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2017年7月6日木曜日

米国艦をついに凌駕か、中国の新鋭駆逐艦の戦闘力―【私の論評】隠忍自重の必要なし!日米はすぐ行動できる(゚д゚)!


北村 淳

今回FONOPを実施した米海軍のアーレイバーク級駆逐艦「ステザム」

   「アジア最強の駆逐艦」進水、米国の新たな危惧が現実に

アメリカ海軍ミサイル駆逐艦「ステザム」(横須賀を本拠地とする第7艦隊所属)が、7月2日、西沙諸島のトリトン島沿岸12海里内海域を通航した模様である(アメリカ当局は公式には発表していないが中国当局は抗議と警告を発している)。5月26日に引き続いて、トランプ政権下で2度目の南シナ海における「FONOP」(公海での航行自由原則維持のための作戦)ということになる。

南シナ海でのFONOPが2015年に始められてから6度目になるが、わずか1カ月の間を置いて実施されたのは今回が初めてである。

北朝鮮情勢を巡って中国に対して“気を使わざるを得なくなった”トランプ政権に苛立ちを隠せなかった対中強硬派の米海軍関係者たちは、今回のFONOP実施によって、「より頻繁なFONOPの実施」が定着することを期待している。

しかしながら、いくら中国の覇権主義的海洋進出政策を米海軍や米外交当局が牽制しようとしても、「せいぜいFONOPを南シナ海で実施するのが関の山」といった状況であるのもまた事実である。

そして、対中国戦略家たちにとって、新たな危惧が現実のものとして突きつけられた。それは、6月28日に中国海軍が進水させた最新鋭の駆逐艦である。

   中国メディアは「アジア最強の駆逐艦」と喧伝

中国当局側の発表によると、進水した「055型ミサイル駆逐艦」は、全て“国内技術”によって建造されたという。基本排水量1万トン、満載排水量1万4000トン、全長180メートルの055型駆逐艦は、これまで中国海軍が建造してきた水上戦闘艦(航空母艦、揚陸艦を除く駆逐艦やフリゲートなど)のうちで最大であるだけでなく、第2次大戦後にアジアで建造された最大の水上戦闘艦である。

大きさだけではなく、様々な充実した装備も積載しており、「アジア最強の駆逐艦」あるいは「アメリカの最新鋭ズムウォルト級ミサイル駆逐艦に迫る世界最強の駆逐艦の1つ」と中国当局系のメディアなどは喧伝している。

055型駆逐艦は(もちろん実戦に投入されたわけではないので真の戦闘能力に対する評価は誰にも分からないが)中国当局系メディアなどによる自画自賛だけではなく、アメリカ海軍関係者の間でも評価が高く、強く危惧している人々は少なくない。すなわち、「055型駆逐艦の海上戦闘における攻撃能力はアメリカ海軍のいかなる水上戦闘艦より勝っている」
として、警戒を強めているのだ。

「055型ミサイル駆逐艦」1番艦の進水式

   敵を侮ってはいけない

日本では、中国の軍艦をはじめとする兵器などに対して「見かけ倒しに過ぎない」とか「張り子の虎のようなものだ」といった見方が少なくない。しかしアメリカ海軍関係機関やシンクタンクなどの軍事専門家(兵器や武器マニアの親玉といった人々ではなく、軍事戦略や安全保障政策のエキスパートたち)の多くは、「少なくとも確実なデータが入手できていない段階では、敵側の戦力などに関しての楽観的な判断は避ける」という習性を身につけている。

1941年の日米開戦以前、当然のことながら、アメリカ軍、そしてアメリカ政府は、日本海軍が巨大な戦艦や航空母艦を建造し、ゼロ戦をはじめとする多数の航空機を手にしていることを認識していた。しかし、日本の場所さえ知らないアメリカ国民はもとより多くの軍人さえも「いくら立派な戦艦やゼロ戦を持っていても、日本人ごときにとっては宝の持ち腐れで、虚仮威(こけおど)しに過ぎない」とみくびっていた。

そのため、太平洋方面(すなわち対日本)の最前線であるハワイ(太平洋艦隊)や、前進軍事拠点であるフィリピン(米フィリピン駐屯軍、とりわけフィリピンの米軍司令官マッカーサーは日本軍の“強さ”を過小評価していた)での対日防備は隙だらけで、結果として日本軍の先制攻撃を受けて大痛撃を被ることとなった。

アメリカ海軍戦略家の多くはこの種の教訓を生かし、「決して敵対する勢力の戦力を『どうせ・・・ちがいない』といった具合に自分たちにとって都合が良いように見くびってはならない」と考えている。「とりわけ、敵の人的資源に対して『士気が低いようだ』『訓練が行き届いていない』『作戦立案能力が劣る』といった評価をなすことは控えるべきであり、少なくともわが軍と同等かそれ以上の存在であると考えておけば、実戦になって『こんなはずではなかった』という事態に陥ることはない」として、敵の資源を決して過少評価せず、むしろ自軍を上回っていると想定するのである。

そのため、055型駆逐艦を論ずる米海軍関係者たちの間には、「ついに、中国海軍駆逐艦がアメリカ海軍のそれを凌駕する日がやってきてしまった」という評価が広がっているのだ。

    「055型」駆逐艦の海上戦闘能力

米海軍がとくに脅威に感じているのは、055型駆逐艦が備えている海上戦闘能力である。

現在、アメリカ海軍最強と言われている水上戦闘艦は「ズムウォルト級ミサイル駆逐艦」である。2016年に就役したこの新鋭駆逐艦は、最新型の多機能レーダーシステム(AN/SY-3)、全ての艦内システムのネットワーク化、最新型のミサイル垂直発射装置(MK57-VLS: 発射管合計80セル)などを装備している。

米海軍のズムウォルト級ミサイル駆逐艦「ズムウォルト」
MK57-VLSからは、地上攻撃用トマホーク巡航ミサイル、各種対空ミサイル、弾道ミサイル防衛用ミサイル、対潜水艦用ミサイルなどを発射することができる。このほかズムウォルト級駆逐艦は、最新推進システム、最新情報処理システム、それに高度なステルス形状を備えているため「最強の駆逐艦」と言われている。

だが、当初は32隻の建造計画があったものの、現時点では1隻が就役しているのみで、あと2隻で建造は打ち切られることになっている。

そのため航空母艦を除くアメリカ海軍の主力水上戦闘艦は、「アーレイバーク級ミサイル駆逐艦」(合計76隻を保有する予定、現在62隻が就役中、2018年中までに6隻が就役予定)と、「タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦」(現在22隻が就役中)ということになる。いずれの軍艦にも、ズムウォルト級駆逐艦よりも発射管数(アーレイバーク級駆逐艦は90セルあるいは96セル、タイコンデロガ級巡洋艦は122セル)の多いミサイル垂直発射装置(MK41-VLS)が装着されているが、情報処理システムやステルス形状などはズムウォルト級駆逐艦とは比べようもないレベルである。

タイコンデロガ級巡洋艦「シャイロー」
一方、中国の055型駆逐艦は、ズムウォルト級駆逐艦に迫るステルス形状をしており、中国が独自に開発したミサイル垂直発射装置(発射管は128セル)はMK41-VLSやMK56-VLSよりも大型のミサイルを発射することが可能である。そして、潜水艦を探知するソナー類も、米海軍や海上自衛隊の装備に勝るとも劣らない強力なシステムを搭載しており、「中華神盾」と称する対空レーダー戦闘システムもアメリカが誇るイージスシステムを凌駕するとされている。

    米海軍が恐れる「YJ-18」

このような強力な防衛手段に加え、米海軍関係者たちが大きな危惧を抱いているのは、この新型駆逐艦の128セル垂直発射管からは“超強力”な「鷹撃18型超音速巡航ミサイル」(YJ-18)が発射されることである。

YJ-18は、地上目標も敵艦も攻撃することができる巡航ミサイルであり、最大射程距離は540キロメートル程度とされている。軍艦と軍艦による海上戦闘では500キロメートル以上も離れた敵艦を攻撃することはほとんど考えられないものの、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦や一部のアーレイバーク級駆逐艦が装備しているハープーン対艦ミサイルの射程距離が124キロメートルとされているため、055型駆逐艦は米巡洋艦や駆逐艦の脅威圏外から米艦艇を攻撃することが可能となる。

さらに、YJ-18は攻撃目標に接近すると最終段階の40キロメートルはマッハ3以上で飛翔する「ロシア譲りの性能」を有していると推定されており、米海軍にとっては極めて深刻な脅威となる。

このような脅威に対して、アメリカ海軍は空母打撃群を繰り出し、空母から発進する攻撃機によって敵艦艇を撃破するという基本方針に頼ってきた。そのため、巡洋艦や駆逐艦自身が搭載する対艦ミサイルを強力化する必要性は生じなかった。それよりも、防空ミサイルシステムをはじめとする防御能力に莫大な資金と最先端技術をつぎ込んできたのである。

ところが、中国海軍との戦闘が予想されるのは南シナ海あるいは東シナ海であり、中国との有事の際に、それらの海域に空母打撃群を出動させるという米海軍の大前提そのものが怪しくなってきてしまった。というのは、中国人民解放軍ロケット軍が東風21-D型対艦弾道ミサイル(DF-21D)ならびに東風26型対艦弾道ミサイル(DF-26)の運用を開始したからである。

まず、東シナ海は中国沿岸域から最大でも1000キロメートル程度の広がりしかない。また、南シナ海での予想戦域でも1500キロメートル程度の距離しか離れていない。そのため、東シナ海や南シナ海に進攻した米海軍空母はDF-21DやDF-26の餌食となりかねず、米海軍の伝統的な空母艦隊による作戦は極めて危険となる。したがって、中国との海上戦闘は、艦艇対艦艇の戦闘を想定すべきであるという考えが持ち上がってきている。

すると、ハープーン対艦ミサイル程度の敵艦攻撃力しか備えていない米海軍の戦闘艦は、055型駆逐艦にはとうてい太刀打ちできないということになる(中でも、新鋭のアーレイバーク級駆逐艦とズムウォルト級ミサイル駆逐艦には、ハープーン対艦ミサイル程度の攻撃力すら備わっていないため、増設が必要となる)。

     「今後5年間は隠忍自重するしかない」

以前よりこのような状況になりかねないことを危惧していた一部の海軍戦略家たちは、「YJ-18」に匹敵する強力な対艦超音速巡航ミサイルの開発を提唱していた。しかし、その開発はようやくスタートしたばかりであり、誕生するのは早くても5年後と考えられている。

一方、先日一番艦が進水した055型駆逐艦は3番艦までが引き続き誕生し、アメリカの新型対艦ミサイルが誕生する5年後までには、少なくとも8隻前後の055型駆逐艦が就役しているかもしれない。また、問題のYJ-18は055型駆逐艦より小型の052D型ミサイル駆逐艦(1番艦が2014年に就役し、間もなく6番艦と7番艦が就役する)にも搭載されるため、すでに2020年には20隻以上の中国海軍駆逐艦がアメリカ海軍艦艇をアウトレンジ攻撃する能力(敵の射程圏外から敵艦を攻撃する能力)を身につけることになる。

このため、米海軍関係者からは「少なくとも今後5年間は、(中国近海域すなわち東シナ海や南シナ海における海上戦闘では)どうあがいても中国海軍優位の状況を突き崩すことが困難になってしまった」との声も上がっている。アメリカ海軍の弟分である海上自衛隊にとっても、このような“米海軍の嘆き”は、残念ながら共通する。

このような状況に立ち至った原因は、アメリカ海軍艦艇(海自艦艇も同様)が、強力な敵艦攻撃能力を犠牲にしてまでも、超高額な予算と最高度の技術が要求される対空防御能力の充実に努力と予算を傾注しすぎたからである。この事例は、我が国の弾道ミサイル防衛態勢や、専守防衛という国防の基本方針そのものにとっても、大きな教訓とすべきである。

【私の論評】隠忍自重の必要なし!日米はすぐ行動できる(゚д゚)!

上の記事は、中国の新鋭駆逐艦をあまりに過大評価していると思います。それには2つの要因があります。

まず一つ目は、中国メディア「環球網」の2015年1月6日の記事です。それによりますと、中国が当初2015年にも進水させるとされた、新鋭の055型ミサイル護衛艦について「世界が騒然」としている様子を示した一方で、「外国で騒がれるほどの突出した性能ではない」などとする、中国の専門家の指摘を紹介しています。

055型ミサイル駆逐艦は全長183メートルで船幅は22メートル、標準排水量は1万2000トンで、情報化やステルス性能を向上させ「第4世代に属する」とされています。

環球網は米国、ドイツ、ロシア、台湾、米国など世界各地のメディアの取り上げ方を紹介「米イージス艦に匹敵。あるいはそれ以上」、「中国は、大規模な海の戦闘について、準備を大きく邁進させた」、「ステルス性を持つ米国のDDG-1000(ズムウォルト級)ミサイル駆逐艦に次ぐ、世界最大の駆逐艦。中国の船舶技術と船舶工業能力の最高水準を示している」、「中国が世界の軍事バランスを変更する5つの“殺し道具”のひとつ」などの記事を並べました。

しかし環球網によると、ある軍事専門家は「時代を超えるほどの先進性は、取り立ててないだろう」と評したといいました。現役の052級駆逐艦と比べ、電子システムや武装は向上するだろうが「戦争のゲームのルールを変えるほどの役割をはたすことはない」との考えでした。

同専門家は、「外国のメディアは、中国の新たな武器について騒ぎ出す場合が多い」と指摘。現在、多くのメディアが注目するのは055型の大きさだが、実際には米国が80年代に就役させたタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦と同程度の大きさであり、電子装備の面で(055型は)はやや向上しているが、搭載する武器のレベルは米国の最新式のものとでは「比較にならない」程度にとどまっているといいます。

同専門家はさらに、中国の武器の水準は全体的に「加速しつつはあるが、(世界最先端の武器の水準に)いまだに追いつこうとしている状態」、「距離はまだ、相当に大きい」と説明。20年前と比べれば、「世界最先端との距離はやや縮まった」だけだが、「一部の西側メディアは、そのことに適応できないのだろう」との見方を示しました。

実際にそういうところなのでしょう。たとえ、高性能の武器を搭載したとしても、実際にはソナー、レーダーなどの電子機器は、はるかに及ばないというところが実情なのでしょう。ステルス性もどの程度のものなのか、未知数です。

現在中国は、30年前に配備された航空自衛隊のF15Jより優れた戦闘機を一機も保有していません。旧ソ連が開発したSu27やMIG29のコピーをせっせと作ったり、ロシアから劣化版を輸入しています。

また中国は工作技術が劣っているので、ロシアの旧式潜水艦を輸入したり、旧ソ連の潜水艦をコピーしています。

またフランスが輸出した小型のフリゲート艦のシステムを、ありがたがって空母や「イージス艦」に搭載したりもしています。

航空機や潜水艦、軍艦の技術水準に関しては、現在の中国は崩壊前のソ連より劣っています。その中国の最新鋭艦が突然、米国の水準を凌駕するなどということはあり得ません。やはり、中国の専門家の意見のほうが正しいと考えられます。055型駆逐艦は主体建造を始めたばかりで、2018年より先に就役することはありません。いずれ、化けの皮が剥がれます。

それと、もう一つはブログ冒頭の記事では、現代艦船における潜水艦の役割や、潜水艦そのものと、対潜哨戒能力(潜水艦を探査する能力)の中国と日米との差異については全く触れていません。これでは、著しく公正性に欠けていると言わざるを得ません。

日本の潜水艦については、このブログでも何度か掲載してきたように、日本の工作技術が優れているために、抜群のステルス性を誇っています。日本の最新鋭の潜水艦は、水中をほとんど無音で進みます。中国の対潜哨戒能力はかなり劣っているため、中国は日本の潜水艦を探知することができません。

これに対して、中国の潜水艦は工作技術が格段に劣っているために、ステルス性は低く、参議院議員の青山繁晴氏の言葉を借りると、中国の潜水艦は最新鋭のものでも、まるで水中をドラム缶をドンドンと叩きながら進むように音をたてるので、世界でもトップクラスに属する対潜哨戒能力に優れた日本側は、容易に探知することができます。

米国の潜水艦は、ステルス性では日本の潜水艦には劣るものの、中国よりははるかに優れていて、中国の対潜哨戒能力をもってしていはなかなか探知できません。さらに、ソナーなどの電子機器は日本を凌駕し、原子力潜水艦艦は1年以上も潜水したままで、軍事作戦を遂行する能力があります。

これでは、中国側は日米の潜水艦には対処しようもないわけです。いくら中国の最新鋭駆逐艦が優れたミサイルを搭載しているとはいっても、南シナ海や尖閣付近にこれらの最新鋭なる駆逐艦を多数派遣したとしても、予め多数の潜水艦群を日米がこれらの地域に配置しておけば、中国の艦艇や潜水艦はすぐにも撃沈できるのです。

であれば、せっかくの強力なミサイルを搭載した駆逐艦といえども、本格的戦闘に入る前に日米の潜水艦に撃沈され、海の藻屑と消え去るだけです。

南シナ海を中国が戦略原潜の聖域にして、この海域に空母や最新鋭駆逐艦を派遣したとしても、米国としては、潜水艦でこれらを撃破し、さらに陸地のミサイルを撃破し、そのあとで、空母打撃群を派遣すれば良いのです。

だからこそ、この中国の最新鋭駆逐艦が建造されることを知っていても、オバマ政権はそれに対する対抗措置を特別とらなかったのだと思います。

実際に日米の潜水艦がどのような行動をとっているのか、以前このブログにも掲載したことがあるので、その記事のリンクを以下に掲載します。
半島に米原潜など50隻集結! 金正恩氏はのど元に「トマホーク」を突き付けられている状況―【私の論評】世界最大の原潜「ミシガン」がなりを潜めている!トランプ大統領は本気だ(゚д゚)!
世界最強の攻撃型原潜、米海軍のバージニア級
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
朝鮮半島の周辺海域で「水面下の戦い」が繰り広げられている。米国と北朝鮮、中国、日本、韓国、ロシアなどの50隻前後とみられる潜水艦が、息を殺して、お互いをけん制しているのだ。ドナルド・トランプ米大統領は「無敵艦隊を派遣した。空母よりずっと強力な潜水艦も持っている」と、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に警告した。水中から巡航ミサイルのターゲットにされた正恩氏は、「6回目の核実験」を強行できるのか。
日米は朝鮮半島の周辺海域にすでに数十隻の潜水艦を派遣しているのです。当然中国の潜水艦も派遣されているでしょう。中国側は、日米の潜水艦を探知するのは困難ですが、日米は容易に中国の潜水艦を探知していることでしょう。

ときたま、中国側が思いもよらないところに、潜水艦を浮上させて、度肝を抜いているかもしれません。

この記事でトランプ大統領の語っている「空母よりずっと強力な潜水艦」というのは、おそらく、世界最大の潜水艦である、オハイオ級戦略原潜「ミシガン」のことだと考えられます。

このオハイオ級原子力潜水艦ミシガンは、巡航ミサイルのトマホークを1隻で最大154発、水中から連射できるのです。

このオハイオ級原子力潜水艦はアメリカ海軍が現在保有する唯一の戦略ミサイル原子力潜です。西側諸国で最大の排水量を誇る潜水艦であり、また全長と弾道ミサイル搭載数は現役の潜水艦で最大です。同型艦は、ミシガンを含めて、全部で18隻就航しています。

先日のシリアの攻撃の時に駆逐艦2隻で発射したトマホークの数が59発だからその規模がとんでもないことがわかります。下の写真は、水中のハッチが開いて7つある発射口からトマホークが高圧空気で押し出されるところです。


このミシガンですが、4月にこの記事を書いたときには、まだなりを潜めていたのですが、5月には釜山港に入港したので、私はこの時点でしばらく米国による北朝鮮への武力攻撃はないだろうと考えていました。しかし、最近では、米国人の若者が北朝鮮から帰され、その後死亡したり、ICBMを発射したことなどから、また武力攻撃に踏み切る可能性は高まったものと思います。

それと、ミシガンをはじめ、朝鮮半島付近の海域にあれだけの大艦隊を派遣するというとは、当然のことながら中国への牽制でもあることを忘れるべきではない思います。
【世界ミニナビ】中国ご自慢の空母「遼寧」は日米潜水艦隊がすでに“撃沈”?―【私の論評】中国の全艦艇は既に海上自衛隊により海の藻屑に(゚д゚)!
実戦ではほとんど役立たずといわれる空母「遼寧」
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
日本の海上自衛隊と米国海軍の潜水艦艦隊が演習で遼寧を“撃沈”しているようだと明らかにしたのは、米誌「ナショナル・インタレスト」だ。同誌は6月18日のウェブサイトで、「撃沈している」との断定的な表現は微妙に避けながらも、日米の潜水艦艦隊は遼寧が出航するたびに追尾し、“撃沈”の演習を繰り返しているとしている。
遼寧は、ソ連崩壊のあおりを受けてスクラップ同然となった未完成の空母「ワリヤーグ」を、中国がウクライナから購入し、改修したものだ。米海軍が運用しているようなスチームカタパルトを装備した空母ではなく、艦載機はスキージャンプ台から発艦するなど、米海軍の空母と比べるとその能力は低い。 
一方、ナショナル・インタレストは海軍艦艇の中で最も強力なのは潜水艦戦力で、空母をはじめとする水上艦艇を沈めるのに最も有効な手段だとしている。遼寧についてもその配備先は当初、海南島や台湾やベトナム近くの海軍基地ではないかとの観測もあったが、山東半島の付け根にあり、黄海に面した北海艦隊の根拠地となっている青島に配備された。 
ナショナル・インタレストは、中国が遼寧の母港を青島にした理由として、通常動力型の宋級潜水艦と漢級原子力潜水艦が配備されているためだとしており、宋級潜水艦と漢級原子力潜水艦が日米の潜水艦隊に対抗するうえで有効なためだと分析している。 
ナショナル・インタレストは潜水艦戦力の例として、2006年10月に宋級潜水艦が沖縄近海で米空母キティホークに魚雷攻撃ができる距離まで近づき、浮上したことを紹介。また、2013年に中東のオマーン湾で行われた演習で、米海軍の攻撃型原潜が英海軍の空母イラストリアスに魚雷で攻撃できる距離まで近づいたことを明らかにしている。 
水上艦や潜水艦をはじめとする中国海軍の動向は人工衛星や偵察機によって把握され、艦艇が出港すると、海上自衛隊や米海軍の本格的な監視・追跡が始まる。もちろん、まさにこの時間帯にも中国の軍港の近海や東シナ海や南シナ海から西太平洋に抜ける海峡などのチョークポイントに日米の潜水艦隊は潜んでおり、中国の海軍艦艇をにらんでいる。
要するに、中国の対潜哨戒能力が低いので、日米の潜水艦は中国側にさとられずに何度も、シミレーションで撃沈されたということです。この対潜哨戒能力とは、人や対潜哨戒機も含む立体的な統合システムによるものであり、「055型」駆逐艦のソナーなどの能力が向上したからといって、すぐに能力が向上するわけではありません。

055型駆逐艦も本格的に就航し、遠洋にでるようになれば、日米の潜水艦は中国側にさとられることなく、シミレーションで何度も撃沈されることになることと思います。

このようなことから、ブログ冒頭の記事の「少なくとも今後5年間は、(中国近海域すなわち東シナ海や南シナ海における海上戦闘では)どうあがいても中国海軍優位の状況を突き崩すことが困難になってしまった」という見解は間違いであり、隠忍自重の必要など全く必要はなく、中国がさらに傍若無人な行動した場合日米はすぐに対応し、軍事的意図をくじくことができます。

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2017年3月3日金曜日

今年度のスクランブル、1000回超えて過去最多に 河野克俊統幕長「中国が非常に活発」―【私の論評】支那は未だ航空兵力で日本を凌駕できていない(゚д゚)!


緊急発進のため、民間機の間を縫うように離陸する
航空自衛隊のF15戦闘機=2014年12月、那覇空港
 防衛省の河野克俊統合幕僚長は2日の記者会見で、日本領空に接近した外国軍機などに航空自衛隊機が緊急発進(スクランブル)した回数が今年度はすでに計1千回を超え、通年で過去最多を更新したことを明らかにした。これまでは昭和59(1984)年度の計944回が最多だった。背景について河野氏は「中国の活動が非常に活発化し、活動範囲も広がっていることが主な原因だ」と述べた。

防衛省によると、領空侵犯はなかったが、今年度のスクランブルは統幕が詳細を公表している第3四半期まで(昨年4~12月)で計883回(前年度同期比316回増)に達している。国別では中国が644回で全体の約73%を占め、ロシアの231回が続いた。

これまで最多だった昭和59年度は米ソ冷戦期で、ソ連機に対するスクランブルが大半を占めた。近年は積極的な海洋進出を背景とした中国機が急増し、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の空域に接近する中国機も多いという。元空自幹部は「中国は尖閣の実効支配に向け、領空侵犯を狙っている。増加傾向は続くはずで、日本も数の優位を確保すべきだ」と指摘する。

通年のスクランブル回数は4月に公表される。今年に入ってからは1月9日に中国空軍のH6爆撃機など計8機が対馬海峡の上空を往復。同月24日にはロシア軍のTU95爆撃機2機が日本を周回飛行するなどし、いずれも空自機がスクランブルを行った。全体の傾向として中国は戦闘機が、ロシアは情報収集機が多い。

【私の論評】支那は未だ航空兵力で日本を凌駕できていない(゚д゚)!

そもそも中国機やロシア機は、何を目的に日本の防空識別圏へ進入してくるのでしょうか。理由はいくつか考えられます。

まずは、政治的な目的です。2016年6月、東シナ海において中国軍戦闘機(恐らくSu-30MK2とみられる)が防空識別圏へ進入し、航空自衛隊のF-15Jと格闘戦へ入りかねない状態になったことが報道されました。また2012年には中国国家海洋局の小型機Y-12が、尖閣諸島付近で領空侵犯する事件も発生しています。これらは日本に対する圧力を狙ったものだといえます。

中国のSu-30MK2
ただ戦闘機や小型機に対してスクランブルすることは、実はあまり多くなく、爆撃機か情報収集機がその大多数を占めます。

爆撃機は訓練目的の場合が多く、昨年11月25日における太平洋上での支那のH-6Kの飛行も、射程2500kmのK/AKD-20らしき巡航ミサイルを搭載しており、グァムを標的にした訓練を実施したのではないかとされています。またK/AKD-20を搭載している姿をあえて航空自衛隊に見せることで、対米圧力を狙った政治的理由も兼ねていることが考えられます。

K/AKD-20sH-6k爆撃機
情報収集機の目的は、有事のための備えです。現代戦は「電波の戦い」であり、レーダーや通信ネットワークなどを活用し、同時に相手の電波を妨害する必要があります。

情報収集機は、あえて航空自衛隊機をスクランブルさせることで自衛隊側にレーダーや通信を使用させ、その電波を受信、解析する「信号諜報(シギント)」を行っているのです。Tu-154MやY-8CBは電波を逆探知するアンテナを多数搭載していることから、機体各部にアンテナをカバーする「こぶ」が多数あります。

こうした中国機やロシア機の飛行は、日本の主権が及ぶ領域である「領空」への侵入さえ行わなければすべて合法です。防空識別圏の境界とは、領空侵犯を未然に防ぐために独自に設定された、国際法上なんの法的根拠もない単なる「線」にすぎません。

したがって、たとえ防空識別圏の内側といえど、公海上空はどの国の主権も及ばない領域ですから、他国機の飛行を妨げることはできません。

また逆に、自衛隊もYS-11EB、EP-3などの情報収集機を保有しており、他国へ接近する信号諜報を実施しています。実際、過去には北朝鮮によって「日本の情報収集機が領空を0.001mmでも侵犯した場合は撃墜する」という声明が出されたことがありました。

とはいいながらも、支那のやり方は非常にまずいこともあります。それについては、軍事評論家の井上和彦氏が以下の動画で説明しています。



近年のスクランブル発進の急増は、中国の著しい軍拡や、かつて低迷していたロシア軍の復興によって、東アジア情勢が緊迫化しつつある証左です。今後もスクランブル発進の回数は高い水準を維持し続けると推測されます。

戦闘機の飛行時間は有限であり、無制限に飛ばすことはできません。その限られた中で訓練のための飛行時間も確保しなくてはならず、航空自衛隊、ひいては日本の防衛にとって、当分は厳しい状況が続くことになるでしょう。

ただし、戦闘機のパイロットの飛行時間は日本の自衛隊のパイロットよりもはるかに長いです。飛行時間が長いということは、良く訓練されているいることを意味します。これについては、以前このブログにも掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国戦闘機の女性パイロット、「金のクジャク」が事故死 「殲10」墜落相次ぐ「女性の理想像」称賛も、過度な訓練強化が要因か―【私の論評】事故の背景には、人為的構造的なものがあり早期解決は不可能(゚д゚)!
生前の余旭大尉
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事から一部を引用します。

"

保有戦闘機の数を比較すると以下のようになります。

---------------------------------------
            日本 ・・・・・  360機
            中国 ・・・・・ 2570機


出展 こんなに強い自衛隊 著者: 井上和彦
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確かに保有台数では比較になりません。中国は日本の7倍もの戦闘機を持っています。しかし、戦闘機の質を見ると中国の戦闘機はかってソ連が開発した「ミグ19」ないし「ミグ21」の改良型ばかりであり、もはや骨董品級の代物なのです。

これに対して航空自衛隊は、F15(改良型)などの近代的戦闘機をずらりと揃えているのです。そうして近々F35 を導入する予定もあります。

戦闘機の優位性は、こうしたハード面だけでは決まりません。とくにこうしたハイテク戦闘機の場合、いかに機を使いこなせるかにかかっています。その尺度となるのは、飛行時間なのです。これについては、日本と中国の間には決定的な差があります。

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        ≪飛行時間≫
         航空自衛隊 ・・・・・ 年間最低150時間
         中国空軍  ・・・・・ 年間平均 25時間


ただし、最新鋭スホーイ27の部隊でもやっと年間100間程度と推測


出展 こんなに強い自衛隊 著者: 井上和彦
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さらに中国海軍は、慢性的な部品の欠乏という問題を抱えていて、飛べない戦闘機が多いのです。中国のスホーイ戦闘機の稼働率は60%といわれています。これに対して日本のF15戦闘機は、故障しても翌朝には飛び立てる状況になっており、その稼働率は90%です。
ただし、この60%という数字もあてにはなりません。私は以前軍事専門家から中国の航空機の全体の稼働率は20%以下という驚くべき数字を聞いたことがあります。中国の戦闘機のエンジンは外国製が多いということや技術水準が低いも考えると、確かに慢性的な部品不足に陥るのも無理のないことであり、この20%という数字もあながち全く根拠のない出鱈目とはいえないと思います。

飛行時間が、航空自衛隊のほうが中国よりも6倍あるのですから、稼働率も航空自衛隊よりも中国はかなり低いとみて間違いないです。スホーイ27の稼働率は中国でも例外的なのでしょう。

さらに、中国空軍の極端に低い年間飛行時間は、やはり戦闘機の稼働率が低すぎるため、十分に訓練できないという事情があるのではないかと考えられます。そうでないと、辻褄が全くあいません。
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この記事では、支那の航空機の稼働率が20%であり、戦力外の航空機を除くと常時飛行させることができる航空機の数を計算した結果も掲載しました。その部分を以下に掲載します。
(戦力外の戦闘機は外してさらに)保有していても稼動しないのは飛べないので、存在しないのと同じなので除外します。そうすると、航空自衛隊の稼働率90%、従って実数は315機です。中国空軍の稼働率推定20%、従って実数は50機です。
このあたりの状況は、あまり報道されていないので、多くの人が知らないと思います。はっきりいえば、支那からすれば、日本の領空近くを飛行するというのは、まさに命がけなのです。しかし、現在はこの状況ですが、10年20年とたつうちに今のままでは中国に逆転される可能性もなきにしもあらずです。これも真実です。

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