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2019年4月15日月曜日

大阪補選の結果次第で、消費増税が吹っ飛ぶ可能性にお気づきか―【私の論評】補選の結果いかんで、令和年間は大変化の時代に突入(゚д゚)!

大阪補選の結果次第で、消費増税が吹っ飛ぶ可能性にお気づきか

実は、とても重要な選挙だ








大阪補選に注目すべき理由

先週8日に実施された大阪ダブル選挙(府知事・市長)では、維新の吉村・松井両氏と、反維新の小西・柳本両氏の戦いだったが、吉村・松井の完勝に終わった。投票締め切りの20時直後に、NHKから当確が出たほどの維新の圧勝だった。

事前の世論調査では、大阪市長選挙では、「維新劣勢」あるいは「互角」と報じられていたが、蓋を開ければ改めて大阪の維新の強さが分かった。大阪府知事選の投票率は49.49%、大阪市長選は52.70%で、前回2015年の「ダブル選」と比べ、知事選は4.02ポイント、市長選は2.19ポイント投票率が上がったことにも注目すべきだ。

今回のダブル選は「大阪都構想の推進」が争点であった。維新は、これまでの府市行政での実績も十分あり、さらに2025年万博と夢洲IRという将来への布石も打ってきた。こうした実績と政策を丁寧に訴えたことが、維新の勝因だろう。実績と政策に勝るモノはない。維新は正攻法で選挙に臨み、それに賢明な大阪府市民が応えた、ということだ。

さて、これから大阪都構想を具体的に進めるためには、大阪府議会と大阪市議会の両方が住民投票を行い、過半を超える賛意をとる必要がある。この意味で、大阪都構想の実現にはまだハードルが残っている。

今回、大阪では府知事・市長のダブル選挙と同時に、大阪府議会議員選挙と大阪市議会議員選挙もあった。府議選の投票率は50.44%、市議選は52.18%、前回よりそれぞれ5.26ポイント、3.54ポイント上がり、府議会も市議会も維新は大きく議席を伸ばした。その結果、大阪府議会では定数88のところ、維新が51議席をとり過半数を超えた。

しかし、大阪市議会では定数83のところ維新は40議席。過半数には二人分足りなかった(もっとも、2議席ぐらいなら、維新以外の議員の切り崩しなどを行えばなんかなるという、射程距離の範囲だ)。

松井新市長は、選挙後に「大阪都構想に反対の人もいるのも事実なので、丁寧に説明していきたい」と話した。選挙前に公明党幹部が再三使っていた「丁寧に説明」という言葉を繰り返したあたり、4年間の任期をもらったことによる余裕の対応である。

維新は、この10年間で大阪経済を浮揚させてきた。景気も雇用も10年前と比べてよくなった(4月1日付け本コラム「平成は終わるが、大阪の成長を終わらせてはいけない 大阪選挙の論点を11の図表で確認」 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/63847 参照)。2025年には万博も控えているし、カジノ施設などを建設する夢洲IR計画もこれまでの路線通りなので、これを起爆剤として、今後の大阪経済も発展するだろう。

さて、ダブル選後の大阪で、次の参院選の前哨戦ともいわれる衆院大阪12区補欠選挙(大阪府寝屋川市、大東市、四條畷市)が行われる。これは、自民党の北川知克・元環境副大臣が亡くなったことにより行われるもので、候補者は、無所属元職の宮本岳志氏(59)=共産、自由推薦、日本維新の会新人の藤田文武氏(38)、無所属元職の樽床伸二氏(59)、自民新人の北川晋平氏(32、亡くなった北川氏の甥)=公明推薦の4氏。


この補選は国政選挙であり、この結果は①消費増税はもちろんのこと、その先に控える②憲法改正にも大きく影響するだろう。それぞれ説明しよう。

消費増税が吹っ飛ぶ…?

まず、消費増税について。これまでの言動からみると、宮本氏は消費増税に反対、藤田氏も反対、樽床氏は賛成、北川氏も賛成だろう。常識的には自民党の弔い合戦なので北川氏が有利であるはずだが、ある世論調査をみると、そうはなっていない(https://www.47news.jp/news/3466883.html)。先のダブル選でも事前調査はあまり当たっていなかったので、過信するわけにはいかないが、参考にすべき材料ではある。

政権与党である自民・公明は、政府が今年10月からの消費増税実施を予定しているので、消費増税賛成にならざるを得ない。一方維新は、国政では今年度予算に反対している。これは、10月からの消費増税に反対だからだ。

この大阪12区衆院補選で維新が勝つと、自民は7月参院選を控えて「やっぱり消費増税では選挙が戦えない」という声が高まり、消費増税は腰砕けになるような感じがする。となると、この補選で自民党が負ければ、安倍政権は消費増税を引っ込める可能性が出てくるだろう

安倍政権は、これまで消費増税を2回スキップしている。一度目は2014年12月の衆院解散総選挙において、2015年10月から予定されていた消費増税をスキップ。二度目は2016年5月の伊勢志摩サミットにおいて、2017年4月から予定されていた消費増税をスキップした。

過去2回のケースはともに、予算成立の前であった。今回は、予算成立後であるが、消費増税延期の「大義名分」があり、そのうえで増税延期に関連する補正予算を出せば、消費増税を吹っ飛ばすことは可能だ。

ダブル選挙の日程を読む

なお、一部から消費増税をスキップするために「7月21日に衆参ダブル選挙がある」という予測が出ている。筆者も過去に衆参ダブル選挙の可能性を指摘しているが、その期日は7月21日より前の可能性があるだろうと思っている。なぜか。

マスコミが「7月21日説」を唱えるのは、今国会の会期末が6月26日だからだ。この場合、会期末まで国会をやれば、参議院選挙の投票日は閉会日から「24日以後30日以内」(公職選挙法第32条)なので、7月4日告示、21日投開票というスケジュールが出てくる。

しかし、このスケジュールで衆参ダブル選挙をやろうとすれば、会期末ぎりぎりで解散することになる。このスケジュールを完全に否定するワケではないが、これではさすがにあまりに芸がないだろう。

6年前に選ばれた参院議員の任期は7月28日まで。となると、参院選はその日の前から30日以内に行う(公職選挙法第32条)ので、投票日は6月30日、7月7日、14日、21日の日曜日がありえることが分かる。

衆議院の解散による衆議院議員の総選挙は、解散の日から40日以内に行う(公職選挙法第31条)ので、解散日によっては、7月21日以外の日に衆参ダブル選挙を設定できるのではないだろうか。ちなみに候補となるのは、6月30日(友引)、7月7日(仏滅)、7月14日(大安)、7月21日(赤口)である。

いずれにしても、5月20日の今年1-3月期のGDP速報はマイナスが見えており、場合によっては昨年度GDPもマイナスかもしれない。

さらに、IMF(国際通貨基金)は9日、世界経済の見通しを発表し、今年の世界全体の成長率を前年比3.3%と予測、1月の時点から0.2ポイント下方修正した。国別では、2019年のアメリカの成長率を2.3%とし、今年1月時点から0.2ポイント引き下げ。ユーロ圏は1.3%と0.3ポイント下落。日本は1.0%と0.1ポイント下げた。

IMFは、日本の10月の消費増税を歓迎するというが、これは、日本の財務省からIMFへ出向している職員が言うことなので、すなわち日本の財務省の意見と考えたほうがいい。先週紹介したウォール・ストリート・ジャーナルの社説のように「いまのタイミングで増税とはワケがわからない」というのが常識だろう。

補選が「国の形」に影響を与える可能性

さて、大阪補選に話を戻そう。この結果が②憲法改正に与える影響も大きい。現時点では、憲法改正に向けた国会の議論は停滞している。

衆院憲法審査会は、与野党幹事間の懇談会を開き、今後の段取りを話し合うはずだったが、今国会で3月28日、4月3日、4月10日と立憲民主党をはじめとする野党はこの審査会を3回連続で欠席した。この野党による国会サボタージュがあるならば、改憲勢力だけで議論を進めていく本気の覚悟がなければ、話は停滞したままになるだろう。

この場合、公明党の積極性がポイントとなる。公明党は改憲ではなく「加憲」という独特委の言葉を使っているが、改憲には実はあまり積極的でないことはご承知の通りだ。

そのような中で、大阪12区衆院補選で維新が勝てば、憲法改正に弾みがつくだろう。なぜなら、維新は憲法改正推進派だからだ。

実は、維新の憲法改正は、大阪都構想の次の段階として見据える「道州制」と大きく関係している。今のところ、維新は憲法改正について、①教育無償化、②統治機構改革、③憲法裁判所の設置という3点に絞っている。ここで、②の統治機構改革の一環として、本格的な道州制を導入することが提言として入っている。

大阪都構想は、大都市問題を解決するためのツールである。大阪市のような政令指定都市は基礎的な自治体の範囲を大きくしすぎて、広域的な行政を行う府県と業務がバッティングし、二重行政状態になっている。

これは、反対に言えば府県の広域行政が狭すぎるという問題でもあるので、広域行政を府県からさらに広く道州まで広げる、というのが道州制である。道州の広域行政は、現在は国の出先機関(各地方整備局など)がカバーしているが、地方分権を進めることでそれらは各府県とともに道州に移管され、広域行政を担うことになる。

このような道州制の本格的な実施を進めるなら、国の形をどうするのかという「国家百年の計」の観点から憲法改正まで視野に入れて、進めていかなければならない。

大阪ダブル選挙の結果を受けて、大阪が変わり始めることで、ようやく日本の形を変える長い道のりの第一歩を踏み出した。令和の時代に適した、新しい国作りが求められているなか、大阪補選の結果が国政に与える影響はとても大きいことを改めて指摘しておこう。

【私の論評】補選の結果いかんで令和年間は、大変化の時代に突入(゚д゚)!

さて、今月21日に投開票が行われる、衆議院大阪12区補欠選挙。報道ベンチャーのJX通信社では13日・14日の2日間、電話世論調査を行い、定性的な情報も加味して情勢を探りました。調査の概要や実施方法は、本稿末尾の記載の通りです。
維新・藤田氏がリード 北川・樽床氏追う 宮本氏は伸び悩む 
衆院大阪12区補欠選挙の中盤情勢は、日本維新の会公認の藤田文武氏がリードし、自民党公認・公明党推薦の新人北川晋平氏と無所属の前職樽床伸二氏が追う展開となっている。共産党前職で今回の補選に無所属で立候補した宮本岳志氏は伸び悩んでいる。ただ、有権者の3割弱が態度を決めておらず、情勢は流動的だ。 
藤田文武氏

藤田氏は日本維新の会支持層の6割台半ば、自民党支持層の約3割に加え、無党派層の約2割から支持を得ている。北川氏は、自民党支持層の4割弱と公明党支持層の約7割から支持を集めている。無党派層からの支持は1割弱に留まっている。樽床氏は日本維新の会支持層の約1割、公明党支持層の約2割、立憲民主党支持層の約4割のほか、無党派層から3割弱の支持がある。宮本氏は共産党支持層の7割、立憲民主党支持層の約3割から支持されている。 
今回の補欠選挙は、自民党の北川知克氏の死去に伴うもので、甥の北川晋平氏がその後継候補として出馬している。しかし、北川氏は自民党支持層を固めきれておらず、藤田氏と樽床氏に支持層を奪われている状態だ。 



大阪ダブル選の結果、強く影響か 
今月7日に行われた大阪府知事選の投票行動と照らし合わせると、知事選で維新・吉村氏に投票した有権者は半分弱が藤田氏を支持している。一方、小西氏に投票した有権者は半分弱が北川氏を支持しているほか、約2割が樽床氏を支持している。 
投票にあたって重視する政策を聞いたところ「経済や景気、雇用」とした有権者が28.6%で最も多く、「福祉や医療」が27.2%、「大阪都構想について」が13.6%と続いた。経済や景気、雇用、福祉や医療を重視するとした有権者からの支持は、藤田・北川・樽床3氏が分け合っているが、大阪都構想を重視するとした有権者は6割以上が藤田氏を支持しており、大阪ダブル選の影響が色濃く反映した情勢と言えそうだ。 
調査の概要:13日(土曜日)と14日(日曜日)の2日間、無作為に発生させた電話番号に架電するRDD方式で、大阪12区(寝屋川市・大東市・四條畷市)内の18歳以上の有権者を対象に調査した。有効回答は全体で632件だった。
現状では、維新の藤田氏が有利ということですから、 これはひょっとすると、藤田氏が圧勝すれば、高橋洋一氏が主張しているように、増税延期は無論のこと「国の形」に影響を与える可能性もでてきました。

2010年、当時の橋下府知事が府と市の二重行政による無駄を省き、効率的な行政を進めることができるとして提唱したこの構想は、大阪市を解体し、東京のような特別区に再編成するというものでした。

ところが、2015年、大阪市で行われた住民投票で僅差で否決、一度は廃案に追い込まれました。大阪市長だった橋下氏が政界を引退した後、松井、吉村両氏は再び住民投票を実施すべく奔走してきました。ところが、それまでタッグを組んでいた公明党との交渉は決裂。今回のダブルクロス選挙に突入することになりました。

日本維新の会の足立康史衆議院議員

日本維新の会の足立康史衆議院議員は、AmebaTVのニュースで以下のようにうったえていました。
大阪維新が勝手に言っているわけではないく、東京都と同じように政令市の代わりに特別区を置くという、大都市地域特別区設置法に基づいているもので、自民党や公明党等が作った法律だ。これからの大都市は経営を一元化していくために特別区を作った方が良いことには彼らも賛成していたはず。 
それなのに、今回は維新の会以外、自民から共産まで全部反対に回った。都構想実現の際には莫大な費用がかかるとも言われているが、今まで無駄なビルをたくさん建てたりしてきたことに比べれば一時的なもの。将来への投資ということで、我々は心配していない。 
大阪だけでなく、国全体として経済が成長すればパイは増える。東京だけに頼るんじゃなく、全国の都市が成長する中で高齢者の福祉、子供たちの教育といったものに初めて税金が回せるようになる。
高橋洋一氏が主張するように、都構想がどうなるかで、将来の日本の姿が決まることでしょう。日本では東京と福岡以外では全県が人口減少しています。都に変えるのに確かにお金はかかりますが、変えない方がここから100年間でもっとお金がかかることになります。

どこで変えるべきかが問われてきたのに、平成の31年間、結局野放しにされてきました。残念ながら、人口100万人以下の県は県としてこれからは、成立するのが困難になるでしょう。日本国のあり方を変えないといけないのですが、前回の4年前の選挙の時に、この都構想に反対したのは70代以上の高齢者でした。

他の各年代は賛成の方が多かったのです。4年経って構図が変わってきたようです。大阪では、変えたことによって良いことがあると実感できる出来事がいくつかありました。

例えば関空民営化後に来日する外国人の3、4割が関空を経由するようになりました。変化を嫌う人は外国人がたくさん入ってくると大変だと思うかもしれないですが、潤うという事実があります。変化することによって良いことがあるというのは、平成の間に日本が忘れていたことでもあります。

変化について、経営学の大家ドラッカー氏は以下のように語っています。
長い航海を続けてきた船は、船底に付着した貝を洗い落とす。さもなければ、スピードは落ち、機動力は失われる。(『乱気流時代の経営』)
 あらゆる製品、あらゆるサービス、あらゆるプロセスが、常時、見直されなければならないです。多少の改善ではなく、根本からの見直しが必要です。

なぜなら、あらゆるものが、出来上がった途端に陳腐化を始めているからです。そして、明日を切り開くべき有能な人材がそこに縛り付けられるからです。ドラッカーは、こうした陳腐化を防ぐためには、まず廃棄せよと言います。廃棄せずして、新しいことは始められないのです。

ところが、あまりにわずかの企業しか、昨日を切り捨てていません。そのため、あまりにわずかの企業しか、明日のために必要な人材を手にしていません。

自らが陳腐化させられることを防ぐには、自らのものはすべて自らが陳腐化するしかないのです。そのためには人材がいります。その人材はどこで手に入れるのでしょうか。外から探してくるのでは遅いのです。

成長の基盤は変化します。企業にとっては、自らの強みを発揮できる成長分野を探し出し、もはや成果を期待できない分野から人材を引き揚げ、機会のあるところに移すことが必要となります。
乱気流の時代においては、陳腐化が急速に進行する。したがって昨日を組織的に切り捨てるとともに、資源を体系的に集中することが、成長のための戦略の基本となる。(『乱気流時代の経営』)
ドラッカーは企業経営について、語っているのですが、これは無論政治の世界にも当てはまります。

平成年間の日本はほとんどの期間がデフレスパイラルの底に沈んでいました。そのような状況では、企業は無論のこと政府や地方行政も停滞するのが当然でした。この時期に、企業や日本政府や地方行政組織が変化することは容易なことではありませんでした。

そんなことをすれば、組織自体が崩壊したり毀損したりする可能性のほうが大きかったのです。だからこそ、変化を厭い、個人なら保身、組織なら現状維持ということで精一杯だったのです。

これから始まる新たな令和年間は、平成年間のような状況にはすべきではありません。この年間は、まともなマクロ経済政策を実行できる状況にし、その上で憲法改正は無論のこと、積極的に国益に沿って「国の形」を変えていく年間にすべきです。

今回の補選が良い結果に終わり、それが令和年間の変化の幕開けとなれば良いと思います。いや、そうしなければならないのです。

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