2012年11月11日日曜日

高音質で“復権”のレコードが生産数7割増 ビートルズなど続々―【私の論評】音楽配信にはいずれ新フォーマットがでてくる、しかし背後には紛れもなくデフレの影が!!

高音質で“復権”のレコードが生産数7割増 ビートルズなど続々





音楽鑑賞の主役をCDとネットの音楽配信に譲ったアナログレコードの市場が、ここにきて俄然(がぜん)熱を帯びている。今年の生産枚数は、CDより大幅に少ないとはいえ前年同期比で7割増加。拡大するシニアマーケットに注目が集まる中、デビュー50周年のザ・ビートルズの全集や、結成50年のザ・ローリング・ストーンズの高音質LPの発売も予定され、アナログに郷愁を感じる中高年に加え、新たなファンを獲得しそうな勢いだ。

[音楽不況に特効薬なし]CD市場14年ぶり前年上回る勢い…ただし一過性?

・・・・・・・・・< 中略 >・・・・・・・・・・・・

アナログレコード市場が再拡大している理由について、ディスクユニオンJAZZ店舗統括責任者の塙耕記さんは「CDなどより音が良いことを評価する人が増えている。大きな紙のジャケットを手にする喜びも捨てがたい魅力となっているのでは」と話している。(櫛田寿宏)

このニュースの詳細は、こちらから!!

【私の論評】音楽配信にはいずれ新フォーマットがでてくる、しかし背後には紛れもなくデフレの影が!!



CDの売上が年々減っているそうです。今年は、14年ぶりに前年を上回るそうですが、これも一過性にすぎないそうです。かくいう私も、ここ5年くらいはCDを全く購入していないです。また、購入するとすれば、iTunes Storeからです。特に最近は、一度購入したものは、間違って消去するようなことがあっても、クラウドに蓄えられており、再度ダウンロードできるので、安心して購入できます。過去に購入したものの、パソコンがクラッシュしてしまい、運悪くそのときにパソコンに入れていて、バックアップをとっていなかったものも、今だとクラウドから再ダウンロードできますし、それに、登録しておけば、複数のデバイスにダウンロードできます。

音楽といえば、普段は、インターネット・ラジオ(主にAccuradio.com)を聴いています。最近は、特に50年代のアメリカの音楽です。この時代のアメリカのPOP系の音楽は、特異な感じがします。単純明快で、時代背景もあるのでしょうか、屈託がなく聴きやすく、バック・グラウンドミュージックとして最適です。そうして、不思議と古臭い感じがしません。そうして、大抵は何かをやりながら聴いています。


考えてみると、音楽そのものを鑑賞するということで、音楽を聴くということは最近あまりなくなりました。でも考えてみると、今から10年以上前は、月に1枚以上は、必ずCDを購入していました。廉価版などがあると、結構購入していました。一時は相当買っていて、お気に入りのアーティストに関しては、日本で販売されたものは、ほぽ全部揃っているなんてものもあり、その特定2アーティストに限っては、普通のレコード屋さんよりも、品揃えが多いくらいです。

それが、ここ5年ほど購入しなくなったのは、やはり、iTunesのような音楽のオンラインでの配信が興隆してきたということが最大の原因だと思います。今だと、CDを購入したとしもて、結局パソコンに取り込み、iTunesに登録して聴いています。CDで直接聴くなどということは、滅多になくなりました。最近では、パソコンですら聴かなくなりました。AppleTVにより、AirPlayを使用し、テレビにつながっているスピーカーから聴いています。とにかく、音楽を聴くライフスタイルは、ここ10年で様変わりしました。


そうして、はたと気づいたのですが、最近の音楽を聴くライフスタイルは、あまり変化がないような気がします。私が子どもの頃は、LPが主体でしたが、家にはSPレコードもあり、SPとLPの両方を聴けるようなレコードプレヤーがありましたが、それもすぐに姿を消し、世の中はLPが主流でした。その後CDとLPが並存時代が少し続き、あっという間にCDが主流となりました。そうし、現在ではオンライン配信と並存しているという状態から、さしたる変化はありません。

CDが主流になってから随分時がたっていますが、この地位はなかなか崩れないようには、見えます。しかし、未来永劫に今の形式での、CDや、iTunesのような音楽配信サイトがいつまでも主流とは考えられません。いずれ、新たな方式などがでてくると思います。


上の記事は、そうしたことを予感させるものなのかもしれません。こんなことを掲載すると、LPなど単なる、ノスタルジーではないかと感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、そうとばかりはいえません。SPは、LPより確実に劣っていましたが、LPはいまでの優れた点があります。CDの場合は、音域が限られていたり、あるいは、デジタルであるため、情報処理のため、一連の音が細切れにされて、それがつなぎ合わさっているというのが実情です。ところが、LPの場合は、アナログですので、音域はCDよりもかなり広いですし、音も分断されることなくつながっています。

そのため、針の擦れる音も聞こえる反面、いわゆる、音だけでなく、雰囲気というものがかなり伝わりやすいです。何度か、LPでいわゆるダイレクト・カット盤というものを聴いたことがありますが、これは、すごいです。音の良さは、無論のこと演奏時の雰囲気がかなりつたわってきて、場合によっては気味が悪いくらいのときもあります。何度か、そこに生身の演奏者がいるような気分におそわれました。これは、CDでは味わえないです。LPがまだ併存していた時代には、LPは時々に聴くものとして、カセットにダビングして、普段は、カセットで聴いていました。カセットデッキもそこそこのを買いましたので、音もそこそこ良かったと思います。それから、当時は、FM放送を録音することをエア・チェックなどと読んでいて、エアチェックしたカセットテープも100本ほどあります。これなども、本当に今聴くとなつかしく、その当時のことが思い出されて胸がキューンとします。



それにしても、LPは、当時から2千円くらいもしたので、なかなか購入するのも大変でした、一枚買うにも、いろいろ雑誌など調べてレコード屋さんにいって、聴き比べをしてから購入しました。そうして、一枚買うと、すぐに一回LPで聴いてその後は、何回もカセットで聴きました。今思うと、そのような手間がまた楽しかったと思います。当時のオーディオ実家に帰るとまだあります。今でも、CDや、iTunesなど接続して、十分良い音で聴くことができます。LPも全部あわすと、数百枚はあると思います。何と、SPもあります。これは、無論私の親や祖父が購入したものです。



今は、音楽を巡る市場も随分変わってきています。一昔前までは、50歳台以上の人は、ほとんど聴かなくなったようですが、今はそんなことはなくなりました。50歳をすぎても継続的に音楽を聴く人、コンサートなどに行く人も随分増えています。

それにしても、現在デフレの真っ最中ですから、モノが売れなくなるのは当たり前です。特にCDなどは、売れなくなるのが当たり前です。7、8年前でしょうか、何人かの主婦の方々から、「なかなかCDを買うことができない」ということを伺ったことがあります。察するに、日々節約しているのに、音楽CDは特に生活に直接寄与するものではないので、2000円前後もするCDを購入するのは、かなりためらわれるということだと思います。これも、デフレのなせる業だと思います。


とはいいながら、LPが売れるようになっているということは、社会に何らかの変化が起こっているものと思います。その変化とは、やはりただ気楽に音楽を聴くというのではなく、もっと真剣に聴いてみたい、あるいは拘って聴いてみたいという需要が間違いなくあるし、大きくなりつつあるということだと思います。

この傾向は、以前からこのブログにも掲載している、スペンドシフトという消費の潮流と関係があるかもしれません。以下にスペンドシフトの概要を掲載しておきます。
1.自分を飾るより ⇒ 自分を賢くするためにお金を使う。
2.ただ安く買うより ⇒ 地域が潤うようにお金を使う。
3.モノを手に入れるより ⇒ 絆を強めるためにお金を使う。
4.有名企業でなくても ⇒ 信頼できる企業から買う。
5.消費するだけでなく ⇒ 自ら創造する人になる
LPレコードが売れる背景には、上の潮流のうち、1.3.が特に関係しているかもしれません。1.の自分を賢しこくというのは、やはり、音楽はアートでありながらも、直接情感に訴えてくるものですから、特に難しい理論も、言葉もいらず、それでいてアートに直接聴触れられるということで、他のアートとは別格です。3.に関しては、そもそも、購入することが、アーティストと絆を深めるということにつながります。ひよっとしたら4.にもつながりがあるかもしれません。有名レーベルや、アーティストでなくても、素晴らしい作品はいくらでもあります。このようなことも密接に絡んでいるのだと思います。


そうして、LPの音域の広さや、音の良さというところから、従来期待されながら、ほとんどお蔵入りになっているものを思い出します。それは、いわゆるDVDミュージックというものです。DVDミュージックは、CDが主流になってしばくしてから新たにできた企画です。コンピューターの補助記憶装置として、CDからDVDに変わり、DVDが主流になったころにでてきたと思います。

ちなみに、ご存知ない方のために、以下に簡単にDVDミュージックについて簡単に説明しておきます。
DVDフォーマットを用いた音楽専用ディスク商品であり、CDと同等以上の高品質音楽と美しい静止画がその特徴です。DVD musicは新たなディスクフォーマット(規格)ではなく、ひとつのDVD商品ジャンルを表すものです。これには、以下のような特徴があります。 
■高音質
DVDフォーマットの採用により、量子化ビット数は24bitまで収録可能です。これにより、量子化雑音の非常に少ない良質な音楽を提供することができます。要するに、CDや、MP3・4ファイルよりはるかに音域幅も広く、音質も良いということです。 
■静止画
DVDフォーマットを利用して各種静止画(ジャケット写真、アーティスト写真、風景写真など)を収録することができ、TVモニターを利用することで美しい画面を楽しむことができる。
最近は、滅多にレコード店にはいかないのでわかりませんが、以前は、この種のDVDも置いてあったこともあったことを記憶していますが、最近では、ほとんどうわさにも聴きません。Amazonなどでもみたことはありません。

このDVDミュージックは、そのままでは再度復活し市場を席巻するなどといことはないと思いますが、姿を変えて、復活するかもしれません。なぜなら、LPが売れているという事実をいろいろい、分析すると、良い音質、広い音域などで、拘って音楽を聴きたいという層が間違いなく、このデフレの時代にも存在して、増えつつあるという事実があるからです。


私は、おそらく、DVDミュージックではなく、やはり、オンラインによる音楽配信によって、このようなことが実現されるのではないかと思います。DVDフォーマットのものをオンラインで提供するということによって、今風に実現されるのではないかと思います。

DVDミュージックが出されたばかりの頃とは、今は、環境が随分変わっています。先にあげたように、50歳以上になっても音楽を聴きつづける人が増えています。そういわれてみれば、ミュージック・シートに影響を与えたウッドストック世代いも若くても50歳台です。それに、通信環境も随分変わってきました。昔は、従量制だったものが、定額制で使い放題になり、最近では、4G LTEという通信規格により、さらに速くなっています。3Gでも十分映画など配信できました。このようなことを考えると、CDや、MP3・4の時代がいつまでも続くとは考えられません。

いずれ、インターネットで、MP3・4のファイル配信とともに、いわゆるDVDフォーマットもしくは、他の同等もしくはそれ以上のフォーマットで画像や動画とともに配信されるようになると思います。そうして、現在LPを聴いている人たちも、そちらにシフトするのではないかと思います。そうして、しばらく並存の時代が続きやがて、主流になってくものと思います。


しかし、そうした新しいものが出てきて普及するには、現状のデフレの時代では緩慢にしか進まないと思います。やはり、デフレが解消したときに、一気に普及すると思いますが、それまでの間は、やはり、LPが売れ続けるのだと思います。逆の側面からみれば、音楽配信の新フォーマットがでてきて、配信されるようになれば、デフレを解消したか、まもなく解消するとみて良いかもしれません。

ただし、デフレが解消されたとしても、先にあげたスペンド・シフトという消費動向は変わらないと思います。であれば、上で、掲げたすべての潮流にあわせた展開が必要かもしれません。1,3の潮流以外の潮流に対応することも重要です。
2.ただ安く買うより ⇒ 地域が潤うようにお金を使う。
これに関しては、各地域にミュージック・スタジオをつくって、そこから生まれる音楽が地域を潤す仕組みをつくることなど考えられます。今の時代音楽をつくったり、remixしたりするのには、場所は全く関係ないです。地域にありながら、地場は、もとより世界中のミュージシャンに参加してもらうこができます。そんなことより、企画力が重要です。
4.有名企業でなくても ⇒ 信頼できる企業から買う。
電子書籍の世界では、アマゾンがKindle版を配信するとともに、誰もが自らkindle本を作成して、販売する場を提供しています。既存の出版社など通さなくても、個人でも、書籍を発行できるようになりました。音楽の世界でも同じようなことができるはずです。
5.消費するだけでなく ⇒ 自ら創造する人になる
最近では、iPadのガレージ・バンドなどで手軽に音楽を作成できます。であれば、今までとは異なり多くの人が音楽を作成できる機運が高まっているわけです。今まで、消費一方だった、人が、自ら創造する人になる環境が整いつつあります。今まで、地方でくすぶっているだけの人がとんでもない音楽を創造する可能性もあります。このような機運をためて、才能のある人には、どんどん創造する人になってもらいうことなど、従来からみれば、かなり容易にできるようになっています。

以上のようにして、絶えず新たな音楽が生まれてくるような好循環を作り出せれば、新たな市場を世界中に創設できると思います。

皆さんは、どう思われます?こうした、ミュージックシーンの話を掲載していたら、何か音楽を聴きたくなりました、たまには、"ながら聞き"ではなく、音楽をしっかりと、コーヒーかワインでも飲みながらゆったりと聴いてみたくなりました。本日は、さっそく、モーツァルト、ハービーハンコック、ウェザー・リポートなどの音楽をゆったりと聴いてみます。

【関連記事】

テレビは他人のふんどしで相撲をとりすぎてはいないか?―【私の論評】旧態依然としたテレビはもういらない?!!

  「脱記者クラブ」を宣言し、巨大広告主を激怒させて「一流紙の名声」を得たWSJ―【私の論評】日本の新聞が一流になれないのは、記者クラブがあるから?

 米Amazonがオンラインストレージ - 5GB無料、音楽ストリーミング対応―【私の論評】Napsterのサービスはやらないのですか?

NHKで「初音ミク」緊急番組 オリジナル制作曲がネット好評で異例の編成−【私の論評】テレビ局も対応せざるをえない程声なき人の声は、ますます大きくなった?!!

  「K-POPが日本市場で縮小の兆し」 韓国メディアの報道が話題に―【私の論評】それだけではないでしょう、大規模デモも確実に効果があったとみるべき!!

0 件のコメント:

「誤解受け不安にさせたのは当然」中国企業ロゴ問題で辞任の大林ミカ氏、会見主なやりとり―【私の論評】[重大警告]自民党エネルギー政策への中国の影響力浸透の疑惑 - 大林氏中国企業ロゴ問題で国家安全保障上の深刻な懸念

「誤解受け不安にさせたのは当然」中国企業ロゴ問題で辞任の大林ミカ氏、会見主なやりとり まとめ 問題発覚の端緒は、内閣府TFに提出された資料に中国国営電力会社のロゴマークが入っていたこと。 大林氏は、ロゴマークの存在に気付かなかったことを謝罪し、TF委員を辞任。 大野氏は、財団と国...