2012年11月17日土曜日

若者の雇用を奪うのは一体誰なのか?−【私の論評】根本原因は、デフレであってこれを解消しなければ何も解決されない!!

若者の雇用を奪うのは一体誰なのか?:

 新卒大学生の就職内定率の低下がおびただしいものになっている。2011年度(2012年春卒業)は改善されたというものの、それまでは下落する一方であり、ニュース等でも内定が取れない学生たちの悲哀の声を耳にしたものだ。

 この新卒採用を取り巻く厳しい状況は、これからも改善されていくのだろうか? それとも別のシナリオが待ち受けているのだろうか。

 『若者はなぜ3年で辞めるのか?』(光文社... 続きを読む

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新刊JP
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【私の論評】根本原因は、デフレであってこれを解消しなければ何も解決されない!!

長い間のデフレで賃金が減り続けているの世界でも先進国では日本だけ
最近確かに、就職内定率は、低下しているようです。このようなときには、上の城氏のような論調が必ずでてきます。上の記事での城氏の語っていることを以下にコピペします。
 こうした状況を打破するために、城さんは賃下げや解雇といった不利益変更のルール化が必要だとしている。新卒採用カット以外のアプローチでも雇用調整できるようになるから、新卒の就職難は緩和されることになるという考えだ。
 しかし、ここにも大きな溝がある。
 若者の雇用を改善しようとしても、当の政治家たちが動くとは考えられないというのだ。
 日本は民主主義国家であり、有権者一人一人に投票権が与えられているが、票を獲得するために、若者たちよりも数が多い高齢者の声のほうが優先されるだろうし、若者の投票率が低いこともそれに拍車をかけている。 
この中で、城氏が言うように、「賃下げや解決といった不利益変更のルール。若者の飛躍的な投票率の向上」を完璧に実現したとしても、それだけでは若者の雇用問題は、解消されません。なぜなら、若者の雇用を奪っている根本原因は、デフレだからです。世代間の社会保障費の格差も、結局はデフレによるところが大きいです。

就活女子。特に、女子の内定率は低い
ご存知のように、デフレは、物価が下げ、賃金が下げ、雇用も削減するからです。デフレは経済の癌とも呼ばれ、インフレなどとは違い、徐々に悪影響をを及ぼしていくため、なかなか認知されにくいところがあります。インフレの場合は、狂乱物価などといわれたように、物価が一気にかなり上昇したりするため、かなり認知しやすいです


GDPデフレーターの推移(1980~2012年) - 世界経済のネタ帳
国内総生産(GDP : Gross Domestic Product)とは、国内の生産活動による商品・サービスの産出額から原材料などの中間投入額を控除した付加価値の総額のこと。
GDPはその国の経済規模を示す際の、最も重要な指標のひとつである。
GDPデフレーター = 名目GDP ÷ 実質GDP × 100
消費者物価指数が国内で消費される商品・サービスの価格の変化を示すものであるのに対し、GDPデフレーターは国内の企業の利益や労働者の賃金など所得の変化を示す指数である。
しかし、デフレの場合、ハイパーデフレなどは古今東西の例などなく、最高でも、年率で2%くらいの物価下落が普通なので、意外と単年度などでは理解できず、長期にわたって、グラフなどをみて始めて認知できるものです。だから、デフレの真っ最中にあるときには、多くの人がなかなか認識できないというのが普通です。

インフレは、直裁的に認識しやすいが、デフレはそうではない!!
そうして、このブログでも、再三にわたり掲載させていただいたように、日本ではすでに、デフレ傾向になってからは、20年、統計上ではっきりと誰もが認めざるを得ないデフレになってからも、14年も経過しています。これは、古今東西に例もなく全く異常なことです。これに関して、以前このブログにも掲載したことがあるので、下に当該記事のURLと、関連部分のみ掲載しておきます。

マック、崩れた「勝利の方程式」:日経ビジネスオンライン―【私の論評】民間のデフレ対策もそろそろ限界、潔さではどうにもならない状況に!!
ちなみに、国際通貨基金(IMF)のデータベースをもとに、1980年以降に消費者物価が前年と比べて2年以上続けて下落した国を「デフレ経験国」とすると、ブルキナファソやマリ、中央アフリカなど、ほとんどが開発途上国です。先進国で、日本のようにデフレが続いた国はありません。 
リーマン・ショック後の消費者物価をみると、2009年は米国やスイス、台湾、ポルトガルなどでマイナスでしたが、10年にはアイルランドと日本だけが「デフレ経験国」になりました。そのアイルランドも11年には物価が上がり、デフレから抜け出しています。最早、デフレは、主要な先進国では、日本特有の現象になりました。デフレとは、このブログにも過去に何度か掲載してきたように、経済の癌とも呼ばれるような、経済の病です。日本では、このようなデフレを過去20年にもわたって、放置してきたということです。 
デフレを前提として、経済や、金融、そうして、企業活動などを考えるなどということは、根本的な誤りです。デフレ下では、企業がいくら努力しても、業績があげられない面があります。
マクドナルドなどの企業がいくら努力しても、なかなか業績があげられない状況に陥っているわけですから、多くの企業が、当然採用も控えるわけです。だから、若者の雇用がなくなるのも当然のことです。特に、新卒ということになれば、経験もなく、企業に入ってから再訓練・再教育をしなければならないので、なおさらです。

さらに、日本では、中央銀行(日本では、日銀)による、雇用枠の調整ということがほとんど理解されていません。これに関しては以前このブログにも掲載したことがあります。

若者雇用戦略のウソ―【私の論評】雇用と中央銀行の金融政策の間には密接な関係があることを知らない日本人?!

詳細は、上昇の記事をご覧いただくものとして、以下に一般的な雇用に関する中央銀行の役割に関するところだけコピペしておきます。
アメリカでは、雇用問題というと、まずは、FRB(管理人注:アメリカの中央銀行)の舵取りにより、大きく影響を受けるということは、あたりまえの常識として受け取られていますし。雇用対策は、FRBの数ある大きな仕事のうちの一つであることははっきり認識されており、雇用が悪化すれば、FRBの金融政策の失敗であるとみなされます。改善すれば、成功とみなされます。 
この中央銀行の金融政策による雇用調整は、世界ではあたりまえの事実と受け取られていますが、日本だけが、違うようです。日本で雇用というと、最初に論じられるのは、冒頭の記事のように、なぜか厚生労働省です。 
このブログでも、前に掲載したと思いますが、一国の雇用の趨勢を決めるのは、何をさておいても、まずは中央銀行による金融政策です。たとえば、中央銀行が、インフレ率を2〜3%現状より、高めたとしたら、他に何をせずとも、日本やアメリカのような国であれば、一夜にして、数百万の雇用が生まれます。これに関しては、まともなマクロ経済学者であれば、これを否定する人は誰もいないでしょう。無論、日本に存在するマクロ経済学と全く無関係な学者とか、マルクス経済学の学者には、否定する人もいるかもしれませんが、そんなものは、ごく少数であり、グローバルな視点からすれば、無視しても良いです。
上の内容をご覧いただければ、中央銀行、日本では日銀の金融政策が雇用に大きな関わりを持っていることが良くお分かりになると思います。一般に、日本では、雇用というと、すぐに厚生労働省の政策であると考えられがちですが、厚生労働省のできることは、すでに決まっている雇用枠の中で、雇用のミスマッチを是正することくらいしかできません。雇用枠に直接それも、速やかに影響を及ぼすことができるのは、日銀です。日銀の金融政策によって、その時々の雇用枠が定まります。上の城さんの論調も、心情的には良く理解できるのですが、雇用のミスマッチを是正するだけであり、雇用枠を変えることはできず、根本原因を取り除くことはできません。
日本だけが、マネタリーベースが異常に低い、これではデフレになるのが当たり前
それに、政府による、財政出動なども、雇用に大きな影響を及ぼします。デフレなどの最中には、政府は積極財政を行い、公共工事など積極的に行い、雇用を創出すべきなのです。にもかかわらず、政府は、この20年間もの間わずかの例外を除き、緊縮財政ばかりやってきました。公共工事なども、いまや、世界の他の先進国と比較すると最低水準にまで落ち込んでいます。デフレの最中に増税などすれば、さらに、緊縮財政を推進することとなり、さらに、デフレを推進し、物価が下がり、賃金が下がり、雇用も減少するだけです。この流れは、民主党政権になってから、「コンクリートから人へ」のスローガンによりますます、加速されました。

公共投資も80年㈹り低い状況、これではデフレになるのが当たり前
過去20年間、日銀は、金融引き締めばかりやり、政府もほとんど緊縮財政ばかりやってきました。これでは、デフレになるのが当たり前です。だからこそ、他の先進国が一時デフレになっても、すぐに抜け出したのに、日本だけが、デフレから抜け出すことができませんでした。

このようなことを20年も続けため、本来異常であるはずのデフレが、多くの人々にとって、当たり前になり、多くの人々がデフレを前提でものを考えるようになりました。これは、政治家はもとより、一般の人々も同じことです。ですから、若者の雇用を考えるにしても、デフレを前提として、上記のような論調がでてくるのです。しかし、これでは、何の解決にもならないということです。

根本的には、デフレを解消するしかありません。雇用問題を語るには、デフレ抜きでもの語ったり、考えたりしても根本的な解決にはなりません。

アメリカの投票を呼びかけるポスター
そうして、最近の政局をみてみると、デフレからの脱却、日銀のインフレ目標を3%にする、日銀法を改正するなどのことをはっきりあげて、デフレ解消をはっきり打ち出しているのは、安部自民党のみです。自民党の中でも、先日の総裁選で、こうしたデフレ脱却を謳っていたのは、安部総裁のみでした。そうして、不思議なことに、これだけ日本は、デフレに苦しめられているというのに、なぜか過去の選挙においては、デフレ脱却は、ほとんど選挙の争点にはなってきませんでした。安部総裁ですら、過去の選挙では、これをはっきりと争点にはしていませんでした。だから、過去の選挙においては、若者がかなり投票したとしても、雇用や賃金などとはあまり関係ありませんでした。しかし、今回は、少なくとも安部総裁は、はっきり争点にしています。

右安倍総裁、左は最近亡くなった政治評論家の三宅久之さん。三宅氏のご冥福をお祈りします。
次の選挙では、デフレ脱却を公約にする政党が勝利すれば、かなりの確率で本当に脱却できると思います。選挙も間近です。日銀に関しては、安部自民に限らず、他の多くの政党も、日銀法改正などに積極的です。上記のようなことも考え合わせると、若者の雇用を考えた場合、現状では、安部自民党に次の選挙で勝ってもらい、安部総裁になっていただき、上記のような政策を強力に推進していただくことが一番だと思います。

来月はいよいよ、衆議院議員選挙
太陽の党と、維新の会は、両方とも、平成14年4月からの増税に賛成しています。みんなの党は反対です。太陽の党と、維新の会は、みんなの党ぬきで、合流することを決めました。みんなの党は、やはり、増税など反対ということで、この点は譲れなかったのだと思います。当然のことと思います。

私は、次の選挙では、若者の雇用、日本国内の景気を考えた場合には、今のとろ安部自民党に勝っていただき、安部総理大臣を実現するほかはないと思います。次の選挙では、安部自民党が勝利する率がかなり高いようです。しかし、選挙は水ものです。やってみなければわからないものです。意外と伏兵があるかもしれません。

トリンプのキャンペーンブラ「投票率向上ブラ」こんな投票箱だったら、若者の投票率が向上するかも?
選挙での投票率が低いといわれている若者も、次の選挙は、自分たちの雇用や賃金が今後どうなるか、今まさに分岐点にあることをしっかり認識して、デフレ脱却を公約に掲げる候補者に投票すべきと思います。皆さんは、どう思われますか?

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