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2020年2月1日土曜日

新型肺炎は、中国共産党支配の「終わりの始まり」かもしれない―【私の論評】全体主義国家が強大になっても、様々な異変でそのほころびを露呈し結局滅ぶ(゚д゚)!

チェルノブイリとソ連崩壊に似ている

「武漢封鎖」と「チェルノブイリ」の類似性

感染が拡大している新型肺炎は、中国の政治指導体制に重大な影響を与えるのではないか。チェルノブイリ原発事故が旧ソ連崩壊のきっかけを作ったように、新型肺炎は中国共産党支配の「終わりの始まり」になる可能性もある。

中国当局は武漢における初動の情報隠蔽を内外で批判されたために、連日、記者会見を開いて、感染者と死者の数を公表している。それでも、まだ実態には程遠いはずだ。病院に来た患者を収容しきれず、自宅に追い返しているのだから、正しい数字を把握できるわけがない。

感染者数について、当初は米欧の研究チームが公表したように「最大で35万人以上になる」という推計もあった。ただし、1月27日時点での改訂版推計では、具体的な数字が削除された(https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.01.23.20018549v2.full.pdf+html)。状況が流動的で、信頼できる推計値を出せないのかもしれない。

いずれにせよ、感染者数も死者数も増加の一途を辿っており、いつピークを打つのか、現時点では見通せない。日本でも、武漢からの帰国者の中に感染者がいた。数人の感染者で大騒ぎなのだから、武漢では事態の沈静化どころではないはずだ。

武漢市内に突貫工事で建設されている病院

マスクに防護服姿の当局者たちが武漢駅を封鎖した光景を見て、私は、1986年4月26日にソ連で起きたチェルノブイリ原発事故を思い出した。防護服だけでなく、当局による情報隠蔽と慌てぶりがそっくりだったからだ。

事故がもたらした「共産党崩壊」

チェルノブイリ事故も発生直後、現場の当局者によって事実が隠蔽された。世界が事故を知ったのは、事故発生から2日後である。スウェーデンの原発で働いていた作業員のアラームが鳴り響き、靴から高い放射線量が検出されたのがきっかけだった。

付着していた放射性物質を調べたところ、汚染の発生源は自分たちの原発ではないと分かり、方角からソ連の原発を疑った。スウェーデン政府が問い合わせて、初めてソ連が事故発生を認めたのである。当時の様子を、ソ連共産党書記長だったゴルバチョフ氏は回想録で、次のように記している。
事故の第一報がモスクワに入ったのは、26日早朝だった。……直ちに政府委員会を事故現場に派遣することが決定された。……27日に委員会からの情報が入り始めた。……28日にルイシコフが委員会の活動に関する最初の成果を政治局に報告した。……意図的に隠したという告発に対して、私は断固否認する。単に我々は当時、まだそれを知らなかっただけだ。 
事故の直後に政治局会議で行ったアカデミー会員の……発言が今でも忘れられない。……「恐ろしいことは何も怒っていない。こんなことは工業用原子炉にはよくあることです。ウォトカを1、2杯飲み、ザクースカ(注・ロシアの前菜)をつまんで一眠りすれば、それで終わりですよ」(『ゴルバチョフ回想録』上巻、1996年、新潮社、以下同じ)
ゴルバチョフ氏は「自分たちは知らなかった」と言い訳をしているが、一方で、自分たちも「アカデミー会員に騙されていた」と認めている。つまり、ソ連が世界に事故を隠した事実は変わらない。そのうえで、次のように関係者を断罪し、事故を総括している。
極度に否定的な形をとって現れたのが、所轄官庁の縄張り主義と科学の独占主義にしめつけられた原子力部門の閉鎖性と秘密性だった。……私は1986年7月3日の政治局会議で言った。「……全システムを支配していたのは、ごますり、へつらい、セクト主義と異分子への圧迫、見せびらかし、指導者を取り巻く個人的、派閥的関係の精神です」 
事故は、我が国の技術が老朽化してしまったばかりか、従来のシステムがその可能性を使い果たしてしまったことをまざまざと見せつける恐ろしい証明であった。……それは途方もない重さで我々が始めた改革にはねかえり、文字通り国を軌道からはじき出してしまったのである。
ゴルバチョフ氏は事故の教訓を深刻に受け止めて、グラスノスチと呼ばれた情報公開を武器にして、急進的なペレストロイカ(改革)に乗り出した。それは部分的に成功したが、最終的に共産党体制の崩壊とソ連という国家の解体をもたらす結果になった。

あまりにお粗末な中国の役人たち

ゴルバチョフ氏が指摘した「役所の閉鎖性や秘密主義、官僚のごますり、へつらい」など は、いまの中国共産党にそのまま当てはまる。

読売新聞によれば、武漢市の病院は「許可を得ずに、公共の場で感染状況を語ったり、メディアの取材を受けてはならない」と医師たちに指示していた(https://www.yomiuri.co.jp/world/20200125-OYT1T50233/)。武漢市長は1月26日に開いた会見で、情報提供の遅れを認めたうえで「上層部の許可を得なければ、情報を公表できなかった」と釈明している。

このときの会見で、湖北省の省長がマスクを着用していなかったり、武漢市長がマスクの裏表を逆にしていたり、マスクの生産量を億単位と万単位で間違えたりした。はては、会見後につぶやいた「オレの回答は良かったでしょ」という言葉が動画に流れて、中国のネットで「無能の証明」などと大荒れになった。

お粗末な対応を見る限り、中国の当局者たちは、ソ連と同じように、上司のご機嫌伺いを最優先にしただけでなく、そもそも行政能力が話にならないほど低レベルなのがうかがえる。共産主義の独裁体制が何十年も続くと、どの国もこうなる、という証明だろう。

新型肺炎は原発事故より厄介な面もある。原発近くで放射能を浴びれば、健康に障害が出るのは確実だが、新型肺炎は自分が感染しているのかどうか判然とせず、感染していたとしても、必ず死に至るとは限らない。それだけ人々の不安は一層、高まるのだ。

ソ連崩壊は「5年後」だったが…

被害拡大の様相も異なる。放射能汚染は風に乗って、時間とともに拡大したが、新型肺炎のウイルスは人間が媒体になって、中国と世界の各地に散らばっていった。武漢市長は街が封鎖される前に500万人が街を出た、と明らかにした。

そうであれば、今後、上海や北京など大都市が「第2、第3の武漢」になる可能性が高い。潜伏期間を考えると、今週から来週にかけてがヤマ場ではないか。上海や北京が汚染されれば、混乱は武漢の比ではないだろう。今度こそ、中央政府による徹底的な情報隠蔽が始まる可能性もある。いや、もう始まっているかもしれない。

新型肺炎で中国経済が打撃を受けるのは明白だが、それは政治体制への打撃にもなる。感染対応のお粗末さに加えて、失業と倒産が増え、政府に対する人々の怒りが増幅する。米国と合意したばかりの「2年間で2000億ドル」の輸入拡大策もどうなるか。内需が劇的に落ち込めば、輸入拡大どころではない。

反政府勢力によるバイオテロが起きる可能性もある。テロリストから見れば、新型肺炎の蔓延は、ウイルスを使ったバイオテロを実行する絶好の機会になる。ウイルスをばらまいても、意図的なテロか自然の感染拡大か、政府には直ちに見分けがつかないからだ。

チェルノブイリ原発事故がソ連の崩壊を招いたのは、究極的には、人々がソ連共産党を信頼しなくなったからだった。ゴルバチョフ氏が書いたように、事故は「国を軌道からはじき出してしまった」のである。新型肺炎も、中国共産党に対する信頼を傷つけているに違いない。

ソ連が国ごと崩壊したのは、原発事故から5年後だった。中国は、どうなるのだろうか。

【私の論評】全体主義国家が強大になっても、様々な異変でそのほころびを露呈し結局滅ぶ(゚д゚)!

さて、上の長谷川幸洋氏の記事では、チェルノブイリ原発事故が起きてから、5年後にソ連が崩壊したことを例として、中国も新型肺炎の蔓延が起きたことで、かつてのソ連と同じように崩壊する可能性を示唆しています。

チェルノブイリ原発事故

この説には信憑性があります。中国、ソ連そうして、かつてのナチスドイツのような全体主義の国家は長い間にはほころびが見えるようになります。そのほころびが崩壊前に目立つようになるということだと思います。

ナチス・ドイツの場合も、崩壊する前に、ヒンデンブルク号の悲劇という大惨事がありました。この大惨事があったのは、1937年でした。1945年にナチス・ドイツは崩壊しています。この大惨事が発生してから、8年後のことです。ナチス・ドイツはその後ヨーロッパ各地に侵攻していきましたが、その過程で様々なほころびを見せました。

炎上するヒンデンブルク号

このほかにも、全体主義国が経済的に発展して、世界的にも認知され、オリンピックを開催した10年後あたりに崩壊しているという事実もあります。

ベルリン・オリンピックが開催されたのは、1936年でした。ドイツ第3帝国(ナチス・ドイツ)が崩壊したのは、1945年5月です。モスクワ・オリンピックが開催されたのは、1980年、ソビエト連邦崩壊は1991年です。全体主義国家であるソ連もナチスドイツも、オリンピックを開催すると約10年後に崩壊しているわけです。

現代の全体主義国家中国では北京オリンピックが開催されたのは、2008年でした。その10年後の2018年には、中国は崩壊しませんでしたが、先日もこのブログに掲載したように、米国の対中政策が2018年を転機に、対決一色になりました。

2018年米国では中国に対する批判等は一巡し、中国に対抗するのは、米国の意思であるとの確認がされたのです。2019年以降は、実際に逐次中国に対する対抗策を長期にわたって実行し続ける段階に移行し、現在に至っています。

米国は、中国共産党が中国の体制を変えるか、変えるることができないというのなら、他国に大きな影響力を与えることができなくなるまで、中国経済を弱体化するまで、対中冷戦をやめることはありません。

2018年に中国の運命は決まったと言っても良いかもしれません。世界で唯一の超大国である、米国が中国をかつてのソ連のような敵国としたのですから、この時点で中国の運命は定まったのです。

もし、米国にオバマ政権が誕生して、中国に対して優柔不断な態度をとっていなければ、中国は2018年に崩壊したかもしれません、

結局、全体主義国が、オリンピックを開催できるまで、強大になり、他国が無視できない存在になったとしても、全体主義であるがゆえに様々なほころびが発生して、それがヒンデンブルク号の事件や、チェルノブイリ番発事故で可視化され、やがて崩壊するということなのでしょう。

北京オリンピック開会式での中国選手団

まさに、現在の中国で発生した新型ウィルスの蔓延も、現在の中国の全体主義であるがゆえのほころびを象徴するものなのでしょう。

そのほころびは無論ウィルスの蔓延だけではなく、中国社会・経済、その他あらゆる方面に蔓延しているのでしょう。

そうしたほころびを中国共産党は、軍事力や、国内の警察な城管などの暴力装置を用いた民衆の弾圧や、豊富だった資金力を用い、国内はもとより海外にも様々な工作をして、言葉通りの弥縫策を効果的に実施してきたのでしょう。

この弥縫策が、あまりに強力かつ巧であったため、多くの人たちが、「中国崩壊」を主張してきたにもかかわらず、中国はいままで崩壊しなかったのでしょう。

中国は建国以来毎年平均2万件の暴動が起こっていたとされますが、2008年あたりからは、10万件ともいわれるようになりました。このあたりから、中国は暴動の件数など公表しなくなりました。

日本の人口は、中国の1/10くらいですから、中国の10万件は、日本でいえば1万件です。これは、一日では約27件です。日本でもし、これくらいの暴動があったとしたら、すでに内乱状態と言っても良いです。

これを中国は、城管、公安警察(日本の警察にあたる)、武装警察、人民解放軍などを鎮圧してきたのです。このような実績があるからこそ、中国は香港デモなど軽く鎮圧できるものと考えていたようですが、その考えは甘かったとしか言いようがありません。

現代の中国はまさに典型なのですが、全体主義国家が様々な方法をとって、軍事力や経済力を強大にしたとしても、結局ナチス・ドイツやソ連と同じように、ヒンデンブルク号事件や、チェルノブイリ事故などのような様々な異変で、そのほころびを露呈して結局滅ぶのです。中国もその例外とはならないでしょう。

現在でも全体主義的な方針の国々のリーダーは、このことを真摯に受け止めるべきです。全体主義は、シンガポールなどのように小さな規模でやっているうちは長持ちするでしょうが、ナチス・ドイツやソ連のように大規模になると、崩壊するのです。

崩壊しないで発展しようとするなら、民主化、政治と経済の分離、法治国家は避けて通れないということです。これらを実施することにより、多数の中間層が、社会・経済的に自由に活動させる基盤を築いた上で、国を富ませ、経済力をつけ、その上で軍事力も強化するという道しかないということです。

これを無視する全体主義国家は、一時強大になったとしても、崩壊するのです。中共にも、全体主義をやめるか滅ぶかの二択しかないのです。

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