ラベル オーストラリア、捕鯨、反対、理由、ホエール・ウォチンク、観光資源、海洋牧場、アーサー.C.クラーク、海底牧場、パックス・マリーナ の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
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2008年2月26日火曜日

オーストラリアが捕鯨に反対する理由(5)-鯨はオーストラリアにとって大切な観光資源である


上は、オーストラリアのホエール・ウォッチングの動画。

オーストラリアは世界でも有数のホエール・ウォッチング・スポットだ。このあたりに回遊してくるのは、夏の間、南極をベースにしているクジラたち。 毎年秋になると出産&子育てのために、暖かい北の海、つまりオーストラリア近海を目指し、約8ヵ月に渡る往復1万キロの長旅に出る。

おすすめイヴェントに選ばれるだけあって、ホエールウォッチングは、オーストラリア観光で今もっともホットなアクティビィティのひとつ。IFAW(International Fund for Animal Welfare )のレポート“From Whalers to Whale Watchers”によると、2003年にオーストラリアでクジラ・ウォッチングした人は、約160万人にのぼる。1998年は約70万人だったというか ら、5年間で2倍以上、平均すると毎年15%の伸び率を示していることになる。同期間の国内旅行者数は横ばい、海外からの旅行者数も微増にとどまっている ことを考えると、ブームといってもいいほどの人気ぶりである。

その中心となっているのが、シドニーから約2時間半のところにあるポートスティーブンスやオーストラリア最東端のバイロンベイといった遭遇率の高い ポピュラーなウォッチング・スポットのあるニュー・サウス・ウェールズ州だ。オーストラリアでは、約40種類のクジラやイルカが目撃されており、豪快なブ リーチやテールスラップなど華麗なアクションを披露することで知られるザトウクジラは、5月から11月にかけて各地で見ることができる。

大多数のオーストラリア人にとって、鯨とはもともと食べるものではない。現在は大切な観光資源である。オーストラリアが昔捕鯨国だったときも、鯨の油を工業製品として採取するために捕鯨したのであって、油以外のすべての部分捨てていたというのが実態だ。今では、その地位も変わり工業製品から、愛すべき動物の一つであり、我々日本人にとってのパンダのような存在である。かわいい、愛すべき動物なのだ。だからこそ、捕鯨に対してはこのような動物を殺して食べるということに相当抵抗感があるから反対する。

こうしたことに対処するためには、まずは、食には当然文化の違いがあることを強調すべきだろう。海に囲まれた日本人にとっては、鯨は大きな魚のような存在であり、食べ物として昔から食べていたことを強調すべきだろう。特に、終戦直後から10年間程度くらいは、日本にとって非常に貴重な蛋白質であったことは強調すべきだろう。中高年層以上の人々がどれだけお世話になったことかを強調すべきである。

さらに、ここ函館ででは、お正月には鯨汁を食べる習慣が残っているが、そのような風習が残っている港町がたくさんあることも知ってもらうべきだろう。オーストラリア人は信じられないだろうが、わずか数十年前には、アーサー.C.クラークのSF小説「海底牧場」に見られるように、21世紀は鯨を放牧するようになり、世界の食料の10%を担っているようになっているなどというものもあったことを教えるべきである。実際この時代には、このまま続いていけば、本当に鯨を含む海洋資源が重要になってくるというのは、決して夢物語などではなく、現実的な話としてあり得ると思っていたことを教えるべきだ。この小説の牧鯨の基地の一つは、オーストラリア近くの領海内の北の島である。しかも、主人公はオーストラリア人だ。

最近では、なぜか豊な海底資源、それもレアメタルや海底油田のように、ただ掘削してとりだすだけではなく、育てる、海洋牧場のような資源が注目されない。経営学の大家のドラッカーも語っているように、21世紀は海洋牧場による海底資源の開発が人類にとっての最後の地球上のフロンティアになるはずだ。牧畜、農業のように海洋資源を育てる時代がやってくるので。その中には、鯨が含まれいることも教えるべきだと思う。

しかし、こうした豊な海洋資源に関しては最近なぜか強調されない、かなり前だとSF小説はもとより、テレビでも、映画でも海洋冒険ものが流行ったが、最近では影を潜めている。ハリウッド映画などでは、ウォーターワールドや、海底2万マイル(リメイク、4年前くらい?)くらいだと思う。マスコミの論調も、海洋資源などまるでないかのように、資源の枯渇・暗い未来ばかり報道している。何か人為的なものを感じる。

私は、以前「反捕鯨の背景」で述べたように海底資源などで人類が先の見通しを持ち、不安感を持つと困るような人達がいるのだと思う。人類が先に希望を持ち、前進を始めたら、食糧難の不安、原油に関する不安は当面払拭されるだろう。人類が希望を持つと困る人とは、先に私が巨万の富製造システムを操る人達のことである。彼らが、直接的に間接的に、膨大な資金で、世界のマスコミやグリーンピース、シーシェパードなどの環境保護団体、数々の市民団体、政府、地方自治体などを操っているのではないかと考えている。オーストラリアの人々もこれに操られているかもしれないことを伝えていくべきである。

オーストラリアは、先の小説に出てくるように、捕鯨の基地としても、海洋資源開発に関しても、非常に良い地域に位置している。現在オーストラリアでは、牧草による放牧を行っているが、このまま生産量を増やしていけば、いくらオーストラリアでも行き詰まり、アメリカ流の穀物を用いた牧畜をするより他なくなるだろう。それよりも、海洋の豊な資源を開発することに注目したほうが良いことを説得すべきである。アメリカ流の自由主義経済をオーストラリアの中心に据えるべきではないと考える。西欧の文明を引き継ぎながらもアジアに位置し、大きな海に囲まれたオーストラリアは、独自のアイデンティテーを打ち立てるべきである。

そのためには、海洋開発の実績のある、日本と共同することなども一つの方法だと思う。アメリカ流自由主義に縛られたアメリカや、巨万の富創造システムを操る人々が目指す、小麦、原油などの戦略物資を用いた覇権構造を打ち破ることが出来るかもしれない。オーストラリアから日本に至る巨大な、海洋牧場を築くことによって、資源の問題、環境問題のほとんどを解決することが早まるかもしれない。そのときには、公海上には国境はないことから、人類は陸地という呪縛から逃れて、広大で自由な海を中心としたパクス・マリーナ(海の平和:パクスロマーナを意識した私の造語)という新たな新秩序が生まれるかもしれない。そうして、世界中の人がその価値や素晴らしいさを理解するようになる。そうして、そのとき人類は初めて平和で満ち足りた世界を実現できるかもしれない。

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