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2017年8月12日土曜日

米朝対立が破裂寸前!北「グアムに4発同時発射」緊急声明 広島、高知通過と日本にも脅し―【私の論評】北朝鮮の軍事力を等身大に見てみよう(゚д゚)!

米朝対立が破裂寸前!北「グアムに4発同時発射」緊急声明 広島、高知通過と日本にも脅し

九州周辺の上空で米空軍機と共同訓練を行う航空
自衛隊のF2戦闘機(下)=30日午前(航空自衛隊提供)
 米国と北朝鮮の対立が破裂寸前となった。狂気の独裁者、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長率いる北朝鮮が10日、国営メディアを通じ、「米グアムへの弾道ミサイル4発同時発射を検討している」と宣言したのだ。レッドラインを完全に越えて、威嚇姿勢を強める無法国家に対し、ドナルド・トランプ米大統領は核戦力行使の可能性まで口にし、一歩も引かない構えを示している。今月21日からの米韓合同軍事演習、来月9日の北朝鮮建国記念日を控え、朝鮮半島の緊張は極度に高まっている。

 「わが朝鮮人民軍戦略軍はグアムの主要軍事基地を制圧、牽制し、米国に厳重な警告信号を送るために、中・長距離戦略弾道ロケット『火星12』型の4発同時発射で行うグアム包囲射撃を慎重に検討している」

 北朝鮮の国営メディア、朝鮮中央通信は10日朝、朝鮮人民軍戦略軍司令官の発表として、こう伝えた。

 発表では、トランプ氏が8日、「炎と怒りに直面することになる」とツイッターに投稿したことを、「ゴルフ場にいた米軍統帥権者は情勢の方向を全く判断できなかったまま、『火炎と憤怒』だの、何のという妄言をまたもや並び立てて、わが火星砲兵たちの興奮した神経をいっそう鋭く刺激している」と揶揄(やゆ)した。

 米国と強固な同盟関係にある日本に対しても、火星12型ミサイルが「島根県、広島県、高知県の上空を通過する」と脅しをかけた。同通信によると、朝鮮人民軍戦略軍は8月中旬までに、4発同時発射計画を最終完成し、発射待機態勢で命令を待つという。

 これは冗談では済まされない。

 北朝鮮は1998年と2009年に、日本上空を越えて弾道ミサイルを発射している。今年3月には、同国西岸から弾道ミサイル4発を日本海に向けて発射している。

 北朝鮮がグアム攻撃の能力を持つ可能性は高いが、グアム島には、B1爆撃機などが配備されているアンダーセン空軍基地や、原子力潜水艦の基地アプラ港があり、米軍の重要戦略拠点になっている。同時発射は事実上、米国に対する「宣戦布告」といえる。

 正気を失ったかにみえる北朝鮮に対し、トランプ氏の発言も過激化している。9日のツイッターへの書き込みでは、「現在の米国の核戦力は世界最強だ。できれば使わないで済むことを願うが、われわれが世界最強の国でなくなるときは絶対に来ない!」と核戦力を誇示したのだ。

 トランプ氏だけではない。軍人出身で、開戦リスクを熟知するジェームズ・マティス国防長官も強硬姿勢に転じた。

 9日に出した声明で、「北朝鮮は孤立をやめ、核兵器追求を放棄する道を選ぶべきだ。『体制の終焉(しゅうえん)、人民の破滅』につながるいかなる行動の検討もやめる必要がある」と発表した。これまで、マティス氏は「軍事的に解決しようとすれば信じがたい規模の悲惨な事態をもたらす」と述べ、外交的解決を訴えていた。正恩体制の「終焉」にまで言及した今回の声明は、マティス氏が慎重姿勢を転じたようにも読み取れる。

 米朝の緊迫ムードが高まるなか、世界最強の米軍が誇る原子力空母「ロナルド・レーガン」が9日、母港の米海軍横須賀基地に帰港した。

 今月21日からは、韓国で定例の米韓合同軍事演習「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン」(UFG)が始まる。演習に合わせ、米原子力空母2隻が今月中旬、朝鮮半島近海に展開することが検討されており、「ロナルド・レーガン」の帰港は、それに向けた準備の可能性もある。

 さらに、北朝鮮は9月9日、建国記念日という節目を迎える。演習の始まる今月21日から9月上旬という期間は、「米朝開戦のリスク」が最も高まる時期といえるのだ。

 米朝激突となれば、日本には「戦後最大級の危機」が襲いかかることになる。安倍晋三首相は先の内閣改造で、「有事にも対応できる布陣」を敷いたとされるが、この国家的試練を乗り越えられるのか。

【私の論評】北朝鮮の軍事力を等身大に見てみよう(゚д゚)!

さて、ブログ冒頭の記事を読むと、なにやら、すぐにでも米北の戦争がおこり、とんでもないことになるような感触を受ける人も多いのではないでしょうか。

確かに北朝鮮のミサイルは年々能力を高め潜在的な脅威となっていることは確かです。しかし、日本のマスコミは北朝鮮軍の実力を報道することもなく、危機を煽るばかりです。これだけでは、正しく状況を判断できません。本日は、北朝鮮軍の実力に関して掲載します。
 
北朝鮮は2012年に人工衛星の打ち上げに成功しており、ICBMの基本的な技術は持っているはずですが、まだ実験すらしていません。つまり米国に届く長距離ミサイルが実戦配備されるには、今後数年を要するとみられます。

2012年に人工衛星の打ち上げに成功した北朝鮮
米軍基地のあるグアム島を射程に入れた中距離弾道弾ムスダンは実戦配備されているとみられますが、昨年10月に試射され失敗に終わっています。ムスダンは中国製とみられることから、発射に際しては中国の許可が必要となるはずです。

つまり、安全装置を解除するためには暗証番号を入力する必要があり、その番号はその都度、中国に聞かなければならないのです。正しい番号が入力されずに発射されれば、発射は失敗に終わる仕組みです。

昨年4月15日に北朝鮮が移動式の中距離弾道ミサイル(IRBM)「ムスダン」の発射に失敗した際、現場にいたミサイル技術者らが死亡、もしくは負傷し、移動式発射車両も破損したといいます。 

米国の保守系メディア「ワシントン・フリー・ビーコン」は20日、米軍関係者や外交消息筋の話を引用し「北朝鮮は東海岸にムスダンIRBM2基を配備し、発射試験を準備した。ところが1発目のIRBMが発射からわずか5-6秒後、90メートルほど上昇したところで爆発し、もう1基は発射もできなかった」「ムスダンの発射失敗に関する報告書の内容をよく知る外交消息筋は『ムスダンの発射失敗の原因は、燃料システムやターボポンプの問題とみられる』と語った」と伝えたとしています。

これが事実がどうかはわかりませんが、当時は米国によるサイバー攻撃ではないかという噂も流れました。

私は、これは金正恩がムスダンを打ち上げようとしても、ちゅうごくが暗証番号を教えなかったので、暗証番号を解読させて打ち上げに及んだのではないかと思います。ただし、その暗証番号は間違ったものであった可能性が高いと思います。

ムスダンの暗号は複数あって、正常に作動して打ち上げを成功させるものと、異常を起こし途中で失敗するものもあったものと思います。北朝鮮の科学者は、暗証番号を解読したつもりが、それは正常に作動させるものではなかったという可能性があります。

「米グアムへの弾道ミサイル4発同時発射を検討している」といくら、金正恩氏が力んでみても、中国の許可がなければこれは不可能です。中国がこれを許可するとはとても思えません。

当然米国もこれを承知しており、それを知った上で、トランプ氏やマティス氏は金正恩の「米グアムへの弾道ミサイル4発同時発射を検討している」という威嚇に対して、威嚇で応じたということです。

ムスダンの発射
もちろん、北朝鮮製の弾道弾もあるにはあります。例えば、3月6日に4発発射され、秋田沖に着弾した「スカッドER」は北朝鮮製です。また、日本を射程に入れる「ノドン」も北朝鮮製であり、発射に中国の許可を必要としません。5月14日に発射した中距離弾道弾「火星12号」も同様です。

しかし、これらのミサイルは旧式の液体燃料型であり、発射に際してはその都度、数時間かけて燃料注入をしなければなりません。つまり発射の予兆を探知されやすく、米軍による攻撃の格好のターゲットになります。また、壊滅しそこなったとしても日米韓の分厚いミサイル防衛システムに阻まれることは必定です。

そして、懸念が広がっている核爆弾の開発状況については、昨年9月に5回目の核実験に成功し、今後近いうちに、6回目の実験を実施するのは確実とみられています。しかし、弾道弾に搭載できるように小型化、軽量化するには、まだ数年を要するでしょう。

北朝鮮の潜水艦の中で最も大きい1,700トンロミオ級を視察した金正恩
また、北朝鮮の海軍は排水量1700トンのロメオ級潜水艦を20隻程度保有していますが、これは旧ソ連製であり実力としては第二次世界大戦当時の標準的能力しか有していないです。現在3500トン級の戦略潜水艦を建造中ですが、まだ完成にはほど遠いです。日米の対潜水艦能力は世界最高水準にあり、これに対して北朝鮮の潜水艦は全く無力です。

北朝鮮海軍の潜水艦が日本海で1週間にわたって活動していると、NHKが2014年7月23日に米国政府当局者の話として報じました。

それによると、「潜水艦はディーゼル型のロメオ級で、アメリカの監視記録では、この型の潜水艦の場合、通常、4日程度で活動を終えるが、今回はこれを超えておよそ1週間に及び、これまでで最も長い」また、「アメリカ軍はこれまでにない特異な行動だとしてその目的などについて分析を進めている」だと伝えました。

ロメオ級は北朝鮮の主力潜水艦だが、旧ソ連で1950年代に開発された旧式です。弾道ミサイルの発射機能は備えておらず、騒音の大きいディーゼルエンジンで航走し、最大潜航可能時間は約半日程度です。米軍や海上自衛隊のソナーから逃れるのは難しく、うまく水中に隠れても、空気補充のため浮上した際にレーダーで必ず探知されてしまいます。

つまり、この潜水艦自体は日米にとってまったく脅威にならないということです。

では、北朝鮮はなぜこんなことをしたのか。すぐに思い浮かぶのは、弾道ミサイル潜水艦の実戦配備に向けた訓練だろうということです。

核弾頭を搭載した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射台となる原子力弾道ミサイル潜水艦は、米国やロシアなどにおいては、核戦争勃発時の報復攻撃の柱となることを期待され運用されてきました。水中を自在に動き回る隠密性により、他の核戦力に比べ、敵からの第一撃を生き延びる可能性が高いためです。

しかし、ディーゼル推進で静寂性に欠け、長時間の潜航が出来ない北朝鮮の潜水艦に、このような役割を担うことはできません。

ということは、金正恩党委員長は恐らく、いざという時には先制攻撃に使う目的でSLBMをも開発しているものと思われます。実際、その後SLBMを発射という報道を北朝鮮はしていましたが、これは明らかにフェイクとわかる代物でした。

北朝鮮のミグ29
北朝鮮空軍、正式名称「朝鮮人民軍空軍」は、全軍の航空機運用を一手に引き受けており、数の上では1000機もの航空機を保有、うち半数の500機を戦闘機が占める世界トップクラスの兵力を誇る空軍です。
ところが500機の戦闘機のうち現代戦闘機といえる能力を持つ機種はせいぜいMiG-23とMiG-29のみであり、両機をあわせても100機に足りません。また1996(平成8)年にロシアよりMiG-29を購入し、1999(平成11)年にはカザフスタンより旧型のMiG-21bisを購入して老朽機の更新に当ててたのが最後、それ以降はまったく更新が行われていない状況です。
ミグ23は第3世代型の旧式機であり、第4世代型のFA18やわが国のF15に太刀打ちできる代物ではありません。

ミグ29は第4世代型ですが、パイロットの年間飛行時間が20時間程度と日米の150時間以上と比べて極端に少なく、格闘戦は不可能です。これに関しては、中国のパイロットですら、慢性的な部品不足などにより航空機の稼働率が低いため、年間25時間程度といわれています。最新鋭スホーイ27の部隊でもやっと年間100間程度と推測されていることから、北朝鮮のパイロットの技量は推して知るべし水準のものでしょう。

しかも、山口県の岩国の米軍基地には第5世代型のF35が配備されており、ミグ29を一瞬にして壊滅できる実力を誇っています。それに自衛隊もF35の配備をはじめました。

北朝鮮のT27戦車
北朝鮮の陸軍はT72やT62といった旧ソ連製戦車を多数保有していますが、やはり世代的に古く米国のM1戦車の敵ではありません。自走砲として注目されているのが300ミリ多連装ロケット砲ですが、制空権を維持できない状態では戦車同様、米軍の戦闘攻撃機の餌食になるしかありません。

北朝鮮の特殊部隊は10万~20万人いるとされ、北朝鮮軍の中では唯一危惧されるべき存在です。潜水艦による北朝鮮武装兵士浸透事件が起きた1996年、北朝鮮が米国のグリーンベレー、英国のSAS(特殊空挺部隊)等に比肩しうる強力な特殊戦部隊を育成していたことが判明し、米国を震撼させました。

何よりも驚くのはその数です。北の特殊部隊の兵力は当時8万から10万人と言われましたが、これは世界でも類を見ない多さです。

江陵浸透事件 手前が射殺された北朝鮮工作員
この部隊の練度の高さが証明されたのは1996年9月の江陵浸透事件です。

韓国の江原道江陵市近辺で工作員を回収する北朝鮮特殊潜水艦が座礁した時、乗組員と工作員を合わせた26名が韓国内に逃亡。軍と警察の掃討作戦は二か月を要し、韓国側は軍人12名、警察官1名、民間人4名の犠牲者を出しました(負傷者17名)。
1名の工作員を追うのに数十人規模の人員が動員される有様だったのです。

海保巡視船が北朝鮮の不審船を撃ち、沈めた時も、北朝鮮工作員は自沈を選んだことから見ても、彼らは本国への強い忠誠心を見せています。

日本人拉致事件を見れば分かるように、すでにこの工作員メンバーはスパイ天国の日本に多数、入り込んでいると見られています。

朝鮮有事勃発とあらば、彼らが日本各地で活動を開始する危険性が高まります。

金正男暗殺のような事態が日本の要人を狙って引き起こされる可能性がありますし、原発に向けてテロ部隊が夜半に上陸してくる可能性も否定できません。

ただし、これを管理している国家保衛省の上級幹部が最近多数解任されており、有事に際してどれほど動けるのかは不明です。

テレビの報道をだけをみていると、頻繁にミサイル発射の報道がなされており、北朝鮮の軍事力については報道されてはいません、これではあまりにバランスに欠けているので、本日は北朝鮮の軍事力の実体について、触れてみました。

最後に一言ですが、たとえ圧倒的に相手側が劣勢であったにしても、戦争とは個別の戦闘の集合の結果あり、いくつも戦闘から成り立っているものです。

ということは、日米韓は、北朝鮮と戦争をした場合、日米韓は必ず大勝利します。特に空海では圧倒的でしょう。ただし、個別の戦闘では負けることもあるわけで、そのときには自衛隊員や軍人も犠牲になることもありえますし、市民も犠牲になる場合もあります。

韓国や日本国内にも、北朝鮮の特殊部隊が攻撃を仕掛けるかもしれません。すでに国内に潜入している工作員がこの攻撃に加わるかも知れません。だとしても、補給路がたたれるし、そもそも北朝鮮は大人数の特殊部隊を韓国や日本に送り込むことはできません。

昼であれば、すぐに発見されてしまいます。夜陰に乗じて少数の部隊を送り込むことができるだけです。

そのため、日本国内での戦闘があったにしても、小規模で短期で終息するものと考えられます。それでも、犠牲者は出る可能性はあります。

北朝鮮有事の場合は、その覚悟はしておかなければならないということです。

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