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2018年2月7日水曜日

【米国:意見】トランプ政権1年目を考える:退役軍人であり、アフリカ系アメリカ人であり、母親として―【私の論評】トランプ大統領を色眼鏡ではなく等身大で見るべき(゚д゚)!

【米国:意見】トランプ政権1年目を考える:退役軍人であり、アフリカ系アメリカ人であり、母親として

Fox News by Kathy Barnette 2018/01/20】

キャシー・バーネット 写真はブロク管理人挿入 以下同じ
2018年1月20日でトランプ大統領就任一年を迎えました。アメリカの政治において他に類を見なかったこの365日間を振り返ってみました。

2017年1月20日にトランプ大統領が就任の宣誓をしてから多くの事が変わりました。しかし一つだけ絶えず続いている事があります。それは左派、多くの民主党支持者、マスコミ関係者、そして一部の共和党支持者だと称する人々から大統領に向けられる、大統領に対する怒りと誹謗中傷です。未だかつて、これほどに人格攻撃と非難を受けた大統領は殆どいません。

トランプ大統領は、「無能」「人種差別主義者」「精神疾患持ち」「ボケている」「汚職政治家」だと批難を受けました。ロシアと共謀をして選挙に勝利した疑いで捜査が行われていますが、この捜査も長引き終わりが見えないのです。

彼に対する反対はあまりにも病的で、ライター兼コメディアンのジェン・スタッツキー(「Late Night with Jimmy Fallon」「Parks and Recreation」「Broad City」の番組のライター)は「トランプを支持している人は、子供を取り上げられるべき」などとツイートをした位です。


トランプ政権が発足してから1年が経ちました。私は、この国を率いるためにアメリカ国民によって選ばれた彼を支持する事についてよく考えてみました。 黒人女性として、母親として、退役軍人として彼を支持し続ける事は果たして正しい事なのだろうか。批判している人たちが言っているほど彼は果たして酷くて極悪な人なのだろうか。彼のアイディアはいい加減で危険なのか。私が愛するこの国を傷つけているのか。

彼を支持する事によって私について何かいわれるだろうか。これ程嫌われている人を支持する事によって自分の誠実さと信条を曲げる事になるのでしょうか。トランプ支持でありながら良い人間でいる事が可能なのでしょうか。

トランプ大統領のツイートだけではなく政策を吟味したところ、私は大統領を支持しながらも自分の人生を誠実に生きる事が出来ると確信しました。

その理由を教えましょう。

まず黒人女性として、黒人コミュニティにおけるトランプ大統領の貢献はおおむねポジティブなものだと思っています。
2016年にドナルド・トランプ氏に投票した人々同様に、私は彼の選挙集会に何回も出席をしました。これほどに温かく迎えられた事は、今までありませんでした。その晩の間、私の子供たちは親代わりの人、叔父、叔母、従兄弟が出来たかのようで、アメリカ人として誇りと激昂に包まれていました。

これらの個人的な逸話以上に、トランプ大統領が黒人コミュニティに及ぼした影響を示す確実なものがあります。昨年12月の黒人失業率は6.8%に落ちました。これは過去45年間のうち、最も低い数値で、1%も減少しました。つまり、黒人の雇用がおよそ48万件増えたということです。これはただの数値の話以上に、これにより人生が変わった人々の話なのです。

更に、黒人と白人の失業率の差(黒人の失業率と白人の失業率を引いた数字)が3.1%に縮まり、記録上最小となりました。黒人の失業率が白人の失業率と同じになって欲しいかといえば、もちろんそうです。オバマ大統領もそのように望んでいたと思います。ですが、トランプ大統領の元で私たちは正しい方向に進んでいて、人種間の失業率の格差がなくなる事を願っています。

それに加えてトランプ大統領が署名した減税についての政策は、企業によるアメリカへの投資、雇用促進、賃金の上昇を目的としています。それによって、株価は上昇し、100以上もの企業がトランプ政権による減税と大幅な規制緩和によってボーナスや手当を支給する事が出来ました。

これら全ては皆のためになる強い経済へと結びついています。昔から伝わる名言には、「雇用主なくして雇用される側はなし」と「満ちてくる潮は全ての船を浮かび上がらせる」というのがあります。

次に、退役軍人としてトランプ大統領の退役軍人における貢献がポジティブなものだと思っています。

この国では退役軍人が2000万人以上います。非常に残念なこと、一日平均22人の退役軍人が自ら命を絶っています。退役軍人として、この酷い数字は心が痛むものです。健康保険や税の改革では駆け引きが行われてきたものの、VA(退役軍人省)の意見は妨害されませんでした。

退役軍人長官のデービット・シュルキンは、重要な事柄を前進させ、政党間の意見の違いを乗り超える事に成功しました。退役軍人は今までよりも迅速に手当を受け取っています。障害給付金を受け取るのに125日以上待っている退役軍人は611,000人から86,000人に減りました。

復員軍人援護法はほぼ永久的になり、これにより退役軍人はタイミングによる制限を受ける事なく、政府からの支援を受けながら教育を受ける事が出来るようになりました。

更に、トランプ大統領の元で成立された新しい法律によれば、退役軍人省の従業員で成績不振と不始末によって退役軍人の待遇を損ねた場合に解雇する事が可能になりました。退役軍人省はまだ問題がありますが、著しい進歩を遂げているのが目に見えます。これらの政策は良いものであり、決断力に満ちたリーダーシップを反映しています。

最後に、母親としてトランプ大統領の貢献が私の子供たちにとって有意義なものになったと思っています。

安全保障は、夜寝る前に全てのドアの鍵をかけるのと同じくらい重要な事だと思っています。誰が私の家に入るのかを知る権利があるように、誰が私の国に入国するのか知る権利があるのは極めて筋が通っていることだと思っています。

トランプ大統領の70項目にわたる移民制度計画を読みました。母親として、他者を死亡させた罪に問われた人が釈放されるという、時代錯誤の制度を撤廃する事の何が反米的なのか理解に苦しみます。

酒酔い運転の前科がある不法滞在者が起こした交通事故によって、唯一の子供を亡くした母親と話した事があります。私は、同じ母親として、子供を一人でも犠牲にする事は出来ません。だからこそ私は、トランプ大統領が複数の酒酔い運転の前科がある不法滞在者の強制送還が出来るよう、強制送還の条件の拡大を支持する事が恥ずかしいとは思っていません。

反社会的集団のメンバーが、移民としての恩恵を受ける事を阻止する事の何が間違っているのでしょうか。なぜ私たちはそれを税金で賄わなければいけないのでしょうか。私は、南方の国境に壁を作るという案も含めて、トランプ大統領が掲げた70項目の全てが合理的で必要な事だと思っています。アメリカを再び安全な国にするための沢山のステップのうちの最初のステップだと思います。

思い出して頂きたいですが、家の外にいる人々が嫌いだからドアに鍵をかけるのではありません。私たちは、家の中の人々を愛するからこそ家の鍵をかけるのです。それすらしないというのは、私たちに託された義務、すなわち家族と国を守る義務を放棄する事になるのです。

これらの事を踏まえて、私はトランプ大統領を支持しつつ、良き人間であり続ける事が出来るという結論に至ったのです。彼は完璧な人間でしょうか?彼の言動やツイートの全てに満足しているのでしょうか?もちろんそうではありません。他の全ての人間同様に、彼にも欠点はあります。

ですが、選挙というのは完璧な人間を選ぶためにあるのではありません。立候補している人々の中で最も適切な人を選ぶためにあるのです。トランプ大統領在任の一年目を振り返って、2016年の大統領候補者のうち、より良い候補者だったという私の確信は揺るぎません。

【私の論評】トランプ大統領を色眼鏡ではなく等身大で見るべき(゚д゚)!

上の記事、数字などのエビデンスも加えて、まともな記事です。この記事は、米国内でもかなり話題になりました。日本のマスコミも、米国のマスコミの受け売りで、「無能」「人種差別主義者」「精神疾患持ち」「ボケている」「汚職政治家」というような報道ばかりを繰り返しているようです。

しかし、これは、日本国内にみられるように「アベ政治を許さない」というスローガンをかかげるリベラル・左翼の主張とあまり変わりありません。

そうして、米国の場合、大手新聞はすべてリベラル・左派、大手テレビ局はフォックスTVを除いてあとはすべてリベラル・左派という状況であるため、日本よりも偏向しているかもしれません。

日本でも、産経新聞などを読まないで、朝日、読売、毎日新聞だけ読み、その他の情報源はテレビだけということになれば、相当偏向するのは容易に想像がつくというものです。

だからこそ、上のFOXニュースの記事は、日本でももっと読まれるべきだと思いましたので、本日掲載させていただきました。

上のニュースでは、経済や黒人の雇用が良くなっていることが掲載されていましたが、退役軍人の待遇がかなり改善されたのいうのは一つの注目点です。移民政策に関しても、オバマ時代には似たようなことをしていても何も言われなかったのが、トランプ大統領になると米マスコミはヒステリックに批判を繰り返すようになりました。

実は、軍人にはトランプ大統領の支持者が多いのです。軍人の中には、ヒラリー夫妻を蛇蝎のごとく嫌う人々も多いです。このようなこともあり、トランプ大統領は、退役軍人の待遇改善を強力に推進したのでしょう。

汚れ放題のヒラリー・クリントンは無視し、トランプの服の
シミを拡大して見ているメディアを風刺する米国の風刺画
1月20日、トランプ政権が誕生してから1年が経過しました。日本ではトランプ氏の過激な言動や「ロシアゲート疑惑」が報じられることが大半で、経済面等はあまり報道されません。大規模なインフラ投資や減税など、選挙中に訴えていた公約がどれほど進行しているのかがよくわからなくなっています。実際のところ、トランプ大統領になってから米国の経済はどのように変化したのでしょうか。

まず「大規模なインフラ投資を行う」という公約については、現時点では計画すらも立てられていません。議会の多数派にインフラ投資の法案を通すように「工作」している兆候も見られません。ちなみに「メキシコとの国境に壁を作る」という誰もが耳を疑った公約は徐々に進んでいて、'17年10月にいくつかの壁の「試作品」が公開されました。

次に「大型減税を行う」としていた点については、一定の成功を収めています。議会は'18年から、35%だった法人税率を21%に引き下げる大型減税法案を可決しました。個人所得税の最高税率も39・6%から37%に下げ、控除額も2倍に増やします。

それが達成されれば、全体の減税規模は10年間で1・5兆ドル、年間円換算で17兆円となります。この減税規模は、過去最大とされた'01~'03年の「ブッシュ減税」を上回るものとなります。

国内の経済状況は比較的良好です。実質経済成長率は3・2%('17年7~9月期)、失業率は4・1%('17年12月)、インフレ率は2・1%となっていますが、1年前にはそれぞれ2・8%、4・7%、1・3%だったので、文句をつけられないほど調子がよいです。

CPI(物価指数)、Civilian Unemployment Rate(失業率)、
10-Yr.Treasury Rate(10年国債金利)、IP(鉱工業指数)、
Payroll Employment(雇用者増加数)
部分的にはオバマ政権の成果とも考えられますが、その好調さを維持してきたトランプ政権の経済運営能力は十分にあるといえます。

今後大型減税が実施されれば、堅調な経済はさらに長く維持される可能性が高いです。仮に連邦準備銀行(FRB)が利上げをしても耐えられるだけの力をつけているでしょう。

株価については、昨年1月20日のニューヨーク・ダウ平均株価は19827・25ドルでしたが、今年1月19日には26071・72ドルと1年間で3割以上も上昇しました。

ただし、ご存知のように、最近株価はかなり落ちましたが、これは健全な調整とみるべきでしょう。これについては、ここで掲載すると長くなるので、以下にこれについて詳しく説明しているサイトの記事のリンクを掲載します。
米国の株価下落は、健全な調整
いずれこの株価の下落もおさまり、一定のところで落ち着くものと思われます。

とはいえ「口は災いの門」のようで、トランプ大統領の支持率は1月18日時点で37%と決して高いとはいえません。それでもトランプ大統領の支持層は強固なため、一定の支持率は維持できています。これはほかの大統領にはなかった特徴です。

トランプ政権は、対外的な評判もあまり良くないです。TPP(環太平洋パートナーシップ協定)やパリ協定からの離脱は明らかにアメリカのエゴを見せつけるもので、世界からの顰蹙を買いました。そのトランプ大統領が、最近ではTPPに復帰する可能性を示唆しています。

アメリカ経済の好調のメリットをもっとも受けるのは日本です。世界から好まれていないトランプ政権ですが、期待したい一面も備えています。

今後国内景気の安定をこのまま継続できれば、トランプ政権はまずまずと言って良く、これから比較的安定した政権となることが十分考えられます。

いずれにしても、米国のリベラル・左派の撒き散らすトランプ批判をそのまま垂れ流す日本のメディアの論調をそのまま信じ込んでしまっては、物事の本質を見誤ってしまうことになります。

無論トランプ大統領も人間ですから、強みも弱みもあります。トランプ大統領を色眼鏡ではなく等身大で見るべきです。そうして、長所に着目すべきです。これは、マネジメントの世界でも同じことがいえますが、人を見るときには、強みに着目すべきなのです。これは、経営者をみるときも、大統領をみるときも同じことです。



ドラッカーは経営者の資質について以下のように語っています。
いかなる教養を有し、マネジメントについていかなる教育を受けていようとも、経営者にとって決定的に重要なものは、教育やスキルではない。真摯さである。(『現代の経営』)
経営者にとってできなければならないことは、そのほとんどが学ぶことができます。しかし、学ぶことのできない資質、後天的に獲得することのできない資質、初めから身につけていなければならない資質があります。才能ではありません。真摯さです。
経営者は人という特殊な資源とともに仕事をします。人は共に働く者に特別の資質を要求します。
経営が本気であることを示す決定打は、人事において断固人格的な真摯さを評価することです。リーダーシップが発揮されるのは人格においてであり、人の範となるのも人格においてだからです。
ドラッカーは、真摯さは習得できないと言います。仕事に就いたときに持っていなければ、あとで身につけることはできないといいます。
ごまかしはききません。一緒に働けば、特に部下には、その人間が真摯であるかどうかは数週間でわかります。
部下たちは、無能、無知、頼りなさ、不作法などほとんどのことを許します。しかし、真摯さの欠如は許しません。そのような人間を選ぶ者を許しません。
人の強みではなく弱みに焦点を合わせる者をマネジメントの地位につけてはならない。人のできることは何も見ず、できないことはすべて知っているという者は、組織の文化を損なう。(『現代の経営』)
トランプ大統領の弱みにばかり、焦点を合わせ米マスコミは、米国文化を損なうことに気づいていないようです。というより、米マスコミは過去数十年にわたり、米国の伝統的文化を破壊してきました。そうして、それが善であるかのように思い込んでいます。

トランプ氏は米国の伝統文化の象徴的存在です。だからこそ、米マスコミはこれを破壊したいのです。だからこそ、徹底した個人攻撃を行うのです。

日本のマスコミのトランプ報道など、大統領選挙のときの失敗報道から反省することもなく、一歩も前に進んでいないとみるべきです。

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2017年8月12日土曜日

米朝対立が破裂寸前!北「グアムに4発同時発射」緊急声明 広島、高知通過と日本にも脅し―【私の論評】北朝鮮の軍事力を等身大に見てみよう(゚д゚)!

米朝対立が破裂寸前!北「グアムに4発同時発射」緊急声明 広島、高知通過と日本にも脅し

九州周辺の上空で米空軍機と共同訓練を行う航空
自衛隊のF2戦闘機(下)=30日午前(航空自衛隊提供)
 米国と北朝鮮の対立が破裂寸前となった。狂気の独裁者、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長率いる北朝鮮が10日、国営メディアを通じ、「米グアムへの弾道ミサイル4発同時発射を検討している」と宣言したのだ。レッドラインを完全に越えて、威嚇姿勢を強める無法国家に対し、ドナルド・トランプ米大統領は核戦力行使の可能性まで口にし、一歩も引かない構えを示している。今月21日からの米韓合同軍事演習、来月9日の北朝鮮建国記念日を控え、朝鮮半島の緊張は極度に高まっている。

 「わが朝鮮人民軍戦略軍はグアムの主要軍事基地を制圧、牽制し、米国に厳重な警告信号を送るために、中・長距離戦略弾道ロケット『火星12』型の4発同時発射で行うグアム包囲射撃を慎重に検討している」

 北朝鮮の国営メディア、朝鮮中央通信は10日朝、朝鮮人民軍戦略軍司令官の発表として、こう伝えた。

 発表では、トランプ氏が8日、「炎と怒りに直面することになる」とツイッターに投稿したことを、「ゴルフ場にいた米軍統帥権者は情勢の方向を全く判断できなかったまま、『火炎と憤怒』だの、何のという妄言をまたもや並び立てて、わが火星砲兵たちの興奮した神経をいっそう鋭く刺激している」と揶揄(やゆ)した。

 米国と強固な同盟関係にある日本に対しても、火星12型ミサイルが「島根県、広島県、高知県の上空を通過する」と脅しをかけた。同通信によると、朝鮮人民軍戦略軍は8月中旬までに、4発同時発射計画を最終完成し、発射待機態勢で命令を待つという。

 これは冗談では済まされない。

 北朝鮮は1998年と2009年に、日本上空を越えて弾道ミサイルを発射している。今年3月には、同国西岸から弾道ミサイル4発を日本海に向けて発射している。

 北朝鮮がグアム攻撃の能力を持つ可能性は高いが、グアム島には、B1爆撃機などが配備されているアンダーセン空軍基地や、原子力潜水艦の基地アプラ港があり、米軍の重要戦略拠点になっている。同時発射は事実上、米国に対する「宣戦布告」といえる。

 正気を失ったかにみえる北朝鮮に対し、トランプ氏の発言も過激化している。9日のツイッターへの書き込みでは、「現在の米国の核戦力は世界最強だ。できれば使わないで済むことを願うが、われわれが世界最強の国でなくなるときは絶対に来ない!」と核戦力を誇示したのだ。

 トランプ氏だけではない。軍人出身で、開戦リスクを熟知するジェームズ・マティス国防長官も強硬姿勢に転じた。

 9日に出した声明で、「北朝鮮は孤立をやめ、核兵器追求を放棄する道を選ぶべきだ。『体制の終焉(しゅうえん)、人民の破滅』につながるいかなる行動の検討もやめる必要がある」と発表した。これまで、マティス氏は「軍事的に解決しようとすれば信じがたい規模の悲惨な事態をもたらす」と述べ、外交的解決を訴えていた。正恩体制の「終焉」にまで言及した今回の声明は、マティス氏が慎重姿勢を転じたようにも読み取れる。

 米朝の緊迫ムードが高まるなか、世界最強の米軍が誇る原子力空母「ロナルド・レーガン」が9日、母港の米海軍横須賀基地に帰港した。

 今月21日からは、韓国で定例の米韓合同軍事演習「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン」(UFG)が始まる。演習に合わせ、米原子力空母2隻が今月中旬、朝鮮半島近海に展開することが検討されており、「ロナルド・レーガン」の帰港は、それに向けた準備の可能性もある。

 さらに、北朝鮮は9月9日、建国記念日という節目を迎える。演習の始まる今月21日から9月上旬という期間は、「米朝開戦のリスク」が最も高まる時期といえるのだ。

 米朝激突となれば、日本には「戦後最大級の危機」が襲いかかることになる。安倍晋三首相は先の内閣改造で、「有事にも対応できる布陣」を敷いたとされるが、この国家的試練を乗り越えられるのか。

【私の論評】北朝鮮の軍事力を等身大に見てみよう(゚д゚)!

さて、ブログ冒頭の記事を読むと、なにやら、すぐにでも米北の戦争がおこり、とんでもないことになるような感触を受ける人も多いのではないでしょうか。

確かに北朝鮮のミサイルは年々能力を高め潜在的な脅威となっていることは確かです。しかし、日本のマスコミは北朝鮮軍の実力を報道することもなく、危機を煽るばかりです。これだけでは、正しく状況を判断できません。本日は、北朝鮮軍の実力に関して掲載します。
 
北朝鮮は2012年に人工衛星の打ち上げに成功しており、ICBMの基本的な技術は持っているはずですが、まだ実験すらしていません。つまり米国に届く長距離ミサイルが実戦配備されるには、今後数年を要するとみられます。

2012年に人工衛星の打ち上げに成功した北朝鮮
米軍基地のあるグアム島を射程に入れた中距離弾道弾ムスダンは実戦配備されているとみられますが、昨年10月に試射され失敗に終わっています。ムスダンは中国製とみられることから、発射に際しては中国の許可が必要となるはずです。

つまり、安全装置を解除するためには暗証番号を入力する必要があり、その番号はその都度、中国に聞かなければならないのです。正しい番号が入力されずに発射されれば、発射は失敗に終わる仕組みです。

昨年4月15日に北朝鮮が移動式の中距離弾道ミサイル(IRBM)「ムスダン」の発射に失敗した際、現場にいたミサイル技術者らが死亡、もしくは負傷し、移動式発射車両も破損したといいます。 

米国の保守系メディア「ワシントン・フリー・ビーコン」は20日、米軍関係者や外交消息筋の話を引用し「北朝鮮は東海岸にムスダンIRBM2基を配備し、発射試験を準備した。ところが1発目のIRBMが発射からわずか5-6秒後、90メートルほど上昇したところで爆発し、もう1基は発射もできなかった」「ムスダンの発射失敗に関する報告書の内容をよく知る外交消息筋は『ムスダンの発射失敗の原因は、燃料システムやターボポンプの問題とみられる』と語った」と伝えたとしています。

これが事実がどうかはわかりませんが、当時は米国によるサイバー攻撃ではないかという噂も流れました。

私は、これは金正恩がムスダンを打ち上げようとしても、ちゅうごくが暗証番号を教えなかったので、暗証番号を解読させて打ち上げに及んだのではないかと思います。ただし、その暗証番号は間違ったものであった可能性が高いと思います。

ムスダンの暗号は複数あって、正常に作動して打ち上げを成功させるものと、異常を起こし途中で失敗するものもあったものと思います。北朝鮮の科学者は、暗証番号を解読したつもりが、それは正常に作動させるものではなかったという可能性があります。

「米グアムへの弾道ミサイル4発同時発射を検討している」といくら、金正恩氏が力んでみても、中国の許可がなければこれは不可能です。中国がこれを許可するとはとても思えません。

当然米国もこれを承知しており、それを知った上で、トランプ氏やマティス氏は金正恩の「米グアムへの弾道ミサイル4発同時発射を検討している」という威嚇に対して、威嚇で応じたということです。

ムスダンの発射
もちろん、北朝鮮製の弾道弾もあるにはあります。例えば、3月6日に4発発射され、秋田沖に着弾した「スカッドER」は北朝鮮製です。また、日本を射程に入れる「ノドン」も北朝鮮製であり、発射に中国の許可を必要としません。5月14日に発射した中距離弾道弾「火星12号」も同様です。

しかし、これらのミサイルは旧式の液体燃料型であり、発射に際してはその都度、数時間かけて燃料注入をしなければなりません。つまり発射の予兆を探知されやすく、米軍による攻撃の格好のターゲットになります。また、壊滅しそこなったとしても日米韓の分厚いミサイル防衛システムに阻まれることは必定です。

そして、懸念が広がっている核爆弾の開発状況については、昨年9月に5回目の核実験に成功し、今後近いうちに、6回目の実験を実施するのは確実とみられています。しかし、弾道弾に搭載できるように小型化、軽量化するには、まだ数年を要するでしょう。

北朝鮮の潜水艦の中で最も大きい1,700トンロミオ級を視察した金正恩
また、北朝鮮の海軍は排水量1700トンのロメオ級潜水艦を20隻程度保有していますが、これは旧ソ連製であり実力としては第二次世界大戦当時の標準的能力しか有していないです。現在3500トン級の戦略潜水艦を建造中ですが、まだ完成にはほど遠いです。日米の対潜水艦能力は世界最高水準にあり、これに対して北朝鮮の潜水艦は全く無力です。

北朝鮮海軍の潜水艦が日本海で1週間にわたって活動していると、NHKが2014年7月23日に米国政府当局者の話として報じました。

それによると、「潜水艦はディーゼル型のロメオ級で、アメリカの監視記録では、この型の潜水艦の場合、通常、4日程度で活動を終えるが、今回はこれを超えておよそ1週間に及び、これまでで最も長い」また、「アメリカ軍はこれまでにない特異な行動だとしてその目的などについて分析を進めている」だと伝えました。

ロメオ級は北朝鮮の主力潜水艦だが、旧ソ連で1950年代に開発された旧式です。弾道ミサイルの発射機能は備えておらず、騒音の大きいディーゼルエンジンで航走し、最大潜航可能時間は約半日程度です。米軍や海上自衛隊のソナーから逃れるのは難しく、うまく水中に隠れても、空気補充のため浮上した際にレーダーで必ず探知されてしまいます。

つまり、この潜水艦自体は日米にとってまったく脅威にならないということです。

では、北朝鮮はなぜこんなことをしたのか。すぐに思い浮かぶのは、弾道ミサイル潜水艦の実戦配備に向けた訓練だろうということです。

核弾頭を搭載した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射台となる原子力弾道ミサイル潜水艦は、米国やロシアなどにおいては、核戦争勃発時の報復攻撃の柱となることを期待され運用されてきました。水中を自在に動き回る隠密性により、他の核戦力に比べ、敵からの第一撃を生き延びる可能性が高いためです。

しかし、ディーゼル推進で静寂性に欠け、長時間の潜航が出来ない北朝鮮の潜水艦に、このような役割を担うことはできません。

ということは、金正恩党委員長は恐らく、いざという時には先制攻撃に使う目的でSLBMをも開発しているものと思われます。実際、その後SLBMを発射という報道を北朝鮮はしていましたが、これは明らかにフェイクとわかる代物でした。

北朝鮮のミグ29
北朝鮮空軍、正式名称「朝鮮人民軍空軍」は、全軍の航空機運用を一手に引き受けており、数の上では1000機もの航空機を保有、うち半数の500機を戦闘機が占める世界トップクラスの兵力を誇る空軍です。
ところが500機の戦闘機のうち現代戦闘機といえる能力を持つ機種はせいぜいMiG-23とMiG-29のみであり、両機をあわせても100機に足りません。また1996(平成8)年にロシアよりMiG-29を購入し、1999(平成11)年にはカザフスタンより旧型のMiG-21bisを購入して老朽機の更新に当ててたのが最後、それ以降はまったく更新が行われていない状況です。
ミグ23は第3世代型の旧式機であり、第4世代型のFA18やわが国のF15に太刀打ちできる代物ではありません。

ミグ29は第4世代型ですが、パイロットの年間飛行時間が20時間程度と日米の150時間以上と比べて極端に少なく、格闘戦は不可能です。これに関しては、中国のパイロットですら、慢性的な部品不足などにより航空機の稼働率が低いため、年間25時間程度といわれています。最新鋭スホーイ27の部隊でもやっと年間100間程度と推測されていることから、北朝鮮のパイロットの技量は推して知るべし水準のものでしょう。

しかも、山口県の岩国の米軍基地には第5世代型のF35が配備されており、ミグ29を一瞬にして壊滅できる実力を誇っています。それに自衛隊もF35の配備をはじめました。

北朝鮮のT27戦車
北朝鮮の陸軍はT72やT62といった旧ソ連製戦車を多数保有していますが、やはり世代的に古く米国のM1戦車の敵ではありません。自走砲として注目されているのが300ミリ多連装ロケット砲ですが、制空権を維持できない状態では戦車同様、米軍の戦闘攻撃機の餌食になるしかありません。

北朝鮮の特殊部隊は10万~20万人いるとされ、北朝鮮軍の中では唯一危惧されるべき存在です。潜水艦による北朝鮮武装兵士浸透事件が起きた1996年、北朝鮮が米国のグリーンベレー、英国のSAS(特殊空挺部隊)等に比肩しうる強力な特殊戦部隊を育成していたことが判明し、米国を震撼させました。

何よりも驚くのはその数です。北の特殊部隊の兵力は当時8万から10万人と言われましたが、これは世界でも類を見ない多さです。

江陵浸透事件 手前が射殺された北朝鮮工作員
この部隊の練度の高さが証明されたのは1996年9月の江陵浸透事件です。

韓国の江原道江陵市近辺で工作員を回収する北朝鮮特殊潜水艦が座礁した時、乗組員と工作員を合わせた26名が韓国内に逃亡。軍と警察の掃討作戦は二か月を要し、韓国側は軍人12名、警察官1名、民間人4名の犠牲者を出しました(負傷者17名)。
1名の工作員を追うのに数十人規模の人員が動員される有様だったのです。

海保巡視船が北朝鮮の不審船を撃ち、沈めた時も、北朝鮮工作員は自沈を選んだことから見ても、彼らは本国への強い忠誠心を見せています。

日本人拉致事件を見れば分かるように、すでにこの工作員メンバーはスパイ天国の日本に多数、入り込んでいると見られています。

朝鮮有事勃発とあらば、彼らが日本各地で活動を開始する危険性が高まります。

金正男暗殺のような事態が日本の要人を狙って引き起こされる可能性がありますし、原発に向けてテロ部隊が夜半に上陸してくる可能性も否定できません。

ただし、これを管理している国家保衛省の上級幹部が最近多数解任されており、有事に際してどれほど動けるのかは不明です。

テレビの報道をだけをみていると、頻繁にミサイル発射の報道がなされており、北朝鮮の軍事力については報道されてはいません、これではあまりにバランスに欠けているので、本日は北朝鮮の軍事力の実体について、触れてみました。

最後に一言ですが、たとえ圧倒的に相手側が劣勢であったにしても、戦争とは個別の戦闘の集合の結果あり、いくつも戦闘から成り立っているものです。

ということは、日米韓は、北朝鮮と戦争をした場合、日米韓は必ず大勝利します。特に空海では圧倒的でしょう。ただし、個別の戦闘では負けることもあるわけで、そのときには自衛隊員や軍人も犠牲になることもありえますし、市民も犠牲になる場合もあります。

韓国や日本国内にも、北朝鮮の特殊部隊が攻撃を仕掛けるかもしれません。すでに国内に潜入している工作員がこの攻撃に加わるかも知れません。だとしても、補給路がたたれるし、そもそも北朝鮮は大人数の特殊部隊を韓国や日本に送り込むことはできません。

昼であれば、すぐに発見されてしまいます。夜陰に乗じて少数の部隊を送り込むことができるだけです。

そのため、日本国内での戦闘があったにしても、小規模で短期で終息するものと考えられます。それでも、犠牲者は出る可能性はあります。

北朝鮮有事の場合は、その覚悟はしておかなければならないということです。

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北、深夜のICBM発射 米軍事攻撃の可能性高まる トランプ大統領「あらゆる必要な対策を講じる」―【私の論評】米軍の北朝鮮攻撃は二度ある(゚д゚)!

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北朝鮮への武器輸送支援、67歳邦人野放し ミグ21戦闘機や大量ロケット弾…国内法整備追いつかず、制裁「本気度」問われる政府―【私の論評】憲法論議を憲法典の字面の改変程度に矮小化したつけがまわってきた(゚д゚)!

北朝鮮、日本の漁民50人以上を殺害か…元工作員が証言―【私の論評】英テロが対岸の火事でなくなる差し迫った現実(゚д゚)!

北朝鮮有事が日本に突きつける8つのリスク【評論家・江崎道朗】―【私の論評】 森友学園問題で時間を浪費するな!いまそこにある危機に備えよ(゚д゚)!

トランプ氏の「お客様至上主義」マーケティングから学べること―【私の論評】真の意味でのポピュリズムで成功した保守主義者の典型トランプ氏に学べ

トランプ氏の「お客様至上主義」マーケティングから学べること まとめ トランプ元大統領は、テレビタレントとしての経験を活かし、有権者のニーズを理解した明確なメッセージを発信している。 彼のマーケティング力とキャラクター演技力が、選挙戦での成功に寄与している。 対立候補陣営は、高額な...