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2020年2月1日土曜日

新型肺炎は、中国共産党支配の「終わりの始まり」かもしれない―【私の論評】全体主義国家が強大になっても、様々な異変でそのほころびを露呈し結局滅ぶ(゚д゚)!

チェルノブイリとソ連崩壊に似ている

「武漢封鎖」と「チェルノブイリ」の類似性

感染が拡大している新型肺炎は、中国の政治指導体制に重大な影響を与えるのではないか。チェルノブイリ原発事故が旧ソ連崩壊のきっかけを作ったように、新型肺炎は中国共産党支配の「終わりの始まり」になる可能性もある。

中国当局は武漢における初動の情報隠蔽を内外で批判されたために、連日、記者会見を開いて、感染者と死者の数を公表している。それでも、まだ実態には程遠いはずだ。病院に来た患者を収容しきれず、自宅に追い返しているのだから、正しい数字を把握できるわけがない。

感染者数について、当初は米欧の研究チームが公表したように「最大で35万人以上になる」という推計もあった。ただし、1月27日時点での改訂版推計では、具体的な数字が削除された(https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.01.23.20018549v2.full.pdf+html)。状況が流動的で、信頼できる推計値を出せないのかもしれない。

いずれにせよ、感染者数も死者数も増加の一途を辿っており、いつピークを打つのか、現時点では見通せない。日本でも、武漢からの帰国者の中に感染者がいた。数人の感染者で大騒ぎなのだから、武漢では事態の沈静化どころではないはずだ。

武漢市内に突貫工事で建設されている病院

マスクに防護服姿の当局者たちが武漢駅を封鎖した光景を見て、私は、1986年4月26日にソ連で起きたチェルノブイリ原発事故を思い出した。防護服だけでなく、当局による情報隠蔽と慌てぶりがそっくりだったからだ。

事故がもたらした「共産党崩壊」

チェルノブイリ事故も発生直後、現場の当局者によって事実が隠蔽された。世界が事故を知ったのは、事故発生から2日後である。スウェーデンの原発で働いていた作業員のアラームが鳴り響き、靴から高い放射線量が検出されたのがきっかけだった。

付着していた放射性物質を調べたところ、汚染の発生源は自分たちの原発ではないと分かり、方角からソ連の原発を疑った。スウェーデン政府が問い合わせて、初めてソ連が事故発生を認めたのである。当時の様子を、ソ連共産党書記長だったゴルバチョフ氏は回想録で、次のように記している。
事故の第一報がモスクワに入ったのは、26日早朝だった。……直ちに政府委員会を事故現場に派遣することが決定された。……27日に委員会からの情報が入り始めた。……28日にルイシコフが委員会の活動に関する最初の成果を政治局に報告した。……意図的に隠したという告発に対して、私は断固否認する。単に我々は当時、まだそれを知らなかっただけだ。 
事故の直後に政治局会議で行ったアカデミー会員の……発言が今でも忘れられない。……「恐ろしいことは何も怒っていない。こんなことは工業用原子炉にはよくあることです。ウォトカを1、2杯飲み、ザクースカ(注・ロシアの前菜)をつまんで一眠りすれば、それで終わりですよ」(『ゴルバチョフ回想録』上巻、1996年、新潮社、以下同じ)
ゴルバチョフ氏は「自分たちは知らなかった」と言い訳をしているが、一方で、自分たちも「アカデミー会員に騙されていた」と認めている。つまり、ソ連が世界に事故を隠した事実は変わらない。そのうえで、次のように関係者を断罪し、事故を総括している。
極度に否定的な形をとって現れたのが、所轄官庁の縄張り主義と科学の独占主義にしめつけられた原子力部門の閉鎖性と秘密性だった。……私は1986年7月3日の政治局会議で言った。「……全システムを支配していたのは、ごますり、へつらい、セクト主義と異分子への圧迫、見せびらかし、指導者を取り巻く個人的、派閥的関係の精神です」 
事故は、我が国の技術が老朽化してしまったばかりか、従来のシステムがその可能性を使い果たしてしまったことをまざまざと見せつける恐ろしい証明であった。……それは途方もない重さで我々が始めた改革にはねかえり、文字通り国を軌道からはじき出してしまったのである。
ゴルバチョフ氏は事故の教訓を深刻に受け止めて、グラスノスチと呼ばれた情報公開を武器にして、急進的なペレストロイカ(改革)に乗り出した。それは部分的に成功したが、最終的に共産党体制の崩壊とソ連という国家の解体をもたらす結果になった。

あまりにお粗末な中国の役人たち

ゴルバチョフ氏が指摘した「役所の閉鎖性や秘密主義、官僚のごますり、へつらい」など は、いまの中国共産党にそのまま当てはまる。

読売新聞によれば、武漢市の病院は「許可を得ずに、公共の場で感染状況を語ったり、メディアの取材を受けてはならない」と医師たちに指示していた(https://www.yomiuri.co.jp/world/20200125-OYT1T50233/)。武漢市長は1月26日に開いた会見で、情報提供の遅れを認めたうえで「上層部の許可を得なければ、情報を公表できなかった」と釈明している。

このときの会見で、湖北省の省長がマスクを着用していなかったり、武漢市長がマスクの裏表を逆にしていたり、マスクの生産量を億単位と万単位で間違えたりした。はては、会見後につぶやいた「オレの回答は良かったでしょ」という言葉が動画に流れて、中国のネットで「無能の証明」などと大荒れになった。

お粗末な対応を見る限り、中国の当局者たちは、ソ連と同じように、上司のご機嫌伺いを最優先にしただけでなく、そもそも行政能力が話にならないほど低レベルなのがうかがえる。共産主義の独裁体制が何十年も続くと、どの国もこうなる、という証明だろう。

新型肺炎は原発事故より厄介な面もある。原発近くで放射能を浴びれば、健康に障害が出るのは確実だが、新型肺炎は自分が感染しているのかどうか判然とせず、感染していたとしても、必ず死に至るとは限らない。それだけ人々の不安は一層、高まるのだ。

ソ連崩壊は「5年後」だったが…

被害拡大の様相も異なる。放射能汚染は風に乗って、時間とともに拡大したが、新型肺炎のウイルスは人間が媒体になって、中国と世界の各地に散らばっていった。武漢市長は街が封鎖される前に500万人が街を出た、と明らかにした。

そうであれば、今後、上海や北京など大都市が「第2、第3の武漢」になる可能性が高い。潜伏期間を考えると、今週から来週にかけてがヤマ場ではないか。上海や北京が汚染されれば、混乱は武漢の比ではないだろう。今度こそ、中央政府による徹底的な情報隠蔽が始まる可能性もある。いや、もう始まっているかもしれない。

新型肺炎で中国経済が打撃を受けるのは明白だが、それは政治体制への打撃にもなる。感染対応のお粗末さに加えて、失業と倒産が増え、政府に対する人々の怒りが増幅する。米国と合意したばかりの「2年間で2000億ドル」の輸入拡大策もどうなるか。内需が劇的に落ち込めば、輸入拡大どころではない。

反政府勢力によるバイオテロが起きる可能性もある。テロリストから見れば、新型肺炎の蔓延は、ウイルスを使ったバイオテロを実行する絶好の機会になる。ウイルスをばらまいても、意図的なテロか自然の感染拡大か、政府には直ちに見分けがつかないからだ。

チェルノブイリ原発事故がソ連の崩壊を招いたのは、究極的には、人々がソ連共産党を信頼しなくなったからだった。ゴルバチョフ氏が書いたように、事故は「国を軌道からはじき出してしまった」のである。新型肺炎も、中国共産党に対する信頼を傷つけているに違いない。

ソ連が国ごと崩壊したのは、原発事故から5年後だった。中国は、どうなるのだろうか。

【私の論評】全体主義国家が強大になっても、様々な異変でそのほころびを露呈し結局滅ぶ(゚д゚)!

さて、上の長谷川幸洋氏の記事では、チェルノブイリ原発事故が起きてから、5年後にソ連が崩壊したことを例として、中国も新型肺炎の蔓延が起きたことで、かつてのソ連と同じように崩壊する可能性を示唆しています。

チェルノブイリ原発事故

この説には信憑性があります。中国、ソ連そうして、かつてのナチスドイツのような全体主義の国家は長い間にはほころびが見えるようになります。そのほころびが崩壊前に目立つようになるということだと思います。

ナチス・ドイツの場合も、崩壊する前に、ヒンデンブルク号の悲劇という大惨事がありました。この大惨事があったのは、1937年でした。1945年にナチス・ドイツは崩壊しています。この大惨事が発生してから、8年後のことです。ナチス・ドイツはその後ヨーロッパ各地に侵攻していきましたが、その過程で様々なほころびを見せました。

炎上するヒンデンブルク号

このほかにも、全体主義国が経済的に発展して、世界的にも認知され、オリンピックを開催した10年後あたりに崩壊しているという事実もあります。

ベルリン・オリンピックが開催されたのは、1936年でした。ドイツ第3帝国(ナチス・ドイツ)が崩壊したのは、1945年5月です。モスクワ・オリンピックが開催されたのは、1980年、ソビエト連邦崩壊は1991年です。全体主義国家であるソ連もナチスドイツも、オリンピックを開催すると約10年後に崩壊しているわけです。

現代の全体主義国家中国では北京オリンピックが開催されたのは、2008年でした。その10年後の2018年には、中国は崩壊しませんでしたが、先日もこのブログに掲載したように、米国の対中政策が2018年を転機に、対決一色になりました。

2018年米国では中国に対する批判等は一巡し、中国に対抗するのは、米国の意思であるとの確認がされたのです。2019年以降は、実際に逐次中国に対する対抗策を長期にわたって実行し続ける段階に移行し、現在に至っています。

米国は、中国共産党が中国の体制を変えるか、変えるることができないというのなら、他国に大きな影響力を与えることができなくなるまで、中国経済を弱体化するまで、対中冷戦をやめることはありません。

2018年に中国の運命は決まったと言っても良いかもしれません。世界で唯一の超大国である、米国が中国をかつてのソ連のような敵国としたのですから、この時点で中国の運命は定まったのです。

もし、米国にオバマ政権が誕生して、中国に対して優柔不断な態度をとっていなければ、中国は2018年に崩壊したかもしれません、

結局、全体主義国が、オリンピックを開催できるまで、強大になり、他国が無視できない存在になったとしても、全体主義であるがゆえに様々なほころびが発生して、それがヒンデンブルク号の事件や、チェルノブイリ番発事故で可視化され、やがて崩壊するということなのでしょう。

北京オリンピック開会式での中国選手団

まさに、現在の中国で発生した新型ウィルスの蔓延も、現在の中国の全体主義であるがゆえのほころびを象徴するものなのでしょう。

そのほころびは無論ウィルスの蔓延だけではなく、中国社会・経済、その他あらゆる方面に蔓延しているのでしょう。

そうしたほころびを中国共産党は、軍事力や、国内の警察な城管などの暴力装置を用いた民衆の弾圧や、豊富だった資金力を用い、国内はもとより海外にも様々な工作をして、言葉通りの弥縫策を効果的に実施してきたのでしょう。

この弥縫策が、あまりに強力かつ巧であったため、多くの人たちが、「中国崩壊」を主張してきたにもかかわらず、中国はいままで崩壊しなかったのでしょう。

中国は建国以来毎年平均2万件の暴動が起こっていたとされますが、2008年あたりからは、10万件ともいわれるようになりました。このあたりから、中国は暴動の件数など公表しなくなりました。

日本の人口は、中国の1/10くらいですから、中国の10万件は、日本でいえば1万件です。これは、一日では約27件です。日本でもし、これくらいの暴動があったとしたら、すでに内乱状態と言っても良いです。

これを中国は、城管、公安警察(日本の警察にあたる)、武装警察、人民解放軍などを鎮圧してきたのです。このような実績があるからこそ、中国は香港デモなど軽く鎮圧できるものと考えていたようですが、その考えは甘かったとしか言いようがありません。

現代の中国はまさに典型なのですが、全体主義国家が様々な方法をとって、軍事力や経済力を強大にしたとしても、結局ナチス・ドイツやソ連と同じように、ヒンデンブルク号事件や、チェルノブイリ事故などのような様々な異変で、そのほころびを露呈して結局滅ぶのです。中国もその例外とはならないでしょう。

現在でも全体主義的な方針の国々のリーダーは、このことを真摯に受け止めるべきです。全体主義は、シンガポールなどのように小さな規模でやっているうちは長持ちするでしょうが、ナチス・ドイツやソ連のように大規模になると、崩壊するのです。

崩壊しないで発展しようとするなら、民主化、政治と経済の分離、法治国家は避けて通れないということです。これらを実施することにより、多数の中間層が、社会・経済的に自由に活動させる基盤を築いた上で、国を富ませ、経済力をつけ、その上で軍事力も強化するという道しかないということです。

これを無視する全体主義国家は、一時強大になったとしても、崩壊するのです。中共にも、全体主義をやめるか滅ぶかの二択しかないのです。

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2013年8月15日木曜日

ほころび始めた反日教育―【私の論評】AKB48との比較でわかる、中国反日プロモーションの稚拙さと変化のなさ!!もう効き目がなくなるのは当然か(゚д゚)!

ほころび始めた反日教育

米ニューヨークの日本総領事館前で、反日
プラカードを掲げ抗議デモをする中国系住民ら 
先月14日、中国中央テレビは日本での現地取材を内容とする報道番組を放送した。いわゆる「歴史認識問題」がテーマである。中央テレビ局といえば、中国における反日教育と反日宣伝の中心的な存在である。この報道番組も当然、宣伝目的で作られたものだ。日本取材の中、中国人記者は街を歩く中学生たちをつかまえて、「日中戦争中に多くの中国人が死んだことを知っていますか」「南京大虐殺を知っていますか」などの質問を投げかけた。

とっさのことで中学生たちが「知らない」と答えると、番組の解説者はすかさず「なるほど、日本の歴史教科書は歴史を改竄(かいざん)して子供たちに侵略の歴史を教えていないから、こうなったのですね」と、日本の歴史教育への批判を繰り広げた。

中国では昔から、この手の反日報道が日常的に行われ、それなりの効果を上げている。今回も同じ繰り返しかと思えば、多くの視聴者から上がってきたのは意外な反応だった。人民日報社が開設するミニブログ「微博」専用ページには次のようなコメントがずらりと並んでいる。

「中国人民は皆知っている。よく嘘をつくメディアは人民日報、よく捏造(ねつぞう)する教科書は中国の教科書だ。お前らこそ、毎日のように中国人民をだましているのではないか」

「文革以来、一体誰が多くの中国人民を惨殺してきたのか。日本人ではないぞ」

「自国の歴史さえ正視できないこの国が他国に正しい歴史認識を求めることができるのか。嘘ばかりをつくこの政府は、他人に真実を語れと要求できるのか」

などなどと現在もこのような辛辣(しんらつ)なコメントが書き込まれ続けている。

こうしてみると、政府の行う反日宣伝は完全に裏目に出ていることが分かる。「日本の教科書が真実を教えない」と批判すれば、「中国の教科書こそ嘘ばかりではないのか」との反論が返ってくるし、「南京大虐殺が忘れられた」と騒げば、「お前らこそ多くの中国人民を殺したのではないか」と突っ込まれる。反日宣伝をやった分、それはすべて、政府自身に返ってくるのである。

8月に入ると、今度は「網易」という民間サイトが「日本の歴史教科書と中国の歴史教科書、どちらの方が嘘をついているのか」というネット上の討論を開始し、一般ユーザーにも意見を求めた。その結果、「日本の教科書の方が嘘をついている」と答えた回答者数が2730人であったのに対し、「中国の教科書の方が嘘つきだ」と答えたのはその数倍以上の8949人に上ったのである。

ここまでくると、中国政府が長年やってきた反日教育が破綻し始めていることは一目瞭然である。丹念に行った日本批判のすべてが政府批判展開のきっかけを作ったのにすぎないのであれば、「それでは一体何のための反日だったのか」と、政府の宣伝担当者はさぞかし落胆しているのではないか。

それどころか、御用宣伝機関筆頭の中央テレビ局や政府発行の歴史教科書までもが多くの中国人民に「嘘つき」だと認定されているようでは、反日教育を含めた、政権が行う思想教育・統制、それ自体がすでに失効していることがよく分かる。

インターネットが発達する情報化の時代、市場経済の中で多くの人々が自立的な生活基盤を得て自由な思考を始めた「啓蒙(けいもう)の時代」、共産党政権が国民大半の頭と心をコントロール下におくことはもはやできなくなっている。

国民規模の「思想解放運動」はただ今展開している最中だ。思想の統制が崩壊した暁には、政治の統制が後どれくらい維持できるのか。それこそが、まさに今後の「見どころ」なのである。



【プロフィル】石平

せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。

【私の論評】AKB48との比較でわかる、中国反日プロモーションの稚拙さと変化のなさ!!もう国内で効き目がなくなるのは当然か(゚д゚)!

三橋貴明氏は、中韓が反日をすれば、日本経済は良くなると主張
当たり前といえば当たり前どんなプロモーションだって、20年以上も同じようなことを繰り返せば、飽きられて、ほとんどアピールしなくなるのは当然の帰結です。中国政府による反日プロモーションは、1980年台から、江沢民により、体系的に国家規模で反日教育から徹底するという方式で行なわれてきました。しかし、方法や内容は結局20年間あまり変わっていません。

さて、まずはブロモーション戦略について復習しておきます。以下の記事が簡潔で非常にわかりやすく掲載されていますので、ブロモーション戦略そのものについては以下のURLを参照して下さい。
製品の存在やメリットを伝えるプロモーション戦略
さて、このサイトから本日の話題と関係する部分のみをコピペして、中国の反日プロモーションの不味さを掲載していきます。

まずは、プロモーション戦略の定義です。
企業はいくら素晴らしい製品を開発したとしても売れるとは限りません。ターゲットとする顧客が製品の存在を知らなければ、購入されることがないからです。企業が、自社製品を適切にターゲット顧客に知ってもらうために活用するのがプロモーション戦略です。
さて、こうした定義からみると、本来中国共産党中央政府は、政府の素晴らしい政策や、インフラなどにつき、その存在を知ってもらい活用するのがプロモーション戦略ということになります。これは、北京オリンピック、上海万博などを国威発揚の道具として用いて、それなりに成功してきたと思います。それに、GDP世界第二位キャンペーンもそれなりに功を奏したと思います。さらに、ごく最近の経済の低迷も結局は、どの先進国もが通ってきた道である、まともな社会を作り出し、中間層を多くし、その経済活動で経済を発展させるということ怠ったことが真の原因です。

中国では、建国以来毎年平均2万件の暴動があり、最近では、8万件におよぶそうです。どうして、そんなに人民に憤懣がつのるかといえば、やはり建国以来民主化、政治と経済の分離、法治国家化がないがしろにされ、鄧小平氏の「富める者から富め」というキャッチフレーズからもみられるように、他のことはないがしろにして、経済発展にばかり力を入れてきたというが、ここ30年の中国です。そのため、近年あらゆる面で、格差が拡大しています。

社会構造の変革をなおざりにしてきたつけが、今日毎年暴動の数が、8万件にのぼるという人民の憤怒のマグマ爆発につながりました。

このようなことは、80年代から顕著になりつつありました。その頃、中国政府が選んだ道は、社会構造の変革ではなく、反日プロモーション戦略にもとづく反日キャンペーンでした。人民にとって、よりよいサービスを提供するのではなく、従来のままに捨て置き、中国人民共通の敵を外につくりだすことにより、中国のが分裂することなく、一つにまとまることが戦略の目的であり、目標です。

その頃から、中国政府が意識的に取り組んだ、ブロモーションを振り返ってみましょう。
■広告中国共産党中央政府は、相応の広告費用を負担して、テレビやラジオ、新聞、雑誌、インターネット、屋外広告、DMなど数多くのメディアに政府の反日情報を掲載するよう努力を重ねてきました。特筆すべきは、若年層に対する反日教育です。これは、学校での歴史教科書も反日的内容として徹底されました。教科書は広告としては、またとない素晴らしいツールです。 どの広告媒体よりも強力です。そりゃそうですね。企業の広告だって、教科書に自由に載せることができれば、その効果は計り知れません。
歴史教科書は中国政府にとって最大の反日広告である
■販売促進販売促進としては、反日デモが盛んに催されました。中国人民は、反政府デモは規制が強く、開催できない一方、反日デモは政府が許容するということで、これに参加して、憂さ晴らしができるというメリットがありました。しかし、これも度が過ぎると、反日デモがいつの間にか、反政府デモになるということで、反日デモもある程度規制されるようになってきています。 
販売促進としては、やはり中国による尖閣キャンペーンが最大のものです。尖閣での、領海・領空侵犯や、上陸、はては尖閣は中国固有の領土であるなどの一大キャンペーンです。これもかなり成果がありましたが、最近では、当たり前のようになってしまいました。そうして、中国政府は、尖閣を侵攻するための戦争準備など全くしておらず、結局はこれは販売促進の一環であるといことです。 
中国政府の販売促進活動でもある反日デモ
■人的販売・パブリシティこれに関しては、当然、政府直属の工作員の多数が、中国国内はもとより、日本国内、世界中で暗躍しています。日本の反日マスコミによるマスコミの報道は、まさに中国にとっての、パブリシティです。沖縄でも、中国人工作員が暗躍しており、中国にとっては痛手の大きい、オスプレイ配備反対運動をなどを主導しています。 
中国のネットを見ていても、公安警察の人間が、デモを主導している事実が写真つきで、掲載されていたりします。これは、ブロモーションでいうところの、人的販売というものです。
反日デモの扇動者の人相が中国の公安関係者にそっくり
■口コミ最後に、最近益々重要性が高まったプロモーションとして「口コミ」があります。人民は中国政府が一方的に流す広告よりは家族や友人、もしくは同じ趣向を持つ消費者の意見を信じやすい傾向があります。特にインターネットが発達した現代では、反日のコメントなどシェアすることが容易になり、インターネットによる口コミが政府の印象を左右することも多くなりました。今では微博などのSNSも数多く登場し、中国政府にとっては大きなプロモーションの機会になっています。
北京公安警察の微博

効果的なプロモーションを展開するためには、「誰に?(ターゲット)」「何を伝えたいのか?」、そして「どのように行動してもらいたいのか?」が明確でなければいけません。反日プロモーショも、ターゲットが違えば、反日政策ごとに適切なメッセージを届ける必要があります。たとえば、日清食品はカップヌードルにはSMAPの木村拓哉さんを起用して商品のクールさをアピールし、どん兵衛には同じくSMAPの中居正広さんを起用して大衆的なイメージを強調するなど、自社製品でも特性やターゲットに応じたプロモーションを展開しています。

中国政府の反日プロモーションも、本来は、富裕層向けとか、低所得層向けとか、いろいろ実施する必要があります。しかし、そこまで徹してはいないようです。

それに、プロモーション戦略もテーマが重要です。ここ20年中国は、反日プロモーションを繰り返してきました。いくら、日本に対する反日活動がやりやすいからといって、20年間同じテーマでやってきては、この移り変わりが激しい時代にいかに中国といえども、効果が薄れていくのは当然のことです。

そもそも、プロモーショは、時代の空気を読み、それに合わせていかなければなりません。これは、日本のたとえば、AKB48のプロモーションを見ていてもわかることです。以下に、AKB48プロモーションビデオ再生回数順の上位3位(平成25年8月15日)の動画をあげておきます。



第一位は、上の動画。AKB48 17thシングル「ヘビーローテーション」
作詞:秋元 康 作曲:山崎 燿 編曲:田中ユウスケ

社会現象にまでなった「AKB48 17thシングル 選抜総選挙」。ファン投票の結果、上位21名に選ばれたメンバーが歌う新曲のテーマは"Rock&C­ute"。見事ファン投票1位を獲得した大島優子が初のセンターで務めます。

日本屈指のフォトグラファー兼映画監督の蜷川実花監督によるPV&ジャケット写真にも­注目。



第二位は、AKB48 16thシングル「ポニーテールとシュシュ」作詞:秋元 康 作曲:多田慎也 編曲:生田真心

「ポニーテール、似合ってる?」

「ポニーテールとシュシュ」はキラキラ眩しい夏の王道アイドルソング。PV は、グアムの輝く海と空とAKB48!まぶしい水着姿も披露しています。



第三位は、AKB48 21stシングル「Everyday、カチューシャ」作詞:秋元 康 作曲・編曲:井上ヨシマサ

"女の子たちが集まると、とっておきの夏が来る"選抜メンバーは過去最多の26名!music clipはグアムで撮影!元気いっぱいに踊るメンバーの笑顔がキラキラ弾ける、夏にぴ­ったりのアイドルソングです!

表題曲は、前田敦子初主演映画『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネ­ジメント」を読んだら』(6月4日全国公開)の主題歌になっています。

今回の新曲では5作ぶりとなる水着のジャケット、タイトルにちなんだカチューシャをつ­けた姿にも注目です。

さて、とにかく日本のAKB48のブロモーションは毎度変化しています。そうして、AKB48 選抜総選挙は社会現象にすらなっています。

中国には、選挙もありません。それに、テーマが反日と20年以上も同じです。20年前のアイドルといえば、無論、AKB48など存在していませんでした。

あったとすれば、おニャン子クラブでしょうか。以下にその動画を掲載します。



何やら古色蒼然としています。中国が反日キャンペーンばかり繰り返すのは、日本でいえば、「おニャン子クラブ」のブロモーションを繰り返しているのとあまり変わりありません。

こんなんじゃ効き目がなくなるのは、当たり前です。やはり、その時々でテーマを変えるべきです。たとえば、反日キャンヘーンを5年もやったら、次は、反米キャンペーンその次は、反オーストラリアキャンペーンとか、その次は、反ロシアキャンペーンとか、それが終わったら、また反日キャンペーンにもどって、やり直すとか。やり直すにしても、新たな手法を投入して、人民をあきさせないという工夫が絶対に必要です。

30年前の、パソコン シャーフMZ-2000
しかし、良く考えてみると、そもそも、プロモーション戦略は何のために実施するのでしょうか。

企業では、ターゲット顧客をよく知り、最も効果的なアプローチができるメディアを活用してプロモーションを展開すれば、自社製品の認知度も高まり、売上アップに結びついていくということが言えるでしょう。

企業は、何のためにあるかといえば、その究極は、「顧客の創造」です。それ以外に企業の目的はありません。顧客を創造できない、企業は存在意義がありません。そのために、企業は、顧客のために、製品・サービス・商品をつくりだし、それを顧客に提供します。その提供をするために、実施するのが、ブロモーション戦略です。

しかし、中国政府をみていると、普通の企業のやり方とは全く異なります。まずは、企業にとって顧客に相当する人民のために、サービスやインフラを提供しようなどという考えはありません。まずは、現体制を維持することのみに集中していて、その維持のために、反日ブロモーションを展開するというのが、彼らの考えです。

こんな考えでは、長続きするはずはありません。実際経済は破綻直前、官僚の腐敗は極に達し、貧富の差はますます広がるばかりです。

実施すべきは、日本をはじめとする、先進国が過去通り抜けてきた当たり前の道、すなわち、民主化、政治と経済の分離、法治国家化の道を歩み、すこしずつでも進め、それによって、中間層を多数育てて、彼らの経済活動により、国を潤し、活性化することです。

いつまでも、マンネリ化した反日キャンペーンを繰り返しても、何も変わりません、それどころか、人民の憤怒のマグマはさらに増殖され、いずれ大爆発して、マグマの噴出先が政府になります。そんなことにならないためにも、反日キャンペーンなどに血道をあげるのではなく、すぐにでも、中国の社会構造改革に着手すべきです。私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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