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2020年5月26日火曜日

香港は米中通貨戦争の主戦場 習政権、強権支配は経済自爆への引き金 ―【私の論評】国際金融市場をカジノにたとえると、中国は1プレイヤーに過ぎないが、米国は胴元(゚д゚)!

ビジネスアイコラム
香港は米中通貨戦争の主戦場 習政権、強権支配は経済自爆への引き金 



   米中対立はコロナを挟んで冷戦を通り越して熱戦に転じかねない。1月に米中貿易第1段階合意で米中貿易戦争が休止となったのもつかの間、新型コロナウイルス発生時の情報を隠蔽(いんぺい)した中国の習近平政権に対するトランプ米政権の怒りが爆発している。対する北京の方は激しく反発すると同時に、香港に対して国家安全法制定を強要して、「一国二制度」を骨抜きにする挙に出ている。ワシントンはこれに対し、対中制裁を辞さない構えだ。

 こうした一連の米中激突の表層は政治劇だが、根底は米中通貨戦争である。トランプ政権は2018年に米中貿易戦争を仕掛けて以来、中国にハイテクと並んでドルを渡さない決意を日々刻々強めている。ドル依存こそは北京の最大の弱みであり、習政権はだからこそドル流入の玄関である香港を強権支配しようとする。それが「香港国家安全法」の真の意味である。

 だが、トランプ政権には切り札がある。ワシントンが昨秋制定した「香港人権民主法」である。トランプ氏は同法によりいつでも習氏の喉元に刃を突き付けられる。

 同法は、香港が中国政府から十分に独立した立場にあり、優遇措置適用に値するかを国務長官が毎年評価するよう義務付けている。米国は、香港で人権侵害を行った個人に対する制裁や渡航制限を課すことができる、というのが一般的に報じられている概要だ。

 同法の条文に目をこらすと、メガトン級破壊兵器の起爆装置が仕込まれていることに気付く。起爆装置とは「1992年香港政策法」修正条項である。香港政策法とは97年7月の英国による香港返還に合わせて92年に成立した米国法で、香港の高度な自治の維持を条件に、香港に対する貿易や金融の特別優遇措置を対中国政策とは切り離して適用することになっている。

 優遇措置は通常の国・地域向けの場合、貿易、投資、人的交流が柱になり、香港も例外ではないのだが、ただ一つ、香港特有の項目がある。それは「香港ドルと米ドルの自由な交換を認める」となっていることだ。香港人権民主法に関連付けた「92年香港政策法」の修正条項によって、米政府は香港の自治、人権・民主主義の状況によっては「通貨交換を含む米国と香港間の公的取り決め」も見直し対象にできるようになった。

米ドルに対するカレンシーボード制を採用している香港ドル

 香港の通貨金融制度は「カレンシーボード」で、香港金融管理局が香港ドルの対米ドル・レートを固定し、英国系の香港上海銀行、スタンダードチャータード銀行と中国国有商業銀行の中国銀行の3行が手持ちの米ドル資産に見合う香港ドルを発行する。つまり、香港ドルを米ドルに自由に交換できることが前提となっている。

 中国本土への海外からの対中直接投資や本土からの対外直接投資の6割以上は香港経由である。香港ドルが米ドルとのリンクを失えば、香港は国際金融センターではなくなる。香港に拠点を置く日米欧の企業、銀行にとっても打撃になるが、同時にそれは習政権にとっては、中国経済自爆の引き金になりかねない。

 習政権が香港国家安全法を強行するかどうかは米中通貨戦争ばかりでなく、自国経済、さらに習近平体制の命運に関わるだろう。(産経新聞特別記者 田村秀男)

【私の論評】国際金融市場をカジノにたとえると、中国は1プレイヤーに過ぎないが、米国は胴元(゚д゚)!

中国は単純な理屈を理解していないようです。国際金融市場をカジノにたとえると、米国はカジノのハウス側であり、中国は単なるプレイヤーに過ぎないです。いくら金を持っていたとしても、ハウスのルールは変えられません。ハウス側である米国は、中国を出禁にできます。

カジノでいえば、中国は壱プレイヤーにすぎないのだが、米国は胴元である

無論ハウス側も、自分だけが儲かるようなことをしていれば、お客は集まりまりません。お客にとって、信頼できる、まともな規則や規制や管理手法でカジノを運営しなければならくなります。

現在の国際金融市場には、多くの国々が参加しているわけですから、カジノでいえば、たくさんの客が集まる優良カジノということができると思います。

だから、米国が中国に注文をつけるのも、米国のみの利益を代表しているのではなく、世界中の多くの国々を代表して言っているわけです。無論、イランや北朝鮮などの国々はその中には入らないでしょうが、多くのまともな国々の考えは代表しています。そこを中国は勘違いしていると思います。

かといって、中国が今更新たなカジノ(国際金融市場を作ろうとしても)を作ろうとしても、そのようなノウハウもないし信用もないわけです。もし、中国が独自の国際金融市場をつくったとしても、加入するのは中国、北朝鮮、イラン、その他アフリカや経済的には無価値な国々しかないでしょう。

ただし、中国の国際金融市場に入った国々でさえ、米国の国際金融市場も利用するでしょう。使い勝手の悪い、カジノからお客が抜け出すように、いずれ他の国も抜け出し、中国だけが残るかもしれません。

米国側は、場合によっては、香港ドルを紙くずにする可能性も出てきて、そうなれば、中国は破滅への一歩を踏み出すことになるわけです。

オブライエン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は24日、NBCテレビに出演し、香港の統制強化を定めた「国家安全法」が成立すれば、中国に制裁を科す可能性を示唆しました。

オブライエン米大統領補佐官

その上で「香港がアジアの金融センターとしてとどまると考えるのは難しい」と警告したました。

先程のカジノのたとえでいえば、香港はカジノで特別なお客として、自由に香港ドルをドルというチップに交換できたのですが、その特別待遇を剥奪されることもあり得る事態となったのです。

香港問題が米中対立の新たな火種に浮上しています。オブライエン氏は、昨年11月に成立した「香港人権・民主主義法」に基づく制裁を示唆した格好です。

同法は「一国二制度」に基づく香港の「高度な自治」が機能しているかどうか検証する年次報告書の提出を国務省に義務付けています。米国が香港に認めてきた関税などの優遇措置の是非を判断するほか、人権侵害に関わった中国当局者への制裁も可能にしました。

ドルと香港ドルが換金できなくなれば、人民元の価値もかなり落ちます。人民元は香港ドルに換金しないと他国から、輸入ができなくなります。

それでも中国は、香港に対して国家安全法制定を強要して、米国の怒りを買い、国際金融市場から放逐されたいのでしょうか。そうなれば、このブログでも何度か主張しているように、中国は石器時代に戻りかねないです。

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