働かない中高年リッチ解雇せよ 「正社員」保護しすぎ論が台頭(この内容すでにご存知の方はこの項は読み飛ばしてください)
非正規社員のクビ切りが社会問題化している中、正社員の過剰な保護はやめるべきだという意見が出てきた。非正規社員を切るよりも、たいして働かずに年俸1000万円以上の中高年をリストラするほうが費用対効果は大きい、という主張がその一つだ。一方、正社員と非正社員の垣根をなくしてフラットにするべきだ、つまり、正社員にも賃下げや解雇を認めたらどうか、という意見もある。正社員だから安心、とはいえない時代に突入したらしい。
■部長クラスを切るほうが、費用対効果が高い
ソニー、トヨタ自動車、キヤノンといった世界企業は米国発の金融危機の影響で輸出が減り、相次いで数千人規模の解雇を進めている。真っ先に切られるのは派遣社員や期間工といった非正規社員だ。
「非正規社員を切ったって、コストカットの効果はたかが知れています。それよりも、大した働きもせずに年1000万円以上をもらっている部長クラスを切るほうが、よっぽど費用対効果がありますよ」
と話すのは、人事コンサルティング「Joe's Labo」代表の城繁幸氏だ。
さらに、正社員と非正規社員の垣根をなくしてフラットにし、正社員にも賃下げ、クビ切りを実施するのがいい、というのが持論だ。
「年齢に応じて支給される『年齢給』を止めて、仕事量・内容で判断される『職務給』に切り代えるべきです。年齢給は日本独特の給与制度で、欧米ではむしろ職務給が当たり前なんです。また年齢給のせいで、非正規社員が増えているという現状も無視できません」
労働者全体に占める非正規の割合が4割を超えたが、このままだとすぐに5~6割になる、と同氏は推測する。
例えば、35歳の元フリーターを正社員として雇用する場合、能力や経験が年齢に見合うだけない場合でも、年齢給制度があるとそれなりの給料を支給しなければならないが、非正規社員なら仕事量に応じた賃金で雇うことができる。その結果、安く雇えるという理由で非正規社員の雇用が増えていった。ところが景気が悪くなると簡単に切り、景気が回復して人材が必要となれば非正規で雇う。正社員は雇わず、非正社員が増える一方だ。こうした「負のスパイラル」に陥り、従来の雇用システムは破綻した、と城氏は見ている。
■主な仕事はゴルフコンペ、でも年収は2000万円近い
経済学者で上武大学教授の池田信夫氏も、ブログで「中高年のノンワーキング・リッチ」が問題だ、と述べている。
そして、こんな例を明かしている。最近、NHK地方局の局長になった人物は「死ぬほど退屈」している。「末端の地方局」に編成権はなく、主な仕事と言えば「ライオンズクラブの会合に出たり、地元企業とのゴルフコンペに参加したりする」こと。にもかかわらず、彼の年収は2000万円近い。
池田氏は「日本経済の生産性を引き下げて労働需要を減退させ、若年労働者をcrowd out(弾き出す)しているのは、こういう年代だ」と強烈に批判する。
もっとも、賃下げや解雇はそう簡単ではない。大学生に売れている「就活のバカヤロー 企業・大学・学生が演じる茶番劇」(光文社新書)の著者、石渡嶺司氏は、「実際に正社員の賃下げは難しく、ましてや解雇は逮捕されたとか、よほどの理由がない限りできない」という。
「労働契約法」で、合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして解雇は無効とする、と定められているからだ。
「結局、非正規社員や20歳代から30歳代の正社員にしわ寄せが及んでいます。学生の無知につけこんだ『内定取り消し』も同じことです」
過剰なまでの「正社員保護」をどうにかしなければいけない時期にきているのかもしれない。
まずはNHK、役所からか?
上の記事の内容、言っている趣旨はわからぬでもありませんが、実際に上の層を切るとして、対象となる人がそんなにいるのでしょうか。それに、部長クラスといっていますが、まずは役員クラスから切るべきではないでしょうか?無論切るといっても、最初は、減棒などのことがあげられると思います。責任の大きい人から痛みわけをするのが当然のことだと思います。特に部長といえば、従業員のトップであり、怠業したといのならしょうがないでしょうが、業務執行の責任はあっても、経営の責任はあまりないはずです。
私が知っている中では、大企業も随分前からリストラをしていました。たとえば、三菱商事では、いわゆるOLと呼ばれる人たちはいません。お茶入れや、補助的な仕事をするのはアルバイトにしていたはずです。それも随分前からです。そうして、10年くらい前からは、40歳くらいになるとリストラ対象で、本社に残る人とグループ会社に出向・転籍などするひとではっくり区分けされ、本社から出る人もかなりいます。
雪印では、確か10年くらいまえから、年功給などの比率を相当低くして、たとえば、いくら年をくっても、営業所長であれば、いつまでも営業所長ということで、そこからは何年たってもほとんど昇給しないようにしていたはずです。また、雪印関係の販社のうち、雪印販売は例の事件により、なくなったはすです。他に販売会社もありますが、これも相当営業所の数を減らしたり、支社も相当統合したはずです。
それに、3~4年くらい前から、バレンタインデーのチョコレートなど、本当にお世話になった人にしかあげないように変わってきていて、その背景には、たとえ上司であったとしても、いつリストラでいなくなるのかわからないので、世話になっている人にしかあげなくなっているということがあるようです。NHKのように、ほとんど仕事をしないで2000万円以上も給料をもらえるなどという職場、本当に日本に存在するのでしょうか?NHKと役所が特殊なのではないでしょうか?
それから、記憶に新しいのが、銀行でょうか?数年前に、ある書籍でメガ・バンクの行員の話がでていましたが、コンビニの店長よりも仕事ができないのに、コンビニ店長は600万くらいの収入なのに、行員の場合は1000万くらいとしていました。
いずれにせよ、この世知辛い世の中です。確かに、池田氏のいうように、もし、とんでもなく暇で、給料の高い仕事があるとしたら、まずはそれらの給料のカットなどから手をつけるべきだと思います。それは、その会社の損得というだけではなく、会社というものは、社会の公器であることから結局は社会の損失でもあるからです。まず、真っ先はNHKや、役人だと思います。純然たる民間企業では、よほどの例外だと思います。まあ、例外であっても、存在するならば、真っ先に手をつけるべきだと思います。確かに、若い人は給料が安いし、まだまだ先もあるし教育・訓練や自らの努力でどのように変わっていくかもわかりませんが、ある程度以上の年になって仕事ができなければ、あるいは何ができるのかが、はっきりしないようなと人は、ほとんど見込みがないですから。
派遣問題の本質?
もう一度派遣の問題にさかのぼります。自動車業界を中心に凄まじい数の非正規労働者がクビを切られています。自動車業界だけでも2万人を優に超えます。それも契約期間の途中で、いきなり解雇です。年の瀬を目前に突然、寒空に放り出される人々の憤激と不安はいかばかりでしょうか。クビを切られる側がクビを切る側に、厳しい叱責を浴びせるのは当然のことだと思います。
しかし、マスメディアが安っぽい正義感を振りかざして“派遣切り批判”を扇情的に繰り返す姿こそ批判されてしかるべきです。いざという時に雇用調整に踏み込むことは、企業として当然の経営判断です。
ところが日本の労働法制はそれを簡単には許していません。2000年代初めの不良債権危機当時、経営危機に瀕した大企業が続々とリストラをしたということになっていますが、それは違います。日本の労働法制では正社員を一方的に解雇することはできません。当時「リストラ」と呼ばれた中身は「希望退職の募集」でとた。倒産の危機が目前に迫っても、日本の企業は割増し退職金を払い、人件費を急増させるというプロセスを経なければ、雇用調整ができませんでした。
本来ならここで、日本の労働法制を真正面から見据えて、企業の解雇権と解雇される労働者の権利を守るための法改正や社会的なセーフティネットの構築をしなければならなかったはずです。しかし、これを素通りして、派遣をめぐる規制緩和だけが推し進められたところに問題の根があります。
今回の派遣切りの問題を機会として、このあたりを真剣に考えてみるべきです。くさい物にフタをしているという状況では、労働者にとっても経営者にとっても、国とってもよくはありません。このままの状態を維持することは、将来にわたってこの問題は解決されず、かといって企業が一方的に責任を負うような形とすれば、何かあったときに企業は生き残れず、そのため雇用問題をよりいっそう深刻にしてしまうと思います。
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