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2019年5月26日日曜日

「国の借金」だけを報告し続ける、財務省のおかしな体質―【私の問題】財務省に騙されず、会計も理解できる人材が、令和日本では重宝される(゚д゚)!

「国の借金」だけを報告し続ける、財務省のおかしな体質

もともとは国民のお金ですが…



過去最大の「国の借金」…

財務省は、国債と借入金などを含めた、いわゆる「国の借金」を3ヵ月ごとに発表している。これが2019年3月末時点で1103兆3543億円となり、過去最大を更新したと5月10日に発表した。

      財務省は国借金(正確には政府の借金)については公表するが
      同時に政府の資産も増えていることは一切公表しない

NHKなどのテレビ、日経などの新聞は律儀にこの「国の借金」報道をし続けている。先の額を国民一人当たりで割ると、およそ874万円になる、という定番の「脅し」も付け加えられることがほとんどだ。

「財政再建が必要」という財務省の言葉とセットで、さすがに国民は耳にタコだろう。本コラムで度々触れているとおり、「国の借金」だけをニュースで取り上げるのは間違っていると筆者は考えている。

このニュースに対し、「『国の借金』ではなく、『政府の借金』で、国民にとっては逆に『資産』だ」と反論する向きもある。もっともらしい言い方のように見えるが、実はあまり意味をなさないロジックだ。

たしかに国債は国民にとって「資産」であるが、所有している一般人はほんのわずかなものだ。財務省の資料によると、'18年12月末の国債等の保有者別内訳は、日本銀行43%、銀行等16・7%、生損保等18・8%、海外12・1%となっていて、家計はわずか1・2%である。それも銀行や生命保険会社を通じて間接的に保有しているから、自分の資産だと実感している人は少ないだろう。

さらに、「政府の借金」という考え方で政府を叩いても、むしろ政府がカネを借りている側なのだから意味をなさない。「増税に応じないなら借金(国債)を返さない」と開き直られたらおしまいだ。「借金は借りた側が偉い」というのがビジネスでの常識だが、国債においてもまさしくそのとおりだ。

財務省が「公表しない」こと

政府に限らず、財務状況をしっかりと理解するためには、資産と負債を包括的に示したバランスシートをきちんと見ることが第一だ。むろん、サラリーマンでも自分の会社のバランスシートすら読んだことないという人も多いだろう。

財務省はこうした弱みに付け込んで、バランスシートでいえば負債の数字だけを年4回も公表し、財政再建の必要性を煽り続けるのである。簡単に言えば、「国の借金」だけでなく、「国の資産」も公表し、その両方が報じられるべきなのだ。

財務省がこのデータを公表していないのはおかしい。

上場企業であれば、四半期報告について、毎四半期末日から45日以内の提出が義務付けられている。民間は縛り付けておいて、政府は公表しないというのでは道理が立たない。

さらにいえば、民間企業はグループ会社全体の決算も行う。政府も同じように、国全体の資産と負債をつまびらかにした「グループ決算」を是非行うべきなのだ。もちろん、マスコミがそれを適切に解釈して国民に知らせ、会計に関するリテラシーを高めていくことが必要なのだが。

負債は増えているが、資産も増えていて、それが政府や財務省の利権となる、というのが不都合な真実だ。先の消費増税がまかり通ろうとするのも、財務省が「知らしむべからず」の姿勢で国民に事実を伝えていないことが大きな問題なのである。

『週刊現代』2019年6月1日号より

【私の論評】財務省に騙されず、会計も理解できる人材が、令和日本では重宝される(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事で「政府に限らず、財務状況をしっかりと理解するためには、資産と負債を包括的に示したバランスシートをきちんと見ることが第一だ」とあります。

企業、特に上場企業には、バランスシートは無論こと、他の財務諸表も作成して公開義務があります。

私自身も、元々は理工系出身で、財務諸表からは縁遠かったのですが、自らが所属していた会社が上場の準備をはじめ、しかも自分が上場準備に関わることになり、そこで財務諸表の分析の仕方や、作成の仕方(会計)を初めて勉強しはじめました。

そうして、わかったことですが、企業の財務諸表を分析することができなけれれば、企業の内容を本当に把握することはできないということでした。いくら現場で努力したとしても、顧客のことをよく知っていたにしても、まずは財務諸表を分析できなければ、とても経営者(ただしまともな経営者)の考えなどわかりませんし、企業の本当の姿を知ることはできません。

財務諸表には、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書、株主資本等変動計算書の主に4種類があります。

会社の財務状況を理解する上で、財務諸表のつながりは非常に大切です。今回は財務諸表のつながりについて、説明します。

財務諸表には大きく2種類ある

財務諸表には、主に二種類あり、フローの財務諸表としては、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書、株主資本等変動計算書があります。

ストックとは、一定時点の状況を示すものです。貸借対照表のみがストックに関する財務諸表で、その他の3つはすべてフローの財務諸表ということです。

貸借対照表を中心として考える

現在は財務諸表が4つありますが、最も重視されるのが貸借対照表です。現在どれだけの財産があり,どれだけ借金があるのかということが企業分析のスタート地点になるからです。

それでは具体的に貸借対照表をみてみましょう、細かいところまで、掲載すると、非常に煩雑になりますので、ざっくりと模式的なものにします。現実の貸借対照表ではさらに細かく、様々な勘定科目があるのはいうまでもありません。


貸借対照表から現在の企業の情報がわかります。

さらに前期の貸借対照表も用意し2年分を並べてみます。

こうすると情報量が増えます。「1年間で現金が30増えた」というように増減までわかりますので、企業分析にさらに役立てることができます。


他の財務諸表は貸借対照表を補完している

ストックの財務諸表である貸借対照表(英語で、バランスシート)だけでもフローの額はわかります。ではフローの財務諸表は不必要なのでしょうか。無論、そのようなことはありません。

なぜなら貸借対照表のフローには限界があるからです。それは「現金がどういう活動で増えたのか?」というように増減理由がわからないということです。(上記の貸借対照表を見ても、何で現金が増えたかはわからないです。)

そこで、他の財務諸表の出番です。

損益計算書などフローの財務諸表はフローの理由を示すという役割があるのです。

損益計算書は利益剰余金の増減理由を、キャッシュ・フロー計算書は現金の増減理由を,そして、株主資本等変動計算書は純資産の増減理由を示しているのです。

これらをまとめると以下のようになります。


どうでしょうか?

4つの財務諸表は、貸借対照表が中心でそれ以外の財務諸表はその情報を補完していると捉えることができるのです。

いずれにしても、財務諸表の中でも、貸借対照表が最も重要であることをご理解いただけたと思います。

ここで、また政府の財務の話に戻しますが、政府の貸借対照表などとは無関係に、財務省は政府の借金ばかり、報告し続けているのが、財務省のおかしな本質というのが、上の記事の要旨です。

冒頭の記事では、「さらにいえば、民間企業はグループ会社全体の決算も行う。政府も同じように、国全体の資産と負債をつまびらかにした「グループ決算」を是非行うべきなのだ」としています。

それは当然のことです。そうでないと、負債が小会社に財務的に隠蔽されたりして、企業グループの正しい姿を見ることはできなくなります。

政府の場合も、本当は日銀等も含めた、政府全体の財務諸表を作成し、公表し説明すべきです。無論、財務省もバランスシートは作成しているのですが、日銀等を含めたもの(これを統合政府という)は作成しておらず、その上内容が良く説明されていないか、著しく作為的であり、結局のところ財政赤字を煽るようなものになっています。

財務省は政府の貸借対照表を公表しているのだが・・・・・・

これは、本当におかしいです。会社の状況を知るためには、負債だけではなく、資産もみるのが当然です。

もし、会社の取締役会で、毎年負債ばかり言い続け、危機感を煽るだけの取締役がいたとしたら、それはとても会社にの正しい財務状況を表明しているとはいえず、そのような取締役は辞任させられると思います。

これは、政府の財政状況をみる最も同じことです。財務省は、この面で説明責任を果たす必要があります。

それと、我々国民のほうも、財務諸表等を理解して、財務省の詭弁を暴けるようにすべきです。そうでないと、自分の会社の状況もわからず、果は財務省の詭弁も見抜けず、財務省のいいなりの誤った財政政策で、日本経済が悪化して、ある日気づいてみたら、会社をリストラされていたとか、そこまでいかなくても、何十年たっても給料が上がらないなどという事態に直面しかないです。

私自身は、先程の述べたように、理工系出身だったので、高校のときは無論のこと、大学でも財務諸表について学ぶ機会は全くありませんでした。

おそらく、商業高校(簿記を学ぶ)とか、経済学部(まったく会計に触れないところもある)とか商学部などにでもいかなければ、そのような機会に恵まれることはないのだと思います。

子供の頃にお小遣い帳をつけるように言われた人もいると思います。現金の出入りを記録するのですが、多くの役所の会計もそういう感じです。

企業の会計では、「発生主義」といってその事実が発生したときに記録します。例えば、ある時に掛け売りをしたら売掛金を計上し、回収したときに現金に振り替える、というようにします。

ところが役所ではお小遣い帳ですから、現金のやりとりがなければ記録されません。しかし、道路整備など作業と支払いに間があるようなことでは管理が難しいので、他の管理項目も使われます。

このようなことでは、本当の意味でお金の流れを把握することはできないです。財務省も日々の会計はこのようなことをしているようです。

財務省自体も、会計にはうといのではないでしょうか。こういうことを見抜くためにも、会計は必須だと思います。

現状では、会計を良く理解してない大手の経営者もいるようで、彼らは財務省の発表をそのまま鵜呑みにして、財務省よりの発言をしているようです。彼らは、財務省と顧客を両天秤にかけているのでしょうか。その上で、財務省のスポークスマンをしているのなら、良いですが、そうでなければ、経営者失格です。

どう考えてみても、普通は財務省と顧客を天秤にかければ、顧客のほうが数段上のはずです。顧客に離反されれば、企業はなりたちません。財務省は、自分が都合が悪くなれば、企業を守り通すようなことはしません。

両者を正しく両天秤にかけるためには、会計的な能力は必須だと思います。そのような見方ができない経営者はこれからどんどん排除されていくと思います。排除しないような企業は、社会から見捨てられ、淘汰されることになるでしょう。

このような状況をみていると、会計を本当に理解した上で、オペレーションや運営に関わることができれば、そのような人物は企業にとって希少価値が大きくなると考えられます。

会計だけが専門だと、カネの流れだけを重視するようになりがちだと思います。そうなると、企業経営や、日々のオペレーションに支障がでかねません。無論、会計を専門としても柔軟な考え方ができる人は別であるとは思います。

いくら、AIが自動的に会社の財務諸表を作成するようになったとしても、あるいはそれに基づき、改善点を示唆するようになったとしても、それを読み解き、会社運営や日々のオペレーションを改善・改革するのは人間です。財務諸表もそれだけでは、ただのデータに過ぎません。

しかし、我が国には、そのような人材は稀なようです。

これからは、財務省に騙されず(会計が専門でも、財務省の詭弁に騙される人もいる)、自分の専門分野だけではなく、会計も理解できる人材が、これから日本では重宝されるようになるでしょう。

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2019年5月2日木曜日

【日本の解き方】令和にデフレ脱却できるのか…最大の課題は消費税と財務省! 健全な経済感覚を持つべきだ―【私の論評】安倍総理はなぜ財務省に面と向かって逆らえないのか?

【日本の解き方】令和にデフレ脱却できるのか…最大の課題は消費税と財務省! 健全な経済感覚を持つべきだ




 「令和」の時代を迎えた。平成から持ち越したデフレから完全脱却はできるのか。平成の時代に大蔵省から改編した財務省という組織は、どうあるべきなのか。

 平成時代の財務省は年々ひどくなっていった。1989年4月の消費税3%創設はまだよかった。同時に物品税を廃止しているので実質的にあまり増税にならなかった。導入のタイミングも、景気はまだ悪くなかったので、ダメージは少なかった。

 97年4月の5%への消費増税はひどかった。これは政権運営に不慣れな村山富市政権を利用して、大蔵省(当時)の強い意向で導入された。そして、この増税は、平成のデフレ経済を決定的にし、景気は後退した。しかし、大蔵省は景気が後退したことこそ認めたものの、原因は消費増税ではなく、アジア危機のせいであると説明し、今日に至っている。

 14年4月の8%への消費増税はさらにひどいものだった。これも政権運営に不慣れだった民主党政権時代に導入した。民主党政権は当初、消費増税しないと公約していたが、財務省はこれを覆して野田佳彦政権時代に消費増税法案を成立させた。

 景気判断でもひどいことをした。景気判断の基礎資料である内閣府の景気動向指数をみると、消費増税によって景気後退になったのは素人目にも分かるはずだが、財務省はいまだに景気後退を認めていない。消費増税以外の原因を見つけられないので、景気後退そのものを認めないという戦術とも考えられる。

 こうした話は公の場で議論されることはまずない。というのは、財務省は消費増税シンパを各方面に作っているからだ。

 一つは財界である。消費増税は社会保障のためだと財務省は説明している。社会保障財源が問題ならば、本来であれば社会保険料を引き上げるのが筋だ。しかし、社会保険料は労使折半なので、引き上げると経営者側の負担も出てくる。そこで、財界は社会保険料の引き上げには消極的になる傾向が強い。そこで財務省は、法人税減税という「おまけ」をつけて、財界を籠絡した形だ。

 次に学会である。政府審議会委員への登用、その後は企業の非常勤社外役員への推薦などで、学者に便益を与えている。

 最後はマスコミだ。新聞への軽減税率はこれほど分かりやすいアメはない。日刊新聞紙法による現経営陣の擁護、新聞再販での保護などのほか、各種のリーク情報提供もあり、大半のマスコミは財務省をまともに批判できない。

 財界、学会、マスコミが財務省の庇護(ひご)者となるなかで、10月の消費増税を予定通りに実施するつもりだ。

 令和の時代にデフレ脱却できるかどうかの鍵は、消費増税をするかどうかにかかっている。これは日本経済最大の課題だ。

 そこでは、財務省が健全なマクロ経済感覚を持つかどうかにかかっている。財務省は、平成時代の景気判断や消費税に関する説明について猛省し、財政状況や社会保障状況、マクロ経済状況も、予断なく国民に説明しないといけない。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】安倍総理はなぜ財務省に面と向かって逆らえないのか?

なぜ冒頭の記事のようなことがわかっていながら、安倍総理など財務省に逆らえないのでしょうか。それは、財務省は、政治家にとって恐ろしい存在だからです。それは安倍総理とて例外ではありません。

安倍総理はデフレ脱却への期待感から高い支持率を得てきましたが、消費税の10%への再引き上げでさらに景気が悪化すれば、支持率が急落する危険が高いことを感じているはずです。インターネット番組に出演した萩生田氏は、今年10月に予定される消費税増税を凍結する可能性にふれ、おまけに衆院解散の可能性すらにおわせました。

政治家の誰もが、まるで判を押したように、「財政再建のためには消費税増税が必要です」などという、わかりきったウソを述べます。政治家だけではありません。マスコミもそうです。

高橋洋一(元大蔵官僚)のような、気骨のある人間だけが、ネット上で財務省のウソを暴き立てているのです。ただし、高橋洋一氏は、元大蔵官僚だったので、大蔵省のすみからすみまで、裏の裏まで知っています。さらには、まだ表に出していない隠し玉もあると思います。

財務官僚が高橋洋一氏が目障りになった場合には、何らかの報復をする可能性もありますが、隠し玉があるかもしれないということで、大きな報復は受けないですんでいるという面もあると思います。

それにしても、財務省を怒らせると、いったい何がそんなに恐ろしいのでしょうか。財務省の意向に簡単に逆らえないのは、国民より財務官僚の信頼を失うことのほうが怖いからかもしれません。安倍首相は12年前の第1次政権でその怖さを身をもって経験しました。

当初は小泉政権から引き継いだ圧倒的多数を背景に公務員改革を進め、財務省の天下り先に大鉈を振るって政府機関の統廃合に取り組みました。ところが、半年経たないうちにその威勢は消し飛びました。

閣僚のスキャンダルや消えた年金問題がリークされ、支持率が落ち目になると、財務省は全くいうことを聞かなくなったのです。そうなると内閣はひとたまりもないです。

官邸は閣議の際に大臣たちが総理に挨拶もしない“学級崩壊”状態に陥りました。あの時のトラウマがあるから、安倍総理は政権に返り咲くと政府系金融機関のトップに財務省OBの天下りを認めることで7年前の償いをせざるをえなかったようです。

12年前安倍第一次内閣は崩壊

やはり12年前、安倍首相は新聞の宅配制度を支える「特殊指定(地域や読者による異なる定価設定や値引きを原則禁止する仕組み)」見直しに積極的だった竹島一彦・公正取引委員長を留任させました。その人事でさらなる窮地に陥ったのです。

財務省と宅配を維持したい大手紙側は竹島氏に交代してもらう方針で話がついていました。ところが、安倍総理が留任させたことから、財務省は『安倍政権は宅配潰しに積極的だ』と煽り、それまで親安倍だった読売などのメディアとの関係が冷え込んだのです。

財務省の天下り先を潰しただけで、それだけの報復を受けたのです。その後、自民党から政権を奪い、「総予算の組み替え」で財務省の聖域である予算編成権に手をつけようとした民主党政権の悲惨な末路を見せつけられたのです。

最近の事例では、獣医学部新設のときの文科省の抵抗をみれば、わかりやすいでしょう。あの事件の実態は、獣医学部新設を渋る文科省に対し、官邸主導で押しまくって認可させたという、ただそれだ出来事です。

これに怒った文科省は、腐敗官僚の前川を筆頭に、マスコミに嘘を垂れ流し、安倍内閣打倒に燃えるマスゴミがこれを最大限に利用して、ウソ記事のキャンペーンを大々的に行ったのです。

腐敗官僚前川

ただし、文科省とマスゴミのウソを見抜く人が結構いたため、安倍内閣の支持率はほぼ330~40%を保ち、選挙にも圧勝して、文科省とマスゴミの企みは脆くも崩れました。

しかし、安倍首相は、あのとき冷や汗をかいたに違いありません。三流の弱小官庁で知られる文科省ですら、あのくらいの抵抗し、猛然と牙をむくのだ。これが最強官庁の財務省なら、どうなるか、想像に難くないです。

現在ではすっかり忘れ去られてしまったようになりましたが、以前、テレ朝の女性記者が財務官僚のセクハラ発言を音声データにとって、週刊誌にタレこんだという事件が起こりました。

あのとき、マスゴミでは財務官僚のセクハラ発言ばかりに焦点が当たっていたようですが、実は問題の本質はそこにはありません。

あの問題の本質は、女性記者を介してマスコミに情報をリークしていたのが、財務省の主計局長だったということです。なんと、財務省の中枢が、安倍内閣のディすりネタをマスゴミに売り渡していたのです。

財務省は、政治の裏の裏まで知り尽くしています。ネタはいくらでもあります。ときの内閣が意に従わないと、ちょっとしたスキャンダルをリークして、内閣を窮地に陥れるくらいのことは平気でするのです。

こういうときの、省庁とマスコミのスクラムは固いようです。省庁と全マスコミが束になってかかられたら、これに対抗できる内閣など、そうはないでしょう。

安倍内閣は、いったんは見事にこれを凌いだのですが、そう何度も同じようなリスクを冒すつもりはないでしょう。

これは別に安倍首相に限った話ではなく、与野党を問わず、他の政治家も同様です。財務省の意向に逆らいそれが財務省に不利になりそうであると財務官僚がみなせば、個人に対してもそのようなことをするようです。だから、エコノミストなどの識者もなかなか財務省の意向に逆らえないのです。

だから、誰もが「増税反対」などというようなことは、口をつぐんでしまうのです。野党は増税には反対しているようではありますが、それは財務省からみれば、何の障害にもならないので、無視しているだけです。そもそも、野党のほとんどが、国民生活や経済理論などとは無関係に、倒閣の一環として増税反対を利用しているだけです。

上の記事で、「令和の時代にデフレ脱却できるかどうかの鍵は、消費増税をするかどうかにかかっている。これは日本経済最大の課題だ。そこでは、財務省が健全なマクロ経済感覚を持つかどうかにかかっている」としていますが、私自身は財務省が健全なマクロ経済感覚を持つことはできないと思います。

安倍総理としては、直前まで「増税凍結」などおくびにもださずに、時期がくれば、「増税凍結」を選挙の公約として、参院選もしくはこのブログで以前から掲載しているように衆参同時選挙を戦うと思います。そうして、勝利すれば、さすがに財務省もこれには抗えないでしょう。安倍総理は実際過去には、二度この手で、増税を延期してきました。三度目の正直も大いにあり得ると思います。

しかし、これには財務省ま様々なキャンペーンで対抗してくるでしょう。では、どうしたら良いのかということになりますが、財務省に直接働きかけるということは難しいです。ただし、直接質問して、その矛盾をつくということはできるとは思います。実際に、「質問者2」というハンドルネームの人がそれを実行しています。

ただし、それにはある程度経済的な知識が必要ですし、時間にある程度余裕がないとなかなかできません。それは、できる人がやれば良いと思います。

それ以外にも多くの人ができることがあります。それは、新聞などのメディアを購読しないことです。テレビなども、見ないことです。それによって、マスコミの力を弱めるのです。さらに、財務省やメディアが間違った報道をした場合、その間違いを晒すのです。

田中秀臣氏 本人のtwitterより

自力で晒すことができない場合は、高橋洋一氏や田中秀臣氏などのまともな経済学者等の考えをSNSなどで拡散するのです。彼らは、財務省がトンデモないことを発表すると、すぐにそれに対する批判をSNS等で展開しています。これを意図して意識して拡散するのは、造作もないことです。

これは、すでに多く行われているのですが、これは効き目があります。実際「もりかけ」も先程の述べたテレ朝の女性記者のタレコミも、結局は安倍内閣を窮地に陥れることはできませんでした。これには、SNSが大きな役割を果たしていると思います。

私は、このようなことが、SNSのない数十年前に起こっていた場合、かなり深刻な問題になったのではないかと思います。

なるべく多くの人が、SNSなどで拡散すれば、財務省もマスコミもなかなか動きがとれなくなると思います。

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2019年5月1日水曜日

新天皇がご即位 令和幕開け―【私の論評】即位に関する儀式は本日だけではなく、約1年にわたってさまざまな儀式・行事が行われる(゚д゚)!


「退位礼正殿の儀」に向かわれる新天皇、皇后両陛下=30日午後,皇居・半蔵門

皇太子さまは1日、第126代天皇に即位された。30年余り続いた「平成」が終わり、「令和」に同日改元された。平成時代の天皇陛下は4月30日で譲位し、上皇となられた。天皇の譲位は江戸時代の光格天皇以来202年ぶりで、憲政史上初めて。天皇陛下は59歳で、戦後生まれの初の天皇となられた。陛下は5月1日、皇居・宮殿で皇位継承に伴う国事行為「剣璽等承継(けんじとうしょうけい)の儀」と「即位後朝見(ちょうけん)の儀」に臨まれる。

 皇太子妃雅子さまと皇后さまは、それぞれ皇后、上皇后となられた。秋篠宮さまは皇位継承順位1位の皇嗣(こうし)として、皇太子の役割を担われる。長男の悠仁さまが継承順位2位となられた。85歳の上皇さまは、これまで担ってきたほぼすべての公務を陛下に引き継がれた。

 上皇さまは4月30日午後5時、皇居・宮殿「松の間」で「退位礼正殿の儀」(退位の礼)に臨まれた。退位の礼では、歴代天皇に伝わる三種の神器のうち、天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)の複製品と八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)、公務で使われる天皇の印「御璽(ぎょじ)」、国の印章「国璽(こくじ)」を、側近が「案(あん)」と呼ばれる台の上に安置。安倍晋三首相は自然災害などで困難に直面した際、常に国民に寄り添われてきた上皇さまに「明日への勇気と希望を与えてくださいました」と述べた。上皇さまは国民に「心から感謝します」と改めて謝意を示された。

退位の礼には上皇后さまが陪席されたほか、天皇、皇后両陛下、秋篠宮ご夫妻をはじめ、女性を含む成年皇族方がご参列。安倍首相と閣僚のほか、衆参両院の正副議長、都道府県知事の代表と配偶者ら約290人も出席した。

 剣と勾玉などは5月1日午前0時をもって陛下に引き継がれた。陛下は1日午前に宮殿で行われる「剣璽等承継の儀」に臨み、続く「即位後朝見の儀」で、三権の長らと面会して天皇として最初のお言葉を述べ、即位を告げられる。

 今回の譲位は、平成29年6月に成立した、上皇さま一代限りで認める皇室典範特例法に基づいて行われた。

【私の論評】即位に関する儀式は本日だけではなく、約1年にわたってさまざまな儀式・行事が行われる(゚д゚)!
改元や、平成天皇のご譲位、令和天皇のご即位など、王室のある英国などは別にして、諸外国ではないことなので、海外で日本の即位がどのように受け止められているのかは興味深いです。実際どのように報道されていたのか、以下に掲載します。

英国 BBC

イギリスBBC放送のワールドニュースの見出しは、
Japan's new Emperor Naruhito succeeds father Akihito
”日本の新なるひと天皇が父あきひとを継いだ

日本では、天皇陛下とか皇太子さまと等と報道されていますし、名前は漢字で書かれているので、なんというお名前なのか多くの国民があまり馴染みがないですが、英語圏では、名前が報道されます。日本に興味のある海外の人のほうが日本人よりも名前を知っているかもしれないです。

天皇については、
The emperor in Japan holds no political power but serves as a national symbol.
” 日本の天皇は、政治的権力を持たず、国の象徴としての役割を果たす"と紹介しています。

その後、「儀式はいつ行われるのか」とか、「新天皇について我々が知っていること」とか「天皇家の家系図」などが紹介され、「日本の君主制はなぜ重要なのか」という内容にも踏み込んでいます。

米国 ニューヨークタイムズ
Emperor Akihito Abdicates, and a New Era Arrives in Japan
あきひと天皇が退位、そして新しい時代が始まる

5/1日本時間朝の時点でニューヨークタイムズに載っている記事は、昨日の退位式の模様のものです。

式典の写真と、まだ愛子さまが赤ちゃんの頃の新天皇家族の写真が掲載されています。記事では、主に新旧天皇の個人的な考え方について言及しています。

日本では、新聞は、天皇を個人として扱わず、個人として扱うのは週刊誌であるように思考えられているようです。このあたりが、日本と米国の違いのようです。

フランス ルモンド

今朝のルモンドのサイトには日本に関する記事が国際ページの中に2つありました。

ひとつは、
Au Japon, il n’y a pas de débat sur les fonctions de l’empereur
”日本では、天皇について議論はない

もうひとつは
Quel bilan pour Akihito, l’empereur du Japon qui a abdiqué après trente ans de règne ?
”30年の治世を経て退位した天皇あきひとはどうなるのか"というものでした。

どちらも読者の質問に答えるという形で記事を展開しています。中では第2次世界大戦のことや天皇の行動や意見が日本社会に与える影響、宗教としての神道についても書かれています。

フランスでの日本の天皇は象徴とはいいながら、政治に結びついていると受け止めらているようです。英語でもフランス語でも天皇と皇帝は同じ単語。確かに、皇帝等と言われたら、日本語でも権力者であると受け止められるかもしれません。

中国 中国新聞網
日本德仁天皇5月1日即位,开启“令和”时代
”日本の徳仁天皇は5月1日に即位し、「令和」時代を迎えた"中国の新聞は令和が入っています。元号が見出しに入ったのは中国だけです。今ではもう中国で元号は使われていないのですが、漢字で表記されることもあり、なんとなく多くの人に馴染みがあるようです。記事の中には平成も昭和も出てきます。そうして、令和の意味についても述べられています。

そしてこの縁起のいい日に、多くの婚姻届けが出され、結婚式が行われる予定になっていることを紹介しています。これはほかの国の新聞にはない視点です。

また、新宿アルタのモニターに前天皇陛下が映し出されている街の様子の写真が採用されています。

安倍首相の発言も紹介されていて、日本が直面する社会問題についても触れています。

この記事がほかの国の記事と比べて日本の報道と一番近い内容が書かれていたと思います。日本に暮らした経験があり、日本語もよくわか記者が書いているのでしょう。中国は近くの国であるということがわかります。

ちなみに、中国は韓国などとは違い、天皇を直接批判することはないようです。それどころか、中国の高官などが天皇陛下に謁見すると、その高官の中国での権威が高まるようです。

これについては、他の国でも似たようなところがあります。なぜなら、天皇は英語ではEmpero(皇帝)ですが、現在でEmperorが存在する国は日本しかないわけですから、日本で首相と面談するよりも、天皇陛下に謁見するほうが、はるかに権威が高いものとみなされるのは当然といえば当然です。

特に現中国は過去の古代の中国とは完璧に断絶されていて、歴史が70年くらいの国ですから、格式とか権威にはこだわりがあるようです。


各国読者の天皇に対する興味は国によって違うようです。そのため、国によって報道の仕方に違いがでてくるのでしょう。英国の報道がいちばんニュースらしいものでした。基本的な知識をきっちり押さえたうえで、書いているいるという印象を受けました。また、どの国の新聞も天皇の名前を載せています。日本ではこのようなことは、ほとんどありません。

米国人は天皇陛下個人に興味があるようです。フランスでは政治に興味があり、中国では国民の暮らしに興味があるという印象を受けました。

このあと即位関連の儀式の模様も世界で報道されるでしょう。これは日本人でも一生に何度立ち会えるものではないため、その珍しさに興味があることでしょう。

昨日、前天皇陛下は最後の儀式である「退位礼正殿の儀」にのぞまれ天皇を退位され、本日、令和の時代を迎えました。午前には「剣璽等承継(けんじとうしょうけい)の儀」「即位後朝見の儀」が行われ、新天皇が即位されたことを初めて国民にお示しになられました。

誤解されがちのようですが、この2つの儀式では仰々しいことは行われず、極めてシンプルな内容で、それぞれ数分から10分ほどで終了しました。

『剣璽等承継の儀』は、宮殿のなかで一番格式の高い正殿『松の間』で行われます。よくテレビのニュース番組などで、ピカピカに光った板張りの大きな部屋でモーニング姿の新首相が天皇陛下から信任を受ける儀式の模様が流れますが、そこで使われている部屋といえば、わかりやすいかもしれません。

儀式では新天皇が侍従長より三種の神器と、天皇と日本国家の印鑑である国璽(こくじ)と御璽(ぎょじ)を受け取り、承継されました。三種の神器という言葉はよく使われますが、正式には天皇の継承権を保持される方だけが保有を許される“神物”という意味で、この儀式では三種のうちで八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)と草薙の剣(くさなぎのつるぎ)のみが継承されました。ちなみに草薙の剣の実物は熱田神社に置かれているため、『形代』、いわゆる複製品が使用されました。

「剣璽等承継の儀」に臨まれる新天皇陛下=皇居・宮殿「松の間」2019年5月1日午前10時32分

「即位後朝見の儀」は、新天皇が三権の長、つまり首相、衆参両院の議長、最高裁判所長官にお会いになられ、即位後としては初めてのおことばを述べられました。そのほかにも、皇族方、閣僚や地方自治体の長なども参列しますが、前日に天皇を退位された上皇と上皇后は出席されませんでした。

「即位後朝見の儀」でお言葉を述べられる新天皇陛下=1日午前、皇居・宮殿「松の間」

新天皇即位に関する儀式は本日だけではなく、約1年にわたってさまざまな儀式・行事が行われます。たとえば、3日後の5月4日には一般参賀、10月22日には祝賀御列の儀、いわゆるパレードが行われ、さらに10~11月にかけて複数日にわたり、国内外から多くの代表者を集めた祝宴や晩餐会が行われます。

平成天皇即位のときの祝賀御列の儀

注目の儀式はやはりパレードでしょう。新天皇はモーニング、そして新皇后の雅子さまは華やかなロングドレスとティアラをお召しになられて、参道に集まった人々に笑顔で手をお振りになられ、日本全体が大きな祝福ムードに包まれるでしょう。

このほかには、大嘗祭も注目されます。新天皇が国民の安寧と五穀豊穣を祈念される祭礼で、皇位継承に伴い一世に一度しか行われない重要な儀式です。儀式のなかで行われる事柄や決まり事が非常に多く、平成の大嘗祭は午後6時半から始まり約9時間もかかりました。

平成の大嘗祭

今回も11月14日の夕方ごろから翌日未明にかけて行われる予定です。ちなみにこの大嘗祭は、実は具体的にどのようなことが行われているのかは秘密となっており、内容がほとんど知られていないことでも有名で、儀式が執り行われる大嘗宮は27億円かけてつくられますが、終わるとすぐに撤去されてしまいます。

代替わりという“国家的行事”だけに、私たち国民にとっても一生のうちで何度も立ち会うことのできない貴重な体験となりそうです。

このような儀式が1000年を超えて継承されてきたということに、畏敬の念を覚えます。

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2019年4月29日月曜日

【日本の解き方】失敗続きだった平成の日銀、バブル潰し実体経済も潰す 黒田体制で大転換も道半ば…―【私の論評】日銀の平成年間の過ちを繰り返させないように、令和ではまず日銀法を改正すべき(゚д゚)!



異次元緩和で雇用を好転させた黒田総裁だが、インフレ目標達成は道半ばだ

平成の時代、金融政策をつかさどる日銀は、バブル崩壊や日銀法改正、リーマン・ショックなどを経て、現在の黒田東彦(はるひこ)総裁体制で大きく政策転換した。

 平成はバブル絶頂期で始まった。1989年(平成元年)1月の日経平均株価は3万円台でスタートし、年末には3万8915円まで上昇、これがピークだった。

 まもなくバブルは崩壊したが、その前後において、日銀はひどかった。それは、もし現在のような「2%のインフレ目標」があったら、という思考実験をしてみれば分かる。当時はインフレ率が高くなっていなかったので、金融引き締めは不要だったはずだ。

 それなのに、「平成の鬼平」とマスコミから持ち上げられた当時の三重野康総裁は、「バブル潰し」と称して、不必要で、しかも実体経済に悪影響を及ぼす金融引き締めを行った。それは、バブルを潰すばかりか、実体経済も潰した。しかも、日銀官僚は間違わないという無謬性(むびゅうせい)神話があるために、この金融引き締めは正しいものとして、その後も引き締め基調が継続した。それが、平成デフレの引き金でもあった。

三重野康氏

 90年代半ばから、いわゆるデフレ経済に日本は陥った。見た目の名目金利は低水準だったので、多くの人は金融引き締めを意識しなかったのだが、インフレ率がマイナスになるとは、古今東西を見ても前例がほぼ皆無だった。名目金利は低くても、インフレ率がマイナスなので、実質金利は高く、経済成長は望めない状態だった。

 そうしたなか、1997年(平成9年)、日銀法が全面改正された。金融引き締めが若干改善したのは、小泉純一郎政権での2001年3月から福井俊彦総裁の下で量的緩和政策が実施されてからだった。しかし、06年3月にデフレ脱却を待たずに量的緩和が終了する。その後、日本では景気が下り坂の中で、08年9月リーマン・ショックが起こった。



 ここで、白川方明(まさあき)総裁率いる民主党政権下の日銀は、痛恨の政策ミスをしてしまった。大きな経済ショックへの対応策は、まず大胆な金融緩和だ。欧米の中央銀行は猛烈な金融緩和を行い、通貨量も大きく増加した。これに対し、日銀は動かず、円は猛烈に高くなった。リーマン・ショックでは日本は欧米に比べて直接の大きなダメージを受けなかったにもかかわらず、この円の「独歩高」が日本経済を低迷させた。

 12年12月に第2次安倍晋三政権が発足した。13年3月、黒田総裁体制になり、ようやく本格的な金融緩和が実施された。雇用の回復は驚異的であり、当初の想定どおりだ。14年の消費増税がなければインフレ目標2%もとっくに達成していただろう。

 しかし、16年9月からイールドカーブコントロール(長短金利操作)を導入したことで、以前と比べると緩和の後退となっている。このため、インフレ目標2%は達成できていない。デフレからも完全脱却とは言い難く、今一歩の状況だ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】日銀の平成年間の過ちを繰り返させないように、令和ではまず日銀法を改正すべき(゚д゚)!

まずは、冒頭の記事の最後のほうにある、実質的緩和の後退ともなったイールドカーブコントローについて説明します。

イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)は、2016年9月の日銀金融政策決定会合で日銀が新たに導入した政策枠組み「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の柱のひとつです。

2016年1月から始めた短期金利のマイナス金利政策に加え、10年物国債の金利が概ねゼロ%程度で推移するように買入れを行うことで短期から長期までの金利全体の動きをコントロールすることです。

日銀は指定する利回りで国債買入れを行う指値オペレーションを新たに導入するとともに、固定金利の資金供給オペレーションの期間を1年から10年に延長することによりイールドカーブ・コントロールを推進します。

イールド・カーブコントロールなどせずに、インフレ目標2%になるまで、強力に量的緩和を進めれば、短期間で達成できたのでしょうが、こうしたコントロールをしてしまったため、実質的に緩和の後退となり、いつまでも達成できない状況になったといえるでしょう。

さて、その日銀ですが、令和に入ってからはどのような金融政策を行うのてしょうか。

日本銀行は25日の金融政策決定会合後の公表文で、金融政策の指針である「フォワードガイダンス」を修正し、大規模金融緩和による超低金利を「少なくとも令和2(2020)年春頃まで」続ける方針を示しました。

また、金融緩和の副作用軽減のため金融機関が日銀からお金を借りる際に差し出す担保の基準緩和などで円滑な資金供給や市場機能の確保を可能にします。

金融政策決定会合に出席するため、日銀本店に入る黒田総裁=25日午前

国内景気を下支えするため、短期金利をマイナス0・1%、長期金利を0%程度に誘導する現行の金融緩和策は維持します。国内景気の基調判断は前回3月の決定会合での見方を維持し、海外経済減速の影響を受けながらも「穏やかな拡大を続ける」と説明しました。

併せて公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では新たに示した令和3(2021)年度の物価上昇率見通しを1・6%とし、2%の物価上昇目標の達成がさらに遅れるとの見立てを示しました。実質国内総生産(GDP)成長率見通しは1・2%としました。

フォワードガイダンスでは、2%目標の達成が後ずれすることを受け、「消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間」維持するとしていた金融政策の実施時期を明確化した形です。

また、副作用の緩和措置では、日銀が保有する上場投資信託(ETF)を市場参加者に一時的に貸し付ける制度の導入も検討します。

黒田東彦(はるひこ)総裁は25日午後に記者会見を開き、フォワードガイダンス見直しの狙いや、経済、物価の見通しについて詳しく説明しました。

日銀は16年9月に、生鮮食品を除く消費者物価上昇率が安定的に2%の物価目標を超えるまで、マネタリーベース(銀行が日本銀行に預ける当座預金と日銀券発行額の合計額、金融政策の度合いを示す指標の一つ)の拡大方針を続ける「オーバーシュート型コミットメント」を導入しています。

このコミットメントから考えれば、21年度でさえ物価上昇率は2%に及ばないのだから、20年春頃どころか21年度も、いまの超金融緩和政策を維持継続するのは当然です。

2%目標の達成にメドが全く立たない以上、市場にとって今回のフォワードガイダンスの「明確化」はなんら驚きではありませんでした。

これによる市場の無反応は、日銀も予想していたと思います。効果はないにもかかわらず、なぜ日銀はフォワードガイダンスの明確化に踏み切らなければならなかったのでしょうか。

FRB(米連邦準備制度理事会)は利上げを休止、また償還後の国債再購入額を減らすバランスシートの縮小も停止しました。ECB(欧州中央銀行)も年内の利上げを断念しました。
世界経済の不透明感が強まるなか欧米中銀が路線修正を模索し始めるなか、日銀が何らかの政策対応をしないことで、円高などのリスクが高まる懸念がありました。

とはいえ、マイナス金利の深掘りは、金融機関からすれば収益を圧迫するという副作用があるとみられることになるでしょう。25日の記者会見で黒田東彦総裁は、この副作用を否定していましたが、国民生活より、銀行を重視する日銀の姿勢からすれば、言葉通りに受け取る向きはほとんどいないでしょう。

しかし、これは金融機関の儲けがなくなると、金融資本市場がうまく回らないという市場関係者の思い込み(自己保身)に過ぎないものです。

実際には、日銀が金融機関から「この金利水準では儲からないから何とかしてくれ」と常日頃、愚痴を聞かされているので、それを「副作用」と表現しているだけです。日銀としては金融機関のために金融政策を行うとは言えない建前があるので、市場機能の問題を前面に出して「副作用」を説明してきました。こうした複雑な背景があるので、一般の人には日銀が何を言っているのか理解できないと思います。

金融関係者は、実質的に縮小している国債買い入れ額を再び増やせば、長期金利の低下を招く。これも金融機関の経営にマイナスに作用するとみているのでしょう。

取り得る手段としては、ETF(上場投資信託)買入額の増額ですが、これは、今後、景気が後退期に入った際や、円高が進行した際の手段としてとっておきたいのが本音なのでしょう。

結局、超低金利政策の継続期間の明示しか日銀が取り得る手段はなかったのです。

今回のフォワードガイダンスの「明確化」と市場の無反応は、金融機関の意向を重視する日銀としては、物価目標達成に向けた日銀の手詰まり感を改めて浮き彫りにしたと言えるでしょう。

日銀が金融機関を重視するのは、金融政策を行う主体であるとともに、金融機関の監督という準行政的な機能もあるからです。前者をマネタリー、後者をプルーデンスといいます。

実は、日銀内の仕事としてはマネタリーの部分はごくわずかで、多くは「銀行の中の銀行」として金融機関との各種取引を通じたプルーデンスです。プルーデンスは「日銀官僚」が天下るときにも有用であるため、日銀マンの行動に金融機関重視がビルトインされているとみたほうが良いでしょう。

銀行の収益悪化は、人工知能(AI)対応が遅れたという構造的な側面もあり、必ずしも低金利だけが原因とはいえないです。

プルーデンス重視が、マネタリーに悪影響を与えては本末転倒です。マネタリーではマクロの物価と雇用だけをみていればよく、ミクロの金融機関経営は考慮されるべきではないです。

それにしても、このままでは令和に入っても、物価目標の目処がたたないことになってしまいそうです。

令和年間は、日銀法の改正をして、日本における中央銀行の独立性を世界標準のものとして欲しいものです。

ちなみに、中央銀行の独立性とは、日本では日本国の金融政策は中央銀行が政府など他から影響を受けず中央銀行が独立して行うものと解釈されているようですが、これは世界標準からみれば、全くの間違いです。

中央銀行の独立性とは、日本国の金融政策は政府が目標を定め、この目標を達成するために日銀は専門家的立場から、目標を達成するための方法を他から独立して選ぶことがきるというものです。

日銀の独立性を世界標準にすれば、日銀がプルーデンスを重視するため、まともな金融政策が実後できず、手詰まりになるということもないかもしれません。

日銀の独立性を世界標準にするのは、日銀法を変えるだけでできます。政府は、日銀法を一日もはやく改正すべきです。そうでないと、令和年間も平成年間と同じく、日銀が金融政策を間違い続けることになりかねません。

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2019年4月15日月曜日

大阪補選の結果次第で、消費増税が吹っ飛ぶ可能性にお気づきか―【私の論評】補選の結果いかんで、令和年間は大変化の時代に突入(゚д゚)!

大阪補選の結果次第で、消費増税が吹っ飛ぶ可能性にお気づきか

実は、とても重要な選挙だ








大阪補選に注目すべき理由

先週8日に実施された大阪ダブル選挙(府知事・市長)では、維新の吉村・松井両氏と、反維新の小西・柳本両氏の戦いだったが、吉村・松井の完勝に終わった。投票締め切りの20時直後に、NHKから当確が出たほどの維新の圧勝だった。

事前の世論調査では、大阪市長選挙では、「維新劣勢」あるいは「互角」と報じられていたが、蓋を開ければ改めて大阪の維新の強さが分かった。大阪府知事選の投票率は49.49%、大阪市長選は52.70%で、前回2015年の「ダブル選」と比べ、知事選は4.02ポイント、市長選は2.19ポイント投票率が上がったことにも注目すべきだ。

今回のダブル選は「大阪都構想の推進」が争点であった。維新は、これまでの府市行政での実績も十分あり、さらに2025年万博と夢洲IRという将来への布石も打ってきた。こうした実績と政策を丁寧に訴えたことが、維新の勝因だろう。実績と政策に勝るモノはない。維新は正攻法で選挙に臨み、それに賢明な大阪府市民が応えた、ということだ。

さて、これから大阪都構想を具体的に進めるためには、大阪府議会と大阪市議会の両方が住民投票を行い、過半を超える賛意をとる必要がある。この意味で、大阪都構想の実現にはまだハードルが残っている。

今回、大阪では府知事・市長のダブル選挙と同時に、大阪府議会議員選挙と大阪市議会議員選挙もあった。府議選の投票率は50.44%、市議選は52.18%、前回よりそれぞれ5.26ポイント、3.54ポイント上がり、府議会も市議会も維新は大きく議席を伸ばした。その結果、大阪府議会では定数88のところ、維新が51議席をとり過半数を超えた。

しかし、大阪市議会では定数83のところ維新は40議席。過半数には二人分足りなかった(もっとも、2議席ぐらいなら、維新以外の議員の切り崩しなどを行えばなんかなるという、射程距離の範囲だ)。

松井新市長は、選挙後に「大阪都構想に反対の人もいるのも事実なので、丁寧に説明していきたい」と話した。選挙前に公明党幹部が再三使っていた「丁寧に説明」という言葉を繰り返したあたり、4年間の任期をもらったことによる余裕の対応である。

維新は、この10年間で大阪経済を浮揚させてきた。景気も雇用も10年前と比べてよくなった(4月1日付け本コラム「平成は終わるが、大阪の成長を終わらせてはいけない 大阪選挙の論点を11の図表で確認」 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/63847 参照)。2025年には万博も控えているし、カジノ施設などを建設する夢洲IR計画もこれまでの路線通りなので、これを起爆剤として、今後の大阪経済も発展するだろう。

さて、ダブル選後の大阪で、次の参院選の前哨戦ともいわれる衆院大阪12区補欠選挙(大阪府寝屋川市、大東市、四條畷市)が行われる。これは、自民党の北川知克・元環境副大臣が亡くなったことにより行われるもので、候補者は、無所属元職の宮本岳志氏(59)=共産、自由推薦、日本維新の会新人の藤田文武氏(38)、無所属元職の樽床伸二氏(59)、自民新人の北川晋平氏(32、亡くなった北川氏の甥)=公明推薦の4氏。


この補選は国政選挙であり、この結果は①消費増税はもちろんのこと、その先に控える②憲法改正にも大きく影響するだろう。それぞれ説明しよう。

消費増税が吹っ飛ぶ…?

まず、消費増税について。これまでの言動からみると、宮本氏は消費増税に反対、藤田氏も反対、樽床氏は賛成、北川氏も賛成だろう。常識的には自民党の弔い合戦なので北川氏が有利であるはずだが、ある世論調査をみると、そうはなっていない(https://www.47news.jp/news/3466883.html)。先のダブル選でも事前調査はあまり当たっていなかったので、過信するわけにはいかないが、参考にすべき材料ではある。

政権与党である自民・公明は、政府が今年10月からの消費増税実施を予定しているので、消費増税賛成にならざるを得ない。一方維新は、国政では今年度予算に反対している。これは、10月からの消費増税に反対だからだ。

この大阪12区衆院補選で維新が勝つと、自民は7月参院選を控えて「やっぱり消費増税では選挙が戦えない」という声が高まり、消費増税は腰砕けになるような感じがする。となると、この補選で自民党が負ければ、安倍政権は消費増税を引っ込める可能性が出てくるだろう

安倍政権は、これまで消費増税を2回スキップしている。一度目は2014年12月の衆院解散総選挙において、2015年10月から予定されていた消費増税をスキップ。二度目は2016年5月の伊勢志摩サミットにおいて、2017年4月から予定されていた消費増税をスキップした。

過去2回のケースはともに、予算成立の前であった。今回は、予算成立後であるが、消費増税延期の「大義名分」があり、そのうえで増税延期に関連する補正予算を出せば、消費増税を吹っ飛ばすことは可能だ。

ダブル選挙の日程を読む

なお、一部から消費増税をスキップするために「7月21日に衆参ダブル選挙がある」という予測が出ている。筆者も過去に衆参ダブル選挙の可能性を指摘しているが、その期日は7月21日より前の可能性があるだろうと思っている。なぜか。

マスコミが「7月21日説」を唱えるのは、今国会の会期末が6月26日だからだ。この場合、会期末まで国会をやれば、参議院選挙の投票日は閉会日から「24日以後30日以内」(公職選挙法第32条)なので、7月4日告示、21日投開票というスケジュールが出てくる。

しかし、このスケジュールで衆参ダブル選挙をやろうとすれば、会期末ぎりぎりで解散することになる。このスケジュールを完全に否定するワケではないが、これではさすがにあまりに芸がないだろう。

6年前に選ばれた参院議員の任期は7月28日まで。となると、参院選はその日の前から30日以内に行う(公職選挙法第32条)ので、投票日は6月30日、7月7日、14日、21日の日曜日がありえることが分かる。

衆議院の解散による衆議院議員の総選挙は、解散の日から40日以内に行う(公職選挙法第31条)ので、解散日によっては、7月21日以外の日に衆参ダブル選挙を設定できるのではないだろうか。ちなみに候補となるのは、6月30日(友引)、7月7日(仏滅)、7月14日(大安)、7月21日(赤口)である。

いずれにしても、5月20日の今年1-3月期のGDP速報はマイナスが見えており、場合によっては昨年度GDPもマイナスかもしれない。

さらに、IMF(国際通貨基金)は9日、世界経済の見通しを発表し、今年の世界全体の成長率を前年比3.3%と予測、1月の時点から0.2ポイント下方修正した。国別では、2019年のアメリカの成長率を2.3%とし、今年1月時点から0.2ポイント引き下げ。ユーロ圏は1.3%と0.3ポイント下落。日本は1.0%と0.1ポイント下げた。

IMFは、日本の10月の消費増税を歓迎するというが、これは、日本の財務省からIMFへ出向している職員が言うことなので、すなわち日本の財務省の意見と考えたほうがいい。先週紹介したウォール・ストリート・ジャーナルの社説のように「いまのタイミングで増税とはワケがわからない」というのが常識だろう。

補選が「国の形」に影響を与える可能性

さて、大阪補選に話を戻そう。この結果が②憲法改正に与える影響も大きい。現時点では、憲法改正に向けた国会の議論は停滞している。

衆院憲法審査会は、与野党幹事間の懇談会を開き、今後の段取りを話し合うはずだったが、今国会で3月28日、4月3日、4月10日と立憲民主党をはじめとする野党はこの審査会を3回連続で欠席した。この野党による国会サボタージュがあるならば、改憲勢力だけで議論を進めていく本気の覚悟がなければ、話は停滞したままになるだろう。

この場合、公明党の積極性がポイントとなる。公明党は改憲ではなく「加憲」という独特委の言葉を使っているが、改憲には実はあまり積極的でないことはご承知の通りだ。

そのような中で、大阪12区衆院補選で維新が勝てば、憲法改正に弾みがつくだろう。なぜなら、維新は憲法改正推進派だからだ。

実は、維新の憲法改正は、大阪都構想の次の段階として見据える「道州制」と大きく関係している。今のところ、維新は憲法改正について、①教育無償化、②統治機構改革、③憲法裁判所の設置という3点に絞っている。ここで、②の統治機構改革の一環として、本格的な道州制を導入することが提言として入っている。

大阪都構想は、大都市問題を解決するためのツールである。大阪市のような政令指定都市は基礎的な自治体の範囲を大きくしすぎて、広域的な行政を行う府県と業務がバッティングし、二重行政状態になっている。

これは、反対に言えば府県の広域行政が狭すぎるという問題でもあるので、広域行政を府県からさらに広く道州まで広げる、というのが道州制である。道州の広域行政は、現在は国の出先機関(各地方整備局など)がカバーしているが、地方分権を進めることでそれらは各府県とともに道州に移管され、広域行政を担うことになる。

このような道州制の本格的な実施を進めるなら、国の形をどうするのかという「国家百年の計」の観点から憲法改正まで視野に入れて、進めていかなければならない。

大阪ダブル選挙の結果を受けて、大阪が変わり始めることで、ようやく日本の形を変える長い道のりの第一歩を踏み出した。令和の時代に適した、新しい国作りが求められているなか、大阪補選の結果が国政に与える影響はとても大きいことを改めて指摘しておこう。

【私の論評】補選の結果いかんで令和年間は、大変化の時代に突入(゚д゚)!

さて、今月21日に投開票が行われる、衆議院大阪12区補欠選挙。報道ベンチャーのJX通信社では13日・14日の2日間、電話世論調査を行い、定性的な情報も加味して情勢を探りました。調査の概要や実施方法は、本稿末尾の記載の通りです。
維新・藤田氏がリード 北川・樽床氏追う 宮本氏は伸び悩む 
衆院大阪12区補欠選挙の中盤情勢は、日本維新の会公認の藤田文武氏がリードし、自民党公認・公明党推薦の新人北川晋平氏と無所属の前職樽床伸二氏が追う展開となっている。共産党前職で今回の補選に無所属で立候補した宮本岳志氏は伸び悩んでいる。ただ、有権者の3割弱が態度を決めておらず、情勢は流動的だ。 
藤田文武氏

藤田氏は日本維新の会支持層の6割台半ば、自民党支持層の約3割に加え、無党派層の約2割から支持を得ている。北川氏は、自民党支持層の4割弱と公明党支持層の約7割から支持を集めている。無党派層からの支持は1割弱に留まっている。樽床氏は日本維新の会支持層の約1割、公明党支持層の約2割、立憲民主党支持層の約4割のほか、無党派層から3割弱の支持がある。宮本氏は共産党支持層の7割、立憲民主党支持層の約3割から支持されている。 
今回の補欠選挙は、自民党の北川知克氏の死去に伴うもので、甥の北川晋平氏がその後継候補として出馬している。しかし、北川氏は自民党支持層を固めきれておらず、藤田氏と樽床氏に支持層を奪われている状態だ。 



大阪ダブル選の結果、強く影響か 
今月7日に行われた大阪府知事選の投票行動と照らし合わせると、知事選で維新・吉村氏に投票した有権者は半分弱が藤田氏を支持している。一方、小西氏に投票した有権者は半分弱が北川氏を支持しているほか、約2割が樽床氏を支持している。 
投票にあたって重視する政策を聞いたところ「経済や景気、雇用」とした有権者が28.6%で最も多く、「福祉や医療」が27.2%、「大阪都構想について」が13.6%と続いた。経済や景気、雇用、福祉や医療を重視するとした有権者からの支持は、藤田・北川・樽床3氏が分け合っているが、大阪都構想を重視するとした有権者は6割以上が藤田氏を支持しており、大阪ダブル選の影響が色濃く反映した情勢と言えそうだ。 
調査の概要:13日(土曜日)と14日(日曜日)の2日間、無作為に発生させた電話番号に架電するRDD方式で、大阪12区(寝屋川市・大東市・四條畷市)内の18歳以上の有権者を対象に調査した。有効回答は全体で632件だった。
現状では、維新の藤田氏が有利ということですから、 これはひょっとすると、藤田氏が圧勝すれば、高橋洋一氏が主張しているように、増税延期は無論のこと「国の形」に影響を与える可能性もでてきました。

2010年、当時の橋下府知事が府と市の二重行政による無駄を省き、効率的な行政を進めることができるとして提唱したこの構想は、大阪市を解体し、東京のような特別区に再編成するというものでした。

ところが、2015年、大阪市で行われた住民投票で僅差で否決、一度は廃案に追い込まれました。大阪市長だった橋下氏が政界を引退した後、松井、吉村両氏は再び住民投票を実施すべく奔走してきました。ところが、それまでタッグを組んでいた公明党との交渉は決裂。今回のダブルクロス選挙に突入することになりました。

日本維新の会の足立康史衆議院議員

日本維新の会の足立康史衆議院議員は、AmebaTVのニュースで以下のようにうったえていました。
大阪維新が勝手に言っているわけではないく、東京都と同じように政令市の代わりに特別区を置くという、大都市地域特別区設置法に基づいているもので、自民党や公明党等が作った法律だ。これからの大都市は経営を一元化していくために特別区を作った方が良いことには彼らも賛成していたはず。 
それなのに、今回は維新の会以外、自民から共産まで全部反対に回った。都構想実現の際には莫大な費用がかかるとも言われているが、今まで無駄なビルをたくさん建てたりしてきたことに比べれば一時的なもの。将来への投資ということで、我々は心配していない。 
大阪だけでなく、国全体として経済が成長すればパイは増える。東京だけに頼るんじゃなく、全国の都市が成長する中で高齢者の福祉、子供たちの教育といったものに初めて税金が回せるようになる。
高橋洋一氏が主張するように、都構想がどうなるかで、将来の日本の姿が決まることでしょう。日本では東京と福岡以外では全県が人口減少しています。都に変えるのに確かにお金はかかりますが、変えない方がここから100年間でもっとお金がかかることになります。

どこで変えるべきかが問われてきたのに、平成の31年間、結局野放しにされてきました。残念ながら、人口100万人以下の県は県としてこれからは、成立するのが困難になるでしょう。日本国のあり方を変えないといけないのですが、前回の4年前の選挙の時に、この都構想に反対したのは70代以上の高齢者でした。

他の各年代は賛成の方が多かったのです。4年経って構図が変わってきたようです。大阪では、変えたことによって良いことがあると実感できる出来事がいくつかありました。

例えば関空民営化後に来日する外国人の3、4割が関空を経由するようになりました。変化を嫌う人は外国人がたくさん入ってくると大変だと思うかもしれないですが、潤うという事実があります。変化することによって良いことがあるというのは、平成の間に日本が忘れていたことでもあります。

変化について、経営学の大家ドラッカー氏は以下のように語っています。
長い航海を続けてきた船は、船底に付着した貝を洗い落とす。さもなければ、スピードは落ち、機動力は失われる。(『乱気流時代の経営』)
 あらゆる製品、あらゆるサービス、あらゆるプロセスが、常時、見直されなければならないです。多少の改善ではなく、根本からの見直しが必要です。

なぜなら、あらゆるものが、出来上がった途端に陳腐化を始めているからです。そして、明日を切り開くべき有能な人材がそこに縛り付けられるからです。ドラッカーは、こうした陳腐化を防ぐためには、まず廃棄せよと言います。廃棄せずして、新しいことは始められないのです。

ところが、あまりにわずかの企業しか、昨日を切り捨てていません。そのため、あまりにわずかの企業しか、明日のために必要な人材を手にしていません。

自らが陳腐化させられることを防ぐには、自らのものはすべて自らが陳腐化するしかないのです。そのためには人材がいります。その人材はどこで手に入れるのでしょうか。外から探してくるのでは遅いのです。

成長の基盤は変化します。企業にとっては、自らの強みを発揮できる成長分野を探し出し、もはや成果を期待できない分野から人材を引き揚げ、機会のあるところに移すことが必要となります。
乱気流の時代においては、陳腐化が急速に進行する。したがって昨日を組織的に切り捨てるとともに、資源を体系的に集中することが、成長のための戦略の基本となる。(『乱気流時代の経営』)
ドラッカーは企業経営について、語っているのですが、これは無論政治の世界にも当てはまります。

平成年間の日本はほとんどの期間がデフレスパイラルの底に沈んでいました。そのような状況では、企業は無論のこと政府や地方行政も停滞するのが当然でした。この時期に、企業や日本政府や地方行政組織が変化することは容易なことではありませんでした。

そんなことをすれば、組織自体が崩壊したり毀損したりする可能性のほうが大きかったのです。だからこそ、変化を厭い、個人なら保身、組織なら現状維持ということで精一杯だったのです。

これから始まる新たな令和年間は、平成年間のような状況にはすべきではありません。この年間は、まともなマクロ経済政策を実行できる状況にし、その上で憲法改正は無論のこと、積極的に国益に沿って「国の形」を変えていく年間にすべきです。

今回の補選が良い結果に終わり、それが令和年間の変化の幕開けとなれば良いと思います。いや、そうしなければならないのです。

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2019年4月5日金曜日

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元号を発表する菅官房長官

 5月から「令和」の時代に移ることになった。漢和辞典によれば、「令」の原義は神々しいお告げのことで、清らかで美しいという意味にもなるという。日本の伝統とも言える「和」の精神にふさわしい。

 だが、ごつごつとした競争を伴う経済社会では、清らかに和やかに、では済まされない。

 野心と挑戦意欲に満ちた若者たちがしのぎを削り合ってこそ、全体として経済が拡大する。経済成長は国家が担う社会保障の財源をつくり出し、競争社会の安全網を充実させ、和を生み出す。社会人になっていく若者たちの負担が軽くなるし、家庭をつくり子育てしていけるという安心感にもつながる。

 そこで、新元号決定直後の安倍晋三首相の会見をチェックしてみると、「次の世代、次代を担う若者たちが、それぞれの夢や希望に向かって頑張っていける社会」「新しい時代には、このような若い世代の皆さんが、それぞれの夢や希望に向かって思う存分活躍することができる、そういう時代であってほしいと思っています。この点が、今回の元号を決める大きなポイント」と「若者」に繰り返し言及し、若者が「令和」時代を担うと期待している。

 だが、超低成長のもとでは「令」も「和」も成り立ち難い。若者は経済成長という上昇気流があってこそ、高く飛べると楽観できる。ゼロ成長の環境下では、殺伐とした生活しか暮らせないケースが増える。

 グラフは、平成元年(1989年)以来の日本の実質経済成長率の推移である。日本と同じく成熟した資本主義の米欧の年平均の実質成長率が2~3%台だというのに、日本はゼロコンマ%台のまま30年が過ぎた。原因は人口構成の高齢化、アジア通貨危機、リーマン・ショックなどを挙げる向きが多いが、ホントにどうなのか。



 高齢化はドイツなど欧州でも進行している。アジア通貨危機では直撃を受けた韓国はV字型回復を遂げたし、リーマンでは震源地の米国が慢性不況を免れた。いずれも日本だけがデフレ不況を深刻化させた。経済失政抜きに日本の停滞は考えにくい。

 最たる失政は消費税にある。政府は平成元年に消費税を導入、9年(97年)、そして26年(2014年)に税率を引き上げた。結果はグラフの通り、実質成長率はよくても1%台に乗るのがやっとで、家計消費はマイナス続き、外需頼みである。

 消費税はデフレ圧力を生み、経済成長を抑圧するばかりではない。所得が少ない若者や、子育てで消費負担が大きい勤労世代に重圧をかける。今秋の消費税率10%への引き上げは、首相が力説した、若者が担うはずの「令和」時代に逆行すると懸念せざるをえない。

 首相はデフレ下の増税に決別し、経済成長最優先という当たり前の基本路線に回帰すべきだ。その宣言は秋の消費税増税中止では物足りない。思い切って消費税率の引き下げを打ち出す。平成が終わり、令和にシフトする今こそ、政策転換のチャンスではないか。(産経新聞特別記者・田村秀男)

【私の論評】令和年間を「消費税増税」という大間違いから初めてはいけない(゚д゚)!

最たる失敗は確かに冒頭の記事にもあるように、諸費税増税です。他が駄目であっても、少なくとも消費税増税をしていなけれは、日本の経済はこれほど低迷することはありませんでした。

トリンプは、2018年11月29日、世相を映すブラジャーの新作として、東京スカイツリーを
モチーフにした「平成ブラ」(非売品)を発表しました。トリンプは1987年から世相を反
映した下着を定期的に発表し、今回が63作目でしたが、世相ブラは今回で終了するそうです。

「平成」には経済に関して本当に良い思い出は少ないです。先進国の中で、日本だけが経済成長しませんでした。世界各国の国内総生産(GDP)の推移をグラフで書くと、日本だけが横ばいで、この意味で「平に成った」と皮肉ることもできるかもしれません。

先進国で唯一ともいっていいくらいの「デフレ」で悩まされました。少なくとも「失われた25年」といえるでしょう。平成30年間のうちの25年ですから、ほとんどの期間が失われていたということになります。

そうして。もう一つ日本を駄目にしたのは、日銀による金融政策です。日本が最初にデフレになったのは、インフレ率が高くないにもかかわらず、日銀がバブル潰しとして金融引き締めを行ったからです。それは間違いだったのに、その後も日銀が間違いを続けたため、日本はデフレ状況から抜け出すことができませんでした。さらに、これに消費税増税が追い打ちをかけました。

新しい元号「令和」の決定を受け、記者会見で談話を発表する安倍首相

しかしそれは、平成最後の安倍晋三政権でただされました。2013年4月から、異次元の金融緩和を行い、日本経済が急速に改善しはじめました。ただし、その後2014年4月から、消費税を8%にあげ、さらには2016年9月で事実上の金融引き締めを行い、景気も17年12月あたりがピークとなってその後下降気味で、すでに腰折れしているようです。

今月1日に公表された日銀短観は、これらを確認するものでした。大企業・製造業の業況判断指数は、前回の昨年12月調査から7ポイント悪化し、悪化幅は12年12月調査以来、6年3カ月ぶりの大きさとなりました。

平成は、日銀の間違いから始まって、間違いで終わるのでしょうか。そうして、「令和」元年は、10%への消費税増税という間違いから始まるのでしょうか。

もし、そうなれば、「若い世代の皆さんが、それぞれの夢や希望に向かって思う存分活躍することができる、そういう時代」とは程遠い時代になります。

また、若者が真っ先に苦しむ時代になります。それだけは、避けたいです。令和年間を「消費税増税」という大間違いから初めてはいけないのです。

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