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2019年8月17日土曜日

香港人に英国籍付与、英議員の提案は香港問題の流れをどう変えるか?―【私の論評】コモンウェルズの国々は、香港市民に国籍を付与せよ(゚д゚)!

香港人に英国籍付与、英議員の提案は香港問題の流れをどう変えるか?

立花 聡 (エリス・コンサルティング代表・法学博士)

 多発デモや混乱、情勢の混迷を深める香港(参照『香港問題の本質とは?金融センターが国際政治の「捨て駒」になる道』)。中国による武力介入が懸念されるなか、打開策として様々なシナリオが描かれている。

1997年6月30日、香港コンベンション&エキシビション・センターで行われた香港政権引き渡しの式典

香港人に英国籍を与えよ!

 300万人規模、半数近くの香港市民が一夜にしてイギリス人になった場合。――あり得ない仮説のようだが、実はあり得ない話ではないのだ――。

 「香港市民には英国籍を与えるべきだ。香港の抗議運動を支援する英国の姿勢を見せるときだ」

 英国国会議員、外交委員会委員長のトム・タジェンダット(Tom Tugendhat)氏は、1997年香港撤退(中国返還)の際に放置されてきた市民の国籍問題の解決を促し、英国籍付与の範囲を香港の中華系市民(ホンコン・チャイニーズ)にも及ぶべきだとし、英国が香港から引き上げた当時そうしなかったのは間違いであって、それを是正すべきだ(wrong that needs correcting)と主張した(8月13日付け英字紙デイリー・メール Online版)。

英国国会議員、外交委員会委員長のトム・タジェンダット(Tom Tugendhat)氏

 周知のように、香港はすでに1997年にその主権が中国に返還された。中国の一特別行政区になった香港は中国の一部であることは言うまでもない。こうして中国領土に居住する「香港人」に勝手に外国籍(英国籍)を与えることはできるのか。たとえ与えられたとしても、「君たちはもうイギリス人だから、香港から出て行け。イギリスに帰れ」と言われないのか。

 現にイギリスに移住できる香港人はわずか一部の富裕層にとどまっている。ほとんどの香港人はたとえ英国籍を取得しても、生計を立てる基盤である香港から離れ、実際にイギリスに移住することは経済的にまず不可能だ。

 一連の疑問に答えを出すには、まず「香港人」というステータスを若干説明する必要がある。

「香港人」という特別な存在

 まず、文化的ステータス。

 「Borrowed place, Borrowed time(借りた場所、借りた時間)」という言葉(中国人の父とベルギー人の母の間に生まれる女医ハン・スーイン(韓素音)の小説を映画化した『慕情』の中での名ゼリフ)ほど香港人の心境を的確に表現したものはないだろう。

 借りた場所は返さなければならないが、借りた時間は返せるだろうか。場所を返すのに1日もあれば十分。1997年7月1日という瞬間に香港が中国に返された。しかし、そこに住む一人ひとりの香港人の中にある時間(記憶)はそう簡単に抹消されることはない。50年をかけてもだ。

 「借りた場所、借りた時間」という言葉の主語。場所を借りたのはイギリスだが、時間を借りたのは誰だ。イギリス人か、香港人か、あるいは両方か。互いに借りたり貸したり、そうした関わり合いのなかに、香港人とイギリス人のいささか相思相愛ともいえる微妙かつ濃密な関係があったのだ。それは決して正議論的に植民地統治の悪という一言で片づけられるものではない。

 借りた時間の影響は一代にして終わらず、97年返還の前後に生まれた次の世代も間接的ではありながら、何らかの形でその影響を受け続けている。「時間を取り返す」という命題を掲げる中国は50年あるいはもっと長い時間をかけ、香港人の心から承認と共鳴を引き出さなければならない。それは決して容易なタスクではない。中国本土と異なった歴史的背景を無視して威嚇や武力だけで屈服させようとすると、逆効果にほかならない。

 「香港人は、中国人ではない」と訴え、自己主張する香港人の心境はどんなものだろうか。彼らは決して「チャイニーズ」というアイデンティティに抵抗しているように思えない。単純にイデオロギーや政治体制、統治手法などの面において懸命に中国本土と一線を画し、その相違を自他とも確認できるような明確な形にしようとしているだけである。そうした香港人の頑強な姿が見え隠れする。今回の「逃亡犯条例」に対する激しい反発はまさにその表れといえよう。

 国籍に関しては、チャイニーズたちの柔軟な、時には無節操とも思わせる捉え方も周知のとおりである。自由のために、生計のために、事業のために、外国籍を気軽に取得しても、アイデンティティまで変えようとするチャイニーズはわずかだ。その外国籍もまさに「借りた場所」や「借りた時間」と同じように、「借りた国籍」と考えているだろう。
香港人が持つ2種類の旅券

 次に、法的ステータス。

 香港の市民は2種類の旅券(パスポート)を保有することが出来る。1種類は中華人民共和国香港特別行政区が発行する旅券(青色)、もう1種類は英国政府が発行するBNO(British National Overseas=英国海外市民)旅券(赤色)である。

 BNO旅券の表紙には英国の国章が入っているが、イギリス人がもつ本国の旅券とは異なり、言ってみれば、海外植民地の「二等国民」がもつ旅券である。BNO旅券保有者が英国入国の際に、「British Citizen」の列に並ぶことは許されていないし、外国人同様の入国審査を受けなければならない。イギリスの入国審査当局の説明によれば、BNO旅券は英国旅券ではなく、「英国政府が発行した渡航文書(Travel document)」に過ぎないのである。

 「旅券」は国籍証明機能を有しているが、「渡航文書」は必ずしもそうではない。自国民以外の者に対しても発行可能で、通過許可を求める証明書類等は包括的に「渡航文書」とされている。「渡航文書」は「旅券」の上位概念である。BNO旅券はつまりそのような「渡航文書」であり、決して英国国民であることを認証するものではない。

 1997年の香港返還に際して、「一国二制度」の下で、香港市民は英国海外領国民ではなくなり、中国国民となる。しかしながら、英国は1987年から1997年返還までの間にBNO旅券を300万人以上の香港市民に発給した。つまり、1997年の返還前の香港に居住、申請した人は、現在でもBNO旅券を保有・更新することができる。

 在香港英国総領事館のウェブサイトによれば、2012年現在約340万人の香港市民がこのBNO旅券を所持しているという。つまり、これはとても重要なことだが、英国政府がBNO旅券保有者に英国市民権を与えると決めた場合、理論上ではあるが、総人口740万人の香港の半数近くの市民がイギリス人になることが可能となる。

 英国国籍法に基づき、他国籍を有しない英国海外市民、英国国民(海外)は帰化ではなく、「登録」により英国籍を取得することができる。法的基盤がある程度整っている以上、政治的判断があれば、実行は可能であろう。さらにBNO旅券保有者の子女(1997年7月1日以降生まれた人)にも特例的に市民権付与を認めた場合、半分以上の香港市民がイギリス人となり得る。

国籍選択、半数近くの香港人がイギリス人になった場合

 前出のトム・タジェンダット議員は、「英国は『中英連合声明』に定められた義務を負っている。1997年返還当時にやるべきだったが、やらなかったことで、この間違いを是正しなければならない。それはつまり、香港人(ホンコン・チャイニーズ)に完全なる英国市民権を付与することだ」と、政治的決断を呼びかけている。

 BNO旅券保有者の香港人が英国籍の取得にあたって、中国籍の放棄手続を行わなければならない。祖国に返還された香港で、数百万人規模の香港人が祖国の国籍を捨て、旧宗主国であるイギリスから与えられる英国籍を進んで取得する。香港市民の国籍選択、このトップニュースが世界中に発信されたとき、世界トップクラスの大国を志す中国にとっての敗北感は屈辱的であろうし、到底耐えられるものではないだろう。

 では、イギリス人となった数百万人の香港人は香港から退去しなければならないのかというと、まったくその必要はない。彼たち全員が香港永久居民(永住権保有者)でもあるからだ。

 仮に、香港デモの参加者の3人に1人がイギリス人である場合、軍や武装警察の投入どころか、催涙ガスやゴム弾も今のように使えなくなるかもしれない。同じような顔をした市民を香港人とイギリス人に区分することはそう容易ではない。イギリス人のデモ参加者に死傷者でも出た場合、英国総領事館が直ちに介入してくる。国際問題になるのがオチだ。さらに、自国民保護のため在香港英国総領事館の規模が現在の数倍や数十倍にも膨れ上がれば、香港政府と対峙する「第2の政府」、あるいは野党的な存在になり得るだろう。

 トム・タジェンダット議員の香港人への英国籍付与案は、実施可能な仮説として、対中交渉における大きなカードになるだろう。

【私の論評】コモンウェルズの国々は、香港市民に国籍を付与せよ(゚д゚)!

実は、香港人の中にはすでに、外国籍を取得している人も大勢います。香港で生まれ、その後、1997年の香港の中国返還を前にカナダ国籍を取得しながら、仕事の関係で香港に生活している香港在住者が1996年以来最高の30万人(香港人口の4%)に達しています。そうした中、直近の5年間で、約8000人のカナダ国籍の香港居住者がカナダに生活の拠点を移していることがカナダの国勢調査結果から明らかになっています。

これは2014年の民主化を要求した雨傘運動や、最近の「逃亡犯引き渡し条例」の改正案をめぐる大規模な抗議行動などで、中国の脅威が香港に直接迫っていることを危惧する動きとみられます。香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」が報じています。

香港人のカナダ国籍取得者は、おもにカナダのブリティッシュ・コロンビア州のバンクーバー市やリッチモンド市に居を構えています。

ブリティシュ・コロンビア大学で香港の移民問題を研究しているダニエル・ヒルバート教授は「香港の人々のカナダ移民は1990年代に最初のピークを迎えた。その人たちは大半が40~45歳の働き盛りの年代だった。カナダは物価も安く自然も豊かで、生活そのものは穏やかだったが、仕事のチャンスには恵まれないことから、移住した人々の大半は再び香港に戻って、働くようになった」と説明しています。

ヒルバート教授によると、その人たちも今では65歳から70歳と引退の年齢に達しており、静かな環境が必要になっているそうです。

「もともと香港人は、反中国だとか中国共産党が嫌いということだけでなく、政治的な影響が自分の日常生活に入り込んでくることを嫌う傾向が強い。ここ数年の民衆の反中的な運動の盛り上がりとともに、香港から離れようとする気持ちが強くなっていったと考えられる」と分析しています。

また、香港の移民問題を研究している同大研究員のケネディ・ウォン氏も「香港の政治問題は、幽霊のように市民にまとわりついてくる。民主化や政治的自由を要求する雨傘運動や、今回の『逃亡犯引き渡し条例』改正案への反対運動には最高で200万人の市民がデモに参加するなど広範な香港住民を政治運動に巻き込んだ。多くの香港住民は、生活に余裕がある階層ほど、香港は住みにくくなったと考えているのではないか」と指摘しています。

香港が英国から中国に返還される直前には、多くの香港人が、英国やカナダ、オーストラリアや南アフリカなどに移住してそれぞれの国の「パスポート」を取得していました。英国は返還前に大盤振る舞いで香港人に上の記事にもあるとおり、BNO旅券を発行していましたが、カナダ、オーストラリア、南アフリカなど一部のコモンウェルスの国(旧英植民地)では、一定期間移住して暮らせばパスポートが発行されました。そのため、数年それらの国で暮らしてから香港に戻ってきたり、97年直前に引っ越していったりということが日常茶飯事だったのです。

香港国際空港のロビーで座り込むデモ隊=8月13日

パスポートを持っているということはイコール、その国の国籍をもっているということです。ビザなしで居住することはもちろん、投票もできますし、政治家として立候補もできます。何よりも、世界中どこに行ってもそのパスポートを発行した国が守ってくれるということがパスポート保持の最大のメリットです。

日本人が事故や犯罪などに巻き込まれたときに真っ先に安否確認をするのは各国の大使館の義務ですし、昨年のネパール地震の際にはシンガポール政府は航空機をチャーターして希望するシンガポール人を全員、帰国させました。

中国返還前の香港人が将来を不安に思い「何が起こっても自分と家族を守ってくれる国の国籍がほしい」と考え、仕事を辞めるなど相応の覚悟で移住した気持はよくわかります。実際、昨年にはスウェーデン国籍の香港書店主がタイで中国政府によって拉致され、現在も明らかに冤罪とわかる罪で拘束されていますが、スウェーデン政府は現在も粘り強く中国政府と交渉を続けています。

英国も、希望する香港人にはBNOをパスポートに変え、国籍を付与るというのは、良い考えだと思います。カナダ国籍を有する香港人が4%は存在するとはいいながら、これらは高齢の人たちが多いです。おそらく、今回の香港のデモにもあまり参加していないでしょう。

しかし、英国ならびに、カナダ、オーストラリア、南アフリカなど一部のコモンウェルスの国々(旧英植民地)が、国籍取得の条件を緩めてかなりの数の香港人を外国籍化すれば、香港の将来を左右する多くの若者が外国籍を取得することになるのではないでしょうか。

これが実現すれば、香港の問題など英国及びコモンウェルズの国々(旧英植民地)が関与しているというのが何よりも力になると思います。

何しろ英国連邦の国々は今でも、多いです。


これらの国々が、香港人に国籍を付与し、自国民である香港人に不利益が生じた場合、逐一それに関与した場合、中国はかなりやりにくくなるはずです。

英国の新首相ボリス・ジョンソン氏はどう考えるでしょうか。私としては、EUを離脱した後も英国のプレゼンスを発揮するためにも、是非これを実行してほしいと思います。

香港人への英国連邦諸国の国籍付与案は、実施可能な仮説として、英国だけの国籍付与よりも、対中交渉におけるはるかに大きなカードになるでしょう。

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2016年9月16日金曜日

民進党 新代表に蓮舫氏 与野党の反応―【私の論評】蓮舫氏に新たな危機?台湾が安々と国籍を除籍するとは限らない(゚д゚)!

民進党 新代表に蓮舫氏 与野党の反応




民進党の新しい代表に蓮舫氏が決まったことについて、与野党の反応です。

自民

自民党の二階幹事長は、党本部で記者団に対し、「蓮舫新代表が、予想どおり、圧勝して選ばれたことは、民進党という党の安定から言って、大変結構なことだったのではないか。与党、野党の立場はあるが、われわれは、日本のため、国民のために、ともに手を携えて頑張らなければいけない使命があるのだから、お互いに協力し合っていければよいと思う」と述べました。一方、二階氏は、蓮舫氏の、いわゆる「二重国籍」問題について、「これだけ国際社会が進んでいる時代なのだから、蓮舫氏自身が、自分は何らやましい点はない、日本人だということで、これからご活躍をいただくのであれば、それはそれで、結構ではないか。この問題を取り上げるつもりはない」と述べました。

公明

公明党の山口代表は、国会内で記者団に対し、「野党が受け止めるべき民意もあり、健全な野党が存在することは民主主義の価値を高める。蓮舫新代表は、批判よりも提案を重視したいと言っているので、国会では建設的な立場で具体的な政策を提案してもらい、論議を深めたい。女性活躍の時代を体現する新代表として活躍を期待したい」と述べました。一方、山口氏は、蓮舫氏の、いわゆる「二重国籍」の問題について、「本人が説明責任を尽くすことが大切だし、民進党として国民にどう説明するかということも問われている」と述べました。

共産

共産党の志位委員長は、党本部で記者団に対し、「蓮舫新代表に、まずエールを送りたい。参議院選挙で大きな成果をあげた野党と市民の共闘を、次の衆議院選挙でも大きく発展させたい。来月行われる2つの衆議院の補欠選挙は、大変、大事な戦いであり、衆議院選挙に向けた前哨戦という位置づけにもなってくる。野党共闘を実現し、勝利を勝ち取るという立場で民進党と話し合っていきたい」と述べました。また、志位氏は、蓮舫氏のいわゆる「二重国籍」問題について、「本人も反省の弁を述べており、それ以上私が言うことは無い」と述べました。

維新

日本維新の会の馬場幹事長は、記者会見で、「いわゆる『二重国籍』の問題については、国民がスッと思えるような状況ではなく、蓮舫新代表は国民への説明責任を果たすべきだ。説明責任を果たさないまま、今後、国会で、政府やほかの政党に注文をつけていくのは、いささか疑問だ」と述べました。そのうえで、馬場氏は、「私たちが今後、議員立法で提出していく法案などで賛否が合致すれば、民進党と国会で共闘していくのは、やぶさかではない」と述べました。

生活

生活の党の小沢代表は、「蓮舫氏の、党代表としての活躍を大いに期待している。何より、『一強多弱』により議会制民主主義が崩壊寸前まで追い詰められている状況で、何としても早期に安倍政権を打倒し、再び健全な民主主義を回復させるべく、野党共闘の更なる推進のために奮闘していただきたい」とする談話を発表しました。
社民

社民党の又市幹事長は、「民進党の目指す政権交代を実現するためにも、衆議院選挙での野党共闘の継承・発展が不可欠だ。社民党をはじめ、ほかの野党と手を携え、安倍政治の暴走に正面から対じして、多くの国民の期待に応えるように希望するとともに衆議院の小選挙区選挙でのすみ分けをはじめとする選挙協力の前進を図りたい」などとする談話を発表しました。

こころ

日本のこころを大切にする党の中野正志幹事長は、「蓮舫氏の、二重国籍の問題とその対応には失望の念を禁じ得ない。蓮舫氏が、代表選の最中に虚偽の説明を繰り返してきたこと自体看過し難い問題だが、民進党の、党としての対応も理解に苦しむ。臨時国会では、二重国籍の問題を徹底的に議論し、しかるべき立法を講じなければならず、わが党はその最前線でたたかう覚悟だ」とする談話を発表しました。

【私の論評】蓮舫氏に新たな危機?台湾が安々と国籍を除籍するとは限らない(゚д゚)!


野党・国民党議員団の廖国棟・総召
台北 14日 中央社によりますと、立法院(日本の国会にあたる)で13日、野党・国民党議員団の廖国棟・総召(院内総務に相当)は、日本の民進党の蓮舫代表代行が、日本と台湾とのいわゆる「二重国籍」疑惑において、「台湾は国ではない」と発言したとする台湾メディアの報道を引用し、政府は蓮舫氏に抗議するよう台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表(大使に相当)に訓令を出すべきだと主張しました。

13日、すでに放棄したと説明していた中華民国(台湾)籍の保有を明らかにした蓮舫氏。11日の記者会見では、「一つの中国」論で言ったときに、二重国籍とメディアが使うことに驚いていると述べてましたた。一方、廖氏が引用した自由時報の記事は13日午後現在削除されています。 

台北駐日経済文化代表処 謝長廷代表
廖氏の要求に対し、李大維・外交部長(外相)は、謝氏は国が任命した代表であり、必ず適切な措置を取ると強調。訓令の必要はないとの認識を示した。謝氏は2013年、中国大陸のプロテニス選手・彭帥氏が「台湾は国でない」と発言した際、「私の国の名は中華民国」などと反論していました。

また、廖氏は、蓮舫氏が万が一日本の首相になったとしても、政府はまだ「親日」的な外交政策をとるのかと批判。李部長は、政策はずっと国家と人民の利益を基礎としており、特定の国に偏ることはないと強調しました。 

李大維・外交部長(外相
蓮舫氏は8日、日本メディアのインタビューで、日本が中華民国と断交した1972年以降、自身の国籍は形式上「中国」になっていると指摘。仮に中国(「中華人民共和国」)の法律が適用された場合、外国籍(日本籍)を取得した時点で「中国」の国籍を自動的に喪失しているため、二重国籍には当たらないと主張しています。

また、日本と台湾は国交がないため、台湾籍を保有していても、法的に二重国籍と認定されることはないとの見解も示していました。

しかし、蓮舫氏が二重国籍であることは、この台湾の動きをみていても明らかです。

日本の与野党の反応は、ブログ冒頭の記事で論が別れるようですが、特に今回の二重国籍問題を大きな問題と捉えない人の発言は、とんでもない発言です。

事は蓮舫氏個人の問題ではありません。蓮舫氏現在そうして、過去の立場の問題です。日本の国会議員、閣僚、さらに政権交代をすれば首相になる可能性もある、野党第一党の代表に関わる問題です。

これは、しっかりとして旗幟を鮮明にした発言をすべきでしょう。自民党の二階幹事長の発言など本当に問題外です。公明、維新、こころ以外の野党の発言も非常に問題です。

このような発言、結局のところ国籍法という法律があることを全く念頭に置いていません。国会議員はもとより、野党第一党の代表が法律を無視して良いはずがありません。そんなことを許容すれば、法治国家としての根底が揺るがされかねません。

それにしても、蓮舫氏本人もそうなのですが、どうも日本の国会議員も台湾の実体を良く解っていないようです。

以下にそれを示すこのブログの過去の記事を掲載します。
【日本で報道されない激レアニュース】台湾訪問中の中共高官2人、相次ぎ刑事告訴される―及び腰日本はなぜこのようなことをしないのか?

この記事は、2010年9月20日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
中国宗教事務局の王作安・局長は、先週15日に台湾を訪問した際、台湾法輪大法学会に、法輪功への集団弾圧を陣頭指揮した罪で告訴された。前日の14日、台湾を訪問中の陝西省趙正永・代理省長が同団体に刑事告訴されたばかり。 
台湾法輪大法学会は、台湾の高等裁判所の検察署にジェノサイドと民権公約違反の罪状で二人をそれぞれ刑事告訴し、身柄拘束を要求した。同検察署は訴状を受理した。 
また、趙正永・省長について、同弁護士は同被告人は所轄地区で法輪功愛好者への拷問を命じたり、法輪功への怨恨感情を煽ぎたてる宣伝を行ったりして、積極的に弾圧の陣頭指揮を取ったなどと陳述した。

「法輪功迫害真相調査連盟(CIPFG)」アジア調査団の団長で、立法院(国会にあたる)議員・頼清徳氏は、二人の台湾訪問について、「中共高官の訪問に関して、わが政府はその人権問題に関する前歴を把握した上で訪問を受け入れるかどうかを判断すべき。そうしないと、社会の正義良識を誤って誘導する恐れがある」と述べた。
この二人の台湾訪問中の中国高官は、このように法輪功の愛好者らに訴えられました。そうしてこの二人は、一時台湾当局に拘束されたはずです。その後、特にこのニュースに関しては、報道されないので、拘束は解かれて、中国に戻ったものと思います。

台湾の桃園空港で法輪功愛好者から訴状を
手渡されて険しい表情となった趙正永・代理省長
それにしても、何と大胆ではありませんか。この二人の高官は、無論のこと台湾国籍を持っているわけではありません。それを法輪功愛好者が訴えたため、台湾司法当局がそれを受理し、裁判のため一時勾留したということです。

中華民国からすれば、中華人民共和国の高官二人は、いわば外国人です。それを自国の国民が裁判訴えたので、それを受理し、さら高官二人を裁判のため拘束したというのですから、ものすごい根性です。

実は、習近平も初めて米国を訪問したときには、米国の法輪功愛好者らに訴えられ拘束されるかもしれないことをかなり恐れていたそうです。その後何度か、訪問するにつれてその恐怖は薄れたようです。

さて、米国でもなかなか出来ないこのようなことをする台湾当局です。さすがに、台湾は、中華人民共和国の圧力に屈することなく、日々独立を貫いている国です。気構え、心構えが平和ボケした日本とは根本から違うのでしょう。

ちなみに、法輪功(ファルンゴン)は法輪大法とも呼ばれ、気功によって健康を維持すると同時に、「真・善・忍」の原則を生活で実践して精神の向上を図る、中国の伝統的な身心鍛練法です。1992年5月に創始者の李洪志氏によって伝えだされ、優れた健康維持効果で速やかに中国本土で広がりました。

中共悪魔の所業:法輪功信者から臓器摘出し
販売、さらに人体剥製を作り世界中で展示・販売。
1999年7月に中国当局に弾圧されるまで、愛好者は1億人に上ったと推定されています。法輪功の公式サイトは、10年間に及ぶ弾圧によって少なくとも3400人が拷問などで死亡、数十万人が投獄されていると発表しました。法輪功愛好者らへの迫害は、世界中の人権愛護団体等から厳しく批判されています。

さて、このような台湾です。蓮舫氏は台湾籍の除籍手続をして、それが終了したら「二重国籍」問題は速やかに集結とみているようです。

しかし、事はそのような簡単なのでしょうか。台湾人には、当然のことながら、台湾の国籍法が適用されるのです。今までもそうだったし、蓮舫氏もそう理解していたから、台湾代表処に対して除籍の手続きをしたのでしょう。

蓮舫氏は日本の企業との間で貿易業を営んでいた台湾人の父・謝哲信と、「ミス・シセイドウ」だった日本人の母・斉藤桂子のハーフの長女として東京都で生まれました。出生時の中華民国籍であり、のちに日本国籍を取得し台湾籍と多重国籍となっています。

台湾政府のほうからみれば、蓮舫氏は台湾籍の台湾人以外の何者でもないわけです。台湾籍を除籍しないかぎり、台湾の法律が適用されるわけです。

その台湾人が、いつの間にか外国で国会議員になり、二重国籍が発覚したときには「台湾は国ではない」などと発言し、今度は野党第一党の代表となったわけです。

これでは、野党・国民党議員団の廖国棟・総召の発言も理解できるわけです。私自身は、どう考えても、台湾政府が、蓮舫氏の除籍の手続きがあったからといって、すぐにすんなりと、除籍するとも思えないのです。

台湾政府が除籍しない限り、蓮舫氏は台湾人であり、台湾政府や台湾の法律に従う義務があるのです。

蓮舫氏は、「台湾の籍を抜くときに、提出書類に台湾のパスポートが必要とありました。これが、どこにあるのかがまったくわからない。 31年前のパスポートで、母もすべて父に任せていて、わからないんです。 一緒に、家の中をひっくり返すように探して、やっとでてきました」としています。 (BuzzFeed Japan 9月13日)http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160913-00010004-bfj-pol

中華民国、日本国それぞれの旅券。蓮舫氏はこの2つを所持していた。

「BuzzFeed Japan」 の記事によると、蓮舫氏は、日本にある台湾の出先機関に自分のパスポートを提出したことを書いています。ではこの提出はいつかというと、9月6日であることがネット上の記事で確認できます。

台湾政府としては、最低限蓮舫氏本人からの事情聴取をするのではないかと思います。場合によっては、台湾の法廷に召喚されるということもあり得るかもしれません。そうなったとき、一体どうなるのでしょうか。

私自身は、台湾政府はすんなりと、蓮舫氏の国籍を除籍するとは思えません。

民進党代表戦で代表になることが決まった蓮舫氏
蓮舫氏は未だ除籍手続きが完了しておらず、代表選で勝利したため、台湾籍を持った党代表が誕生してしまいました。事態は、蓮舫氏や民主党の幹部などが思っている以上に深刻
だと思います。蓮舫代表の就任後に、台湾政府との間に何かがあり、代表不在のときに衆院解散があったりしたら、民主党はアウトかもしれません。

このような危機があり得ることを蓮舫氏は自覚しているのでしょうか。国籍の持つ意味は、蓮舫氏が考えているよりはるかに重いと思います。

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