスに入ったセットものが、数千円で販売していたので、購入しました。確か、『マネジメント』、『乱気流時代の経営』、『経営者の条件』でした。そうして、『マネジメント』は要約版でありませんでした。その頃までに、これらの本の日本語版を何回も読んで頭に入っていたので、英語のものも、あまり難なく読むことができました。

特に『マネジメント』を英語で要約版でないものを読んでわかったのが、やはり、エッセンシャル版などては、省略されている説明があるので、非常に理解しやすかったということです。そうして、最初、日本語のエッセンシャル版で読んだときに関じた、読みが浅いとか、経験が少ないから理解できないということはありせんでした。やはり、翻訳により意味が掴みにくくなっていたこと、さらには、要約版ということで、事例などの内容が省略されていたり、解説が省略されていて、理解しにくくなっていたのだと思ます。

このブログにも、掲載したことがありますが、私は、ドラッカーの『マネジメント』を米国アマゾンから、電子書籍で購入しました。これは、いわゆる、rivised editionということで、ドラッカーの原本をもとにしているのですが、ケース・スタディーなどは、あまりに古いものにかえて、新しいものに変えています。事例が、新しいのでますます、理解しやすなっています。それに、驚いたことに、価格、千円ちょっとでした。これは、以前も掲載しましたが、iPadや、iPhoneなどでも読めますし、特に、iPhoneにいれておけば、軽いし、本当に重宝です。iPhoneは、いつでも持って歩くので、いつでも読みたい時に、読めます。これは、本当に良いです。それに、iPhoneであれば、わからない単語がでてきても、すぐに検索できたりします。



しかし、ジョブズの伝記といい、ドラッカーの書籍といい、日本でだけこのような超高価で販売されるということは、非常に問題があるのではないかと思います。ある意味では、消費者をないがしろにするだけではなく、文化や学問を阻害しているかもしれません。

私は、上の記事で、掲載されているような、高い日本語版のジョブズの伝記よりも、低価格で、検索などもできて便利な、英語の電子書籍版をダウンロードしようと思います。そうして、無論iPhoneにも入れようと思います。こちらのほうが、私にとってずっと良いです。

以前、このブログでは、アマゾンの日本語電子書籍が日本に進出してくることを掲載し、アマゾンの優位性を示し、日本の業界は、アマゾンに席巻されてしまうかもしれないようなことを掲載したことがあります。しかし、このような、書籍販売の不合理の実体をみてしまうと、ある意味では、それも致し方ないことと思えてきます。上記にあげたもののほかにも、いろいろな不合理、規制などが、出版業界等にもあるのだと思います。アマゾンの日本語書籍進出を契機にこうした、日本の書籍業界の不合理な仕組みや、規制など、一掃されて、より、ユーザーのニーズに近いものに生れ変わることを望みます。

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